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耳あて帽といえば、昔、ひい爺さまの遺品を整理してたら軍服や銃剣の他、
水筒とか煙管等の色々な小道具とかとと共に、耳あて付きのふかふかの帽子が出てきた。
子供の頃はいかにも暖かそうで外は本皮のそれを、面白がって被ったりして喜んでたもんだが、
最近大学で学ぶ内に、ある程度古い文献を読むスキルが付いたので、
昔から誰も読めなかった爺さまの日記や覚え書きを読んでたらおおよそ次のような一文があった。
「脛と耳を砲弾の破片に抉られるも機関砲の猛撃をかいくぐり、遂に敵壕に突入して露西亜兵と
乱戦になった。しかし既に負傷していた自分は歩くのもやっとで、それでも仲間を押え込んでいた
敵兵の首を銃剣で突き刺して助けたがそのまま倒れてしまった。
結局担架で運ばれる羽目になったが、その際に上官殿が『怪我をしてもなお戦ったお前のような
勇兵の働きでこの難攻不落の南山要塞も陥落できたのだ。これを記念として持って行け』と言って、
自分が殺した敵兵が被っていたロシア帽を担架に載せてくれた。自分は感激してこの帽子を記念に
持って帰った」とあった。
これって、この帽子って･･･黒いシミみたいなのが付いてて気にはなってたけど。ﾋｨｨｨ･･･ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ。