咲-Saki-で百合萌え 14局at LESBIAN
咲-Saki-で百合萌え 14局 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@秘密の花園
10/09/02 23:41:37 AU/hjxTh
■過去スレ■

咲-Saki-で百合萌え 13局
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咲-Saki-で百合萌え 11局
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咲-Saki-で百合萌え 10局
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咲-Saki-で百合萌え 9局
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咲-Saki-で百合萌え 8局
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咲-Saki-で百合萌え 7局
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咲-Saki-で百合萌え 6局
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咲-Saki-で百合萌え 5局
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咲-Saki-で百合萌え 4局
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咲-Saki-で百合萌え 3局
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咲 -saki- で百合萌え 2局
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咲【-Saki-】で百合萌え
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3:名無しさん@秘密の花園
10/09/03 22:25:24 h734zu/x
>>1


4:名無しさん@秘密の花園
10/09/04 17:47:08 iSU20gCv
落ちる

5:名無しさん@秘密の花園
10/09/04 20:23:12 riwaVGil
1乙

ここも前スレも落ちそうだ

6:名無しさん@秘密の花園
10/09/05 11:23:17 1XSCfyvl
1乙
何か重複してるが、向こうは何も無いんでこっちを上にしとく

7:名無しさん@秘密の花園
10/09/06 11:54:54 b6cg659e
>>1
前スレ1000 さすがタコスたくましい

8:名無しさん@秘密の花園
10/09/06 19:09:43 QIJIaS7q
いちおつ

ところで前スレのSS保管庫に収録しきってないけど
あっさり埋めちゃって良かったん?

9:名無しさん@秘密の花園
10/09/06 20:09:01 eZD9Qtfl
最近かじゅワハハの方が自然体でいい気がしてきた

10:名無しさん@秘密の花園
10/09/06 21:01:32 PJSiB97G
>>9
SOA!SOAっす!!

検証のための資料提出を要求するっす!

11:名無しさん@秘密の花園
10/09/06 22:42:02 +8hf6lyW
むっきー海王
「私は一向にかまわん!!!」

12:名無しさん@秘密の花園
10/09/07 02:22:25 GEYMBBMF
ヤンデレ和に監禁・調教されて堕ちる咲とか
衣・照に言葉責めと和姦調教される咲とか
気を失って、気がついたらオッドアイの赤ん坊を抱いていた久とかないかな

13:名無しさん@秘密の花園
10/09/07 08:34:15 GCHyqBZF
照姉に憧れる大星淡ちゃんが、照姉の心を独り占めする妹の咲ちゃんを目の敵にする

「照先輩は妹はいないと言ってました。妹ずらして照先輩になれなれしくしないで下さい」

なんて最初は色々意地の悪いことを言ったりするんだけど
そこはかとなく照姉を思わせる咲ちゃんに次第に魅了されていく
そしてとうとうのどっちを含めた三角関係に発展する

そんなSSを書こうと思うんだ

14:名無しさん@秘密の花園
10/09/07 08:43:24 WBqUi8Pf
>>13
全力で待ってる

15:名無しさん@秘密の花園
10/09/07 10:36:21 Wr/UlFbq
最新見て思ったんだがタコス衣池田は悪くなさそうだ

16:名無しさん@秘密の花園
10/09/07 10:50:03 bwsrmLWe
特定条件下で爆発力を発揮する長野ちっこい組

17:名無しさん@秘密の花園
10/09/07 13:02:02 4PBd9PY4
県レベルと全国レベルと学校レベル

18:名無しさん@秘密の花園
10/09/08 01:21:26 ceEYxWC3
全国大会準決勝見る限り東風限定なら一応タコスも全国レベルなんじゃね?
池田は県上位レベル(※単純に全国の経験がないから)
で衣は超高校級ってやつ

19:名無しさん@秘密の花園
10/09/08 07:50:58 8STzCEIo
>>18
三人とも長野県の誇るナイチチってことだろ言わせんな恥ずかしい。

20:名無しさん@秘密の花園
10/09/08 12:21:44 Ckkfft4E
衣「衣は……、衣は『ゆり』じゃないから誕生日を祝ってもらえないんだ。ゆりに不必要なキャラなんだ」

優「そこのかわいいお嬢ちゃん! 咲キャラに限ってそんなことありえないじぇ」

池「いっしょに楽しむし!」

衣「おまえたち……」

池「ところで百合ってなんだ?」

優「我にまかせろ!」

池「にゃアッーー!」

みんななかよし。

21:名無しさん@秘密の花園
10/09/08 14:45:03 n44CHTgF
>>8
問題ない

22:名無しさん@秘密の花園
10/09/08 19:52:25 XLi8D4Ab
衣ちゃんは多分永水では人気者
みんなからなでなでしてもらえる

23:名無しさん@秘密の花園
10/09/08 20:52:27 ceEYxWC3
>>22
霞さんなら道行く人に親子と間違えられても違和感ないな

24:名無しさん@秘密の花園
10/09/09 10:53:22 V6AK/CLz
>>22
皆と一緒に衣を愛でつつも
小さな嫉妬心に芽生えた事に戸惑うハッちゃん


25:名無しさん@秘密の花園
10/09/10 22:27:28 YFGJ/VMn
>>15
その三人なら「拾って下さい」と書いてあるダンボールに入ってもらって
道ばたで一緒に拾ってコールとかして欲しい
面倒見の良い部長か、ロリ村さんあたりが持って帰りそうだ

26:名無しさん@秘密の花園
10/09/11 00:11:41 qVdeBv6K
透華が拾ってメイドにするという選択肢もあるかも
そういや昨日は透華の誕生日だったのか


「一、今日は私の誕生日でしてよ」
「うん。ちゃんと覚えてるよ」
「それならまどろっこしい話はいりませんわね。一…」
「なに?」
「プレゼントにはあなたの初めてが欲しいですわ」
「初めてって…」
「初めてとは…その、初めてですわ!」
「…うん。優しくしてくれるなら、いいよ…」


「なぁ、純」
「どした?」
「初めてってなんだ? 衣の誕生日には誰もくれなかったぞ」
「うーん、その話は衣にはまだ早いかな」
「なんだと、衣が一番お姉さんなんだぞ!」
「早いって言ったら早いんだよ。わかったら向こうに行ってレゴでもやってな」
「な、なんだと! 家出してやる!」


翌日
「拾って下さい」と書いてあるダンボール箱に入った衣の姿が…

27:名無しさん@秘密の花園
10/09/11 00:53:14 7MOQLt8X
>レゴでもやってな
ワラタ

28:名無しさん@秘密の花園
10/09/12 04:13:52 eRlCF0Rs
ともきー「私の初めては純にあげた。」

純「ちょ!おま!!」

純智紀とかもっと増えないかな

29:名無しさん@秘密の花園
10/09/12 08:21:32 t+ypvfrv
>>26
思わず拾って来ちゃった咲が、和と一緒にいけないことを教え込むのを妄想した

30:名無しさん@秘密の花園
10/09/12 14:23:29 rEqX1NLk
咲に拾われた衣が、咲と一緒の布団で寝たり、咲と一緒のお風呂に入ったりして、咲をストーキング(or盗撮)してたhrmrさんが血の涙を流しているのが浮かんだ
衣も隔離された生活から一変して常に咲が隣にいる生活になったことで滅茶苦茶咲に甘えそうだな。そして自然と衣咲へ

31:名無しさん@秘密の花園
10/09/12 14:51:11 jDjU7lv2
優希「あれだなー。集中力がある時って、次にツモる牌がわかったりするんだじぇ」
和「そんなオカルトありえません」
衣「あー、あるなー」
咲「あるよねー、ツモった瞬間ピンと来るっていうか」
優希「ふっ……衣ちゃん、咲ちゃん、向こうでお話しようか」
和「…優…希……?」

オカルトあるあるトークに参加できず孤立する原村さん

32:名無しさん@秘密の花園
10/09/12 19:34:00 5OdRdn9+
>>31
まるで百合ではないですが

和「いくら宮永さんの言うことでも、オカルトなんてありえません」
咲「あるんだってばー」
優希「のどちゃん、相変わらず頭固いじょ」
咲「なんかさ、これは一発で引けるとか、これは裏が乗るとか、あらかじめ分かっちゃうんだよ。自分の理性を疑っちゃうけど」
和「それ以前に人間性を疑いますね」
咲「あっ、ひどい。私、原村さんのイメージ変わっちゃうなあ」
和「そ、それは困りますけど……」
優希「……んっふっふ」
和「なんですか優希」
優希「そんなおっぱいでも出来るオカルト技があるじぇ」
和「おっ……胸のことは関係ないでしょう!」
優希「教えて欲しいか?」
和「ま、まあ、嫌われたくないですし……実在するのでしたら」
優希「よろしい。まず牌をツモる!」
和「はい」
優希「そしたら卓で擦る!」
和「は?」
優希「1万回くらい! ごしごしごし!」
和「あの」
優希「あら不思議! どんな牌でもあっという間にピカピカのおと-ふに!」
和「………」
優希「これで白一色のできあがりだじぇー!」
和「あまりに馬鹿馬鹿しくて口もきけません」

池田ァ「マナー、悪いなあ」

誰でも一度はやる。

33:名無しさん@秘密の花園
10/09/12 20:07:26 tfUVO96T
孤立は可哀相だけど三人におもちゃにされちゃう原村さんは可愛いな

34:名無しさん@秘密の花園
10/09/13 00:40:59 tfdkz9u4
>>28

「智紀って眼鏡を外すと美少女になる典型的なパターンだよな。コンタクトにしようとか思わないのか?」
「そういうことは純だけが知っていればいいから」

淡々話す智紀の姿を横目で見ながら、つくづく敵わないと思う。
普段無口な分、あいつがいざ口を開くと一言一言がとてつもなく重い。
その言葉にはおちゃらけた俺と違って、余分なものなんて少しも混じっていないし、
癖のない黒髪と同じようにどこまでも真っ直ぐだ。

だから、

「純だけが知っていればいいから」

というたったそれだけで、俺はあいつの目をまともに見れないくらいドキドキしてしまう。
嘘のない本物の好意の前では、冗談なんて通じないって教えられた気分。

俺はこんな見た目だから後輩の女の子に告白されることもままあるけど、
そういう子達に言葉を尽くして誉めそやされるより、智紀にたった一言

「純が好き」

と言われる方がよっぽど嬉しい。
それに、そういう子達よりも眼鏡を外した智紀の方が全然綺麗だということもちゃんと知ってるしさ。

雪みたいに白い肌とそれによく映える漆黒の髪、
出るところは出て引っ込むところは引っ込んだ完璧なプロポーション。
智紀のことを知った後では、他の女の子に興味が沸かなくなるのも当然だと思う。

あいつと二人で朝を迎えて、気だるい気分のままベッドに横になっている時間が好きだ。
お互い起きていることを確認して取り留めの無い会話をした後で、智紀がコーヒーを淹れに行く。
やがてカップを二つ手に持って帰ってくれば、生まれたままの姿が朝日に包まれて、息を飲む程美しい。
俺はそんなあいつを見つめながら

「お、智紀さん、今日もパイオツカイデー、コーマンルーユーっすね!」

ドス!!!

軽口を叩き、いつもぶん殴られてる。



おしまい

35:名無しさん@秘密の花園
10/09/13 00:55:14 unfLmE4H
>>34
ま た お ま え か w

グッジョブせずにはいられないな。
いつも途中までイイハナシダナーと思うのに、最後の落ちで噴くw

36:名無しさん@秘密の花園
10/09/13 01:56:35 rPQI5Ut0
>>34
オチwww
純智紀いいよなGJ

37:名無しさん@秘密の花園
10/09/13 02:32:01 jAjP1Axf
>>34
オチの人GJ!超GJww


純も智紀も2人きりの時はノロケ全開だといいな。

38:名無しさん@秘密の花園
10/09/14 00:04:26 EuTy27rY
q

39:名無しさん@秘密の花園
10/09/14 01:14:27 DoRn7PW3
純の誕生日プレゼントは智紀で決定だな

40:名無しさん@秘密の花園
10/09/14 20:11:50 1jphXnJV
久々に部長ハーレムがみたい
全国でも部長モテモテや!!

41:名無しさん@秘密の花園
10/09/15 22:44:42 TH76UJo5
霞さんとはっちゃんも部長に見とれてるだろ

42:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 01:22:18 zUriPNgs
見とれてるんじゃなくて目を付けたのかもしれない。

43:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 02:28:04 fQqbdD2X
返り討ちにしてくれるわ。

44:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 18:14:55 JUzE/ZwD
お姉ちゃんに振られて泣いている咲
京太郎がそっと後ろから近づき
「バカやろう、おれがいる」
咲「京ちゃん・・・グス」
めでたしめでたし

45:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 18:29:13 ElRV4+7U
>>44
死んどけ

京太郎の妄想でなく皆さんに真実を伝えます
お姉ちゃんに振られて泣いている咲
和がそっと後ろから近づき
「バカ・・・、私がずっとついてますわ」
咲「原村さん・・・グス」
めでたしめでたし

46:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 19:05:32 aYJqmT44
>>45
乳に潰されろ

真実はいつもひとつ
大好きなお姉ちゃんに抱きしめられ嬉し泣きする咲
めでたしめでたし

47:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 19:12:10 i53M+6FX
>>46
お前らこっちのおっぱいさんも忘れてんじゃねーぞ

合宿所近くを散策中
モモ「やっぱり全国・・・行きたかったっす。勝って先輩と一緒に」
かじゅ「(手をつなぐ)バカだなモモ。勝てはしなかったが、私はここにいる。それでは不満か?」
モモ「先輩・・・大好きっすー!」
かじゅ「バカ・・・、ここでは(ry」

48:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 19:23:10 JUzE/ZwD
京ちゃん好きなんだけど
京咲スレと京太郎ハーレムスレと二つもいるものかと
最近おもう

49:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 19:24:55 AFXdUtqx
咲とのカップリングが好きなのか、京ちゃんハーレムが好きなのかで分かれてんじゃねーの
どっちにしろここで語ることじゃないな

50:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 19:59:32 8FLK5GXc
スレタイも読めないアレとしか

51:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 20:05:38 AK0HsteN
お姉ちゃんと仲直りするために全部倒す咲さんまじぱねぇ
お姉ちゃんと仲直りした咲さんが見れるのは何年後だろうか・・・

52:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 20:22:53 4RM6JJwA
流れぶった切ってすいまそん
純と智紀の馴れ初めを妄想してSSにしてみますた
妄想なので悪しからず

53:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 20:24:09 4RM6JJwA
<純君視点>

男みたいな格好をしているのは、単に好きだから。
もし期待していたら悪いけど、本当にそれだけ。
特別な理由があるわけじゃないんだ。
王子様になりたいとか、少女革命を起こしたいとかはこれっぽっちも思ってないし、

「それでも男ですの?」

透華が俺の見てくれを指して男扱いしてくれば、その都度

「俺は女だ」

って、ちゃんと否定している。
それもこれも女としての自覚があるから。
服装や言動がちょっと変わっているだけで、あとはどこにでもいる女の子なんだ。

ま、人がどう思うかは人の勝手だから、俺が男に見えたからといって本気で目くじらを立てたりはしないよ。
龍門淵高校には俺が入学して程なく出来た「井上純ファンクラブ」なるものがあって、
女子生徒達が密かにプロマイドを集めてるらしいけど、やりたきゃ勝手にやればいいと思ってる。
そういうファンの子から差し入れがあれば、悪い気はしないしさ。

一度ファンからの差し入れだと勘違いして、清澄のチビのタコスを食っちまったのも、
来るもの拒まずの精神が身についていたからなんだ。
悪気があったわけじゃなくて、言うなれば日頃の習慣というやつ。
何を隠そう、俺は今までファンからのプレゼントを受け取らなかったことなんて一度も無いんだ。
たとえそれがいらないものであっても、突き返して相手を泣かせたりしたら後味が悪いだろ。
勿論チビのタコスを食べたのは俺だし、それについては何の言い訳もしないけれど、
そういう事情があったってことはわかって欲しい。
ファンを大事にしているがゆえってことでさ。

54:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 20:25:31 4RM6JJwA
なんだかんだ言って格好つけているけど、チヤホヤされれば素直に嬉しいんだ。
でも、違和感がないわけじゃない。
例えば

「井上さんは誰よりも格好いいです。良ければ私と付き合って下さい」

なんて女の子から告白されれば、

(もし俺がこんな格好をしてなかったら、この子は告白してくれたかな?)

