10/12/31 23:19:47 2aJPDJmB
「……はい」
『わたしだよー』
ふと時計を見ると、十一時を回っていた。
唯のお気楽そうな声に、ピクリと何かが刺激された。
ドアを開けると、そこには、いつもと同じように、少し疲れながらもにこにことしている唯の姿。
今まではそれに癒されていたはずなのに、少し、気に障った。
「……おかえり」
「ただいまー。うふふ、おなか減っちゃったあ」
私を通り過ぎて、唯はリビングへと入って行った。食卓にラップされた皿があるのを見て、唯がん? と声を上げる。
「あれ、先に食べたんだね」
「……ああ」
「そっかあ。メールしたんだけど……」
「……別に、先に食べたっていいだろ」
投げやりな私の口調に、唯が目を丸くする。
何やってるんだ、私。
「……え、あ、うん。そうだよ、そうだよね」
「先に食べてていいって言ったのは、唯だろ。こっちだって、疲れてるんだよ」
「う、ん。ごめんね、ちょっと気になって言っただけだから」
こちらをうかがいながら、気遣う唯の声。
唯の顔から、いつもの笑みが消えている。
こんな顔させて、どうするんだ。
何言ってるんだよ、私。
それでも、私の中にどんどん嫌な気持ちが生まれていく。