04/06/30 00:40
以下、『愛と幻想のファシズム』刊行当時の三浦雅士との対談「近未来世界に挑む」から抜粋。
三浦:いちばん気になったのは、『コインロッカー・ベイビーズ』との対比でいうと、ゼ
ロがもうちょっと重要な存在になるはずだと……。あれは、途中でどうしようかなと思
っていたんじゃないですか。
村上:連載では、最初のときにゼロが死んでしまったんだよ。そこから始めたから、連載
の関係で最後は死んじゃった。書き下ろしだったら、また違ったかもしれないけれども。
トウジの回想から始めたんです、連載では。
三浦:そうだったんですか。
村上:でも、これだけ書くと、もうどうでもいいような感じですね。書きようがないから。
だって最後のほうは収拾がつかないんだもの。連載のときに自分で書きながら、待てよ、
北海道はどうなっていたんだっけ、イスラエルの話はどうなっているんだっけ、大蔵省の
やつの名前は何だったっけとか、混乱してきちゃったりするわけです。
「週刊現代」の担当編集者に電話して、ところで、プルトニウムはもう日本に来ているの
かと聞くと、彼もわからないものだから、調べて、あっ、来てます、来てます、先々週に
もう来てますって。(笑)そういう感じで、全然収拾がつかない。じゃあ、もう終わろう
かって……。(笑)