心の隅で否定的にとらえてしまうこともある。
男の子を見る目で俺のことを見ているんじゃないかってさ。

誰かの代わりにされるのは、正直なところ良い気はしない。
男みたいな格好をしているからといって、男になりたいわけじゃないんだ。
ワイシャツの襟ぐりを大胆に開けて、その上にネクタイを引っ掛けるのも、
スカートの下に黒のレギンスを履いてパンツファッションにするのも、単に好きだから。
自分のこれだと思うスタイルが相手の琴線に触れたのなら勿論嬉しいけれど、
でも、好みが変わることだって勿論ある。
半年後、俺が女の子らしい服の趣味に目覚めることだって有り得ない話じゃない。

そうなった時、「井上純ファンクラブ」の子達はどうするだろう。
こっそりプロマイドを集めるなんてこともなくなるんじゃないかな。とはいっても

「私、井上先輩が好きです」
「君は俺のどこが好きなの?」
「格好いいところ、王子様みたいで頼りになるところ」
「じゃあ、もし俺が普通の女の子になったら、君は俺のことが嫌いになる?」

実際にそんな風に聞いてみたりは勿論しないよ。

「俺のどこが好き?」

なんて、いかにも面倒くさい奴が言いそうな台詞だから。

55:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 20:27:30 4RM6JJwA
あれは、龍門淵に入って暫く経った夏の初め頃だったと思う。
すでに発足していたファンクラブの女の子に告白されたんだ。
その気がないから断ったんだけれど、それから一週間ほど経った頃、
その女の子が彼氏らしい男の子と連れ立って歩いているのを見かけた。
彼女の顔に浮かんだ楽しそうな表情を見てたら、ふいに虚しくなった。
俺のことを好きになるのも、他の奴を好きになるのもその子自由だけど、
もうちょっと節操を持ってもいいんじゃないかって、心がささくれ立ったったみたい。

(好きって、そういうことだったん…)

新緑の眩しい風薫る季節におよそ似つかわしく気分のまま、龍門淵邸に帰ったよ。
その足で真っ直ぐ麻雀部屋に向ったのは、苛立ち紛れに対局に没頭したかったから。
けれど俺の思いに反して、人がいなかった。
誰もいなかったわけじゃなく、対局に必要な頭数が足りなかった。
そこにいたのは智紀だけだった。

どうして智紀に相談する気になったのか、自分でもよくわからない。
あいつと会ったのは透華のスカウトで龍門淵に入学した後で、会ってからまだそんなに日が経っていなかったし、
正直に言うと地味でパッとしない奴、くらいにしか思っていなかった。
揃った前髪にどこにでもありそうな眼鏡をかけた、無口なパソコン女。
もし龍門淵高校麻雀部という特殊な籠の中におさまっていなかったら、言葉を交わすこともなかったタイプ。
でも、よりによってただのクラスメイトだったら友達にもならなかったであろう智紀に、
俺は心にわだかまった想いを吐き出した。

「ファンクラブの女の子に告白されたんだけど、その子が彼氏と歩いているのを見かけてさ」
「あの子達はみんな、俺を王子様か何かだと思ってるんじゃないかな」
「ただ好きでやってるだけなのに、勝手に好きになって、勝手に離れて」
「もし俺がこういう格好をしなくなったら、どうするんだろう」
「あっさり手の平を返すのかな」

今思い返しても火が出るくらい恥ずかしい。
まったく、面倒くさい奴もいたもんだ。
智紀はというと、そうやって俺が感傷に溺れながら一心不乱に喋り捲った後で、言ったんだ。

「今日の純、面倒くさい」

無愛想に

「でも、純が女の子らしい格好してるところは見てみたい」

って。

56:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 20:31:10 4RM6JJwA

「へ?」

そんな風に言われると思ってなくて驚いていた。
言葉が続かなかった。
ぼーっと、智紀が微笑むのを見ていた。

「純は純だから」
「それ、どういうことだ?」
「女の子の格好をしていても、純は純だってこと」

普段無口な分、智紀がいざ口を開くと一言一言がとてつもなく重いと知ったのは、その時が初めてだった。
微笑が消えてもとの無愛想な顔に戻るまで、俺は何も言えずにあいつを見ていた。
智紀はそれ以上言葉を費やさなかったけれど、いつまでも余韻が尾を引いた。

「純は純だから」

あいつの笑顔がなんだか無性に嬉しくて、気付いたら胸の鼓動が早まっていた。

(久々にキレちまったよ……)

智紀を意識するようになったのは、その時からだ。


続く


57:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 21:31:12 GlPKcr6S
久々にキレちまったよ……
で吹いた

58:名無しさん@秘密の花園
10/09/16 23:16:14 a+JFM1Xi
>>52-56
乙ー。

ともきー視点期待します。

59:名無しさん@秘密の花園
10/09/17 12:52:42 jR4jsG+n
おい、最後www

60:名無しさん@秘密の花園
10/09/19 00:54:03 f2smLBmJ
<智紀視点>

純と初めて会ったのは、透華のスカウトで龍門淵高校に入学した時。
一見して、私とは違い外向的な人だと思った。
白いYシャツに男物のネクタイなんかしている時点で奇抜だし、
しかもその格好で気後れせずに話しかけてくるから、少し気後れした覚えがある。

「俺は井上純。よろしくな」

一人称は俺……。
開けっ広げな笑いとその男言葉に圧倒されて、純が挨拶がてら差し伸べてきた手を掴み返し損ねてしまった。

この人、苦手。

はっきり言って、純に対する最初の印象は決していいものだった。
麻雀を打ってみて、その苦手意識はもっと確かなものになった。

麻雀を打つ時も純は独特で、まず椅子座る姿から人と違う。
どっかり胡坐をかいて、膝の上に肘を乗せて頬杖なんかついている。
その格好で試すようにこっちを見てくるから、ペースが崩される。

私は牌効率や期待値を考えて打っていく堅い打ち方。
純はというと、対照的に手なりで手牌を作っていく打ち方で、穿った見方をすれば場を荒らすタイプで、
一言で表すならば水と油。
こっちの様子を逐一窺いながら、チーやポンでかき回してくるから、私としてはとてもやりにくい。

やっぱりこの人、苦手。

一緒に全国を目指す仲間には違いないけれど、友達にはなれないタイプだと改めて思った。

61:名無しさん@秘密の花園
10/09/19 00:55:09 f2smLBmJ
それなのに純が好きになってしまったんだから、つくづく不思議。
あんなに苦手だったのに。
きっかけは、一年生の時のインターハイ予選。
準決勝で次鋒として対局に臨んだ私が、散々に放銃してしまったこと。

終了のブザーが鳴った時点で龍門淵のマイナスは3万点で最下位。
全ての元凶である私の目に、控え室に戻るまでの廊下が酷く長く映った。
みんなを窮地に追い込んでしまった責任で足が前に進まず、会場のざわめきも遠くに聞こえる。
帰って早々に透華に怒られ、これで負けたら自分のせいだと後悔で一杯になった。

あの時あの牌を切っていなければ…
リーチにいかずにダマで通していたら…

一つ一つの局面を思い返すごとに鼻の奥がツンとする。
どうしよう…
どうしよう…
涙で視界がぼやけ始めたその時、思いもしないことに純が声を掛けて来た。

「気にすんなよ、智紀」
「お前が対戦相手のデータを集めて万全の準備で試合に臨んでることはみんな知ってるよ」
「それで結果が出なくても責めたりはしないって」
「結果が出ない時のために俺たちがいるんだから、頼ったっていいんだぜ?」
「なんでも背負い込むのはお前の悪い癖だよ」

いつもの饒舌さであれこれ慰めの言葉を言って、純が開けっ広げに笑って見せる。
不安に竦んでいた心がほぐれ、不安が嘘みたいに晴れていく。

「ってことで、あとは俺に任せとけ」

その頃は今と違って一が先鋒で、純が中堅。
立ち上がって、対局室に向うその背中が頼もしかった。
やがてモニターに現れた純がいつものように胡坐をかいて自信満々に笑ったのだけれど、
その姿が初めて格好良く見えた。

62:名無しさん@秘密の花園
10/09/19 00:56:54 v9Au5vrn
視点とか書く必要あんの

63:名無しさん@秘密の花園
10/09/19 00:57:42 f2smLBmJ

「な? 言った通りだろ?」

言葉通り、私が作ったマイナスを帳消しにして戻ってきた純が、こっちを見て笑う。
優しい表情に溶かされて、それまで純に対して抱いた苦手意識が氷解していく。

どうしてそれまで気付かなかったんだろう?
純がこんなにも優しい顔で笑うことに。

白いYシャツに男物のネクタイなんかしている奇抜な格好や、物怖じしない性格、
あるいはその打ち方ばかり苦手に感じて、ずっと純という人から目を背けていたことに、その時初めて気付いた。
単純かも知れないけれど、もっと純のことが知りたいと思った。


以来、龍門淵邸で、学校で、あるいは麻雀部の部室で、純と話す時間が増えていった。
マイペースでともすれば自分の世界にこもりがちな私と違って純は自然体で、
一緒にいるとそれだけで世界が広がるみたいに感じた。
間もなくずぼらな純に私が勉強を教え、代わりに出不精の私を純が外に連れ出すようになり、
そんな風に二人でいる時間はいつもドキドキした。
ドキドキするわけは自分でもなんとなくわかっていた。
知れば知る程、純が好きになる。
友達としてではなく、それ以上に大切な人として。

だから純がファンクラブの子とのことでちょっと感傷的になっていた時は少しでも励ましてあげたくて

「純は純だから」

と言ったのだけれど、そこに込められた私の好意には気付いてないみたい。
純はそういうことには結構鈍感だ。

64:名無しさん@秘密の花園
10/09/19 00:59:03 f2smLBmJ
次の純君視点で終わりにする予定です

65:名無しさん@秘密の花園
10/09/19 01:27:06 ouKwhLEy
乙ですわ。

高校卒業したら純くんからプロポーズするんだろうな

66:名無しさん@秘密の花園
10/09/19 19:20:13 90Hc8/gl
>>64
イイヨイイヨー。

あと、ここまできたら最後まで龍門淵で行くしかないな。

67:名無しさん@秘密の花園
10/09/20 04:07:29 Us+8LnM+
<純君視点>

智紀の素顔を初めて見たのは、龍門淵に入って少し経ってから。
昔も今も眼鏡を外したあいつが飛び切り綺麗なことに変わりはないけど、その時はさして気にも留めなかった。
口数の少ないパソコン少女としか思ってなかったから、別段感動したりもしなかったんだ。

それなのに、今では随分様子が変わってしまった。
ともすれば周囲に埋没しがちな目立たない智紀を、しっかりと見つけることが出来る。
教室中に散らばった制服の群れ中にあっても、校庭で固まったジャージの群れ中にあっても、
あいつは俺にとって特別で、一目でそうとわかるんだ。
理由は簡単。
いつも想っているから。

特別だなんて……
口数の少ないパソコン少女と思っていた頃と比べると、我ながら極端な変わりようだとは思う。
でも、心の真ん中にあいつがいるんだからしょうがない。
いつの間にか智紀が好きになってしまったんだ。


「純は純だから」

あの一言を境に、智紀は気になる存在になった。

(もっとよく知りたい)

そう思って、好きでもない勉強を教えて貰ったリ、出不精を口実に外に連れ出したり、
自分でもちょっと強引だと感じながら距離を縮めた。

68:名無しさん@秘密の花園
10/09/20 04:10:37 Us+8LnM+
智紀は口数が少ない代わりに言葉に嘘がないから

「私もテスト勉強で忙しい」

グサッとくることもあったけれど、

「でも、純が留年したら大変だから付き合ってあげる」

言葉に嘘がないからこそ、本当の優しさを感じることが出来た。

龍門淵邸内に宛がわれている智紀の部屋に行って二人で勉強したり、
帰り途中に買って来たお菓子を一緒に食べたり、
一緒に過ごす時間が増えれば増えるほど、愛しさは増していった。

智紀はいつも黙って俺を部屋に上げ、柔らかい視線を投げてコーヒーを淹れてくれた。
そこは飾り気が無く実用的に整頓され、自分のものとは違う匂いが微かに漂っていた。
間もなく殆ど毎日智紀の部屋を訪れるようになり、雨の日は窓叩く雨粒を数え、夜になれば星を見上げた。
無口な奴だから時折深い沈黙が訪れることもあったけれど、あいつの部屋では気にならなかった。

夜の帳が下りるのにあわせて別れの挨拶をし、部屋を後にする。
一歩外に出ればそこは龍門淵家の豪奢な邸宅内で、絨毯が敷かれた長い廊下にランプの光が揺れている。
なんだか、不思議な感じがした。
自分の部屋へと戻る途中で龍門淵邸の廊下を歩きながら、
俺はいつも、終わらない遠足に来ているような高揚感に包まれていた。

69:名無しさん@秘密の花園
10/09/20 04:11:21 Us+8LnM+
体のあちこちに智紀と過ごした時間の余熱がくすぶっている。
眼鏡の奥の息を飲むほど美しい瞳を思い出す。
目が合うとそれだけで胸が苦しくなるあの感じ。
誰かの隣にいることを芯から心地良いと感じるなんて初めてのことだったし、
芯から切ないと感じることも初めてだった。

智紀に会って本当の恋を知ったような気がする。
一緒にいる喜び、言葉が途切れた瞬間にふと過ぎる寂しさ、別れた後の虚脱感と充足感。
全部智紀が教えてくれたものだ。

幾日も智紀の部屋で過ごすうち、俺はあいつが好きになっていた。
そのことを自覚すればする程、ふとした瞬間に過ぎる寂しさは大きくなった。
目が合う度に、微笑みかけられる度に、同じ想いで俺を見つめてくれたらいいのにと、
そんな風に思えて仕方なかったから。

70:名無しさん@秘密の花園
10/09/20 04:11:56 Us+8LnM+
きっかけはささいなこと。
それでも切なさに押しつぶされるには十分だった。
いつものように部屋を訪れた俺に、コーヒーを渡しながら智紀が言った。

「9月14日は純の誕生日だけど、何か欲しいものはある?」

そんなの、一つに決まってる。
欲しいのは智紀の心。
俺と同じ想いで見つめて欲しい。
その綺麗な瞳に俺を映して、いつものように嘘のない言葉で好きだと言って欲しい。

簡単なことなのに、切なくてたまらなかった。
智紀が俺を好きだなんて思えなかったから。
高望みしてる。
笑おうとしたけれど、上手く笑えなかった。

「どうしたの?」

少ない中にありったけの心配が込められた智紀の声が聞こえた。
綺麗な瞳に映った俺の顔はみっともなく泣き出しそうだ。

「どうもしてない」

ただ好きなだけだよ。
それだけのことがこんなに切ないなんて思わなかったんだ。

「本当にどうしたの?」

ごめん、智紀。

「好きなんだ」

71:名無しさん@秘密の花園
10/09/20 04:20:26 Us+8LnM+
「智紀が欲しい。好きなんだ」

自分の声じゃないみたいに遠くに聞こえた。
こっちを見つめる智紀の顔に驚きの表情が広がった。
言葉が途切れて沈黙が訪れる。
いつもは気にならないのに、押し潰されそうになる。
その永遠にも思える空白の後で智紀が優しく笑うのが見えた。

「私も純が好き」

いつもと同じ、余計なことなんてない真っ直ぐな言葉。
智紀が近づいて来て、額と額をコツンと触れ合わせてからもう一度同じことを言った。

「私も純が好き」

見つめられ、視線を通して気持ちが届く。
恋が報われた嬉しさを俺はその時初めて知った。

(さ…さすがの俺も今のは死ぬかと思った…このフリーザ様が死にかけたんだぞ…!)

あとはもう黙って智紀を抱きしめることしか出来なかった。



終わり

72:名無しさん@秘密の花園
10/09/20 10:39:39 eNs0dv0f
おいw

73:名無しさん@秘密の花園
10/09/20 21:51:21 +D4JEQw7
最後の最後でw

74:名無しさん@秘密の花園
10/09/20 23:06:57 z69/pxSl
>>71
乙w

もっと広がれ純智紀の輪!

75:名無しさん@秘密の花園
10/09/22 06:44:19 OiaBJUb4
ギャグで落とさないと締められないのか

76:名無しさん@秘密の花園
10/09/22 08:10:45 6tdB7Jk6
だがそれがいい

77:名無しさん@秘密の花園
10/09/22 08:30:35 L8sC0RZM
最近いつも投下してる人か
確かに最後の受け狙いは若干寒いきがする

78:名無しさん@秘密の花園
10/09/22 19:05:17 3C6GnTEt
部長が姫様のおっぱい揉む展開まだ~?

79:名無しさん@秘密の花園
10/09/22 22:18:36 7HbPI5br
>>75
前スレではギャグ締めじゃないふくすこ、姫様×霞とかも書いてました
次は普通に書いてみます

というわけで国広君のお誕生日記念に小ネタをば

80:名無しさん@秘密の花園
10/09/22 22:22:09 7HbPI5br

「一、今日は中秋の名月ですけれど、月見泥棒の風習は知っていて?」

龍門淵邸のバルコニーに出て二人で月を眺めている途中で透華に声をかけられた。
そんな風習聞いたことがないから首を横に振って答えると、透華のちょっと得意そうに笑顔が返ってきた。

「月見泥棒というのは、十五夜の夜に家々の軒先や玄関にお供えされた月見団子を子どもたちが盗み食いする風習ですわ。
 もちろん本当の泥棒ではなくて、各家庭であらかじめ玄関先などにお団子を置いておくんですの。
 団子は多く盗まれた方が縁起がよいとされていますわ」
「そうなんだ。知らなかった」
「ええ。というわけで…」
「!?」

いきなりキスされるなんて思わなかった。
びっくりしてなすがままのボクの唇に、柔らかい透華のそれが触れる。
軽くついばむような仕草をした後で顔を離した透華は、呆気にとられるボクに優しく笑いかけた。

「残念ながら今ここに月見団子はありませんわね。というわけでお団子みたいに柔らかい一の唇で代用しましたわ」
「だ、代用って透華…」
「これでこれからも縁起よく過ごせましてよ」

時々こういうサプライズを用意してくれる透華がたまらなく好きだ。
そのことを改めて実感したボクは、今度は自分からキスをした。

「は、一…」
「お団子は多く盗まれた方が縁起がいいんでしょ? だったら今度はボクが透華の唇を沢山奪ってあげるよ」
「もう、不意打ちすぎますわ…」

ささやかな不平を無視して、それから暫くボクは月明かりに濡れた透華の唇にキスの雨を降らせ続けた。

81:名無しさん@秘密の花園
10/09/23 22:48:49 IlQVvIxf
モンブチ月間も終わりかー

82:名無しさん@秘密の花園
10/09/24 00:00:21 6ISRIlSs
次は清澄だねー

83:名無しさん@秘密の花園
10/09/24 08:33:42 PJ/2Sseq
最後に落ちが無いとものたりない
人もおおいはず…

84:名無しさん@秘密の花園
10/09/24 23:49:10 0ps27IY6
清澄の前に今日は風越キャプテンのお誕生日っす。
キャプテンおめっす。
日付はまたぐけど、後ほどお祝いSS投下するっすよー。
今、まだ書いてる途中なんで… 気持ちだけでも…

85:名無しさん@秘密の花園
10/09/25 00:00:25 v0yEUZBD
待ってるよー

86:名無しさん@秘密の花園
10/09/25 02:23:49 rsE3llKi
今日は最萌に桃子が出てます
支援画像もたくさんあるのでよろしければ投票を

アニメ最萌トーナメント2010 投票スレRound81
スレリンク(vote板)
G22
<<東横桃子@咲-Saki->>

87:名無しさん@秘密の花園
10/09/25 02:30:55 6Ao1SU5J
>>83
あるとイライラするな

88:名無しさん@秘密の花園
10/09/25 03:47:24 R0QbI03A
つ遅くなったけど、キャプテン誕生日おめSS投下するっす。
キャプテンは風越の皆に愛されてるっす。
表現くどいです。苦手な方はスルー願います。
素敵落ちはないっすよ。


89:名無しさん@秘密の花園
10/09/25 03:51:17 R0QbI03A
パーン!パパン!パーン!
「キャプテーン、お誕生日おめでとうございまーす!!!」
美穂子が麻雀部の部室のドアを開けた途端、勢いよくクラッカーが鳴り、風越麻雀部員80名が一斉に声を上げた。

「ええっ、み、皆…」
美穂子は思いもよらないことにただただ驚くばかりで、声も出ない。
「キャプテン!皆からの気持ちですし!」
華菜が満面の笑みでドアを開け放したまま入口で固まっている美穂子の手を取り、部室に招き入れた。

わー!おめでとー!キャプテーンおめでとーございまーす。パチパチパチパチ……
歓声と拍手に包まれた美穂子は、最初のうちは茫然としていたが、直にその両の目からポロポロと涙があふれ出してきた。
「キャプテンの誕生日を皆でお祝いしようって、泣いてるし!」
美穂子を喜ばせようと部員全員での誕生会を企画した華菜が、事情を説明しようとして思わず美穂子に突っ込んだ。

「ち、違うの、違うのよ。華菜…… 私、嬉しくて、それで……」
あふれる涙を両手で拭いながら、「ありがとう、皆、ありがとう……」と美穂子は何度もお礼を繰り返す。
その様子に今度は逆に皆の胸が熱くなった。
「お礼なんていいんですよ…… キャプテン、嬉しいなら笑ってください!」
華菜もうっすらと涙を浮かべながら、美穂子に笑顔の見本を見せるかのように笑いかけた。

「……でも、部室でこんなことをして大丈夫なの?」
泣きやんでいつもの落ち着きを取り戻した美穂子が、ゆっくりと部室を見回す。
いつもはコーチの怒鳴り声が響く部室だが、今日だけは小学生の頃依頼と思われる折り紙のわっかをつなげたチェーンやちり紙で作ったお花ですっかり飾り付けられていた。

「はい。コーチに許可を取ってあります。でも……」
「でも、どうしたの?何か無理なことをしたんじゃないの?」
気真面目な美穂子の疑問に、青ざめた表情の華菜の隣から未春が答える。
が、華菜の表情とちょっと歯切れの悪い未春の答えに美穂子の心配の虫が顔を出す。
「いえ、無理はしていません。というよりこれ以上の無理ができなくてごめんなさい」
未春を先頭に皆が美穂子に向かって一斉に頭を下げた。

きょとんとする美穂子に向かい未春が顔を上げ、話を続ける。
「コーチが仰るには、―福路の誕生日は祝うのは構わん。が、通常通り部室内での飲食は不可。また勉学に不要な物は校内への持ち不可すなわちプレゼント不可。と……」
「ええ…」話を聞く美穂子の顔には納得のいった表情が浮かんでいる。
「折角の誕生会に乾杯やケーキ入刀?、プレゼントの贈呈も無しではキャプテンに申し訳なくて…… それでも、皆の気持ちだけでもキャプテンに伝えたくて……」
未春をはじめ、皆が無念ですというような表情を浮かべた。

「ありがとう。でも、その気持ちが私には何よりのプレゼントだわ」
美穂子が皆の顔を見回して、にっこりとほほ笑む。
「私は本当にいい仲間に恵まれたわ。皆、本当にありがとう」
美穂子のほほ笑みに皆が安堵し、たとえこれだけでもこの誕生会をやって良かったという気持ちになった。

品物としてのプレゼントは用意できなかったものの、星夏の提案により皆で記念撮影をして、その写真を美穂子にプレゼントすることになっていた。
美穂子にしてみればいつの間にか現れた写真部の部員が、美穂子を中心にした記念写真を何枚か撮った。

簡単なものであったが、美穂子にとって嬉しい思い出になった誕生会も終わり、
多くの部員が後片付けで残ることになった。
そんな中、自分も後片付けをしようとする美穂子を華菜、未春、純代と星夏のレギュラー4人がようやく外に連れ出した。


90:名無しさん@秘密の花園
10/09/25 03:52:56 R0QbI03A
「華菜、皆にここまでやって貰って私たちだけ帰るのはいけないわ」
「キャプテン。今日は一緒に帰るのはあたしじゃなくて、あの人ですし」
校門近くに来ても、まだ手伝うと言い張る美穂子に向かい、華菜が何かを堪えるように指さした先。
校門の右手に、清澄高校麻雀部部長、竹井久が手持ちぶさたに立っていた。
が、校舎からやってきた風越の5人の姿を認めるとひらりと右手を軽く上げた。

「ひ、久さん?どうしてここに?」
思いがけないゲストの来訪に美穂子はパニックを起こしかけた。
「どうしても、こうしても私たちが呼んだんですし」
華菜がちょっとムッとしたような口ぶりで説明する。
「な、なんで……」
「何ででもいいですから、早く行ってください!」
ぐうっと華菜に背中を押され、美穂子は久に向かって歩き出した。

が、緊張のあまり思わず久の前を通り過ぎてしまう。
「ちょ、美穂子、待ってよ」
「え、あ、はい……」
久の声に校舎の方を振り返るが、その顔がまともに見れずにうつむいてしまう。
「あなた、今日誕生日なんですってね」
「え?あ、はい。そう、です……」
今度は久の問いに答えるために顔を上げる。
すると、久が少しはにかんで「お誕生日、おめでとう」と美穂子に告げた。

「キャプテーン!」
「清澄部長ーー!」
未春と華菜が声を張り上げる。
「はい?」
「んお?」
呼ばれた方に美穂子がまっすぐ顔を上げ、久が振り向いたその瞬間

カシャッ、カシャッ、カシャッ……

星夏が覗きこんでいるカメラのシャッター音が響いた。
「キャプテーン!これが私たちからの誕生日プレゼントでーす!」
カメラを指さしながら未春がまた大きな声を出す。
しかし、久を前に未だうろたえている美穂子には何がなんだかさっぱり分からない状況が続いている。

「うーん、美穂子…… あなた本当にいい後輩に恵まれたみたいね……」
「えっ?あの…… ええ、そう思います」
美穂子は久の言わんとするところはよく分からなかった。
それでも、いい後輩という一言に反応して、ようやくにっこりとほほ笑みながら返事をした。

(中略)

その後、皆で撮った記念写真は美穂子の部屋を飾り、星夏の撮った写真は、美穂子と久の2人の部屋を飾っている。


〈了〉


91:名無しさん@秘密の花園
10/09/25 03:55:53 R0QbI03A
今回はこれでおしまいです。
コミック7巻のとらさんのおまけ見てて思いついたっす。
部長とは(中略)ですみませんでした。


92:名無しさん@秘密の花園
10/09/25 04:51:08 2byGMbUK
GJであった

93:名無しさん@秘密の花園
10/09/25 06:11:04 c8yOCld+
おもしろかったよ

94:名無しさん@秘密の花園
10/09/25 14:32:45 V9haefn5
(中略) が気になる・・・


95:名無しさん@秘密の花園
10/09/28 15:26:09 18EjjbNZ
3日カキコなしで大丈夫か?

