06/02/01 01:48:56 XDODUN5W
『山姫アンチメモニクス』三上延
この作品はラブコメでありドタバタコメディというジャンルである。
だが、山姫はそのあたりのラブコメとは一癖も二癖も違う。
それは何か。キーワードは「地味」だ。
地味な話というは悪いことではない。設定を積み重ねてゆっくりと理路整然と紡がれる物語だ。
戦記もの、ホラー、オカルト、ミステリー、いろんなジャンルで地味な良作はある。
しかし、ラブコメと地味というのは一見正反対だ。
それだけではない。山姫はドタバタコメディなのだ。
登場人物は右往左往して走るまくる。馬鹿馬鹿しい展開が繰り返されて笑いとなる。
そういう物語なのだ。地味という言葉がこれだけ似合わないジャンルは他にない。
それでも『山姫アンチメモニクス』は地味である。
大人しい・普通である・上手くまとめすぎ。およそラブコメとは縁の無い感想。
それは文章から滲み出てくるという問題ではない。おそらくは作者の性質・業のようなものだ。
もはやこれは事件である。
地味ラブコメという現象を見逃してはならない。今すぐ本屋へ走るのだ。