06/02/04 21:41:11 3m+I16ml
『先輩とぼく』
この小説は、人格入れ替わりと性転換のふたつが肝となっている。
ある日突然、憧れの美女である先輩とさえない男子学生のぼくの頭と体が入れ替わったのだ!
さて、この話は基本的にぼくの語りで進行するが、主人公はむしろ先輩の方だろう。
なにせ他人と入れ替わったことを苦にするどころか、全力で利用する人物だ。
まるで男に生まれたかのように、第二の人生をエンジョイする様が描かれる。
一方の僕も、多少悩んだり周囲に騒がれたりこそすれ、
まるで生まれた時から女であったかのように自然体な生活を送る。
そして終盤。先輩はこの物語のデウス・エクス・マキナである(メール欄)に会うが、
『元に戻してやる』という話を却下し、二人が入れ替わった今の状態のままにしろと言う。
そう、先輩は入れ替わった日から、いずれこうなることを予測していた。
その上で、『二人は今の状態こそが最上だ』と結論を出していたのだ!
僕と深く話し合うこともなく! 独断で! 話術で丸め込んで!!
これこそが、先輩が真の主人公である証明となっている。