■■海外現代文学総合スレッド2■■at BOOK
■■海外現代文学総合スレッド2■■ - 暇つぶし2ch107:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/07/02 20:26
>>89さん

今日仕事帰りに神保町寄ったんだけど、『豊乳肥臀』と『花束を抱く女』の
原書ならあった。三省堂のでかい交差点から、東京堂書店に向かって
く道に入って、東京堂過ぎた先にある内山書店ってとこの2階。
残雪は…当然なかったわ^^;

108:
03/07/02 20:37


109:89
03/07/03 00:50
>ixion
奇遇とゆうか、俺も昨日行った(w
つーか、東方書店(三省堂とかんたんむの間)は覗かなかった? 残雪も莫言も
それなりにあったぞ(高梁は見つからず)。
高行健は戯曲が揃ってたけど、やはり池莉や方方とかの若手は少ないねぇ。
その代わり、2001・2002短編ベスト集成なんてのもあった。
んで、格非コーフェイ作品集『格非』を購入。例に依って邦訳は絶版だけど、カフカや
安部公房が好きな人にオススメの作家です。

そうそう、発売中の『しにか』七月号で、中国系検索サイトを特集してたよ。
データベース化はありがたいなー。

110:吾輩は名無しである
03/07/03 01:48
『酒国』と『豊乳肥臀』
どっちがお勧め?

111:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/07/03 10:58
あれ、俺が見つけたの東方書店の方だっけな?
高行健もあったし…。

>奇遇とゆうか、俺も昨日行った(w
なーんだ、会って話でもしたかったなぁ。こっちは
中国現代文学は全くの素人だしね。

そういや、中国現代小説、って雑誌あるじゃん?
あれにいろいろ訳されてるよね。残雪の短編読んだ
のもあの雑誌だった。
格非の短編も訳されてるみたいだね。




112:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/07/03 11:07
あと、ここが良いね。残雪とかも手に入るよ。
URLリンク(www.frelax.com)

>『酒国』と『豊乳肥臀』 どっちがお勧め?

俺は『豊乳肥臀』 の方が好き。ただし、先述のような
欠点(意図的な土俗化)が引っかかるところはある
けど。面白さなら『酒国』の方が上かなぁ。

113:林彪 ◆ZJMS.Joo8Q
03/07/03 12:09
>>106
ほとんど読まれたのですか 凄いですね私は至福の時をまだ読んでいないのです
確かに意図的な土俗性というのはあるかもしれませんね ただ酒国の入り組んだ語りなどは
魅力があると僕は思います 作者登場というのは小島信夫他多くの作家が使っていますが
残雪と莫言は作家としての立場が対極にありますから彼の批判もうなずけるものです

ところで鄭義などは読んだ事ありますか
いわゆる文革派の代表と言う事ですが古井戸にも神話的要素が入っていたと思います
あと高行健の英訳はどのくらい出てるんでしょうか
では失礼いたします

114:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/07/03 12:47
高行健は『霊山』『一個人的聖経』や戯曲集などが英訳されて
いますよ。

>ところで鄭義などは読んだ事ありますか
ないです。読んでみます。

でも、うっかりバロウズの火星シリーズを読み始めてしまった…。

115:江青
03/07/03 13:12
荒らす気は、もう(たく)とうwないんだけれど、
その「林彪」という名前で現代中国文学を語ってるって
ものすごくおかしい。Kera Kera,Kera~~~!

文人じゃなく武人だよね?

116:吾輩は名無しである
03/07/04 00:11
鄭義ってえと『神樹』って分厚いのが訳されてますな。
URLリンク(www10.ocn.ne.jp)
なるほど中国版「百孤」ですか(w

これもお勧めですか?<読まれてる方


>>112
ども。
やっぱ『酒国』の方が面白いですか。

117:吾輩は名無しである
03/07/04 01:56
例のサイトによると、
URLリンク(www.aw.wakwak.com)
ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』が復刊されるらしいね


118:吾輩は名無しである
03/07/04 08:39
uブックスじゃないのかな?<エドウィン・マルハウス
uブックスはここ一両日のうちに3冊(『舞姫タイス』なんて
シブどころも入って)新刊が出たようだから。

119:89
03/07/04 08:59
『エドウィン・マルハウス』、三日前に読み終えたばかりだ(w
図書館で借りてさ。急いで読むことは無かったのだな。もう少しだけ、じっくり
楽しみたかった。

>鄭義
『神樹』は、カルペンティエルの『春の祭典』と仲良く積み置かれてたり。
ヘタレやな、俺。
『古井戸』は張芸謀の主演/撮影で映画化されてるね。これは見たい。

120:林彪 ◆ZJMS.Joo8Q
03/07/04 18:30
>>115
林彪は少しだけ僕自身に似ている
文革の歴史を調べているときにそのことに僕は胸を打たれた
また、墜落死するというのも、一種僕の精神の反映のようで切ってもても切り離せない
>>116
僕は「中国の地の底で」と「古井戸」を読みました 神木は未読です
中国の地の底で はぜひお勧めしたい
この本は単なる悲惨のノンフィクションではなく文革に対する新しい提示も含まれている
現在の文革=惨劇という一面的な評価は、同時に現在の中共産に利益のあるものでもあるので
彼はそこに疑問をなげかけています
例えば高級幹部のドラ息子達老兵は一般市民を迫害したが、毛の老兵批判に乗じ次のred guards達は
解放のために戦った つまり民衆も政変を利用し民主主義への戦いを目指したというような言説がある
まあ ひとつの視点として楽しめるのではないかと 惜しむらくは、抄訳であるところ。

>>114
ありがとうixionさん 最近ベケットについて調べているので高の戯曲に興味を持ちまして
>>119
春の祭典もこれまた分厚いですよね 私はまだ読んでいませんが・・・・・・

121:吾輩は名無しである
03/07/04 23:47
『エドウィン・マルハウス』復刊.comでまだ100票
いって無かったから、これは快挙ですな。


>『神樹』は、カルペンティエルの『春の祭典』と仲良く積み置かれてたり。
>ヘタレやな、俺。
いや俺なんかそれと仲良く『世界終末戦争』と『イリワッカー』と
『アンダーワールド』と『重 ・・・

 ↓ 以下続けてどうぞ(w

122:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/07/05 09:35
…何続けよっかなぁ(w

ダイベックもuブックスになったんだね。ダイベックは子供2人が
ばぁちゃんにシチュー作るためにトリ(だっけ?)の血を手に入れ
ようとして、変な郵便屋にあったりして逃げる話が好き。タイトル
忘れた^^;

>>89さん
残雪「新生活」読んだ?彼女はこういう「都市の気持ち悪さ」みたいな
ものを描き出すのも巧いなぁ、とあらためて感心した。
(俺が読んでるのは「季刊 中国現代小説 通巻47号」に載ってる奴)
『突囲表演』でも、たしか「大衆の気持ち悪さ」みたいなものを書いて
いたと思うけど、今回は高層ビル・婆さん・エレベーター・『蜘蛛の巣』
のような街、と、とても少ないものを淡々と描いていながら、ちゃんと
残雪らしい不思議文学になってる。とても良いよ。

123:89
03/07/06 01:03
>ixion
『新生活』は未読……だと思う。短編は原文で幾つか目を通したけど、おそらく
それには入ってない(もはや記憶も定かでない('A`)

『中国現代小説』47号は、品切れみたい。
つーか、よくこの雑誌知ってたね。中国語の読み書きが出来ないのに購読してる
のは、日本でアナタ一人だけだと思うぞ多分(w

そして、今日紀伊国屋に行き、改めて流通量の無さに(´・ω・`)ショボーンとして帰る。
阿来の長編は訳されねえかなァ……

124:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/07/06 08:41
URLリンク(www.mmjp.or.jp)
ここからバックナンバーも注文できるよ。第2期11号(通巻47号)ね。
俺の場合には、気になる作家の分だけ注文してる。
あとは鼎書房の『現代中国女性文学傑作選』とか読んだ。でも
これは「中国現代小説」で訳出されたものの再録だった。
方方の「やがて悲しき」とか最初に読んだのはこれ。

>中国語の読み書きが出来ないのに購読してる
>のは、日本でアナタ一人だけだと思うぞ多分(w

物好き…なのかなぁ、やっぱり(苦笑)
でも、新しい小説が世界のどこで起こってるか分からないじゃん?
欧米なんて世界の一部に過ぎないしさ。

阿来、知らなかった。チベット族の作家なんだね。

125:89
03/07/06 23:03
スチュアート・ダイベック『シカゴ育ち』買いますた。
そして、折り込みチラシにある『ベケット伝』(上下)の値段に( ゚д゚)ポカーン

>ixion
阿来は『中国現代小説』で三回取り上げられてる。
日本企業による松茸の買い付けで、辺境の町が松茸狩りの熱狂に陥る『松茸』。
チベット族の禁漁の習俗に因んだ綺譚『魚』。民話に数々の奇蹟を残す人気者を
主人公にした『アクトンパ』の三作。どれも気に入ると思う。
先月のユリイカのコラムでも、山口守先生が紹介してた。

ところで、マジックリアリズムの影響と言えば鬼子グイズはどうかな?

126:吾輩は名無しである
03/07/07 23:31
『現代中国の輪郭』という藤井省三氏の本、1993年に出たものだけれど
情報が豊富で、つまみ喰いしていて面白い(と言うには不謹慎な内容もある)。

『人民文学』に長編が掲載されたときの莫言の略歴に思わず笑った。
こんなユニークな略歴って、見たことない。
「…暮らしが厳しかった時期に、餓えのため彼の頭はおかしくなり、
神経系統は余り正常でなく、好んででまかせを言うが、口に出すと
すぐに忘れてしまう。…」

高行健が戯曲「バス停」で『ゴドー待ち』を意識したとか、鄭義『古井戸』
邦訳刊行後、逃亡中の本人から訳者宛てに序文が寄せられて再版時に
それを掲載したとか。

母国の言葉を剥奪され、チベット語での読み書きはできないザシダワに
ついても言及されている。文革のチベット文化破壊については、ミステリ
『頭蓋骨のマントラ』でショックを受けた。ラサの町に異民族を強制移住
させたり、寺院を破壊する政策に…。
チベット文明って、西欧合理主義に対峙する老荘思想以上に突き抜けた
ものがあるだろうから、宗教を介してでなく小説を介して知りたいものだ
と思う。

127:吾輩は名無しである
03/07/07 23:34
「現代」じゃなくて申し訳ないが、
『フィネガンズウェイク』(柳瀬訳)がとうとう文庫化されるね。>河出
昨日、『西瓜糖の日々』(ブローティガン)と『見えない都市』(カルヴィーノ)
買ったらカバーの袖のところに続刊予定で書いてあった。
カルヴィーノの『柔らかい月』と『宿命の交わる城』もでるみたい。

128:126
03/07/07 23:36
世界には、小説を介しては知り得ない文明も沢山あるけどね。
映画「緑のアリが夢見るところ」に出ていたアボリジニ族のように、
自分しか部族の生き残りがいなくなって口をきかなくなっちゃった人
とか、沢木耕太郎『イルカと墜落』に書かれていたアマゾン流域の
文明とコンタクトがない種族とか。どんな口承文学があるのだろう。


残雪は、かなりきつい。読んでいて、読者たる自分が疎外される気分で
不条理だw。
短篇集『廊下に植えた林檎の木』で、最初の「帰り道」というのが
カフカや安部公房的、いや、それより華がある気がして楽しく読んだ
ものの、作者本人が気に入っている表題作は「核」が見つけられず
しんどかった。ディックやバロウズなどサイケっぽいのが好きな人
にはいいのかも。ジャンキーの幻覚のように脈絡のないものが出てきて、
ほんとポカーンなのだ。
『黄泥街』も騙し騙し読んでいるが、別の本でリハビリしながらで
ないと進めない。『突囲~』は比較的分かり易いというので期待して
いるけれど、辿りつけないかもしれないなー。
右に転んでくれればOKだけれど、左に転ばれるとダメという微妙な
ところにいる作家で、やはり一般人にはハードルが高いという印象。


129:吾輩は名無しである
03/07/08 00:17
>>126
チベット文化は仏教やその他土着外来問わず宗教が混じりまた対立してて、
一様には捕らええない。
宗教なしに文化に触れるってのも無理だろ。

130:126
03/07/08 09:08
>126
書き方が悪かった。「宗教を介してでなく」というのは「宗教
なしに」というつもりではない。

教義がどうだとか、それが人々の生活にどう溶け込んでいるかと
いう視点(歴史学者や文化人類学者の取り組み)からの紹介でなく、
宗教とあいまった文化のただなかにいる人の生活に根ざした想像力
から生じる物語、そこにあらわれる「思念」のようなもの(あるいは
その根源)を知りたいという意味です。

文明を一様には捉えられなくても、特殊な地理や風土(気圧の人体→
思念に及ぼす微妙な影響ひとつとっても、National Geographicなんぞ
には写っておらんし)、そして歴史に左右されるところの、例の「土地の
神話性」―これを作家の言葉から感じとってみたいということに
なるのかな(今、書いてて分かってきた気がする)。
自分には、それが作家的「霊感」のひとつだという思いがある。
つまり土地の神話性みたいなものを身に帯びて書くと、意識あるなしに
拘らず、それが書かれたものに表出してしまうことが…。
中国現代文学には「ルーツ派文学」という括りもあるみたいだけれど。

確かに、そのように霊的なものに満ちた小説を『百年の孤独』と
呼ぶのなら、それはそれで便利な用語だと思う。
それより前の作品には使えないだろうけれど。

131:126
03/07/08 09:14
訂正
>126→>129

我ながら読みにくい文章だな。
きょうは気圧が低い上、朝は血圧が低いんだよと
余計な言い訳しておこうw。

132:吾輩は名無しである
03/07/08 10:11
暫く流れをみてて残雪に興味をもったんですが、新刊で読めるのって
ほとんどないのね…
スーパー源氏で検索したらやたら高いし
古本に定価の倍以上出すのはやだ(w

133:吾輩は名無しである
03/07/08 15:44
ぶっちゃけ宗教=文化だしな。
要するに、文化史観的な他者の紹介では満足できないってだけだろ?

