咲-Saki-で百合萌え 10局at LESBIAN
咲-Saki-で百合萌え 10局 - 暇つぶし2ch179:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 03:09:46 EN2lTv3E
>>147
結構良かったよ
というか続きがめちゃくちゃ見たい

>>162
すごく良かったよ
これは続編はあるかもしれないってことかな
それはそうとこれ前スレ122以降の続編?

>>170
先祖の話は何だこれって感じだったけどおもしろかったよ
はじめと井上の話と歩の件が気になる
井上には何事もなかったみたいだけど

>>176
GJ
やっぱりこの組み合わせも結構良い

180:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 06:29:43 vx+E69TM
>>179
そうですね
前スレの>>122>>471>>841は全部繋がってたりします
実を言うと前々スレから繋がってたりします

自己主張失礼しました

181:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 07:57:37 iaGHnV4T
早朝から失礼します。
前スレからの 
菫→照咲シリーズの続きです。 
投下の前に、ちょっとこのSSの説明を失礼します

これは、照の誕生日のお話で、前スレではまず始めに菫視点から、次に照視点。
最後に今、咲視点を完成させたので投下します。

そして今回の咲視点で書いたこの話は、咲が照の元へ行くまでの道程の様子を中心に書いたもので、照の家に着いてからの話はほとんど書かれていません。

なので、前作の照視点を読まないと少し話が分からないシーンがあります
菫視点は読まなくても大丈夫かと思いますが…
そして、一応3人の視点から見た、この物語が今回の投下で完結になります。

終盤は少しシリアスになる一万字越えのロングSSになりますが、次レスからスタートです。6レスほどお借りします

182:菫→照咲 1
09/10/26 07:58:32 iaGHnV4T
部活が終わって、みんなが次々と帰宅していく中、わたしは帰り支度をしながら、あることで悩んでいた。

「うーん…どうしようかなぁ」
「どうかしたんですか?咲さん」
「うわぁっ?!和ちゃん…っ?わたし、今何か言ってた?」
「ええ…。どうしようかなぁ、と私には聞こえましたが…」
「えぇっ!知らない間にわたし、独り言喋ってたんだ…うぅ。恥ずかしい…」

心配そうに和ちゃんがわたしを見て、こう言った

「何か悩んでいるんですか?私で良ければ、お話を聞きますよ。」
「あ、ありがとう!和ちゃん」
「実はね…」

わたしは和ちゃんに、今悩んでいる事について、説明をした。

「そう…。明後日はお姉さんのお誕生日なんですか」
「うん!だからね、内緒で東京まで一人で行って、お姉ちゃんをびっくりさせたいんだあ…
名付けて、お姉ちゃんびっくり大作戦!
まぁ、そのままなんだけどね…
その作戦の計画はほぼ全部、わたしの頭の中で完成していた。
でも、一番肝心な『何をプレゼントするのか』
これだけが二日前になった今日でも、まだ決まっていなくて、わたしはかなり焦っていた。
最近は、放課後に毎日お店に寄って、雑貨や文房具などあれこれ見て色々と考えるんだけど、いまいちピンと来るものが見つからず、何も収穫が出来ないまま家に帰る度に肩を落としていた。

「咲さんっ!」
「ひゃうっ?!」
急に、和ちゃんに手を握られてびっくりした

「それなら、今から一緒に街までプレゼントを選びに行きましょう!」
「えっ?いいの?和ちゃん…今からそんなとこまで行ったら家に帰るの遅くなっちゃうよ?」
「もちろんです!時間なんて気にしません。そうと決まれば、すぐに出発ですよ」
「う、うんっ!」

183:菫→照咲2
09/10/26 07:59:38 iaGHnV4T
そのまま、わたしは和ちゃんに手を引かれて学校を飛び出す。
このままじゃ、当日になってもプレゼントが買えないんじゃないかと不安になっていたところだったので、今の和ちゃんは、わたしにとって凄く頼もしかった。

電車に乗り、和ちゃんに質問をされる。
「プレゼントの参考までに聞きたいんですが、お姉さんは趣味か何かありますか?」
「うーん…趣味かぁ。何かあったかなぁ…。東京のお姉ちゃんの家に遊びに行っても、お部屋の中は必要なものしか置いてない感じだったし…」
「お姉さんが好きなものとかは?」
「やっぱり麻雀かなぁ…?高校を卒業したらプロを目指すんだって。だから、大学に入ったら本格的に麻雀の勉強をするから忙しくなるみたい。」
「そうなんですか。じゃあ、これから忙しくなるんでしたらスケジュール帳とかはどうでしょう?きっと、役に立つと思いますよ」

「スケジュール帳かぁ…うんっ!それだっ。今わたし、なんだかピンと来たよ!それにしようかなっ」
「ありがとう。和ちゃん!」
「いいえ。お役に立てて良かったです」
――――――――
「ここなら、雑貨や文房具など色々揃っていますから」
和ちゃんに言われて、わたし達は街の中心部にある大きなデパートに入った。

「うわあっ。ほんとだ!品揃え豊富って感じだね!」
「ええっ。文房具はあちらみたいです」

文房具コーナーに着くと、来年用のカレンダーや手帳、スケジュール帳などが棚にたくさん並んでいた。

「うわぁ…いっぱいあるよ…」
「そうですね…。お姉さんは何色が好きなんですか?」

和ちゃんに聞かれて、少し悩んでしまった。
そう言えば、お姉ちゃんとそんな話したこと無いからなぁ…

「少なくとも、ピンクとか黄色みたいな明るい色は好きじゃないかも…。ハート柄とか星柄とかもちょっと…」
「では、シンプルに白などが良いかもしれないですね」
ふと棚の中に白色だけど、お洒落なデザインのものを見つけた。
手に取り、重さや中身を確認する。
うん。大きさもちょうど良くて使いやすそうだ。

184:菫→照咲3
09/10/26 08:00:41 iaGHnV4T
よしっ。
わたしはこれを買うことに決めた。

「良いのが見つかってよかったよ。ありがとうね、和ちゃん!」
「いいえ。金曜日、お姉さんと楽しんで来てくださいね」
「うん!」
――――――――
そして、当日。
わたしはお泊り用の荷物を詰め込んだバックを持って、朝早くに電車に乗り込んだ。

今日これからの計画はこんな感じだ。

まず、東京の駅に着いたら、駅の中にあるお店でお昼ごはんを食べる。
一人で飲食店に入るのはちょっと勇気がいるけど…
次に、学校に向かう電車に乗り換える。
そして、きっと2時頃には学校に着くだろうから、あとは学校の近くにある喫茶店にでも入って、お姉ちゃんの授業が終わるのを待つ。
金曜は、だいたいいつも3時くらいには終わるって前にお姉ちゃんが言ってたから、その頃を見計らって電話をかけてみようかな。
出なかったら、メールでもいいや。

もし、無事に会えなかったらどうしようと、少しだけ不安にはなるけど、でも。
わたし達ならきっと大丈夫。そんな気がするんだ。

あっ、でも…
ふと去年のことを思い出す。
まだ去年はお姉ちゃんとの間に壁があったから、お姉ちゃんの誕生日の時、こっそりお母さんに電話をかけて、代わりにおめでとうって伝えてもらおうと思った。
そしたらお母さんがこう言ってたっけ

「あの子ったら、私がおめでとうって言うまで気付かなかったのよ。若いのに、本当に自分のことに無頓着なんだから…」

確かにお姉ちゃんって、自分のことなのに無関心なところがあるし、少し天然でもあるから、もしかしたら今日のことも忘れてるかも…

でも、今日はわたしが直接お祝いするからね!

よしっ頑張るぞ。
わたしは一人で静かに、キュッと手を握った。


ところが…
頑張るぞ、と意気込んだのは良いものの、駅で降りてから、ちょっと歩いただけで早速わたしは迷子になってしまった。

185:菫→照咲4
09/10/26 08:01:56 iaGHnV4T
「うぅ…。こっちで良いはずなんだけど…」

持ってきた地図を何回見直しても、なかなか白糸台高校まで辿りつかない…。
周りにある建物も、地図には書いてないし…

「おかしいなぁ…」

そうこうしていたら、あっという間に時間が過ぎていき、気が付いたらもう3時になってしまった。

「うぅ…どうしよう。今お姉ちゃんに電話しちゃったらせっかく内緒にしていた意味が無くなっちゃうしな…」

そう、ここで諦めたら駄目なんだ。
わたしはもう一度、地図を見直す。
すると、あることに気が付いた。

「あれっ?」
うわぁ…どうしよう…
よく見たら、学校とは全然逆方向に歩いて来ちゃってたよ…
あっ。そっか、さっきのお店を右に行くのか…。
わたしは大急ぎで引き返し、さっき見たお店を曲がった。
時間は今3時半。急がなくちゃ…
お姉ちゃん、もう帰ってたらどうしよ…

焦りながら学校に向かって、ひたすら歩き続けていると、道にはチラチラと白糸台の制服を着ている人達が見えてきた。

良かったぁ。きっと学校はもうすぐだ。

その時、前の方からなんだか見覚えのある女の人が歩いてくるのが見えた。
眼鏡をかけていて、私と同じくらいの髪型の…
あっ!そうだ…
全国大会でお姉ちゃんと一緒に戦ってた人だ。

「あのっ!すみません…」
わたしは、その人を呼び止めた。
「…はい?なんですか」
「わ、わたし、宮永照の妹なんですけど…」
「ああ…そう言えば、あなたも大会に出ていましたね。どうしてここに?」
「実は、お姉ちゃんに会いに来たんですけど、お姉ちゃんって今日はもう帰ったかどうか知ってますか?」
「ああ…確か、今日は麻雀部の後輩に指導をする日だだったはずだから、まだ学校に居るはずですよ。ちなみに、あと15分くらいで終わると思います」
「そうですかっ!ありがとうございます!」
「いいえ。それじゃ…」
「はい、失礼します!」

わたしはお辞儀をして、また学校へと歩き始めた。
良かった、お姉ちゃんまだ帰ってないみたい。

186:菫→照咲5
09/10/26 08:03:00 iaGHnV4T
ところで、後輩に指導してるなんて初めて聞いたけど…
引退してからも部に顔を出してるんだ。
やっぱり、麻雀が好きなんだなぁ。
わたしも、お姉ちゃんにもっと教えてもらいたかったかも…
そんなことを考えながら歩いてたら、やっと目的の場所が見えてきた

「あっ。あったよ…。良かったぁ」
あれだ。あれがお姉ちゃんの学校だ

わたしはホッと、胸を撫で下ろす。
無事に着いて本当に良かった…
なんか安心したら、今頃急に緊張してきたよ…
お姉ちゃん、喜んでくれると良いな。

校門の前まで着き、お姉ちゃんに電話をかけようとしたその時。
わたしは、ちょうど遠くの方に、お姉ちゃんと誰かが一緒にこっちに歩いてくるのが見えた。

やったっ
すごいタイミングだ。

「あれ、でもあの人って…」
長い髪の毛…
あ…やっぱり。弘世菫さんだ。

わたしは、とっさにお姉ちゃん達から見えないように隠れてしまった。
そして、前にお姉ちゃんに聞いたことを思い出す。

そうだ、あの人はお姉ちゃんと過去に関係を持っているんだ…

うっ…
別の意味で、また緊張してきた。心臓がドキドキする。
どうしよう。もし今日これから、菫さんと誕生日会を開く予定になっていたら…
何でわたし、計画立てる時にお姉ちゃんが友達に誕生日会に誘われるかもしれないってことが頭に入って無かったんだろ…。

でも、ここまで来たんだ。ちゃんと立ち向かわなくちゃ。
とりあえず、今お姉ちゃんに電話してみよう
出てくれると良いけど…

「プルルル…プルルル」
「ガチャッ」

「もしもしっ、咲?どうしたの?」

あっ、良かった。出てくれた…

わたしは、嬉しい気持ちと不安な気持ちで声が震えるのをグッと、押さえ、いつものように明るい声で会話をした。

187:菫→照咲6 ラスト
09/10/26 08:06:35 iaGHnV4T
「もしもしっお姉ちゃん?実はね…今お姉ちゃんの学校の前まで来てるんだよっ」
「えっ?嘘っ、今こっちに来てるの?」

あ、だんだんお姉ちゃんの声がわたしに近づいてくる。来たっ!お姉ちゃんだ。
「お姉ちゃん!」
わたしは、久しぶりにお姉ちゃんに会えて、すごく嬉しくなり、お姉ちゃん達の前に飛び出した。
咲!と、お姉ちゃんがびっくりしている。
それと…
「菫さん…こんにちは」
「あ、ああ。こんにちは。妹さん」

菫さんとも挨拶をした。
菫さんもちょっとびっくりしてるみたい。
気のせいか、今少し睨まれたような…
なんだか、ちょっとこの人が怖くなってきたよ…
あっ、でも今はそんなことよりも、お姉ちゃんにおめでとうって伝えなくちゃ。と、我に返る
「えへへっ。お姉ちゃん…来ちゃった」
「もう、急にこっちに来るなんて、びっくりしたよ。どうかしたの?学校は?」
あ、この反応は…
お姉ちゃん、やっぱり自分の誕生日忘れてたんだ。

「学校は今日、開校記念日でお休みだったんだよ。っていうか、やっぱり…お姉ちゃん、今日が何の日だか忘れてるでしょ…」
「え?ごめん、何かあったっけ…」

私は、カバンの中からプレゼントを取り出して、お姉ちゃんに渡した。

「これって…」
「今日はお姉ちゃんの誕生日だよっ。おめでとう。お姉ちゃんっ」
「あ、そういえば…すっかり忘れてたよ」
「もう、お姉ちゃんったら…」
あはははっと、わたし達は笑い合う。
そして、菫さんと別れの挨拶をした後も、しばらく校門の前でお姉ちゃんとのお喋りに夢中になった。
やがて、家に行こっか。とお姉ちゃんに言われて、わたし達はやっと歩き始める。
途中でお姉ちゃんに手を繋いでもらえた。
普段人前でこんなことはしないから、少し恥ずかしかったけど、でも凄く嬉しくもあった。

家に着いてからは、わたしがお姉ちゃんにご飯を作ってあげたり、二人で一緒にケーキを食べたりした。
夜寝る前にもお喋りをしたり、とても楽しい時間を過ごした。
明日も、もっと楽しくなりそうだなぁと思うと、なんだか胸が弾んでくる。
お姉ちゃんと過ごす時間だからこそ、楽しくなるんだ。
お姉ちゃん…大好きだよ。――――――――
そう。この時のわたしは、とても幸せだった。
お姉ちゃんも、きっとそう。
でも、まさか…
まさか、お姉ちゃんと菫さんの間にあんなことが起きるなんて…
この時は、これから先のことなんてまだ分かるはずが無かった。
だから、わたしもお姉ちゃも笑っていられたんだ。
もし事前に分かっていれば、防ぐことが出来たかもしれないのに…

お姉ちゃん…

188:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 08:10:40 iaGHnV4T
以上です。長々と失礼いたしました。
前作から、最後までお付き合い頂いた方には感謝いたします。

始めはこんなに長くなるとは思っていなかったのですが、咲視点が一番心理描写を書くのが難しかったのでこんなことになってしまいました。 

では、たくさんレスをお借りしたので少しの間は自粛します。
ありがとうございました。

189:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 09:10:55 Rl0q4gRo
>>170
GJ!照様wとーかのおっぱいなら国広君が頑張って大きくするから大丈夫だよ(つ∀`)

190:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 16:29:00 w2yE+dI5
>>73
久まこマダー?

191:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 17:03:16 Rl0q4gRo
>>188
ちょっ、菫はん思い詰めてしまうん?ウッ

192:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 23:40:52 vx+E69TM
何やら今日は静かな一日でしたね
そんな感じで、みは×かな行きます
エロはないし、百合成分多少
5レス予定

193:『ネコミミと眼鏡は相容れない?』
09/10/26 23:42:16 vx+E69TM

 最近、悩み事があります。
 眼鏡の度が合わないとか、ちょっと太ったかも…、とかそういった悩みではない。
 そう、これはちょっとしたケンカなんです。
 華菜ちゃんと私の、果てしなく小さなケンカ。

 原因は、多分私のせい。
 けど、それを認めたくない。
 だって華菜ちゃんが私の言葉を聞かないから!
 …まあ、それは置いておいて。

 発端は私の一言。
 あれは、キャプテンら三年が部を引退して、私たち2年が部の主体となった月のことだった。

――


 華菜ちゃんはその実力や人柄を買われ新・キャプテンに選ばれた。
 そして私は、キャプテンをサポートする副キャプテン。
 まさに私に打ってつけの役職!なんて一人浮かれていたんだけど。
 実際は、三年生が引退したことで部の活気が削がれ、特打の時もみんなに笑顔が見えない。
 どんよりとした空気で、辺りを黒いオーラが包んでいることがわかるほどに沈んでいた。

「みんな!寂しいのはわかるけど、それじゃあキャプテンたちに心配させるだけだし!
 来年の全国大会に勝ってキャプテンたちを喜ばせるんだろ!?だったら、今は練習あるのみだし!」

 華菜ちゃんの持ち前の明るさは、部の雰囲気を活気づける。

「そ、そうだよ!華菜ちゃんの言う通り、私たちは来年の全国で優勝するの!だから、ちゃんと集中しよう?」

 そ、そうです!
 頑張りましょう!
 元・キャプテンのためにも!
 各々、一年生の子が自分に渇を入れていた。
 うん、みんなも一緒に頑張ろうね!

 そこで誰かが、頑張りましょうね!キャプテン!なんて叫んでる。
 でも当の本人はというと。

「へ?」

 なんて間抜けな声を出していた。

「もー…今のキャプテンは華菜ちゃんでしょ?」
「あ、そっか、ご、ごめんね~」

 まだまだ自覚がないみたい。
 それは別に、いいんだけど。
 私がちょっと気になっていたのは、華菜ちゃん自身だった。

194:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 23:43:50 vx+E69TM

 休憩の時間、華菜ちゃんに連れ立って飲み物を買いに行った。
 聞くなら今だと思って、尋ねる。

「華菜ちゃんさ」
「なぁに~?」
「さっき、みんなに頑張ろうって言ってたけど」
「うん」
「一番落ち込んでるのは華菜ちゃんだよね?」
「え」
「この前部室で一人泣いてるの、見ちゃった」
「…い、いやいやっ、そんなわけないしっ!華菜ちゃん全然のーぷろぶれむ!落ち込むなんてあり得ないしっ!」
「嘘だよ!華菜ちゃんが泣くのは負けた時とコーチに叱られた時だけだもん!」
「あ、あれは目にゴミが入っただけだし!」
「私副キャプテンなんだよ!?相談くらいしてよっ!」
「う、ううっうるさいな!みはるんのくせに!」
「な、何よ!華菜ちゃんのくせにぃ!」
「うるさいうるさい!この眼鏡っ子!」
「うるさいのはどっちなのよ!?華菜ちゃんなんてネコミミのくせに!」

 もはや言葉は意味を為さない。
 ただの子供のケンカだった。
 まるで収集がつかなくて、ぜえぜえはあはあ言って肩を揺らす私たち。
 そこへ、一年の文堂さんが、練習再開の知らせを伝えに来た。

「あ、あの…キャプテン、副キャプテン」
「「なにっ?!」」

 ひっ、と彼女は肩を縮ませた。

「あ、あ、あのっ…練習始めましょうって、つ、伝えに…」

 私と華菜ちゃんは向かい合って、ふん!と互いに顔を背けた。

 結局その日から数日間、私と華菜ちゃんは一度として目線を合わそうとはしなかった。

―回想終了

「あ~あ…」

 本当は、ケンカがしたかったわけではない。
 ただ言いたかっただけなのだ。
 もうちょっと頼ってよ、と。
 でも、華菜ちゃんは強情で、一人で我慢しようとしちゃうから、拗れちゃう。
 そこに私の変な意地っ張りが相まるのだからなおさらだった。
 不器用だなぁ…私も、華菜ちゃんも。
 …でも、やっぱりこのままじゃだめだ。
 仲直りしないと。
 華菜ちゃんは福治先輩に憧れているけど…私だって、負けないくらい華菜ちゃんに憧れているんだ!
 だから、支えたい。
 堪えすぎる華菜ちゃんに、我慢しないで!突き進め!って、背中を押せるような存在に。
 私は成りたい。

 …決めた。

「謝ろう…明日」

195:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 23:45:52 vx+E69TM
※ ※ ※

 うー。
 やっちゃったし…。
 みはるんと、ケンカをしてしまった。

「あんなみはるん、初めて見たし…」

 あるいは、あたしが見てなかっただけかもだけど。
 キャプテンばっかり追いかけて、盲目的になってたから。
 それにみはるんとは、もう二年目の付き合いなのに。
 何やってんだろ、あたしってば。

「相談、かぁ」

 まさか、みはるんに泣き顔を見られてしまうとは思わなかった。不覚。
 …って思ったけど、この思考が、みはるんに迷惑をかけた、というか苛々させたのかな。
 でも、確かにそうかも。
 あたしも、親しい人間が悩んでたら、何か言ってほしいかもしれない。
 言ってくれなきゃ、何かすっきり出来ないし、納得も出来ない。

「あたしが、みはるんの立場だったら」

 ―嫌かも。

 ……。
 ………よしっ!決めたっ!
 華菜ちゃんは明日!みはるんに謝るんだ!
 ちゃんと仲直りして、また全国へ向けて一緒に走りたい!
 今度はキャプテンのためだけじゃなくて、みはるんや仲間のためにも!
 ファイトだ華菜ちゃん!

※ ※ ※

―翌日

「「あ…」」

 授業を終え、放課後に部室へ向かう途中、廊下で華菜ちゃんに出会った。
 声を上げたのは二人同時で、何故だか互いに動けなくなった。
 とりあえず、口を開く。

「か、華菜ちゃん…」
「…みはるん」

 言葉に詰まる。
 謝りたいのに、何も思い付かない。
 考えは何もないけど、とにかく謝ろうっ。

「「あのっ!」」

 また被った。
 何でこんな時だけ息が合うんだろう。

「か、華菜ちゃんから…どうぞ」
「い、いやいや…みはるんから」

「華菜ちゃんから」「みはるんから」
 なんて言い合って、結局繰り返し。
 進歩なさすぎるよ私!

196:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 23:47:35 vx+E69TM

しばしの沈黙が訪れる。

「じゃあもう華菜ちゃんから行くし!」

 痺れを切らしたのか、勢い付いてまたネコミミみたいのがぴょこっと見える。

「みはるん!昨日はごめん!」

 意外と、直球だった。

「何か、心配かけちゃったっていうか…感情的になりすぎたっていうか…」

 そんなことはないのに。
 心配したのは本当だけど、煽ったのは、私の方なのに。

「ともかくごめん!」

 あの華菜ちゃんが、頭を下げていた。
 …失敗した。
 先に謝られてしまった。

「…顔を上げてよ、華菜ちゃん」

 ネコミミが、ピクっと動いた(ように見える)
 華菜ちゃんは、ゆっくり顔を上げた。
 そして私は。

「み、みはるん!?」

 華菜ちゃんに、抱き付いた。

「どっどど、どどうしたのみはるん!?」

 華菜ちゃんはかなり戸惑ってるけど、何故か私は、非常に落ち着いていた。

「華菜ちゃん…」
「な、なに?」

 華菜ちゃんが少したじろいだ。
 構わず私は続ける。

「私って…そんなに頼りないかな…?」
「え…」
「私じゃ…華菜ちゃんの支えにはなれないのかな」
「み、みはるん…」
「私ね…一年の頃から、華菜ちゃんに憧れていたの」
「そ、そうなの?」
「うん。先輩たちとの特打で、いつも連勝してた華菜ちゃんが、私にはとても眩しく見えた」
「…」
「強くてかっこよくて、前向きで、ちょっと調子に乗りやすいけど、憧れてた」

 抱き付いているから、華菜ちゃんの表情は見えない。
 けど、照れてることだけは、触れ合う肌を通して伝わってきた。

197:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 23:49:30 vx+E69TM

 なおも私は続ける。

「それは今も同じ。華菜ちゃんの明るさも、自分の生き方を曲げないその強さも、全部。私の憧れ」

 華菜ちゃんはぷるぷる震えて、私を突き放すわけでもなく叫ぶ。

「あ、あたし…そんな憧れたりされるような強い奴じゃないし!」

 華菜ちゃんに触れる肌から、だんだん早まる鼓動を感じる。

「あたしなんて…コーチに叱られて泣いちゃうヘタレだし、負けたら悔し泣きしちゃう弱虫だし!
 もうとにかく弱っちょろい人間だし!支える価値なんてっ…」

「泣いちゃうことが弱虫なんて、思わないよ」

 腰に回していた腕に、少し力を込める。

「それでも、ね」

「みは、るん…?」

「それでも、前を向こうとした華菜ちゃんだから…私は、あなたを支えたいの」

「…っ!」

 腕の力を緩めて、華菜ちゃんから身体を離す。
 正面にしっかりと、いずれはさらに輝くであろう紅くなった新キャプテンを見据えて。
 私は微笑む。

「あ…の」
「それと、もう一つ」
「え…」
「…私は、福治先輩にも負けるつもりはないからね。華菜ちゃん」
「あ……うん」

 そして私は、また笑った。

「じゃあ、部室行こっか」
「…う、うん」

 華菜ちゃんの手を引っ張って。
 部室へ走ったのだった。

――


 その日の部活は、華菜ちゃんが終始どぎまぎしてたこと以外は、いつも以上に活気のある部活でした。
 …あ、また赤くなってる。



198:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 23:52:17 vx+E69TM
以上です
みは×かな良い、すごく
読んで下さった方々に多大な感謝を
では

199:名無しさん@秘密の花園
09/10/26 23:56:52 Rl0q4gRo
GJ!何故だろう今まで池田を虐めて愛でていたのに
池田に怒鳴られるのも良いかもしれないと思った

200:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 02:51:24 a1ma048m
>>188
今回も良かったよ
けどラストのはなんだ?
完結ってことだけど3人視点の話が完結ってだけだよね
まさか続編一切なしってことじゃないよね
というかハッピーエンドが想像できない…

>>198
ナイス
この組み合わせも結構好きだな
あとけんかするってパターンはここ最近なかったからかなんか新鮮に感じる

201:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 03:12:07 bBIVH+rM
良かったよの人キタ━━(゚∀゚)━━!!

202:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 04:05:42 sGXx0oqn
>>198
GJ!!
ですが、一応書いときます
○福路
×福治

です

203:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 13:08:55 CFUGibw1
プライズの咲と和をゲットしてきた。
当然、二人並べて飾る。
見てたらムラムラしてきたから咲和エロ書くわ!!

204:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 13:13:49 sGXx0oqn
息抜きに自分が大好きな白糸台の小ネタを投下します。
あくまでも、自分の妄想を文章にしただけなのでまだ本編にあまり出ていない彼女達なので実際はキャラが全然違うと思いますので、許せる方だけ御覧ください。
1レスのみお借りします

205:「照をめぐって」
09/10/27 13:16:27 sGXx0oqn
――ある日、白糸台高校の麻雀部では四人の少女達が、白熱した戦いを繰り広げていた――
「ツモ!2700オール!」
「ロン!5800です」
「ロン。2000」
「ツモ。8000、3000だ」

最後にツモあがりをしたのは、青くて長い髪の毛の少女だった。
トップを継続したまま、勝負はいよいよオーラスへと突入する。

「このままいけば、今日も菫が勝ちだね」
彼女達の様子を見ていた照がそう言い、足を組みながら紅茶をすする。
静かではいるが、やけに楽しそうな表情だ。

「ああ。今日も私が勝つぞ」
菫も、自信満々に言って、卓のスタートボタンを押す。
「わ、私だって負けないわよ!見ててね、照!」

菫と照の会話聞いていた金髪の少女が声をあげ、キリッと表情を険しくする。
――――――――
オーラスのこの勝負は、16順まで誰もあがらず、流局寸前かと思われた。
しかし、最後の順で奇跡が起きる!

「ツモ!四暗刻!!」

「なんだとっ?!」
「うわー…」
「逆転。」

なんと、最下位だった金髪の少女が最後の最後に役満をあがり、逆転トップになったのだ!!

「やったぁ!照、私が勝ったよ!!」
「うん、見てた。凄いね。まさか、最下位から勝つなんて」
「えへへっ♪」

「くっ…」
菫がガクッと肩を落とし、残念そうにしている。

「よし、じゃあ行こっか」
「うんっ!」
照が金髪の少女の手を引き、二人は部室の隣にある仮眠室まで向かう。

「おまえら、あんまり大きな声は出すなよ?」
菫が、ギッと金髪の少女を睨みつけた。

「出すわけ無いじゃない!負け惜しみはかっこ悪いよ、菫っ」
「なんだとっ!」
「まぁまぁ…二人とも落ち着いて。ほら、行くよ」
「うん!」

パタンと、扉を閉めて内側から鍵をかける音がする。
「くっ…あのままいけば、今日も私が勝ってたというのに…」
ダンッとこぶしを卓に叩きつける菫。
「まぁまぁ…。また明日があるんだし」
「お茶でも飲んだら」
「ああ、そうだな。お前ら、明日も私にうまいこと差し込めよ?」
「はいはい…」
「了解」

――そして、これからも彼女達の熱い戦い(正確に言えば約二名の)は続く。
仮眠室で何が行われているのかは、この五人だけが知っている、誰にも言えない秘密なのであった――

206:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 16:04:56 iy1PDGYC
なんというエロ部

207:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 21:51:27 0o6WyCvY
規制されてて携帯からなのですこし遅いかもですがss投下。
かじゅモモで、もしもモモが目立って見えるようになってしまったらの話。
タイトルは見えても見えなくても。

208:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 21:53:08 0o6WyCvY
気が抜けてなにも手につかない。
やることなすこと色褪せて見えて、深い深い泥土の中をたゆたっているような気分。
インターハイ予選も終わり、もう残すは引退だけとなれば、多分そういった感情に苛なまされるものだろうと思っていた。
時間だけは変わらずに流れ続けて、だのにどこか停滞する。
向かうべき場所を失って、ふわふわと糸の切れた凧のようにぽっかりとただ浮かぶだけ。
そんな状況が簡単に想像できて、それどころか実際に私はそうなりかけていたと言っても嘘ではなかった。けれど…

「ねぇねぇゆみちゃん。今日は彼女さん来てないの?」
「もう口ふさいだ?ふさいだ?」

空気がそれを許さなかった。
‘あの日’以来、ことあるごとにこうだ。
恥ずかしくて、そわそわして、私はやはり机に突っ伏すことになるのだ。
立ち止まろうとする私の背中はぐいぐいと押されて、前のめりにつんのめってしまったみたいだった。
それもこれも悪いのはアイツなのだ。
全ての元凶。私の持て余した怒りの矛先を向けるべき相手。
私がこんなにも困っているというのに、アイツときたら机の上に腰掛けて楽しそうに談笑しているのだ。
私の怒りに合わせたように、腕がわなわなと震えていた。

「蒲原っ!!!!お前のせいで私は!!」
「ワハハ。こりゃ困った。ちょっとユミちんから逃げてくるからごめんねー。」

一睨みすると、蒲原はさっさと談笑を切り上げて遁走を開始する。
いつも通りにワハハと笑っていて、焦る様子も、謝ろうという様子も見えやしなかった。

「逃げるな蒲原!!」
「ユミちんが怒らなきゃ逃げないよー!!」

蒲原は教室から飛び出して廊下を駆けだす。
ハッと驚いている間に、蒲原の姿はちっぽけになっていく。
教室では、まるでいつものことだとばかりに、クスクスと笑い声が響くばかりだった。

ーーーーーーーー

ことの発端はインターハイ予選に敗退したことだった。
いや、正確には私たちが予選決勝まで駒を進めたことがこんな事態を引き起こしたのか。

高校麻雀といえば文化系の部活動においての花形だ。
強豪ともなれば特待生制度やらスカウトによる越境入学までおこなわれ、そんな学校が毎年覇を争っている。
だからこそ、所謂強豪と私たちのような弱小との間には埋まることのない大きな隔たりが存在した。


209:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 21:56:44 0o6WyCvY
私たちの県においては、その強豪は風越女子であり、麻雀に長けた生徒は風越に入学するのが通例だった。
だから、私たちの間にもどうせ風越にはかなわないという気持ちがどこかにはあったのだろう。
ただ漠然とした時間を過ごして、記念にでもするために大会にでる。
4校から1校しか次の試合には進めないこの形式では、私たちのような弱小は緒戦を勝ち抜ければ御の字どころか金星と言ってもいいぐらいで、それが決勝まで勝ち残ったとなれば注目を集めないわけもなかった。
結局のところ優勝することはできなかったが、それでも大健闘。
早い話、勝とうが負けようが新聞部のインタビューには応じることになっていたのだ。
しかし、恥ずかしい話なのだが、すっかりと忘れていた。
大将戦は人知の及ばない事象を多分に含んだ激闘であったし、それになにより、私には答えなければならないことが残っていて、そんなことは記憶からぽっかりと抜け落ちてしまっていたのだ。

試合が終わって。隣にはキミがいて。
舞い上がっているというのとは少し違うような気もするけれど、少なくとも頭の中は一杯で、余裕などなかった。
逃げてばかりいた。頬は火を吹き出しそうなほど熱をもっていた。
だけど、ほんの少しでも卑怯な自分を卒業しようと、私は精一杯の言葉を紡いだ。
それは私たちの始まりの一歩でしかなかったけれど、とてもとても大切な出来事だった。

しばらく二人そろって黙りこくっていると、携帯が振動するのを感じた。
なんとなくこういう時は携帯を見づらい。
しかし、いつまでも二人こうしているわけにもいかなくて、意を決して携帯をのぞくと、着信はどうやら蒲原からだったようだ。


210:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 22:00:12 0o6WyCvY
「蒲原か、どうした?」
「ワハハ。ユミちんったらインタビューをすっぽかすなんて、いけないんだぞー。」

気の抜けるような蒲原の言葉が耳に響いて、そこでやっとこさインタビューなどというものの約束をしていたことを思い出した。
思わず「あっ。」と間の抜けた声を響かせてしまい、モモが不思議そうに私の顔を覗き込む。

「まぁモモとユミちんの分は私がなんとかしといたからさ。だからもう解散。ユミちんたちも二人で愛の逃避行したってかまわないよー。」

ワハハ、と随分と楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

「なっ、なにを言っているんだお前は!!」

叫んだ私の耳には、ツーツーと通信の切れた音だけが響いていた。
あの様子ではもう蒲原たちは逃げ帰っているのだろう。
ポツリと二人だけ残された私たちは、意味もなく顔を見合わせるとそっと手を重ねた。

ーーーーーーーー

慌てて蒲原の背中を追いかける。
掲示板の前を通り過ぎると、私はまた気がどっと重くなるのだった。

掲示板には様々なポスター類に交じって校内新聞が貼られていた。
掲示板の横には机が置かれていて、どうやらそこには自由に持ち帰ることができるように新聞を並べてあったらしい。
しかし現在、その上には一部たりともそれは残っていなかった。

部活動の大会の多いこの時期は部活動特集が組まれているらしく、様々な大会の結果などが掲載されている。
そして、本来なら喜ぶべきことだったかもしれないことに、今回の一面は私たち麻雀部の活動についてであった。

これが貼られた初日。
私は、楽しいものが見れると言う蒲原に連れられてここにきたのだ。
確かにそれは面白い記事だったのかもしれない。
ただしそれは私以外にとっての話だ。
どれどれと記事に目を通した私の頬は、瞬く間に驚くほどに熱をだす。
わらわらと掲示板に集まった生徒たちの視線が、一斉に私に向いたのが分かった。

どうしてこのようなことになったのか。
話は簡単なことだった。
掲示板に貼られた校内新聞。
そこにはなぜだか、部活動特集に交じって、一面にはゴシップ記事が燦然と輝いていた。
わなわなと腕が震えるのが分かって、私は蒲原に視線をやると、もう既に蒲原の姿は消えてなくなっていた。

蒲原のヤツが私たちを売ったのだ。
一面にでかでかと載っていたのは、インターハイ予選決勝のことではなく、私とモモの馴れ初めと決勝後の会話だった。

211:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 22:02:31 0o6WyCvY
はぁ。今思い出しても頬が熱い。
がくんと重くなった気を無理矢理に奮い立たせて蒲原を追う。
蒲原のヤツは絶対に許さない!!この恨みはらさでおくべきか!!
蒲原が教室に飛び込むのが見えて、私も思わずその後を追った。

「えっ、先輩!?」
「へっ?モモ!?」

ざわざわと教室がざわめく。
思わず飛び込んだその先は、1ヶ月ほど前にも飛び込んだ1年A組。
ふと気づくと、蒲原がモモの後ろに隠れて、ニヤニヤと私を眺めていた。

「ねぇ桃子ちゃん!!旦那様?旦那様?」
「先輩?噂の桃ちゃんの先輩さん?」

モモの頬がボッと桜色に染まる…あれ?

「モモが見えるのか?」
「あっ、それがっすね。あの…。」

モジモジとなにか言いたげなモモの言葉は待ってやりたかったけれど、なんだかどうしても落ち着かなくて、私はモモの手をとった。

「とりあえず逃げるぞっ!!」

注がれる視線に耐えかねて、私はモモの手をひいて逃げ出す。
どう考えても野次馬的なそれは、私には初めての感覚で、頬が燃えてしまいそうだ。
背後では、はやしたてるような黄色いざわめきがきゃあきゃあと響いていた。

ーーーーーーーー

「それで、どういうことだモモ?」
「それが…。」

それは分かるような分からないような話だった。
クラスからも消え去って、誰からも気づかれやしなかった。
気にしてほしいとも思ってはいなかった。
けれど知らず知らずのうちに歯車は動きだしていたのだ。
インターハイ予選決勝。新聞部により撮影された写真。
前者はテレビを通して。後者はカメラを通して。
どちらもモモをうつし出す。
注目度は存外に高かったらしく、誰もがモモという存在に気がついた。
存在を知れば求めたくなり、求めればモモも見えてくる。
気づけばモモは消えていなくて、すっかりと質問責めにあってしまったようだ。
それは主には、私との関係についてだったそうだが。

「あのあの…あのっすね。私、こんなことは初めてだったっすから恥ずかしかったっすけど、なんだか嬉しくて…。」

口ごもるモモに、大丈夫だよと頭をさすって次の言葉を促してやる。

「少し惚気てしまったっす。ごめんなさいっす先輩。」

なんだか申し訳なさそうな表情で、モモがこちらを窺う。
肩を竦めて、それはまるで怯えているみたいだった。
怒ってなどいないよ。なにも悪いことなんてしていないのだから。
私はモモの頭を撫でると肩を抱く。

212:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 22:05:34 0o6WyCvY
それに、謝らなくてはいけないのは私の方だ。
誰かの瞳の先に立つことは、モモにとっては嬉しくて、私だって喜んでやらなくてはいけないことだった。
モモはもう一人ぼっちなんかじゃなくて、それはとても素敵なことなはずだ。
だのに。だのに私は…

「すまない。すまない…。」

どうしてかぽろぽろと涙が零れてしまう。
恥ずかしくて、なんとか止めようとするのだが、涙は止めどなく溢れてきた。

「なんで先輩が謝るんすか?先輩が泣くと悲しいっすよ…。」

モモの舌がちろちろと私の涙を掬った。
暖かくて柔らかくてなんだかとても気恥ずかしかった。

「私は嫉妬した…。モモは私にだけ見えればいいと願って、誰にも見えなければいいと…。」

醜い独占欲の塊なのだ。
誰にも触れさせたくなくて、私だけのものにしたくて、モモが見えるという事実を喜べなかった。

「私の一番は先輩っすよ。それは変わらないっす。」

ギュッと胸に抱かれて、モモの体温が心地よい。

「だから…だから先輩にも喜んでほしいっす。」

はにかむようにモモは笑って、なんだか私がひどく子供のように思えた。
今までが普通じゃなくて、これからが普通なのだ。
モモは見えない存在なんかじゃなくて、多分私はたくさん嫉妬もすることになるのだろう。
きっと友達だってできるから、独り占めはできなくなる。
けれど、やっぱりそれが普通なのだ。
競争相手のいないレースの一番なんかじゃなくて、たくさん競うべき相手ができる。
それでもやはり私は一番になりたいのだ。

ああ。そこではたと気づいたのだ。
もしかしたら蒲原はモモが目立つようにあんな記事を許したのだろうか。
いや、それはさすがに考えすぎか。
多分なんとなく楽しくなりそうに思えて、そうしたに決まっている。

モモが普通の娘になっても、なにも気持ちは変わらないのだ。
放したくないし、誰にも渡したくない。
抱きしめられるばかりでは悔しくて、私はギュッとモモを抱き返すのだった。

Fin.

213:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 22:19:46 0o6WyCvY
今スレも皆様GJです!!

携帯からだとどこで改行したら適度なのかよく分からないですね。
変になってないとよいのですが。
かじゅはクラスではゆみちゃんと呼ばれて可愛がられているのが理想。
かっこかわいい人気者だとよいです!!

埋めはどうしようかと悩みつつ、このスレの埋めで使おうかあぷろだ使おうか…めんどくさいので多分そろそろ普通に投下します。
あぷろだ使ったことないですし。

214:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 22:25:20 jaHzBN+t
>>213
GJ!
かじゅは確かにかっこかわいい系でキャーキャー言われてそうだなw

何言ってはるんですか
とっとと投下しちゃってくださいよー
思い切って投下してくださいよー!

215:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 22:38:55 8WxMsqQ+
>>213
いつもGJです!
ジャンジャン投下していただけたらかなり嬉しいです主に私がw

216:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 22:56:03 Rb2sfHU/
>>213
30~40文字を目安に改行すると見やすい。
携帯画面の表示文字数を数えて、自分なりの折り返し基準を作ればいい。
この時に注意した方がいいのは、こんな風に完
全に文字数だけでキッチリ折り返してしまうと
、それより狭いブラウザでは逆に見にくくなっ
てしまう。
キリのいい句読点で折り返すのをおすすめする。

217:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 23:08:25 KNOTtjcj
>>213
携帯から見ました。
GJです!

218:名無しさん@秘密の花園
09/10/27 23:18:52 gfzq01le
>>213GJ!やっぱかじゅモモはええわー

219:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 02:26:13 cl9il2Cs
南浦さんとむっきーの続編書いたので投下 
エロなし3レス失礼します

220:「ノートに」 1
09/10/28 02:26:57 cl9il2Cs
学校の中間試験が終わった翌日の土曜日。

睦月さんが、久しぶりに私の家へと遊びにやって来ました。

試験期間中はメールのやり取りさえ、あまりしていなかったので、私は久しぶりに睦月さんと会えて、とても嬉しかった。

睦月さんが来て早々、私達はイチャイチャ…
と言うのでしょうか、隣にピッタリとくっついて座り、手を握り合いながらお話をする。

やっぱり、こういったシチュエーションはまだ慣れませんね。
心臓がバクバク鳴りっぱなしです…睦月さんに聞こえてなきゃ良いけど…。

「ねえ…数絵?」
「はい?」
「数絵は、私のどんなところが好き…なのかな?」

「えっ…?」

突然の質問に、私は動揺する。睦月さんの顔を見ると、やはりこちらも頬を赤く染めていた。
それを見て、私も更に恥ずかしくなる。

「い、いきなり何でそんな質問を…?」
「なんとなく…。」
「急にそんな事言われても…っ。は、恥ずかしくて答えられませんよ!」

カァーっと顔が熱くなる。
下を向き、私は目を瞑ってしまった。

「うーん。じゃあ、ちょっとノート貸して?」

えっ?ノート?

「良いですけど、ノートなんか何に使うんですか?」
「まあ、良いから良いから。」

頭に疑問を抱きながら、私はテーブルにノートを広げる。
すると、睦月さんがバックからボールペンを取り出して、何やらスラスラと字を書き始めた。

「何書いてるんですか?」
「あっ!私が良いって言うまで、こっち見ないで」
「はぁ…」

よく分からないまま、私は顔を下に向けて目線をずらした。
そして、5分くらい経った頃、「もう良いよ」と、言われ睦月さんにノートを手渡された。
ノートの文字を読む
そこには…

221:「ノートに」 2
09/10/28 02:28:11 cl9il2Cs
―――――――――
私が数絵の好きなところ

真面目で、ものごとにいつも真剣で完璧って感じがするけれど、実は恥ずかしがり屋さんで、よく顔を赤くしたり、黙っちゃう。
そんなところが、とても可愛くて大好き

―――――――――
と、書かれていた。
ふるふると手が震え、ノートを床にバサッと落としてしまう。

「む、睦月さん…これは一体っ…」
「もう。落とさないでよ」

苦笑いを浮かべ、ノートを拾い、テーブルの上に置き直す睦月さん。

「や、でもこんな恥ずかしいものを急に見せられたらびっくりしますよっ…」
「あ…数絵、また顔が赤くなってる」
「言わないで下さい!」
「ごめんごめんっ…」

もう…この人は突拍子もなく、こういったことをするから困ります。
もちろん、嬉しいのですが…。

「数絵も書いて?」
「やっぱり、書かないと駄目ですか…」

うむ、と彼女が隣でうなずく。

恥ずかしい…
ペンを手にとり、私は考える。
ええと…
睦月さんの好きなところは…ああ。手が震えます。

「数絵…まだ?もう10分以上経ってる気がするんだけど…」
「も、もう少し待って下さい!」
「くすっ。分かりました」

・・・・・・・・。
よし、やっと書けました

「睦月さん、出来ましたよ」
私はノートを手渡しす。
そして、隣で睦月さんが、ノートに目を走らせる。
そして顔を上げた。

「数絵…」
「はい…」
「10分経って、たったのこれだけ…?」
「わ、私はそれだけで書くのが精一杯なんですっ…」

222:「ノートに」 3
09/10/28 02:29:28 cl9il2Cs
―――――――――

 優しいところ
 です。

―――――――――

さすがに、これだけでは怒ってしまうでしょうか。
と、少し不安になりましたが
「まあ、書いてくれただけでも嬉しいんだけどね。ありがとう」
と、言ってくれた。

「いえ…こんなことしか書けなくてすみません…。頭がいっぱいいっぱいなんです」
「うむ。良しとしましょう」

良かった…と、私はホッとする。少ししてから、「あっ」と睦月さんが言い、続けて
「数絵、もう一個書き足して良い?」
と尋ねてきた。

「はい、どうぞ」

カリカリカリと再び、睦月さんがノートにペンを走らせる。

「はい。読んでみて」

ノートを受け取り、目を通す。するとそこには

「不器用なところも可愛いよ」

と、書き加えられていた。
「なっ!なんですかこれは…っ」
「だって、その通りでしょう?」

くすっと、睦月さんが笑い、私の頭を撫でる。

「あ…ああ…」
恥ずかしくて、声がうまく出ません…

「もう、可愛いなあ。」

隣で睦月さんが笑っている。
いつか、私から積極的になれる日は来るのでしょうか。

223:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 02:34:43 5Eg7EbPC
>>213
GJ
最初かじゅがちょっと気の毒だったしワハハそっとしとけよと思ったけど
全部分かっててやったとしたらワハハすげー
かじゅが思いっきり否定してるけど

おもしろかったし次回も楽しみです
誰も投下してなかったら思い切って投下すれば良いと思いますよ

224:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 02:35:30 cl9il2Cs
以上です。

私的に、南浦さんは普段は静かでツンツンというか、クールな雰囲気だけれど、むっきーの前では緊張して極度の恥ずかしがり屋さんになってしまうイメージですね
最初のうちはむっきーも、緊張していましたが、むっきーはそんな状況にもすぐに慣れて南浦さんを優しくリードしていってくれるっていうのが理想です
むっきーは包容力がありそうなので、この2人のカプは結構お似合いだと思っています 

>>213
GJです!泣いちゃうユミちん可愛いなあ

225:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 02:55:31 5Eg7EbPC
>>224
GJ
南浦不器用すぎて可愛い
自分もこの2人のカプはお似合いだと思います
次回も楽しみです

226:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 06:38:20 cl9il2Cs
>>187の続編を書き上げたので、早朝からですが投下します

まず今回のは菫さん視点です。
しかし菫さんが少し怖いことになっていて、終盤は不愉快に思う描写もあるので苦手な方はスルーでお願いします。 
一万字越えでロング、微エロ注意。次レスからスタートです 
タイトルは「後悔」

227:「後悔」 菫視点1
09/10/28 06:39:22 cl9il2Cs
「菫、今日久しぶりにうちに遊びに来ない?」

学校からの帰宅途中。隣に居る私の想い人から、嬉しいお誘いを受けた。

「え…良いのか?」
「うん。私達、同じ大学に行くじゃない?これからも長い付き合いになるんだし、またお茶でもしようよ」
「そうだな。最近、あまり二人で話する機会も無かったしな」
「うん。あ、いつも通り、誰も居ないから安心して」
誰も居ないから、か。
こいつは、やはり天然というか…。
そういう台詞は、相手にベッドへ誘ってるようなものだってことに、まだ気付かないのか。
彼女はそんなつもりで言った訳では無いんだ。と頭では理解しているが、その言葉に一瞬ドキっとしてしまい、苦笑してしまう。

照は、妹と仲直りをしてから本当に変わった。精神面において、強くなったんじゃないだろうか。
前までは、自ら相手に親睦を深めたい、というような発言は全くといって良いほどしなかった。
なんというか、ここ最近は自分の気持ちを素直に主張をするようになった気がする。

そう言えば、照は私からのプレゼントに気付いてくれたのだろうか…
先週の金曜は、彼女の誕生日だった。
私はもちろん、そのことを知っていた。
だから、事前にプレゼントとして香水を買っておいて、当日に渡そうと思っていたのだが…

まさかのサプライズで、こいつの妹が照に会いに東京まで来てしまい、その日は結局渡すタイミングを失ってしまったのだ。

でも、週が空けた今日。
妹のようにはいかないけど、私も照を驚かせてやろうと思い、こっそりとこいつの机の中にプレゼントを潜ませておいた。

まぁ、さすがに気付いていない訳ではないのだろう。
今日、家に呼んでくれたのは、きっと私に礼を言うためだ。
だから、照から切り出してくるまでその話題には触れないでおこう。


228:「後悔」 菫視点2
09/10/28 06:40:28 cl9il2Cs
家に着き、照の部屋に上がる。
「今お茶入れてくるから、待っててね」
そう言い、照は部屋から出ていった。

「しかし…」
ベッドに腰を掛け、部屋を見渡す。相変わらず殺風景な部屋だな。
この部屋に来るのは、照が妹と仲直りする前…。そうだ、全国大会前に来た以来だな。

「三、四ヶ月ぶりってとこか…」
数字にして考えてみると、かなり久しぶりだったんだな、と一人で思いふける。
まぁ、唯一変わったことと言えば、机の上が少し賑やかになったくらいか。
勝手に人の部屋のものをジロジロと見るのは悪いので、座りながらボーッと机の上を眺める。
おそらく、妹と写ってる写真だな。あれは。
あとは雑誌や本などの類が増えたってところか。

「お待たせ」

照が戻って来た。

「菫はストレートで飲むんだよね?」
ベッドの前にあるテーブルに、コトッと紅茶を二つ置きながら、私に尋ねる。

「ああ。ありがとう」

そして照はテーブルを挟んで私の向かい側に座った。
紅茶をすすりながら、チラッと照のほうに目を向ける。さずがに以前のように隣には座ってくれないか…。
それはそうと、そろそろあの話を切り出してくるはずだ。

「ねえ、菫」
「ん。なんだ?」
さて、なんて言葉を返してやろう。

「菫は大学卒業して、プロになったら、どうするの?東京でやっていくの?」

ん…?
なんだ、全然違う話じゃないか。
予想外の返答に、私は少し戸惑う。

「さあ…どうだろうな。所属する実業団にもよるんじゃないか?」
「そっか…」
「お前は?どうするんだ」

「私はね…」

照が、ティーカップを両手で持ち、少しうつむき気味になりながら、何故か頬を赤らめた。

「長野か東京、どっちでも良いんだけど、プロになったら咲と二人で暮らしたいんだ…」
「そう、なのか…」
「うん。」


229:「後悔」 菫視点3
09/10/28 06:41:25 cl9il2Cs
何で、妹との将来夢の話になるんだ…。
私がまだお前のことが好きなのを、分かってて言っているのか?
いくら天然とはいえ、さすがにこれは酷じゃないか?
それか、あれか?今のは「妹とずっと一緒だから、菫が入る隙間は無いよ」と、遠回しに言ったのか?
彼女のことが好きな故に、私の思考回路はあれこれと複雑に絡まってゆく。

非常に気分が悪い

「なあ、お前…まさか私のプレゼントに気付かなかったのか?」
あまりにも、もどかしくなり私からこの話を切り出すことにした。

「プレゼント…?」
「ああ、そうだ。お前の机の中に小さな箱が入っていなかったか?誕生日プレゼントだったんだが」
「え…やだ、あれ入れたの菫だったの…?」

照の表情がどんどん焦り始めてきたのが分かった。嫌な予感がする。

「おい!照」
「あれ、どうしたんだ!?」
私は苛立ち、口調が次第に荒々しくなっていく。

「ご、ごめん…。あれ、誰かのいたずらかと思って捨てちゃった…。菫からだったなんて分からなくて…」
「…………はっ?」

捨てた、…だと?

