フレッシュプリキュアで百合2at LESBIAN
フレッシュプリキュアで百合2 - 暇つぶし2ch550:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 01:56:46 wyfku7V+
>>545さん、素晴らしい。正直ちょっと他の追随を許さないレベルだと思う。


でも、勝手か事を言わせて貰うとこのスレには投下せずご自身のサイトにのみ
UPして欲しかった。

正直、あんなに清らかな完成度の高い作品を投下されてしまうと、
他の小ネタやらエロやらを書く職人さんが投下仕辛くなってしまうんじゃないかと。
玉石混合なのがこの手のスレの持ち味だと思うし、色んなテイストの作品が
読みたい自分としては、他に発表の場が無いなら兎も角、
既にサイトを持っているなら、そこにUPのお知らせだけでいいのではないかと
思うんです。


自分はあなたの作品のファンだし、サイトも毎日チェックしてます。
決して荒らしたいわけでまも、叩きたいわけでもないので、
一意見として聞いてもらえたらありがたいです。

551:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 02:08:23 wyfku7V+
ごめん、書き込みしといてなんだけど、荒れそうな内容だよな。
ここだけの事として荒れないでもらえるとありがたい。

心が震えた故の暴走として勘弁して欲しい。


>>545さん、気を悪くしたらすいません。

552:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 02:36:16 yy7cQVqd
>>545
おいおい急にモニターが歪んで文字が読めなくなったぞ、どうしてくれる

553:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 03:29:21 GR0wn84w
まぁ誰でも書き込める場所の方がいいよね。


554:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 04:45:35 iSVPTpBY
うわああぁぁァァーーーシュワシュワァァ~~~・・・



切ない!清らかだ!!
朝っぱらからえれぇもん読んじまった。ラブせつはこれが最終回でいいでしょ・・・・いや良くねえだろ!ああ自分がわからねえ、最高レベルの作品が読めたのに、読みたくなかったとか思ってる。

555:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 04:50:03 iSVPTpBY
作者の方、ごめんなさい。でも、なんなんだこの気持ちは・・・

556:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 05:18:20 a9Eom/2E
波風立てるようなんだが保管庫で殿堂入り作品とか作るのってどうなんだ?
個人の感性にも左右されるし全作品フラットにした方が今後揉めなくて
いい気もするんだが…

557:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 05:54:02 rAMmQgo5
これは…ラブせつ書く人はプレッシャーになるなあ。
ただ>>550さんの言うように玉石混交なのがこのスレの良さだから、職人さんたちには
頑張って欲しいんだけどね。
>>546
投下してください

558:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 05:56:36 vRZvMWZq
起きてスレ開いたらとんでもない作品が。
泣いてしまったよ。

これ見てしまうと他の職人さんが出しにくいと
思うけど、やっぱり読みたいので投下お願いしまつ。



559:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 05:56:39 E0zjg6s7
ちょっと保管庫見てきたけどあれ大丈夫?
ボーカルアルバムとかOP・EDとか、二次創作を知らん人が検索して引っ掛かるようなものを入れるのはよくないんじゃない?
あと>>556に同意見。作品と作品に差をつけるような保管はどうかと思うんだけど

560:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 06:36:51 KUaTofdc
指摘された部分は修正しました。失礼しました。

561:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 07:40:39 MBlD1KPM
ずっとロム専だったけど初めて書き込み。本当に素晴らしい作品が投下されてて、画面が歪んで見えたのは言うまでもない。どう考えても作者さんは神。だが、私も妙にもやもやした気持ちだ…ラブせつにはずっと一緒に居て欲しくて、辛い未来は考えたくないからなのかなー。
だからこそ今はラブラブやギャグめいたラブせつが読みたいぞ!是非職人さんには遠慮せずに投下していただきたい。長文すみませんでした。

562:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 08:10:35 hz3Lj7+R
殿堂入り消えてるんですけど、保管はOKじゃないかと…。
改めて読むとやっぱ凄い作品ですね。

保管庫管理人さん、こっちにも投下お願いします。多分投下しようとしたの、小ネタの001じゃないですか?

電車の中でみんなの雑談や投下を読むのが最近の日課で。ホント良スレだ。馴合い好かない自分も、ここはOKかとさえ思う。

563:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 12:29:28 oUaBT8vY
なんで良い作品が投下されてここまで荒れるんだwww
プレッシャー感じるとかそれは人それぞれじゃないか? 感性は人それぞれなんだし、その人のなかのラブせつだってそれぞれ違うだろう。逆にプレッシャー云々を書き込むから今回の作品を投下してくれた人にも、これから投下してくれる人にもかかっちゃうよ。
確かにここはスレッドで誰もが書き込み自由だけどな、投下するもしないも職人の自由だし感想もそうだけど、雰囲気を悪い方向に持ってくのはどうかと(これもそうかもしれんが…)
殿堂入り云々も差が出るし編集する人独断でそれもおかしい、投下してくれたものを保管してくれた時点でそれは殿堂入りってことになると思うんだが。今まで投下されてきたものは全部素晴らしいもんな、愛溢れててまさに幸せゲットできそうなもんばっかりだった。

色々ぐちゃぐちゃ言ったが俺が言いたいことは一つだ。フレッシュプリキュア愛してる。

564:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 12:34:34 GR0wn84w
563がいいこと言った

565:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 12:40:32 9GI1cCIA
殿堂入りは確かに納得できない人もいるかもね
あと馴れ合いはいいことがほとんどないから極力控えたほうがいいと思う

566:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 13:49:43 yy7cQVqd
いい作品過ぎて波風が立つってのもめずらしいなw
いままでどおりでいいと思う。
>>545も気にしないでいいと思うよ
名誉ある荒れ(?)ってことで

567:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 13:59:10 3O8PYWSF
みなさんの作品素晴らしいです!これからもSS読みたいです!それだけです!

568:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 14:01:11 bAkSOlDf
良い作品が多ければ、スレを覗く住人も増える、
色んな人が集まれば、波風の一つや二つは立つって感じじゃないかな。
別に真っ向から言い争ってたり喧嘩してるわけじゃないし、
これぐらいなら平和でいいよね。

569:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 14:19:32 hz3Lj7+R
>>566のお陰でオールクリアした!
サイトの方も、管理人さんも、職人さんも今後とも投下ヨロシク!。

所で、雑談で申し訳ないがあの魅惑のアンソロが気になって仕方ないんだ。ググッたら発売日はわかったんだが、情報がイマイチで。画像はこれからうぷかね?

570:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 14:21:53 hz3Lj7+R
あ、>>566>>568ね。すまない

571:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 17:32:38 OuGhyc3o
>>569
表紙はこれからじゃないかなー。
調べた限り今までのアンソロも同人誌の再録が多そうだし
今回もそれなのかな

572:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 19:48:19 kEq/U5Xo
>>532
亀ですが、ラブせつのカテゴリーでお願いします。

573:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 20:14:09 NQZ2qzw5
ぶっちゃけSS読んでない俺みたいな奴もいるしな
もっと百合雑談したいぜ

574:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 20:16:37 eSmfAuuy
俺も百合は読むよりだべって妄想する方が好きだw
まあ百合というより、4人が仲良くしてるのが好きなんだが

575:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 20:35:57 NQZ2qzw5
4人で仲良くっていえばボウリング回の前半みたいに
またみんなでショッピング行ってくれないかな
今ならせつなもノリノリで服とか選んで百合百合しほうだいだぜ

576:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 21:31:03 Z/DWOpM9
個人的に百合回というと26話、22話、9話がトップ3。
髪回のラストシーンもよかった。

577:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 21:50:07 eSmfAuuy
あんまりSS読まないけど、まだ本編でもやってないラブ美希祈里の幼馴染み3人の話は読んでみたいと思う
別に3人のなれそめとかじゃなくて、幼馴染みにしかない絆の強さみたいな話が

アニメにけちつけるわけじゃないけど、ラブが露骨にせつなばかりに構ったり
美希と祈里のせつなに対する心情描写無しで話が進んだり
その辺は子供向けアニメなだけあってご都合展開だからねぇ

578:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 22:06:26 16BbOfvv
>>577
まぁそれでも去年のくるみ絡みの不毛振りと比べればだいぶマシとは思うけどね

ときにブッキーんとこの学校は潜在的にネタの宝庫だと思うんだが、もうちょっと描写がないもんかなぁ

579:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 22:11:30 vRZvMWZq
>>576

23話の予告編も歴史に残る百合っぷりだったな


580:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 23:57:17 hz3Lj7+R
>>571
ありがとう。多分買っちゃうかなw

SS投下ゼロ!?祭り終わったのか。俺の短い夏が…orz電車の中での楽しみだったのに…。

581:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 00:13:14 yg+nqULI
こうしてる間に作ってくれてるって私、信じてる!

582:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 00:53:01 0j5OnaFl
どのSSにもラブが溢れてる、それだけでいいじゃない。
職人さん、いつでも投下待ってるぜ!

583: ◆BVjx9JFTno
09/08/26 01:15:38 sbWQydJC
こんばんわ。
空気読まずに投下します。

>>537->>544には衝撃を受けました。
おかげで今日は仕事が手に付かなかった。ミス連発www

個人的に、気持ちに踏ん切りをつけたかったので書きました。
チラ裏かつ百合無しですみません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「近いうちに、素晴らしい幸せが訪れます」

占い館での占いは、正直、でたらめだった。
この世界との接点を持ち、そこから人々を不幸に
していけば良いと考えていた。

でも、心の中で、景色は少しだけ見えていた。

それがラビリンスで培われた能力かどうかは解らない。

今、何が見えるのだろう。自分の未来。

水晶玉をイメージする。

目を閉じ、集中する。

私の、未来...


ぼんやりと、見えてくるものがある。



584: ◆BVjx9JFTno
09/08/26 01:17:20 sbWQydJC


......


日が傾きかかっている。

久しぶりに来た桃園家は、あの頃と全然変わっていない。
もうプリキュアにはなれないが、アカルンが力を残してくれ、
この世界とのつながりを持たせてくれた。

私はラビリンスに戻り、管理国家からの脱却を目指して
建設された学校で、子供に基礎教育をしている。
こちらの世界でいう小学校だ。

管理された子供に自由を教えるのは難しく、
四六時中、色々なことを考え、体験させる必要がある。
あまりの忙しさに、ここ数年、全然帰れていなかった。

今日は久しぶりにみんなの予定が合いそうなので、
家族で集まることになった。
外食にする予定だったが、私の希望で家での食事に
してもらった。

玄関を開けると、お母さんは最高の言葉で出迎えてくれた。

「おかえり、せつなちゃん」
「ただいま、お母さん」

「ラブは?」
「まだレッスンみたい。もうすぐ戻ると思うわ。」



585: ◆BVjx9JFTno
09/08/26 01:18:16 sbWQydJC


テレビでは夕方の情報番組が流れている。

「さ、それでは中継と明日のお天気です。」
「今日は蒼乃美希ちゃんです。美希ちゃーん」

「はーい。今日は朝から快晴でとっても気持ちよかったですね。
 明日もこの天気、続きそうですよ。それでは、全国の予報です!」

美希はファッションショーで見せる艶やかな表情と、
お菓子のCMで見せるふくれっ面で人気を博し、
テレビへの出演が増えているらしい。


「久しぶりなんだからゆっくりしてて。お茶入れるから」
「せっかくだからこき使ってください、お母さん」

取り込んだ洗濯物をたたみながら、テレビに目をやる。

番組内でトリニティのツアー情報が流れている。
画面の端にラブが見えた。

ラブは本格的にミユキさんに師事し、バックダンサーではあるが
トリニティのツアーに帯同している。
きりっとメイクした顔は凛々しく、目には力があふれている。
ツアー前はレッスンがいっそう厳しくなるらしい。



586: ◆BVjx9JFTno
09/08/26 01:19:18 sbWQydJC

タンスに洗濯物をしまい、2階に上がる。

私の部屋のプレートはまだ掛かったまま。

そっと開ける。

私が居た時のまま、その空間はあった。
こまめに掃除してくれているようで、
埃はまったく積もっていない。


ベッドに腰掛ける。

ラブと、ここで色んな話をした。
ちょっと、喧嘩もした。
すぐ、仲直りした。

一緒に笑い、一緒に泣いて、成長した。



587: ◆BVjx9JFTno
09/08/26 01:21:04 sbWQydJC


玄関で人の気配がする。

「ただいまー」
「おかえり。もうせつなちゃん帰って来てるわよ」

「ホント?せつなー!もう帰ってきてるの!」

テンションが上がった声は変わっていない。
私もたまらずに階段を駆け降りる。

バタッと、人が倒れる音がした。
玄関に出ると、ラブがうつぶせで倒れていた。
「みゅうぅぅぅぅぅぅ」
あわてて靴を脱ごうとして、自分で躓いたらしい。

「ラブったら、そんなにあわてなくてもいいじゃない」
お母さんが苦笑する。

顔を上げたラブは、髪を下ろしたせいか大人っぽく見えた。
私を見て、目が倍以上になったように見えた。

体当たりするように抱き合う。

「せつなー!久しぶりだね!」
「ラブ!会いたかった!」

ラブの声。
ラブの匂い。
ラブのぬくもり。

あの頃と、変わらない。

「ただいまー。おっ!せつなちゃんおかえり!」
追いかけるようにお父さんも帰ってきた。



588: ◆BVjx9JFTno
09/08/26 01:23:52 sbWQydJC


久しぶりに家族で囲む夕ごはんは、
時間を忘れるようだった。

「やっぱり食卓に4人揃うといいわねぇ」
「もっとたくさん帰ってきてよ、せつなちゃん」
「椅子が1つ空いてると寂しいよね」

家族のぬくもりは、私を救ってくれたあの時のまま。
私の中で息づいている、幸せ。

つい飲み過ぎたお父さんは、早々に寝てしまった。
3人で後片付けを行い、居間で話していると
玄関のベルが鳴った。
ドアを開けると、美希とブッキーが居た。

「美希!ブッキー!」
つい叫び、2人に抱きついてから、
近所迷惑をちょっと後悔した。

「せつなが来るって聞いたんで、飛んで来ちゃった」
「私も、今日はお勉強お休みにしちゃった」

美希はさっきテレビで見た格好のまま。
ブッキーは大学の勉強で視力が落ちたのか、
眼鏡をかけている。

4人が集まると話題が尽きることはなく、
明け方までおしゃべりが続いた。
みんな大人になったが、笑顔はあの時のまま。

「みんなで、また踊ってみようよ!」
「そりゃあラブは現役だからいいけど、私達ついていけないよ」
「ブッキー、あたしとこっそり昨日練習したじゃん」

何だかんだ言う割に、みんな乗り気だ。
自然に、あの時の順番で並ぶ。

「じゃあ、美希たん、ブッキー、せつな、いくよ!」

......



589: ◆BVjx9JFTno
09/08/26 01:24:24 sbWQydJC


目を開けた。

はっきりと解った。

「近いうちに、素晴らしい幸せが訪れます」

あの時ラブに言った言葉は、
そのまま、私の願いだった。

その時はまったく気づかなかったが、
私の心の奥底に見えていた景色は、

ラブの笑顔。
その笑顔と共に笑う、私の笑顔。


今、見えた映像も、私の願い。

みんながそれぞれの夢に向かって歩く。
でも、みんなとの絆は、変わらない。

いつまでも、変わらない。
ずっと、一緒。



590: ◆BVjx9JFTno
09/08/26 01:26:38 sbWQydJC
以上です。

タイトルは「Stay Together」です。

空気読まずにごめん。
みんな気にせず何でも投下してくだちい。



591:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 01:32:37 bHaMkCRl
GJです!

592:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 02:20:14 GcWjVgIg
眼鏡ブッキー想像しただけでご飯三杯イケる気がする

593:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 02:25:48 Kkv7/+6Z
>>590

なんか心がほんのりあったかくなったです。
ありがとう。

594:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 02:52:55 RuE03d6A
>>590
GJ!!!
なんか、せつない&あまずっぺー・・・
プール上がりの夏の午後って感じの気分になった。

595:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 03:17:46 Kkv7/+6Z
>>341です。思いついて一気に書きました。

【小さなお願い】

「ブッキー?偶然ね」
自分を呼ぶ聞き慣れた声に、驚きながら振り返ると、そこにはやはり彼女がいた。
「ほんとね、すっごい偶然。せつなちゃん、今帰り?」
ドキドキしながら彼女の顔を見る。神様、ありがとう!わたし信じてた。この偶然に感謝します。
「うん、ラブは委員の仕事で居残りなの」
彼女の口から幼なじみ兼恋仇の名前が出るだけで、いつもながら胸がチクチク痛む。
「ブッキーは何してたの?」
小首を少しだけ傾げて、微笑むせつな。んもう、可愛すぎるなぁ。くらくらしそうだよ。
そうだ!あの事、今なら言えるかも。言うなら今しかないよね。
「あ、あの、あのね、せつなちゃん、わたしお願いがあるの」
「お願い?いったいなぁに?私に出来ることなら精一杯がんばるわ」
「あのね、こんなこと言うの恥ずかしいんだけど…」
やだ、なんだか顔が熱い…。
「わたしのこと、下の名前で呼んでほしいの。いのりって、呼び捨てで。ダメかなぁ?」
とうとう言ってしまった。
彼女は少し驚いているみたい。
「え…構わないけど、どうして?なぜ今までラブや美希には言わなかったの?」
そう聞かれると思ってた。でもその答えはもう決めてある。
「ラブちゃんや美希たんにはどう呼ばれててもいいの。でも…せつなちゃんには、せつなちゃんだけにはいのりって呼んでほしいから」
言えた。ブッキーじゃない、いのりの本当の気持ち。
クスッ。彼女が少し笑った。やっぱり子供じみた理由で可笑しいのかな。言わなければよかった…。
「わかったわ。でも、ひとつだけ条件がある」
「条件?それって、なに?呼んでもらえるなら何でもする!」
「私のことも呼び捨てにすること。せつなって」
「え!?ハ、ハイ!」
嬉しい。今わたしすっごく幸せだよ。
「よろしく、いのり」
「よろしく、せつな」
夕闇に彼女の笑顔があふれて、涙で見えなくなった。


596:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 03:22:29 Kkv7/+6Z
読み返したら、行間狭くて読みにくいorz
すみません

597:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 04:15:21 E1sK1JQk
なんか皆さん、ありがとうございます。
頂いたレスの一つ一つ、何度も読み返してしまいます。

自分が書いたものに反応がある。それだけで、本当に幸せなのです。


というわけで、本日も投下させて頂きます。
『Departures, now』

598: ◆ZU7CldKWo2
09/08/26 04:19:08 E1sK1JQk
 お気に入りの洋服。タオルにパジャマ。ラブと一緒に買った小物入れに、美希
からもらったリップと、祈里おすすめのハンドクリームを入れて。
 必要なものと大切なものを全て詰め込んで、せつなはトランクの蓋を閉める。
そして、もう一度、彼女は辺りを見渡す。
 綺麗に片付けられた、自分の部屋。

 忘れ物は、何もない。


     Departures, now


「それじゃ」

 玄関を出て、せつなは振り向いた。見送りに出てきているのは、あゆみに圭太郎の二人。

「気をつけてね」
「はい」

 圭太郎の言葉に、彼女はゆっくりと頷く。まだ何かを言い足りないけれど、何
を言っていいのかわからない。そんな様子を見せる彼に、

「もう、お父さんたら」

 苦笑しながらあゆみは、せつなに白の帽子を手渡す。

「はい、これ。今日は暑いから」
「――ありがとう、お母さん」

 つばの広い、リボンのついた帽子。きっと、彼女が今日、白のワンピースを選
んで行くことを知っていて、それに合わせて買ってくれたのだろう。
 ちょこん、とせつなは帽子を頭に乗せる。偶然にもそれは、かつて彼女がイー
スと呼ばれていた頃と同じ姿。
 けれどその目の輝きと、顔に浮かぶ微笑みは、イースだった頃には無かったもの。

「うん、可愛い。とってもよく似合ってるわよー」
「やだ、お母さんったら」

 母の言葉に、頬を赤く染める姿も、また。

 せつなはふと、見上げる。
 ちょうど一年前に、この家に招かれ、桃園家の一員となった。あれから色々あ
って、少しずつ本当の家族になっていって。
 楽しかったな。感慨にふけりながら、せつなは目を細める。
 それでも、今日が旅立ちの日であることには、変わりない。
 持てるものは全て、トランクに詰め込んだ。次に戻ってくる時には、思い出を
たくさん詰め込んでこよう。

599: ◆ZU7CldKWo2
09/08/26 04:21:30 E1sK1JQk
「お母さん、ラブは?」

 いよいよ出かけようというのに、姿を現さない彼女の姿に、せつなはあゆみに
問いかける。が、彼女は困った顔をして、二階へと続く階段を見上げるだけ。

「あの子、よっぽどせつなちゃんが行くのが嫌なのね」
「――そっか」

 思わず目を伏せるせつなに、圭太郎が言う。

「気にしなくていいんだよ。せつなちゃんが決めたことなんだから」
「お父さん......」
「そうそう。後は私達に任せて、ね?」
「お母さん......」

 暖かく見つめてくる二人に、せつなはゆっくり、はい、と頷く。
 本当に、素敵なお父さん、お母さん。彼女は、感謝の念を新たにする。
 私、この家に来れて、良かった。

「そろそろ、時間じゃないのかい」
「あ......」

 腕時計を見て、せつなは驚きの声を上げる。確かに、思っていたよりも約束の
時間に迫っていて。

「ホント。もう行かないと」
「あの、お母さん。ラブに伝えておいて欲しいことが」
「あら、何?」

 少し迷った後、彼女は、本当に伝えたいことを見つけて口にする。

「行ってきます、って」
「うん。わかったわ」

 ニッコリと微笑むあゆみに思いを託し、ペコリと頭を下げたせつなが彼女達に
背を向けたその時。

 ダダダダッ

 階段を駆け下りてくる、足音。そのまま廊下を走り抜け、こちらに向かってくる。
 そして。

「せつなぁっ!!」

 何も履かずに裸足で飛び出してきたラブが、振り向いたせつなに飛びついてきた。

600: ◆ZU7CldKWo2
09/08/26 04:23:34 E1sK1JQk
「せつな、せつな、せつなぁっ!!」
「もう、ラブったら」

 最初は驚いていた彼女の顔にも、すぐに苦笑が溢れる。ギュゥ、っと苦しいほ
どに抱きしめられながらも、せつなはされるがままになっていた。
 その耳元で、ラブが言う。

「行かないでよ、せつな」
「ラブ、無茶言わないの」

 答えたのは、あゆみ。だがぶんぶんと首を振るラブに、困った子ね、と言いな
がら溜息をつく。

「だったら――アタシも一緒に行く!!」
「それは――出来ないわ」

 一緒に行きたい気持ちは、せつなも同じだった。けれど、それは絶対に出来ない。
だから口にする。拒絶の言葉を。
 ラブも、それはわかっていたのだろう。反発はせず、ただギュッと、より一層
強く、彼女の細い体を抱きしめるだけ。