134:89
03/07/09 01:00
>126
残雪は、当事者的な「意識の流れ」を読者の心中に再演する。
読者は抑圧の被害者となりながら、語り手からは抑圧の加害者として糾弾される。
視野の獲得は次第に、感情移入と文学的常識の排除を意味するようになる。
初めて読んだ時は周到さに舌を巻いた。

>132
残雪は、図書館に行けばあると思う。
上のはあくまで私見なので、あまり気にせずに(w

135:吾輩は名無しである
03/07/09 03:03
残雪、莫言は読んだ方が良いと。
しかし、次から次に知らない名前が出て来るなー。

136:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/07/09 09:17
>>128

ちょうど『廊下に植えた林檎の木』読み終わった。

>作者本人が気に入っている表題作は「核」が見つけられず
>しんどかった。ディックやバロウズなどサイケっぽいのが好きな人
>にはいいのかも。
残雪って、結構倫理的(って用語が適切かどうかはは置いとくとして)
な作家で、例えば新旧写実の中国文学が、下手すると旧来の大地
礼賛に終始してしまう。だからこそ、生命の力や不可解さを別の形に
託して書いている。でも、その別の形が時折独りよがりに思えてしまう
のは、確かにその通りかもしれない。サイケっぽい、ってのはなるほど
その通りだと思う。けど、光と匂いに満ちたサイケね。

「わたしはこの十数年について、その後について、多少の話をすること
ができるような気がした。それも、普通の人は意識したこともなければ
言ったこともないような話で、わたしはそういうことを文学によって、
幻想の形式によって語りたいと思った。ある抽象的な、同時に純粋な
なにかが、わたしの内部で徐々に凝集してきていた。わたしは書き
はじめた、毎日少しずつ、なぜこのように、あるいはあのように書くのか
完全には知らないままに、ただひたすら自分の天国に執着し、くりかえし
味わい、ひとり楽しんだ。」(「美しい南国の夏の日」近藤直子訳)

137:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/07/09 09:18
「廊下に植えた林檎の木」でも、最初の章にある生誕の不確かさや
崖の上の話が、最後の章「ぼくの最後の夢」につながるようになって
いるが、それは男側(祖父-父-僕)に共通する、「自分と折り合い
がつかない」という感じかもしれないし、「ぼく」が家の崩壊を願って
いるので、現実と夢が不確かに接合されているのかもしれない。
この「家(族)」は、それぞれの確かさ(正しさ・現実)と不確かさ(幻想)
との境界を明確につけられない(まぁ、女の方が自分と折り合いを
つけている感じがする)のだが、不思議に陰鬱な感じがしない。
それは光や匂いが溢れている(「敢ていうが、わたしの作品は全編
光明に満ちている」)からであり、崖から飛び降りるのではなく
「ぼく」がとどまるのは、実は非常に「倫理的な」選択(フォークナー
『野生の棕櫚』みたいな、とは言わないけど)だと思える。

でも、確かに細かい描写は、こうもり傘とミシンじゃないが、唐突な
物が多くて妙に気負ってる感じもする。その点「新生活」は、もっと
すっきりとまとめていて良かった。

138:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/07/09 09:33
すまん、136の文章が変(まぁ勢いで書いてるからいつものことだが^^;)

例えば新旧写実の中国文学は、下手すると旧来の大地礼賛に終始して
しまって、単に読者を「安心させる」ことにだけ腐心する。残雪は逆に、
生命の力や不可解さを別の形に託して書くことで、「魂自身の文学」、
「大衆が公認する現実世界と並ぶもうひとつの、さらに広広としたあの
世界」(「精神の階層」近藤直子訳)のことを扱う文学を打ちたてようと
しているんじゃないかな。で、そういう点で俺は残雪は「倫理的」だと
思うんだな、たとえ作風は不思議文学まっしぐらであっても。

>>130
>歴史に左右されるところの、例の「土地の神話性」
>自分には、それが作家的「霊感」のひとつだという思いがある。
>つまり土地の神話性みたいなものを身に帯びて書くと、意識あるなしに
>拘らず、それが書かれたものに表出してしまうことが…。

俺もそういう文学にはあこがれる。けど、たぶんこういう「霊感」は下手
すると胡散臭い民族礼賛につながってしまうんじゃない?それを
残雪は絶対やりたくないんだと思う。

URLリンク(webclub.kcom.ne.jp)

ここの諸評論を読んでみると、残雪の文学観がハッキリしてくるんじゃ
ないかな?(近藤直子さんは残雪の素晴らしい紹介者だよなぁ…)

>>134
>読者は抑圧の被害者となりながら、語り手からは抑圧の加害者として糾弾される。
>視野の獲得は次第に、感情移入と文学的常識の排除を意味するようになる。

うん、それ納得。受け身の読みを徹底して排除する、っていうふうに、
残雪自身は上の評論のどれかに書いてた。

139:吾輩は名無しである
03/07/09 11:58
134と137の読解が自分より深いので、何かムカつく気がしないでもないw。
近藤先生の残雪評論集も入手しようかと思っていたけれど、あんな充実した
サイトがあるとはつゆ知らず、紹介に感謝します。
(というか、毎度のことながらフーディーニか引田天功みたいだね)
「美しい南国の夏の日」の「必要なのはただ、魂の渇きだけである」をはじめ
として、残雪という作家は空恐ろしい人だと思った。エッセイ集が読みたい。

米国より日本での方が読まれつづけている理由というのが、『村上春樹
ブック』にも引用された『ピープル』誌の記事「世界を生命のあるがままに
ミニアチュアの中に封じこめるべく丹精こめて書かれた彼の精緻な文章が
ボンサイ的優雅さを解する彼の国の読者に受けたのであろう」の通りかも
しれんなー…と思わせられる『西瓜糖の日々』―読みながら、本家本元の
西海岸サイケの軽味に触れ、これもやっぱり一種の霊感だよねと思う。

女の子たちに人気のある作家がプッシュして話題にもなったのだから、ワコー
ル手がけるコンビニ“It's Demo”みたいなノリの装丁にすれば売れるのに…。
イッツデモに行っておしゃべりに耳を傾けていると、かわいさと背中合わせの
ガーリー(←古い?)の残酷さが、おそらく西瓜糖ワールドしている気がする。


140:139
03/07/09 12:03
サイケの他にも実は、残雪作品から断片的に受けた印象というのがある。
それが「美しい南国の夏の日」の祖母とのエピソードで得心できた。
「廊下に植えた林檎の木」は普通の肉体をもつ人間ではなく、家族それぞれが
特徴ある異形の者なのだが、そのキャラクター設定とか寝る場所などを読んで
いて、ふっと思い起こされたのが日本民話だ。

お節介に過ぎるが、日本の昔話は関敬吾が編集した岩波文庫の3冊を買って
おけば、折に触れて読むのに便利だと思う。それと一緒に『日本昔話ハンド
ブック』(三省堂)というコンパクトな事典があると重宝する。
そこに詳しいが、昔話のルーツをたどっていくと、西洋にも東洋にも類話が
あるシンデレラみたいなお話もあるけれど、日本昔話の場合、過去の文化交流
から当然のこと、大陸から伝来してきたものが多い。
「夜は箱の中で寝る」というちょっとした記述から、つづらや長持ちに隠れる
昔話の人物たちが起ち上がってくる。「こうもり傘とミシン」のような
唐突さ、荒唐無稽さというのも民話ではよくある展開だから、本来の「もの
がたり(口承伝承)」を意識して残雪が小説を書いたとしても不思議はないか
という気はしていた。
祖母に聞かされたウワバミの民話、日本でも旅の役者「たのきゅう」なんか
に登場する。祖母とのエピソードを読んでいて、急に近しいものを感じた。

141:139
03/07/09 12:07
民話の影響が実際のところどういうものかは分からない。
しかし、「土地の神話性」には大地礼賛、民族礼賛とは異なる要素もあって、
それが民話には結晶されていると私は思っている。
民話は民族の「魂」だとか「ふるさと」だとか言われるけれど、「礼賛」だけで
なく、自分たちの置かれた境遇のみじめさを笑い飛ばすような点があったり、
知り尽くせない自然に対する畏怖、そこに潜む異形の物(化物)を描きながら、
権力や体制に対する無力感をも表現して、からり諦める点などがカタルシス
として機能する。
このように書くのは、莫言たちルーツ派の感動とは違う方向性だろう。
だけれども、民話的な乾いた笑いは、礼賛とは異なるもうひとつの民族の
尊重の仕方であり、言うなれば「新しい民話」として、作家的「霊感」に満ちた
文学の在り方なのかもしれないと、ちらと考えた。

142:吾輩は名無しである
03/07/09 20:50
>>141
具体性に欠けてるし、偶像視しすぎでないかい?

143:吾輩は名無しである
03/07/10 17:46
ストーリーテリングの女王 コニーウィリス

宮部みゆき&瀬名秀明絶賛
『航路』 
認知心理学者ジョアンナの臨死体験、戦慄と感動のメディカル・サスペンス
死の恐怖に正面から立ち向かう人間の気高さを描く、驚愕と感動のヒューマン・ドラマ!
58章で終わっても感動

『ドゥームズデイ・ブック』
21世紀のオックスフォードから14世紀へと時をさかのぼっていった
女子学生キヴリンの物語。病原菌を巡ったミステリー感動作

盛り上げ方が上手い、ストーリーテラーの女王
もうよんだ?
読書の楽しさを認識させられる、読みやすい一冊。ホワイトデーの日に
読書好きの彼女へプレゼントするのに最適かと。

144:吾輩は名無しである
03/07/10 18:06
ニック・ホーンビィ好きなんだけど一般書籍板向けかな?

145:吾輩は名無しである
03/07/10 18:10
>>143
宣伝もそうしつこいと、逆に反感をかうよ。どこの変臭だ?

146:吾輩は名無しである
03/07/10 18:11
せっかくの良スレに・・・宣伝。

147:吾輩は名無しである
03/07/10 18:31
マルハウス復刊って俺もどっかで聞いたけど、ソースってあるの?

148:吾輩は名無しである
03/07/10 19:03
>147
出版社がISBNコードも決めたようなので……
 URLリンク(www.fukkan.com)

149:吾輩は名無しである
03/07/10 20:35
せっかく忘れ去られたスレを上げてやったんだから文句を言うな


150:吾輩は名無しである
03/07/10 20:42
大森望が大絶賛!

151:141
03/07/10 20:43
>142
141は民話の一般論が主だから、民話も残雪も「偶像視」する気はないけど、
書かなくていい個人的「仮定」を書きすぎた。お恥ずかしや。

ただ、そういう足がかりをもって「~林檎の木」をもう一度読んだら、
>>134 の「視野の獲得」が少し可能になった。
>>137 の「ふみとどまる」ラストは『野性の棕櫚』と違うが倫理的…
という解釈は分かる気がする。妹に見とがめられたのをこれ幸い、
ふみとどまって諦めたという情けない消極的選択ではあるけれど、
自分の「分際」を知ることの積極的意味を肯定したのではないか。

『黄泥街』も読み直したら、キッチュなカフカみたいで割に楽しめた。
後半の会話が多い部分はターボかかって読めたし…。繰り返し話のような
民話的要素も少し認められた。
まとめないで語り流していくようなスタイル(言葉を出たとこ勝負みたいな
ノリで積み上げていく)が昔語り的であるし、こういう掲示板にもよく似て
いる。「糞」とか「豚」とか、煽り文句と同じ言葉もたっぷりあるしね。


152:吾輩は名無しである
03/07/10 21:53
宣伝 (・A・)イクナイ

153:吾輩は名無しである
03/07/10 22:25
ところで今売ってる「紙葉の家」って読んだひとおる?
パラパラめくってみてトリストラム・シャンディみたいだなーと思ったんだが。

154:吾輩は名無しである
03/07/11 01:32
>>153

前スレでは
それ出たとき、ここの論客が揃って
否定的だったからどーだろ(w

155:吾輩は名無しである
03/07/11 02:11
>>154
サンクス。「メリケン吉田戦車」ってやっぱなあ。
まあ伝染るんですは吉田氏だけでなく装丁の祖父江氏の仕事もでかいけど。
あと題名をつけた竹熊氏も。

紙葉の家ってスレも立ってたのかな?
アドレス判る人いないだろうか。

ところで前スレ読んでたらマダムBが『オルガニスト』を推薦していたが
新潮社の日本ファンタジーノベル大賞作品で音楽ネタなら
大声で高野史緒『ムジカ・マキーナ』の方が面白く完成度が高いと言いたい。

156:UAYE ◆uaYejoOYtk
03/07/11 02:27
>89
中国語で「ラテン」は「拉丁」のはずです。
日本では「羅甸」と書いたみたい。

中国文学は王朔の「消しゴム人間」しか読んでない。

157:89
03/07/11 06:53
『航路』は第一部がおもしろかった。
その後はサブテクストを表で語り始めたり、メタファーの強調が竜頭蛇尾に終わ
るとか微妙だけど。

>155
スレ違いだが、俺は『ムジカ・マキーナ』の文体は少し頂けない。
少女漫画、軍記小説、江戸捕物帖、冒険小説のコードが前触れ無しに入り混じり、
指揮者の不在を感じる。
文体のサンプリングやミキシング等でも無い。
音楽を題に取るなら、そこに気を張るべきじゃないかな?