「中身も見ずに捨てたって言うのか?」
「うん…」

一瞬、頭が真っ白になった後、沸々と怒りが込み上げてきた。

「なあ。普通、中身くらい確認するだろ!?先週の金曜がお前の誕生日なんだから、自分へのプレゼントかもしれないって思わなかったのか!?鈍いにも程があるだろ!」

カァッと頭に血が昇り、一気に言いたいことを全て吐き出した。
そのせいで、息が少し乱れる。


230:「後悔」 菫視点4
09/10/28 06:42:30 cl9il2Cs
突然私が怒鳴りつけたものだから、照が小さく「ひゃっ」と声を上げ、びくびくしながら私を見ている。

ああ…やってしまった。
今の私は酷く恐ろしい顔をしているんだろうな。こんな自分の姿を照に見せたのは初めてだ。
私は肩を落とし、視線を下の方に向ける。

「菫…」

顔を下に向けたまま、照がこちらに近づいてきたのを、横目で確認する。

「あの…本当にごめん」

私の肩に彼女が手を置く。だが、今の私にはその行為がとても鬱陶しい。

「触るな」
ぱしっと照の手を払い除け、私は続けて言う

「なあ。直接お前に渡さなかった私にも非はあるが…。でも、どうして気付いてくれなかったんだ」
「ごめん…」
「いくらなんでも、捨てたっていうのは酷すぎないか?」
「ごめんなさい…」

はぁ…。と、私は大きくため息をつく。
お前にとって、私は一体なんなんだ…。
「なあ、お前さ…何であの時私と体を重ねたんだ?」

私の言葉に、照が肩をピクッと震えさせた。

「私は今でもお前の事が好きだ。だが、お前は違うよな?あの時だって。何でその気がある訳でも無いのにあんなことが出来るんだ。まるで、私が弄ばれたみたいじゃないか…」

「本当にごめんなさい…」
「どうしたら…許してくれる?」

泣きそうになりながら、彼女が訴えてくる。

「私、菫のことも大切だから失いたくない…」

231:「後悔」 菫視点5
09/10/28 06:44:00 cl9il2Cs
照のその言葉に、頭がグラっとする。
さっきまで、鬱陶しいと思っていたのに…
やはり、私はこいつの事が好きなんだな。

まあ、脅かしてやるくらいの事はしても良いか。

冗談でそんな事をしてはいけない、と頭の中では認識しているが…

「じゃあ…お前を抱かせろ。そうしたら許してやる」

「えっ…」

「私を失いたくないんだろ?」

人の弱みに付け込むのは最低だが、正直にいうと、もう一度照の体に触れてみたいという気持ちもあった。

「わ…分かった、それで許してくれるなら」

その返事を聞いた途端、私は照の手をグイッと引っ張り、ベッドへ体を放り投げた。

「きゃっ」と、小さい悲鳴が上がる。

それから、私は照の衣類を全てはぎ取り、首元や胸に口付けを落としていく。

白くて綺麗な肌に、思わず見とれてしまい、背筋がゾクゾクする。

だが、口付けをしても照はギュッと目を瞑ったまま涙を浮かべ、必死に耐えているようだった。

さすがに冗談でもこれはやり過ぎたか…
やはり、こういったタチの悪い冗談は良くないな。

しかし、これだけだと私の気がまだ晴れないので、あと少しだけ。
あと少しだけ、脅かしたら止めてやろう。
そう思い、指を入れるつもりは全く無かったが、照の太ももの付け根に手を延ばし、寸止めにして
「ここまでだ。安心しろ、これは冗談だから。脅かして悪かったな」
と、謝ろうと思っていた。

しかし…

232:「後悔」 菫視点6
09/10/28 06:45:12 cl9il2Cs
「いやぁああっ」

「えっ?おいっ照!」

思いもよらない自体に、頭が混乱する。
手が下腹部に触れた瞬間に、照が悲鳴をあげ、そのまま失神してしまったのだ。
「おい…しっかりしろ!」

慌て呼吸をしているか確認する。
良かった、息はちゃんとしているようだ。
だが、どうすれば良いんだ。
さすがに救急車を呼ぶわけにもいかないし…。
とりあえず、照に衣服を着せ直し、布団をかけてやる。
ふぅ、ふぅ、と苦しそうに息をして額からは大量に汗が流れ出ている。

「これは困ったな…」

まさか倒れられるとは考えていなかったので、私は後悔した。

まだ時間は夕方の五時だ。確か、母親はいつも八時か九時くらいに帰ってくると言っていたな。

そんなことを思い出しながら私は洗面所からタオルを持ってきて、照の汗を拭き取る。

置き紙でもして、今日はもう帰るか?
だが…もし、母親が帰ってくるまでにこいつが起きてなかったら母親にそのメモを見られる可能性もある。
それは、さすがにまずいな…。

「泣くな…」

私は照の目からつたう涙を人差し指ですくい取る。

今日のところは、もう引き上げよう…
さっきのことは、後でメールか電話でもして謝れば良いだろう。

第一、照のこの辛そうな表情を見ていると、私まで胸が苦しいのだ。
罪悪感でいっぱいになり、頭がガンガンと殴られているように痛い。
早く。早く、この場から立ち去りたい。


233:「後悔」 菫視点7
09/10/28 06:46:48 cl9il2Cs
そう思い、私は荷物を持ち、照の部屋を出た。


家路に着き、時計を確認する。
「六時か…」

きっと、まだ彼女は起きていないだろう。
だが、念のため電話をかけてみる。

「プルルルルッ―」
「プルルルルッ―」
「プルルルルッ―」

5、6、7回とコール音が響くが一向に出る気配が無い。

「くっ…」
15コールくらい過ぎたところで、私は諦めて電話を切った。

気は重いが、明日学校で会ったら面と向かって謝ろう。
そう結論を出し、私は罪悪感と自己嫌悪感に包まれながら眠りについた。


翌日。

私は学校へ行き、驚いた。
何事も無かったかのように、照が話しかけてくるのだ。
「菫、おはよう」
「あ…ああ、おはよう」

その照の姿に私は戸惑う。

「なあ…昨日のことなんだが…」
「ああ、昨日ね。電話くれてたのにごめん。あの時まだ寝てたんだ」
「いや、それは良いんだが…お前、怒ってないのか?」
「え…何が?」
「何がって…お前、まさか昨日のこと覚えてない訳じゃないだろうな?」

「え…。菫がうちに遊びにきて、私が途中で寝ちゃったんじゃないの?あのタオル、菫が置いてくれたんでしょ」
「タオルを置いたのはそうだが…」

待て、こいつ、明らかにおかしいぞ。
確かに寝たと言えばそうだが、あれは失神だっただろう。

「なぁ…昨日私がしたこと怒ってないのか?」
「……。菫、なにか私にしたっけ?」
「えっ…」

嘘だろう…
昨日のあれを、忘れたというのか?
いや、あんなことをたった一回寝ただけで忘れる訳が無い。
これは、もしかして記憶障害というものなのかもしれない。

だが、照には悪いが、昨日のあの出来事を綺麗さっぱりと記憶から消しているのなら、私にとっては都合が良い。

234:「後悔」 菫視点8 ラスト
09/10/28 06:50:10 cl9il2Cs
しかし…

他にも忘れていることがあったらどうしよう。

「なあ、照。先週の金曜にお前の妹がこっちに来たの、覚えてるよな?あの日は本当に良かったな」

かなり無理矢理ではあるが、先週の話を振ってみる。

「うん、咲が来たね。でも急にそれがどうかしたの?」
「ああ…いや、あの時のお前が凄く楽しそうだったのをふと思い出してな」

「そっか」
「ああ…」

その時、チャイムの音が響いてきた。

「あ、チャイムだ。行こう、菫」
「そうだな…」

席につき、私は頭を悩ませる。

さっき照と会話をした分には、どうやら記憶を無くしているのは昨日の事だけのように思えるのだが…。

私は、昨日自分がしでかしたことに対して後悔してる。
本当は正直に謝るつもりでいたが、昨日のことを包み隠さず話して、もし照が記憶を思い出してしまったら…

もう私達はこれから先、会話を交わすことが無くなってしまうかもしれない。

それは、嫌だ。

このまま私が黙っていれば私達は今まで通りの関係でいられるんだ。

私は、自分のことを心底最悪な人間だと思ったが、昨日の出来事を隠し続けることに決めた。

そのほうが、照のためにもなるだろう。
これからも、大学で一緒にやっていく仲間なんだ。

おそらく、この罪悪感が消えることは一生無いだろうが、私は事実を告げることよりも、照とこれからも一緒に居たい、という願いを優先させてもらうことにした。

「照…すまないな」

235:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 06:53:12 cl9il2Cs
以上です
とりあえずこれで菫視点が終わりです

自分は菫さんのことが好きなんですが照とカップリングにしたら、どうしても菫さんが幸せになる話が思いつかなくて暗い雰囲気になってしまいます…

菫さんの方々、すみません。
いつかは菫さんも幸せいっぱいになれる話も書いてみたいです

236:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 06:56:20 7R1zHgFI
>>235
GJ!!


面白かったよ

237:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 08:46:51 eGoLU9RH
>>162

面白いんだけど・・・。誰も突っ込んでないから突っ込むぞ
前スレの別の作者の咲照SSに似すぎじゃないか?
同じカプだから描写がかぶるのは仕方ないと思うが、咲が照にオムライスをつくるところなんてそのまんま・・・。


238:元162
09/10/28 12:09:22 910QNl0c
>>237
すいません、ネタ被ってましたか…
前スレの前編を書き終えた時点で何となくオムライスは頭にありました
あと何を言っても深みにハマるだけですけど、しっかり他の作者さんのSSを読んでなかった自分の責任です
すいませんでした

239:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 12:47:58 X5ZlCiKT
咲「お姉ちゃん…エコーオブデスお姉ちゃん……」

某アニメの四角関係妄想を咲照和+部長全変換できてしまった
照さんのせいで元敵萌えになりそうだ、いやデレると決まってはいないのだが

240:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 13:39:14 cl9il2Cs
照はクールデレだと嬉しいです

241:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 13:54:10 uVoO8wml
照が素クールなら……

いや、なんでもない

242:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 14:13:17 Rh4rV1dY
>>237
二次創作になに言ってんの、お前

243:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 14:27:19 4S5OsGny
>>242
どこを擁護したつもりになっているんだ?
職人減らすつもりか?

244:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 15:11:19 PGAUeRcq
>>213
GJ

245:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 16:33:55 Ixx3Co69
>>238
そういう事もあるよ。あまり気にせずに。
新作期待してます。

246:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 18:12:58 RnrqcyVj
>>243
なにムキになってんだ、あんた
死んできたら?

247:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 18:40:50 Ptc7kB27
お前らそんないがみ合ってると変態SS投下しちまうぞ?

248:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 19:30:04 cl9il2Cs
空気読まずに投下します。
最近、シリアス気味なSSばかり書いてたので、たまには暖かい雰囲気のものをと思い、照咲書きました。

今まで書いてたものから、かなり時系列が飛びますが、照が大学を卒業して、プロになった直後という設定になっています。

ちなみに、これは書いても書かなくてもSSでは分からないと思いますが、照と咲は二人で長野で暮らしているという裏設定も妄想して書きました。

では2レスだけ失礼します

249:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 19:30:23 ++ua2HxX
どうぞどうぞ^^

250:「春」 1
09/10/28 19:38:25 cl9il2Cs
― 春

まだ少し、外の空気は肌寒く感じる。
けれど、桜の木につぼみができたり
次第に木々の緑が濃さを増してゆく。
そんな季節 ―

この春、私は大学を卒業して晴れてプロの麻雀士になった。
まだまだ始まったばかりの新しい生活。
そこには、もちろん咲も居る。
初めて社会に出て、これからどんな試練が待っているのかと、不安になることもあるけれど―
それでも、応援してくれる人が身近に居るから

 私は頑張れる。


ピピピピッ!ピピピピッ!
朝7時を伝える目覚まし時計が鳴り響く。

「うう…ん…」

手をのばしてペチッと、時計のボタンを押して音を止める。

 眠い…
私は、ふわふわとする意識の中で考える。

あれ…?
そう言えば、今日は日曜で、仕事は休みだったっけ。
アラーム解除するの忘れてたんだな…

昨日は、私が所属している団体の先輩と夜遅くまで飲みに行ってきた。

アルコール類は、あまり得意じゃないので本当は行きたくなかったのだけれど…
「付き合いも仕事のうち」っていうのは、まさに昨日みたいな事を言うんだろうな。

あ…頭が痛い。
これは、完全に二日酔いだ。
気分がすぐれなくて、私はそのまま二度寝しようと決めた。

「んん…寒いよ」

春になったとはいえ、まだまだ朝方は冷え込む。
勝手に体がブルブルと震えて、より一層寒く感じてしまう。
私は、バサッと布団を頭までかぶり、中で体をまるく縮ませた。

少し時間が経ってから、トントンッと部屋のドアがノックされ、外から咲の声が聞こえてきた。

「お姉ちゃん、入るよ?」

ガチャっとドアが開く。
私は布団から顔を出し、薄く目を開けて咲がすぐそこまで来ているのを確認した。
あ…まだパジャマ姿だ。

「んん…おはよ、さき…」
眠いのと、頭がふわふわするのとで上手く喋れない。
「お姉ちゃん、大丈夫?昨日お酒飲んできたんだよね?」

咲がそう言いながら、床に膝をついて、私の肩に手を乗せる。
私はその手を握り締めた。あ、暖かいな…。

251:「春」 2 ラスト
09/10/28 19:40:28 cl9il2Cs
「大丈夫だけど、頭がふわふわするんだ…。まだ完全にアルコールが抜けてないみたい」

「そっかぁ…。大変だったね」

「まぁ、仕事だからしょうがないんだけどね」

心配してくれている咲の顔を見て、私は愚痴を吐かないように気を付けようと思った。

それにしても、咲の手…
暖かいな。

「ねえ咲…」

「ん?なあに?」

「お願い。ちょっとの間で良いから、こっちに来て」

私はそう言い終えてから、咲を布団に入れようと、手を引っ張った。
だけど、力を入れてグイっと引っ張ったつもりだったのに。
いざやってみると全然腕に力が入らず、すぽんっと咲の手が私の手から抜け出てしまった。

「あっ…」
「もう、お姉ちゃんったら…」

ふふふっと、咲が優しく笑い、モゾモゾと布団の中に潜り込んでくる。
そして、私は咲にピッタリとくっついて、キュッと抱き締めた。

「んん…咲あったかいね」

「えへへ…お姉ちゃんはちょっと冷たいね」

「うん。でも咲が来てくれたから、もうだいじょーぶ…」

咲の頬に、すりすりと顔を撫で付ける。

「や…っ、お姉ちゃんくすぐったいよっ…」

「だって咲が気持ち良いんだもん」

「あははっ。お姉ちゃん、今日は何だか甘えん坊さんだねっ」

多分それは、まだ完全に酔いが覚めていないせい。
でも、私はもっと咲とくっついていたかった。

「…もう少し、こうしてて良い?」

「うん、いいよ」

その返事を聞いて、私は心が穏やかになり、再び深い眠りについていくのだった――

252:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 19:42:17 cl9il2Cs
以上です!
あまりにも時系列ぶっとんでるんで、とりあえず短編で書きました。

んで、自分は照も咲も、お酒は弱いと信じています



253:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 21:02:54 910QNl0c
>>252
GJ!
何か気持ちが温かくなった!

254:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 22:24:44 YV7Tfs23
>>252
正直、自重してくれ…他の作者さん達のssを無碍に流さないでくれ、頼むから

255:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 22:44:45 IMKnhb7y
>>203
楽しみにしてるよ

256:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 22:54:11 Ptc7kB27
ノリと勢いで書いた。後悔はしていない。

咲和エロ

257:1
09/10/28 22:54:38 Ptc7kB27
「いらっしゃい、和ちゃん」
「お邪魔します」

 私が咲さんと正式にお付き合いを開始してから、一週間が経過した頃。
 想いを伝え合ったというのに、私たちの関係はいまだぎこちなく、どこかそわそわとしたものだった。

 その関係をもっと円滑なものにしたく、私はこの休日、咲さんと二人きりの時間が欲しかった。それは咲さんも同じだったのか、昨日、幸運にも彼女の家に誘われたのだ。私は咲さんの自宅に招かれただけで心は舞い上がり、どこか浮き足立っていた。
 そして今、待ちに待った咲さんのお宅へお邪魔したところだった。

 咲さんに出迎えられ、私は玄関をくぐる。
 お父様は不在、と前日に告げられていたので、私の緊張感はあまり高くない。

「狭いおうちで、ごめんね」
「いえ、そんなことないですよ。とても素敵な所です」

 咲さんに誘われるまま、彼女の部屋へと移動した。
 室内へ通された時、真っ先に五感が感知したのは、匂いだった。咲さんを近くで感じたときに、香る匂い。その全てが凝縮されたかのように、咲さんの部屋には彼女の香りが充満している。私はそれだけで、身悶えしそうだった。
「何もない部屋だけど、ゆっくりしていってね。あ、今お茶用意するから、待ってて」

 咲さんは慌ただしく、部屋から出ていく。
 私はゆっくりと、室内を見渡した。
 綺麗に整頓された部屋。学習机とベッド、それに本棚が置いてあるだけのシンプルな部屋。咲さんらしい部屋だった。
 ここで何年間も咲さんが過ごしていた、そう考えると、感慨深い。

258:2
09/10/28 22:55:06 Ptc7kB27
 私の足は、自然とベッドの方へ向かっていた。ここで毎晩、彼女が眠っているのだと想像すると―身体が熱くなる。思わずベッドに飛び込みたくなる衝動を抑え、この室内に広がる彼女の匂いだけで我慢することにした。
 ほどなくして、咲さんがお盆を手に、たどたどしい足取りで戻ってくる。お盆の上には、湯気の立つカップとお茶菓子が置かれていた。咲さんは、お待たせ、といって私に微笑みかけてくれる。

 私は衝動を止めることができなかった。
 この部屋に充満する匂い。恐らく、ベッドの内には更なる甘美な香りが秘められていただろう。それを前にして、何とか自制心を保っていた私だったが、咲さんを前にしたら歯止めが利かなくなっていた。

 直接、咲さんの匂いを嗅ぎたい。その欲望は濁流のような勢いで私を突き動かす。
 お盆を床に置いた咲さんへ、私は抱きついていた。
 咲さんは、わっ、と可愛らしい悲鳴をあげる。

「のっ、和ちゃん、どうしたの?」
「……ごめんなさい。咲さんのこと、もっと感じたくなってしまって」
 私は咲さんを後ろから抱くようにしていたので、彼女の耳元に囁きかけた。咲さんは耳元まで顔を真っ赤にしている。多分、私も同じだろう。
 私は咲さんのうなじから香る匂いを、存分に味わった。

 しかし、咲さんは慌てて私を振り解く。その瞬間、私は頭に上った血が引いていくのを感じ、冷静さを取り戻した。
 嫌われてしまったかもしれない―。
 先ほどまで身体を駆け巡っていた熱はすっかりなくなっており、むしろ冷えすぎて寒さを覚えるほどだった。
 咲さんは、ゆっくりと振り向いてくる。しかし、その顔に嫌悪さはなく、照れているような、戸惑っているような、そんな顔をしていた。

259:3
09/10/28 22:55:38 Ptc7kB27
「わたしも和ちゃんのこと、もっと感じたいから……向かい合って、しよ?」
 その愛らしい唇が紡いだ言葉は、私の熱を再び呼び覚ます。頭がくらくらとする。
 私は声を出すのも忘れ、ゆっくりと頷いた。
 そうして、私たちは向き合ったまま、お互いの身体を抱く。
 体温を感じる。吐息を感じる。そして再び、咲さんの甘い香りが私の鼻腔を刺激する。

「和ちゃん、良い匂い」
「さ、咲さんのほうが良い匂いです」

 自分の匂いを嗅がれたことに、私は恥ずかしくなった。
 しばらくお互いの肩へ顔を預けるような格好のままだったが、咲さんが顔を離してくる。自然と、見つめ合う形になった。
 そして引き寄せられるように、唇が触れ合う。
 柔らかい感触。

 私はそれだけでは満足することができない。さらに咲さんを求めるべく、咲さんの口内へ舌を進入させた。
 ぴくり、と咲さんの身体が震える。しかし、抵抗はせず、すんなりと私の舌を受け入れてくれた。そのことがたまらなく嬉しくなり、私は彼女の全てを味わおうと、舌を動かす。咲さんの舌と私の舌が絡まり合い、淫らな音を奏でた。
 私はゆっくりと、咲さんを床に押し倒す。そうして唇を離すと、お互いの唾液が混じりあった糸を引いていた。

 私がぼんやりとした眼で咲さんを見つめていると、彼女は再び私の唇を求めて口付けをしてきた。それが意外だった私は、何も反応できない。それからは、咲さんのペースだった。
 私は、口内へ進入してきた咲さんの舌に抗うことができない。唇で舌を挟まれたりもした。
 何も考えられなくなりそうな私の脳へ、一つの刺激が襲いかかる。私の胸に、咲さんの小さくて柔らかな手が触れていた。

「―んっ、ふぅっ」
 咲さんの口に塞がれているため、くぐもった声を漏らしてしまう。咲さんはそこでようやく唇を離すと、上下入れ替わるように、体勢を反転させた。私が床に押され、見上げる視界には咲さんが映る。
 そして、私の胸に触れたままの手を、優しく動かし始めた。恐る恐る、弾力を確かめるような、優しい手つきだった。

260:4
09/10/28 22:56:01 Ptc7kB27
「和ちゃんの胸、柔らかい……。ずっと、こうしてみたかったんだ」
「……いいですよ。いくらでも、咲さんの好きなように、してください……」
 咲さんの手つきは次第に激しくなってくる。私が声を漏らしそうになると、咲さんは勢い良くキスしてきた。私も、貪るように咲さんと舌を絡めあう。

 幸せで、どうにかなってしまいそうだった。
「咲さんのこと、愛していますっ……。誰よりも……」
 唇が離れた隙に、私は荒い息をつきながら、想いをすべてぶちまける。
「わたしもだよっ……。和ちゃん、好き……」
 咲さんはそう言って、私の首筋にキスをした。

 咲さんの口から出た、好き、という単語は、私にとって何よりも嬉しいものだった。
 大好きな咲さんが、私のことを好きでいてくれる。身体全体が沸騰しているかのように、熱くなった。
 咲さんの触れている唇、私の胸を触る手。もはやそれだけでは、満足できていなかった。
 もっと、支配されてみたい。という欲求が膨らんできていた。

 私は咲さんの空いている方の手を握る。そうして、下半身へと誘導させた。咲さんの手が下着越しに触れる。それだけで、感覚がおかしくなりそうだった。私はより一層荒く息をつく。ものすごい興奮している。
 咲さんは驚いたように私の顔を見た。

「和ちゃん……。わたし、初めてだから、どうやっていいか分からないよ」
 咲さんは困ったように、それでいてそれでもその先を望むような、そんな目をしていた。私はこくりと頷く。
「わたしも初めてですので、良く分かりませんが……。咲さんのしたいように、してみてください……」
 咲さんは嬉しそうに微笑み、私にそっと口づけをする。

261:おわり
09/10/28 22:56:23 Ptc7kB27
 そして、咲さんの手は、私の下着の中へと入ってきた。
 手が直接触れると、凄まじい刺激が私を襲う。私は身体を思いきり震わせる。
「すごい……こんなに濡れるんだ」
 咲さんは感触を楽しむように、ゆっくりと触っている。その優しい手つきが、私により一層快感を与えていた。
 そして咲さんの指が、私の突起した部分に触れると―
 
「―ちゃん。和ちゃん、大丈夫?」
 どうやら一瞬だけ、気を失ってしまったようだ。心配そうに顔を覗き込んでくる咲さんが愛しくなる。
「咲さん……。好きです」
「うん……。わたしも……」
 そうして咲さんと甘い口付けをした。

 夜。
 私は咲さんと一緒に入浴をしていた。二人が浴室に入ると、ちょっと狭い。でも、その距離感の無さが二人を結び付けているようで、嬉しかった。
 私は咲さんの肩に顔をあずける。
「今晩―また、しましょうね」
「……うん。和ちゃん、大好き」
 お湯のせいではない、火照って上気した顔を、お互いがしていた。

262:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 22:57:00 Ptc7kB27
改行とかへんになって、けっこうレス使った。スマソ!!!

263:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 23:13:05 PGAUeRcq
>>262
GJ
夜の部も是非書いてくれ

264:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 23:13:15 khZCYLIv
>>262
GJ!
エロくて可愛いって素晴らしい

265:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 23:28:09 qGUIU0MQ
いいな
やっぱ公式CPは頭の中に情景をイメージしやすい

266:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 23:55:47 IMKnhb7y
>>262
GJ!ドキドキしたよ~咲和ってあんまりエロ見かけないから嬉しかった

267:名無しさん@秘密の花園
09/10/28 23:59:38 5Eg7EbPC
>>235
GJ
続きが楽しみです
前回の咲視点の話の最後見てるとマジで菫が心配になってきますね

>>252
こっちもGJ
俺やっぱりこういうのの方が好きなんだろうな
にしてもこのころ菫はどうなってるんだろうか…

268:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 01:27:07 XroewAtV
>>262
この咲には妙な違和感があるけどたまには良いかな
次回にも期待してますよ

269:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 07:14:40 KHEEwB5r
>>254
お前、何言ってんの?
作品の評価もロクに出来ないようなクズのお前の書き込みこそが、まさに無駄レスというものだろう。
それに、別に>>252は他の作者の作品を流している訳でもないだろ
お前みたいなヤツの書き込みが、他の観覧者や作者が書き込みを自重する原因になっちまうんだから、もう二度と書き込みすんなよ


>>252
GJ!!
やっぱ、こういう照と咲も良いな。
可愛い
上のキチの書き込みは気にすんなよ。みんな、期待してるから。
次回作も楽しみにしてる。

>>262
GJ!!たまには王道カプも良いな
夜の部も楽しみにしてるぜ


270:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 07:20:12 5D7ZzTDw
書き上げたら投下するだろうから流れるとか
よく分からん事心配する必要は無いと思うぞ

271:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 07:23:50 5D7ZzTDw
あ、流れるってそういう意味じゃないか。んーいや別に大丈夫でしょ・・・

272:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 12:18:53 ptkEABb5
あげて噛みつく奴に何言っても無駄

273:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 15:21:36 HPQa6fZ1
>>254

やあ(^ω^) 君もキティなのかい?
ぼくもそうなんだ
さあ、キティは大人しく僕と一緒に衣たんスレに帰ってペロペロしてようね

ペロペロ(^ω^) (^ω^) (^ω^)

274:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 15:24:21 HPQa6fZ1
うひひ(^ω^)
まずははじめたんのおまんこをペロペロするおお
次はのどちゃんにパイズリやってもらうんだあ
しめはやっぱり、我らが聖母のキャプテンに中出しして顔を真っ青にしてあげるお

ふひひひ(^ω^)(^ω^)(^ω^)ペロペロ。デザートはころもたんのおしっこだお

275:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 15:28:40 HPQa6fZ1
ペロペロ(^ω^) (^ω^)
(^ω^)  (^ω^)  (^ω^) (^ω^)
  (^ω^) (^ω^) (^ω^) (^ω^)
(^ω^) (^ω^) (^ω^) (^ω^) (^ω^)
(^ω^) (^ω^)  (^ω^) (^ω^) (^ω^)ふひひ
咲たんいバックで挿入して照ちゃんにおしりを蹴られるってのもいいね
うひひひひ 
姉妹丼も捨てがたいなあ
でもやっぱりキャプテン聖母になかだしは必須だお

(^ω^) (^ω^) (^ω^) (^ω^) (^ω^)
 (^ω^) (^ω^) (^ω^) (^ω^) (^ω^)

ハアハア キャプテンの中最高だおおお
らめええええええええいっちゃういっちゃうお!!!!
ああ!! ドピュ!


276:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 15:30:41 HPQa6fZ1
うひひ
僕の精子はバケツに1リットルくらい溜めて、あとで衣たんにぶっかけるんだ

ひいひい
衣たん臭いお
(^ω^) (^ω^) (^ω^)
 (^ω^) (^ω^) (^ω^)
(^ω^) (^ω^) (^ω^)
(^ω^) (^ω^) (^ω^)
 (^ω^) (^ω^) (^ω^)

277:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 17:33:36 HPQa6fZ1
(^ω^) (^ω^) (^ω^) (^ω^)
(^ω^) (^ω^) (^ω^) (^ω^) (^ω^)
(^ω^) (^ω^) (^ω^) (^ω^) (^ω^)
(^ω^) ((^ω^) ^ω^) (^ω^) (^ω^)


278:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 18:36:13 xIj8pXwk
百合スレからレスが消えたじぇ
規制あけを待つしかないかぁ

279:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 19:43:27 0mvTB8tz
ぺろぺろがこんなところにまで

280:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 20:49:42 5D7ZzTDw
∧「ハギヨシ!」

281:名無しさん@秘密の花園
09/10/29 23:15:32 QZIjB2xj
>>262
いまさらながらGJ!

282:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 03:20:30 Tg0dEYGp
なんか2ch全体が規制祭りになってるみたいだな

283:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 07:53:05 9jXYAku2
>>252
姉妹丼の続きまだ-??

284:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 13:14:48 XuPo8GXQ
マジで規制がきついな。このまま人がいなくならなければ良いが……。

285:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 16:00:26 yLkz6M4H
今週のヤンガンは?

286:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 17:29:46 iyh/06DB
ドラマCDで部長は料理が苦手と聞いて
キャプテンに手料理作って貰ってる微笑ましい光景が浮かんだ
萌え死ぬ

287:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 18:46:01 lVCahZPy
>>286
部キャプ関連の話題は隔離スレでな
そこで存分に語れ、このスレのためにも頼むわ

288:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 18:52:12 rhyKvLZ2
以下いつもの流れ禁止

289:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 19:02:38 iyQJznb/
3年生ならこの時期のイベントはオープンキャンパス!部長もキャプテンと一緒に大学巡りをしてるんだろうな

290:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 20:00:54 iu1IzSPQ
南浦さんとむっきーの続編SS書いたので投下します 
タイトルは「優しいあなた」です 
4レスお借りします
※微エロ

291:「優しいあなた」 1
09/10/30 20:01:29 iu1IzSPQ
「お泊まり、か…」

枕に顔を埋めて、ぼぅっとする。
そして、私はさっき睦月さんと電話で話した内容を思い出す。
明日の土曜日は、睦月さんのご両親が不在らしく、良かったら泊りにおいでよ、と誘われたのだ。
明日は特に用事も無いので私はもちろん、行きます。と返事をした。

 あ…
思い出したら、なんだかまた緊張してきました。
睦月さんと、いわゆる恋人関係というものになってから、もう2ヶ月以上経つというのに。
今だに、睦月さんの事を考えると胸がドキドキしてしまう。

 「でも、楽しみです…」

そう言えば、昨日買った雑誌に「女の子に聞いた恋愛事情」というアンケート特集のようなページがあったな。
そんなことを思い出し、普段はそういったページに興味が無く、飛ばして読んでいたけれど、少しでも参考になればと思い私は雑誌を開いた。

 しかし…

「え……ええっ?!」

そこに広がってる文字を見て、私は驚愕した。

「恋人との初お泊まりは初エッチになる率58%」

と、大きくタイトルが書かれていてその下には…

「やっぱり、お泊まりの時は下着に気合いを入れます☆」
「こないだ初めて恋人の家に泊りに行って、そんな雰囲気になってそのまま…」
「もしお泊まりに行っても、何もされなかったら自分に興味が無いのか不安になっちゃいます。」

その下や隣にもまだまだたくさん、私と同い年くらいかと思われる女性達の体験談が綴ってあったのだ。
それは、私にとってあまりにも衝撃的で、これ以上はとても読む気になれず、パタンと雑誌を閉じ、そのまま本棚へと押し込んでしまった。

再びベッドに横になり、枕に顔を埋める。

「一体…あれは何なのでしょうか」

さすがに、エッチというのはどういう行為の事なのかくらいは知っていますが…

292:「優しいあなた」 2
09/10/30 20:02:45 iu1IzSPQ
 ですが…
初めてお泊まりに行くにあたって、そんな大きな試練があるだなんて…

枕を抱く腕に、ぎゅっと力をこめる。

「ありえない…ですよね」

睦月さんと、そのような行為をするのが嫌なのかと言われたら、別にそういう訳ではない。
ただ、どうしても今はまだ考えられないのだ。
心の準備も何もできていない。

まぁ、でも…
さっきのはあくまでも体験談なんですよね…?

誰もが必ずしも、そうなる訳じゃ無い。

あんなものは気にしないで、明日は普段通りに睦月さんと過ごせば良い。

そう思い、私は眠りについた――

 そして当日

やはり、あの体験談を意識しないなんてのは無理でした。

「数絵…だいすき…」
「ひゃっ…む、睦月さ…ん」

家に着き、夕食とお風呂を済ませ部屋で雑笑をしていたら突然、睦月さんが後ろから私を抱き締めてきたのだ。
私は昨日の雑誌で見たページを思い出し、緊張と恥ずかしさのあまり、どうする事も出来ずに、ただただ睦月さんに体を預ける。

あ…
睦月さん、すごく良い匂いがする…
シャンプーの香りかな。

いつもは私と同じで髪をポニーテールにしているけれど、今はお風呂から上がって、全て下ろしている。
髪を下ろした睦月さんは、いつもとは少し雰囲気が違っていて、それでも綺麗でとても魅力的だった。

良い香りに包まれて、なんだか少し心が落ち着く。
私を抱き締めている睦月さんの腕に、そっと手を添えた。

「ねえ…数絵」
「はい」
「キスしても良い…?」
「はい…どうぞ」

今までなら、過剰に反応してしまう言葉だったけれど、多少は免疫がついたのか、鼓動がドクンと跳ね上がる程度で済んだ。
睦月さんの腕が、解かれる。

「その前に、電気消すね」
「え?はい…」

293:「優しいあなた」 3
09/10/30 20:04:00 iu1IzSPQ
何故か、突然部屋の電気を消されてしまい、頭に疑問が浮かぶ。
時間はまだ9時ですが、もう寝る準備に入るのでしょうか。

部屋の中は暗くなり、カーテンの隙間から僅かに月明かりが差し込み、うっすらと目の前に睦月さんの顔が見えた。

おいで、と手を引かれて私達はベッドの上に座る。

「好き。愛してる…」

私の両頬に手が添えられ、ゆっくりと彼女の唇が重なった。

「んん…」

そして何秒か経ってから、唇が離れていく。
鼓動が高鳴り、胸が熱くて苦しい。

「今日は、いつもみたいに騒がないんだね?」

少し意地悪な笑顔を浮かべて、睦月さんが私の頭を撫でた。

「…これでも、緊張はしているんですよ?」

「そっか」
と言い、くすりと彼女が笑う。
それから、再び体を引き寄せられて、ぎゅうっと抱き締められた。

「あの、睦月さん…」
「ん?何?」
「睦月さんは、その…したいとか思ったりするんですか…?」

自分でも、何で急にこんなことを言ってしまったのか分からない。
おそらく、ナチュラルハイといいますか…夜になり、少しテンションが上がっていたのかもしれません。

それと、彼女がどう思っているのか少し気になっていたというのもある。

「へ…っ?数絵…?まさか、したいって…あれのこと言ってるの?」
「は…はい…」
「何でまた、急にそんなことを…?」
「実は、昨日…雑誌で見たんです…」
「うん…」
「その……」
すうーっと息を吸い込む。
「恋人との初めてのお泊まりは初エッチになる率が高いって書いてあったんです…!!!」
はぁはぁ、と一人で勝手に興奮して息が上がってしまった。

「か、数絵…?びっくりした…」
「す、すみません…」

いや、良いんだけどね。と言い、彼女は続ける

294:「優しいあなた」 4
09/10/30 20:05:15 iu1IzSPQ
「うーん…。まぁ、正直にいうと、したくないって言ったら嘘になるかな…」
「そう、なんですか…」
「うん。だから、電気を消したの」
「はっ、はい…!」

彼女の言葉に、体が急に固まってしまった。
緊張して頭に汗をかいてしまう。

「でも…」

「え…?うあっ!?」

突然、服の上から胸を撫でられて反射的に声をあげてしまった。
そんな私の様子を見て、彼女は少し困ったように笑う。

「数絵はまだ、そんな気にはなれないでしょ?」
「はい…その通りです…」
「うん。やっぱりね」

「ごめんなさい…」
なんだか、いつまで経っても緊張して、先に進めない自分に少し嫌気がさす。
ポフッと睦月さんの首もとに顔を埋めた。

「もう…。謝らなくて良いから」
「嫌いにならないで下さい…」
「なる訳ないよ」

背中を手でポンポンと優しくたたかれる。

「睦月さん…」
「ん…?」
「私の心の準備が出来るまで、待っててもらえますか?」
「もちろんです」
「ありがとうございます…」
彼女のその返事を聞いて、ホッとする。

「でも…」
「はい…?」
「キスはたくさんさせてね?」
「はっはい…!」

耳元で囁かれ、顔がぼっと熱くなるのを感じる。

それから、私達は何回も何回も数えきれないくらい唇を重ね続けた――

睦月さん。
私は本当に、優しいあなたの事が大好きです。
いつかは、私からも積極的になれるように頑張ります。
それまで、もう少しだけ待っていて下さいね。

295:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 20:09:53 iu1IzSPQ
以上です
相変わらず、自分の中での南浦さんは不器用で恋愛に関して、とても臆病って感じです… 
そんなイメージが強いので、なかなかこの二人を夜の対局まで持っていくのは難しいですね…。
書いてみたい気はするのですが…。
まあ、なんだかんだ言ってこのカプが大好きです 

失礼しました

296:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 20:16:49 FBs9duGq
GJ!やっぱりSSが無いと始まらないな

297:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 21:03:56 vDp9HJ6s
うむ、GJだな。


298:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 21:45:18 M05ULx1O
GJ!!
いつも楽しみにしてます。続き期待してます!

299:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 22:06:51 rKwiTbCu
>>287
死ね

300:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 23:24:14 wiYxdnGf
>>287
アニメ終わって一月も経ったのにまだ基地外が粘着してんだな

301:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 23:28:44 LIuJiiOL
昨日みたいな馬鹿が出張してきてるだけでしょ

302:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 23:44:34 wDu1XIAD
今更池キャプ厨に反応するって…
荒らしをスルーできずに、部キャプ派が分裂した過去から何も学ばないのか。

303:名無しさん@秘密の花園
09/10/30 23:47:07 BpMlyfyI
>>302は荒らし

304:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 00:05:46 v67jUpVL
うぜぇ

305:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 13:30:53 H24NGadq
部キャプの話題になると荒れるのはお約束だな
せっかく隔離スレあるんだからそこから出てこないでね

306:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 14:04:04 OMjQAW58
ポン

307:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 14:05:28 FnZTgU0b
規制で新作なかなか出なかったからウィキ見てたけど
タコスと衣の話とか池田と衣の話とか続編見たくなっちまった
あと井上と咲の最初の話の続編で井上と他のキャラの話とかも

>>295
GJ
相変わらず良い話書きますね

308:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 14:14:32 gUun4lWr
お前キモい

309:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 14:51:30 1zKXQPdp
部キャプは荒らしが勝手に隔離したんだろうが。死ね!

310:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 15:59:30 i7Wcyyo5
生きる!!

311:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 17:19:10 Pvzk1oFK
荒れるとか荒れないとか
そんなオカルトありえません

312:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 17:52:29 ZNDSJH14
>>311
正論だな

313:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 20:38:37 uwmIv0ef
俺、部キャプ派だけどけんかは嫌いだ。
皆自重して仲良くしよう、お願い。

314:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 22:32:12 Wrz/1tC6
大丈夫だ。このスレは百合と優しさで出来ているから

315:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 22:34:22 OMjQAW58
チー

316:名無しさん@秘密の花園
09/10/31 22:46:17 2ge0QBX2
クビ

317:名無しさん@秘密の花園
09/11/01 01:22:17 w86KEE1y
たぶん分類するなら咲和
だけど京太郎視点+京太郎→咲含む。
このスレ的にどうなんだ?というのはありますがせっかく書いたので投下します
苦手な人はNGするかとばしてください。

アニメ無視な感じです
4レス借ります。
携帯から失礼



318:友達と恋心
09/11/01 01:23:47 w86KEE1y

中学で同じクラスになってからずっと一緒にいたからさ。
あいつの、咲の変化はすごくよくわかる。
麻雀部に入って、和と出会って、あいつは変わった。
俺には見せない表情を和の前ではするようになっていた。

「咲ちゃんはイイ嫁さんだなァ」

なんて言われた時もあったっけ。
俺も信じて疑わなかったよ。
俺たちずっとこうして傍にいて、そのうち付き合って、で、結婚するんじゃないかって。
俺には、いや、俺だけじゃなく、和にだけしか見せない咲の表情。

和に会う前に好きだとか伝えとけばよかったのか?
そう思った時もあった。
だけど、きっとそれでも。
咲は和に会えば、和は咲に会えば、好きになるのは当然だろ。運命だろ。
そうさ、俺は咲の友達だ。ただの友達さ。

「ねぇ、京ちゃん。」
「ん?」
「好きな人、いる?」

いるよ、お前だよ。
心の中ではそう返事して、でも口にした言葉は曖昧で。

「ん~、まぁな。」
「私…。好きな人、できたかも…。」

咲、鈍いお前は俺がお前のこと好きだって気付くわけもないだろうけど。
だけど、俺は分かるよ。好きだから、さ。
お前の好きな人ってのは、和だろ?
安心しな。和もお前のこと好きだから。



319:友達と恋心
09/11/01 01:24:53 w86KEE1y

「その…、お前の好きな奴も、お前のこと好きかもよ。」

俺はばかだな。
そんなこと言わなくてもいいのに。

「え、でも、そんなの…分からないよ。」

でも、俺わかっちゃうんだ。
咲は俺のこと友達以上の感情を持つはずないってさ。

「自信もてよ。咲なら大丈夫だからさ。」

それでもさ、俺は咲に笑っていてほしいんだ。
咲の幸せを願うんだ。

「大丈夫、きっと大丈夫だろ!」

咲は少し笑って、そしてありがとうって言った。
その数日後、咲と和は手を繋いで登校中も下校中も手を繋ぐようになった。
麻雀してないときだと、たまに目が合うと顔を赤らめて微笑み合うようになった。
それを見て、俺はよかったって思うんだ。

「ねぇ、京ちゃん!今度原村さんに何かプレゼントしようと思うんだ。何がいいかなぁ。」
「あれ?和の誕生日もうすぐだっけ?」
「ううん、まだだよ。」

そっか、もうすぐ1カ月なんだな。
俺が頭の中で思った時、咲が声をかけた。

「ねぇ、京ちゃん。」
「ん?」
「き、キスしたこと、ある?」
「…ない。自慢じゃないがない。てか咲、お前中学一緒だったから知ってるだろ。」
「全然モテなかったよね。」



320:友達と恋心
09/11/01 01:25:59 w86KEE1y

ふぅと息をついて呼吸を整え、雑貨屋に向かうために歩き出すと咲が小さく呟いたんだ。

「…キスって、どんな感じなんだろう?」

それで俺はわかってしまう。
こいつら、まだキスもしてないんだ。
そもそもまだお互い名字呼びだしな。

「なぁ、咲。プレゼントってものじゃなくてもいいんじゃないか?」
「え?じゃあ、何をあげればいいの?」
「そりゃ、お前…。いわゆるあれですよ。」
「あれってなに?」
「ぷ、プレゼントはあ・た・し。って。」

半分本気で半分冗談で言ったことだった。
さすがの咲でも意味わかるだろ。

「んで、そうだな…。咲はいつも和のことを“原村さん”って呼ぶから、これを機に“和”って呼んでみるのもいいんじゃないか?」
「そうしたら、原村さん、喜ぶかな?」
「まぁ喜ばないこともないだろ。ものより思い出って言う言葉もあるしな。」
「でも、さすがに“和”はちょっと言いにくいな。」

そうやって咲はちょっとの間、ぶつぶつ呟いた。

と、思ったらいきなり顔をあげて言ったんだ。

「の、和ちゃん。プレゼントは…わ、わたし。」

頬を真っ赤に染めて、目をうるませて、ぐって手に力を込めて。
おいおい、嘘だろ?俺は男でお前は女なんだぞ?

「ど、どうかな?京ちゃん。練習してみたんだけど。」
「完璧すぎるだろ…。」



321:友達と恋心
09/11/01 01:27:26 w86KEE1y

少し目をそらして言った。
横目でちらりと見てみると咲はえへへと笑っている。
まったく、どこまで天然なんだよ。

「じゃあプレゼントはこれでいっか。ありがと、京ちゃん。」
「おう!」

片手をあげていつもみたいに元気に答えた。
そうか、これで咲と和が…。
それを想像しかけてやめた。
ばか、俺。

「なぁ咲!」
「ん?」

なんでこのとき俺は咲に声をかけたんだろう。
なんでこの言葉をかけたんだろう。

「俺達、友達なんだから当たり前だろ!」

たぶん、線を引きたかったんだと思う。
俺と咲は友達でそれ以上じゃないって。
口に出してまで、線を引きたかったんだ。
咲は笑った。

「うん!」
「まぁ、プレゼントの件、頑張れよ。」

そう言って別れた。
咲が見えなくなってから俺は少し泣いたんだ。

それから数日後、咲と和はお互いを名前で呼ぶようになっていた。

いいんだ、咲が幸せなら。
もしお前と和の仲を引き裂こうという奴が出てきたら、俺が全力でおまえらを守るから。

「咲さん」
「和ちゃん。」

だからおまえらはこの先もずっとそうやって笑ってるんだぞ。
俺とおまえらの約束だ。



322:名無しさん@秘密の花園
09/11/01 01:28:19 w86KEE1y
おしまいです

もうしません
ほんとごめんなさい
失礼しました



323:名無しさん@秘密の花園
09/11/01 01:56:48 I3k5nnz3
たしかにスレ的にはアレなのかもしれんけど
こういう切ないの大好きだっ!
犬がタコスに置き換わったら、スレ的にも良かったのかもしれん
なんにしてもGJ!!

324:名無しさん@秘密の花園
09/11/01 02:31:37 NNuGjuxu
何気にまとめwikiが10万突破
出来た時期を考えるとけっこう早いな

325:名無しさん@秘密の花園
09/11/01 02:36:11 rTpCOA6M
>>322
確かに少し残念…>>323を受けて優希視点の優希→和とかでリベンジしてみては?!…と提案してみる

話は良かった

326:名無しさん@秘密の花園
09/11/01 04:13:04 s5RvAklF
>>322
まあ1回きりならそんなに気にすることないんじゃないかな
優希→和でやってみるのは俺もありだと思う

しかしプレゼントはわたしって本当に言ったのかよ
のどかが倒れかねない気がするな

327:名無しさん@秘密の花園
09/11/01 08:05:30 HFp5JhR6
>>326
倒れる(倒される)のは咲

328:名無しさん@秘密の花園
09/11/01 08:08:14 iE7j91gQ
>>322
GJ!京咲が少し好きになった。でも考えてみれば公式は京→和しか無いなw
今まで京咲好きの人はよく頑張ったな

329:名無しさん@秘密の花園
09/11/01 08:55:56 s/KWu4nI
南浦さんとむっきーの続編を書き上げたので投下します 
終盤に夜の対局があるのでご注意下さい 
次からスタートです。

330:「旅行」 1
09/11/01 08:58:39 s/KWu4nI
― 秋

日が暮れるのがすっかり早くなり、朝と夜はとても冷え込むようになった
野山の木々は赤や黄色など、賑やかに染まっていく

そんな中、私は睦月さんと一緒に温泉へとやって来た ――

事の始まりは、睦月さんのお母様が商店街での福引きで二人ペアの旅行券を引き当てたところにある。
ちょうど、私が初めて睦月さんのお宅へお泊りに行った翌日の話だ。
しかし、せっかく当てた商品だというのに二人しか行けない上に、睦月さんのご両親は共働きのため夫婦で行くには時間の都合がつかないらしい。
そこで、その券は睦月さんのもとへやってきたのだ。
今週は土・日・月の三連休があり、私達はその休日を利用して二泊三日の旅行へ行くことに決めた
先週に引き続き、また睦月さんと二人きりで過ごせることになり、私はとても心が弾んでいた。

そして、今日はその一日目。

私達は夕食を食べ終え、座布団に座りお茶をすすっていた。

「お料理、美味しかったね」
「そうですね。竹の子ご飯を食べたのは久しぶりです」

他にも、あのお刺身は明日も食べられるのかな、などと二人で先ほどの秋の味覚について感想を言い合った。
それから少しして、睦月さんが言う。

「じゃあ、温泉に行こうか」
「はい」


 うわ…
脱衣場で、するりと浴衣を脱いだ彼女に思わず見とれてしまった。
白くて綺麗な肌だな…
あ、やっぱり髪を下ろしているのも素敵ですね。

「あの…数絵?」
「はっはい…」
「そんなに見られたら恥ずかしいよ…」
「あ…ごめんなさいっ」

睦月さんに言われてハッと我に返り、私も急いで浴衣を脱いで準備をする

時間も少し遅かったこともあり、浴場には他の旅行客が数人いる程度だった。

331:「旅行」 2
09/11/01 09:02:34 s/KWu4nI
「露天風呂は行く?ちょっと寒そうだけど…」
「そうですね。せっかくなので行きましょうか」

露天風呂へと繋がる扉を開くと、スーッと冷たい風が肌をかすめた。

「うわっ…冷たい…」
「寒いね…早く入ろう」

ちゃぷん…
肩までしっかりとお湯に浸かる。
露天風呂にも最初は何人か人が居たけれど、次第に一人、また一人と上がって行き、やがて私達二人だけとなった。

「はぁー…気持ち良いね」
「はい。とっても…」

お湯の中で腕をさすると、すべすべとした肌触りになっていて心地よかった。

ふと睦月さんの横顔を見ると、やっぱりこの人は美人だなと感心してしまう。
髪を下ろした姿は、いつものポニーテールとはまた違った魅力がある。
少し視線を落とすと、首筋や鎖骨、胸…などに目が行ってしまい、なんだかドキドキしてしまう。

睦月さん、意外と胸が大きいんだな…

「ん…数絵、どうかしたの?顔少し赤いけど、のぼせた?」
「あっ…!いや、違うんです…その、睦月さんって意外と胸が大きいなと思って…」
「えっそうかな…?」
「はい…大きい方だと思いますよ」
「数絵もなかなか大きいと思うけどね」
「そっ…そうでしょうか」

うん、と隣で彼女がうなずく。
同年代の女性の裸はあまり見たことが無かったので、自分の胸が大きい方だなんて…今まで知らなかったです。

「ねえ、もしかして私の裸見て顔が赤くなってたの?」
「え…っ」

少し意地悪な顔をした彼女が言う。

「そっ、そうかもしれないです。なんだか、睦月さんの体を見てると胸がドキドキしてきて…」

「そ、そうなんだっ…」

お互い、顔が赤くなり黙ってしまった。

「そろそろ、上がろっか」
「そうですね…」

部屋に戻ると時間は十時を少し過ぎていた。
旅の疲れもあり、自然にふわぁーっとあくびが出る。
「眠い?」
「ええ。少し…」
「じゃあ、今日はもう寝よっか」
「はい」


332:「旅行」 3
09/11/01 09:03:09 s/KWu4nI
部屋の灯りを消して、二つ並べられた布団に潜り込む。
温泉から上がった後だというのに、布団の中はひんやりと冷たくて、体が少し震えてしまった。

寒い…

私が布団の中で足を曲げたり、延ばしたりと、さわさわ音を立てたものだから、睦月さんが心配そうに話し掛けてきた。

「数絵、どうかしたの?」
「いや…その、なんだか寒くて…」
「なら、こっち来る?」
「え…?」
「寝冷えしたら大変でしょ?」

横を向くと、彼女は優しく微笑んでいた。

「じゃあ…失礼します」

睦月さんの布団に潜り込む。
…暖かい。

「睦月さん、暖かいですね…」
「そう?なら良かった」

腰に手を回されて、優しく抱き締められる。
私はなんだか、とても心地がよくなり無意識のうちに、睦月さんの胸元に顔をすりすりと埋めてしまった。

「んあっ…」
「え…っ?」

突然、普段の彼女の声色からは考えられないような色っぽい声が耳に入り、驚いて顔を上げる

333:「旅行」 4
09/11/01 09:04:08 s/KWu4nI
「…ごめん、ちょっとくすぐったかったから…」
「あっごめんなさい…」

初めて聞く睦月さんの声に、ドキドキしてしまう。

「ねえ、数絵…」
「はい…」
「私のこと、好き?」
「当たり前じゃないですかっ…」
「ありがとう。」

あ…でも、今のじゃ少し言葉が足りなかったかな…

私は勇気を出して自分の気持ちを伝えることにした。
すぅっと息を吸い込む。

「睦月さん!私は…」
「うん?」
「心の底からあなたのことが大好きですよ…」

ああ…言ってしまった。
やはり恥ずかしくなってしまい、睦月さんの浴衣をぎゅっと握り締めた。

「数絵…」
「はいっ…」
「私も、大好きだよ」

腰から腕が解かれて、私の頬に両手が添えられた。

そして、唇を重ねる。

すごく、嬉しい。

でも、私はなぜか一回だけでは物足りなかった。
少し、身を乗り出してこんどは私からキスをしてみる。
その柔らかい感触が、とても気持ち良いい。

「数絵からしてくれるなんて、珍しいね…」
「なんだか、そんな気分なんです…」

さすがにもう、慣れたのでしょうか。
不思議と、今日はいつものような過剰な緊張はしていなかった。
そうだ、今なら…

「あの…睦月さんっ」
「ん、なに?」
「今なら、私…できる気がしますっ…」
「え…できるって…良いの?」
「はい…心の準備ができたような気がするんです」

先週お泊りに行った時は、まだ心の準備も何も出来ていなくて、結局そうゆうことは出来なかった。
でも今なら大丈夫な気がします。

「うん。分かった…ありがとう」

もう一度、唇を重ねた。
それから、睦月さんの手が浴衣の中に潜り込んできて、優しく私の胸を触る。

「ふあ…っ」


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