96:名無しさん@秘密の花園
10/09/28 15:35:21 BJAft4Kr
いつでもオッケーっす!

97:名無しさん@秘密の花園
10/09/28 18:45:02 fbkq8EGr
大丈夫だ、問題な……いや、あるな。

98:名無しさん@秘密の花園
10/09/30 02:48:00 rn9dqbdR
投票よろ

アニメ最萌トーナメント2010 投票スレRound89
スレリンク(vote板)
9/30 (木) 本戦Cブロック決勝 
<<原村和@咲-Saki->>

99:名無しさん@秘密の花園
10/09/30 03:20:09 1CSgn3s9
おいタコスも出てるんだから
一応タコスの名前もだしてくれよ

100:名無しさん@秘密の花園
10/10/01 23:48:14 /Hz5Uqgl
咲までもう2週間ですか、そうですか。

時に、Wikiを更新してくださる親切な方はいらっしゃいませんか…

101:名無しさん@秘密の花園
10/10/02 17:30:00 30iadAG3
中略には一体何が!?
キャプテンが部長を誕生日プレゼントとして貰ったのか、部長ケーキを美味しく召し上がったのか、それとも

102:名無しさん@秘密の花園
10/10/03 03:03:12 NkwP4kTu
>>101
部長がキャプテンを美味しく召し上がった一択だ。

103:名無しさん@秘密の花園
10/10/03 12:03:43 RBUdl6L4
>>102
来月の部長の誕生日には二人とも18になる訳で、つまり…

104:名無しさん@秘密の花園
10/10/03 12:52:46 c5c3JqV2
美穂子さんは18歳だから部長を娶ることができるんだよな
でも美穂子さんが夫というのは、ややイメージが違う
養うのは美穂子さんになるだろうし、部長は競艇に足しげく通って貯金を切り崩しそうだし

105:名無しさん@秘密の花園
10/10/04 17:36:36 18g87t7v
プラカードにでっかく希望の誕生日プレゼント書いてる人がいるんだが

106:名無しさん@秘密の花園
10/10/05 23:58:41 SiXHE82K
ちゃちゃのん×愛宕さんってどう?

107:名無しさん@秘密の花園
10/10/07 19:13:29 75BcxAf2
>>106
ちゃちゃのん責めって想像できん
出来れば具体的に

108:名無しさん@秘密の花園
10/10/08 20:46:07 LKzskj7M
衣×池田 衣攻めとか

109:名無しさん@秘密の花園
10/10/09 01:42:57 opOyxuFg
原村さん誕生日だったのに、話題ほとんどないな

110:名無しさん@秘密の花園
10/10/09 06:39:33 YBycC7fN
さきのどスレで愛してもらえたんじゃないの?

111:名無しさん@秘密の花園
10/10/11 14:15:46 JUG99P9l
今度は2日…皆どんどんss投下してくれよ
俺は絶対にせんけど

112:名無しさん@秘密の花園
10/10/11 23:12:40 cxrk2hqg
今思えばキャプテンは3年間、久に会えなかったんだよな
咲も照に会いたがってるし、桃もゆみが消えたら世界中大声で捜しまわると宣言
別離が何らかのフラグってことはないよな
一や和は透華や咲がいなくなったらどんな反応をするのか

113:名無しさん@秘密の花園
10/10/11 23:20:30 b+HsdpUk
和が東京に行ったら
ふさぎ込む咲にとーかがアクション起こすことを期待

114:名無しさん@秘密の花園
10/10/11 23:49:30 LEz+2MNB
末原先輩×すずちゃん
URLリンク(uproda.2ch-library.com)

115:名無しさん@秘密の花園
10/10/12 10:42:08 n2T9kM49
すずちゃんは緊縛プレイが似合うなw

116:名無しさん@秘密の花園
10/10/13 01:04:14 HGNyg5v7
もしよろしければ衣に投票してやってください

アニメ最萌トーナメント2010 投票スレRound112
スレリンク(anime4vip板)
<<天江衣@咲-Saki->>
コードとコメント必須

規制されてる人はしたらばでも投票できます
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

117:名無しさん@秘密の花園
10/10/13 22:44:17 MdA+0rF5
愛宕姉の総受臭は異常

118:名無しさん@秘密の花園
10/10/14 16:56:03 s6QRKqSN
今日は和の出場日

アニメ最萌トーナメント2010 投票スレRound117
スレリンク(vote板)

<<原村和@咲-Saki->>
コードとコメント必須

規制されてる人はしたらばでも投票できます
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

119:名無しさん@秘密の花園
10/10/14 23:06:03 F5iNAFAf
最近部長の片思いから始まるゆみ×久がマイブーム

120:名無しさん@秘密の花園
10/10/15 18:47:34 QDEH31w/
姫様が対局中起きない様に分家の人たちは夜這いすべき

121:名無しさん@秘密の花園
10/10/15 19:51:09 o2Eb2VEv
宮守のメンバーが厨2っぽくてまたあたらしい百合が!
読めなかったなあ。あっという間にオトボケ面子になってしまった

122:名無しさん@秘密の花園
10/10/15 20:24:51 bYfF4Bmd
高貴な姫様かと思いきや可愛いマスコットな姫様とはね

123:名無しさん@秘密の花園
10/10/16 00:02:02 bcxcpWFM
一瞬姉帯さんがデスバレーの墓堀人見えた俺がいる

124:名無しさん@秘密の花園
10/10/16 15:51:56 Px1Gcgg7
シロ×エイリスン期待

125:名無しさん@秘密の花園
10/10/17 01:29:16 36Ji0rff
>>13のSSを書くつもりがちょっとシリアスになってしまいました…
空気読まずに投下しますが苦手な方はスルーして下さい

126:名無しさん@秘密の花園
10/10/17 01:29:41 36Ji0rff
丁度、夕陽がビルの向こうに沈んでいく所だった。
窓から見える街景色が茜色に暮れなずんでいたのを今でもはっきり覚えている。
麻雀部の部室にも西日が差し込み、長い影が落ちていた。
そこかしこに並ぶ雀卓の電源は切られ、
緑色のマットに並んだ牌の山は誰にもツモられないままひっそりと静まっていた。
他の部員達はもう帰った後で、そこにいるのは私と照先輩だけだった。

「照先輩が好きです」

下校時間を告げる校内放送が人気の無い校舎に響く中、
向かい合った照先輩に白糸台高校に入る前から密かに温め続けた想いを告げた。
少し背の高い先輩を見上げると、赤みがかった髪が夕陽に映えて一際眩い輝きを帯びていた。
まるで美しい絵画のようだったが、目を合わせている内に私は胸が苦しくなるのを感じた。
先輩の瞳に何の感情も宿っていないことに、気付いてしまったから。

いつもと同じひんやりと冷たい静寂を湛えたその瞳には、
告白なんて無かったみたいに僅かな細波さえ浮かんでおらず、私は暮れなずむ部室のただの一風景に過ぎなかった。

この恋が叶うことはないと、自分自身随分から薄々わかってはいた。
それでもいざこうして目の当たりにすると、やはり涙がこみ上げて視界が滲んだ。
そのまま滴るような赤い西日の中で照先輩の輪郭があやふやになりかけたが、
それが嫌で私は手の甲で乱暴に涙を拭った。
せめて最後くらいきちんと自分の目で見届けたいと、そう思った。

「淡をそういう目で見ることは出来ない」

照先輩の口調は淡々としており、
私の気持ちに応えられないことに「ごめん」と謝るでもなく、
気持ちを伝えた私に「ありがとう」と労わりを示すでもなく、
ただ事実だけを述べる素っ気無さがいかにも先輩らしかった。

127:名無しさん@秘密の花園
10/10/17 01:30:18 36Ji0rff

「これからも好きでいていいですか?」

震えそうになるのを必死に堪えて声を掛けた私に

「好きにしろ」

と答えて背を向け振り向きもせずに歩き出す姿も、何もかも、宮永照というその人らしかった。

コンクリートの床を踏む固い足音が誰もいない部室で遠ざかってゆくのが、一つ一つはっきりと耳に届き、
部室に取り残された私はいやがおうにも失恋の悲しみを誘われた。
しかし、心は不思議と清々しかった。
憐憫の情など微塵も感じさせない照先輩の後姿を見ている内に、理由がわかった気がした。
私は先輩のひんやりとした冷たさが好きだったのだ。
誰ともなれ合わず、一人孤高を貫くその冷たさが。

とうとう一人きりになってしまった後で、私は憧れが憧れのまま残ったことが嬉しく思った。
恋は叶わなかったが、それでも良い。
ずっと照先輩のことを想い続けられれば、それで。
日が沈み、宵闇に包まれ始めた校舎に一人佇みながら

「好きにしろ」

という最後の言葉を、私はそっと胸の中にしまった。


128:名無しさん@秘密の花園
10/10/17 01:30:57 36Ji0rff


高校進学を考えた時に真っ先に頭に浮かんだのは、白糸台の名前だった。
理由は一つ。
宮永照がいたから。
全国一万人の頂点に君臨するその人に、憧れていた。
私が中学二年の時に当時高校一年生だった宮永照がインターハイで優勝して以来ずっと。

圧倒的な強さで相手を叩き潰し、たとえどんなに大差勝ったとしても決して笑顔を見せない。
ひたすら孤高を貫くその姿に一目で心を奪われ、彼女のようになりたいと思った。
あの頃の私は崇拝に近い感情を宮永照に対して持っていたのかも知れない。
なによりも、彼女は美しかった。
うなじにかかる赤みがかった髪も、冷たく射通すような眼差しも、すらりと伸びた手足も、
全てが美しく頭に焼き付いて離れなかった。

中学三年生で迎えた夏、高校二年生の宮永照がインターハイを二連覇したことでその崇拝の念はますます募り、
そして高校一年生になって白糸台の制服に袖を通して間もなく、狂おしい恋心へと変わった。
宮永照は想像していた通りの人だった。

口数は少なく、詰まらない冗談に愛想笑いすることなど絶対にしない。
滅多に感情を表さないが、心の起伏に乏しいわけでは決して無く、常に内に秘めた強い意思を感じさせる。
だから、その冷たい瞳に見つめられれば、誰もが無意識に目を反らした。
内に秘めた強い意志に気当たりして、深い海の底に連れていかれたような息苦しさを覚えることは、
経験した者なら皆知っている。
私もその一人だ。

129:名無しさん@秘密の花園
10/10/17 01:32:03 36Ji0rff
宮永照には思春期の少女特有の浮ついた危うさも、何かにつけて一喜一憂する弱々しさもなく、大人びていた。
全国有数の強豪校である白糸台の中にあってもその存在感は飛びぬけており、
研ぎ澄まされた抜き身を突きつけられているように、彼女の周りの空気だけは常に張り詰めていた。

私はそんな宮永照に憧れ、彼女のようになりたいと願った。
勿論、そう思う部員は私の他にも沢山いた。
その年の新入生のほとんどが、多かれ少なかれ宮永照に惹かれていたと思う。
無理も無い。彼女は全国一万人の頂点に立つ存在だ。
麻雀を志す者なら誰しも羨望の眼差しを向けざるを得ないし、それに美しかった。
切れ長の涼しい目元と肩口にかからないあたりで短く切られた髪が相まって一見少年のような印象を与えるが、
白い肌とほんのり朱がさした唇は紛れもなく年頃の女性のものに違いない。
二つの異なる特徴が同居して、どこか危うい色気を湛えた宮永照の姿は、
多感な女子雀士が熱を込めて見つめる条件を全て兼ね備えていた。
彼女が部室に姿を見せればそれだけで皆が袖を引き合ったし、
中にはお手製のクッキーやらケーキを焼いて差し入れする子もいた。

しかし、それは長くは続かなかった。
時が経つにつれて、同級生達は次第に宮永照を敬して遠ざけるようになっていった。
一途に想いを寄せるには、宮永照という人は孤高の存在過ぎたのだ。
彼女の目は常に高みに向けられ、取るに足らない私達一年生に優しい眼差しを向けることなど一度としてなかった。
報われない想いを寄せ続けることほど虚しいことはない。
同級生たちは宮永照に惹かれながらもその強烈な個性に屈し、淡い憧れを諦めていった。


130:名無しさん@秘密の花園
10/10/17 01:32:58 36Ji0rff
私もまた想いが報われない日々に疲れてはいたが、宮永照の世界に足を踏み入れたいと思い続けた。
とはいえ、魔物としか形容出来ない不可思議な打ち筋を真似ることは出来ず、いくら憧れようと近づくことは叶わない。
彼女の息遣いを間近に感じれば感じる程、決して縮まることのない心の距離がかえって浮き彫りになるだけだった。
あの頃の私は宮永照を振り向かせることが出来ない自分の弱さに歯噛みばかりしていた。
部活で同じ卓に座る度に、その魔物じみた打ち回しに翻弄される度に、切なくなった。

どうすればこの距離を縮められるのか。
どうすれば彼女の世界に足を踏み入れることが出来るのか。
彼女の瞳に私を映したい。
私のことを心のどこかで気にしていて欲しい。

そればかり考えていたせいで、気付くと

「照先輩」

と呼びかける声が切ない響きを帯びていた。
憧れはいつしか恋へと変わり、宮永照に近づきたい一心で牌を握り続けた私は、白糸台の団体メンバーになっていた。

131:名無しさん@秘密の花園
10/10/17 01:34:08 36Ji0rff


照先輩に告白したのは、西東京の予選が終わった翌日。
想いが実を結ぶことはなかったが、それでも私は清々しかった。
中学二年生の時に一目見て憧れた時のまま、照先輩が孤高を保ち続けていたから。

先輩はやがて迎えるインターハイで3連覇という決して塗り替えられることのない記録を作り、
私はチーム虎姫の一員としてその場に立ち会う。
憧れは憧れとして、不滅の記録と共に私の中で色あせること永遠に生き続け、
先輩のことを思い出す度に切ない息苦しさを覚えるのだろうと、思っていた。
そうやって私の初恋はいつまでも胸に残り続けるのだろうと。

しかしその淡い期待は照先輩の妹、宮永咲の出現によって呆気なく壊れることとなった。
インターハイの決勝戦、大将として試合に臨んだ私は宮永咲に破れ、
白糸台の三連敗の夢も、照先輩の三連覇の夢も潰えてしまった。
対極終了のブザーが聞こえたのと同時に卓に突っ伏した私の両目から涙が流れた。
あれ程憧れ、近づきたいと願っていた大切なものが音を立てて崩れていくことに心が耐えられず、
切なさが嗚咽となって喉から溢れた。

視界を涙で滲ませながら顔を上げると、照先輩と宮永咲が話している姿が見え、私は言葉を失った。
照先輩の顔にはかすかな笑みが浮かんでいたのだ。
それは私が憧れた冷たく大人びた女性ではない、一人の姉の姿だった。
誰にも優しい眼差しを向けず、誰も寄せ付けなかった照先輩が宮永咲を受け入れ、
微笑んでいるという目の前の事実に愕然とした。

どうして私じゃないんですか?
どうして彼女なんですか?