>156
調べ直した。一般にはそちらが通例だね。
羅丁と書いた原文を見た事があって、そっちで覚えてた。訂正ありが屯。

158:吾輩は名無しである
03/07/11 14:25
>>155
ふぁんたじーのべるなんて・・どれほど気取ってみせても程度が・厨房

159:吾輩は名無しである
03/07/11 20:59
どっちが厨房だよ

160:吾輩は名無しである
03/07/11 21:27
>150
その人がまた絶賛しているスタージョン『海を失った男』も出たみたい。
あらすじ読むと、幻想味があって面白そうな作品が多い。
『夢見る宝石』もSF色うすそうだから、読めそうかな? 

>158
厨房は好きで、きょうはおやつも作ったから都合4回立った。
珈琲も淹れたなー。結構新しいキッチンだが、食洗器に何から何まで
入るわけでないので、片づけがキライ。クリスティーとか川上弘美とか、
厨房派の女性作家って多いみたいだね。厨房派の女性読者もとても多いと思う。

『ムジカ~』は麻薬っていうのでドラちゃんの『天使のパス 悪魔のゴール』
を思い出したw。機会あったら読んでみます。
『オルガニスト』は「男女の距離感」の描き方が絶妙で良いのだ、とマダムBが
申しておりました。最近は『贖罪』が『抱擁』より気に入ったみたいだよ。


161:吾輩は名無しである
03/07/13 08:37
若島正の日記によると、ナボコフ「青白い炎」が文庫化されるそうです。
復刊ブームが来たみたい。

162:吾輩は名無しである
03/07/13 10:26
>>161
本命キタ━━(゚∀゚)━━!!
今、訳稿を点検してるとすると、今年末~来年初頭あたり刊行か?
えらいぞちくま!!

163:吾輩は名無しである
03/07/13 23:42
>>161

「第三の警官」も文庫化してくんないかなぁ<筑摩・・・(´・ω・`)

164:吾輩は名無しである
03/07/14 14:18
エリアーデ日本オリジナルの幻想小説集です。
出版社サイトが更新されておらず全容はわかりませんが、良い企画だと思います。
URLリンク(www.bk1.co.jp)

165:吾輩は名無しである
03/07/14 20:02
>164
収録作品は作品社の近刊案内でわかるよ。
2巻は9月、3巻は11月以降の予定。
当初は1巻2002年12月、2巻1月、3巻5月の予定だったが。

URLリンク(www.tssplaza.co.jp)

もう感想書いてる人がいる。

URLリンク(d.hatena.ne.jp)

166:UAYE ◆uaYejoOYtk
03/07/14 23:41
ザシダワってやな名前だ

167:吾輩は名無しである
03/07/15 01:16
>165
情報ありがとう。
もう感想書いてる人の選書、面白い。エリアーデの「読み」も参考になる。

けど、「『ムントゥリャサ~』で現実と幻想が対峙」とか書いてあったのは
ちょっと違う気がする。
はなから絵空事のハイファンタジーと違って、エリアーデは幻想の展開して
いくところ、どこまでも現実を引きつれていくような書き方をしていると思う。
だから、自分がいつかこの世にあってその境界を乗り越えていってしまい
そうな感じが襲いかかってくることがあり、コワくなる。

最近、自分の書き込みの間違い&勘違いを発見しながら、かなり境界を
乗り越えつつあるなと同じ恐怖に襲われるwww。
そういう箇所はよろしくスルーしてね。

168:山崎 渉
03/07/15 09:01

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄

169:吾輩は名無しである
03/07/16 01:58
山崎対策age

170:吾輩は名無しである
03/07/16 13:01
17日18:30~池袋ジュンク堂の若島正氏レクチャー、
誰か行けたらレポート、よろ!

171:吾輩は名無しである
03/07/16 22:01
マルハウス復刊はうれしいなあ


172:吾輩は名無しである
03/07/21 05:12
ミルハウザーのエドインマルハウスは2,200円ってことは
Uブックスでなくてハードカバーですか。

173:吾輩は名無しである
03/07/21 21:54
>>172

この手のハードカバーとしては微妙に安いし
新書版サイズにしては幾ら何でも高すぎる。

新装丁版で登場のヨカーン! ヽ(´ー`)ノ

174:吾輩は名無しである
03/07/22 19:08
ということは国書の廉価版みたいな四六版のソフトカヴァーかな?


175:吾輩は名無しである
03/07/23 01:02
となくると、本棚の飾り用と読書(積読)用と
2冊買わなきゃなんないねぇ(w

176:島田玲司
03/07/23 14:42
掲示板のみなさまはじめまして
友人にここの掲示板のことを聞いて来てみ
ました


177:吾輩は名無しである
03/07/24 20:51
エドウィンようやく復刊ドットコムからメル来たね。すっきりしたカバー。
 URLリンク(www.fukkan.com)

莫言の新刊『白檀の刑』も積んであった。コンスタントに翻訳される作家
なんだな。

178:吾輩は名無しである
03/07/24 21:53
>コンスタントに翻訳される作家なんだな。

ま、大江健三郎が絶賛してるってのも大きいね・・・

179:吾輩は名無しである
03/07/24 23:13
大江健三郎セレクション「文学の王道(正統)」とか何とかシリーズ名つけて、
講談社文芸文庫あたりで出してくれないかな。文庫より、クレストに対抗
意識燃やし四六判フレキシブルバック(並製)でこじゃれた感じにすれば、
売れないことないと思うんだけど…。

リョサ『ラ・カテドラルでの対話』
グラス『ひらめ』か何か
マラムッド『修理屋』か『あたらしい生活』
T・ウルフ『天使よ故郷を見よ』
メイラー『鹿の園』
チーバー『短篇大全』
アップダイク『カップルズ』
フォークナー『野性の棕櫚』
ラウリー『活火山の下で』
マードック『切り取られた首』
M・スパーク『死を忘れるな』

絶版じゃないのもあるのかな? みんな講談社の本じゃないからw、ムリか。
全集の端本とかは本棚の場所喰いだから、やってくれると嬉しい。
企画書作って持ち込むにしても、その前に全部集めなきゃか…。現実味のない話。


 

180:吾輩は名無しである
03/07/24 23:23
そうそう、つけたし。
解説はね、全部オーケンじゃもったりしすぎなので、海外の新進作家と対談
してもらって色をつけます。それにオーケンの思い入れ(自作との関連)を
エッセイにまとめてもらって添えるという方向で。

喜寿記念とか何とか、まだまだ先か…。

181:吾輩は名無しである
03/07/25 00:17
>>179
微妙に渋い選択ね。

リョサ『緑の家』
グラス『ブリキの太鼓』
メイラー『古代の夜』
アップダイク『うさぎモノ』
フォークナー『アブサロム、アブサロム!』
マードック『鐘』
M・スパーク『マンデルバウム・ゲイト』

じゃないのね・・・

182:吾輩は名無しである
03/07/25 10:57
代表作とは限らないのでしょうね、作家が作家に影響を受けるのって…。
「新しい場所へ出ていくという意味で啓示を受けた」「悲嘆について考え
させられた」「女性の造型を通じて男らしくユーモアを表現してみたく
なった」とかツボがあるみたいです。
「大江セレクション」としたのは企画としてのまとまりであり、
手に入りにくくなった名作を手軽に読みたいだけのことです。
遅れてきた読者でない人は、とうに持っているのでしょうがw。

しばらく前に朝日新聞に発表されてきた往復書簡がまとめられ、
グラス、ゴーディマ、リョサ、ソンタグ、鄭義など、ここでも
挙がる興味深い相手が並んでいますが、誰か読んだかな?

183:島田玲司 ◆tr.t4dJfuU
03/07/25 22:38
O・ヘンリーとか読んでる人いませんか?

184:吾輩は名無しである
03/07/26 04:51
>>183

すれ違い

185:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/07/30 23:03
ケルテース出ました、ってことでたまにAGE

186:吾輩は名無しである
03/07/30 23:32
チャック・パラニュークの新刊どうよ?

187:吾輩は名無しである
03/07/31 08:13
アウステルリッツもきのうかな、出たみたい。

188:吾輩は名無しである
03/07/31 20:45
グレック・イーガンも誰か得意な人、解説してケロ。
何から読むとよさそうだ、とか。

189:とーりすがーり
03/08/01 00:07
>アウステルリッツ

立ち読みした感じではなかなか面白そうだったけど、どうっすか?
ピンカーの本買ったのでまあいいかと思い買わなかった。
感想ききたいです。


190:トーリスギャラー
03/08/01 00:23
>>188

早川文庫の90年代傑作選の中の短編なんか

191:吾輩は名無しである
03/08/02 11:41
>>188
イーガンは『宇宙消失』が良いんでない?
そういえば奥泉光も褒めてたとか。

192:無料動画直リン
03/08/02 11:41
URLリンク(homepage.mac.com)

193:吾輩は名無しである
03/08/02 22:53
>>188
短編集が出て盛況のモヨリ
スレリンク(sf板)

194:吾輩は名無しである
03/08/02 23:23
この本、面白そうなんだよね。紹介文はまったくよくないけれど、
未知谷だし―といっても、企画の傾向がいまひとつつかみにくい
良心派出版社。
 URLリンク(www.michitani.com)
ノサックって誰か読んだことある?

さて、アウステル~読むとするか。
おととし自動車事故で死んだと著者紹介で読んで、何かショック。

195:ひまわり
03/08/02 23:45
URLリンク(life.fam.cx)



196:ひまわり
03/08/02 23:48
URLリンク(life.fam.cx)






197:吾輩は名無しである
03/08/03 09:02
しかし、海外文学耽溺人口と、国内エロゲーハァハァ人口と
どっちが多いんだろうね。正直、初心者無視ではどちらも
先細りするしかないような。

198:DEN ◆Wr92gSiYqA
03/08/03 14:22
>>194
ノサックは岩波文庫『死神とのインタヴュー』だけだが読んだことある。
面白い。器用で多才な人だなと思った。

199:194
03/08/03 17:08
>198
ちょうど今、それ買って帰ってきた(イーガン短篇集といっしょに)。
古書店で高い値がついているけれど、去年の暮れに復刊したんだね。
面白いですか。近日中に読んでみます。

その解説にもあるけれど、「アウシュヴィッツのあとにもなお詩を書く
とは野蛮である」と言われたところの世代なのに、ツェラン、グラス、
ハインリヒ・ベルのようには聞かない名前だったから、へえーと思った。
寓話やSF的に戦時下の体験を書いているというのは興味深い。

戦争つながりで、ケルテス『運命ではなく』―すごいね。
一気読みした、久しぶりに。

200:吾輩は名無しである
03/08/04 23:20
>189
過去スレにゼーバルトの話題あり。
URLリンク(book.2ch.net)

『アウステルリッツ』は訳がカタすぎ(そうした意図は分かるが)。
テーマが重い(ドイツだから仕方ないが)。
意識の流れ的なのでじっくり追う必要がある。
しかし、厳然とした独自性があり、読むべき1冊と思いました。

201:吾輩は名無しである
03/08/04 23:23
前スレのミラーに飛ぼうとすると、変なページに
つながるようになった。くわばら、くわばら。

202:吾輩は名無しである
03/08/05 10:51
201ほんとだ。

でも前スレhtml化されているみたい。
URLリンク(book.2ch.net)

203:吾輩は名無しである
03/08/05 22:29
>>202
>前スレhtml化されている

ヽ(´ー`)ノ

204:吾輩は名無しである
03/08/06 12:50
>>194
今年に入って岩波文庫から『死神とのインタビュー』が出たばかり
ですよ>ノサック
戦後ドイツの空気が臭いと思うかいとおしいと思うかで評価が変わるような

205:吾輩は名無しである
03/08/06 13:50
>204
評価のものさし、ありがとうございます。
落手した岩波文庫は2002年12月の6刷で、しばらく品切れののちの
重版再開かと思われます。

ちなみに初版が1987年2月。1977年のノサックの死から10年の経過を
見ている。やはり生前のうちに刊行されることがめったない「古典」
および「古典候補」のための文庫だと意地をまざまざ感じさせられて…w。

カフカの影響下と分析する研究者がいるようで、楽しみに積んでいます。
集英社の全集には、『死神との~』所収の短篇がひとつ、入っている
みたいです。

206:吾輩は名無しである
03/08/07 13:34
マルハウス出たよ。
白水社のサイト更新はまだみたいだけど。

207:吾輩は名無しである
03/08/08 22:17
>>マルハウス

キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!

