平沢 唯 × 田井中 律 2at LESBIAN
平沢 唯 × 田井中 律 2 - 暇つぶし2ch600:名無しさん@秘密の花園
10/12/26 20:55:40 +2Y/lYCF
>>596
全部良作すぎてかわいいんだよなあ…
したらばの方もいいものあるしね
各自、いくつでも特にお気に入りなものを語っていこうではないか

かくいう自分は、>>412が特につぼだった
手紙唯律も確かによかったなあ
集計とかは…しないほうがいいか

601:名無しさん@秘密の花園
10/12/26 20:57:46 +2Y/lYCF
すまん、自分にレスしてた
>>599の間違いです

602:名無しさん@秘密の花園
10/12/26 23:44:41 TSwo1WAQ
もちろんどれも最高だけど>>174-189のSSが一番好きかな
この唯は相手が律だから見られるっていうかとにかく乙女な唯が可愛い

あと>>53の「ああだこうだどうだこうだゆいりつさいこうだ」が忘れられないww

603:名無しさん@秘密の花園
10/12/27 15:08:31 3GhQNPem
修学旅行の唯律可愛すぎwww

604:名無しさん@秘密の花園
10/12/27 18:13:43 zdF3whk0
好きな唯律絵
URLリンク(www.dotup.org)

605:名無しさん@秘密の花園
10/12/27 21:55:49 8hCyDnf6
うpろだに上がったSSとかもう読めないのがもったいない

606:名無しさん@秘密の花園
10/12/28 16:31:22 4h4YXOIp
ほいどうぞ
URLリンク(adultbody.info)

607:名無しさん@秘密の花園
10/12/28 18:22:37 xYqqENfJ
>>605
読みたいならどっかにうpしてもいいけど

608:名無しさん@秘密の花園
10/12/28 23:17:40 8aQnJaiv
何も考えずに打ったらちゃんとオチなかった・・・
SS書きの方々は皆ちゃんとストーリーとか考えてから書き出してるのですかね・・・



今年のクリスマスも皆でどんちゃん騒ぎで盛り上がって、すごく楽しかった。
澪はコスプレ強いられて、梓は何だかんだで楽しそうで、ムギは終始笑顔ではしゃいでた。憂ちゃんもにこにこして皆を見てた。
さわちゃんはやっぱり彼氏出来なくて、和は何ていうかプレゼントが相変わらずで。サラダ油の詰め合わせだった。いや、ありがたいんだけどさ。
私だけ、去年と同じようにはいられなかった。
ケーキを食べるときも、プレゼント交換の時も、隣に座る唯のことが気になって気になってたまらなかった。
その唯は皆と同じく去年と変わらない様子で。変わらない様子で、りっちゃんりっちゃん言って。
皆で楽しく騒ぐのはおおいに結構。
でも、世間じゃ恋人達が浮かれて良い雰囲気作って良いことしてるんだぞ。
別に、唯にそんな恋人らしさを求めてる訳じゃないけど。それでも特別な何かが欲しかった。言葉でも態度でも良いから。だって私達、特別な関係じゃないか。
私のこと、一番大好きだって、特別に好きだって、言ったのは唯じゃん。私も唯のことが好きだって言ったら泣くほど喜んだのも唯じゃん。
なのに何でこういう時にそういうこと言ってくんないんだ唯のばか。隣同士の席だったんだから手だって軽く握れただろ。
唯は、見送りの時までずっと私を友達として見ていた・・・気がする。今はそんなの嬉しくない。


609:名無しさん@秘密の花園
10/12/28 23:20:18 8aQnJaiv
クリスマス会を終えて唯の家を出てからそんなことばっかり考えてる。
クリスマスだからってそんな想いに駆られるなんて、誰だよ私は。面倒な女みたいでげんなりする。大体、私らしくないんだ、こんなの。唯のばか。
「へくちっ」
背後から聞こえたくしゃみについ振り返ると数メートル後ろに唯がいた。
「・・・って、唯?」
「ありゃ・・・バレちった・・・」
「は?何で?ずっと着いてきたのか?」
「そだよ・・・目の前にりっちゃんがいるのに近づけないのは大変な苦労だったよ!こんなに近くにいるのに心は遠い・・・こういうことなのかしら・・・?」
「全然気付かなかったぞ・・・何で唯が?」
「りっちゃん家に着いたら驚かそうと思ったんだー・・・失敗したけどね」
鼻と耳を赤くして笑ってる唯が無性に愛しくなって、さっきまでうだうだ考えてたこともバカみたいなことに感じた。バカみたいというよりバカなことだった。
とにかく、私は単純だから唯を見たら安心した。
うちまで来てどうすんだよって聞く前に唯が一歩踏み出して言った。
「これからりっちゃん家で二次会しましょー!二人で!」
「これから!?」
「だって今日クリスマスだよ?」
「お、おう」
「二人で過ごしたくない?」
「え・・・あ、の・・・」
「私はりっちゃんと二人で過ごしたいな」
私が照れる間もなく唯は私の望んでいたような言葉を言ってみせた。
肝心なところで素直になれない私は上手く返事が出来なくてついつい唯から目を逸らした。唯のテンポから少しズレて徐々に頬が熱くなってきたのがわかる。
二人で過ごしたくてたまらなかったのは私なんだから、唯に甘えてばかりいないでちゃんと言わないと。
「わ、私も唯と二人になりたかった!・・・唯がそう言ってくれんの、期待してたし、今、すごく嬉しいよ」
「うん。クリスマス会の時も薄々感付いてた」
感付いてたのかよ。てか感付かれてたとか、私どんな態度だったんだ。恥ずかしいな。
「よーし、りっちゃん家まで手を繋いで行こーう」
「・・・・・・おー」
わざわざ手袋を外して差し出された左手。やっぱり素直になりきれない私は半端な返事をしてポケットから手を出して唯の手のひらを握った。
唯のこと子供扱いしてるけど、こうやって自然と甘えさせてくれてるところは私よりずっと大人だと思った。
手を繋ぐなんて小学生かって照れ隠しで言った私に、愛人ですと真面目に返すあたりはやっぱりアホだなと思わざるをえなかったけど。
それを言うなら恋人だろ。



おまけ?

「そういや唯荷物少ないな。泊まってくんじゃないのか?」
「りっちゃんたら・・・!!家に行くって言っただけですぐお泊まりに結びつけるなんてヤらしいよ!年頃だよ!」
「えっ、はっ?ヤらしいとか違うし、聡も両親もいるし、」
「いっやーん。でも下着は持ってきてるであります!」
「だからそんなつもりは・・・」
「今夜は寝かせないよ~りっちゃーん」



おわりです
クリスマスとか二日も前だけど・・・

610:名無しさん@秘密の花園
10/12/29 00:11:45 hrCGT/nv
GJ!最近SSなかったから嬉しいよ
二人ともめっちゃかわええ

611:名無しさん@秘密の花園
10/12/29 02:53:53 QF2yaggw
オチがなくたっていいじゃない
そこに唯律がいれば
  みつを


つうかちゃんとオチてるよ!GJ
ぽやぽやしてるようで実はリードしてる唯とか、照れ屋なりっちゃんとかすごいツボ

612:名無しさん@秘密の花園
10/12/29 23:38:44 9tumzLMO
>>610
>>611
ありがとう
中身の無いものしか書けないけどまた書いてみようと思うよ

話変わるけどここの皆はあまり唯律エロってあんま妄想しないの?
ざっと見た感じエロネタあんま無いし、あってもすぐ話題が変わってたから気になった

かくいう自分は唯律で初めて百合にハマったから女の子同士のエロってよくわかんないからネタ提供とか出来ないんだけどね

613:名無しさん@秘密の花園
10/12/29 23:43:44 cNgwjKFY
>>612
た、試しにりっちゃん家からの唯律を書いてみるといいんじゃないかな?フンスフンス

唯が強気にリードしてる唯律が好きです。
エロいともっと嬉しいです。

614:名無しさん@秘密の花園
10/12/30 01:13:54 UPssaQ0X
えっちの時は唯ちゃんになされるがままの乙女りっちゃん

615:名無しさん@秘密の花園
10/12/30 01:16:31 G5HUj2WD
されるがままとは思わないけど
唯ちゃんが「これ試してみようよ!フンスフンス」って言って「おお!やってみよう!」か「ええ~?!」ってなるかのどっちかだな

616:名無しさん@秘密の花園
10/12/30 03:04:35 9UKfxxeg
りっちゃんが唯を引っ張ってるほうが好きな俺は異端なのだろうか

617:名無しさん@秘密の花園
10/12/30 03:07:33 hxwE7GkN
俺もそっちが好きだぞw
唯ちゃんが「お~!」ってちょこちょこ付いていく感じがたまらなく可愛いw

618:名無しさん@秘密の花園
10/12/30 18:00:47 W0M9xF0u
SS書くとき、唯律にしようか律唯にしようか悩むんだよな…
唯律の方が書きやすいけど、読むなら律唯が好き

ところで、エロっぽいの書きたいと思ったんだけど、ここってどれくらいまでのエロなら許されるの?
あと、パラレルSSってこのスレ的にアリかな?

619:名無しさん@秘密の花園
10/12/30 18:17:04 1MOE3djo
ここは18禁なのでエロは問題なし
パラレルは人を選ぶかもしれないけど俺は読んでみたい

620:名無しさん@秘密の花園
10/12/30 18:18:14 q3kit2zD
唯律派だったけど、SSとか読んでると律唯もいいかなと最近思い始めて来た
攻め攻めりっちゃんでも女の子らしい一面があったりするのがいい

ここは確か21禁板だったような気がするから
どれくらいって、極端な話スカトロやらグロでも何でもありだと思う
書いて落とすなら唯と律絡んでればスレ違いではないしパラレルだっていいんじゃないかな

621:名無しさん@秘密の花園
10/12/30 18:46:08 W0M9xF0u
>>619
ありがとう。がんばってパラレル書いてみるよ!
あと、IDが萌えw
>>620
説明サンクス! 唯と律はどっちが攻めでもいいよね

ちなみにパラレルで思い浮かべているのは、
・唯が律たちより一年先輩
・唯が悪魔、律が天使
・唯に犬耳生えて隠すために律唯てんやわんや
・「羊のうた」的な唯律

というどっかでみたことあるようなないような感じで
出来たら投下したいなあ


622:名無しさん@秘密の花園
10/12/30 18:54:29 W0M9xF0u
あ、もし、>>621のネタで創作魂をくすぐられたSS職人さんが万が一いらっしゃいましたら、
全然ネタを使ってくださってかまいませんので。つーか読んでみたい
あんまそそられるネタじゃなくてすまん

623:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 00:04:50 pkTPah8K
もしもSSが書けたなら~妄想のすべてを文にして~♪


しかし書けそうにない、書いたこともないしな

624:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 01:45:25 dF1YSn4q
2010年も終わっちゃうね~
年明け前に何か書けないかなと思ったけど無理そうだからエロについて語っとく
なんか夜中にこんなん打ってる自分がキモいわw

唯と律のエロは唯攻めのが好きだったけど二人が好きすぎてどっちも行けるようになってきたな
日替わりとかで良いんじゃないかと思うんだ
でも受け攻め問わず基本的に唯ちゃんが一枚上手だと嬉しい。萌える
りっちゃんは攻めの場合すごく優しいっていうか、気持ち良い?とか確認しそうなイメージ。ヘタレっていうか何て言うか
焦らしたり意地悪したりSっぽいことはしなさそうだなと思う
唯のこと泣かせなさそう
あとりっちゃん明るいキャラだけど無邪気攻めみたいのイメージも無いな
唯攻めは何でも似合う
ヘタレも意地悪もいける
可愛い顔してりっちゃん泣かす勢いで焦らしたり意地悪したりするのとかたまらない
それから唯律にしても律唯にしても裸にならないで事に及ぶイメージがあるw
ブラウスのボタン外して下着外してパンツ下ろしただけとか
何故だろ

625:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 02:03:30 n/owP8uw
夏コミケ期待してるわ

626:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 15:46:00 Assmt3ad
唯律夫婦SSを書きました
めっさ長くなったので、何回かに分けて投下します
まあ、今人はいないだろうけれど…
読んでいただけたら幸いです。

627:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 15:47:09 Assmt3ad
午前六時半。私はいつも、これくらいの時間からエプロンをつけて朝食作りを始める。
今日のメニューは、ご飯、みそ汁、卵焼き、ほうれん草のおひたし、そして塩鮭というかなりオーソドックスな朝食だ。
とはいえ、近頃の過程の食生活は破綻しているとか何とかテレビでよく見るから、その点に関しては私はちゃんとしているほうだろう。
むしろ、こんなしっかりとしたものを朝から食べられて、私の相方は大いに果報者だ。
まさしくりっちゃんさまさま、と大げさに感謝してほしいくらいだけれど、生憎私の相方、つまり旦那様はまだ夢の中だ。
まあ、こんな時間に起きていることの方が珍しいので、とっとと二人の寝室に向かう。
朝食の用意をし終わって、旦那を起こしに行くのは、もうとっくに習慣となっていた。
最初のころは、憂ちゃんはこんなに大変だったのか、と彼女の妹の苦労をしみじみと感じたものだったけれど、今では特に苦に思わない。

