04/08/26 05:44
「来て」
返事を待たずに手を取って歩き出す。彼女の顔がまともに見られない。怖い。
振り返って確かめたいけど、恐れと罪悪感で歪んだ今の私の顔は見せられな
い。今の私の顔をみれば、きっと言い出す前に気付かれる。そうすれば、彼女
は驚いて逃げ出すかもしれない。それだけは駄目だ。せめて一言謝らなけれ
ば。…こんな時ですら、私は自分のことばかり考えている。Y...の言うとおりだ。
そう、私はずるい。ずるくなければ、こんなに長い間彼女をだまし続けられるわ
けが無いのだ。自嘲から逃れるように少し足を速める。
367:廃園恋歌
04/08/26 05:47
彼女はされるがままに付いて来る。この一ヶ月、幸運にも慣れ親しんだあの華奢
な手の感触と温もりに痛切な愛惜を覚える。できることならば、こうして彼女の手を
握ったまま、いつまでもどこまでも歩いていたい。でも、ああ、目指す場所はすぐそ
こだ。もう傾いた鉄骨が見える。W...植物園。あの時と同じ夕暮れ。間違った仕方で
始められた物語を終わらせられるのは、その始められた場所をおいて他にない。
368:廃園恋歌
04/08/26 05:50
錆びた鉄扉を押して中に入る。廃棄された温室の方から腐りかかった花々の甘っ
たるい香りがする。それは私たちの匂い、裏切られた幸福の匂いでもある。まったく
どこまでもおあつらえ向きなんだろう。まるでこの時のために誰かが用意していたか
のようだ。運命の悪意を呪いながら、温室への道を示す庭石を避けて歩き続ける。
誰かの意思に従うのはたくさんだ。
369:名無し物書き@推敲中?
04/08/26 05:55
温室の中ほどで足を止め、惜しみながらも手を離す。ここは私と彼女が出会った
場所。今、そこにわざわざ連れて来たからには、私が何か重要なことを伝えようと
しているのだということに、彼女はもう気付いているはずだ。目眩がする。何も考
えられない。考えたくない。でも時間がない。終わりにしなければ。彼女の方に振
り返ることが出来ないまま、怯懦を振り払って、ようやく私は口を開く。
「あのね、」早くも気が挫ける、逃げ出したい。
370:庭園恋歌
04/08/26 06:11
最後で名前ミスった…orz
唐突に始まって唐突に終わってスマソ。一応弁明させてもらうと、
>>366-369は、
百合漫画スレ(スレリンク(comic板))の
846の発言にカチンと来たので、同スレの844に至る過程を書いてみたものです。
逆に言えば、その844がこの話のオチになるわけだけど、
ここまでの文脈で少しでも良いと感じたならむしろオチはお読みにならないことをお勧めします。
あまり上手に繋がっていませんので。
お目汚し失礼しました。
371:名無し物書き@推敲中?
04/09/03 10:08
久しぶりにここ見たらすげぇ良いのがキテル━━(゚∀゚)━━ッ!!
と思ったのに百合漫画スレが過去ログ逝ってて続きが見れない・・・
ヽ(`Д´)ノウワァァン