04/05/10 22:17
明智のプロファイル(春陽文庫「D坂の殺人事件」~「推理」の章から引用)
「(前略)二十五歳を越してはいまい。どちらかといえばやせたほうで、
…歩くときに変に肩を振る癖がある。といっても、決して豪傑流のそれではなく、(略)
(以下に講釈師の神田伯竜にそっくりだという記述が続く)
伯竜を見たことのない読者は、諸君が知っているところの、いわゆる好男子ではないが、
どことなくあいきょうのある、そして、もっとも天才的な顔を想像するがよい
ただ、明智のほうは、髪の毛がもっと長く延びていて、モジャモジャともつれ合っている。
そして、かれは人と話している間にも、指で、モジャモジャになっている髪の毛を、
さらにモジャモジャにするためのように、ひっかき回すのが癖だ。
服装などはいっこうにかまわぬほうらしく、いつももめんの着物に、よれよれのヘコ帯を締めている。」
* まさに金田一耕助、彼を少し知的な容貌にした感じか。
戦後の怪奇冒険探偵小説のダンディな明智しか知らない者が、この描写をいきなり読んで
よもや若き日の明智をスケッチしたものとは思うまい。