208:吾輩は名無しである
03/08/09 12:30
イアン・マキューアンとロバート・ゴダードのスレが見当たりませんが、なんでだろう?
過去ログ倉庫に行けばあるのかな?

209:吾輩は名無しである
03/08/14 11:44
マキューアンやゴダードのスレって見たことない。


210:吾輩は名無しである
03/08/15 05:16
マグラアのスレはないですか?

211:吾輩は名無しである
03/08/15 09:27
>209
だれかスレ立ててくんないかなぁ。
好きな人多いと思うのだけれど・・・。

212:山崎 渉
03/08/15 10:07
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン

213:吾輩は名無しである
03/08/15 22:16
ゴダードなんかだとミス板に無いの?

ちょっと浮上

214:吾輩は名無しである
03/08/17 22:39
>>209
>>213

ありましたよん↓

スレリンク(mystery板)l50

215:吾輩は名無しである
03/08/18 12:20
>214 サンクス!

216:吾輩は名無しである
03/08/23 21:40
しびれるサイトを見つけたので、ひとりで見ているともったいない。
貼っとくね。翻訳家の中野善夫さんのページ。
 URLリンク(www010.upp.so-net.ne.jp)

世界の書店のリンクが面白い。カナダにあるハンガリー語専門店、
カリフォルニアのアルメニア本の専門店…一生世話にはならないと
思うけど。

日記がいいな。
「本を注文するのに忙しくて読む暇がない」とか「ダンセイニの本は
2冊ずつ買うことにしている」とか「スタージョンの全集は10年近く
買い続けているのに全く読んでいない。しかし、後悔していない」



217:吾輩は名無しである
03/08/24 13:45
>10年近く買い続けているのに全く読んでいない。
>しかし、後悔していない

なんか力付けられる言葉ね(w

218:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/08/24 17:55
ロシア文学専門のひとにとっては当たり前の話なのかもしれないが、
ビートフって…すごいな、いろんな意味で^^;

まぁ、ソローキン初めて読んだときほどの衝撃はないが、
「文学は終わった」と思わせておいて、きちんと「文学は続く」
といった手法(まぁ、要するにそれは「ポストモダン」の「メタフィクション」
とやらなのかもしれないが、そんな怪しげな用語はどうでもいい)を、
やっぱロシア文学でもこれだけ意識的にやっている人はいたのね。

『プーシキン館』は、ロシア文学の素養があまりない俺には、作中の
作中のさまざまなallusion(と思われるもの)は全て分かるわけではない
が(まぁ、ナボーコフやベールイはいいとして)、とてもまともな作品
であり、この作家がまだ邦訳されてないのはちょっと惜しい。
(ちなみに、俺が読んだのはすばらしい出版社Dalky Archive Press
からでている英訳版)


てことで、ロシア文学専門の人、ここにいたらビートフについて
いろいろ教えてくださいな!

219:吾輩は名無しである
03/08/25 11:46
木曜の夜かな、BSで『オスカーとルシンダ』の映画をやるみたいだね。

220:吾輩は名無しである
03/08/26 20:25
鳴り物入りのキニャール
URLリンク(www.mainichi.co.jp)
邦訳出版された。

221:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/08/30 08:43
たまにあげよう。

レオノーラ・キャリントン『耳ラッパ』!

222:吾輩は名無しである
03/08/30 12:26
イクシオンPDg発見!
キャリントン『耳ラッパ』って月刊ペン社?

223:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/08/30 15:21
いや、工作舎だよ>222さん

URLリンク(www.kousakusha.co.jp)

キャリントンやバロは大好きなのだ(ちょうど渋谷で作品展やってますね
>首都圏在住の方)。


それよりなにより、今読んでるヴィトキェヴィチがすごいぞ。なんで
こんなすごい変人、じゃなくて芸術家が日本ではあまり紹介されて
ないんだ???(とりあえず、あまりに気に入ったから久々に自分のサイトに
長文を書いてしまった…)
ポーランド文学・美術専攻の人、もっとこの芸術家を翻訳・紹介してくれ!!

224:吾輩は名無しである
03/08/30 16:44
>>223
レオノーラ・カリントン『耳らっぱ』は月刊ペン社から昔出てた。

ヴィトキェヴィチを読んでるなんていかしてるね。
その長文どこで読めるの?

225:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/08/30 17:43
へぇ、昔出てたんですね、『耳ラッパ』。しかも月刊ペン
(=妖精文庫、と俺は思ってた…恥)。
じゃあ、最近復刊された、ってことですね。

>ヴィトキェヴィチを読んでるなんていかしてるね。
>その長文どこで読めるの?
うーん、お目汚しになると嫌なんでここに貼りたくないっす^^;

だって、読んでる人はもうとっくの昔から読んでるん
でしょ、ヴィトカツィ。今更読み始めて盛り上がってる
俺って一体、みたいな…。

もしよろしければ、"jacob's mystic heart"で検索掛けて
みてください。ご批判やもっと専門的な話などありましたら
どうぞよろしく。

では。

226:吾輩は名無しである
03/08/30 18:52
つーか、どこをどう辿ってヴィトカツィに流れ着いたのかが気になる

227:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/08/30 19:43
>つーか、どこをどう辿ってヴィトカツィに流れ着いたのかが気になる

1.ケルテース・イムレから辿って、ハンガリー文学をいろいろ読む。
コンラード・ジェルジュ、イエーシュ・ジュラ、そしてエステルハージ・
ペーテル(7月~8月あたり)

2.ペーテルいいね、と思ってうっかり(ここが俺のバカなところ)
『世界文学のフロンティア3 夢のかけら』を買う。もちろん、
ペーテルの「ハーン=ハーン伯爵夫人のまなざし」は、すでに読んで
いた『黄金のブタペスト』に所収されていた。クソウ。

3.そこでわが敬愛する沼野充義先生の読者への案内
「蕩尽された未来の後に」を読む。そこでヴィトキェヴィチの名前を
知る。

4.そういえば、俺の大好きな「ライロニア国物語」を書いた哲学者
レシェク・コワコフスキや、俺の中好きな詩人チェスワフ・ミウォシュ
についての、なんかの英文読んだときにも出てきたぞ、この名前。
と思い出す。

5.アマゾンで注文、今日に至る。

…ていうか、知らないこと多すぎ>俺^^;


228:224 ◆cSCk8wkcVM
03/08/30 20:48
>>225
イクシのWEB拝読。なかなかの力作。
今後時折寄らせてもらおうかな。
昔ヴィトカツィ読んだときはたまげた。
個人的にはゴンブロヴィッチより好き。
世界には未訳のスゴイのがあるなと。
東欧文学おそるべし。
「狂人と尼僧」は忘れがたい作品だね。


229:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/08/31 14:53
そういえば、ガタリが何か書いていたような気がして、
今日は部屋の大掃除<ヴィトカツィ

>未訳のスゴイの
英米圏ならいろいろあるのだが、東欧文学を集中して
読み始めたの最近だからなぁ。そういや、ミウォシュの詩
は前から読んでいたのだが、日本ではまだまとめて訳されて
ないね(まぁ、ミウォシュの詩は好き嫌い分かれるとは思うし、
実は彼の散文の方が優れていると俺個人は考えてる)。
エステルハージ・ペーテルも、もっと翻訳してくれ。『心の助動詞』
なんて、英訳も絶版なんだから…。

あとは…ロシア文学、アンドレイ・ビートフも訳して欲しい。

というわけで、ロシア・東欧文学に強い人、
いろいろ面白い作家教えてください!!

230:吾輩は名無しである
03/08/31 20:00
面白いレスだからageとこうよ。
ロシア・東欧文学の情報こちらもキボーン

231:吾輩は名無しである
03/08/31 23:54
この本は原語からの翻訳で、東欧文学や言語の各研究者が紹介したい作家を
集めたものとして少し話題になった。
 URLリンク(www.michitani.com)
そういう神様たちが降臨するといいね。

ポーランドの詩人って、19世紀人だけどショパンとの絡みでミツキェヴィチの
名前はたまに見る。『バラードとロマンス』がポーランド・ロマン主義の始ま
りという文脈で…。彼の代表作『パン・タデウシュ』はワイダ映画公開で邦訳
出たけど読んでいない。面白そう。

手元に『東欧の民族と文化』っていう本があり、たとえば次のような記述が
あるが、そういう名の作家たちがいるのか…とは思っても、何としてでも
読んでみたいというところには、なかなか行かないな。エリアーデ、カダレ、
あるいはチャペックあたりがまとまって訳されていることだけでも、すごい
ことだと思う。「東欧」という括りすら、その多用な民族・伝統・文化・
言語を考えれば強引なものだという気がする。

[ロマン主義から現代にいたるまで、多くの文学者によって、作品の素材と
して用いられてきたバラード「パニ・パナ・ザビワ(奥方が旦那を危なめた)」
―ワルシャワに始まり、ポーランド及び近隣の国々に広く知られていた
もので、アダム・ミツキェヴィチの「睡蓮(リリイエ)」ほか、レナルト
ヴィチ、カスプロヴィチ、ヴィスピヤンスキ、ガウチンスキらの作品があり
ます―との連関です。このバラードのテーマは妻の夫殺しで、モチーフや
状況はさまざまなのてすが、必ず<犯罪-そのいんめつ工作-証拠の露呈-
処罰>という単純な構成を保つものです]
「連帯」時代の流行歌の一節に触れた記述だが、ここ読んだだけで奥深そう。


232:吾輩は名無しである
03/09/01 12:58
>>231
未知谷の東欧文学アンソロジーは私もチェックしました。
未知谷は国枝史郎といい、エライもの出しますよね。

チャペックは日本でも固定ファンが結構いそう。
エリアーデあたりは出版社は頑張ってると思うけど、
読者受容はこれからという気が。

「東欧」とひと括りするのは強引だけれど
専門でもなければしょうがないでしょうね。
西欧では日本も一般的にはアジア文学として括られるでしょうから‥。

>>229
アンドレイ・ビートフについて逆に教えてください。

233:吾輩は名無しである
03/09/02 23:34
>ロシア・東欧

ぎゃ~ 全然話題について逝けない・・・ 
なんか凄いってんで、図書館で「ロマン」の下巻は見てみたけど・・・
あと、ミロラド・パヴィチとか・・・ (・ω・`)

234: ◆Hd6iVFPOKk
03/09/03 00:06
>>233

235: ◆Hd6iVFPOKk
03/09/03 00:13
>>233(上234ミス失礼)
パヴィチもいいね。「ハザール辞典」「風の裏側」は秀逸。
「紅茶で描かれた風景」とかいうやつは未訳かな?
>>232
エリアーデはいいよね。「ムントゥリャサ通り」ほか傑作多い!
チャペックは結構翻訳がそろってきたよね。
「ロボット」って言葉はチャペックの造語らしいね。

236: ◆Hd6iVFPOKk
03/09/03 01:09
東欧文学に関しては恒文社という出版社が地道に刊行してきてた。
名前の出たゴンブロヴィッチの「コスモス」も結構早く出してたしね。
カフカ「審判」をポーランド語に訳したシュルツとのカップリングだったかで。
ポーランドといえば、ヤン・ポトツキ「サラゴサ手稿」の全訳はどうなったんだろ?
確か工藤幸雄氏が‥。
カリンティ・フェレンツ「エペペ」(ハンガリー)や
ヤン・ヴァイス「迷宮1000」などもメジャー路線から少し外れるけれど
なかなかの幻想的秀作。そのほかムロージェックとかいろいろ。
ドイツでいえば、種村季弘が訳しそうな異色作家ってところかな。

>>231
エリアーデ、カダレ、チャペックの邦訳は確かに充実してる。
あと、ダニロ・キシュの「死者の百科事典」なんかも良かった。
アンソロジー「文学の贈り物」は貴重ですね。

>>229
だいぶ昔に白水社から東欧幻想文学の短篇集があったはず。
雑誌「幻想文学」が一度東欧文学の特集を組んでいた記憶が。
ヴィトキェヴィッチは1930年発刊?だったかの「充たされぬ者」
とかいう本がスゴイ傑作らしいと聞いているけれど、
誰か邦訳してくれないだろうか?
沼野充義氏にこれからも頑張っていただきたい。

237: ◆Hd6iVFPOKk
03/09/03 01:18
それから、これはフランス文学だけど
ジョルジュ・ペレック「さまざまな空間」が出たね。
デリダ「火ここになき灰」といい、
最近こういう縦長の判型が多いのは
狭い書架には困りものだけど‥。


238:吾輩は名無しである
03/09/03 16:37
>236
『エペペ』は確かに、読書好きの人から面白いと上がってくる本ですね。
ヤン・ヴァイスという人は知らなかったな。

ノーベル賞がらみては、ヤロスラフ・サイフェルト(チェコ)…千野栄一氏
あたりが邦訳出している?
旧ユーゴのイボ・アンドリッチは代表作『ドリナの橋』恒文社がまだ大手
書店には並んでいたと思う。どちらもリアリズム系統。

同じくノーベル賞とったカネッティはブルガリア生まれたらしい。
「亡命」ってケースも多いですもんね。
ここではまだ名前が上がってきていないと思ったけど、ゴンクール賞取った
ロシアのアンドレイ・マキーヌ。水声社・作品社あたりが地味~に出して
くれているけど、フランス語で書き始めた人。チェコ、スロバキア、ハン
ガリーあたりも、地理的なことがあるから多少ドイツ語が通じないでも
ないが、インテリはフランス語なんだよって言われたことがある。

スレに関係ないけど、「東欧」って、地理的には確かにその言葉通り
なんだけど、「西欧」と「旧ソ連」との区別、それも政治的含みで
使われてきた用語なので、民族のアイデンティティたる言語、文化を
語るときに、やや抵抗が…。スラブ文学とかマジャール文学とかなんだ
ろうな、現地の人にとっては…みたいな意識です。
「強引」という言葉を、やや乱暴に使ってしまったけど。

239:吾輩は名無しである
03/09/03 20:39
チェコの作家でオタ・パヴェル忘れていた。
千野先生訳の『美しい鹿の死』って良い。
書店でよく見かける手に入りやすい本。

チェコって、大統領のヴァーツラフ(プラハの大通りの名と
同じ)・ハヴェルさんも劇作家だ。
来日したとき、記者会見に向かうところプレスセンター・ビルで
出くわし、ごついSPに「そこ、どいて、どいて」って突き飛ばされ
ムッとした思い出がある。かっこいい大統領に免じて許したw。

240:吾輩は名無しである
03/09/04 07:57
「エペペ」復刊キボーン ヽ(´ー`)ノ

241:吾輩は名無しである
03/09/04 08:31
チェコのサイフェルトは詩人で、訳は数冊出ていましたね(アセ
書店や図書館で題を見かけ素通りしていた本が…。
批判精神というのがノーベル賞受賞理由みたい。

だめだな。分かっている人に教えてもらわないと。

242:吾輩は名無しである
03/09/04 11:36
スロバキアのあるフランシスコ会修道士がシュールレアリスム文学やってたらしいが、
これについて知ってる人いますか?

