06/01/16 18:06:10 Mwf/L9oi
2006:一月九日
「・・・もしもし、平田ですけど」
「おっ久しぶり。佐藤だけど、憶えてる?」
「当たり前だろ。友達の名前忘れるほど薄情じゃねえよ」
「はは、それもそうだ」
「本当に久しぶりだな。お前とは、大学のサークルの送別会以来か」
「えーと、確かそうだ」
「お前あの時、オーストラリアの俺んちの電話番号聞いて後で絶対電話かける、っていってたのに、結局音沙汰無しだったもんな」
「ああ、ごめんごめん。まあ大卒フリーターには国際電話の料金も馬鹿にならないわけよ」
「それで、その貧乏人さんが何の用?」
「あのさ、それなんだけど、誰が言い始めたのか俺も知らないんだが、あのサークルの面子でもう一回集まろうっていう連絡が回ってきたんだ」
「サークルって、ボードサークル?」
「うん。ほら、もうすぐシーズンだろ。そんで同窓会も兼ねてみんなでまた楽しもうって趣旨らしい」
「懐かしいなあ、スノボやったりサーフィンやったり、たまになぜか徹夜麻雀したり、あの頃は良かった。・・・もちろん俺も行かせてもらうよ」
「おう、そうか、良かった良かった。じゃあ道具とかはどうする?お前まだ持ってるのか?」
「ああ、太陽の下、きらきら光るフィールドを颯爽と滑るのは一度やったら止められん」
「そうだよな。あっ同窓会は一週間後だが大丈夫か?」
「大丈夫だ」
「お前が空港に着いたらみんなで迎えに行きたいから、もろもろの準備が整ったら連絡してくれ」
「わかった、いまから楽しみにしてるよ」
2006:一月十六日
旧友の帰国を待ち構えていた彼の友人達は、ついにゲートから出てくる旧友、平田を見つけた。
「あっ平田だ!おーい、おー・・・」
「早くこっち・・・・」
「平田く~ん、久しぶり~懐か・・・・・」
彼らの言葉が途切れるのも無理は無い。
サーフボードを担いで恥ずかしそうに笑う平田が言った。
「まあ、いいだろ?レンタルすれば済む話だし・・・・」