「もう、大げさよ、ラブ。二度と会えなくなるわけじゃないんだから」

 その両の肩に手を置いて、せつなはラブの体をゆっくりと押しやる。抵抗せず
に離れた彼女の、俯き加減の顔を覗いて、せつなは笑った。

「すぐにまた会えるわ。そうでしょ?」
「......うん」

 頷くラブは、だが、泣きそうだ。
 もう、しょうがないな。思いながらせつなは、今度は自分から彼女を抱きしめる。

「大丈夫。私の帰ってくる場所はここよ。そうでしょ?」

 そう言った彼女の背中に、おずおずとラブは手を回し、そして。
 二人の少女は、抱きしめ合う。別離を惜しむように、優しく、強く。

601: ◆ZU7CldKWo2
09/08/26 04:26:00 E1sK1JQk
「そろそろ、行かないと」

 どれほどの間、そうしていただろう。せつなはそう言って、ラブから身を離す。

「あ......」

 遠ざかるぬくもりに思わずラブは吐息を漏らす。だが彼女は、トランクに手を
やって、それを持ち、そして。

「それじゃ。行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「本当に、気をつけていくんだよ」

 あゆみと圭太郎、二人の言葉に頷いて笑った後、せつなはじっとラブを見つめる。

「ラブ」

 肩に置かれた、あゆみの手。うつむいていたラブは、ゆっくりと顔を上げる。

「行ってらっしゃい、せつな......!!」

 とびっきりの笑顔で彼女は、そう言った。笑え、笑え、アタシ。涙なんか、
見せちゃいけない――!!

「ええ。行ってきます、ラブ」

 応えるようにニッコリと笑顔を見せたせつなが、背を向ける。
 そして彼女は、一度も背を向けることなく。
 旅立って行ったのだった。



「もう、ラブったら。裸足でこんなとこまで出てきて」

 そう言うあゆみの胸に、ラブは顔を埋め、思いの丈を口にする。感情のままに、
心の赴くままに。

「アタシも、行きたかった――一緒に行きたかった!!」

 まるで子供みたいね。思いながら、あゆみはそっと娘の頭を撫でた。

 
 そして――

602: ◆ZU7CldKWo2
09/08/26 04:28:03 E1sK1JQk
「あなたが悪いんでしょ!! テストで赤点とって、明日から補修なんだから!!」
「だってだって!! 赤点取ったら林間学校に行けないなんて知らなかったんだもん!!」
「知らなかったからって、赤点取っていいわけないでしょ!!」
「すっごく楽しみだったのに!! 高原で三日間、天体観測しながら過ごす林間学校!!
せつなと一緒に行くの、ずっとずっと楽しみにしてたのに!!」
「だから普段からちゃんと勉強しなさいって、あれだけ言ってたでしょ!!」
「せつなだけ行くなんてぇぇぇ」
「自業自得でしょ。せつなちゃんはちゃんと、普段からお勉強してたもの。頑張
ったせつなちゃんには、林間学校で楽しむ権利があるんです!!」
「あぁぁぁぁぁぁっ。アタシのバカ、バカ、バカ!! アタシってば、FUKOぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」





 その夜。

「ラブ。起きて、ラブ」
「ん......ん? せつな!?」
「しっ。お母さん達が起きちゃう」
「ど、どうして、ここに?」
「アカルンで、戻ってきたの。またすぐに、帰らないといけないけど......」
「そうなんだ。でも、なんで?」
「もう――ラブに会いたかったからに決まってるでしょ」
「――クッハー!! せつな、大好きっ!! 幸せ、ゲットだよっ!!」

603: ◆ZU7CldKWo2
09/08/26 04:32:25 E1sK1JQk
このネタをやるならこのタイミングしかないと思ってやった。
後悔はしていない。


というわけで感動もヘチマもないかもしれませんが。
広~い心で受け入れて頂けると嬉しい限りです。

宜しくお願いいたします。

604:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 05:25:36 b7/OYbPj
おどかさないでくれ・・・また最終回かと・・・赤点の下りでズコーなったわ!!

605:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 06:10:33 sbWQydJC
もう耐性がついた。
何が来ても大丈夫。

ちょっと泣きそうになりながら読んだ。


>>602でフイタwww



606:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 06:29:14 w6UIDl/2
投下キター!ゆっくり電車の中で読むよ。昨日はやきもきしちゃったぜw

607:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 07:41:08 E6bLytvm
確かにこのネタは今しかないw
読み返しても無理がないのがやるなぁ

608:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 07:48:05 cq/Y936s
また最終話チックなお話が来て涙腺崩壊しかけていたのに、オチで盛大に吹いた。うっかり流してしまった涙を返してくれw
本編でマジにありそうな展開だよな、って想像出来て楽しかった。
>>597さん、是非また素敵な作品を投下して下さい!


こうやって毎日職人さん達の作品を読んで、感情を揺さ振られるのはホントに気持ちがいい。

609:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 08:16:28 wAF9IHnE
あwかwてwんwwwwwww
見事に引っかかりました。
GJ!

610:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 12:34:03 XmKjB9AE
ぶははは、噴いた。
ほんとに最終回でやりかねないわなフレプリ、シャレがわかってネタ好きだから。

611:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 12:36:23 xU96R+AA
>>603
吹いたwこの流れでこの展開はおもしろすぐるw

以下、空気読まずに投下します。
タイトルは「妄想事後 せつなの独白」
エロなし。でいいはず。暗めです。

612:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 12:37:54 xU96R+AA
人々を不幸にし、FUKOのゲージを溜め、インフィニティを見つけ出す。
それがどういうことなのか、その結果が何をもたらすのか。
その過程で、何が失われていくのか。
イースだった頃の私は、そんなことを考えたことはなかった。


私がラッキーをナキワメーケに変えた時、たけし君はどんな気持ちになったのだろうか。
自分の飼い犬の変わり果てた姿を見て。人々を襲う姿を見て。
彼は何を感じたのだろうか。
そんな事、わざわざ聞かなくてもわかる。

愛犬を奪われた悲しみ、奪った者への怒り、そして、何も出来ない自分への絶望-

あの頃の私は、
ただ、彼が不幸になればFUKOのゲージが溜まる。メビウス様のお役に立てる。
そんな風にしか、考えられなかった。

自分が彼の立場だったらどうだろう。
もし、もしもラブがラッキーと同じ目にあったとしたら。
今の私は耐えられるだろうか。

車を踏み潰し、道行く人々を襲い始めるラブ。
そんなラブに対して、何も出来ない無力な自分。

きっと、あの時のたけし君と同じ気持ちになるだろう。
何故ラブが、どうして、誰がこんな事を。
悲しみと怒りと絶望で、目の前が真っ暗になるに違いない。

イースだった頃の私は、そんな事を考えた事はなかった。そんな当たり前の事さえも。

そんな私を変えてくれたのは、ラブ。私の、最愛の人。
気が付けば、いつもラブの事ばかり考えていた。


613:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 12:38:37 xU96R+AA

私はラブに依存している。
私に幸せを教えてくれたラブに。私に幸せを、与えてくれるラブに。

本当は、いけない事だってわかっている。ラブの為にはならないという事も。
でも。それでも。

私はラブの傍にいたい。ラブに傍にいて欲しい。

ごめん。ごめんねラブ。
わかっていても、私はラブから離れられない。離れたくない。
ラブは私の全てなの。ラブがいないと、私は私でいられなくなる。

だから。神様、お願いです。
もう贅沢は言いません。他には何もいりません。だから-

ラブを、不幸にしないでください。

私はラブから離れられません。それでも、ラブを、不幸にしないでください。
私が傍にいても、ラブが笑っていられるように。
ラブが、辛い思いをしなくても済むように。
どうか、お願いです。ラブを、ラブの笑顔を、守って下さい。
どうか、どうか。

-お願い、します。


614:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 12:39:15 xU96R+AA
「せつな、せつな。」
「あ、なあにラブ?」
「せつな、どうしたの?考え事?」
「ん、ちょっとね。昔の事を思い出していたの。」
「昔のこと?」
「そう、イースだった頃の自分の事を、ね。」
「せつな・・・。」
「・・・後悔してもしかたがない事かもしれないけど、やっぱり、忘れることは出来ないから。」