243:吾輩は名無しである
03/09/04 14:26
>242
いっしょにさがそう。
URLリンク(www5b.biglobe.ne.jp)

244:吾輩は名無しである
03/09/04 19:02
>>242-243
チェコ(orスロバキア)の文学については参考になるかも
URLリンク(www.asahi-net.or.jp)
>>241
ヤロスラフ・サイフェルト(1901-86)  *1984年チェコ初ノーベル文学賞受賞。
1. ヴィ-ナスの腕 詩集 / 桐原書店,1986
2. マミンカ : おかあさん / 恒文社,1989
3. この世の美しきものすべて / 恒文社,1998
4. 新編ヴィーナスの腕 : J・サイフェルト詩集 / 成文社,2000
こんなところで。

245:吾輩は名無しである
03/09/06 09:59
>236に訂正(本を確認、ソーリー)
ヴィトキェヴィッチは1930年発刊の傑作のタイトル
「充たされぬ者」→「充たされえぬ心」

246:吾輩は名無しである
03/09/06 20:21
これは↓もう、皆さんチェックお済みですよね。
 URLリンク(www.trc.co.jp) 

ヴィトキェヴィッチを検索するとJacob'sのBBSがトップでヒットする
ようになった。
これも有名なサイトですが、一応貼っておきます。
 URLリンク(www.slavweb.com)

247:吾輩は名無しである
03/09/06 20:29
ヴィトキェヴィッチでなく、ヴィトカツィの方だ<トップでヒット



248:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/09/07 21:06
げ…嫌だな<トップでヒット 

あの文章消そうかな^^;

ペレック、英訳にはなかった図版がちゃんと収められているから
嬉しかった。

249:吾輩は名無しである
03/09/08 00:48
>>246
URLリンク(www.trc.co.jp)

ミズテリマンガジンでの風間氏のレヴューによると
これ
URLリンク(www.tsogen.co.jp)
より落ちるけど、(・∀・)イイ!!とのこと・・・

250:吾輩は名無しである
03/09/11 12:28
チェコの作家といえばまず「兵士シュヴェイク」のヤロスラフ・ハシェクなわけだが
最近だともうそうでもないのかな。

251:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/09/14 06:26
Witkiewitz, Insatiability買いました。
いつ読めるのかわかりませんが、読んだらまたなんか書きます。

キニャールはなかなかですね。

252:吾輩は名無しである
03/09/14 21:10
先週の毎日書評は読みごたえあります。池内先生も時々見られる気のない
書評じゃないしw、若島先生もいつもながらに要領を押えたシャープな
エリアーデの解説。スタージョンもあるしね。
 URLリンク(www.mainichi.co.jp)
でも、どーなんだろ?
『アウステルリッツ』って何が明らかになっていくのか、人種的なことに
ついては伏せておいてくれた方が親切なような気も…。自分はその情報が
ないまま読んだので印象深く幸いでした。

>ハシェク
そうですよね。243にある「チェコ文学史」のサイトで、第12章「チェコ
スロバキア共和国の社会主義的性格を~」の第3節にも丁寧な解説あり
ますね。しかし、カウンター550程度とはもったいないサイトです。
米国のDalkey Archive Pressなみの来客数ですね(ここの100冊で500$
とかって売り方すごい。日本の顧客で買う人がいるとすれば……)。




253:吾輩は名無しである
03/09/14 21:20
このスレの雰囲気で東欧で面白そうな本というと、沼野先生の書評など集めた
『スラブの真空』に出ていたんだろうな…と思って図書館で確認したら、
ビートフとか紹介されていましたね。でも、同書は古書市場にほとんど
出回っていないみたいで残念。
あと『サラゴサ手稿』などは、同氏の『東欧怪談集』あたりの情報なのかな?
こちらは文庫のくせに3000円の値がついていたから、そのうち図書館で取り
寄せることにする。

10年前の「リテレール」見てたら、沼野先生の現代東欧・ロシア文学
ベスト10が出ていて、結構翻訳が実現されたのだなと感心しました。
以下―

254:吾輩は名無しである
03/09/14 21:41
記事の抜粋

(1)セルビア/パヴィッチ『ハザールの事典』(翻訳中)
(2)チェコ/クンデラ『可笑しな恋』(邦訳『微笑を誘う愛の物語』)
(3)ポーランド/レム『完全な真空』(国書)
(4)ポーランド/コワコフスキ『ライロニア国物語』(未訳)
(5)ロシア/オクジャワ『シーポフの冒険、あるいは今は昔のボードビル』(群像社)
(6)ロシア/ソロコフ『馬鹿のための学校』(未訳)未来と過去が交錯する感性の渦のような世界。
(7)ロシア/ドヴラートフ『わが家の人々』(未訳)
(8)ロシア/シニャフスキー『ちびすけツォレス』(未訳)小品ながら不思議な気品をたたえた痛切な幻想小説。
(9)ロシア/エロフェーエフ『モスクワからペトゥシュキへ』(未訳、一部「現代詩手帖」に訳)孤塁を守って
いる作家の壮絶な「アルコール幻想小説」
(10)ロシア/トルスタヤ『金色の玄関に坐って』(未訳)残酷な現実を描きながら、その現実を光の驟雨の中で
輝かすことのできる文体
番外編(小説以外)
(1)ロシア・アメリカ/ブロツキー『一以下』(未訳)
(2)ポーランド/ミウォシュ『故郷ヨーロッパ』(未訳)

未訳のものが少しずつ日本語で読めるようになっていますよね。

255:漂泊者 ◆CRaxoB3keg
03/09/18 08:34
>>251
レポート期待してる。

>>254
サンクス。

P.S.
創元推理文庫から「東欧SF傑作集」が復刊。

256:吾輩は名無しである
03/09/18 22:33
>>255
創元推理文庫から「ロシア・ソビエトSF傑作集」も復刊したね。
マイナーな作家が多いからあんまり部数は作ってないだろうね。


257:吾輩は名無しである
03/09/19 19:02
『HOOT(ホー)』は水準の高い児童書だね。
真っ青な地に目玉の絵が印象的なカバーの本で、ずっと避けていたけど。

最後の1シーンがあんまり美しいので、原書も立ち読みしてきた。
最後の1行に泣ける本は久しぶりだった。




258:吾輩は名無しである
03/09/21 01:14
「エドウィン・マルハウス」読了。
途中なんだかタルくって、とっとと読み終えたかったけど、ラストでやられた。
しばらく何も読めそうにないや。

259:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/09/21 10:33
板違いだけど、テッド・チャンが訳されたね(ハヤカワSF)。
まぁ、もしかしたらもう新作は書かない(書けない)のかもしれん
けど…(それは悲しい―久しぶりにSFの新作ハードカバーで
買ったのがチャンだから)。
「バビロンの塔」と「ゼロで割る」が好き。

ポール・パークの作品集も訳して欲しいなぁ。イーガンは確かに
すごいが、それ以外の新進SF作家も面白いんだから。

260:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/09/21 10:37
チャンのインタビュー(英語です):
URLリンク(www.sfsite.com)

それとも、この「長編」を書くので忙しいのかな?

まぁ、いずれにしても新作が(ちゃんと出るとしたら)楽しみな
SF作家の1人。

261: ◆CRaxoB3keg
03/09/21 18:50
223-254あたりに名前の出た東欧諸国の作家について補足。
『理想の図書館』では《中部ヨーロッパ文学》という名称で扱われている。
その本の50選でこのスレで出た作家の名が結構入っている。

ちなみにベスト10は(順不同)
①『ボスニア物語』アンドリッチ
②『隕石』チャペック
③『禁断の森』エリアーデ
④『フェルディドゥルケ』ゴンブロヴィッチ
⑤『兵士シュベイクの冒険』ハシェク
⑥『囚われた思考』ミウッシュ
⑦『国境の学校』オトリク(これはどんな作家だろう?)
⑧『肉桂色の店』シュルツ
⑨『移住』ツルニャンスキ(この作家もわからないなあ?)
⑩『秋の別れ』ヴィトキェヴィッチ

>>257
『HOOT(ホー)』は面白そうだね。
>>259
テッド・チャンの情報サンクス。

262:吾輩は名無しである
03/09/21 23:35
>>259

あんたが書いたから在庫切れになっちゃったじゃねぇかヽ(`Д´)ノ

URLリンク(www.amazon.co.jp)

263:吾輩は名無しである
03/09/22 10:10
>>262
もちつけ、ハヤカワ文庫の棚のある規模の書店には積んであるから(w

264:吾輩は名無しである
03/09/22 10:56
>テッド・チャン
カズオ・イシグロにダイエットさせたあとのような顔だ。

265:吾輩は名無しである
03/09/22 11:30
>>264
某SF系日記じゃ若い神林長平とか言われてたけど、物書きの風貌なのかねえ。

266:吾輩は名無しである
03/09/24 13:27
>>258
激しく同意。ちょうど258さんの書き込みを半分くらいのときに目にして
勇気付けられたw。

 つい先程読了。いやはやジェフリー。

267:吾輩は名無しである
03/09/25 20:57
『古井戸』『神樹』の鄭義が来日して大江と対談すると新聞にあった。
「自分のために書く」10月7日18:30~、場所は…プレスセンタービルだ。

268:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/09/26 23:38
馬建『レッドダスト』(集英社)が出ました。

…って、今月もう金がないからまだ買ってないんだけど^^;

269:吾輩は名無しである
03/09/30 19:18
十月末に莫言の自選短篇集が出るみたいね。

270:吾輩は名無しである
03/09/30 22:21
>莫言

最近でた『白檀の刑』は買いですかい?

271:吾輩は名無しである
03/10/01 19:18
年配の男性読書人に固定ファンがついている悪寒<莫言
司馬遼太郎や池波正太郎の穴を埋めるような読み方をされているような…。
ちがう?

272:吾輩は名無しである
03/10/02 21:48
ノーベル賞、J・M・クッツェーだって。
ブッカー賞2回取ったって話題になった人ね。

例のサイトのレヴューです↓
URLリンク(park8.wakwak.com)

273:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/10/02 22:57
順当だよね、今までも候補になってるし。

『敵あるいはフォー』や『マイケル・K』は素晴らしい。
最近のも悪くないけど。

274:吾輩は名無しである
03/10/03 10:51
クッツェーは、尊敬する大作家なので、ちょっと嬉しい。
ノーベル賞の権威を維持するためには、必要な人選ですね。
次は、アトウッドあたりかな?

275:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/10/03 12:16
もしこの機会にクッツェーを読んでみようと思ったら、デフォー
『ロビンソン・クルーソー』を読んでから、クッツェー『敵あるいは
フォー』を読み、さらにトゥルニエ『フライデーあるいは太平洋の
冥界』を読んでみると面白いかも…。

文明や宗教などを組織化していくことについての物語でもある
デフォーの作品(allegoric historyとしての物語の構築)
に対する批判として、クッツェーやトゥルニエは「書くこと」/
「書かれたもの」が秩序を[創り出す」というのはどういうことか、
そして宗教的な教訓(例えば「勤勉であること」)がそうして
創り出されたものの上に成り立っていることを描き出している。

そして、馬建『レッドダスト』もまた、政治による組織化から
外れて遊蕩しながら、その「創り出されたもの」に対する
辛らつな批判を繰り返す。そして馬建も宗教に近づきながら、
それに対する違和感を隠さない。

「自然から都会へ戻り、人の群れと社会に戻っても、お前は
気にしないだろう。なぜならお前も変わったのだから」
(馬建『レッドダスト』上田クミ訳)

276:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/10/03 12:31
そういや、「信仰」を考える、という意味では、テッド・チャンの
「地獄とは神の不在なり」も面白いよね。

宗教が公共的な合意になってしまうとき、信仰はそれに対立する
こともある。前者が単に、他者(もちろん、人間にとっての神もそうだし、
汝の隣人もそうだろう)を巧く包み込んでしまうような、いわば「創出
された伝統」のようになってしまう時、後者は逆にその「他者」が存在
しない(信仰する自分にとってそれが「空白」としてしか認知されない)
ことでひたすら「信じる」ことを続けていく…。


ところで、最近のノーベル文学賞って、受賞者を見ていくと至極まっとう
な「道徳」に則った作家を選んでいるようでありながら(思い出せる限り
ではゴーディマー、モリソン、大江、グラス、高、ナイポール、ケルテース
など)、その実作を見てみるとむしろ道徳の先にある信仰(的な倫理)
に踏み込んでいる作家ばかり。そこまで読み込んで選んでいるのかねぇ。

277:吾輩は名無しである
03/10/03 15:29
イスカンデルの読者はいますか?
『チェゲムのサンドロおじさん』ってのが邦訳であるんだけど。

278:吾輩は名無しである
03/10/03 19:14
>277
国書刊行会のスレ立てた人が…
 スレリンク(book板)l50

279:吾輩は名無しである
03/10/03 19:46
新聞でクッツェーの「恥辱」のあらすじを読んだけど・・・




かなり鬱になるな。

280:吾輩は名無しである
03/10/03 23:19
>>278
何回も立ってる気が・・・

>ノーベル賞
>次は、アトウッドあたりかな?
え、そこまで跳んじゃうの?
それだとラシュディとかイシグロとかハルキ・ムラカミとか
まで入っちゃうよ(w
リョサとかクンデラとか
まだまだ大物がぞろぞろいるじゃん

281:吾輩は名無しである
03/10/04 12:02
スタニスワフ・レムのノーベル賞受賞はまだですか?

282:吾輩は名無しである
03/10/04 17:19
>>278どうもありがとうございます。277です。
まぬけな書き込み申し訳なかったです。スレが上がってたのが運の尽きでした。>>280

ところで、レムはそれほどの作家でしょうか・・・>>281


283:吾輩は名無しである
03/10/04 19:25
レムは十二分にノーベル賞級だとは思うけど、
ボルヘスとかも受賞してないし、
あーゆータイプは無理かもしれないですね。

284:吾輩は名無しである
03/10/04 21:31
J・G・バラードもノーベル賞級といって差し支えないだろうが
SF寄りの作風の人は全然受賞しないからな>ノーベル文学賞

285:吾輩は名無しである
03/10/05 15:47
ゴールディングは?

286:吾輩は名無しである
03/10/05 15:52
アトウッドは長生きしても無理

287:吾輩は名無しである
03/10/05 18:54
>285
1983年にゴールディングは取ってるよ

288:吾輩は名無しである
03/10/05 23:08
クッツェーで植民地差別云々の話が出てきたところで―
一見安っぽい(読むと多義だと分かる)邦題をつけられた『調律師の恋』
The Piano Tunerが良かった。文学的偏差値(こと技巧)で言うと『抱擁』
『贖罪』には敵わないだろうけれど、それらに匹敵する美的感動がある。

西欧人のアジア・アフリカに対する異国趣味に立つ話なので「今さら…」の
設定ではありながら、最近邦訳の出たクレジオ『黄金の魚』、フルミーヌ
『蜜蜂職人』のように物足りなくはない。
『闇の奥』『王道』あるいはモームの『環境の力』をはじめとする一連の作品、
バタイユ『安南』のように、密林という環境(そこに暮らす民族も含め)に取り
込まれ、それまで身につけていた常識や判断に基づく自制を失っていく人間の
様がじっくりと描かれている。一種の狂気のように…。
我々もアジア人でありながら、アジア・アフリカに対する異国情趣というのは
西欧人に近しいものがある。だからその囚われ方、呑み込まれていく過程と
いうのが分かり易いのではないか。

呑み込まれた先の結末は、いつかディーネセンの話が出たとき「詩人」の
最後を表現していた言葉―「暗澹たる美しさ」で、同じように表せられる
ように感じた。しかし、単に審美的なのではない。
『王道』のような力強い昂揚感も伴っており、さすがに男性作家の
くくり方というか、好ましいものだった。


289:吾輩は名無しである
03/10/13 14:13
>>261のリストにあった
「③『禁断の森』エリアーデ」ってどういうやつですか?
邦訳はあるのでしょうか?
エリアーデに詳しい方おしえてください。

290:吾輩は名無しである
03/10/15 22:33
>289
作品社から出てる「妖精たちの夜」のことらしい。
以下は解説からの引用。

 Noaptea de sinziene(スンジエーネの夜)を私たちは「妖精たちの夜」と訳した。
 ギエルム訳のフランス語版の標題『禁断の森』は、原題と無関係ながら、シンボリックな含意がおもしろく、リケッツ訳の英語版にも踏襲された。

ちなみに英語版タイトルはThe Forbidden Forest


291:吾輩は名無しである
03/10/17 17:28
>>280 たしかに、クンデーラは、ノーベル賞をとらないと駄目ですね。
トゥルニエとかも候補なのかな? 

292:星野さん感動をありがとう。さんまvsたけし!踊る大総選挙!
03/10/17 19:05
阪神タイガース優勝バンザーイ!
星野さん感動をありがとう。そして、おつかれさまでした。
落ちこぼれ阪神の優勝は多くの人たちに勇気を与えたと思います。
あらためて、阪神優勝バンザーイ! よーし、次はダイエー相手に日本一や!
でも喜んでる場合やないで~
大阪の景気は超ドン底最悪状態真っ最中!
大阪の選挙の投票率はなんと全国で最下位!(55.69%)
なさけないわ、ほんま。。。
投票率が低いのは社会、経済に対して自発的な努力が無い証拠やで!
(....43京都 44沖縄 45埼玉 46千葉 47大阪)
こんなことで大阪の景気が良くなるわけないやろが!
大阪を変えたいんや!
11月9日の総選挙、投票率を上げようや。 全国一位をねらおうや!
それが無理でも、せめて、 阪神の勝率(62,7%)を超えるぐらいの投票率をめざそうやー!
大阪人よ立ち上がれー!!!
そして、政権交代で日本を変えたいんや!
イメージとパフォーマンスばっかりで
弱者の痛みを無視するような政策ばっかりの小泉政治はもうアカン!
自民党の利益を失うような構造改革を
自民党自身ができるわけないのは誰でもわかる。
もうだまされへんぞー!
大多数の無知な国民をあざむくのもいいかげんにしろー!
自民の自民による自民のための政治はもう終わりにしろー!
11月9日、踊る大総選挙。
政界の明石家さんまこと小泉純一郎と
政界のビートたけしこと菅直人。
さあ、勝つのはどっち!!!?
URLリンク(www2u.biglobe.ne.jp)
若者の投票率はめっちゃ低いねん。
若もんの力で日本を変えようや!!
........................................................

293:吾輩は名無しである
03/10/18 00:35
>>288
『蜜蜂職人』は確かに、どうしようもなく皮相的な書かれ方をされていたアフリカが、
「宝探し」の舞台に名を貸しているだけでしたね。
アフリカとの接触によって自己が大きく変容するわけでもない。

ただ、異界往還という体裁からくる喜びは充分に感じられたように思います。
もし自己の変容について踏み込んだ描写をしていたとしたら、
異界に現実感を与える結果ともなってしまい、
ずいぶん違った作品になっていたろうと予想できます。

この喜びは、民俗誌的読みものやルポルタージュなどを読む際には
おおいに警戒してしかるべきものです。
しかし、マルドリュス版の『千夜一夜』やマンドヴィルの『東方旅行記』などをふまえて、
異界と触れる喜びだけを追求するナイーブな伝統、みたいなものがあってもいいと思います。
内向きかつ暴力的な伝統なので、あまりほめられたものではないかも知れませんが。

また、前にも書きましたが、そういった異界がマルセイユのかなた、
地中海の向こう側であるのがまたなんともフランス人らしくて興味深かったです。

294:吾輩は名無しである
03/10/18 09:56
>>290
ありがとうございます。
『妖精たちの夜』手に入れてみたいと思います。

295:吾輩は名無しである
03/10/26 01:43
定期保守サービス(w

296:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/10/26 08:46
『ケリー・ギャングの真実の歴史』出ました。是非。

297:吾輩は名無しである
03/10/26 10:30
岩波文庫からブルガーコフの『悪魔物語・運命の卵』出ましたね。
この際『犬の心臓』も出してほしいなあ(←古書高すぎ)。

298:吾輩は名無しである
03/10/28 01:22
>>296

今月のミステリマガジンにレヴュー出てました。
これでピーター・ケアリーは2度目のブッカー賞取ったということで、
クッツェーじゃないけど、>>280 のクラスでは、
一番ノベ賞に近いのかも(w
オーストラリアの作家ってのもポイント高そう・・・

299:吾輩は名無しである
03/10/29 21:53
定期あげ(w

300:吾輩は名無しである
03/10/29 22:32
スレッド違いかと思うんですが、聞かせてください。
「レ・ミゼラブル」を読みたいと思っているんですが、
普段あまり本を読まないので、出来るだけ難しい言葉を使っていない、
初心者でも読めるようなのは、どこの出版社のだと思いますか?

新潮文庫のがいいって聞いたんですが、どう思いますか?
いろいろな人が訳をしているので、どれを選んでいいか迷っています。
アドバイスお願いします。

301:吾輩は名無しである
03/10/31 12:23
>>300
みなもと太郎のやつがいい。

302:吾輩は名無しである
03/10/31 21:54
>293
「異文化(異界)との接触~自己の変容~往きて還りし(往きて滅びる)
物語」というのは、植民地ものに限らずオデュッセイア以来、
物語の主流を占める展開パターンで、そのどこが強調されて
いるか、どのような内容を盛り込むか、読んだ本を分析するのは
面白いものですね。

>異界と触れる喜びだけを追求するナイーブな伝統、みたいなものが
>あってもいいと思います。
>内向きかつ暴力的な伝統なので、あまりほめられたものではないかも
>知れませんが。

ビュトールの『即興演奏』読んだら、植民地統治を失った戦後の
フランスという切り口でも書かれていて、若い作家から相変らず
そういうのが出てくるのってネオ国粋主義かも…と考えたりなど
した。『即興~』は啓発されるものが多い読み応えある本でした。

『レッドダスト』はあきてきてしまって、還れそうにないやw。
高行健の『霊山』は、中途でこれまた放り出した『ある男の聖書』
よりは面白そうに感じるけど、これは往きて滅びるパターンでしょ?



303:梵葉豪豪豪
03/11/01 08:49
>300
鹿島茂曰く、
「仏文学者でレ・ミゼラブルを完読した者は、国文学者で大菩薩峠を読破した者
より少ない……」
アメコミ並の怪力ヒーロー、ジャン・バル・ジャンが繰り広げる痛快アクション
巨編だ(いやマジで)。
どうにも長すぎるんで、店頭で比べ読みするのを勧める。
角川版の『ダロウェイ夫人』を勧める香具師もいやがるし、他人の意見はあてに
ならんっちゃ。

(ドン・キホーテなら、牛島訳が決定版だがなあ!!)

304:吾輩は名無しである
03/11/02 05:09
レッドダスト買いました。
莫言とどっち買うか迷ったけど、若さに曳かれて。
しかし、中国は国外に才人が多いんだね。

305:吾輩は名無しである
03/11/05 14:18
ドラウパディー(モハッシェタ・デビ)あげ

306:吾輩は名無しである
03/11/06 13:19
マグラア『愛という名の病Dr.Haggard's Disease』
またしてもフェイド・アウトの最終行にやられた。
あの語りの自己陶酔感はシェイクスピア的だなと今回初めて思った。

それにしても、「入手不可」の『グロテスク』をどうして
巻末広告に入れるのだ、河出?

307:吾輩は名無しである
03/11/08 22:47
もう年内はこれといった翻訳もの無さそうね・・・ (´・ω・`)

308:吾輩は名無しである
03/11/11 11:42
スタージョンの傑作集が河出から来るみたいだね<年内
きっとまだある。

台湾の高地の少数民族の文学シリーズなんかも地味に出されている。

309:吾輩は名無しである
03/11/11 21:53
>>スタージョンの傑作集

それはちょっと渋過ぎ・・・(w

310:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/11/13 08:10
ナボコフ『青白い炎』発売。

いろいろな誤訳がきちんと直っている(冒頭のメリーゴーランドに関する部分
からして「あ、きちんと直してくれてるなぁ」という感じが伝わってくる)のだが、
まだいくつか残っているような気がする。細かいものばかりだけど。

それよりも、「文庫ではきちんと直してくれるだろうなぁ、若島氏が訳の点検に
参加していることだし」と思っていた、索引のあいうえお順(!!)の配列が、
やっぱり文庫でも踏襲されていて残念。

Zembla, a distant northern land

の一言で閉じられるから、この作品は完璧になるのに…本当に残念。

まぁ、余計な手間が掛かるし日本語だから、というのは分からんでもないが、
ナボコフ訳のオネーギン冒頭にある、ナボコフ自身の「翻訳」に対する考え方
からしても、これは大きな「誤訳」に属するものだと思うんだけどなぁ。

311:吾輩は名無しである
03/11/13 20:37
来月、ノーベル効果で『夷狄を待ちながら』が文庫化するね。
『フォー』は素晴らしかったから『マイクルK』も復刊してほしい。

312:吾輩は名無しである
03/11/13 22:33
>ナボコフ『青白い炎』

おお、文庫化ですか!

