04/09/27 17:25:31 EQJLNFLy
視点について(2)
Q.唐沢さん、ご回答ありがとうございました。
神様視点からの描写もあったほうが、両者の違いが鮮明になり、より理解しやすいと
思いますので、お手数ですが、神様視点のほうもお願いできるでしょうか?
視点を理解するためのみの参考とさせていただきますので。
また、新人賞の場合、神様視点の評価が低くなる理由を教えていただけるでしょうか?
追加ですが、「太郎の眼は燃えていた」はどっちでしょうか?
私の考えでは、眼が燃えているのは、自分ではわからないので(鏡で見るなどしない限り)、
神様視点ではないでしょうか?
A.神様視点とは、語る人がコロコロ変わる書き方です。例えば、太郎がスクールバスに乗って、
周囲の人間たちの普通ではない顔つきに違和感を感じたとすると、太郎の眼で、その様子を数行
書きます。その後、今度は、バスの中の別の人の目で見えた様子を描く、というように、語り手
が代わる方法です。これは文章修行をしていない素人の文のようで、主人公が誰なのか分からず、
読者は感情移入できません。(評価が低いのもそのせいです)。
この方法で、一人の語る分をもう少しずつ延ばしたのが、『バトル・ロワイヤル』です。これは、
主役クラスが四十八人くらいいますから、視点が次々に移動します。これは、アイデアはAクラス
ですが、やはり読んでいて誰に感情移入したら分からないので、賞からもれたのだと思います。
しかし、ライトノベルの場合は、ビッグタイトルとは違い、多少視点が移動しても、(主役クラス
が数名いて、一つの段落ごとに順番に語るなど)、主人公たちのキャラがそれぞれ際立っていて、
アイデアが面白ければ、かなり大目に見てくれます。
参考までに、数名の主役が交代で語るのは、群像小説であり、そう頻繁に視点が代わらないのなら、
神様視点とは違います。(神様視点というのは、言い換えれば、視点の不統一、とも言えます)
それと、「太郎の眼は燃えていた」は、第三者の視点であり、群像小説では、いくらでも使われます。
ちなみにこれを一人称視点に変えると、「太郎は、自分の眼がメラメラと炎を発しているのを意識した」
というように、自分の感じた通りに描くしかありません。(唐沢類人)