04/10/20 19:59:48 FEQveKnX
取引先や同僚のものわかりが悪い、とけなすビジネスマンの言葉。
友達や先輩後輩の失敗をあげつらう高校生たちのやりとり。
ファミレスの窓際のテーブルに陣取って、幼稚園や学校をあしざまに言いつのる母親同士の会話。
相手の言い分をこき下ろすだけのテレビの論客や政治家たち・・・・・・。
ここには共通する、きわだった特徴がある。
はしたない言い方をすれば、どれもこれもが「自分以外はみんなバカ」と言っている。
自分だけがよくわかっていて、その他大勢は無知で愚かで、だから世の中うまくいかないのだ、
と言わんばかりの態度がむんむんしている。
私にはそう感じられる。
この現実はやっかいだ。自分以外はみんなバカなのだから、
私たちはだれかに同情したり共感することもなく、まして褒めることもしない。
こちらをバカだと思っている他人は他人で、私のことを心配したり、励ましてくれることもない。
つまり私たちは、横にいる他者を内側から理解したり、
つながっていく契機を持たないまま日々を送りはじめた
----それがこの十余年間に起きた、もっとも重苦しい事態ではないだろうか。
不況、テロ、戦争、北朝鮮。どれもが現在のこの国が直面する難問ではあるが、
自分以外はみんなバカ、と思い込む心性はそれぞれの問題を外側から、
まるで大仕掛けな見世物としてしか見ないだろう。
そこに内在する歴史や矛盾を切り捨て、自己の責任や葛藤を忘れて、
威勢よく断じるだけの態度が露骨となる。