06/02/03 23:46:39 XdiLeipu
「トリックスターズ」 久住四季 (電撃文庫)
あなたは飽きていないだろうか? 現実に縛られたミステリーに。
心躍らないだろうか? 魔術師同士のだましあいに。
そんなあなたにお勧めするのが、トリックスターズである。
舞台は魔術の存在する現代だ。主人公が魔術を学ぶために通っている学校で、
一人の魔術師が全校生徒に向けて挑戦状をたたきつける。
主人公はことあるごとにつぶやく。「魔術にはできることと、できないことがある」と。
懸命な読者ならすぐに気づくだろう。
これはその“できること”と“できないこと”から推測するミステリーなのだと。
しかし、それこそが作者の仕掛けたトリックである。
すべての謎解きを読み終えた時、あなたは驚愕にとらわれるだろう。
今まで示してもいない魔術を使って、事件を引き起こしていた犯人に。
すべての謎がわかっていながら、何もしないで生徒の顔を切り刻ませた先生に。
そして、物語上何の必然もなく意味もない謎を最大のトリックとして自信満々に語る作者に。
「これは推理小説を模った、現代の魔術師の物語」その煽り文に偽りはなかった。