06/03/25 18:17:41 VM6zRCJq
『ソラウサ風ハンバーガー』(つま小文庫 作:>705 写真:>705)
「料理下手」。それは、もはや様式美にまで達した登場人物の一形式である。
そして、「料理下手」の歴史はそのまま数多くの超絶料理の歴史でもある。
単なる失敗作の類から、味よりもむしろ作った奴の脳内構造が気になるような代物まで、
これまでいくつものトンデモ料理が生まれ、そして消えていった。
しかし、それほどの料理が生み出されながらその味に悶絶するのは作中の登場人物ばかりで、
たとえその作品の熱心なファンであっても、その味を実際に体験しようとは殆どしなかった。
トンデモ料理の再現。
誰もが目を背けて見ないふりをしてきたこの問題に真っ向から立ち向かい、
「作中の料理はあくまでフィクション」という暗黙の了解に一石を投じた人物こそ、本作の作者>705である。
彼はライトノベル「ソラにウサギがのぼるころ」に登場する「蜂蜜がけハンバーガー」を
なんと自らの手で再現し、そして賞味したのである!
レシピそのものはシンプルでありながら、それが我々読者の想像を絶する味であることは
本書のイラスト代わりに挿入されている写真で一目瞭然。
それでも>705はその勝算の無いミッションに果敢に挑戦したのである。
敢えて言おう。彼のした事はバカであると。
そして、それと同時に類を見ないほどに勇敢な行いであると。
トンデモ料理が地雷作品に残された最後の秘境であるならば、
彼こそはまさしく冒険者であり、そしてまことの地雷踏み<マインステッパー>であろう。