10/03/13 22:03:38 /NvnWULT
(だって……、そんなの信じられないよ…。)
チラリと彼女に目をやると、バッチリ目が合ってしまった。
ふわりと柔かく微笑まれ、カアッと頬に血が昇る。
思わず慌てて視線を逸らせた。
(私はせつなだ………なんて言われたって……)
また盗み見るようにチラチラと窺う。
せつな、と名乗った彼女。
今は長い髪を後ろで緩くまとめ、ラブと同じような普段着に着替えている。
当然ながら、まだ思春期の硬さの残る自分の体つきとは体の線が全然違う。
弾けそうにピンと張った胸元や、砂時計のように括れた腰。
完全に大人の女性の丸みを帯びたヒップライン。
しかし、ショートパンツからスラリと伸びた無駄な肉のない脚は
どこか初々しい少女っぽさを残している。
信じられない。そう思いながらも、「大人のせつな」だと言われれば
確かにそれ以上にぴったりくる言葉は無い感じだ。
そして、今まで色々と未来のせつなを想像した事はあった。
が、彼女は確実に今まで思い浮かべたどんな「未来のせつな」より
三割増しくらいには美人さんだった。
ラブはベッドでの感触を思い出し、心臓がダンスのごとく
跳ね回るのを感じた。
(いや…、別に浮気したワケじゃないんだし!)
「………くれる?…ラブ? 」
「ハッ、ハィィ!」
無意識に頬と口元をニヤつかせていたラブは、名前を呼ばれて
飛び上がった。
「あ、いや、だからね。コレ並べてくれる?」
「ふぁ、はい!」
対面式のキッチンの向こうから皿を渡され、カウンターに並べる。
こんがり焼けたハムとチーズのホットサンド、彩りの良いサラダ、
スープにも野菜たっぷりだ。
形良く膨らんだオムレツに、色違いのマグカップに注がれたカフェオレ。
えらくしっかりとした内容に、ただ出来上がるまでボケっとしていた事に
気付き急にいたたまれなくなってきた。
「あっあのっ、ごめんなさい。お手伝いもしなくて。」
「ん?いいわよ。」
その状態じゃ、お皿割られちゃいそうだしね。
そう、顎に拳を当ててクスクス笑う表情はせつなそのものだ。
またラブの体温は一度ほどは確実に上昇した。