しかし話変わるけど、
昔は「ユリシーズ」なんか岩波文庫で出てたんだよね(w

313:吾輩は名無しである
03/11/13 23:21
莫言『赤いコーリャン』が岩波現代文庫から来月出るね。
翻訳文庫ブーム。
中公のセリーヌも復刊するし

314:吾輩は名無しである
03/11/14 00:55
青白い炎、夷狄、高粱………ixion効果か?

315:吾輩は名無しである
03/11/14 20:19
「赤い高粱」早くよみたい。
「豊乳肥臀」は確かに面白かった。母親のキャラにノックアウトされた。
「酒国」はポストモダン風で遊び心満載なんだが、オレにはそれほど来なかった。
「中国の村から」はまあまあ。
マルケスと言われるみたいだけど、スティーヴ・エリクソンの方が近いような気がする。


316:吾輩は名無しである
03/11/15 00:01
>>314

夷狄、高粱はともかく、
青白い炎はixion氏が生まれる前から
この手の必読書として有名よん。
ただ筑摩世界文学大系の1冊ってのが痛かった。
(高い、デカイ、3段組で読みにくい)

他に同様な環境にあるものとしては
オブライエンの「第三の警官」が有名(w

317:吾輩は名無しである
03/11/15 11:53
「青白い炎」文庫買った。うーん、不思議な気持ち。
数年前図書館取り寄せで借りて一度は読んでいるが、
その後ほとんど幻の書状態だったもんなあ。待った甲斐があったよ。
さあ読むぞ~!!

318:吾輩は名無しである
03/11/15 12:22
「第三の警官」もよみたい。
マグナス・ミルズが一番好きな作品らしい。オリエント急行の解説にあった。

319:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/11/15 12:37
しかし、筑摩文学大系からちくま文庫に移せるのなら、素晴らしい作品が
いくつもあるよなぁ。『第三の警官』『スウィム・トゥー・バーズにて』もそうだし、
コンラッドの『ノストローモ』なんかもそうだ。

オブライエンはいつか出るだろうけど、コンラッドもよろしく!! >ちくま文庫様


ところで、高行健『霊山』は、なんというか《思い切りの良い》作品だね。
内容が、というのじゃなくて、その創作姿勢が。洗練からは程遠いが、
しかし粗野や粗暴ともまた違う。小説ってのは言葉を「置く」のではなくて、
何らかの内発的な「ドライブ」が必要なんだけど、そのドライブが
過剰に、そして悦ばしく溢れている作品が『霊山』だと思う。まぁ、
その出口は…ではあるが。

でも、『ある男の聖書』もそうだったけど、妙に感傷的になったり繊細に
書いたりしているところがあるのは、この作家の《弱み》なのかもしれない
し、またそこがちょっと面白かったりする、かな。

320:吾輩は名無しである
03/11/15 14:27
『シルトの岸辺』なんて、集英社の文学全集からもってきて
いるしね<ちくま文庫
まだ読みさしだけれど、確かに濃密な香気がただよってて
すごいな、これ。上質のブランデー飲みすぎたみたいに
くらくらする。

コンラッドは八月舎というところから選集の企画があって、
皮切りとして『オルメイヤーの阿房宮』が出たばかり。
文庫じゃないけど。

321:320
03/11/15 14:31
『霊山』では、やはり「潔いな、この人」という印象を受けた。
匕首で自分を切りつけていくような言葉の連なり数ヶ所に、その潔さを
感じた。自己希求って難しいテーマで、やりすぎると神経症的な
痛々しさがあるし、スポイルすれば安易な堕落に陥る。
でも、高行健の場合、自己希求に限らず、すべてがニュートラルで
バランスが良いせいか、安心してその問い詰めを読んでいられる。
ニュートラルだから「洗練」とは異なるけれど、個人的には
それこそが洗練だよという気がしている。

「ドライブ感」というのは、自分の場合も小説を評価するときの指標の
ひとつにしているけど、上滑りしない(ここもニュートラルな)昂揚感が
心地よかった。爆風的な昂揚でなく、何というか、端正なスパイラル状の
昂揚…かな?

「小説が哲学と異なるのは、それが感性から生まれることだ。気ままに考案
された信号を欲望の溶液の中に浸透させると、いつの日か、これが予定通り
に細胞となり命が生まれる。その誕生と成長を見守るのは、知的ゲーム
(哲学)よりさらに面白い。だが生命と同じように、最終的な目標はないの
だった」(338P/()は、本文になし)
この記述が、あの小説の出口も説明しているように思う。
このように小説を説明しながら、あと1冊書こうが書くまいがどっちでも
いいというようなことも語り手に言わせており、そういうところが潔い。

この人、たぶん『レッドダスト』の馬建よりモテるだろーなーw。


322:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/11/16 04:13
>320さん

「潔い」かぁ、なるほどね。男と女、に関しては上で書いたように
あんま潔いとは思えんのだが、でも「端正なスパイラル状の高揚」
って表現は確かに分からんでもない。俺は一読したところ
そんなに「端正」だとも思わなくて、とにかく、表現したい、という
ドライブに導かれて書いているなぁ、と感じた。

出口に関しては320さんが引用された箇所もそうだし、
「有れども回(かえ)り、無けれども回る」(p.514)
という一節でもハッキリしている。ただ、馬建『レッドダスト』とは
明らかに違う着地点でしょ?で、俺としては『レッドダスト』の方が
むしろ「潔い」着地を見せているように思えるんだけど、どう?

ところで、

>307 名前:吾輩は名無しである[sage] 投稿日:03/11/08 22:47
>もう年内はこれといった翻訳もの無さそうね・・・ (´・ω・`)

ショボーンしてないで、予定通りなら最後の決め、
『エリアーデ幻想小説全集 第2巻』
が12月に出るはずです!!! …予定よりずい分遅れたけどね^^;

323:320
03/11/16 17:29
白水社ほか復刊ラッシュなので、国書の発刊延期やエリアーデの
遅れは、むしろありがたいかも…。法政大出版局がこそっと『ムントゥ
リャサ通りで』をカバーデザイン変えて再刊しましたね。けど、具象に
しないでほしかった気もする表紙装画。

>ix氏
『レッドダスト』は漂泊について書かれた旅行記であるから、旅の果て
としてあのような出口を描いた。『霊山』は物語小説であり、尚且つ
「人生」を焼き付けたものだから、あのようなフェイドアウトにした
―という差異は意識してもいいのではないかと思う。

漂泊にどこでピリオドを打つかというのは、自分が納得できる「旅の果て」
を見極めることであり、その意味で馬建の旅行記は沢木耕太郎(高行健より
さらにモテそうw)の『深夜特急』にも雰囲気が似ている。
ただ、宗教への決別が潔い印象を残すのは確か。
「どのような宗教であれ、結局は自己の救済だけが目的だ。
万人を救うことはできない」(281P)
このような表現が出てきたので、読み通した甲斐はあったかな
(小人は人と争い、賢人は時間と争う…とかいう言葉も残っている)。

324:320
03/11/16 17:50
ただ、馬建とほぼ同時期(文革が鄧小平によって軌道修正され解放へ
向かったころ)に、高行健がガンの宣告を受けながら、やはり中国国内を
漂泊していたという事実は大変に興味深い。
ある意味、高行健の漂泊はヨーロッパまでつづいた。パリという「定点」
に落ち着くまで…。しかし、彼にとっての本当の漂泊は、そこから
始まったのではないだろうか。
自分の体験に読んだ小説の世界を引き寄せて考えるのは芳しいことでは
ないだろうが(しかし、これは評論ではないゆえ)、場所から場所への
漂泊を経て定点に落ち着いたとき、じっくり自分を掘り下げられると
いうことには深い共感がある。それは果てのない漂泊だ。

325:320
03/11/16 17:52
二者の著作には、段階的な差があるという言い方も可能だろう。
馬建は若いということもあるが、まだ定点からの小説という段階には
達していない。人生の仮住まいであった漂泊について書いたあとで、
今度はどのような物語世界を構築し、何を書いていくかはこれからの
ことなのだろう。
しかし、『霊山』の結末が「潔さ」に至っていないのは、まさに彼の
誠実を証左するもので、人生に答はなく、彼は依然手探りの模索を
つづけている。
そして、高行健の描く女性は、告白されているように作家自分の分身
でしかない。自分を深めるための道具でしかない。自己希求をテーマに
小説を描く人にとって、恋愛自体はもはやどうあっても構わないの
だろう。男女をそれぞれどう描くか、愛がどうの、関係がどうのという
域を越え、女性はもはや自身の鏡像でしかなくなっている。
むろん恋愛というものはひとつの極限であり、恐怖や絶望に追いつめ
られるホラーや収容所の記録などと同様、自己の根源を問われる設定
ではある。でも、高行健の興味は(ジコチューということではなく)
自分の「底」へしか向いていない。
「端正」という言葉は妥当な表現でなく、「混沌ではない」という
状態を表すのに適語が見つけられなかっただけだが、この作家の求める
ところはベクトルがものすごくクリアで気持ちが良い。

…ゲロ、長い。戯曲は読んだの?

326:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/11/16 20:52
>320さん

 なるほど。俺は「宗教」に対して「自己の潔さ」を対置していたから
前述のような読み方になったのだが、探求の姿勢についての
「潔さ」であれば、高行健の方がより深く突いているとも考えられるね。
構成的にスッキリしている/してない、ということじゃなくて、言葉が
自分を「確かめる」方に向かうか、それとも「確かではではないのだと
確かめる」方に向かうか、という違いなんだろうね。

 確かに『ある男の聖書』よりもこの作品のほうが、「底」に向かう力強さ
を感じさせる。ただ、だからこそあの「終り方」に何か釈然としないもの
も残ったんだよね。いや、小さなカエルに託したあの「一言」、を
どう受け取って良いのか戸惑ってしまう読み手としての俺自身の
問題なんだろうけど…。

 戯曲は「逃亡」しか読んでない(英訳戯曲集が手元にはあるのだが^^;)。
それを先に読んでるから、高行健の男と女の描き方について先入観、
というかちょっとした反感を持っているのかもしれないなぁ。

320さん、他の戯曲も読んでいたらぜひ紹介してください。

327:320
03/11/17 14:13
325の書き込み、文脈がぼろぼろで鬱…ちょっと拝借^^; ^^; ^^;

>ix氏
戯曲はこれから読みたいと思っています。
欧州で上演される『八月雪Snow in August』あたり、ix氏が英訳で
読んでいないかと思ったの。ゴドーを意識した『バス停』も興味
あるが、高行健作品はやはり、長江流域放浪後を読んでみたい。
『八月雪』もそうだけど、『山海経伝』のように古い中国に素材を
求めたものに惹かれる。例の「土地の霊性」を帯びる、という意味
において…。放浪は、おそらくこの作家にそれをもたらしたの
ではないだろうか。

『霊山』の最後の章、同じ感動を共有したい、説得したいという気は
ないけれど、『ある男の聖書』カバーにも引かれた「おまえは、おまえ
自身の神であり、使徒でもある」という言葉が鍵だと思う。
つまり、カエルもそれに降臨した神も、先述の女性のように己の
鏡像でしかない。だからこれは決して宗教に寄ったのではなく、ノー
ベル賞講演の内容の通り「独りごと」にすぎない。ぼやくように、
詰問するように、潔く言い放つように…どれも「問わず語り」でしかない。
その孤高的なものに吸い寄せられる。

328:320
03/11/17 14:16
中国語で書かれたものの翻訳を日本人が読むことの喜びを二つ感じた。
ひとつは「漢字」が読める喜び。
The story is based on the life of the legendary Huineng
(AD 633-713), the Sixth Patriarch of Zen Buddhism
in Tang Dynasty China.(米国アマゾンのSnow in August説明より)
こんな文章ピンとこないけど、「唐代の禅僧慧能の伝記物語」と
書いておいてくれれば、さーっとイメージが広がる。私たちの教養の基礎は
漢語なのだ。
もうひとつ、上のカエルでもそうだが、万物に霊が宿るという道教的、
仏教的な考え。

外出先から戻り、ホトトギス、すみれなど白や薄紫、薄桃の花々の
中にあって、山茶花の木に凛と一輪、紅い花が咲いているのを見つけた。
冬を迎える精がそこに宿ったのだとはっとさせられた。
風の吹く公園。本を抱え、がさがさ音を立てる落ち葉を踏みしめて
いくとき、その音に、逝く季節への弔意を感ずる。
ものに宿る霊性は、ごく自然に感得できる。

感性から生まれるのが小説だという高行建の主張もまた、そのような
考えの延長線上にあるのだろう。しかし、この人の残酷なところは、
文章による自己表現を止めてしまう可能性もあることだ。『霊山』の
表紙装画の筆さばきにぞっとさせられたが、高行健には別の表現手段も
あるわけだ。あと何冊の小説を出してもらえるのか、読者としては
心もとない。正直、戯曲より、画集の方がほしい気もしているのだけれど。

329:吾輩は名無しである
03/11/18 13:02
「霊山」の最後の章、お二方の読みと違う感想を持ったので書きます。
まず、彼はなぜ主人公格の人間が全て作者の分身でしかないという語りをえらんだのか、それはやむにやまれぬものであると思われます。
現実に他の、誰でもいいけれど作家の登場人物は作者の分身ではないのでしょうか?
枠物語という形をとるにしても、ノンフィクションの形式をとるにしても、はては先行するテキストを取り入れたメタフィクションですら、
作者が自分の経験から作為的に切り取ってテキストとして提出した以上、それは作者の産物であり、言うなれば作者に縛り付けられた存在となってしまうと思います。
ミーハーで申し訳ないですが、クッツェーやイムレ、グラスなどもそれぞれの手段でこの問題を克服しようとしていると思います。
登場人物が作者の分身であると告白していても、書かれたテクストにあっては出来上がった形、つまり物語りは変わらないのではないのでしょうか?

