09/10/26 08:06:35 iaGHnV4T
「もしもしっお姉ちゃん?実はね…今お姉ちゃんの学校の前まで来てるんだよっ」
「えっ?嘘っ、今こっちに来てるの?」
あ、だんだんお姉ちゃんの声がわたしに近づいてくる。来たっ!お姉ちゃんだ。
「お姉ちゃん!」
わたしは、久しぶりにお姉ちゃんに会えて、すごく嬉しくなり、お姉ちゃん達の前に飛び出した。
咲!と、お姉ちゃんがびっくりしている。
それと…
「菫さん…こんにちは」
「あ、ああ。こんにちは。妹さん」
菫さんとも挨拶をした。
菫さんもちょっとびっくりしてるみたい。
気のせいか、今少し睨まれたような…
なんだか、ちょっとこの人が怖くなってきたよ…
あっ、でも今はそんなことよりも、お姉ちゃんにおめでとうって伝えなくちゃ。と、我に返る
「えへへっ。お姉ちゃん…来ちゃった」
「もう、急にこっちに来るなんて、びっくりしたよ。どうかしたの?学校は?」
あ、この反応は…
お姉ちゃん、やっぱり自分の誕生日忘れてたんだ。
「学校は今日、開校記念日でお休みだったんだよ。っていうか、やっぱり…お姉ちゃん、今日が何の日だか忘れてるでしょ…」
「え?ごめん、何かあったっけ…」
私は、カバンの中からプレゼントを取り出して、お姉ちゃんに渡した。
「これって…」
「今日はお姉ちゃんの誕生日だよっ。おめでとう。お姉ちゃんっ」
「あ、そういえば…すっかり忘れてたよ」
「もう、お姉ちゃんったら…」
あはははっと、わたし達は笑い合う。
そして、菫さんと別れの挨拶をした後も、しばらく校門の前でお姉ちゃんとのお喋りに夢中になった。
やがて、家に行こっか。とお姉ちゃんに言われて、わたし達はやっと歩き始める。
途中でお姉ちゃんに手を繋いでもらえた。
普段人前でこんなことはしないから、少し恥ずかしかったけど、でも凄く嬉しくもあった。
家に着いてからは、わたしがお姉ちゃんにご飯を作ってあげたり、二人で一緒にケーキを食べたりした。
夜寝る前にもお喋りをしたり、とても楽しい時間を過ごした。
明日も、もっと楽しくなりそうだなぁと思うと、なんだか胸が弾んでくる。
お姉ちゃんと過ごす時間だからこそ、楽しくなるんだ。
お姉ちゃん…大好きだよ。――――――――
そう。この時のわたしは、とても幸せだった。
お姉ちゃんも、きっとそう。
でも、まさか…
まさか、お姉ちゃんと菫さんの間にあんなことが起きるなんて…
この時は、これから先のことなんてまだ分かるはずが無かった。
だから、わたしもお姉ちゃも笑っていられたんだ。
もし事前に分かっていれば、防ぐことが出来たかもしれないのに…
お姉ちゃん…