認めたくなかった。
宮永咲に対する憎しみの炎が、その時私の胸の中で燃え上がった。
私が求め続けたものをいともたやすく奪っていった彼女が許せなかった。
照先輩に対する崇拝も恋心も、全て壊した宮永咲という存在が。

私は宮永咲を憎み、彼女の全てを奪ってやりたいと思った。
だからインターハイが終わり、秋学期が始まるのに合わせて清澄高校に転入した。
照先輩という憧れ失った私にはもう何も残っておらず、宮永咲を憎むことしか出来なかった。

132:名無しさん@秘密の花園
10/10/17 01:35:03 36Ji0rff
おしまい

133:名無しさん@秘密の花園
10/10/17 02:56:38 QZqXNinJ
いいよー

134:名無しさん@秘密の花園
10/10/17 14:14:23 La0aDdIP
こわいよー

135:名無しさん@秘密の花園
10/10/17 16:06:02 e3BxcMxL
>>132
GJ
出来れば続いてくれ

136:名無しさん@秘密の花園
10/10/17 21:01:42 ZE2ckOkO
>>132
GJ!むしろここからが本番的なとこあるからよかったら続き頼むね

137:名無しさん@秘密の花園
10/10/18 03:19:38 amHHITNH
姉帯さんと胡桃の身長差百合について如何か

138:名無しさん@秘密の花園
10/10/19 22:32:06 PVeNUWUN
ダル子さんって、百合妄想広げられそうなキャラだよな。ああゆうの好きだわ

139:名無しさん@秘密の花園
10/10/21 08:38:37 jy4xG0jx
URLリンク(up3.viploader.net)

140:名無しさん@秘密の花園
10/10/21 13:20:49 dXD2HS+G
咲←和←照←菫←淡
こういう展開希望

141:名無しさん@秘密の花園
10/10/21 20:30:21 fqNlXahJ
なぜ照→和なんだ?
どういうことだってばよ

142:名無しさん@秘密の花園
10/10/21 20:45:26 b1Zmx+16
妹同様おっぱいに惚れたんだろう

143:名無しさん@秘密の花園
10/10/21 21:07:02 MSiTsXO7
それ淫獣の方

144:名無しさん@秘密の花園
10/10/25 01:19:11 9nmVaGUp
照かじゅ、照久の可能性について語ろう

145:名無しさん@秘密の花園
10/10/25 01:36:52 ZMXVvb4/
>>144
照が咲と和解後に清澄に転校してきて麻雀部に入部してからがスタートだナ

まぁ個人的には久照のが好みだが

146:名無しさん@秘密の花園
10/10/25 03:41:03 dOClATUE
美穂子受け。四レス。

タイトル
「長野行きの電車にて」

147:名無しさん@秘密の花園
10/10/25 03:41:14 dOClATUE
初夏もとうに過ぎ去り盛夏と言って差し支えない日差しが容赦なく照りつける八月。
全国大会間近という時期にわたし、福路美穂子は同学年の加治木ゆみ、竹井久と会う約束をしていた。
いつもは長野市に住む加治木さんが飯田に来るという展開が多かったのだが、今回はこちらが出向くという事になっている。
上埜…竹井さんも久しぶりに加治木さんのお宅に上がれるという事で、非常に喜んでおり、わたしもそれは同じであった。

当日、わたしは電車に乗り込み、目的地である所の長野駅へ向かった。
夏休み中という事もあり、電車の中は人でいっぱいだ。
席に座る事も出来ず、わたしは扉近くの棒に捕まり揺れと人波をしのいでいた。

自動扉が開き、人が吐きだされ、それよりも多い人々が波の様に乗り込んできて、また閉まった。

あと何駅くらいだろう。
少なくともあと二時間はこうして立ってなくてはいけないのだろうか。
でも諏訪を過ぎれば少しは空くかもしれない。
などとどうでもいいような事を考えていた。
何か考えてないと、風越で頑張っている他のみんなに申し訳が立たなくて、せっかくのデートだというのに気が落ち込むからだ。

三人で会って何をしよう。
加治木さんの事だから下調べは入念にしてあるだろう。
わたしもそれなりに調べては来ているが、三人で歩く時はいつも加治木さんのリードで進む。
それを竹井さんが思いもしない所で止まったり立ち寄ったり食べたり。
加治木さんは予定が狂ったなどと言って、苦笑いするが、それが楽しいように見えた。
わたしも竹井さんがそのように自分勝手にわたしたちを振り回すのが嬉しくて、楽しくて。
いつまでもこんな時間が終わらなければいいと思う。

でも、と考えてしまう。
いくら楽しい時でも終わりは来る。
別れは来る。
さようならと手を振って、別れる時の物悲しさはいかんともしようがない。
もし高校を卒業したら。もしIHが終わったら。
こんな風に会う事もなくなるのだろうか。

いつしか涙がこぼれていた。

こんなにも弱いわたしなんて、大学生になった上埜さんは見向きもしてくれないかもしれない。
上埜さんが好きなのは、加治木さんのように芯の強い、しっかりした人なのだろう。
それでもいいと、普段は思っているけれども。
やっぱり、心のどこかで上埜さんとつながって居たいと思ってしまう、卑しい自分が居るのは否定できない。

   心だけではなく、せめて何か残るものが欲しい。
   会う事がなくなるのならば、なにか思い出に残るようなものが欲しい。

そんな心の声に気付き、かぶりを振る。
なんと自分はいやらしいのだろう!
三年待ち望んだ再会で満足したのではないのか。
それが上埜さんに対して何か欲しいとおねだりするなどと、おこがましいにもほどがある。
自分の身体を抱きしめて、嫌悪感に浸る。
こんな気持ちを上埜さんに知られたら、きっと軽蔑される。嫌われてしまう。
必死になって、自分の心を内へ、内へと閉じ込めた。


そのように、なんの意味も無い思いに流されていたからだろうか。
わたしは時折自分の背後で接触してくる"モノ"に気付く事が出来なかった。

ぞわり

突如として背筋に悪寒が走る。
なにかが背後で蠢いた。
否。
明らかに指が、わたしの身体を意識して触れていた。

148:名無しさん@秘密の花園
10/10/25 03:41:16 dOClATUE

遠慮がちに一、二本。
しばらくして三本。
こちらが恐怖で声も出せずに居る内に、五本の指全部がわたしの臀部に食い込んだ。
思わず爪先立ちになる。
体中に怖気が走り、夜中じゅうベッドの上に何着も置いて厳選した服が冷や汗で濡れるのが分かる。
棒を持つ手が脈打つのが分かる。
気がつけば心臓が破裂しそうなほどに高鳴っている。
胴の中心から下の部分が急激に重くなり、なんの感覚もなくなる。

助けを呼びたいのに、口が開かない。
顎が力の限り、唇を噛みしめさせている。
棒を握る右手は力が入りすぎて白くなっている。
恥ずかしくて、でもそれすら考えられないほどに、怖い。
鼓動を刻んでいた右手が、今度は激しく振動している。
電車の振動?
違う。
わたし、震えているんだ。
恐怖し、震えてると自覚した瞬間、涙があふれてきた。
うつむいた私の足元に、涙がひと粒、落ちた。

わたしの臀部をまさぐる手は動きを止めず、指はずり上げる様に次第にスカートをたくしあげ始めてすらいた。
あぁ、このままスカートの中に手を入れられるんだな、と妙に冷静に分析してはいるが、身体は一向に動く気配を見せない。
動いてはいるが、これは自律した動きではなく、恐怖によって動かされているだけの、いわば反射にすぎない。
スカートが順調にたくし上げられ、おそらくは中指が直接わたしの体に触れた、その瞬間。
背後の手はわたしの身体を離れた。

たくし上げられていたスカートの裾がストン、と落っこちてすぐさま常の状態に戻る。
なにがどうなったのか訳が分からないが、ひとまず恐怖の楔から解放されたことを素直に喜び、深呼吸をする。
今までどれだけ貯め込んでいたのかと思わんばかりに、息が吐き出される。
同時に緊張の極致であった身体が弛緩し、爪先立ちのままだった足もかかとをつけて安堵する。
身体に残るストレスを取り払おうと息を大きく吸ったその時、わたしの胸がわしづかみにされた。

息が止まる。
鷲づかまされたというが、体勢としては下から持ち上げられたという状態である。
生ぬるい空気が首筋に当たる。
おそらくは今まさに胸をわしづかみにしている人物の吐息であろう。
息が当たった部分に鳥肌が立つのが自分でも分かる。
怖気が走るということばそのままに、肌が粟だって行く。
そんな怖気さとは裏腹に、身体はどうやら歓喜を上げているらしく、それが非常に腹立たしかった。
脳とは別の何か他の器官があるとしか思えない。
自分はこんなにも嫌悪感でいっぱいになっているというのに、なぜ、身体はこのような行為を喜んでいるのか。

 「うあぁ…」

情けない声とともに口が開く。
同時に緊張していた身体が弛緩していく。
すぐさまに、後ろに立つ人間が指を口の中に入れていく。
食いちぎる事も出来ず、指は舌を撫でまわし、わたしは汚らしく唾液を指にまとわりつかせていく。
くちゅくちゅという音がわたしの頭の中で反響する。
左胸がもみくちゃにされていくのも、なんの抵抗も出来ずにされるがままだ。

先程から視界がどうもぼやけている。
口の中に指を突っ込まれているというのに、その感覚ももはやない。
トンネルに入る。
暗闇の中、ドアのガラスにわたしの顔が映った。

そこに居るのは両の瞳の色が違う、淫乱な笑みを浮かべながら涎を垂らす、ひどく厭らしい女だった。

149:名無しさん@秘密の花園
10/10/25 03:41:18 dOClATUE

 (なんて気持ちよさそうな顔をしているんだろう…)

そんな自分の有様を見て、何かが頭の中で壊れた。
もう、内から湧き上がる衝動に抗う力もない。
必死になって唇の内側に潜めていた音を、抑えていた声を、わたしはとうとう口に出していた。

そもそもそれは、声とは到底言えぬ言葉。
ありていに言ってしまえば、そう。

喘ぎ声、なのだろう。

一度外に出てしまった声は止めようがない。
二度三度と漏れ続け、次第に大きくなっていく。
それを危惧したのか、口の中にある指は絶妙に舌を絡め取り、声を漏れだしもしないようにしてしまう。
わたしはもっと喘いでいたいのに。

顎まで伝った唾液がわたしの胸に落ちる。
酷く冷たい。
身体が全体がもう火の様に熱くなっているのだと、実感した。
この熱量をもう内に秘めてはいられない。

わたしの身体は我慢という言葉を忘れてしまっていた。
わたしの脳髄は理性という言葉を失ってしまっていた。

ドアに手をつく。
頬をドアに押し当てる。
ひんやりとした金属質の冷たさが心地いい。
わたしの息がかかって、ドアのガラスが白く曇っていた。

口の中の指を唇をすぼめて吸う。
吸うという行為はなにやら心を落ち着かせるものだ。
そんなわけのわからない事を考えていると、胸をまさぐっていた手はおもむろに下へと向かった。
身体がまたも喜びに蠢く。
だってそこは
スカートを前からたくし上げる。
だってそこは
わたしの太腿があらわになるが、もちろんそんなことはもう私は頓着しない。
だってそこは
太腿の内側から這うように手がどんどんと、その付け根に達する。
だってそこは
そしてついに手は、手は



触れられた途端に、わたしはわたしという存在ではなく、ただのメスとなっていた。
右手を下に、左手を胸に。
自らの身体を他人の手の上に、自らの手を置いて、さらに強く、慰めていた。
快楽だけを求めていた。
快感だけが欲しかった。
この後なんて考えられず、この瞬間だけを考えていた。
否、感じていた。
気持ちいい事だけ感じていたかった。
この先どうなるかなんて考えたくもない。
高校生活が終わって上埜さんとそれっきりになるだなんて想像したくもない。
いわんや、インターハイが終わって離ればなれになるなんて考えたくない。
そんな、いつか来る必然なんて一瞬でもいいから忘れ去りたい。
そんな考えがあったから、なのか。ただ単に私が淫乱な女だからなのか。
ただただ、この破廉恥極まりない行為に没頭したかった。
だが、現実はいつも予想を大きく上回って、わたしに振りかかる。

150:名無しさん@秘密の花園
10/10/25 03:41:21 dOClATUE

 「あら、ずいぶん気持ちよさそうね。やっぱり電車の中って興奮する?」

間違えようのない声だった。
三年間、忘れたくても脳裏から離れない声だった。
三年経って会ったらもう二度と別れたくなくなった声だった。
好きで大好きで愛してい人の声だった。

なぜ指を見た時に気がつかなかったのか。
この指は華奢で細くて白くて長くて、どう考えても男性のそれではなく、女性。
そしてこの指からはじき出される闘牌は、いつも私の心を熱くさせていたではないか。
その指が、声が、顔が、瞳が
わたしの身体に雪崩れ込んで、めちゃくちゃにしていた。

 「上埜さん?!」

素っ頓狂な声が出た。
上埜さんの指は、もう既にわたしの秘所から離れていた。
変わって両腕でくるむように、後ろからわたしを抱きしめてきた。身体の中の熱量がどんどん下がる。

 「いやぁ美穂子があんまりにも可愛いからつい、痴漢したくなっちゃってさぁ」

言い訳とも状況説明とも単なる冗談とも取れぬトーンで私の耳元に呟かれるそれは、いつものように適当一辺倒だ。
わたしの汗ばんだ身体のにおいを確かめるかのように、上埜さんはクンクンと鼻を鳴らす。

