10/04/24 09:28:10 7Yrrm1sn
そうね―。じゃあ、とせつなが話し始める。
それは今日のお昼休み。ラブがクラス委員の仕事でいなかった時間のこと。
「あの時、私は校庭で花壇を見ていたの。色んな種類のお花が咲いていて、とても綺麗だった」
「そっか。せつなはお水あげてたりしてたよね。そう言えばラビリンスではお花とかないの?」
「昔は―あったのかもしれないわね。でも、私は見たことが無いわ」
「あたしたちがラビリンスに行った時も見なかったよね」
「そうね。でも今は異世界から適正のある植物や動物を探して、栽培・繁殖させようって計画
もあるのよ」
話がそれちゃったわね、と言ってせつなは続けた。少し低くて優しい声が、薄明かりの部屋に
心地よく響く。
「それでね、花壇のお花が突然動いたの。よく見るとね、黄色いちょうちょだったの。
ひら、ひら、ひらって不思議な飛び方だったわ。
まるで木葉が空に向かって落ちていくみたいに。
そしたらね、もう一枚……じゃなくて、もう一匹ちょうちょが飛んできて、一緒に舞いはじめ
たの。
じゃれあうみたいにくるくる位置を入れ替えて、まるで空でダンスを踊ってるみたいに見えた
わ。
お花みたいに綺麗なちょうちょ。空を飛べるのにまるで目的がないみたい。
とても自由で楽しそうで―そして、幸せそうだったわ」
「ねえ、ラブ。聞いてるの?」
「すぅ~~~~」
「もう……自分だけ先に寝ちゃって」
せつなは、布団から出たラブの腕を優しく中にしまいこんだ。
「おやすみなさい。ラブ」
愛らしい寝顔を見つめてそっと囁やく。そして静かな寝息を子守唄に聴きながら、緩やかな眠
りへと落ちていった。
今夜は同じ夢を見られるかもしれない。そう願いながら。
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以上です。ちょっと連投しすぎましたね。次回は少し間を開けようと思います。
これからもよろしくお願いします。