06/01/29 08:09:08 I1ygDVf8
橋本紡、鏡貴也に次ぐ逸材がここに誕生した。
『しにがみのバラッド。』(ハセガワケイスケ 電撃文庫)である。
黒星紅白、あるいは原田たけひとを彷彿とさせる七草の美麗なイラストが目印だ。
でかい鎌を持った死神の少女がお供の黒猫と仕事する、
誰もが一度は触れたことがあるだろう親しみやすい設定で綴られる連作集。
某なのはも恥じ入る超リリカルなストーリーの素晴らしさは語るまでもない。
何せ死神が「しにがみ」で「。」で作者名がカタカナなのだ。その詩心は推して知るべし。
だが、何よりも凄くて溜息が出そうになるのは極限まで研ぎ澄まされた文章だろう。
夢枕獏もかくやといった改行の嵐は1分で十数ページという絶妙なテンポでの速読を許してくれる。
清冽感に満ちた内容ばかりでなく、作者が読み手の心を洗うために伝えたかったのは何よりも、
─紙の白さだったのである。
富士ミスが放った名作『ロクメンダイス、』のポエムぶりは所詮『しにバラ。』の二番煎じにすぎない、
などと言ったらさすがに誉めすぎで「作者乙」といったところであろうか。
まあそう敬遠しないでみなさんも読んでみてほしい。なに、時間は取らせない。ほんの10分だ。
「忙しさにかまけて本が読めない」と愚痴る、余裕に欠けた現代人へこの上もなくオススメ。