08/07/23 19:37:51 O
>>117
「離せ!この大王イカ!」
「フッ、口の減らない奴だな。」
半壊状態のアンジールの部屋。
煤けてひび割れた壁。黒焦げの家具。吹き飛んで風通りのいい窓枠。
ジェネシスが、たっぷりと魔力を練り込んだフレアをかました後だ。
床には、深々とレイピアが突き刺さっている。
セフィロスが、ジェネシスの手から弾き飛ばしたものだ。
そんな荒れ果てた部屋の床に、セフィロスは暴れるジェネシスを押さえ付け、手首をベルトで締め上げ、装備品を外す作業に取り掛かっていた。
「やめろ変態英雄!俺のブレスレットとベルトを返せ!」
「駄目だ。マテリアが付いているものは全部外させて貰うぞ。装備品もだ。お前の魔法の破壊力だけは、侮れないからな。」
「いーやーだーっ!あぁっ!ちょ、ブーツまで脱がせるな!」
「この“ちょっと背伸びブーツ”を脱ぐのがそんなに嫌か?」
「だっ、ちょっと背伸びって何だバカ!背伸びなんてするか!」
「あぁ、そうか。“ちょっとサバ読みブーツ”だったか。」
「こ、殺すッ!」
顔を真っ赤に染めながら、じたばたと暴れるジェネシスが魔力を練り上げ空間を支配していく。
「チッ、マテリアなしでも技を発動させるつもりか。」
ジェネシスを中心に浮かび上がる、緋い閃光と複雑な魔法陣。
アポカリプスだ。
「この部屋ごと吹き飛ばしてやる!」
「やめろジェネシス。やめないなら、無理矢理やめさせるぞ。」
瞳を妖しく光らせ、今にもアポカリプスを発動させんとするジェネシスに、セフィロスは余裕すら伺える笑みを浮かべ、そう告げた。
そんなセフィロスに更に激高したジェネシスは、練り上げた魔力を解放させる。
「やってみろ!食らえ!アポカ…―いあぁっ!」
解放され、練り上げた設計通りに空間を破壊する筈の魔力は、ジェネシスが上げた素っ頓狂な声と共に霧散した。
「この程度で最後の集中を乱すとは、まだまだだな?ジェネシス。」
「な、な…っ!?」
動揺するジェネシス。
無理もない。いきなり英雄に噛み付かれるなど、予想すらしていなかった。
「ククッ…自慢の白い肌だけあって、赤い歯型がよく映えるな。」