そう、私はあの時の自分を、イースが犯した罪を、一生忘れてはいけない。
みんなの笑顔を奪ったこと。それは、東せつなが背負っていかなければならない罪。
・・・それなのに。

「そっか・・・。でもね、せつな。」
そういってラブは私に微笑む。
「あたしは、イースだった頃のせつなも好きだよ!ぜぇんぶひっくるめてせつなの一部だもんね!」

胸が熱くなる。彼女は・・・。
「ラブ・・・ありがとう。」

彼女は言ってくれた。私の罪も、私の過去も、自分が全て受け止めると。
そうして、私と一緒に同じ道を歩んで行きたい、と。
私の罪は重い。二人とも押し潰されて、暗闇の中を彷徨う事になるかもしれない。
そう、心配する私に、彼女は。

(せつなと一緒なら、真っ暗な中でもきっと楽しいよ!その代わり、手、離しちゃダメだよ?)
そう、笑ってくれたのだ。

「お礼を言われるようなことじゃないってば。ね、それよりさぁ~。」
「え?な、なに?」
「せつなさんが全然構ってくれないから、桃園さんちのラブさんが拗ねちゃったみたいなんですけど!」

時計を見ると、ちょうど八時を回ったところだった。
ラブと一緒にテレビを見ながら、いつの間にか物思いに耽ってしまっていたようだ。

615:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 12:39:56 xU96R+AA
「ふふ、ごめんねラブ。」
「ん。許してあげちゃう!その代わりぃ~。」
「きゃっ!ラ、ラブ!」
「熟れたてフレッシュ、ゲットだよ! ね?せつな、いいでしょ?ねぇねぇ~。」
「もう・・・。続きは、その、お部屋で、ね?」
「え~もう我慢できないよぅ。いっただっきま~す!」
「あ!だ、だめ!こんなところで・・・ラ、ラブ!」
「大丈夫だって!今日はお父さんもお母さんも遅いって言ってたし!ね?」
「あぁ・・・ラブ。だめ、だめよ・・・こんなところ、誰かに見られたら・・・。」
「誰も見てないよ。こんなにやらしいせつなの姿を見られるのは、あたしだけなんだから。」
「・・・ばか。」

彼女は私を導く光。私を暖かく照らす太陽。
ラブ、私の手を、離さないで。
もう二度と、私が道に迷わないように。
私が私でいられるように・・・傍に、いて。

「・・・あ!ラブ、そ、そこは!」


「・・・こらアカンわ。シフォンには見せられへん。ピーチはん、パッションはん、もうちょい自重したってぇな・・・。」
そう言いつつも空気を読んだタルトは、シフォンを抱えてそっと二階に移動するのであった。

616:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 12:40:29 xU96R+AA
以上で投下終了です。
本編でもずっとラブの家に住んで欲しいところですが・・・。
最終回はせつない展開になりそうですね。

617:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 15:43:16 ekpb6oYL
一期はせつない系で二期はハッピー系だろ
今までの傾向でいくと


618:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 18:26:22 xqkWF2Kd
二期があったら新キャラの登場で既存キャラは空気の可能性も高いからねぇ
フレプリはせつなパッション売るためのアニメって感じだけど、二期は新キャラにスポット当てるだろうし
一期で綺麗に締めくくられた方が、せつな好きには幸せだと思うね

619:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 20:47:30 JRjJQL9M
お前らそんな寂しいこと言うなよ…だから大人っていやッ!

620:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 21:39:43 YOpE2ukA
>>618
ももちゃんが出てもおんぷちゃんは別に空気化しなかったわけで

621:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 22:11:12 xqkWF2Kd
>>620
どれみなんかとは比較にならないほどの販促アニメ、プリキュアにその前例は当てはまらないと思うけど
どうしても玩具売らないといけないから、深夜アニメ何かよりよほど大人の事情が絡みまくる

622:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 22:16:06 f5FxOz6m
いや待てよ、深夜枠に移動というのもいろんなイミでいいんじゃないかと

623:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 23:05:35 w6UIDl/2
職人さんたち、投下ありがとうございました!今日は昼投下もあったのか…。携帯チェックしとけば良かった…。

一時はどうなる事かと思ったけど、みんながいてくれて良かったよ。また日曜まで頑張れる。

>>622
いよいよ百合キュアになるんですね、わかります

624:名無しさん@秘密の花園
09/08/26 23:15:38 yg+nqULI
まぁ大友は悲観的に考えといて、実は幸福終焉を期待してるからなw
二期も確定っぽいが、仲間追加でコケたら4人もコケそうで怖い。

二期も百合イメージを思わせる展開にしてくれれば嬉しいが。
メインは小友だから過度な期待も禁物かー

625:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 00:12:25 r4rXVhQe
こんばんは、保管屋です。昨日までの保管完了してあります。
投下された職人さんたち、確認して見て下さい。補足修正もします。

>>596
改行調整してみました。いかがでしょうか?

626:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 00:36:18 wYY+Fx5N
>>625
完璧。SS増えたねほんと。得にラブせつの数が凄いわ。

保管庫の管理人さんだよね?今日は投下あるのかしら…。

627:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 04:46:01 21Z/B92D
今日は投下なし、か

まあ昨日までの宴がすごすぎたんだが

628:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 05:01:34 g49KzB0E
今日は人いないのね。最近昼夜問わず投下あったから来てみたが。
しかしいつも思うんだが、職人の書くスピードは何なんだ?
ほぼ毎日投下してる人とか凄すぎだろ。

629:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 05:59:38 FkUMHZMB
夏休み終わったからねぇ
学生が多かったんだと思うよ

630:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 06:38:46 MX1AU8Dq
今日は保管庫のを読み返すとするか

631:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 06:42:52 r4rXVhQe
>>626
またイイ作品が届けられるよう修行中です。投下ないと寂しいですね。


632:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 07:52:24 wYY+Fx5N
>>631
まさか保管庫まで出来ると思ってなかったからwいつもご苦労様。

さて、日曜はナース姿のブッキー降臨するらしいが。百合展開来たら飯何杯イケるかw

633:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 08:30:53 jIlrapFS
>>481-482が保管庫になかったみたいなんで追加したよ

634:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 11:10:17 GCSpabXC
このスレのおかげでせつなが荷造りしてるだけで泣けるようになった

635:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 14:21:14 soweafMQ
…常々思うんだが、イースとしてのせつなは一回死んでしまったじゃないか。それでアカルンの力のおかげで生き返れたんだよな?
それって寿命を書き換えたってことなのか、ラビリンスから管理されてた寿命事態をなくして今はせつな自身の寿命として生きてるってことなのか。
そこらへんがわからん。俺の考えとしてはせつなの寿命はとっくに、イースとして死んだときに尽きていて今はアカルンがいるから生きていられてる体…とか。
だからいつか、プリキュアの力がなくなった時にせつなは死んじゃうんじゃないかとか思うんだが…これって少数派ですかね?

636:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 14:43:02 VkWlwQ2a
せつなスレで聞け

637:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 15:46:49 GvK1bObt
>>635
その類の話しは確かにせつなスレでやってたなー。
なんか結論が出たような、奇蹟が(ryAA(ryだったような。
アカルンの力でラビリンスの管理下を離れた→せつなとしての寿命になった。
とかって思ってるけどね。

638:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 18:09:58 M4OKL4h0
【片恋】

いつ頃からだろう、彼女を目で追うようになったのは。

ふんわりした髪、柔和な笑顔、優しい話し方。
どれもがとても可愛らしくて、
意識しなくても気づけば目が追っている。

大好き。面と向かって言ったら、どんな顔するだろ。
ビックリするかな。それとも…。
いつか、言える日が来るのかな。


「なあに?美希ちゃん、わたしの顔に何かついてる?」
祈里に話しかけられ、あたしは少しうろたえた。

ここは、薫ちゃんのドーナツショップ。
あたしと祈里は、学校帰りにここで落ち合い、
お茶をするのが最近の日課になっていた。

「なんでもナイナイ!ちょっとボーっとしちゃっただけ。アハハ…」
あたしは半分無理やりに笑う。
貴女に見とれてたなんて、言えるわけないじゃない。

「…そか」
ん?
祈里の表情が少し曇った気がしたのは、
あたしの気のせいだろうか?