「……完璧に、唯に毒されたなあ」

私の頬に自然に笑みが浮かぶ。唯と一緒にいることに慣れ切って、むしろそれが心地よくて、当然のように感じていることを自覚している。こういうときに、夫婦ってこんな感じなのかな、と考える。あ、夫婦じゃなくて、婦妻か。
寝室に辿りついて、開口一番。

「こらー、唯! おーきーろー!」

寝室にはダブルベッドが一つあって、いつもそこで唯と私は一緒に寝ている。
ベッドの上で、唯はむずむずと動きながら、「んむ……りっちゃーん、おいでえ~」なんて私が寝ていたスペースに手を伸ばしながら、寝言を言っていた。りっちゃんはここにいる。つうか、むしろお前がリビングに来い。


628:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 15:47:50 Assmt3ad
「お・き・ろっつうの! いつまで寝ぼけてんだよ?」

少し強めに言うと、唯がようやく覚醒したように大きく体を動かした。ゆっくりと体を起して、ドアのところに立っている私を見る。

「……なーんだ、夢かぁ」

失礼なことに、私を見るなりがっかりした声を上げて、またベッドに沈もうとする。
おいおいおい! なんだとはなんだ! せっかく起こしに来てやったのに!
私はずんずんとベッドに歩み寄り、唯が被った毛布をはぎ取る。すると、唯はびくっとして、大きい目をさらに大きくして、私を見た。

「おおおおきいいいいろおおおおおおお!」

唯の耳元で叫んでやると、「っわあああ!」とうめき声を上げて、飛び上がった。そそくさとベッドから下り、私をびくびくと見つめる。
起きられるじゃんか。まったく。手間かけさせて。

「お、おきました!」
「ん、ならよろしい。ほら、顔洗ってこい」

らじゃー! と敬礼を返し、唯はそそくさと寝室を出ていこうとする。
まったく、こういうところは、変わってないんだからな。
ふと、気になったことがあって、唯の背中に声をかける。


629:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 15:48:24 Assmt3ad
「唯、さっき見た夢って、どんなのだったんだ?」

聞くと、まさに洗面所にいこうとしていた唯は、パッと振り向いて、にへら、としまりのない笑みを浮かべる。……なんか、予想がついた。

「え、へ、へ。あのねえ、りっちゃんがねえ、私に裸でしがみついて、すっごく甘えてきたんだよお」

ほー。ほおお。

「『唯が欲しい、唯とずっと一緒にいたい』っていってねえ、もーう、すんごくかわいかったんだからあ」

……唯、覚悟はいいな?

「それでりっちゃんを抱き寄せようと思ったら、エプロン姿のりっちゃんに邪魔されちゃったんだよね……ってうおあ!?」
「ばっかやろおお!」

唯に走り寄り、華麗なドロップキックを決めた。
唯はつんのめるように倒れたけど、いてて、と腰を押さえてすぐに立ち上がる。
付き合ったころから受けているからか、唯も耐性が身についてきたみたいだ。

「ふざけんな! 勝手にお前のエロ夢に私を登場させるなよ! それで『なーんだ』っていったのかこんちくしょー!」
「えええ、だってえ~、本当にいいところだったから」
「あほ、ばか、トロ唯! さっさと顔洗ってこい!」



630:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 15:49:01 Assmt3ad
しっしっと追い払うように手を動かすと、唯は、はたと気付いたように、意地悪な笑みを浮かべた。

「……なんだよ」
「……りっちゃん、ヤキモチ?」
「ぁあん!?」
「安心してよ。昨夜のりっちゃんも、夢の中のりっちゃんに負けないくらい、可愛かったから!」

ぷちん、と何かが切れる音がした。

「大体さあ、確かに私は寝坊しちゃうかもしれないけど、でも、それはりっちゃんにもちょっと責任あるからね」

ぶちぶち、とまた切れる。

「昨夜だって、なかなかりっちゃんが寝かせてくれなくて……うう~ん、眠いよお」

ぶちぶちぶちぶちぶちっ。

「もう、りっちゃんたら、お・さ・か・ん……」
「だあああ! おっまえが勝手にサカってただけだろ! 早く顔洗いやがれええ!!!」

鬼の形相で吠えると、唯は今度こそ青ざめて、そそくさと洗面所に向かった。
「鬼嫁だよ、鬼嫁がいるよ!」という嘆きが聞こえた気もするけど、気にしない。あの、どあほが悪いんだからな!
唯がぐちゃぐちゃにしたベッドを直しながら、ふとシーツを見る。

「……洗濯機、回すか……」

昨夜のことを思い出しそうになって、熱をもった頬をとっさに手で覆った。


631:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 15:49:54 Assmt3ad
「わあ! お~!!」

身支度を素早く終えた唯が、食卓にきて歓声を上げた。
そりゃそうだろ。これだけ完璧な朝食が揃っているんだからな。
ふふん、どうだ、と鼻高々に私がつつましい胸を張ると、唯が空気をぶち壊すような言葉を放り込んできた。

「今日は、パンの気分だったかも……」

言い終えると同時に、私はすぐに唯にチョーキングを決めた。
なんって、妻不孝な奴だ。

「ご、ごはん好きです。ごはん食べます」
「よろしい。っつか、日本人ならごはんだろ」
「1・2・3・4・ご・は・ん~♪」

調子に乗って歌い出す唯の頭をぺチリと叩くと、唯はえへへ、と笑って、行儀よく「いただきます」と手を合わせた。
唯の、こういうところが好きだ、とふとした拍子に想う。
いいかげんなようで、ちゃんと相手を想っているところ。
それは、りっちゃんも同じだよ、って前に唯にいわれたから、私たちは似た者夫婦なのかもしれない。

「おいしいい! どうやったら、こんな風に作れるの?」
「唯には無理だなー。やっぱり、りっちゃんの天才的センスがないと」
「むう、がんばるもん!」
「期待せずに、待ってるよ」

そんな軽口をたたき合いながら、私たちはぺろりと朝食を平らげた。


632:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 15:51:17 Assmt3ad
私は、いわゆる専業主婦ってやつだ。家事は嫌いじゃないし、近所の人たちともうまくやれているから、寂しいとかつまんないとか、あんまり感じない。
ローンで買ったこの一軒家に唯と一緒に住む前は、専業主婦にあまりいいイメージをもっていなかった。でも、唯と住むなら、自動的に家事をやるのは私になるから、なりゆきでそうなったけれど、意外に毎日は充実していた。
休日には唯とギターとドラムでセッションするのが楽しいし。暇を見つけて澪やムギ、梓とかと会ったりするし。
唯は、会社に行って、何とか働けているようだ。そこそこ忙しいようで、残業とか、休日出勤がないわけじゃないけど、それでも、私と話す時間は毎日つくってくれていた。
仕事はできるというわけじゃなく、上司に怒られるのはしょっちゅうだ、といっていたけれど、それでも元気に毎日出社するから、それなりにがんばっていて、可愛がられているんだろう。
総合的に見て、私は幸せだと思う。波風立つことなんて、皆無といってもいい。
このままこの日々が続けばいいな、続くんだろうな、と思っている。

「唯、八時十五分発の電車に乗るんだろ? 間に合うのか?」
「だーいじょうぶ……ってうわぁ!!」
「ばか、だからさっさとしろっていったのに」

唯はどたどたと音を立てながら、バッグを肩にかけ、パンツスーツの裾をはためかせて、玄関へと向かった。
ああ、こりゃ、またごみ当番は私になりそうだな、と息をつく。

「りっちゃん、ごみごめんね! 行ってくる!」
「こおのやろー、明日こそ早く起きろよ」
「うう、ごめん、あっ、りっちゃん!」
「ん?」

首をかしげると、唯が目をつぶって、唇をつき出した。

「いってきますのちゅー」

無言でばしり。朝だけで、何回唯に突っ込みを入れただろう。

「いたい! ひどいよりっちゃん!」
「そんな暇あるなら、ごみ置いてこいって話だろ!」

いいながら、唯の背中をぐいぐいと押し、玄関のドアを開けて、外に出す。
唯は口をとんがらせながらも、小さな門を抜け、ドア先に立っている私に手を振る。

「いってきまーす!」
「いいから走れ! 早く行け!」

無邪気な唯の声が大きかったから、照れ隠しにぶっきらぼうに言った。
唯はぶう、と不満そうにしながらも、すぐに駆けだして行った。


633:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 15:51:49 Assmt3ad
唯の姿が見えなくなるまで見送り、私はごみ袋を手に、ごみ置き場まで歩いて行った。
ごみ袋を置くと、近所の誰かの旦那さんらしいサラリーマン風の男性が、急いで置き、早歩きで駅の方向に向かっていった。

「そうだよな、最近の旦那っていうのは、これくらいはやるよな」

独り言をつぶやきながら、家へと歩いて行くと、二、三人の主婦の集団とすれ違った。
げっ、と心の中で思う。私は、大抵の近所の主婦たちと上手くやれていると思うけれど、このベテラン主婦集団だけは、なんとなく苦手だった。
挨拶だけして、そのまま通ろうと思ったけれど、呼び止められた。

「田井中さん……でよかったかしら?」
「……あ、はい。おはようございます」

リーダー格っぽい天然パーマのおばさん主婦が、尊大な感じで話しかけてくる。

「あなたが、いっつもごみ置いてるの?」
「あ、いえ、えと、旦那が置いてくれることもあります」
「でも、いつも大体あなたよね」
「っ、は、はあ……ま、まあそうかもしれないですねえ」

人のごみ置くところを、毎回チェックしてんのかよ、と気味悪く思う。

「だめよ、甘やかしちゃ。最近の夫っていうのは、ごみ置きは最低限してるんだから」
「で、ですよねー、気をつけまーす。あはは……」

乾いた笑いを最後に、今度こそ家に戻ろうとしたとき、後ろからひそひそ声が聞こえてきた。

「でも、旦那っていってもね……」
「夫、ともいえないし……」
「若い人の恋愛って、分かんないわねえ」

何を言っているのか、分かる気もしたけれど、完全にシャットアウトして、家に急いだ。
気にしない。世の中、色んな考え方の奴がいるから。
それでも、幸せばかりだった私と唯の日々に、ちくりとケチがついたような気がして、少し不愉快だった。



634:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 15:52:54 Assmt3ad
朝の嫌な気分を振り切って、午後からは買い物に出かけた。
最初は迷ったりもしたけれど、ここの商店街の道は、もう慣れたものだ。たまに楽器店やスタジオを見つけるたびに、唯と一緒に行ったりもしている。
私は、馴染みの肉屋の前で足を止め、じっと肉を吟味していた。
すると、店の奥から、これまた馴染みの肉屋のおっちゃんがやってきて、私に二カッと笑いかけた。私も、笑顔で会釈をする。下手に自分で選ぶよりは、専門家に見つくろってもらった方がいい。

「奥さん、こんにちは! 今日はいい肉が入ってるよ!」

毎回、奥さん、と呼ばれる。そのたびに、くすぐったいような、照れくさいような気持ちが広がる。自分の、今の幸せを実感できているみたいで、嬉しくなるのだ。

「んー、どれがおすすめ?」
「そうだな、この黒毛和牛が、安く入ってるなあ。あとは、んー」
「じゃあ、それにする。……旦那に、元気つけてもらいたいし」

人前で、旦那、と呼ぶことに嬉しさを感じる。まあ、あの主婦集団の前で言ったのは、ノーカウントだけど。

「あいよお! これは、うまいぞお! 旦那も精ついちゃうかもなあ!」
「つってもなー、もともと元気だから別にいいような気もするけど……まあいいや」
「おっほう、ノロケかい? お・さ・か・んだねえ」

にやにやとしながら、おっちゃんは素早く肉を包んでいく。
唯、お前の言葉、おっちゃんと同じレベルだぞ。まったく。

「ばかいうなっつうの。ていうか、いまどきお盛んって」
「あっはっは。毎度! またよろしくなあ」

手を振るおっちゃんにお辞儀をし、私は家へと向かう。
おっちゃんは、旦那が女であることを知らないだろうけれど、それでも朝の嫌な気分は、すべてなくなった。
ビニール袋を下げながら、今日はステーキにしようかな、と軽くなった心で考えていた。


635:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 15:53:48 Assmt3ad
遅い。今日は、ずいぶん遅い。
大抵いつも残業で、帰ってくるのが八時くらいだから、それにぴったりと間に合うようにりっちゃん特製のビーフステーキを作ってやったというのに。
もう、時計は十時を過ぎていた。ビーフステーキはラップをして、唯が帰ってくるのを今か今かと待っている。

「……食べちゃおうかな」

いつも私は、唯と一緒に夕食を食べる。唯の食べる姿を見るのが好きだし、昼間はほとんど会話をメールで済ませているから、こういうときにいろいろ直接話す時間を作りたいのだ。
唯も、嬉々として仕事やいろんなことを話して、風呂に入って、で、ちょっといい雰囲気になったときは……まあ、昨夜みたいなことをするわけだけど。

「でもなあ」

唯も、食べながら私と話すのを楽しみにしていることを知っているから、そんな唯の気持ちを無駄にしたくはない。
まあ、いいか。一回ぐらい、夜中に食べて、脂肪ついちゃっても。
そう思って、暇つぶしにテレビをつけようとすると、ぴんぽんとインターホンが鳴った。
私は、急いで駆けだす。

「はい」
『えへへ、私』

受話器を耳に当てると、唯特有の幼い声が聞こえてきた。
ドアを開けると、少し疲れたような、でもいつものように笑っている唯が立っていた。
文句の一つも言ってやろうと思ったけれど、すぐにどうでもよくなった。


636:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 16:00:19 Assmt3ad
そろそろさるさんくらいそうなので、夜にまた投下します。
年またぐかもしれん……
一応、まだ序盤です

637:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 16:26:32 yncsb5gq
>>636
お疲れ様です、今年最後の締め括りは唯律になりそうですw
楽しみに待ってます!

638:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 16:37:21 /Ssr0Buk
期待して待ってるぜ

639:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 16:55:12 dF1YSn4q
>>636
乙です
新婚唯律いいねぇ~
読みながらめちゃニヤニヤしたw
続き楽しみにしてます

640:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 16:56:36 f1sLMeFd
続き期待

641:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 22:58:46 2aJPDJmB
続いての投下です。
このぶんだと年をまたいでしまうかも…


642:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:01:26 2aJPDJmB
「おかえり、外寒いだろ」
「ただいまっ、マフラーしてたから平気だよ」

唯は、赤い手編みのマフラーを指さしながら答えた。付き合っているときに、唯がおねだりしたので、わざわざ私が編んでやったマフラーだ。それがいたく気に入ったらしく、寒いときには必ず巻いてくれていた。思わず、笑みがこぼれる。

「あれ? 朝行くときは、巻いてなかっただろ?」
「ふふふ、バッグに忍ばせておいたんだよ。寒いときに、りっちゃんマフラーは必須だからねっ!」

思わず和やかな空気になりかけたが、向こうにラッピングされたビーフステーキを見て、ぽかりと唯の頭を小突く。

「うわあん、いたあい」
「いたあい、じゃなくて、なんかいうことは?」

その言葉に、唯は食卓を見て、うつむいた。

「遅くなっちゃって、ごめんなさい」

殊勝な態度に、怒っているのがばからしくなって、ふっとほほ笑む。

「遅くなるのは、仕方ないだろ。仕事なんだし。そうじゃなくて、連絡ぐらいしろってこと。昼には余計なメールを送ってくるくせにな」
「ひ、ひえっ、余計!?」
「まー、こっちも暇つぶしになるし? 別にいいけどな」

言って、私は夕食の皿を電子レンジに入れて、温め始める。
後ろから、わあい、今日はステーキだ! と無邪気に喜ぶ唯の声が聞こえてくる。

「これ、りっちゃんがいってたお肉屋さんの?」
「そうそう。今日のおすすめだって。早く食べよーぜ」

最後に、ステーキの皿二つを電子レンジに入れると、唯が、うつむきながらもじもじとしていた。


643:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:01:47 m6WgXMhX
>>641
最高の年越しだぜ

644:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:02:46 2aJPDJmB
「どうした?」
「あ、あのね」

唯が眉をハの字にして、私を見る。

「りっちゃん、今日みたいな日は、先に食べちゃってていいよ?」

おそるおそる、といった口調の唯に、はっ、と笑う。

「いーよ、大したことじゃないし。ま、連絡はしてほしいけどな」
「でも、りっちゃんがせっかくつくってくれたステーキが、冷めちゃったし」
「だあから、連絡さえすれば、間に合うようにつくるから。ほれ、とっとと食べる」
「また、これくらい遅くなること、あるだろうし」
「いいって。連絡はしろよ。まあ、あんまり遅くなるようだったら、私も腹減るし、食べる。それでいいだろ?」

私の言葉に、ゆっくり頷く唯の手を引いて、食卓につかせた。

「いただきます」
「……うん、いただきます」

私に続いて、唯が復唱した。
温めなおしても、ステーキは美味しくて、さすがにおすすめだな、と言うと、りっちゃんの腕とお肉屋さんの目利きのコラボがよかったんだよ、とわけわかんないことを唯は言った。

「ゆーめのっ、夢の、コラボレーション♪」
「調子にのるな」

こつ、とまた唯の頭を小突き、切ったステーキを口に入れる。唯も、もくもくと食べながら、仕事の話をして、私を笑わせた。


645:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:03:46 2aJPDJmB
「まーた、ドジったのか?」
「うう、コピー太が言うことを聞かなくなっちゃって」
「いや、お前の操作ミスだろ。……ていうか、まさか会社でコピー太って言ってないよな?」
「え? 言ってるよ?」
「まじか! 周りはなんか言ってる?」
「最初はね、えっ、て感じだったけど、だんだん周りの人もコピー太っていうようになってきたんだよお」
「気付け! 誰か、おかしいことに気付け! 感染してるぞ!」
「ええ~、りっちゃんひどーい」

話しながらふと、あ、そうだ、と切り出す。

「唯、今日残業で遅くなったんだよな、まーた叱られたか?」
「……う、ん。そうだよ。えへへ、だめだなあ私」
「自分でいってりゃ世話ないな。ま、めげずにがんばれ」
「……うん」

微妙に、間があったことが気になったけれど、大したことじゃないだろ、とスルーした。



646:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:04:25 2aJPDJmB
「このお肉、美味しいね。うふふ、精がついちゃうわん」

いやだから、お前の言語センス、おっちゃんと同レベルだから。

「でも唯、今日はエロいことなしな」
「っ! え、ええ!? なんで?」

声を張り上げて驚く唯に、ふん、と意地悪い笑みを見せる。

「連絡もなしに、こんな遅くまで叱られた罰だ、罰」
「ええ、いいよ、っていったくせに~」
「夕食抜きになんなかっただけ、感謝しろ」
「りっちゃんの鬼嫁!」
「第一さ、一応残業してきて、疲れてるだろ?」

本音を向けると、唯は感動したように、りっちゃん……ときらきら目を向けてきた。
けど、すぐにしまりのない顔になる。

「でもね、疲れてる時の方が、燃えるんだよ! ってうぼわっ!」
「どこのエロ親父だ、お前は! さっさと寝ろ!」
「せめて、お風呂! お風呂だけでも一緒に……」
「ごちそうさまっと。さー、皿洗い」
「りっちゃんの鬼畜!」
「どっちがだよ!」

そのあと約束通り、風呂は別々にして、二人で床に入った。
ふと、今朝のことが頭を過ぎって、ぎゅっとかたく目をつぶった。
すると、唯の腕が体に回されて、そのまま唯の体に引きつけられ、強く抱きしめられた。

「……唯」
「……ふふ、これくらいなら、いいよね?」

唯の顔は見えなかったけど、でも、優しく微笑んでいるような気がした。
約束通り、唯はエロいことはしてこなかったけど、朝までずっと抱きしめてくれていた。
唯の腕の中は、あったかくて、柔らかくて、いい匂いがして。
すごく安心して、ぐっすりと眠れた。
大丈夫、唯とだったら。
嫌な気分も、唯が全部消してしまったようだった。



647:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:07:31 2aJPDJmB
翌日からも、私と唯の、慌ただしい朝は続いた。
唯をベッドから引っ張り出して、朝ごはんを食べさせて(一回、パンにしてやったら、「朝って、ごはん食べたくなるよね」と抜かしやがったので、頬をつねってやった)、
やっぱり時間ぎりぎりになって、「ごめんね」といいながらもごみを捨てに行けず、猛スピードで、それも騒がしく家を出ていく。
この繰り返しだったけど、いつものことと思えば、それなりに慣れてくるもので、ごみ置きもほぼ毎回私が行っていた。
そのたびに、少し白い目で見られたり、何かこそこそと言われるのは嫌だったけれど、唯と話していれば、自然にリセットできた。
だから、今まで以上に唯の帰りを待ち望むようになった。
だから、あの日以来、唯の帰りが極端に遅くなっているのが気にかかった。
八時どころか、この前のように十時、十一時が当たり前になって、一度は日をまたいだときもあった。
きちんと言い含めていた甲斐あって、何時に帰るかしっかりとメールはするようになったけれど、
唯と話す時間が減っていることの実感は日に日に積もっていった。
朝は朝で慌ただしいから、ゆっくりと話す余裕がない。
仕事だからしょうがないけれど、それでも忸怩たる思いがあった。
唯は、いいかげんに見えても、相手のことを想って行動できる奴だから。そういうところに、惚れたんだから。
だから、唯があまり話す時間を作れないことに、少しの不満と不安があった。
退屈だなあ、と思った。いつも当たり前にあると思っていた唯との触れ合いが減ると、こうも空虚感を覚えるものなのか。そういえば、エロいことも……最近していない、かも。
唯が疲れている、と思うから、私も言いだせないし。
家事をやって気を紛らわそうとしたり、澪やムギ、梓たちと会って色々話したりしても、どうしても埋められなかった。
なんか、なんか嫌だな、これ。
こんな不安定な状態だったから、あっけなく私の心も崩れてしまったのかもしれない。


648:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:12:05 2aJPDJmB
今日も唯は、慌ただしく家を出ていった。
自分の当番なのに、ちゃんとしなくてごめんね、と行き際に言って、駅へと向かった。
いただきます、と言ってくれたし、美味しそうに食べていたし、起きるときも軽口程度の会話は交わせたけど。
それでもやっぱり、気持ちが沈む。
私はごみ袋を手に持って、歩き始めた。
今日も遅くなるのかな。
残業続きで疲れているだろうし、なんか胃に優しいものでもつくってやろっかな。
唯は、私が支えてやんないと。妻だし、さ。
少し元気を出して、夕食のメニューを考えながらごみ置き場までやってきた。
するとそこには、珍しいことに、私より早くあのベテラン主婦組がいた。
何か、嫌な予感がしたけれど、軽く会釈をして、ごみ袋を置く。
早く帰ろう。洗濯して、掃除して、買い物に行って……。

「またあなたがやってるの?」

鋭い声が飛んできた。私は、思わず振り返ってしまった。

「え、あ、まあ、そうです」

答えると、ふーん、と何か嫌な含みを持たせた口調で言った。
なんだよ、言いたいことがあるなら言え。

「旦那さん、よっぽどお忙しいのね」
「んー、そうみたいですね」

皮肉めいた言葉も、何とか受け流す。

「へえ、そうは見えないんだけどねえ」

私は、リーダー格の主婦の女の方を向いた。

「いや、忙しいみたいですよ。別に、私も置きに来るのは面倒じゃないですし」
「あはっ、本当に忙しかったら、あんなに騒がしく家を出ていかないでしょうよ」

その言葉に、私は顔を上げる。



649:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:15:25 2aJPDJmB
「だって旦那さん、いつもあなた、田井中さんに背中を押されるようにして出ていくじゃない。単に、しっかりと起きていないだけでしょ? それでごみ置きくらいできないっていうのは、ただの甘えよ」

……こいつ、いつも私たちの様子を見てんのか。
気味が悪くて、背筋が冷たくなる。

「あなたたち、新婚さんでしょ? そういうのは、最初にびしっといってやらないと、これからずるずるそうなっていくわよ、どんどんだめになっていくの」
「もう、手遅れかもしれないけどね。私だったら嫌だわ、そういう人」
「もしかして、忙しい、っていうのも、仕事ができないからどんどんやることが増えていってるんじゃないの? なんか、そういう人がいると、こっちにまで影響しそうでちょっとねえ」

三人が間髪をいれずに唯をなじっていく。
一理あることはあるかもしれないけど、そんなの私たちの勝手だ。
私は、唯にいうべきことはちゃんといってるし、こいつらに言われる筋合いはない。

「そういう人、連れ合いに選ぶ田井中さんもちょっと、どうなのかしらね」
「早いとこ、しっかり更生させてね。見ていると、いらいらするのよ」
「どうかしら。慌ただしいってことは、夫婦間の会話もあんまりないんじゃない?」

ずきっと、図星をさされた。
何も言わない私に追い打ちをかけるように、さらに三人は続ける。

「あらー、かわいそうに。せっかく家を買ったのにねえ」
「ローンを返すために、ただ働くだけが役割じゃないわよね、夫は」
「そうね、近頃は家事とか育児とかもやって当然だって言うし……あっ」

リーダー格の主婦が、わざとらしく口に手を当てた。


650:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:16:28 2aJPDJmB
「ごめんなさいねえ。育児は、必要ないものね」
「えっ、どういうこと、どういうこと」

脇にいるやせぎすの主婦が、はしゃいだようにリーダーの主婦の方を向く。

「だって、ほら、ねえ、女性同士じゃ、子供なんて生まれないしねえ」
「あ、そうね。表札の名字も、別々だものね、同姓婚って禁じられてるし。旦那さんは平沢でしょ?」
「え、女性同士だったの。じゃあ、夫婦でも何でもないじゃない、単なるルームシェアっていうものかしら?」

知っていたくせに。唯が、女だということを。
体が、がちがちと震えて、動かない。

「ねー、実際にいるのね、そういう人たち。理解できないわ、何が楽しいのかしら」
「想像できないわ。それで、妻とか、旦那とか……なんかね」
「そういうのって、一瞬の気の迷いでしょ。熱病。どうせすぐ飽きて、普通に男性とくっつくものなんじゃないの?」

分かっていた。普通に、受け入れられる人間なんて、少ないということくらい。
分かっていて、どんと構えているつもりだったのに、それでもどんどん心が削られていく。

「もう破綻するんじゃない? 会話がないって、結構致命傷だもの。それに、あんなだめな感じの人じゃ、どっちみちね」
「だめな人ほど、あっちこっちに気持ちが行くし」
「家を買うの、もう少し待てばよかったのにねえ」

