06/02/13 21:16:41 ZZV1oByl
「リアル鬼ごっこ」
作品が名作と呼ばれるかどうか、その条件はなんだろうか。
すばらしいストーリー? 美しい文体? 心に残る登場人物?
それらは必要だろうがが、必ずしもそれだけではない。
どんなすばらしい作品であっても、読まれなければ評価されないのである。
いや、多数に読まれれば評価なんて後からついてくるのかもしれない。
作家は本を書き終えてしまえば売れるかどうかにはタッチできない。いいところサイン会に
出席する程度であろう。その後の読まれるための努力は営業力にかかっているのである。
本は作家だけではなく、編集や営業、はては印刷や運送といった人間の共同作業だ。
本書においては、その中でも突出した営業力がこの作品を名作たらしめているのである。
現在、某IT企業が中身のない虚業で株価を吊り上げるというニュースが取り上げられている。
だがそれが何だというのだ。たかだか中身がないだけではないか。本書を見てみたまえ、中
は空っぽどころかマイナスがスタート地点なのだ。文芸社の営業力はそれすら覆してみせた。
単純なストーリー、稚拙な文体、薄っぺらな登場人物。それらすべての欠点すら乗り越えて
この本は売れ続けている。そこに注がれる営業努力に、私は感動を禁じえない。これこそ本
書で最も賞賛に値するところなのだ。
そして、文芸社の営業力の素晴らしさが本書だけにとどまらないことは知る人も多いだろう。
文芸社の主催・協賛するコンテストに応募した者はその一端を垣間見ることになる。
「自費出版で本を出しませんか?」
彼らは、作家に対しても営業努力を惜しまないのである。