06/05/21 23:29:31 RyiGDuiM
>>152
とりあえずあの体は死んじゃったから、別な体で再登場するんじゃね?
全てが終わった夜から1年後―
武巳は1人、学校の敷地の端の東屋に向かっていた。
想い出というには強烈に過ぎる場所も、
時の流れという風化の中、単なる学校の敷地の一部と成り果てていた。
しかし、そこへ向かう足取りは、微妙に戸惑いを含んでいる。
そのポケットの中では、1枚のメモ用紙が揺れていた。
「放課後に、学校の端の東屋の前で待ってます」
下駄箱の中より出てきた、なんとも古典的な方法で武巳の元へと来た台詞。
ウサギのようなキャラクターが描かれたメモ用紙に、たどたどしく書かれた文字は、
そのまま武巳への愛の告白とも取れる文章だった。
もちろん、稜子との関係を壊す気の無い武巳ではあったが、
自分への想いを自分から断ち切るという行為に、
なんとも言えない罪悪感を感じているのだった。
しかし、どんな台詞で断ればいいのか考えているうちに、
目的地である東屋と、その前に立つ少女が武巳の視界に入ってきてしまう。
そして、手紙の送り主であろう少女がこちらを向いたのも、同じタイミングであった。
後輩らしい少女と目が合い、思わずうつむいてしまう武巳。
しかし、ずっとそうしている訳にもいかず、決心して顔を上げ、
左目だけをひどく顰めた少女の笑みに出迎えられた。
驚きに半ば放心状態の武巳に追い討ちをかけるように、
少女のものとは思えないしわがれた声が、少女の口から溢れ出す。
「久しいな、小僧」