04/06/25 01:25
>>93
ゼロの死をもって、村上龍が何を表現しようとしたのかはわからんが、
ストーリー上は、ゼロに死んでもらわなければつじつまがあわなくなってしまう。
というのも、あまり知られてないが、「愛と幻想のファシズム」は出版する際、
連載第1回の冒頭110行あまり、単行本のページにすると2ページ強ほどを削除して
出版されている。連載第1回は<羆の剥製の向こう側に都市が見える。>という
書き出しで、ゼロが死んでから3日後、トウジがゼロの死について思いを巡らせる
場面から始まっている。つまり、ゼロは小説の最初にすでに死んだ人間として
紹介されている。そして小説は、トウジがゼロとの出会いから死までを回想する
という形をとっている。そのため、小説はゼロの死で終わるということになったのだと思う。