03/10/03 00:36
ネタバレを少しでも嫌う方は絶対にするーして下さい。
そう思った時点で読むのを辞めて下さい。では。
(1)
「シリアスな家族ゲーム」を倍速で見せられたという印象。
8時間の尺を2時間余で全て見せるのだから、脚本にも無茶が生じる。
倍速だから、独特の説妙な間は全て台無し、
家族ゲームだから、鬼気迫る阿修羅は感じられない。
(2)
小道具や設定は頑張って昭和を再現してるが、深田恭子と中村獅童と
いう平成が紛れ込んでいる。全体に、昭和をテイストでしか演出
できないので、凛とした生活感でなく、叙情のベールに包んで描くため、
緊張感が伝わってこず、どこかコミカルになりがち。
あちこちに挿入された向田独特の言葉が空回り。
役者の演技は空中10センチを浮遊して空回り。仲代にしても重みがない。
(3)
意外に原作と拮抗していたと思うのはストッキングと木村芳乃とテーマ音楽。
概して予想よりはましだったが、(2)の点が致命的な問題。
あれが向田邦子の世界と誤解されるとしたら、かなりの問題。
(4)
「門倉商事」「花咲きて花香る、花散りてなお薫る」はしっかり見逃さなかったよ。