長くなりましたが、あの小説のなかの全てはそのとおり自己内部の独り言(モノローグ)に過ぎない。
そして、81章の蛙は、他者そのものだと思う。ゆえに彼は「神」とは意思疎通ができない。
あの小説の中で、蛙は唯一作者に干渉できないものとして残されている。
高行建はあのような形で最終章によって他者の不可能性の強調をもって、いわば消極的に他者を描写した、などという感想を持ちました。
ホント長くてすみません

330:320
03/11/18 17:59
>ホント長くてすみません
これ、イヤミw?

『青白い炎』を読み通すのがもったいなく、「前書き」を終えたところで
後味が薄くなるまで待とう、ゆっくり読もうと故意に読みさしにしている。
その短い文章のなかにも、すでにして、しびれまくっている部分がある。
「わたしは、ブリーフケースに入れて持参した果物をすでに食べ終えて
いたものだから、上等なエール一本だけで十分ですと言ってしまった。
屈託がなく気取らないわたしの態度が皆をくつろがせた」(19P)

厳格な菜食主義だからと、招かれた食事会でこの態度―周囲が鼻白み
ながら微笑をとりつくろっていることは見え見えなわけで、この作家の
韜晦と冗談のきつさがとても面白く出た部分だと楽しい。
「独りごと」という某作家のスタイルを意識しつつ、こういう掲示板に
とうとうたら~りと書き込みをしていく行為にオーバーラップさせている。


331:320
03/11/18 18:04
>329さん
喚起されるものが幾つかあったので、文脈について細かい突っ込みは
しませんがw(論点読み取るのに時間かかっただよ)、私の場合は、
「独白」だから「物語」として不足だという指摘はしていません。
論文じゃないので、「独りごとに過ぎない。問わず語りに過ぎない」と
書いていても、それは問題提起ではないです。行間ににじむものを読み
取ってもらうほどの力量がないから誤解されたのかもしれないが、この
いささか感傷に流れた説明で言いたかったことは、しつこいけれども
やはり高行健の「潔さ」です。
メタとか様々な実験の重視で物語の枠を越えようとして文学としての存在を
知らしめるのではなく、「物語とは独りごとにすぎない」と断ったあとで、
文学の内部へ向けて勢いよく加速してドライブしていく感じが私は好きです。
そのドライブというのが「やむにやまれないもの」と同一と解釈すれば
いいのかな。すなわち書かずにはいられない衝動。
『霊山』には実験的な要素がまったくないわけではないが、このベクトルへ
向けてのドライブ感が、それらを圧倒しているように思える。
…それがあなたの書かれた1パラグラフめへ向けての感想。

つづいて、2パラグラフめへ向けての感想。
「他者の不可能性」というタームは刺激があった。これは、埴谷雄高の概念を
意識すればいいのかと勝手に解釈した上で、しかし、「不可能性」は書かれる
対象としての「自己」、ひいては「人間存在すべて」の特徴ではないかと
指摘しておきたい。
人間存在の根源という不可能性に向かうとき、自己も他者も、もうないんじゃ
ないかと思う。私はむしろ「積極的に」その不可能性について言及したのが
あの章なのだろうと捉えました。

332:329
03/11/20 15:04
実験の合間だったもんで、ほんと文章でたらめですね… 
言いたいことはほぼ2パラグラフめでした。できたら前半忘れてください。
探求の姿勢についての「潔さ」は僕も同意見です。

古いので恐縮ですが、蓮貫重彦の「物語批判序説」に表明されているように、
一時期の欧米文学って語るためには様々な複雑なナラティブや形式を取らざるを得ないという、
脅迫観念みたようなものがあり、物語構造は(自覚的に)破壊されていたような気がします。
(今でも例えば紙葉の家とか)
僕は探求を進めるならば必ず語りの問題には立ち入らざるを得ないと思ってます。
意識において自己も他者も区別できないのだとしても、「語る」というフィルターを通すならその区別は生じてしまう。
「読む」「読まれる」、「見る」「見られる」関係は対称的でも、「語る」「語られる」という関係は非対称である。
であるならば「他者」は消極的にしか描写し得ない。
そのような場において文学はいかに振舞うべきか。ってのが今の僕の興味です。(またすぐかわるでしょうけど)

埴谷雄高大好きです。特に矢場徹吾。彼には語らずに済ませるか、
「敵あるいはフォー」におけるフライデーの役割をしてほしかった。
それは上記のまさに形式自体に企みを仕込もうとするメタフィクショナルな手法です。
しかし最新作の「恥辱」においてはあらゆる実験的要素を排し、なお自己と他者の
絶対的断絶を表さんとしている。
この点は僕には高行健とJ.M.クッツェは同じ意味で潔く感じさせます。
僕にとって「他者」である320さんの意図は、「推し量る」しか不可能ですが、
ベクトルの向きは近いんじゃないでしょうか。

僕はその視点から出発したので、他者を「書く」ことの不可能性と物語への衝動を、
同時に達成しようとするためのひとつの鍵があの語りであり、
最終章はそれを閉じるためのもうひとつの鍵であると思ったわけです。

320さんへの皮肉などという意図はまったくありませんでした。不快に感じられていたら申し訳ありません。
ていうか拙い文の意図汲み取って下さって感謝します。

333:吾輩は名無しである
03/11/20 15:34
伝説のネットアイドル、テルミを超えたツルツル頭のナイスガイ、鳴り物入りで衝撃のデビュー
ついに2典に暫定掲載!!!2ch新語誕生

★アホと一言言われただけで数百レスの自作自演で連日煽りっぱなし★
「鼻脂千右衛門時貞後の43」というコテハンが、過去スレで「能無し」みたいな事を一言言われただけで激怒
連日、自作自演で「バカはお前」「激同」と煽り続けてる。自演丸出しなので、通りすがりの人が呆れ様に書き込むと「43に煽られた奴キター」と、全部同一人物と妄想し更に煽る。
毎晩徹夜で自作自演。 通りすがりに一言43を煽ると、数時間後、恐ろしく(レス数も執念も)反論がついてます。
学校や仕事に出掛ける前に、一言煽って出掛けると、帰宅時に自分がどれだけ煽られてるか、スレを開いてみるのが楽しいかもしれません。
ミニゲームとして楽しむスレです。 現在新展開、なんと43は
「 稚 拙 」を「 せ っ し ゃ 」 と 読 む と 思 っ て た 事 が 発 覚。
伝説の目撃者達は43を神厨と崇め、とうとう2ch公式用語辞典に正式に「稚拙(せっしゃ)」が依頼され、
ついに2典に暫定掲載。2ch語「拙者」が誕生。FLASHも製作中の神光臨の噂も。
追いつめられた「鼻脂千右衛門時貞後の43」は、板違いのスレッドを立て仲間を呼び込もうとするが
最後の希望の星となったそのスレッドさえも、削除人さんに即刻削除されてしまい、更に恥をかくハメに。
「鼻脂千右衛門時貞後の43」の立場はますますどん底へ、彼の運命やいかに?!
連日祭は盛り上がる一方、スレは毎回あっと言う間に1000へまで
スレリンク(hage板)
伝説の瞬間
URLリンク(202.212.233.95)

334:320
03/11/21 17:42
>329さん
1冊の文学作品について他者と掘り下げる機会などなかなか持てないので、
楽しかったです。どうもありがとうございます(もちろんix氏にも…)。

結果として「文学」と呼ばれる作品に興味惹かれている気はしますが、
技法による分類やらどこへ向かうかやらは、ほんと言うとあまり気に
かけていないです。読んでいる本も、つけてもらえるレスも「鏡像」
かもしれないと思う。「自己探求」でなく「自己希求」のため、
自分に都合よく解釈していますから。

クッツェーは『恥辱』『~フォー』だけ読んだ印象では、対象がもっと
「社会」に寄っている印象。「立場」に意識的な作家という気がします。

335:吾輩は名無しである
03/11/22 00:45
<文学の冒険>シリーズ 来春以降刊行予定

『フリアとシナリオライター』バルガス=リョサ/野谷
文昭訳 
『ハードライフ』フラン・オブライエン/大澤正佳訳 
『パラディソ』ホセ・レサマ=リマ/旦敬介訳
『トランスアトランティック』ヴィトルド・ゴンブロヴ
ィッチ/西成彦訳


『フリア』はどんどんのびるな。
ま、これまで待たされたんだから、のんびりと(まだまだ)待つかな。

336:吾輩は名無しである
03/11/23 00:17
>>335

うん、待ちだしてから、かれこれ15年は経つね(w

337:吾輩は名無しである
03/11/23 09:54
国書のもので予告から発売まで最も時間がかかったのはなんでしょうか?
企画自体がポシャったのを別にすれば「重力の虹」でしょうか?これは
たしか20年くらいかかってますよね。

338:吾輩は名無しである
03/11/23 15:26
『フリア』は具体的な発売日まで決まっていたのになぁ。
探し回っちゃったよ。

339:吾輩は名無しである
03/11/25 00:24
>>337

え、そうだったの?
文学の冒険シリーズの第一回配本じゃなかったっけ?

ただ早川書房が長いこと翻訳権もってたって話は
読んだことある。
(それを手放したんで無事国書から刊行ヽ(´ー`)ノ)

340:吾輩は名無しである
03/11/27 10:41
文学の冒険より、ハイチ作家短篇集『月光浴』発売。予定にあったっけ?
フリア~はまた延期らしい。

あと、今年はもうめぼしいの無いとかしょげてた香具師、カーシュ出たから買え。

341:吾輩は名無しである
03/11/28 23:50
( ・e・) <カーシュって何?

342:吾輩は名無しである
03/11/29 07:30
ジェラルド・カーシュの新刊『廃墟の歌声』(晶文社)
既刊に『壜の中の手記』(晶文社)

343:341
03/11/29 22:16
>>342

サンクス!
これね ヽ(´ー`)ノ
URLリンク(www1.speednet.ne.jp)

344:吾輩は名無しである
03/11/30 15:26
柴田訳でPearsonのOff the Sweet Hereafterが出たな。
復刊されたヒューズの『ジャマイカの烈風』は結構おもしろかった。


345:吾輩は名無しである
03/12/01 00:33
今更気づいたのはおいらだけかもしんないけど
今月のSFマガジン、レム特集じゃん(w

邦訳リストみると、
今にして思えばあの時買っておけば良かったと
後悔する作品がすらり・・・
国書で全集予定されてるからいいけど、
現状じゃ、ソラリスと国書の二冊以外は
入手難ね・・・

346:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/12/01 00:36
レムのインタビュー、面白いよね。でも、「実のところレムはたいして
科学雑誌を読んでいない」ってなロッテンシュタイナーの小論が
面白かった。

英訳ならなんとか手に入るものもあるけど、やっぱり絶版も多いん
だよねぇ…。

347:吾輩は名無しである
03/12/07 23:19
New York times notable books 2003を見てたんですけど、
見落としていたというか、でてたの知らなかった作品があったり、
まったく存在すら知らない作家の名をたくさん知ったり(まあ、これは
いつもの事ですが)で結構たのしいですよ。
年末、新年にかけて何を読もうかと考えている方、一度チェックしておいた方が
いいかも。

348:吾輩は名無しである
03/12/13 19:47
チャペックがらみで奇特な新刊
現代文学ではないけれども…
 URLリンク(www.michitani.com)

349:スナフキン
03/12/14 11:44
>348
サンクス。未知谷さん渋いとこ突いてくるね。


350:吾輩は名無しである
03/12/14 22:55
>>348

渋すぎぃ

351:スナフキン
03/12/14 23:52
ヤン・ネルダの名前どっかで見たと思ったら
沼野充義編の『東欧怪談集』(河出文庫)だった。
ポトツキ、ムロージェック、コワコフスキ、チャペック、アンドリッチパヴィチ
パヴィチ、エリアーデ、ダニロ・キシュ、カリンティ・フリジェシュらが入ってた。

352:ixion ◆ySh2j8IPDg
03/12/22 14:26
『閉ざされた城の中で語る英吉利人』が中公文庫から出ました。
サン・トワ・マミー、サン=コワ=ド=ヴィ!!!


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