「ねぇ、これ覚えてる?」
気を取り直すようにそう言いながら、祈里があたしに見せたのは、
黄色い犬のキーホルダー。古いものなのだろうか。
全体的に黒っぽくなってしまっている。

「うわ、可愛いけど結構使い込んでるね。年代物って感じ。
 そのキーホルダーがどうかしたの?」

「…やっぱり覚えてないんだ」

そうつぶやく祈里の目にみるみるうちに涙が浮かび、
泣き顔を見せまいとするように、鞄で顔を隠しながら祈里が立ち上がる。

「ま、待って!ブッキー何で泣いてるの?あたし何か悪いことした?」

あたしは祈里の手首をつかんで、逃がさないようにしながら聞く。

「…ううん、美希ちゃんは何にも悪くない。
 悪いのはわたしなの。ごめん、今日はもう帰るね」

あたしの手を振りほどくと、祈里は逃げるように去っていく。
後にひとり残されたあたし。
何なのよ、一体!
さっぱり訳がわからなかった。

「ケンカは良くないよ~。悪いことは言わないからすぐ謝んな。
 夫婦喧嘩は犬も喰わない、なーんつってね、グハ!」

呆然とするあたしに、薫ちゃんが声をかける。
でも、そんなからかいに応じられるほどの余裕は、今のあたしにはなかった。

639:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 18:12:32 M4OKL4h0

   *******

やっぱり忘れちゃったんだ…。

家に向かって走りながら、美希ちゃんの戸惑った顔を思い浮かべる。

そうだよね、だってまだ小さいときのことだもん。
いくらわたしが大事に持ってるからって、
だからって美希ちゃんにも覚えてろだなんて、
そんな権利、わたしにはない。

家に着き、自分の部屋に入る。
ベッドに腰かけて、そのまま横になる。
その姿勢から、出窓に飾った写真立てが視界に入った。
まだ幼い3人の少女たち。
そして最近撮ったばかりの4人の少女たちの姿。

大好きな蒼い髪の少女が目に入る。
いつも大人っぽくて、優しくて、頼りになって…。
いつだって良い友達だった。一番の親友だった。
なのに、なんでこんなに悲しいの?

「もう親友なんて嫌だよ…」

640:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 18:13:17 M4OKL4h0

「あたしもよ」

その声に驚いてベッドから跳ね起きる。

「美希ちゃん?どうして…」

「あったりまえでしょ。あたしのせいで親友が泣いてるのよ。
 そりゃ追っかけて、勝手知ったる部屋まで押しかけるわよ」

美希ちゃんの顔が怒っている。

「はい、これ、忘れ物」

美希ちゃんが差し出したのは、黄色い犬のキーホルダー。

「あたしがあげた誕生日プレゼントでしょ。
 大事にしないと承知しないんだからね!」

「忘れてたクセに…」
笑おうと思うけど、泣き笑いになってしまう。

「思い出したのよ、あなたを追っかけて走りながら。
 今まで大切にしてくれてありがとう。
 それと、もうひとつ言わなきゃいけない事があって。
 あたし…今日から親友やめるね」

衝撃を受け、目の前が真っ暗になる。
親友なんていやって言ったのは、確かにわたしだけど、
でも親友じゃなくなったら、今までみたいには会えなくなる。
それだけはイヤ。でも心とは逆に、勝手に言葉が口からこぼれる。

「やっぱり、わたしのこと嫌いになっちゃったんだね。
 わかってた。最近の美希ちゃん、心ここにあらずって感じで、
 何考えてるか全然分からなくて。
 好きな人…できたんでしょ?」


641:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 18:14:23 M4OKL4h0

美希ちゃんの顔はまだ怒ってる。

「そうよ、できたわよ。貴女に紹介するわ。この子よ」

美希ちゃんはそう言うと、鏡を持ってわたしに見せた。

鏡の中には、キョトンとした表情の女の子が、
涙で赤くなった瞳でわたしを見つめている。

「美希ちゃんが好きな人って…」

「そうよ、そそっかしくて、おっちょこちょいで、おっとりしてて、
 ほっとけないの。貴女も知ってるでしょ、山吹祈里って子よ」

涙がこぼれた。嬉しかった。思わず美希ちゃんに抱きついてしまった。
コロンがふわっと香った。なんていい香り。
美希ちゃんの胸に顔をうずめる。

「わたしも美希ちゃんが好き」
「嬉しい…、祈里って呼んでいい?」
「いいに決まってるじゃない」

わたしは瞳を閉じた。
くちびるに、柔らかな感触が降りてくる。
夢に見た美希ちゃんとのくちづけ。

「もうあたしたち今日から親友じゃないからね…」
新しい日々が始まる予感で、あたしの胸ははりさけそうだった。


642:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 18:19:21 M4OKL4h0
>>595です。なんか色々なカップルで書いてみて、
いちばんしっくり北感じ。

保管庫にもいれていただき、手直しまで…
ありがとうございました!

643:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 18:46:44 jOyr0NbR
今日は投下無しかと思ってたww
美希ブキ大好物だからかなりぐっときたわ…
GJ!

644:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 21:36:22 r4rXVhQe
>>633
申し訳ないです!保管ありがとうございました。まさか自分の
SSを忘れるとはwFUKOだ・・・

>>642
美希ブギいいですよね~。修行中で作ってる中の一つに美希ブギ
あったんで、やられた!って感じです。親友やめるってトコ、
補足ポイントにしてみました。保管庫で確認して見て下さい。

645:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 22:02:15 wYY+Fx5N
>>642
久し振りの組み合わせで新鮮だった!美希たん勝手に部屋特攻とかw
やっぱ四人幸せがイイねぇ。勿論GJ!

646:名無しさん@秘密の花園
09/08/27 22:38:26 Vw6FWEeb
>>642GJ!
美希ブギいいねっ
だがとりあえず書き込む前にメール欄にsageをいれよう

647:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 06:12:26 z6IkFqkn
皆さんすみません。
昨日美希×祈里書いた者です。

いつもは携帯から書き込んでたので
自然にSAGEれてたんですけど、
SS書くために初めてパソから書き込みして
SAGE忘れてしまいました。
次回から気をつけます。
ごめんなさい。

あと、感想ありがとうございました。
嬉しかったです。

648:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 07:42:43 sxYj8UuU
貴重な投下だね。大事に読ませてもらいます。ありがと職人。

SS作ろうとチャレンジしてみたいんだが、注意する事とかってあります?

649:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 08:04:20 fBlGwZk9
あまりにもキャラや世界観壊さなければ、あとは愛あるのみだ
一応、アニメ見直して一人称や語尾といったキャラ毎の特徴をしっかり捉えておくといいよ
あと長くなりすぎてスレに投下するのがためらわれたら、blogやテキストファイルであげるとか
がんばってくれ

650:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 10:41:39 sxYj8UuU
>>649
ありがと!一人称まで気にしないといけないんだ。
ラブ・ブッキー・せつなは私、美希はアタシだと思ったけど。

職人て凄いんだな~

651:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 10:47:53 lAc4x6lI
意外と間違えやすいけどラブも「あたし」

652:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 11:09:57 DT3xqbJ8
キャラの性格はギャグならある程度は崩壊していても気にならないけど、一人称や呼称、口調が違うとさすがにね。

653:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 12:28:18 sxYj8UuU
ラブは「あたし」なんだ。テレビ見てたのに気付かなかった。みんなはなかよしとか読んでるからわかるのか?

とりあえず保管庫見ながらチャレンジしてみる。アドバイスありがと!

654:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 12:48:43 JzTWTqmN
保管庫のSSも結構間違ってたりキャラが別人なやつも多いから
>>649の言うように自分でアニメを見直して洗い出したほうがいいと思う
あとはまるパが貴重な資料になるからオススメ

655:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 19:25:25 wx6sKSw1
美希たん関連ってあんま見ないなと思って書き始めたら
>>638に先越されててふいた。GJ!
でもせっかくなんで投下。口調とか間違ってたらごめんね。

656:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 19:27:37 wx6sKSw1
もう見て見ぬふりはできない。
最近何をしていても浮かぶのは彼女の顔ばかりで。
・・・・・・美希ちゃん。会いたいよ。


祈里がこのもやもやに気がついたのは、いつだっただろうか。
気がつくと、ただ一人だけを目で追っていた。
幼馴染で、小さいころからずっと一緒だった。
臆病な自分と違って自信に満ちていてかっこいい美希は祈里の憧れだったのだ。
でも、大きくなって、完璧だと信じていた彼女が、弱さを隠して、
影で努力していることを知って、彼女もまた自分と同じ一人の女の子なのだと思った。
そして、憧れはいつしか違う感情に変わっていた。


美希が他の人といるのを見ると、
胸の辺りが締め付けられるようで、息が苦しくなる。
わたしだけを見てほしい。その笑顔をわたしだけのものにしたい。
その声でわたしを呼んで、その手でわたしに触れてほしい。
こんなこと自分でもばかげていると思う。
しかし、とめどなくあふれる感情を止める術を、祈里は知らなかった。

657:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 19:29:37 wx6sKSw1
これは恋なのだろうか。
違う。恋なんて甘い言葉は似合わない。
こんなどす黒い感情には。

わたし、いやな子だな。
なんでこうも自分勝手なのだろう。


祈里は暗闇の中で助けを求めてもがく。
助けて。誰か助けて。お願い。
叫ぶ。彼女の名前を何度も、何度も。
でもとどかない。いくらこの手を伸ばしても。
自分のどろりとした感情の波に足をとられて身動きがとれない。飲み込まれる。

「美希ちゃん・・・」


美希のことを考えているうちにいつの間にか眠っていたらしい。
祈里が目を覚ますと、全身にぐっしょりと汗をかいていた。
最近こんな夢ばかりを見ている。
胸が苦しい。こんなに苦しいなら、いっそこんな想いなんて捨ててしまいたい。
シャワーを浴びたら、いやな汗と一緒にこんな気持ちもどこかへ流れてくれるだろうか。
辺りはしんと静まり返っていて、自分のため息がやたら大きく聞こえた。
祈里は自嘲するように薄く笑うと、部屋を出た。

658:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 19:31:42 wx6sKSw1
次の日から、祈里は美希を避けた。
目が合いそうになれば視線を逸らし、
話しかけられそうなときには、美希から離れてラブやせつなに話しかけた。
4人で歩くときも、なるべく隣に行かないようにした。
不自然過ぎないようにたまに美希と話すこともあったが、
祈里は決して美希の目を見なかった。
しかし、諦めようとすればするほど想いは強くなっていく。
ダンスの練習をしているときも、ドーナツを食べているときも、
勉強をしているときも、頭の中は美希のことでいっぱいだった。
辛かった。でも、我慢し続ければ、いつかこの気持ちが消えて、
美希とまた友達として普通に接することができるようになるはずだと祈里は自分に言い聞かせた。


そんな日が何日か続いた。
ダンスレッスンが終わり、帰ろうとした祈里の腕を誰かがつかんだ。
その力の強さにわずかに顔をしかめつつ振り返ると、美希が立っていた。
とっさに目を伏せる。
一瞬見えた美希の顔には怒りや苛立ちの他に、悲しみや寂しさがにじんでいた。


「美希ちゃん・・・?どうしたの?」
「どうしたもこうしたもないわよ!・・・なんであたしのこと、避けるの?
 あたしブッキーに何か悪いことした?」

659:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 19:34:04 wx6sKSw1
美希の気迫に押されて、祈里は思わず顔を上げる。
今にも泣き出しそうな顔でこちらを見つめる美希が目に入り、ずきりと心が痛んだ。

「避けてないわ」

動揺を悟られないように素っ気なく答えると、祈里は美希の手を振り払った。

「ごまかさないで!今だってそうやって・・・目も合わせてくれないじゃない!
 あたしのこと嫌いになったならそう言ってよ!」

嫌い。
その言葉に、かっと頭に血が上る。

「そんなことない!」

こんなに、こんなにも好きなのに。


「・・・っじゃあどうして!」
「好きだから!美希ちゃんのことが・・・好き、だから」

言ってしまった。目の前が真っ白になる。
きっと拒絶される。
涙があふれた。もういやだ。このまま消えてしまいたい。
祈里の歪んだ視界に呆然としている美希が映った。

「え?ブッキー、それって・・・」
「美希ちゃんのことを考えるだけで胸が苦しいの。
 だから、忘れようとして、それで・・・」

次から次へと涙が祈里の頬を伝う。
その涙を美希の指がそっと拭った。

660:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 19:37:30 wx6sKSw1
「ばか」
ひどく優しい声だった。
さっきとは違って、ゆるりと腕を引かれる。
導かれるように足を踏み出すと、美希の腕が祈里の背中に回される。
祈里は、美希の体がかすかに震えていることに気がついた。
泣いているのだろうか。
何か言おうと口を開くが、言葉が見つからない。
ふいに、ふわりと美希からいい香りがして、くらくらする。


「本当に、辛かったんだから。ブッキーに嫌われたんじゃないかって。
 ・・・こわかった。ブッキーがあたしから離れていくのが。
 変よね、最近それで全然調子でなくて」


あたし、ブッキーがいないと完璧じゃないみたい。
そう言うと、美希は祈里から体を離す。


なにが起こっているのかわからなかった。
祈里はぼんやりと美希を見つめる。
もう、ここまで言って何でわかんないのよ、と
呆れたような美希の声が聞こえる。
その声もずっと遠くから響いてくるようだ。


「あたしも、ブッキーが、祈里が好き」
祈里の目に真剣な顔の美希が映る。
考えるより先にまた涙があふれた。
ブッキーは泣き虫ね。
そうからかうように笑うと、美希は再び祈里を抱き寄せた。
おずおずと祈里も美希の背に手を回す。

661:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 19:40:35 wx6sKSw1
「・・・あのね、もう一回祈里って呼んでくれない?」
「言われなくてもこれから何度だって呼んであげるわよ、祈里」

頬が熱くなる。
名前を呼ばれるだけで、こんなに嬉しいなんて。
ようやく実感がわいてきて、祈里はぎゅっと腕に力を込める。

「ありがとう・・・美希」

最後の部分は蚊の鳴くようなか細い声だったが、美希にはしっかり聞こえた。
その響きはあまりにも甘くて、美希の心がとろけるように疼く。
からだの芯が熱い。囁かれた耳が火照る。
同じく真っ赤になっているだろう顔を見られたくなくて、
美希は抱きしめる力を強めた。
腕の中で身じろぎした祈里から苦しいよ、と声が上がる。
慌てて祈里を解放して、短く謝罪する。
そんな美希がかわいくて、祈里は、もう、と少し怒った顔をしてみせた。

一瞬の間があって、2人同時に噴き出す。
なんでもないことがすごく楽しい。
幸せってこういうことなのかな。ふとそんなことを思った。

662:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 19:43:33 wx6sKSw1
次の日、またダンスレッスンがあった。
祈里と美希は待ち合わせて一緒に公園へと向かっていた。
たわいない会話がたまらなく嬉しい。
話しているうちに、無意識のうちに2人の距離が近づいていたらしい。
指先が触れ合った。思わず手を引っ込める。
互いの反応を見て、顔を見合わせて笑う。
祈里の手がそろりと差し出された。
その手に躊躇いがちに美希が手を重ねようとする。
ごくり、と喉が鳴った。