三人は好き勝手に言い散らし、ふふん、と鼻息荒く横を通り過ぎていった。
私はうなだれたまま、しばらくそこから動けなかった。
お前らに何が分かる。唯の、何を知っているんだよ。女同士の、私たちのこれまでの関係の何が分かるっていうんだ。
唯は旦那だし、私は妻だ。そんなの、当たり前だ。
心の中ではいくらでも言えるのに、悔しくて悔しくてしょうがなかった。
なのに、それらの言葉を口に出して言えなかったのは。「何をそんな、くだらない」と笑い飛ばすことができなかったのは。
心の中で密かに感じていた色んな心配や不安を、言い当てられたような気がしたから。
気丈だと思っていた自分が、こんなにもろいなんて、知らなかった。



651:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:19:10 2aJPDJmB
机に突っ伏したまま、かなりの時間が過ぎた、と思う。
昼ごはんは、とてもじゃないけど食べられなかった。このままじゃいけないと思って、何とか体を動かして、夕食を作り、七時に出来上がった。
いつもは、唯が帰る時間に合わせて作っていたけど、何か体を動かしていなければ、気がまぎれなかったから、特に何も考えずに黙々と料理をしていた。
作ったら、すぐに食べた。初めて一人で食べる、夕飯だった。
唯に悪いな、という気持ちは、少しはあった。でもそれ以上に、とにかく口に入れなければ、もたなくなると思った。
食べ終えたら、暇で、何もすることがなかった。
何でだろう。昨日までは、そんなことを感じなかったのに。
唯と一緒に食べたり、話すことを楽しみにしていれば、いくら遅くなったって待つのは苦じゃなかった。
ふつふつと、朝の悪意のある言葉が、蘇ってくる。
唯をバカにし、私たちを否定した言葉。
私は、頭を振って、その考えを消そうとした。
やめろ。こんな風に悩んでたら、ますますあいつらの思うつぼじゃんか。
それでも、どんどん心が苦しくなってくる。
どれくらい頭を抱えていたんだろう。不意に、インターホンの鳴る音がした。
ゆっくりと立ち上がり、受話器を手に取る。


652:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:19:47 2aJPDJmB
「……はい」
『わたしだよー』

ふと時計を見ると、十一時を回っていた。
唯のお気楽そうな声に、ピクリと何かが刺激された。
ドアを開けると、そこには、いつもと同じように、少し疲れながらもにこにことしている唯の姿。
今まではそれに癒されていたはずなのに、少し、気に障った。

「……おかえり」
「ただいまー。うふふ、おなか減っちゃったあ」

私を通り過ぎて、唯はリビングへと入って行った。食卓にラップされた皿があるのを見て、唯がん? と声を上げる。

「あれ、先に食べたんだね」
「……ああ」
「そっかあ。メールしたんだけど……」
「……別に、先に食べたっていいだろ」

投げやりな私の口調に、唯が目を丸くする。
何やってるんだ、私。

「……え、あ、うん。そうだよ、そうだよね」
「先に食べてていいって言ったのは、唯だろ。こっちだって、疲れてるんだよ」
「う、ん。ごめんね、ちょっと気になって言っただけだから」

こちらをうかがいながら、気遣う唯の声。
唯の顔から、いつもの笑みが消えている。
こんな顔させて、どうするんだ。
何言ってるんだよ、私。
それでも、私の中にどんどん嫌な気持ちが生まれていく。


653:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:50:20 uqle3Z77
「り、りっちゃ、りっちゃん」

唯が、おろおろしながら私を見ている。
頬を何かが伝っているのを感じて、私は初めて自分が泣いていると分かった。
馬鹿だ。泣き叫んでる子供かよ、私。
唯がそっと手を伸ばしてきたけど、それを避けるようにして、私は席を立った。

「……もう、寝る」

それだけ言い残し、すぐさま部屋に行き、ベッドに飛び込んだ。
パジャマに着替えもせず、そのまま眠りたかった。
唯は、追いかけてこなかった。追いかけても無駄だと思ったんだろう。
しばらく物音がしなかったけれど、かちゃ、かちゃという食器の音がして、夕飯を食べてくれているんだろうと分かった。それから、水を流す音。いつもは私がしている皿洗い。慣れない手つきで懸命にしているに違いない。そして、水音が止まった。
唯が、ベッドに来てくれないかな、と思った。急に、唯に抱きしめてほしくなった。
こんな、鬱屈とした気分を打ち消すぐらい、強く、強く。
散々に言っておいて、都合のいいことを考える自分が嫌になる。
でも、唯に抱きしめてもらったら、色んな事がどうでもよくなるんだ。そうすれば、また普通の私に戻れるから。いちいちあんなことで、くじけたりなんて、しないから。
だから、早く来てよ。
―それでも、唯は来なかった。
隣がいないベッドは、それだけで、寒かった。


654:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:51:02 uqle3Z77
目が覚めた。
あれだけのことがあったのに、眠れるもんだな、と思った。
涙が乾いて、瞼や頬のあたりがひりひり痛い。顔、洗わなくちゃ。
ベッドの隣は、誰も来た形跡がなく、冷たいままだった。胸が、締め付けられたように苦しくなる。

「……ソファーで寝てんのかな」

ゆっくりと体を起こし、ふと時計を見ると、もう八時を回っていた。

「えっ!」

初めての寝坊だった。慌てて、リビングに向かう。
何やってんだよ、私。こんなこともできなくて、唯に文句ばっかり。

「……唯!」

中には……誰もいなかった。
ソファーの上に、毛布がたたまれて置いてある。
ちゃんと起きて、会社に行ったんだろう。玄関に置いてあったごみも、なくなっている。
遅刻しなかったことにほっとしながらも、唯が私に何も言わずに出ていったことに、強いショックを覚えていた。

『りっちゃん、いってくるね~』
『おー、しっかりな』

昨日は、こんな風に言葉を交わしていたのに。
唯も、さすがに怒ったんだ。
そりゃそうだよな。疲れて帰ってきて、急に脈絡もなくキレられて。
私に、呆れたんだ。
もし、このまま帰ってこなかったら。
その考えを打ち消すように、頭を左右に振る。
考えたくない、そんなこと。


655:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:51:30 uqle3Z77
ふと、食卓に何かが置いてあるのを見つけた。
ラップされた皿が、いくつか並んでいる。
一瞬、昨日の夕飯を置きっぱなしにしたのか、と思ったけど違った。
私がいつかの朝食に作った、卵焼き、ほうれん草のおひたし、塩鮭がそこにあった。キッチンを見ると、炊けたばかりなのか、炊飯器から水蒸気がふき出していて、コンロにはちゃんと朝食用のみそ汁が入った鍋が置いてある。

「これ……唯、が?」

よくよく見ると、私が作るものよりも不格好だったけれど、それでもきちんとできていた。
卵焼きの皿の隣に、書きおきのような紙がある。
手に取ると、見慣れた丸っこい唯の字が、走り気味に記されていた。

“りっちゃんへ”
“昨日は、ごめんなさい。ううん、いっつもごめんなさい、だね”
“情けないんだけどね、昨日りっちゃんに言われて気付いたんだよ、りっちゃんが、いつもどれだけ精一杯がんばってるかってこと”
“家事は完璧だし、人づきあいも上手だし、何より、だらだらしてばっかりの私と、いつも一緒にいてくれる。見捨てずに、「唯、大丈夫か?」っていつも心配して、気遣ってくれる”
“私にとって、りっちゃんは、大事な大事なスーパーかっこいい奥さんです”
“なのに私は、怒られてばっかりで仕事もあんまりできないし、すぐだらけて寝坊してりっちゃんに迷惑かけるし……だめだめだね”
“りっちゃんの優しさに甘えて、それが普通になっちゃったんだね”
“だから、りっちゃんが疲れていることにも、気付けなかったんだと思う”
“お皿洗いとか、朝食作りとか、やってみてどれだけりっちゃんが大変だったのかっていうことが、すごくよく分かったよ。”
“りっちゃん、これからは、私もちゃんと家事をやります”
“ごみ置きはもちろん、皿洗いとか、ご飯作りとか、もろもろ全部頑張るよ!”
“今まで、気付かなくてごめんね。何もしてこなくて、ごめんね”
“少しでも、りっちゃんの負担が減るように、がんばるから”
“だから、これからも迷惑かけちゃうかもしれないけど、ずっと、私の奥さんでいてほしいです”

“唯より”

“P.S 書きたいことありすぎて、書いてたら食べる時間無くなっちゃったよ!”
“ちゃんと、時間配分も考えなくちゃだめだね。だから、りっちゃんの朝ごはんは手つかずの新品だよう。”
“それじゃ、いってきます!”


656:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:53:04 uqle3Z77
私は、書きおきをもったまま、しばらく動けなかった。
それからゆっくりとご飯やみそ汁をよそい、食卓についた。
卵焼きや塩鮭は、作ったばかりなのかまだ生温かかった。
口に運びながら、ぽたり、ぽたりと涙がこぼれて止まらなかった。

「うっ、ふあっ……ゆ、いいぃ」

とびきり美味しいわけじゃないけれど、一生懸命作ったということが伝わってくる。
朝から夜遅くまで働いて疲れているのに、皿も洗って、ろくに眠れていないだろうに、苦手な早起きまでして、慣れない朝食を作って、遅刻しないように家を出て。
すごくすごく大変だったに違いない。
唯は、これだけしてくれているのに。
私は、疲れている唯に勝手にやつあたりして、すねて眠って、自分の家事を放棄しただけだ。

「……どっちが、だめな奴なんだよ……」

しゃくりあげながら、全部をぺろりと平らげ、また書きおきを見た。
唯は、私があいつらに何言われたかとか、全く知らない。
唯がだめな奴だと言われたことも、私たちの関係が一般の夫婦と違う、異様なものだとケチをつけられたことも。
全然知らないのに、唯は、あっという間に全部解決してしまった。
なら、私もちゃんと決着をつけなきゃいけない。
私は唯の、奥さんなんだから。



657:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:53:52 uqle3Z77
ごみ置き場の前で、しばらく待っていると、あいつらがやってくるのが見えた。
あいつらも私を見つけ、「あら」と声を上げて胡散臭い笑みを向ける。
負けてたまるか、こんな奴らに。

「あら、おはようございます、今日は偉いわね」
「……何がですか」
「えーっと、平沢さん。久しぶりに見たわ、ごみ置いて行くところ。田井中さんが、しっかりとしつけておいたのかしら」

あいつらは、唯のことを、もう旦那とすら呼ばなかった。

「お生憎。ちゃーんと旦那は自分から置いて行ってくれましたけど」
「あ、あらそう。ちゃんと更生できたっていうことね」
「更生もなにも、あいつは、ちゃんとできる奴だし。もともとな」

私からの思わぬ反撃に、あいつらはわずかにたじろいだ。

「あいつさ、いいかげんでだらだらしているように見えるけど、まあ、だらだらしているときもあるけど、人のことを想って行動できる奴なんだよ」

じっと睨みつけてやると、さらにあいつらは慄く。

「私のことを、誰よりも愛してくれて、私のためにむちゃくちゃ頑張れちゃう奴なんだよ」
「で、でも、だめであることには変わりないわよ?」
「だめ? 何言ってんだよ、これが一番夫婦にとって大切なことじゃん」
「ふ、夫婦って……ふん、何言ってんの。別に夫婦でも何でも……」

まだ食い下がろうとするベテラン主婦集団に、ずい、と近寄る。


658:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:54:46 uqle3Z77
「誰が何と言おうと、私たちは夫婦だ。これからもずっと一緒にいる二人、っていう意味だったら、別に他の呼び方しても構わないけどな」
「そ、そんなのすぐに別れるに決まって」
「別れねーよ。別れるわけがないし」
「そ、そんなの」
「唯は、だらだらしているけど、でも、私にとっては、世界一の旦那なんだよ」

すっかり言い返す気力もなくなった主婦集団に、にやりとしてみせる。

「あいつ以上に、私のこと考えてくれる奴がいるんなら見てみたいよ。でもって、唯にとっても、私は、大事な奥さんなわけ」

言葉を切り、再度睨みつける。

「お前らに、唯の何が分かる。私らの何が分かるんだよ。もう、二度と関わってくるな」

一瞬、沈黙があり、主婦集団は、ぶちぶち文句をたれながらも、すごすごとその場を立ち去って行った。
言ってやった。言ってやったんだ。
これからも、受け入れられないことはあるだろうけど、それでも私たちは私たちだって、思えるから。

「近所づきあい悪くなったら、唯のせいだぞー?」

言葉とは裏腹に、私はくくく、と笑って、家に帰って行った。


659:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:55:39 uqle3Z77
唯が帰ってきたら、謝ろう。
私は、買い物に街へと繰り出しながら、そう決意していた。
やつあたりしてごめん、ちょっと嫌なことがあったんだ。でも、唯のおかげで、平気だった。こっちこそ、いつも働いてきてくれて、ありがとう。
ぽんぽんと言葉は浮かんできても、実際に言えるだろうか。
もし、唯が許してくれなかったら。
いや、それは無いと信じたい。書きおきもあったしさ。
でも、と自分のした仕打ちを考えると、どうしても不安になった。

