03/06/25 12:56
>>5の指摘は正しいけど、「美しい星」に限らず、三島先生の多くの作品の底流にある
基本思想だと思う。しかし、はまるとたまらないものがあるのだ。
あらすじは、>>7が書いているとおりなのだが、これだけだと身も蓋も無い感じがする。
>>1も書いているとおり、厳密な意味でのSFとは言えないかもしれない。
ましてや、ハードSFでないのは事実である。
しかし、メン・イン・ブラックを想起させる3人組の登場、
深遠ささえ感じさせる第3種接近遭遇のスリル等、SFとしての魅力も十二分に備えている点を
見落してはならない。
ブラッドベリやローリングスの作品を、SFと称するのであれば、本作も十分にSF足り得て
いると言えよう。
最大の読み所は、新潮文庫版213頁~264頁あたりにおける人類運命を巡る
ディスカッション。(奥野健男は、カラマーゾフの兄弟の「大審問官」の章における
問答に匹敵する内容と評価している)
「星を継ぐもの」(面白い!!)等で、物語中における論戦を読み慣れたSFヲタには、
読破出来るのではないだろうか。
(この点、比較的、物語における善悪が判然としている物語を読み慣れたミステリファン
は駄目ぽ)
「美しい星」は、日本における画期的なディスカッション小説であり、人類の運命を洞察した
思想小説であり、世界の現代文学の最前列に位置する傑作である。(奥野健男)
であるばかりではなく、その深遠な思想性、秀逸なセンス・オブ・ワンダー等
SFオールタイムべストではないのか?
本作に匹敵するのは、小松先生の「果てしなき流れの果に」、クラーク博士の「幼年期の終り」
H・ホーガンの「星を継ぐもの」が挙げられるのみかと思う。