 「で、どうだった?気持ち良かった?」
 「しりません!」

思わず語気を荒立てて答えてしまう。
そんな自分にびっくりして、口を抑える。
周りの乗客が迷惑そうに怪訝そうにこちらを見ている。
上埜さんはそれらに手を振って応えた。
ますますわたしに寄りかかりながら、気持ち良くなかったの?なんて淋しそうに言う上埜さんに、
わたしは何と答えたものか返答に窮していると、奇天烈な着信音が聞こえてきた。
上埜さんはため息をつきながら携帯を取り出した。
その為に私は上埜さんから放り出された形だ。
なんとなく、弾き出されたような気がして途端に淋しくなる。
なので私はとりあえず上埜さんの腕にしがみついて、少しでも密着の度合いを高めようと努力した。
上埜さんの身体はとても甘い匂いがして、どんな香水をつけているのか気になったが、お話し中なので当分は聞けない。

 「え、そうなの?残念。えー、そりゃもうもちろんそっち向かってる最中よ。電車代?いいわよ、そんなの。じゃあ、また今度ね」

名残惜しそうに通話を切る上埜さんを、わたしは見上げた。上埜さんは残念そうな顔を隠そうともせずに継げる。

 「加治木さん、東横さんに捕まったんだって。あーぁ、せっかくおめかしして来たのに」

加治木さんの前では上埜さんはやたらと少女的で、可愛らしい。
わたしの前で見せる大人っぽさはなりをひそめる。
わたしはそれを羨ましいとは思うが、でも加治木さんの様にはなれないので、そのような上埜さんを引き出すことをわたしは早々に諦めた。
だからわたしはわたしの方法で、上埜さんと一緒に居ようと決めた。
いつか離ればなれになってしまう時が来るまで、上埜さんともっと一緒により近くに居ようと、それは今、決めた。

 「今日一日空いちゃったけど…どうする?」

携帯を畳ながら気さくに言ってはいるが、このような事は他人の身体をまさぐりながら言うセリフではない。

 「わたしは…さっきの続きがしたいです…」

そんなこんなは全部スルーして、わたしは上埜さんにおねだりした。
上埜さんはにこりと笑うと、数分前までと同様、わたしの身体を蹂躙し始めた。(了)

151:名無しさん@秘密の花園
10/10/25 05:19:40 7mF9y9rp
>>150
GJ!!!!
いやー素晴らしかったです
グイグイと引き込まれる濃厚な心情描写が素敵ですね
大変良い物を読ませていただきました

152:名無しさん@秘密の花園
10/10/25 07:09:57 9nmVaGUp
>>145
もちろん久照もありだけど、部長受けにも非常に興味があるw

>>150
GJ!
さすが部長、自重という言葉を知らない女w

153:名無しさん@秘密の花園
10/10/27 19:22:08 BpzyDxO9
>>150
GJ!!
だが部長自重しろww

154:名無しさん@秘密の花園
10/10/27 22:11:16 x/Ypsblm
流石すぎてたまらんw

155:名無しさん@秘密の花園
10/10/29 07:14:14 HD3JP1SI
>>146-150
状況と心理描写が秀逸すぎるw
アニメの対局中の時のシリアスなBGMが頭の中で流れてきたわ

156:明日のガイト 序
10/10/30 15:21:31 Ep2hUMCi
えーと、お久しぶりです ご無沙汰でした ああ何ヶ月ぶりだろか
コントとか投下してたやつです 生きてたよ 帰ってきたよ
…どうでもいいか 憶えてないよね でもなんかその ごめんね

久々にSS投下です 全国編にトライしました
レスすること自体久々すぎて、少々もたつくかもです 請うご容赦
それでは早速 次レスより5~6レスほどお付き合いください どぞ


157:明日のガイト①
10/10/30 15:23:39 Ep2hUMCi
出 演:辻垣内智葉、ダヴァン、宮永照、弘瀬菫
百合分:もにょっす エロ:ムリっす ばか度:観測史上最大級
ちょびっとシリアス? 厨2ちっく お姉ちゃんヤンデレ ちっとこわいかもです
まだ露出の少ない面々なので、妄想力全開でお届け ふひひ
捏造とかっ!気にしちゃ駄目だ、だめなんだ! スルー、それは優しさ それでは
↓スタート
******************
「 孤狼の誇り 」

「ふう、式典など……もう少し簡略化できないものか」
化粧室の個室で、ため息をついた。……落ち着け、もうすぐだ。もうすぐ闘える。

全国大会開会式は、つつがなく終了した。年々派手になっていくような気がする。
真夏の祭典、か。きらびやかな演出は、卓上の死闘を嬉々として煽っているようだった。

 ―さあ、選ばれしツワモノどもよ、闘え、踊れ、死に狂え―

「……いいとも、みせてやるさ」

外に人の気配が消えたのを見計らって個室を出たが、まだ一人、洗面所に先客が残っていた。
白糸台の制服……。(! 宮永っ)

「久しぶりだな、宮永照」 問い掛けに、ハンカチをくわえ手を洗っていた少女が振り返った。
調和の取れた美しい顔に、少し怪訝な色を浮かべている。

「去年のようにはいかないぞ。今年は団体戦でも私が……ん?」 「……」
ハンカチをくわえたまま、小首を傾げた。 (まさか、こいつ)

「憶えてない、のか」 「……」 ハンカチを手に取り、少し悲しそうに眉根を寄せる。
ほとんど無表情であるが、此方を見つめる緋色の瞳は深い愁いを帯びているようにも見える。
(あわれみ? くっ、おのれっ!)

「っ……そうか、すまん」 ぎりりと奥歯を噛みしめる。
無言の宮永照から目をそらし、手洗いを済ませ、その場から退出した。

入れ違いに化粧室に入ってきたのは、弘瀬菫である。
「照、済んだか?行くぞ」 「……ん」 照の目線を追って、菫が振り返る。
「今すれ違った奴か?あれは……うん、確か臨海の辻垣内、だったか。何か話したのか?」
「いや……別に」

「去年の個人戦の3位だな。お前も対局しているぞ」 「……そう」
「かなりの打ち手だったと記憶しているが。憶えてないのか?ひどい奴だな」 苦笑する菫。
「相手が誰とか……関係ない。全部倒すのみ、だ」 感情を伴わない声で、ぼそりと呟いた。
「ん、そうだな。お前はそれでいい。さ、行こう」 菫が照の腕を取り、化粧室を後にした。

* *

化粧室を出て、黙々と歩く。あいつ、私を憶えていなかった。忘れられていた。
つまりあいつにとって私は、取るに足らない有象無象のひとつでしかないんだ。

インターハイの象徴、全国高校雀士1万人の頂点、宮永照に贈られる賛辞は様々だ。
しかし表立って口にされることは少ないが、彼女を例える言葉には、もう一つの種類がある。
憧れと、畏れ。その神懸り的な闘牌に魅せられた者共が、まことしやかに噂し合うのだ。

曰く、猛き虎姫、無敵の魔王、全国の魑魅魍魎を統べるもの、……人ならざるもの、宮永照。

……だからなんだ、それがなんだ。
「渡辺綱だって、ヘルシング教授だって、ただの人間だったろうが」
ぐいっと顔を上げ、歩を進める。小さな拳を、ぎゅっと握り締めた。


158:名無しさん@秘密の花園
10/10/30 15:23:41 X54BE6nR
キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

159:明日のガイト②
10/10/30 15:25:37 Ep2hUMCi
* * *
辻垣内智葉は、反骨の人である。
普段は物静かで、例えば声を荒げたりすることも、まず無い。小柄で清楚な容姿もあいまって
ともすれば大人しく見られがちだが、何かの折にその双眸を覗き見る機会を得た者は、彼女が
内に秘めた灼熱の炎を容易に感じ取ることができるだろう。

智葉が幼いころ、TVで陸上長距離走の国際大会を観戦したときのことだ。
長身の外国人選手に混じった小柄な日本人選手は、ひときわ小さく見えた。足の長さなんて、
半分くらいじゃないかと思った。解説者は、如何に日本人選手が身体的に不利であるかを
必要以上に明朗に語っていた。だから我々は駄目なんだ、とでも言いたげに聞こえた。
「外人さんは大きいからねぇ」 共に観戦していた祖母は、残念そうに嘆息していた。

智葉は違った。彼女は歓喜した。何故か、誇らしかった。
肉体的不利をものともせず、彼女たちが世界を相手に互角以上に闘っているのは何故だ。
圧倒的不利を目の前にしても、怖気ずひるまず果敢に挑み続けるのは何故なのだ。

(強い想いがあるからだ!)

一時の激情ではない。瞬間的な感情の爆発などとは無縁のものだ。そうでありながらも、
高く高くひたすら上を目指そうとする意志は、静かに強く燃え続けるのだ。

その原動力、心のずっと奥にある想い、それを支えるのはきっと「克己心」 だ。
貧困からの脱却や栄光を希求する野心、いずれをも否定したり卑下したりはしない。
(ときにそれらは尊いものですらあるだろう。求むるものなど人の数ほど違いがある)しかし
数多あるそういった心象の中でも、在り様として共通であり、尚且つ智葉がもっとも高潔だと
感じるものが、それだ。火を噴くような情熱を、冷徹な分析で御したとき、勝算は生まれる。

高校進学の際、迷わず世界のトップランカーが集められると噂の臨海女子を選んだ。
一般入試の日本人など臨海麻雀部ではゴミ以下の扱いであったが、全く気にしなかった。
そんなときにとるべき道は二つに一つ。見切りをつけて立ち去るか、実力で黙らせるか、だ。
退却することを卑怯だとは思わない。だが智葉は闘うことを選んだ。平坦な道ではなかった。
素足で荒野を進むような毎日だったが、歩みを止めたりはしなかった。克己心だけを支えに。

おのれにかつ、こころ―。
赤い情熱の火と青い合理の火が交じり合い、紫色の火炎となって静かにゆらゆら揺れている。
それはそういったものなのだ、と、智葉はイメージしている。

そんなようなことを、迂闊にもダヴァンに話してしまったことがある。
「智葉サンは、紫色の炎のプリンセスなのデスネ。かっこいいデス」 「……よしてくれ」
何故か、やだった。だってなんだか、中2病?とか言うやつみたいだし。

* *

宿舎に戻るため、1階大ホールへ向かう階段を下りきったところで、後ろから手を掴まれた。
「ああ、智葉サン!やっと見つけまシタ。ご飯食べに行きまショ」 ぺかっと笑う。
「ダヴァン、開会式後は自由時間だ。勝手に食べに行けって言っといたろ。つか、離せ」

「えー、イッショに食べましょーヨー。そのほうが絶対おいしいデスヨー」
つないだ手を、ぶんぶんと振る。恥ずかしいからやめて欲しい。
まあ、いきなりハグしてこなくなっただけましか。

「……智葉サン、また怖い顔してまス。キンチョー、してまスカ?」
メガン・ダヴァン。カテゴリ的には魔物の一人だが、不思議な奴だ。何故私などに構うのか。

去年の個人戦を思い出す。事実上の決勝卓となった最後の対局で、宮永照と対峙したときだ。
他を寄せ付けぬ圧倒的なオーラと雀力に直接さらされた私は、南2局で気を失いかけた。

(『くうっ、まだ、届かないのか……』) そのとき確かに聞こえたんだ。ダヴァンの声が。
(『立って、立つんデス!智葉サン!』)


160:明日のガイト③
10/10/30 15:27:31 Ep2hUMCi
対局中なのに、思わず本当に立っちゃったじゃないか。恥ずかしかった。ダヴァ子の奴め。
……言いがかりだな。幻聴だったのだろう。しかし何故、ダヴァンの声だったのか。

初めて会ったとき、彫像のように整った顔に猛禽を思わせる鋭い目をして、妙にワイルドな
格好をしてた。ヒャッハーとか言い出すんじゃないかと少しワクワク、じゃなくてハラハラ
したものだ。話してみれば、とても気のいい田舎のオネーチャンという感じだった。

真っ直ぐな奴なのだろう。感じたままを正直に口にする。外国人だからというよりは、コイツ
の個性なのだろう。それでいて、今まで頻繁に目にしてきた外国人特有の強烈な自己主張、
傲慢さのようなものが、ダヴァンからは感じられない。寧ろ周囲に細やかな気遣いを見せたり
もする。その辺の陰険な日本人よりも、余程そうしたことに気を配っているのがわかる。

「お前、他人に気を使いすぎだ。私のことなど放っておいてくれていい」
「”Read the Air” なのデス。私が日本で一番学びたかったコトなのでスヨ」
「……変な奴だな」 何か違うぞ、それ。思わず笑ってしまう。

(ああ、やっと笑ってくれまシタ。智葉サン、また難しいことを考えていたのでスネ。
もう、眉間にしわなんか寄せて……。キュートなおデコが台無しデス)

数ヶ国語を自在に操るこの小柄な才媛は、必要以上には周囲と打ち解けようとしない。
学内リーグ戦で智葉に打ちのめされた他の部員たちは、陰で彼女を”アイスドール”と呼んで
揶揄していた。そんな噂を耳にしても、智葉はどこ吹く風、といった感じで、寧ろダヴァンが
やきもきしてしまう。

学内ランキングでは常にトップ3に入る智葉が、これまで団体戦に出場できなかったのは、
偏に大人の事情というやつだ。大金を使って獲得した外国人選手に活躍の機会を与えないわけ
にはいかないのだ。しかし彼女は特に不平不満を言うでもなく、ただ黙々と日々研鑽に努め
続けていた。今と同じ、瞳を強く輝かせて。

(あなたにとって世の中は、理不尽の嵐が吹き荒れる荒野、それで当たり前なのでしょうネ…
でも智葉サン、この世界はきっと、それだけじゃないんでスヨ。そう、例えば……)

「? グレートマージャンスピリッツ? 宗教はいらん」
「そーゆーんじゃないでスヨー、例えたのでス。えーと、愛でス。おーきなおーきな、愛。
麻雀牌にも、人のココロの中にもある、私の感じるソレを智葉サンにも感じて欲しいのでス」

「いらん。神頼みなど性に合わん」 「お正月、イッショに初詣でに行ったじゃないでスカ」
真剣に手を合わせ、頭を垂れていた。割と長い時間、そうしていたように思う。

「別に、何か祈願してたわけじゃない」 「? じゃあ何を」
「誓ったんだ。全力で闘うと」 きっぱりと言い切った。 「Oh……」

「……勝てまスヨ、私たち!智葉サンは、天才デス!私は知ってまス!」 「よしてくれ」

もし真に天才というものがいるなら(宮永は多分それだ)、私はその対極に位置する人間だ。
現実は時に容赦なくその事実を私の眼前に突きつけた。だがそのこと自体を嘆いたことは無い。
寧ろそれは、厳しい現実であると同時に、私の誇りを醸成するものですらあった。

なぜなら、藤田プロの言う「牌の寵愛」、すなわち生まれ持っての才能、強運を持ち得ないと
いうことは、私の手にした栄光も挫折も歓喜も悲嘆も、屈辱ですらも、全ては私の意志による
闘いの結果、つまりは私の意志による存在の軌跡、証明そのものということになるのだから。

そしてそれらがより純粋に、私という存在の主たる意識である「私」と、ぴたりと折り重なる
ということになるのだから。それは実に、すっきりとしたことであるに違いない。

もし神がいるのであれば、特殊な才能という「ギフト」を私に与え賜わらなかったこと、
そのことにこそ、感謝をしよう。

そう、私は幸せだ。今このとき、挑戦すること、し続けることを許されているのだから。


161:明日のガイト④
10/10/30 15:29:29 Ep2hUMCi
凡庸なる者は、幾度も転んで泥まみれになったって、もがいてあがいて前に進むしかない。
そうやって進むことをあきらめなかったものにこそ、奴と対峙する資格が与えられる。
それは、単に卓を同じくする、ということではない。

十五の春に、遠くか近くか知らないが、一人で野垂れ死ぬことを覚悟した。
全てを捨てて、闘うことに懸けると決めた。宮永照と初めて対決した日の夜のことだ。

燃やす。この命を燃やし尽くす。後に残るのは、雪のように真っ白な灰、それだけだ。
そうしなければ届かない。そうでなければ、アレの足元にさえ近寄れまい。

憶えていない、か。上等だ。誰よりも美しく気高き孤独な魔王、宮永照。
その白い首筋に、私の牙を突き立ててやる。その憂えた瞳に、命の灯をともしてやる。
次に対峙したとき、そのときこそ、私の名を声を姿を、深く深くお前の魂に刻み付けてやる!