「おや、奥さん! こんにちは! よってきなよ!」

振り向くと、肉屋のおっちゃんがにこにこしながら手招きをする。
そういえば、この人は、ずっと私のことを奥さんと呼んでくれていたな。

「今日は、何がおすすめなわけ?」
「ん! いろいろあるけど……やっぱり、ここはチキンだろうよ!」
「鶏肉? 何で? いつもみたいに牛肉じゃないの? ……まあいいや、んじゃそれで」
「あいよお! いやあ、今日は特に旦那さんに夜の方をがんばってもらわないとな! ん?」
「だーから、何で今日なんだって……」

なんか、今日あったっけ? と考えても、思い出せない。
おっちゃんは、にこにこしながら、鶏肉を詰める。
ずいぶん立派な骨付きの肉だ。どう料理しようかな。
おわびをこめて、思いっきり豪勢にしてやろうか。


660:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:56:12 uqle3Z77
「はいよ!」
「あ、サンキュ。これ、代金」
「まいど! 今日は旦那さんと仲良くな!」
「いっつも仲いいよ……あ、でも今は」
「ん? ケンカか?」
「……私が、一方的に怒っただけなんだけど。あの、さ」

ん? とおっちゃんが目を向ける。
言ってみたくなった。私を、奥さんと呼ぶ人に。

「あのさあ……うちの旦那って、女なんだよね」
「えっ」
「あ、ひくよなひくよな、ごめんなおっちゃん、何でもないから」

そそくさと立ち去ろうとすると、「そうかあ」というのんびりとしたおっちゃんの声が聞こえた。

「え、ひかないの?」
「んん、のろけられるくらいラブラブなんだったら、文句なしだろうよ」

驚いて、おっちゃんの目を見る。

「旦那さんは、奥さんにそんなに思われて幸せもんだな、っていっつも思ってたんだよ。だから奥さん、そんなケンカしちゃいけねえよ」
「う、あ、うん」
「そんだけ思っていれば、すぐに許してもらって、仲直りできるよお。ほれほれ、今日は特別な日だしな」
「だーから、何の日だっつーの……」

呆れながら、おっちゃんに軽く会釈をし、家に向かった。
こういう人もいるんだ。
それだけで、足取りは軽くなった。早く、唯に会いたくなった。


661:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:57:04 uqle3Z77
「……よし」

焼いた骨付き肉に、特製のソースをかけて、とうとう夕飯ができあがった。
ミニハンバーグとか、サラダ、他にも唯の好きな私の料理をたっぷり。
それで、謝るんだ。で、ここ最近話せなかった分、唯とたくさん話して、食べて、盛り上がって。……エロいことも、できたら、な。
時刻は七時三十分。唯は今日、早く帰ってくると言っていたから、そろそろ頃合いだと思って、間に合うように作った。
でも、ちゃんと帰ってくるかな。もしかしたら気が変って、やっぱり今日は遅く帰る、なんてことになるかもしれない。
それでも、今日はいくらでも待つつもりだった。
エプロンを外して、一息付いていると、がちゃがちゃ、という鍵が開く音がした。
なんだなんだ、と玄関先にやってくると、ドアが勢い良く開いた。

「りっちゃあああああああん!!!」

ものすごい叫び声と共に、唯が私めがけて勢いよく飛び込んできた。
私は思わず体勢を崩して、倒れそうになったけれど、すんでのところでこらえた。
唯は、私の服をつかんで、うつむいている。

「ゆ、ゆい……? あ、あのさ、私ごめ」
「ごべんねえええ!! ごべんねえ、りっちゃあああん!!」

ううう、と唸る唯の顔を見ると、ぐしゃぐしゃに泣いていた。

「と、とりあえず落ち着け」
「ぐすんっ、ひぐっ、だってえ」

唯は私からいったん離れ、涙をぬぐいながら、言葉を続ける。


662:名無しさん@秘密の花園
10/12/31 23:57:39 uqle3Z77
「りっちゃんっ、ごべ、ごべんなさいっ……か、紙にも書いたけどっ、り、りっちゃんが疲れてること分かんなくてっ」
「……ああ、見たよ。でも、そういうことじゃなくて、私がわる」
「わ、わたし全然だめでえ……り、りっちゃんはスーパー主婦なのにっ……」

……スーパー主婦って、なんだよ。

「り、りっちゃんただでさえ疲れてるのに、私何にもしてなくてっ……今日会社行ってても、そのことで申し訳なくって、頭がいっぱいでっ」

……ばーか。

「りっちゃんは、私の大事な奥さんなのにっ」

その言葉に、温かいものが胸に広がる。

「大事な奥さんなのに……大事にしたいのに……全然、できてなかったっ」

唯が、パッと顔を上げる。私と目が合うと、いっそう瞳に涙が溜まっていく。

「ごめんねっ、これからは、もっと私頑張るから、だから、嫌いにならないでっ……愛想尽かさないでえ……」

思わずそれを聞いて、ぷっと吹き出してしまった。

「な、何で笑うのお……」
「ふ、ふふ……いや、なんか唯見てたら、色んな事どうでもよくなってさ」

きょとんとする唯に、ふっとほほ笑みかける。
ばかだな、もう。ばかでばかで、どうしようもない奴。

「……私の方こそ、愛想尽かされるんじゃないかって、不安だった」
「え、ええ!? な、なんで私がりっちゃんを? そんなの、ありえないよお」
「唯は、ちゃんとやってるよ。ときどき、だらけるときもあるけど。でも、頑張ってるのは私が一番よく分かってる」
「え……りっちゃん……」

唯が、まっすぐ私を見つめてくる。
私も、言わないとだめだ。自分の情けないところを。


663:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:02:22 HVq6Nxrm
「唯、私さ、すげーやなことがあったの。大したことじゃないかもしれないけれど、でも、すごく嫌だったんだ」
「え……ごめん」
「違う。唯と関係……あるかもしれないけど、やなことっていうのは唯のせいなんかじゃない」
「よ、よく分かんないけど」

唯は少し戸惑っているようだったけれど、唯が私を嫌な気分にさせたんじゃないってことが分かればオーケーだ。

「そのやなことっていうのが頭に残ってて……家に帰ってきた唯に、思わずさ、その、八つ当たりしちゃったんだ」

ふう、と自嘲気味に息を吐く。

「最低だよな、私。勝手に八つ当たりして、すねて、唯に余計な気使わせて。……だから、私こそごめん。唯が謝る必要なんてないんだよ。私が悪いんだ」

唯に、頭を下げた。
そんなことで、と呆れられるだろうか。怒られるだろうか。
どっちでも、受け入れるつもりだった。
すると、私の頭に唯の手がのって、そのまま撫でられた。
驚いて顔を上げると、唯が優しい笑みを浮かべている。

「……りっちゃん、やなことっていうのは、もう解消できた?」
「え、あ、うん。本当に、唯見てたら、気にならなくなった」
「そっかあ。なら、よかった」
「唯……怒って、ないのか?」
「ええ? なんで? いやあ、私がりっちゃん手伝えていないのは事実だし」
「だから、それは口が滑っただけだって。私、勝手に八つ当たりしたんだぞ、なのに」

言い募ろうとすると、そっと唇に指を当てられた。


664:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:07:57 HVq6Nxrm
「私とりっちゃんは、夫婦だよ? 八つ当たりだろうと、わがままだろうと、全部ぶつけていいに決まってるじゃん」

むしろ、ぶつけてください! と唯が照れ隠しに敬語でふざける。
なんか、ほんと、どうでもよくなってくる、唯を見ていると。

「……そーだよなー。唯、ごみ置きさぼってるしー」
「う、そ、それは、わがままということで」
「いや、単なるさぼり」
「そ、そんなあ」

くす、と思わず笑みが漏れる。すると、唯もつられて笑う。
この空間が好きだ、本当に。

「……唯、今朝の朝食だけど」
「え、あ、うん! りっちゃんをまねてみたんだけど」
「まず、鮭焼き過ぎ」
「あう、生焼けよりはいいと思って」
「限度があるだろ……卵焼きはカラが入ってた」
「上手く割れなくて……」
「ほうれんそう、灰汁取りきれてない」
「い、急いでて、ゆできれませんでした……」
「みそ汁は普通。ごはんだけは……ちゃんと炊けてたけど」
「えへ、りっちゃんがごはん好きだから、がんばったんだよ。1,2,3,4ごーは」
「調子に乗るな」
「いた、あ、なんか久しぶり」

笑いながら、頭を押さえる唯。お前はМか。

「総合評価は、だめだめ。早起きしてごみ置いたのも今日だけだし、やっぱり唯はいろいろだめだめ」
「うう、さっきは、ちゃんとやってるっていってくれたのに」
「本当にダメな奴だけど、私がいなきゃどうすんだって奴だけど」
「た、確かに、うん」
「でもな。私にとっては、世界で一番の旦那なんだよな」

思わず頬をかく。すると、少しの衝撃と共に、唯が私に飛びついてきた。
そのまま、苦しいくらいにぎゅうぎゅうと抱きしめられる。

「り、りっちゃんこそ、私にとって、世界一の奥さんだよっ……!」
「当たり前だろ。このりっちゃんさまだぞ? 世界一のお前の奥さんに決まってるじゃん」
「うー、否定できない……」
「ふふん。さ、世界一の奥様が作った料理があるから、早く食べるぞ」

唯から離れようとすると、唯はがっちり私をホールドしたまま、動かない。


665:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:08:49 VELRK3RX
「唯? 動けねーって……」
「ごめんね、せっかくの料理だけど、ラップしといて」
「あん? 食わないの?」
「先に、食べたいものがあるんだけど」

なに、と訊こうとすると、いっそう強く抱き寄せられた。

「ねえ、律」

唯が耳元でそっと囁く。唯の表情は、見えない。
“そういうこと”の前に、唯は私を名前で呼ぶ。つまり……。

「……触りたいな、だめ?」

ね、律、と唯が続ける。
ずるいよ、唯。
唯が私を名前で呼ぶたびに、一気に周りの空気は甘くなるんだから。

「……いいよ、私も、触られたい」

もともと、そういうつもりだったし。
私も唯も、ずっと、お互いが足りなかった。
ぎゅっとしあって、すぐに、二人の足は、寝室に向かった。


666:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:10:24 HVq6Nxrm
はあっ、という息とともに、私の欲が解き放たれる。
もう、六回目、ぐらいか。唯は、もう少し少ないかもしれない。
唯も、私に覆いかぶさり、ぴったりと肌をくっつけながら、はっはっと短く息を吐いていた。
汗とかいろんな水滴が混じったもので、シーツはぐっしょり濡れている。
肌をすり合わせると、ぬるっとして、体の奥が甘く痺れた。
やばい。高まりすぎ?
唯のことを「サカってる」とか馬鹿にできない。
お互いに積極的に「お・さ・か・ん」状態になって、気付けばあっという間に回数を重ねていた。
もうできない、って思うけれど、唯がふと身じろぎして、唯の胸の突起と、私のそれがこすりあった。んくっ、と突然の強い刺激に思わず声を漏らす。すると、またむくむくとやましい気持ちが立ちあがってくる。
いっつも、行為の続きを促すのは、唯の方。それに付き合ううちに、私ものってきて、っていうのがパターン。
追いつめられると、唯が促す前に、私から続きをねだることがある。
一回、死ぬほど恥ずかしい思いを我慢して声に出していったら、散々唯にからかわれたので、それ以来、無言で唯に伝えるようにしている。
私に覆いかぶさる唯の髪を、きゅっと軽く引っ張る。これが、「もう一回、して」の合図だった。
まだ、足りない。もう少し。
想いをこめて、そっと唯の髪に手を伸ばす。触れるか触れないか、というところで、急に唯が、「あっ!」と飛び起きて、裸のままベッドから下り、傍に置いていたバッグから、携帯を取り出す。
一瞬で、甘い空気が壊れた。
こっ、このやろおおおおっ!!!!
何だよ、私のこと放置かよ! つーか、この手どうすりゃいいんだよ!
なけなしの勇気返せこらあッ!
散々心の中で悪態をついていると、唯が「ああっ…」と情けない声を出した。


667:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:12:07 HVq6Nxrm
「ど、どうしようりっちゃん」
「……あー? こっちは今不機嫌なんだよ」
「レストラン予約してたの、忘れてた……」

今キャンセルするね、と手際よくボタンを押して、耳に電話を当て、謝りながら二言三言いい、電話を切った。
レストラン? 何のことだよ?
首をかしげていると、唯はまた「あああ!」と声を上げた。
どうしたんだよ。裸で電話握りしめてるとか、シュールだな。

「ぷ、プレゼントも取ってくるの忘れた……」
「ぷ、プレゼント!?」

思わず素っ頓狂な声が出る。いや、意味が分からない。

「ごめんね、明日必ず……」

そういって、涙目で振り返る唯。
いやいや、お前はその前に、服を着ろ。変な画になってる。

「唯、私の誕生日は夏だぞ? こんな十二月とかじゃ」
「知ってるよ? え、りっちゃん、覚えてないの?」

え? いや、唯の誕生日は十一月だし……。なんだ?
あっ! そうか、肉屋のおっちゃん、こういうことか。

「そうか、今日はクリスマスイブか」

納得しながら頷く私。唯は、このために早く帰ってこようとしたんだな。
唯の方を見ると、唯は、若干の苦笑いをしていた。
え、なんで?

