10/03/17 20:51:37 cdnflfaP
本当、まだまだな作品で申し訳ない。
でも好きなんで、懲りずにまたちょくちょく投下します。
気に入ってもらえたら読んで欲しいし、気に入ってもらえなかったら、読み飛ばしてください。
>>591 >>592
すいません、気づかずに、というかよく分からなくて……
ありがとうございます。これからはsageいれます。
とりあえず、二作目です。
のぼせる
かぽーん。
銭湯や温泉では定番のおけの音。
風呂につかりながら、エーリカはその音に耳を澄ませる。
誰かが入ってきたのかもしれないが、はしっこでこの風呂を堪能していたエーリカは、誰が入ってきたのかを確認することはなかった。
頭にタオルをのせて、風呂のふちにもたれかかったままの状態で、かなり長い時間、浴槽につかっていた。
今日は珍しく、誰とも鉢合わせせずに風呂に入れた日だった。
そのせいもあるかもしれない。
妙に風呂が気持ちよく感じられて、ついつい長居してしまったのだ。
目を細め、くたりと体の力を抜く。はー、極楽、極楽。
「おい、エーリカ。お前寝てないか?」
呼びかけられてうっすらと目を開く。じゃぶじゃぶと隣に遠慮もなしに入ってきたのは、自分とよくロッテを組むゲルトルートだった。
「トゥルーデ。珍しいね、こんな時間にお風呂だなんて」
ぼんやり霞みがかった思考のままで、適当に話しかける。
すると心外だと言わんばかりの顔で、ゲルトルートはエーリカを指差した。
「誰のせいだと思ってるんだ、だ、れ、の!」
そういえば、私の部屋の掃除をしてくれてたんだっけな。とぼんやり思い出す。
夕食後、ゲルトルートは突然やってきたかと思うと、夜になりかけているというのにエーリカの部屋の片づけを始めだして。それだけならまだしも、お前は邪魔だ、と部屋の外に放り出されてしまったのだった。
仕方がなく、それからずっと風呂に入っているわけ。
「もう掃除終わったんだー、早いね」
「お前、いつから風呂に入ってるんだ」
呆れたように、ゲルトルートはエーリカの隣に腰をおろした。
「んー、ずっと」
「大丈夫か、お前」
「えー、なんでー?」
「もうかれこれ二時間は入ってる計算になるぞ」
「ふえ」
そんなに。とエーリカ。そんなにもだ。とゲルトルート。
「じゃあ、ほんとに寝てたのかも」
「おいおい、勘弁してくれよ。いつでもどこでも寝るやつがこれ以上増えたら、軍の風紀も守られなくなる」
だって気持ちよかったんだもーん。そう返すと、ゲルトルートの呆れたような、困ったような表情に憮然とした色もプラスされて。
腕組み。
(あー、こりゃまた始まるわ)
エーリカは内心、頭をかかえた。