― 熱い闘気が智葉を包み込む。 と、そのとき ― ちゅっ
いきなりおでこに何か柔らかいものが押し当てられた。

「だっダヴァン、何を!」 「何って、Kiss ですけド?ニホン語で言うなら、ちゅー」
「お、お前!そういうことすんなって前に言ったろ!」 語気を強め、抗議する。
ダヴァンと知り合ってから、極稀にこういうことがある。智葉のこういった姿は大変珍しい。

「だ、だってまた怖い顔してるかラ!おデコ可愛いのに、もったいないでスヨー!」
「うううるさい!このばかっ」 赤面する智葉というのも、めったに見られるものではない。

なんとなくつないだままでいた手を振りほどき、智葉は憤然と歩き出した。

「ああ、智葉サン、待ってくださいヨウ」
「うっさい、ばかっ、こっちくんな、ばかっ!」
「いーじゃないでスカ。私、智葉サンのパートナーなんでスカラ」
「何だそれ、ばかっ、勝手に決めんな、ばかっ!」

「モー、そんなばかばかって連呼しないでくだサイ。確かにばかかも知れませんけドー。
それじゃあ改めましテ、お願いデス。私を智葉サンのパートナーにしてくだサイ。プリーズ」
「? 目の前の団体戦に集中しろ、ばかっ。闘うときは、独りだ!コンビ打ちなど、できん」

会場1階大ホールの雑踏を掻き分けるようにして、小柄な智葉が進む。
まるでその小さな背中を守るように、長身のダヴァンが付き従った。

(む~、さりげなーくコクハクだったんですけドネー……智葉サン、にぶちんデス。ハァ)
国際レベルの天然なのだった。

* * *

1階大ホール、玄関の正面に当たる奥の壁面に、巨大なトーナメント表が提示されている。
丁度その前を通り掛ったとき、宮永照は立ち止まり、ゆっくりとそれを見上げた。

「運命のラダー、だとさ。なかなか気の利いたことを言うよな」 菫が微笑みながら言った。
(まあ所詮は、照に、魔王に屠られる運命ってことになるんだがな)
驕るつもりはないが、正直なところ、相手が少々気の毒に思えたりもする。

(長野……清澄、……咲……)
「長野の清澄は、勝ち上がれば永水と臨海に当たるな。気になるか?」 照の顔を覗き込む。
「……いや、別に。関係ない」 視線を伏せて、照が呟いた。

「……ふふ、まあいい。さてと、照、何食べたい?」 「オムライス」
照は食が細い。長く一緒にいるが、例えば好物の話などもしたことはない。何でもいいという
返事を予想していた菫は、少し驚いたが、同時に何だか少し嬉しかった。

「好きなのか? オムライス」 「……いや、別に。なんとなく」


162:明日のガイト⑤
10/10/30 15:31:48 Ep2hUMCi
― ああ、感じる。咲が近くに来ている。
一週間前、学校の屋上で感知したのと同じ。あれは、咲だ。
あのときは、力強いたくさんの光に包まれて、まっすぐ私に届いてた。

 (『 お姉ちゃん 私 行くよ 』)

今はとても弱々しい。でも、……来たんだね。此処のどこかに、お前はいるんだね。
もしかして、また迷子になって泣いてたりとか、してない? 大丈夫? ふふっ

 ……咲、愛しい咲

 今のお前は、強く、咲けるの?

このラダーを這い上がって来るのは、皆、勝利に餓えた百戦錬磨の狼たちだ。
お前はその群れの中に飛び込んで、立ちふさがる奴、ソイツラの喉笛を、
全部噛み千切らないとイケナインだよ   ゼンブ

 ……おいで おいで お姉ちゃんは 此処にいルよ

 おいで 咲

 全部倒して 私ノ前に

 お前の浴びた返り血ハ 綺麗ニ舐メテアゲルカラ

 思いっきり抱きしメテ 優シク壊シテアゲルカラ

 そしたらきっと 昔みたいに

 ずっと一緒にイラレルよ 

 ずっと ずゥット 一緒ダヨ……

― 照が俯き、小さく肩を震わせている。哄笑するのを堪えるように。
「? 照、どうした?」 「ん、イヤ……何デもない」

(ふふっ、全国の狼たちと、咲が、フフ……うん?狼?……臨海、ああ、さっきの……)

「……あの、孤狼か」 思い出した。個人戦で、しぶとく食らいつこうとしてきた奴だ。
「痩せ狼が、懲りずに牙を研いでいたらしいな」

「ん? 誰のことだ?」 菫の問いには答えずに、少し口の端を吊り上げて、照が呟く。
「ああいう奴は、嫌いじゃない。少しは……楽シメソウダ」
ほんの一瞬、照から暗黒の波動がほとばしった。

「っ!……照」 菫がじっと照を見つめる。胸が騒ぐ。
味方としては、これ以上ないくらい頼もしいはずなのに、この不安は一体何だ。

「照、お前……むっ?」 そのとき、フロアの彼方此方から送られる複数の視線を感じた。
息を潜め、此方の様子をじっと伺っているようだが、その殺気は隠しきれていない。

「……ふん。照、どうやらその狼の群れが、彼方此方潜んでいるようだぞ」
「……菫、今年の有象無象の餓狼たち、どんな声デ、鳴くんだろうな……」
外へと向かう。二人の進む先で、まるで海の底が割れるように、人波が左右に開いた。

「さあ、真夏の宴の ハ ジ マ リ ダ 」 孤高の虎の、緋色の瞳が ぎらりと輝いた。

*********************
以上  読了感謝


163:明日のガイト 蛇足
10/10/30 15:34:03 Ep2hUMCi
はい、お疲れ様でした ありがとうございました
あまりにも久しぶりでしたが、いかがだったでしょ
やっぱりSS書くのは楽しかったです でも何か勘が戻らない感じ まあぼちぼちと

智葉さんを、見たまんま秀才で、峻烈な努力の人って感じにしようと思って、小難しいことクドクドと
言わせてみたけど、所詮書き手がばかなので何だかもう
ダヴァ子ちゃんと仲が良いといいな もちろん他のメンバーとも
それにしても、照お姉ちゃんの黒ポエムを書くのが妙に楽しかったです
こんなんイメージとちゃうっ! という方は、ごめんなはい 華麗にスルーで万事解決

それにしても全国すげー 姫様かわいい こっそりおやつあげたい しろみちゃんはなんかえろいし、
漫ちゃんはデコといい乳といい、見事だ すばらしい さすが立たん
衣ちゃん相変わらず可愛いし、純のアニキのスタイルの良さときたらもう、くらくらしますな ふへへ
またモンプチーズでお話書きたいです いずれそのうち それでは


164:名無しさん@秘密の花園
10/10/31 00:58:54 svKM54Ju
GJです

アイスドールと聞くと某ヤンデレ女帝を思い出す

165:名無しさん@秘密の花園
10/11/03 03:10:45 HbS3tbfR
>「さあ、真夏の宴の ハ ジ マ リ ダ」


何故か「狩ノ時間ダ」を思い出した

166:名無しさん@秘密の花園
10/11/08 19:10:24 eWNjy1hf
人いねぇ

167:名無しさん@秘密の花園
10/11/09 02:40:10 8TsDlwzP
原作での百合描写が少ないからなー
さきすぺでの収穫はどうだったのかしら

168:名無しさん@秘密の花園
10/11/09 10:08:22 wvh3/NxF
かじゅももは相変わらずおいしい

169:名無しさん@秘密の花園
10/11/09 10:15:17 M7o4g5k/
3年組が総出で久に想いをはせる中堅戦とのど咲が遠い

170:名無しさん@秘密の花園
10/11/10 19:35:30 t2IgZEVS
とりあえずシロの百合カプは姉帯さんなのか胡桃ちゃんなのかを

171:名無しさん@秘密の花園
10/11/10 22:43:41 f9BRgH0u
エイスリンちゃんはそれを覗きながらオナニーするだけとかナニ決め付けてんだよっ!

172:名無しさん@秘密の花園
10/11/10 23:45:51 v1RT0360
エイスリンちゃんは中堅で部長に一目ぼれして試合後控室にサインをもらいに行くんだけど
応援に来ていたキャプテンに追い返されるんだと思うな

173:名無しさん@秘密の花園
10/11/11 01:24:12 loA6xjMN
控室に帰る部長に声をかけようとするエイスリンちゃん
しかし控室前で美穂子さんと楽しげに会話する部長の姿に絶望し
エイスリンちゃんは泣きながら宮守控室に戻るのであった。

174:名無しさん@秘密の花園
10/11/12 01:31:59 aLQWe6o5
シロさん可愛いな・・・受けなんだろうか

175:名無しさん@秘密の花園
10/11/12 17:51:55 C/5tMWF7
むっきー×モモって需要ある?

176:名無しさん@秘密の花園
10/11/12 17:52:37 ljJtCL5W
あるんじゃね

177:名無しさん@秘密の花園
10/11/12 18:13:18 tVcdheQh
モモが会場でたまたま出会ったシロにナンパされて
ちょっとときめいたりしちゃう展開になったりしないものか

178:名無しさん@秘密の花園
10/11/13 02:31:52 3/yCxoXm
霞×久とかどうだろう
悪戯好きな部長すら大人しくさせてしまう圧倒的な包容力を発揮する霞さん

179:名無しさん@秘密の花園
10/11/13 21:44:13 zaruysUJ
>>178
必死な美穂子が見たくて、わざと霞になびいたそぶりを見せる部長。
そんな部長の下心を見抜きつつも、調子を合わせて部長を誘惑する霞。

180:名無しさん@秘密の花園
10/11/14 00:15:27 24y6x5te
なにその頭脳戦w

181:名無しさん@秘密の花園
10/11/14 12:34:06 6xHRJ3wH
部長は誕生日を誰と過ごしたのかな?

182:名無しさん@秘密の花園
10/11/14 14:16:24 vg9IW9ig
各校巡りとか押しかけられて修羅場とか

183:名無しさん@秘密の花園
10/11/14 18:42:00 6xHRJ3wH
>>182
後者良いねw
咲まこ美穂子ゆみ照小蒔霞あたりが俺の脳内候補か

184:名無しさん@秘密の花園
10/11/14 19:32:42 3+KeufJI
俺の脳内では個人的好みにより、そのメンツ+はっちゃん・いちごちゃん・エイスリンも混ざってるw

185:名無しさん@秘密の花園
10/11/15 01:40:07 tOrQkYBG
七巻の折り返し見て、これかじゅの誕生日の日なのかなぁとか思った
「わたし、これから結ばれるんだ…」
そう思いながら、幸せそうに白い息を吐く桃子なのであった。

186:名無しさん@秘密の花園
10/11/15 14:10:00 AnWICxux
あそこだけなんで唐突に冬景色なんだろうと思ったらそういうことか!

187:名無しさん@秘密の花園
10/11/17 18:55:50 FHzsZBIo
>>182-184
せっかく仲直りしたのに部長を巡ってまたぶつかり合う宮永姉妹萌え

188:名無しさん@秘密の花園
10/11/19 10:49:09 5HVjtNzd
>>173
岩手へ帰る夜行列車の中何枚も何枚も部長の絵を描き続けるエイスリンちゃんを想像して泣いた

189:名無しさん@秘密の花園
10/11/19 13:04:48 bJkpanzN
大量の部長の絵を利用してパラパラ漫画を作るエイスリンちゃんを想像して笑った

190:名無しさん@秘密の花園
10/11/19 15:28:16 XhBca9jK
タコスおわったらエイスリンはじまってた

191:名無しさん@秘密の花園
10/11/19 19:00:17 /2Qp73hH
部長「同じ清純派なら外国人の方が色々楽しそうだわ。」

192:名無しさん@秘密の花園
10/11/19 22:09:18 EwKfCpMH
エイスリンは清純派というかオモシロキャラの匂いがw

193:名無しさん@秘密の花園
10/11/20 00:45:04 3lwIEez3
エイスリンちゃんはトシさんにベッタリだと俺得


194:名無しさん@秘密の花園
10/11/20 00:54:56 XcufPm5c
エイスリンちゃんは鬼巫女絵かわいい

195:名無しさん@秘密の花園
10/11/21 02:57:59 5ENLyfUO
>>191
???「ねぇ華菜…外国籍ってどうやって取得すればいいのかしら?」

196:名無しさん@秘密の花園
10/11/21 07:49:48 Q5zneYAz
「上埜さん、私の右眼が青いのは、実はハーフだからなんです!」

197:名無しさん@秘密の花園
10/11/21 13:24:11 XIknnpxP
「アイルランドでは同姓結婚ができるんです///」ということを部長に絵で伝えようとするも
隣で見ていたキャプテンに間違った解釈をされなかなか伝えられないエイスリンちゃん

198:名無しさん@秘密の花園
10/11/21 19:05:23 ioCjbTam
>>196
一粒で二度おいしいわけですね

199:名無しさん@秘密の花園
10/11/21 20:58:27 uaftfpFM
>>196
「なるほど。外人の血があるから声が大きいのね。」

200:名無しさん@秘密の花園
10/11/22 00:52:03 zsP63w/2
霞さん×姫様マダー??

