10/03/16 09:49:14 m9C/5Pws
初投下です。。
自分の名前はソボクでおねがいします。
眠れない夜があった。というより、今現在進行形で眠れないのだった。
時計の針はすでに深夜をまわっている。
エイラはベッドの中で何度か寝返りを打ち、目をつぶるがそう簡単には眠れず、ふとのどの渇きを感じてのそのそ起きだした。
(とりあえず、冷たい水)
エイラは部屋から出ると、台所に歩を進めた。
寝付けないことは、軍人ならよくあることだ。
たぶん、戦場に生きる人間だったら誰でも抱くであろう不安感。
『自分は死んでしまうんじゃないだろうか』
それは唐突に訪れて、そして一度心にとどめるとなかなか過ぎ去ってはくれない。
台所についても、その思考のかたまりは、頭にこびりついてはなれてはくれなかった。
だからそれを払拭するように、コップにたくさん氷を入れて、キンキンに冷やした水を数口飲む。
のどの渇きが癒えて、少し楽になる。
全部飲み干してから、もう一度水を半分くらいまで注ぎ、エイラは席についた。
一息つきながら、この心のざわめきがすぎることを待つしかない。
窓の外からこぼれる月の光に目を細める。
今、サーニャはどこらあたりを飛んでいるだろう。
自分がこんな思いを抱いている同じ時間に、一方では戦いの空を飛んでいる。
不思議な気分だった。それとともに、少し申し訳なくもあった。
「あれ、エイラさん?」
呼ばれて、エイラは顔をあげる。
台所へと入ってきたのは、この隊で一番の新人だった。
「どうしたんだ、宮藤」
「いえ、あの、お腹がすいちゃったんで、少し……」
「なんだー、冷蔵庫あさりカー?」
「えっと、あの、はい」
「まったく、宮藤もルッキーニじゃないんだから」
呆れた口調で揶揄すると、芳佳はムッとしたように少し頬を膨らませた。
「じゃあ、エイラさんはどうして今台所なんかにいるんですか?」
「私? 私は……」
答えようとして、エイラは少し口ごもった。