05/11/28 08:04:05 nOsSWaGW
白髪の老人が、胸を刺されて倒れていた。高橋雅之助。当家の主だったが
既にこと切れている。警察に通報したのは、同居している長男の雅夫だった。
「雅夫が殺したのよ!」
小枝子が突然叫んだ。室田刑事は振り向いて小枝子の方を見たが、
すぐに雅夫に尋ねた。
「どういうことですかな」
「あんた、まさか」雅夫は苦笑しながら言った。「こんな奴の言う事を信じるんですか」
「小枝子ちゃんは、事件当時も、この部屋にいたんでしょう」
「いたけど、だって、こいつの証言―証言でいいのかね―なんか証拠として採用されるはずがない」
「もちろんです」室田は雅夫の妻の直美に向かって言った。「でも、誰も教えなければ、あんなこと言うわけないですよね」
「どういうこと?」
直美は一瞬目をそらした。
「小枝子ちゃんに、毎日餌をやっているのはあなたですか」
「ええ、でも―」
「九官鳥は、教わらないことはしゃべらない。そうですよね」