201:名無しさん@秘密の花園
10/11/22 01:12:10 llUcfgTY
代行は末原さんと漫ちゃんのどっちがええのん

202:名無しさん@秘密の花園
10/11/22 19:52:07 wdnGQWN/
菫×姫様、淡×照、代行×末原等々・・・
臨海は予想できないけど全国は妄想のしがいがある


203:名無しさん@秘密の花園
10/11/23 15:48:23 /tK0tWP8
「すえはらちゃん、漫また爆発せんかったなぁ~~この責任どないして取ってくれるん?」
「責任って……ちょ、止めて!触らんといてくださいっ!」
「やぁ~~ん、その反抗的な目たまらんわぁ~~。気の強い子ってむっちゃ好みやねん~~」
「変なとこ触らんといてゆうてますやん!いい加減にしないと…」
「そんな態度でええのん~~?漫に責任取ってもらってもええんやで~~?」
「……っ!!」
「代行権限で退部させてもええんやで~~?ま~~あの子を推薦したあんたが責任取るんが筋やと思うけどな~~?」
「……わかりました……今晩部屋に行くんで、好きにしてくださいっ…だけど…だけど漫にはっ……」
「わかってるって~~。漫にはバレへんようにしたるからな~~」

204:名無しさん@秘密の花園
10/11/23 23:42:49 hNuzuq9/
興奮したw

205:名無しさん@秘密の花園
10/11/24 17:10:28 HDFSm6GW
いくのんマジ鬼畜ww

206:名無しさん@秘密の花園
10/11/29 22:47:22 qcqj4GQM
総合スレが倦怠期なのにあのひとは部キャプをずっと描いててすごいな。百合超人のひとりだわ
ハイクォリティな自給自足にまさるものはないんだね

207:名無しさん@秘密の花園
10/12/02 04:51:57 KVFiEs1w
末原先輩×愛宕姉でも愛宕妹×愛宕姉でも無さそう
という事は部長×愛宕姉の可能性が

208:名無しさん@秘密の花園
10/12/02 17:29:11 KP4PJHzj
末原先輩はあのメンバーで勝ちあがることにこだわり持ってる感じなのかねぇ
回想の着崩れ方がヤンキーっぽかったからか
ろくでなしの見る夢みたいなキャラに見えて仕方がない

209:ポエマー咲 序
10/12/05 02:06:36 SN0u8ZwR
えー、どうも また来ましたふはははは
>>164 さん >>165 さん レスに感謝です

漫ちゃんはやっぱり弄られキャラだったんですねぇ かわええのう 良いデコ
上重漫 お昼はきっと鰻重上

…いやその、さて またSS投下します
原作が全国大会で盛り上がっているというのに、大会後のお話し
軽く読んでいただければ幸い
では次レスより、6~7レス程お付き合いください どぞ

210:ポエマー咲①
10/12/05 02:08:19 SN0u8ZwR
出 演:清澄高校麻雀部の皆さん 変則的にゆみ&美穂子、ちらっと虎姫隊の皆さん
百合分:ちっとによによ エロ:思いつかぬ ばか度:縁側で日向ぼっこな感じにアレ
捏造妄想熱暴走、するするスルーで安心ダ! それでは、
↓スタート
*********************
「 ポエムな午後 」


「平和ねぇ~」 ふわぁあああ 
デッキチェアに寝そべる竹井久が、あくびまじりにそう呟き、ぐっと伸びをした。
ここは清澄高校旧校舎、麻雀部の即席テラスである。とはいえ実態は旧校舎の屋根の上で
テラスというには傾斜があるし、かなり危ない。

「なんじゃ、大口開けてー。もうちっとシャキっとしときんさいよ、部長さん」
まこがベランダの塀にもたれて、笑いながら声を掛けた。
「なによー、いーじゃない。こんな時間は久々なんだから~」 あふぁあああ
「まあなー。でものんびりできるのも今のうちだけじゃ。これから国麻に選抜合宿、
あんたは受験勉強もあるじゃろ?ゆるめすぎても後がしんどかったりするもんじゃよ」

全国大会でまさに台風の目となった清澄高校麻雀部の面々は、大会後もTVや雑誌の取材、
地元に帰れば慰労会やら何やら引っ張りだこで、残りの休みを食い潰すこととなった。
大会の興奮も冷め遣らぬまま2学期を向かえて、慌しい日々が続いたが、ここに来て
ようやく周囲の興奮も収まりつつあった。

「うあーなによなによう。めんどくさいこと思い出させないで、次期部長さーん」
「う、そりゃまだちっと早いけえ、やめといてくれ」
「あら、スケジュール管理に会計に渉外、もう実質的にまこが仕切ってるようなものでしょ。
ふふっ、私もそろそろ、お邪魔かしらねー」
「何ゆうとるんじゃ、わしがしとるんは雑用じゃろ。それに、あんたには卒業まで目一杯、
ここにいてもらわにゃ」

「あら、まこらしくない。不安?」 ちょっと意地悪に笑う。
「そんなんとちゃうよ。ここは、あんたがつくった、あんたの城じゃけぇの。
最初一人ぼっちだった分も含めて、たっぷり満喫してほしいってだけじゃ。……そんだけ」
ぷいっと横を向き、照れくさそうにまこが言った。ちょっと耳が赤い。

「……ふふっ、ありがとまこ。でもちょっと違うわ。私だけじゃない。まこや優希、和に咲
みんなでつくった場所だもの。でしょ?」 「そりゃそうかもしれんけど、でも」

「それに、大会前にも言ったけど、まこがいなかったら私、とっくの昔に音を上げてたもの」
「いやいや、そりゃないじゃろ」 「あら、こう見えて中身は繊細な女の子なんですからね」
「部長、そいつはちょいと無理があるじぇー」 唐突に部室の中から優希の声が響いた。

「おう、来たんか、優希」
「無理があるって、失礼ね。優希、どういう意味?」 ちょっとおどけて睨んでみる。
「”おんなのこ”ってのは、きっとこういうの書ける子のことを言うんだじょ」
優希が一冊のB5版ノートを、ひらひらとかざした。

「? なーに、それ?」 「ふっふっふ、見たいかい?姐さん」
「ぼちぼち和と咲も来る頃じゃ。お茶でも淹れるけえ、部長、中に入ろう」

* * *

「ポエムノート?誰の?」
「多分、咲ちゃんの。昨日の帰り際に、部室に落ちてたの拾ったんだじぇ」
昨日は優希が最終退出者だった。そのままつい持って帰ってしまったそうだ。

「こら優希! あんた、それ勝手に読んだんか」
「だ、だって、名前書いてなかったし、ちらっと中見たら面白くって、つい。えへへ」


211:ポエマー咲②
10/12/05 02:10:04 SN0u8ZwR
部室にあったのなら、誰のものかはすぐわかりそうなものだが、ちょっと事情があった。
実は2学期が始まってから昨日まで、連日麻雀部に複数の人の出入りがあったのだ。なんと、
入部希望者である。部室はかつてない程の賑わいを見せた。昨日も3名の和ファンの女の子
たちが押しかけて来て、かしましいったらなかった。

とはいえその入部希望者全員、実のところは一躍有名人となった麻雀部メンバー(特に和)
目当ての野次馬みたいなもので、体験対局をしてもらったところ、そのレベルの高さ、真剣さ
に圧倒されてか、正式に入部を申し出る者は皆無だった。期待しただけに、がっくりきた。
新入部員は来年度に期待するしかなさそうだ。

「ふ~ん、どれどれ」 久がノートを手に取った。「あ、こらあんたまで」
「まま、いーじゃない。本当に咲のか確認しなきゃ。ちょっとだけよん。ね?」
「まったく、仕方ないのう。……ちっとだけじゃぞ」 言いつつまこもノートを覗き込んだ。
ホントのところは、興味津々なのだ。

「あはっ、かわいい」 「おお、こりゃまた。かわいらしいのー」
「へへーん、だしょー?」 何故か優希は得意気である。

少し丸みを帯びた丁寧な字で、詩が綴られていた。ノートの三分の二位が埋まっている。
詩の傍らの余白には、カラフルな蛍光ペンで花や星や月、ハートマークといったイラストが
控えめに描かれていた。

内容はというと、メルヘンというかなんと言うか、「いや~、乙女ちっくね~」 ニヤニヤ
な感じだ。何故か読んでいるほうが照れてモジモジしてしまう。
「ふふっ、ピュアじゃのー。しかし咲の字に似てるっちゃ似てるが、ほんまにあの子のか?」
「う~ん、そうだとは思うけど。ん?……あら、このページ……」
パラパラとノートをめくっていた久の手が、あるページで止まった。

そのページだけ、イラストの類が無い。字も少し流れるように崩れている。細身のボールペン
で、一気に書き上げたように見える。

  冷たい雨 傘に隠れて
  あふれるこころ こぼれる雫

  やさしいひとは 東のかなた
  やわらかな手は つなげない
  あったかい声  聞こえない

  大好きな あの笑顔
  いまは 遠く 東のかなた

  窓の外 篠突く雨
  閉じた部屋に わたしひとり
  あらしの海に わたしひとり

  やさしいひとは やまのむこう
  あの 高い高い やまのむこう

  白い頂 想いながら
  わたしはひとりで 夢を見る

  頂に咲く 花の夢
  おしえてくれた 花の夢

  雪の中 凍えながら
  ひとりで咲いてる 花の夢

余白に小さく染みがある。詩の一部も少しインクが滲んでいる。涙の跡だろうか。
「……間違いないみたいね。咲のだわ」 「お姉さんのこと、かのう」


212:ポエマー咲③
10/12/05 02:11:19 SN0u8ZwR
歴史に残る数々の名勝負が繰り広げられた全国大会、魂を削りあうような激闘の末、照と咲は
和解することができた。卓上で二人の間にどんな心の交流があったのかは知る由もない。だが
対局後にしっかりと抱き合う姉妹の姿は、訳もなく見るものの心を打った。

宮永姉妹の間にどんな確執があったのか、久たちは詮索したりはしなかった。
照と咲が実は姉妹であったことが判明したとき、清澄・白糸台両校の面々は、マスコミの
しつこい取材攻勢から、二人を全力で守った。幸い何かと話題の多い大会であったので、
しばらくしてマスコミの興味も他に移り、事態は沈静化していった。
「麻雀Today」 の西田女史は、比較的早くから宮永姉妹の確執に注目し、綿密な取材を
隠密裏に進めていた(照と咲の両親にまで、突撃取材を敢行したらしい)が、ほぼ核心と
思われる事実を掴んでいたにも関わらず、結局、それを記事にすることはなかった。

咲は、大会前に時折見せていた暗い表情をすることも、今ではほぼ、なくなっている。
たまに、とても嬉しそうに姉の話をする。見ていて実に微笑ましいのだが、そんなときは
和の機嫌が少しだけ悪くなるのが、ちょっと困りものだ。和本人は否定しているが。
当の咲は、そのことに気づいていない。なかなか罪なお子様である。

「……何があったかは知らんけど、ある意味ど派手な姉妹喧嘩じゃったのー。ま、何にせよ、
まるく収まってくれてやれやれじゃ」
「ふふっ、本当、そうね。……優希、やっぱりこの詩で咲のだってわかったの?」
「いんや違うじょ。もっとずっと後のページの端っこに……」 優希が言いかけたところで、
―ガチャッ 部室のドアが開いた。
「……だいじょうぶですよ。きっとすぐに見つかります」 「……うん」

「おう、和、咲、お疲れー」 「のどちゃん、咲ちゃん、ちーっす」
「噂をすれば何とやら、かな? 二人とも、お疲れさま」
和と咲が入ってきた。咲はなにやら落ち込んだ様子だ。

「お疲れさまです。あの、咲さんが大事なノートをなくしてしま…」 「そっ、それ!」
中央の麻雀卓にダッと駆け寄り、久の前に置かれていたノートをひったくって、咲は部屋の
隅っこに立った。なんというか、咲らしくない俊敏な動きに一同びっくり。

「さ、探してたノートってそれですか。良かったですね、咲さん」 「……」
咲はノートを胸に掻き抱き、俯いている。「? 咲さん?どうしました?」
「あ、あの…」 久たちの方におずおずと視線を向け、訊いた。「み、見た?」 顔が赤い。

「や、見たっつーか、誰のかのーってチラッとだけな、な、部長」 (やばい、これは泣く)
「そ、そう、誰の落し物かしらーってチラッとだけね、ね、優希」 (おわっ、早くも涙目)
「ばっちり読ませてもらったじぇ!面白かったじょ、咲ちゃんすごいじょ!」
((だーっ!ゆーきーーっ!!)) 空気読まんかい。…まあ悪気は微塵もないのだろうが。

「優希!そんな、人のものを勝手に読むとか、駄目でしょ!」 和がたしなめた。
「だ、だって名前とかなくて、ちらっと中見たら止まらなくなってその、てへ。ごめんね」
「ふぇ……」 咲の目が潤む。「ああ、咲さん。大丈夫ですか?」 和が咲のそばによる。

久とまこが素早く視線を合わせ、小さくジェスチャーを交わし始めた。この二人はこうして
会話することが可能なのだ。ツーカーとかいうヤツなのだ。無駄にすごいのだ。
(ああやばい、咲が泣いてしまう。部長、何とかしんさい)
(そんなこと言ったって、私だって、詩とかさっぱりだし)
(あわわ、涙、涙こぼれよる!ぶちょうはようっ!なんか気の利いた一言でも!)
(無茶言わないでよ! ああもう……そうだわ!こんなとき、あの二人なら……)

竹井久の、緊急妄想スクランブルー。(もし、この場にゆみがいたら……)
「む、どうした宮永。なぜ泣くんだ?」 「加治木さん、だっ、だって、恥ずかし…」
「何を恥ずかしがることがある?詩作結構、素晴らしいじゃないか」 「……でも」
「私の級友にも何人かいたぞ。そうやってノートにしたためていた」 「ほ、本当ですか?」
「ああ。イラスト描いたり、シールを貼っている者もいたな。小学生の時分はよく見かけた」
「あうっ、う…ぅうう~、ふぇええええん」 「? ど、どうした宮永!おなか痛いのか?」
……妄想、不時着ー。(……あああ、きつい、キツイわ、ゆみ! ええい、やり直し!)



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