03/12/22 08:08
しかし……だ。
乱歩が初期の短編みたいなのだけを残していたなら、
日下三蔵氏に作品集を編んでもらう作家になっていたかもしれない。
『蜘蛛男』に始まる通俗物を書いたからこその大作家・乱歩であり、
少年探偵団シリーズを書かなければ、こんなに読み継がれはしなかったろう。
でもって、海外作品の紹介や新人発掘をしたからこそ、ここまで偉大な神になれたわけだが、
それも「陰獣」とか「パノラマ島奇談」の妖しい輝きがなかったら、ただの文壇ボスに終わっていた。
つくづく不思議な作家だと思う。