06/03/11 12:45:04 6CTLeEbn
『開かれた密室』 著:佐竹彬 絵:千野えなが
本書は『飾られた記号』で鮮烈なデビューを果たした佐竹氏の本格ミステリー、φシリーズの第三弾である。
さてミステリーとあるが世にこういった小説が溢れている今、
どこかでみたような・・・といった既視感を覚える事は少なくないと思う。
本シリーズはそんな方々にお勧めしたい。
まず本シリーズはIT技術を持つ者は情報場を展開する事により物体の存在強化、透明化、
相手の視界に入った映像を見るetc.など様々な独特の要素がある。
なるほど、これなら富○見ミステリー文庫のようにLOVEのついでにミステリーといった事態もなくなる訳だ。
本シリーズにでてくるIT、IF、CC等の馴染み深い様でそうでもない専門用語も佐竹氏の尊敬する、
小説を読んでいる者ならば名前ぐらい聞いた事があるだろう森博嗣氏に近い馴染み深い文体で丁寧に説明されている。
書いた後でパクったパクってない等と論争したりせず尊敬する作家であり多大な影響を受けている、
と後書きで公言するあたり作者のある種の人間性の良さが伺えると思う。
さて、今までのシリーズでは先程説明したIT技術を利用したトリックが特徴的だったが、
本書ではIT技術を用いたバトルまで用意されているのが魅力的だ。
主人公である日阪はヒロインを救う為、某テニス漫画宜しく体から青色のオーラを出しちゃったりもする。
これでミステリーファンだけでなく少年漫画好きからも熱烈な支持を受けるに違いない。
・・・散々褒めちぎってみたが実際に読んでみると世界観や設定がうまく活かされている中々の良作だったりするので、
『飾られた記号』がトラウマになってる読者には再爆死を恐れず『三辺は祝祭的色彩』共々読んで頂きたいと筆者は思っている。
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