「それもそうなんだけどね、それだけじゃないよ?」

唯は体ごと私の方に向き直り、私を見つめる。
やましい気持ちになるから、せめて前は隠してくれ。

「私たちの、記念日」

照れながら言う唯に、私は一年前の今日を思い出した。


668:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:12:43 HVq6Nxrm
12月24日。
カップルのご多分にもれず、私たちもイブのデートっていうのを楽しんでいた。
ほお、と息を吐いて、手を温める唯。
普通ならここで手をつなぐところだけれど、生憎人目が多いから。
でも、見ていられなくて、唯の手をつかんで、人気のないところに移動した。
さりげなく手を動かして、唯の手首に触れる。
白く、細い。これなら、大丈夫か。

「りっちゃん」

唯を見ると、手をつないでいるからか、頬を少し染めていた。
さりげなく手を離すと、唯はバッグをごそごそし始めて、包装された箱を取り出した。

「プレゼントだよ」

開けていいか、と訊くと、頷いたので、リボンを解いて箱を開ける。
中には、スワロフスキーが並んで綺麗な、カチューシャが入っていた。
ちなみに今も、毎日これをつけている。

「……サンキュ。高かったろ?」
「えへ、カチュー太が、りっちゃんのところまで連れて行って! っていうから、奮発しちゃった」
「早速名前をつけるな! ……でも嬉しいよ、ありがとな」
「いえいえ」

私も、と包みを取り出し、唯に渡す。開けてみて、といい、唯は中に入っていたものを取り出した。

「……これ、腕時計! わあ、すごい。これこそ高いんじゃ」
「いいの。社会人には必須アイテムだぞ? 使ってくれよ。……ん、似合う」

唯は手首が細いから、問題なく似合った。ちなみにこれも、唯は毎日付けて出社している。
へらへらと喜ぶ唯を見つめていると、唯が、急にはっとなり、うつむいた。
どうしたのかと思って覗きこむと、唯は目をそらし、顔を赤くして急にあわて始めた。

「ご、ごめん。ちょっと待ってね」
「? いいけど」

唯は背を向け、ふー、ふー、と深呼吸をする。そして、覚悟を決めたのか、振り返って、私にずんずんと近寄り目前にまでやってくる。

「な、なんだよ、どうした?」
「……りっちゃん」

唯の真剣な声色に、こっちも真顔になる。

「あの、もうひとつ、りっちゃんからプレゼントが欲しいんだけど」
「もうひとつ?」


669:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:13:23 HVq6Nxrm
こくりと頷く唯。なんだか調子が狂う。唯らしくないぞ、もじもじしちゃって。
あ、もしかして、プレゼントって、あれか?
キスか……まあ、エロいこと。
そんなのいつもお構いなしにしてくるくせに、どうして今?

「プレゼントしたくなかったら、しなくていいから」

何もかも唯らしくない。
いっつも結構強引にするくせに。
つーか、……したくないわけないだろ。

「する、するって」
「……りっちゃんが考えてるのとは、違うよ、多分」

訊き返そうとすると、急に唯が抱きついてきた。
唯は私の肩にあごを乗せ、きついくらいに抱きしめてくる。私も、唯の背中に手を回す。
すごく、温かい。唯の匂いだ。
唯と一つになったような、感触を覚える。

「……どうした、唯?」
「……」
「んー?」
「……あのね」

唯が顔を上げ、キスできそうな距離で、私をじっと見つめる。
そこには、キスも、それ以上のことも、浮かんでいないと分かる表情の唯がいて。
真剣な目に、心が射抜かれそうだった。

「私、これまで、りっちゃんの人生を、時間を、少しもらってきたけど」

だいぶ頂かれているけどな。
それだけ、唯の存在はでかい。

「りっちゃんのこと、大事にするから。ずっと、大事にするから」

唯の目の中に、私が映っている。
それくらい、強く見つめ合っている。

「りっちゃんが欲しいの」

時間が止まったかと思った。

「これからの、りっちゃんの人生、私にちょうだい。これからも、ずっとりっちゃんと一緒にいたい」

心臓の鼓動が、早くなる。それって……。

「私に、りっちゃんをください」
「……ぷろ、ぼーず?」

聞くと、こくっと真っ赤な顔で頷く。


670:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:13:51 HVq6Nxrm
「せ、籍とかは入れられないけど、そ、それでも」
「……うん」
「……ご、めんね? あ、あは、ごめんね! 欲張りすぎたかもー。何でもないや、忘れて忘れてほらっ」

離れようとする唯を、逃がさないように抱き寄せる。

「りっちゃん……?」
「ほんと欲張りだな、唯ってば。この上さらにプレゼントってさ」
「うう……でも」
「重いぞー? このプレゼント」

お茶らけた口調で言うと、唯が少し目を丸くする。

「ちゃんと受け止められる?」
「え、……も、もちろん! ごっつあんです!」
「面倒くさいこともあるかもしれないぜ?」
「そういうところがいいの!」
「なーんだよ、それ。じゃあ……」

唯に微笑む。イルミネーションなんかより、私の心が、すごくきらきらしている。

「しょうがないな。……あげる。大事にしろよ」
「り、りっちゃ……うわああああん!」

叫んで私の肩に顔をうずめ、唯は盛大に泣きじゃくった。
あとで聞けば、断られたら、切腹してしまいそうなほどに緊張していたらしい。
他の奴から言われたら、即お断りだけど。
でも、唯から言われた時、唯と一緒にいつまでもいる場面が、するりと簡単に浮かんできたから。
私は、唯とずっと一緒にいるんだろうなって、思えたんだ。
それから、翌年の私の誕生日に、ムギの家を借りて、結婚式代わりのパーティを内輪で開いた。
交換した指輪は、安物だったけれど。でも、すごく幸せだったな。


671:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:14:32 HVq6Nxrm
「結婚記念日はりっちゃんの誕生日だけど、実際に二人で一緒になろう、って決めたのは今日だから、私にはこっちの方が記念日っぽくて」

唯が幸せそうな顔で、話しかけてくる。
忘れていたわけじゃない、忘れていたわけじゃない。
けれど……唯がそこまで、今日という日を大切に思ってくれていたのは、知らなかった。

「……なんか、ごめん」
「いいよお、別に。私も、いろいろ忘れちゃったし」

レストランで食事をして、プレゼントを渡して、と思っていたらしい。

「こうやって、一年りっちゃんと一緒にいることができたから。また、来年も、再来年も、ずっとよろしくっていう意味で、準備してきただけなんだけどね」
「……すごい、罪悪感がたまってきた」
「いいよ、プレゼント渡せなかったし。明日、取りに行くね」
「ところで、プレゼントって、なんだったんだ?」

聞くと、唯は少し恥ずかしがって、いったん間をおいてから答えた。

「……指輪だよ。ほら、ちゃんとしたの、まだ渡していなかったから。だから、がんばっちゃった。奮発したよ」
「も、もしかして、最近ずっと残業だったのは……」
「うん。いろいろ仕事ひきうけて、残業代稼いでたんだよ。あ、まあ、本当に叱られただけのときもあったし、指輪の下見に行ってた時もあったけど」

えへへ、と頭をかく唯に、いとおしさがこみ上げてきた。
いいかげんなようで、ちゃんと相手を想えるところ。
……見る目あったな、私。
やっぱり、私にとって、唯は……。


672:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:15:08 HVq6Nxrm
「でも、残業して、こっちに色々心配かけたのはホントだからな」
「はっ、う、うん」
「……罰として、もう一個プレゼントくれ」
「もう一個?」

首をかしげる唯に、そっと近づき、抱きすくめる。
肌が擦れ合って、気持ちいい。
心臓がどくどく鳴っている。

「唯が欲しい」

はっきりと、届くように伝える。

「唯と、ずっと一緒にいたい。私に、これまでも……これからの分も、全部、唯の人生を私によこしてほしい。大事に、するから」
「……お、重いよー? あ、あと、めんどくさいかもしれないし」
「そんなん、百も承知」

言い、唯をまっすぐ見つめた。唯は、ふふ、とほほ笑み答える。

「じゃあ……もらって?」
「ああ。つーかとっくにもらってるけどさ」

二人で笑い、きつく抱いて、お互いの体温を確かめあう。
しばらくそのままでいると、唯がまた「あっ」と声を上げた。
ムードぶち壊しにするのも、ほどがあるぞ、唯。
けれど、唯はさっきのように動いたりせず、さらに私を強く抱きしめる。


673:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:33:30 VTxc8g9X
「正夢だあ」
「んー?」

唯の唐突な言葉に、疑問で返す。

「正夢になったよ、ほら、いつだったか、りっちゃんに起こされたときに見ていた夢」

言われて、いつかの唯の言葉を思い出す。
『あのねえ、りっちゃんがねえ、私に裸でしがみついて、すっごく甘えてきたんだよお』
『「唯が欲しい、唯とずっと一緒にいたい」っていってねえ、もーう、すんごくかわいかったんだからあ』

「……あ」
「ね? うふふ、嬉しいなあ」

本当にうれしそうに、唯は私に頬ずりをする。くすぐったいっつの。
そういえば、今……私と唯は、その、真っ裸で抱き合ってるわけで。
今さらながらに気付いて、体中が熱をもったような気がした。


674:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:34:01 VTxc8g9X
「なあ唯」
「んん?」
「夢、どこらへんで終わったんだ?」
「え? えーと、いいところまで?」
「つまり、今らへん?」
「そーう……かな?」

クエスチョンマークが浮かんでいる唯に、にやりとする。

「それで? もしもっと寝ていたら、それから夢でどうするつもりだったんだ?」
「ぐふふ。そりゃあ、りっちゃんを好きにし放題で……」

といったところで言葉を切り、私に殴られるかと思ったのか、唯は頭を抑える。
攻撃が来ないことが分かると、唯は、おそるおそる目を開けた。

「正夢なんだろ? だったら―」

そっと、唯の髪を引っ張った。
唯と私にしか分からない、秘密の合図。

「―続きも、叶うんじゃねーの?」

一拍の沈黙の後。

「ふええっ!? い、いいの?」

珍しく慌てふためく唯に、これはいいものが見れた、と得意な気分になる。

「私を、どうしたかったんだっけ?」
「……す、好きにし放題」
「……じゃあ、そうすれば?」

言うと、「りっちゃあああん! エロス!」とわけのわからないことを言って私に抱きつき、すぐさまベッドのシーツに私の体を押し付けた。
二人でくすくす笑いながら、お互いの体に触れ、さらに甘い夜に突入した。
一年たっても、相変わらず私たちは、幸せだった。


675:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:34:48 VTxc8g9X
今日も唯は慌ただしく出ていったけれど、ごみは置きに行ってくれた。
最近は、ほとんど唯が行っている。ときどきあの主婦集団とすれ違うようで、「おはようございまあすっていったら、なんかたじたじになりながら挨拶を返されたよ」と唯が教えてくれた。それを聞いて、私はものすごくせいせいした。
玄関前の掃除にでる。すると、表札が目に入る。

平沢  唯
田井中 律

私は、そっと田井中の部分を左手の指で隠した。

               平沢  唯
                   律

なんでか、嬉しい気分になって、赤くなっているだろう頬に左手を当てる。
薬指には、イブの翌日、唯と一緒に取りに行った指輪がはめられている。
とても幸せな気持ちになって、その場で唯にはめてもらった。
少し怪訝な目で見られたけど、全然気にならなかった。
これは、ずっと付けている。ずっと、ずっと。
掃除を終えて、そうだ、とあることを思いつく。

来年のイブには、私から唯に指輪を贈ろう。

私は家に入り、今日も唯の帰りを楽しみに待つ。

おわり


676:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:41:12 VTxc8g9X
ちょ、超投下ミス!
>>652>>653の間にこれが入ります

「すごい、疲れてるんだね、りっちゃん」
「……見りゃ分かるだろ」
「ご、ごめんね」

座ったまま動かない私を見て、萎縮して小さくなった唯は、ラップをされた皿をもって電子レンジに向かった。ぴ、ぴ、と電子音が聞こえる。
料理も、温めるのも、ほとんど私がやってきたから、唯は家の電子レンジの操作に慣れていない。試行錯誤しながら何とかやろうとしている気配が伝わってくる。
唯、大皿のやつは、二分くらいに設定して、他の小鉢はまとめて温めるんだぞ。
ほら、みそ汁も温めないと。一応、いつもどおり上手く出来たつもりだからさ。
言葉にしようとしても、一向に口から出てこない。

「り、りっちゃん。あのね」

少し温めすぎた大皿を食卓に置きながら、唯が探るように声をかける。

「明日、私帰り遅くならないかもしれないんだ」

唯は全部の食器を置いて、席についた。
唯は、この空気を変えようとしているのか、いつもみたいに明るく話そうと努めていた。

「ううん、頑張って絶対早く帰るよ、だからね、明日―」
「じゃあ、何で今まで遅かったんだよ!」

気付いた時には、大声で唯にあたっていた。

「……り、りっちゃん?」
「頑張れば、早く帰れるんだろ!? だったら、今まで何してたんだよ!」

仕事に決まってんだろ、何言ってんだよ、私。

「お前が仕事できないから、ぐだぐだ働いているから、だめな奴だから、叱られたり、無駄な残業が増えてるんじゃないのかよ!?」

唯が、ちゃんと頑張っていること、知ってるよ。

「仕事がだめなうえに、ちゃんとした生活しようとしないし、いろんなとこ私任せにしてるし!」

やめろ、やめろ。
そうは思っても、自分の本音とはかけ離れた言葉が、次から次へと出てくる。

「……自分だけ、気楽な顔して、人のことほっといて。私が、どれだけ頑張って、どんな思いしてるかなんて、考えてないだろっ……!」

朝に、あいつらにぶつけてやりたかった胸のむかつき。
受け流せばいいのに。ちゃんと、自分の中で、消化するべきなのに。
唯を見た途端、ふいにそれが破裂していく。


677:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:44:36 VTxc8g9X
これで、本当に終わりです
投下ミスとか、IDがころころ変わったりとか、大変ご迷惑おかけしました…
ていうか、年明けたのにクリスマスSSってw
あ、遅ればせながらあけましておめでとうございます

こんな長すぎるSSを読んでくださって、本当にありがとうございました!
2011年も、唯律に幸多かれ!


678:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:45:27 ZC5TFfAQ
乙!
2011年は新婚唯律で始まったぜ

679:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:51:45 b1hllzz4
あけましておめでとう!
2011年もけいおん&唯律・律唯で盛り上がりましょー
とにかく>>677にはお疲れさまとありがとうが言いたい
読んでたら丁度aikoの向かいあわせが流れて、それがまたSSとめっちゃマッチしてたw
同性愛の苦悩とかシリアス展開とかエロとか甘とかほのぼのとかかなり詰まってて萌えたよ!ホントにGJ!

680:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 00:54:22 VYnHy12Y
乙! 今年はいい年になりそうだ

唯律バンザイ!

681:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 02:14:02 SM77CZeZ
乙、中々読みごたえがあった
唯律がもっと盛り上がりますように

682:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 04:36:37 5oyM+VK+

おかげで今年は良い年になりそうだ

683:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 06:54:44 nEoUQLSl
>>677
お疲れさまでした!
新年早々GJな唯律読めていい年になりそうですw


684:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 07:15:23 MViL1CG8
唯律SS職人はレベルが高い

685:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 10:48:47 +ekohCV4
>>677
唯律新婚生活凄く面白かったです!
お陰さまで長くて読み応えも深みもある唯律が今年の始まりになりました。
正夢だったのがなんとも運命的で感動しました。お疲れさまでした!!!!

686:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 12:10:55 n+nVVaBl
なんという力作
素晴らしいの一言だな、乙!

687:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 17:31:47 4J2FMN42
自分を衰退する惑星の生まれだと言い張ってりっちゃんとの子作りを要求する唯と、
忙しくツッコミながらも勢いに押されてエッチはしちゃう律

688:名無しさん@秘密の花園
11/01/01 18:56:20 b1hllzz4
>>687
めっちゃギャグw
って思ったけど真面目に妄想したら萌えた
事後に唯が嘘だよと教えて、仕返しに後日りっちゃんが、マジで身ごもった!って嘘をつくとこまでは考え着いた

689:名無しさん@秘密の花園
11/01/02 01:58:03 DCclvMKL
いまさらだけど支部のothersideって漫画読んでみたら滅茶苦茶良かったわ…
ラフ画だから見辛いけど

690:名無しさん@秘密の花園
11/01/04 00:44:44 AN53P75/
初夢じゃないけど唯律な夢見たよ
嬉しかったから聞いてくれ

跳び箱の裏に唯がいるのわかってるのに、りっちゃんは気付かないふりしてバレーボールをいじってる@体育館倉庫
りっちゃんからのアクションを待ちかねた唯が裏から出てきて、それから二人で跳び箱の上で喋ってたんだけど
暫くして、どれくらい近付くとドキドキするかな?みたいな感じになる(これ多分某バラエティー番組の影響w)
向かい合わせになって、跳び箱の端と端から徐々にお互い近づいてくんだけど、後ちょっとでくっつくってところで
唯「今すごいドキドキしてるけどわかんないよね」
律「顔赤いからわかるよ」
唯「りっちゃんもちょっと赤い。心臓の音聞きたいな」
律「私はまだドキドキしてないぞ」
みたいな感じの会話して唯がりっちゃんの胸に耳をつけるとすっごいドクンドクンしてて、おやおや?な唯にりっちゃんが、
唯が胸に耳当てるからドキドキすんだよってよくわからない言い訳してるところまでがちゃんと記憶のある唯律
文章力も画力もないから形に出来なくて残念だ・・・萌えたのに

691:名無しさん@秘密の花園
11/01/04 01:12:24 qM3vhj69
>>690
時間wwww

692:名無しさん@秘密の花園
11/01/04 17:26:22 NH3RVxu1
萌えました(*´ω`)

693:名無しさん@秘密の花園
11/01/05 01:01:06 Kk5s+kgI
URLリンク(s.cyrill.lilect.net)
転載

支部にもステキな唯律があった

694:名無しさん@秘密の花園
11/01/05 01:05:55 QCkCCSiF
>>693
それだとりっちゃんが死んじゃう…(´;ω;`)

695:名無しさん@秘密の花園
11/01/05 02:28:55 gnvMEYbH
ちょっとりっちゃんのおっぱいがデカイね
唯ちゃんが頑張t


696:名無しさん@秘密の花園
11/01/06 00:24:43 RpBN3Xn/
紬が百合ノートを~ってカップ別のところに置かれてない唯律ものが結構あるんだな

697:名無しさん@秘密の花園
11/01/06 01:01:19 a4w2NL86
>>696
そうか?
あんまり見ないけど
どこで見れる?

698:名無しさん@秘密の花園
11/01/06 06:39:24 eqFSJ/O9
あそこはカプ別に分類するの気まぐれでやってるから
更新履歴のとこから地道に探すしかない

699:名無しさん@秘密の花園
11/01/06 10:35:58 V1BueJFL
そうだよね、スレタイに唯とか律が入っていなくても唯律のSSとかあるし

スレタイで思ったんだけど、ここのSSってほとんどタイトル付いていないよね?
それを皆で考えてみるってのはどうだろう?
もちろん、付けてほしくない人はその旨を言っておくとか

700:名無しさん@秘密の花園
11/01/06 11:12:59 5vbSwySS
おー、良いんじゃね
自分もSS投稿したんだが付けてもらえたら嬉しいよ

701:名無しさん@秘密の花園
11/01/06 12:14:24 a4w2NL86
>>49-55
>>73-76
>>92-97
>>101-103
>>112-114 >>117-122 >>124-128
>>174-182 >>186-189
>>273-288
>>332-335 >>341-342
>>345-346
>>364-374
>>382-388 >>401-409
>>416-417
>>436-443 >>446-452
>>468-476
>>608-609
>>627-635 >>642 >>644-676

2レス以上あるSSをまとめてみた
一行でひとつの作品
題名つけるなら参考に
なんかミスってたらスマン

702:名無しさん@秘密の花園
11/01/06 12:32:33 a4w2NL86
あ、上から七個目
>>272-285だったな

703:名無しさん@秘密の花園
11/01/06 13:35:57 V26X8prm
おお! 見やすくていいな!
>>701-702ありがとう! まじお疲れさま

考えたタイトル候補挙げる→これいいんじゃね? などコメント→多数決式で決定 
→次のSSへ
こんな流れでいいかな
一度にいろんなSSのタイトル考えるとごちゃごちゃするから、順番に決めていく方針
にしちゃうよ
それでは>>49-55からいってみようか

『いちごな二人が止まらない』

いや、これはあくまでも一例です。センスねえ……
んじゃ、ばんばん挙げてくれい



704:名無しさん@秘密の花園
11/01/06 23:38:50 gWuZGOmL
決定とかはいらないんじゃね
つけて欲しくない人もいるかもしれないし

705:名無しさん@秘密の花園
11/01/06 23:47:52 auJ2lk1b
その前に誰かまとめ作ってくれ

706:名無しさん@秘密の花園
11/01/06 23:53:11 V26X8prm
だなー
各自が好きなSS(いくらでも)にいいのが思いついたらタイトルをどんどん
挙げるっていう形がいいんじゃないかな





707:名無しさん@秘密の花園
11/01/06 23:56:23 V26X8prm
途中送信スマン
>>706に続けて
いいんじゃないのかなって、>>704見て思った

>>705
まえまえからまとめつくんないのー? って話はあるけど実現しないよね
結構SSもたまってきたから本当に誰か作ってほしいな

708:名無しさん@秘密の花園
11/01/07 00:15:18 fMzTZLzu
何気に唯がらみのカプで唯律だけないんだよな、まとめ

709:名無しさん@秘密の花園
11/01/07 00:37:12 pWWwrRJR
前スレや避難所も合わせれば結構な数になるよな

710:名無しさん@秘密の花園
11/01/07 01:43:48 XzIqZqmR
他人任せになって悪いけれど、そろそろ何かしらまとめが作られても良い頃だと思う

711:名無しさん@秘密の花園
11/01/07 08:30:19 M89R/WI7
帰ってきたらやってみますわ

先に誰かやってくれんならいいけど

712:名無しさん@秘密の花園
11/01/07 08:34:12 H46LYLAu
>>711
ぜひやってくれ

その間に俺は前スレに
いくつ作品があるのか調べる

713:名無しさん@秘密の花園
11/01/07 09:41:15 XzIqZqmR
>>711-712
宜しくお願いするぜ

俺には何も出来ないから、せめていつ投下出来るか解らんがSS考えてるわ

714:名無しさん@秘密の花園
11/01/07 12:01:51 H46LYLAu
2レス以上ある作品だけ数えたが、
おそらく13個ある

というわけで>>711はあとでよろしく頼む

715:名無しさん@秘密の花園
11/01/07 12:31:05 1tuwPVSL
>>714
乙です
あんまり他CPとかチェックしないから比べられないけど思っていた以上にあるんだね

>>711
お願いします
助かります
そして楽しみにしてる


前述の通りけいおんの他CPチェックしないから唯律だけじゃないのかもしれないけどここの住民はイイ人ばかりだね多分
荒れないし

716:名無しさん@秘密の花園
11/01/07 12:37:46 H46LYLAu
URLリンク(www43.atwiki.jp)

紬が百合ノートをまとめているようです
と同じやつでいいならここでどう?

別にほかでもいいけど

編集には詳しくないからやれる人はやってくれ

717:名無しさん@秘密の花園
11/01/07 12:47:23 bpP4pl8S
>>716
いいんじゃね
だが俺も編集無理だ・・・

だれかやってくれーーー

718:名無しさん@秘密の花園
11/01/07 23:13:09 1tuwPVSL
折角まとめサイト出来たしSSのタイトルに戻るか
個人的に最初に出てた、いちごな二人が止まらないは可愛らしくて好きだな

719:名無しさん@秘密の花園
11/01/07 23:49:13 9sxIv8C1
>>718
同意~かわいくていいと思う
>>49-55は、個人的に「ああだこうだどうだこうだゆいりつさいこうだ」
という台詞が印象に残っているので、これでもいいかも、なんて思った

>>73-76はタイトルっぽいものが付いてるから別にいいかな
>>92-97は難しいな…「あなたと登校したい…」
……いや、すまん忘れてくれ

720:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 00:01:20 8ej1CIX2
>>92-97は…『学校へ行こう』とか

721:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 00:01:28 /fKMgkV8
          -- 、
       /     \                                                 /⌒ ー、
       {,    \/⌒ヽ         ★  元 気 が と り え !! ★           , -く   /  }_
       ノ     /  y-ヘ                                         /   `く  / }
        〈   \'ー-イ  }        ____             _ __        ,′>、_) ´   ヘ
       }\   \ノ  /        ´: : : : : : : :`丶  ジュワ!   / : ノー─‐ 、\_     {    八_ /  }
      {  丶 __ノ  xく.     / : : : : : : : : : : : \:\      / : : 人 ̄:厂/\∨: ト、   \    (__ ∠ /
        \、___ノ イ  \   ': : :/: : :{: : : :ヽ:ト、: ヽ: ヽ、   / : : /⌒^^''ー‐</: : |: :i.   / `丶       /
         丶、_  ノ     \ {: :i :|===∧: : : : :|/\: : : iハ._/: : : ハ        ': : : |: :| /      ーr '´
           ヽ       ヽ: :i :|==/\|八: : :ィ心V|: :l_:} V:/ : /ァ心     / |: : :│:j          /
            .        Vi八:..|Yr心 \|Vソ  : |`Y|:i: : :| Vツ   ィ心、|/: :/ /          /
             、       \: 小弋ソ  .  、、{: :| l.|:i: : リ、、  .  Vツノ.: :厶{
              \      丶ヽ: : ヽ 、、  _   ノ:│ l.|:i: 从   _    、、/:/|       /
                   \        ヽ: : i、 _´ _..イ∨ハ、八i: :/|\  `  _/:/ │     ´
                  丶、    }\| { >く. |  \{ V∨└‐{` ア二 /:/   {   /
                   {> __/   }_} ∨ニ不イ    Y |   rくl∠..__{/|   \/}
       ★祝★         \ /   .}_}  〈ノ|ト、〉   j|│  〈ノY〈    |iii| __{_ノ   ★ワンツー!!★
                     `ー‐<乂_   {儿}   ∧ハ  く/l_ト┘   マ{__...イ/}
                        {_\        / 八 丶 ゚        /〉//ノ
                         ∨\  ___. イ} {\        /} ̄
                               \_匸「  |_广| ヽ/ヽ∧____/|/
                            ヽー{  ̄   V{   |`ト、_|__,,L.ィ´ }
                            Vハ、     {__) ノ‐{       ト''7
                             `く_)      'ー′    ノ゙7
                                           └'

唯律がアニメキャラアワード明るかったで賞1,2位ゲット!
ということで、某スレからかっさらってきた。

722:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 00:14:08 WazMijaY
まとめ作るって言ってくれてた人がいたにも関わらず違う人がwiki立ち上げて編集は全部人任せとか…
人の書いたものにタイトルつける流れも微妙じゃね
うれしい作者もいればよく思わない作者もいるのでは
このスレにはSS読まない人もいる訳だしな
何よりキリがないだろ

723:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 00:49:57 8ej1CIX2
言われてみれば確かに
wiki管理の話がついてからにしたほうがいいかな?

724:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 01:01:45 LWLzWhG6
すまん
まとめサイト作ってくれるって言ってた人と勝手に同一人物かと思った

725:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 01:22:27 Js4XLPc5
>>722
確かに
任せるところは人にちゃんと任せる、やれることはやる
そこら辺きっちりするべきかも

SSのタイトルも今早急に決めるべきもんでもないし、俺個人としては今までタイトルなかったものは別に無題のNo.形式でも構わないと思う
これから投下されるSSもタイトルがあるものはタイトルも載せる、ないものは無題のNo.〇〇、そんな感じの方が混乱もないと思う


726:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 06:32:32 +qYqOh3E
711がまだまとめサイト作ってくれる気があるならお願いして
ダメならとりあえず716のとこを使う方向でいいんじゃない?
今のとこ誰も手をつけられないみたいだし、自分も含めて
誰でも編集出来るのもいいけどある程度管理してくれる人は必要だと思う
やってもいいって人がやってくれるのが一番

SSの題名も本人以外つける権利はないと個人的に思う
唯律には直接関係ない話だしスレが荒れる原因になるかと

727:711
11/01/08 13:37:28 MmpfSs+S
wiki立ったのか

自ら名乗り出ておいて昨日は物入りでスレ住民には申し訳ないことをしました、スマン
結局wikiは立ったものを使うのかしら?

728:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 14:16:49 Js4XLPc5
>>727
おかえりなさい

まぁ色々あったけどatwikiでも良いんじゃないかと俺は思う、けいおん!関連のカプまとめほとんどここだし、だが最終的な判断は任せるよ

編集も任せ切りになってしまうがすまない
宜しく頼む

729:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 14:33:49 MmpfSs+S
うっす

管理者passを教えてくれたら嬉しかったがまぁ頑張ってみるわw

とりあえず今からライブの金払いとか美容院とかその他諸々用事済ますんで夜からやります

730:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 15:29:53 Js4XLPc5
>>729
ごめん、俺がまとめ立てたわけじゃないから管理者パス解んない
横から個人的な意見はさんだだけなんだわ、すまんな

731:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 21:15:12 rB19/QL9
wiki立てた者です。

俺のせいでなんかややこしく
なってるようで本当にスマン

管理パスワードは教えるけど
ここに書き込むか時間指定して
消せるところにアップするけど
どっちがいい?

732:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 21:16:33 MmpfSs+S
>>731
時間指定でお願い

733:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 21:45:43 rB19/QL9
わかった
じゃあ22時丁度から
10分間晒す

734:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 21:48:51 MmpfSs+S
はいよ

735:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 22:03:16 MmpfSs+S
どこに晒してんだ?

736:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 22:08:04 rB19/QL9
遅れた
URLリンク(www.usamimi.info)
急いでたから画像でかい

20分位に消す

737:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 22:11:26 MmpfSs+S
>>736
オッケー、もう大丈夫だ

738:名無しさん@秘密の花園
11/01/08 22:15:42 rB19/QL9
消した

パスワードは覚え易いものに
変更してくれて構わない

まあさっきのも覚えやすいが

739:名無しさん@秘密の花園
11/01/09 09:32:13 RuOTp4Fl
りっちゃん貝合わせURLリンク(bit.ly)

740:711
11/01/09 14:46:55 wdgkwq7v
・業務連絡

前スレのSSと小ネタはまとめ終わりました。

URLリンク(www43.atwiki.jp)

※wiki立ててくれた人
管理の都合上パスとメアド変えさせてもらった。あしからず。

741:名無しさん@秘密の花園
11/01/09 15:22:27 Sp5br+US
>>740
乙!
そしてありがとう!!

742:名無しさん@秘密の花園
11/01/09 16:15:22 44pYcHSk
>>740
乙!
管理頑張ってください

743:名無しさん@秘密の花園
11/01/09 16:37:40 01eFBSeU
wiki立てたものです

>>740


パスとメアドの変更は構わない
編集頑張ってくれ

744:名無しさん@秘密の花園
11/01/09 16:39:55 01eFBSeU
連レススマン

>>701は俺なんだが
wiki見てみると
前レスのSSはまとめてない?

745:711
11/01/09 16:55:13 wdgkwq7v
前レス、とは?

現在は百合板の前スレのSSまとめが完了しました。
抜けてる箇所があれば指摘願います。

SS以下コンテンツはメニューの「平沢 唯 × 田井中 律」をクリックするとツリー形式で表示される仕様です。

今後の予定
・このスレのまとめ
・避難所のまとめ
・デザインいじくり

そろそろここで業務連絡するのも住民に迷惑なので
一通り作業が終わったらwikiに掲示板やら何やら設置して業務連絡もそちらでします。
設置後、何かあればそちらからお願いします。

746:744
11/01/09 17:30:24 01eFBSeU
>>745
ごめん勘違い

前レスではなく前スレでした

俺が言いたかったのは
平沢 唯 × 田井中 律
のスレのSSはまとめてないの?
ってことだったんだけど

今見たら
平沢 唯 × 田井中 律

平沢 唯 × 田井中 律2
とSSをまとめてるのね

まあとにかく乙

747:名無しさん@秘密の花園
11/01/10 21:08:23 23S4Ayld
>>711
まじ乙。
どマイナーの唯律が、まとめサイト出来るまで成長するとは・・・
しかしまあ、題名ないとやっぱり見難いなw

748:名無しさん@秘密の花園
11/01/10 22:09:16 lFsKVCoU
だが見づらくとも、勝手に決めていいもんでもないと思うしなあ、題名ばっかりは
かといって作者が名乗り出て許可貰うってのも面倒だし、管理するほうも大変だろうし
結局、多少の見づらさは我慢するしかないのよね

749:名無しさん@秘密の花園
11/01/10 22:13:14 MhSc8mrV
というか、SSの数が意外に多くてびっくりww
wikiにはVIPのSSもまとめると書いてあるけどVIPで見つけたら報告できるように伝言板があるといいかもね

750:名無しさん@秘密の花園
11/01/10 22:15:33 XI1Ve2Ik
紬の百合ノートにwikiリンクしてもらえたんでVIP系はそっちにお任せでいいんじゃね
と思ったり

751:名無しさん@秘密の花園
11/01/10 22:32:11 lFsKVCoU
このスレのSSまとめみたいなもんだし、俺もvipのは百合ノートさんに任せて良いと思う

752:名無しさん@秘密の花園
11/01/10 22:37:19 MhSc8mrV
まあリンク先にあるなら再度まとめる必要はないか
ただ前にこのスレでカプ別の唯律に含まれていない唯律SSがあると聞いたが、それらのリンクは欲しいなあと思ったり

753:名無しさん@秘密の花園
11/01/11 00:03:24 RyEcd141
>>752
律「唯のテンションが下がらない」
律「唯の家に来たはいいがする事がない」
律「へえ、これが惚れ薬なのか?」
律「きんたま」
律「ゆい~!好きだ~!」
律「唯やっべッ、唯マジさいこー」パンパン
律「唯~暇ならデートしようぜ!」 唯「デート?」
唯「りっちゃんでも口説いてみようかな」
唯「り…りっちゃん、近いよ…」
唯「りっちゃんはね」
唯「私の頭の中の消しゴム」
唯「パン作ったんだけど」
唯「だって私、レズだもん」
唯「りっくーん」律「おー、どした平沢~?」

一応、百合ノートで唯律・律唯の項目にない唯律SSをまとめてみました(唯律なのか微妙なのもありますが)

754:名無しさん@秘密の花園
11/01/11 00:23:26 JXylCPSH
>>753
おおありがとう読んでみるよ
きんたまにワロタ

755:名無しさん@秘密の花園
11/01/11 00:49:13 I2OXuzvs
唯律サイトが少なすぎて唯律足りん
皆どこで補充してるの・・・
やっぱ支部とか?

756:名無しさん@秘密の花園
11/01/11 00:51:16 neMXW6KU
まとめ昨日で129か…思ったより人覗いてんだなw

757:名無しさん@秘密の花園
11/01/11 01:01:13 SAzozGKj
>>755
俺も支部くらいか
供給少ないのがマイナーカプの辛いところだな、ほんと
同人もないし

758:名無しさん@秘密の花園
11/01/11 14:25:34 VMdpQ2BK
同人は冬でてた一冊だけかーまぁサークルカットだけじゃ判断できないからなぁ
オンリーは行ったことないけど今度いってみようかね

759:名無しさん@秘密の花園
11/01/11 15:14:35 6BHVjTqS
唯律オンリーイベントかと思った

760:名無しさん@秘密の花園
11/01/11 15:55:43 I2OXuzvs
唯律オンリーか
桃源郷過ぎて目が眩むな

761:名無しさん@秘密の花園
11/01/12 12:20:03 QU5hXylD
次回予告
さーて来週の唯律は
唯律、遊園地デートをする
唯律、水族館デートをする
唯律、動物園デートをする
の三本です
来週も見てくださいね
じゃんけんぽん!うふふふ

762:名無しさん@秘密の花園
11/01/12 21:30:33 cVRurB4i
来週だと……遠すぎるだろjk

763:名無しさん@秘密の花園
11/01/12 21:32:19 lTzWHhYi
wikiのトップページを唯律画像にしたらいいんじゃないだろうか。

764:名無しさん@秘密の花園
11/01/12 21:55:39 X9VxCMFX
どのシーンがいい?

765:名無しさん@秘密の花園
11/01/12 22:18:52 cVRurB4i
URLリンク(iup.2ch-library.com)
URLリンク(iup.2ch-library.com)
URLリンク(iup.2ch-library.com)
俺はこのへんが好き

766:名無しさん@秘密の花園
11/01/12 23:26:14 xUSD11g8
1枚目 律「唯、ちゃんとだしはとったか?」唯「ほへ?なにそれ?」
2枚目 唯「りっちゃん大好きー♪」律「ふふーん、知ってるよーん♪」
3枚目 唯「りっちゃんのバカバカ!昨日どうしてメール返してくれなかったのさ!」律「寝てたんだよ、ゴメンってばー」

っていうシーンだっけ?

767:名無しさん@秘密の花園
11/01/13 01:01:04 sy51ESJo
1枚目 律「唯、できたみたい」唯「ほへ?ほんとに?」
2枚目 唯「りっちゃんおめでたー私たちの子どもだね♪」律「ふふーん、唯がママで私がパパな♪」
3枚目 唯「りっちゃんのバカバカ!ママはりっちゃんだよー!」律「わかったふたりともママだよな、ゴメンってばー」

っていうシーンだった気がする

768:名無しさん@秘密の花園
11/01/13 01:10:09 IKgq+QPy
あー、新婚!回か
>>766のは確か相思相愛!回だっけ

769:名無しさん@秘密の花園
11/01/13 05:52:37 kw8GekQp
注意!
近頃このスレにはあまりの燃料不足につき
妄想と現実の境が曖昧になる病が流行っています
現在治療法はありませぬ故、唯律SSを読む
イラストを眺めるなどをして予防を心がけて下さい

770:名無しさん@秘密の花園
11/01/14 13:03:59 mRCg/Sv+
唯律な病気なら治らなくても良いかな
唯律病なお陰で二人がいるだけで癒しになるもの

771:名無しさん@秘密の花園
11/01/14 13:38:54 XJ1n6sO/
唯律在る故に唯律病になり、その薬もまた唯律なんだな・・・
俺達はとんでもない麻薬に出会ってしまったな

772:名無しさん@秘密の花園
11/01/15 01:16:08 Y7ujO0ho
画像見れねえええええええええええ

773:名無しさん@秘密の花園
11/01/15 14:43:59 WhA//5h7
ベタだけど大塚愛のさくらんぼって唯律によく合うと思った過疎の日でした

774:名無しさん@秘密の花園
11/01/15 19:16:47 f+IJrLwf
>>412をもう一度見たいよう
んでもって、ウィキにまとめてほしい

775:名無しさん@秘密の花園
11/01/16 01:04:31 Mh0ey25g
唯「澪ちゃん誕生日おめでとう!」
皆「「「おめでとう!」」」
澪「あ、ありがとう皆・・・!」ジーン
紬「ささやかながらケーキも用意したの」
澪「嬉し・・・ってデカっ!?お茶会の時より大きくないか・・・?」
唯「澪ちゃんおっぱい大きいからね!」フンス!
梓「それは関係ないと思いますけど・・・」
律「良いから良いからっ!早く食べよーぜ!」
唯「ケーキ入刀~♪りっちゃんりっちゃん!来て来てー」
律「初めての共同作業だな!」
唯「ぱぱぱぱーん♪」
律「ぱぱぱぱーん♪」
紬「二人ともおめでとう~」
梓「おめでたいのは唯先輩と律先輩じゃなくて澪先輩です!」
澪「なんかありがとう梓・・・」


本人以上に澪誕を楽しみそうな唯律



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