「おーい!美希たーん!ブッキー!」

突然声をかけられて、びくっと全身がはねた。
振り返ると、手を振りながら走ってくるラブと、
その後ろをすこし遅れてついてくるせつなの姿があった。
美希と祈里は、あまりのタイミングに曖昧な笑みを浮かべながら手を振り返す。

「仲直りしたんだ!よかったー。
 最近2人がぎくしゃくしてるみたいだったから心配してたんだよー。ね、せつな」
「ええ。本当によかったわ」

気づかれていたのか。祈里は苦笑する。
無理もない。今考えると、あからさますぎた。

「心配かけてごめんなさい。でも、もう大丈夫だから」

祈里が言うと、美希も隣でうなずく。


「よーし!じゃあ早く行こう!」

ラブの元気な声につられて、みんなが走り出す。
走りながら、祈里が美希の袖を引っ張った。
美希だけに聞こえるように囁く。

「おあずけだね」

いたずらっぽく笑うその瞳から目が離せない。
敵わないわね。
美希の呟きは流れる風景とともに、あっという間に後ろへ消えた。

663:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 20:35:37 nLN/o76g
萌えた、GJ

664:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 22:18:44 3hASg4N8
>>655
自分から身を引いていくブッキーが物凄く切なくて・・・。
美希たんがキレた時の緊張感、伝わりました。
好きと言う感情って色々あるんだなって思いました。

保管しますので、宜しければ題名を。補足もあれば足しますよー

665:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 23:03:33 GoEup31J
美希ブキGJ! このカップルも言っていいなぁ。
なかなか進展しなさそうな、もどかしい甘酸っぱさが漂う…。


自分もラブせつの小ネタを。ちょいエロかも。


666:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 23:09:58 fBlGwZk9
百合というより友情話書いてるけど、恋愛やエロを極力絡めないように気をつけると意外に難しいもんだな

667:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 23:10:03 GoEup31J
彼女の髪は夜の色。顔を埋めるととても優しい匂いがする。


「ラブの髪はお日様みたいね。」
ラブの波打つ様な癖のある明るい色の髪を、せつなは愛し気に撫でる。
「ラブは太陽みたい。」
もう一度、せつなは言う。ラブはくすぐったそうに身をすくめ、
ぴったりと、どんな小さな隙間も無ないくらいに肌を寄せる。


柔らかな少女の肌はひとつに蕩けあってしまわないのが不思議なくらいだ。
そして、溶け合えないもどかしさを埋めるように飽きること無くお互いを貪り合う。


「ねぇ、せつな…。名前…呼んでよ……。」

「…ラブ。」

「…もう一度…。」

「ラブ……?」

「もう一度……。」

「ラブ…。………もう、何なの?」


少し苦笑いしながらもせつなは何度も繰り返し呼んでくれる。


「…せつなの声、大好き。」

せつなの声は、少し低くて、柔らかい。その声で甘く名前を呼ばれると、
幸せで全身が蕩けそうになる。



「ねぇ、好きって言って…。」

「…好きよ。…ラブ。」

「ホントに…?」

「大好き。」

「えへへへ…。あたしも…」


大好き、大好き、大好き…。
ラブは少し身を起こし、せつなの唇をついばむ。
軽く、浅く、だんだん深く。
吐息までひとつになるように。



太陽が安らぐのは、たったひとつの闇の中。
また明日も周りを照らせるよう、太陽は自分だけの夜に包まれて眠りにつく。

668:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 23:11:31 GoEup31J
書き忘れた。
タイトルは『声』、でお願いします。

669:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 23:36:20 3hASg4N8
2作品保管しました。職人さん、確認お願いします。
>>665
綺麗な表現ですね。勉強になります。声をポイントにしたとこ、
見事です。小ネタじゃなく、ラブせつに振り分けしましたよー

>>666
難しいですよね。エロは押さえられるけど、友情=百合な展開が
イメージとして根付いちゃってるもんで・・・。
文章構成ってホント難しい・・・。

670:名無しさん@秘密の花園
09/08/28 23:48:19 sxYj8UuU
お、投下あざっす。自分も作ろうとチャレンジしてるから参考になるよ!

○パ読んでしゃべり方とかはイメージ出来た。教えてくれた人ありがとね

671:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 13:32:26 ewPqgNKw
自重してたんだけど、誰もいないみたいなんで長いの置いていきますね。
保管庫の、黒い声、走り出した日、雨上がりの約束は・…読んでた方がいい…かな。
自分書いたやつは全部繋がっちゃってるんで。すいません……。

タイトルは、『壊れてしまった光景』です。

672:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 13:35:18 ewPqgNKw

 今でもはっきりと覚えている。

 わたしが暗い闇の中で泣いていた時、差し伸べられた彼女の手。

 その手は、とても温かくて。

 きっと彼女の心も、こんな風に温かいんだろうなって、思った。

 それからも、ずっと。
 
 何度も泣きそうになったり、挫けそうになったわたしを、彼女はその手で助けてくれた。

 彼女とわたしのいる光景は、いつまでも変わらないと思っていたのに。

 ――でも、それは、あっけなく壊れてしまった。


 ――彼女はもう、わたしに手を差し伸べてはくれないだろう。




673:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 13:36:57 ewPqgNKw
                    1

「…カオルちゃん!この新作のドーナツ、ちょー美味しいよ!!何個でも食べれちゃいそう!!」
「ラブ、口の周りにクリームいっぱいついてるわよ…ほら、ハンカチ」
「……全く…子供じゃないんだから。もうちょっと落ち着いて食べられないの?」
「ふふ、ラブちゃんよっぽどお腹空いてたのね」

 夏の日の夕方。
 ダンスレッスンの終ったわたし達4人は、カオルちゃんのドーナツ屋さんで、恒例になりつつある、練習
後のおやつパーティをしていた。……程々にしないと、太っちゃうかな……。

 それはいつもの光景。
 わたしたちの、ずっと繰り返されてきた変わらない日常。

「あれ?美希たん、ドーナツ食べないで、何飲んでんの??」
「……パインジュースよ。あたしはモデルだから、ラブみたいに食べ過ぎたりしないの」
「へえ、美味しそうね。ねえ美希、一口だけ飲ませてくれない?」
「―――…ヤだ」

 せつなちゃんの言葉に一瞬動きを止めたあと、それを断わり、美希ちゃんはまたストローでパインジュー
スを啜る。珍しいな。いつもなら飲ませてあげそうなものなのに。
 ……わたしだったら、喜んで飲ませてあげるのにな…そ、それにか、間接キスって事になるし…。

「……それはそうと、やっぱりその帽子、似合ってるじゃない、せつな」

 そう言うと、美希ちゃんは左隣に座ってるせつなちゃんのかぶっている帽子へ目をやる。

「ええ、素敵なものをありがとう、美希」

 大きな赤いリボンのついた、広つば帽子。
 この間の大雨の日、無理を言って美希ちゃんに付き合ってもらって、買ってきたもの。
 せつなちゃんがクローバー、そしてプリキュアに入った記念、って彼女にプレゼントしたものだけど、実際
かぶっている所を見るのは今日が初めて。
 ……思った通り、すごく良く似合ってる。
 わたしは内心、自分が選んで贈ったものをせつなちゃんが身に付けてくれたことが嬉しくて仕方なかった。
 ほんの少しでも、彼女の傍に近づけた気がして。
 いつでもせつなちゃんの近くに、わたしが存在しているような気がして。

674:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 13:38:27 ewPqgNKw

「……お礼はあたしより、ブッキーに言ってあげて。あたしは選ぶのに付き合っただけだし。…大体、元はと
言えば、プレゼント贈るって言い出したのもブッキーだしね」

 美希ちゃんは素っ気なくも見える感じで言う。…今日の美希ちゃん、何かいつもと違う感じ…?それとも
せつなちゃんにお礼を言われて照れてるだけなのかしら…?

「そうだったの…ブッキー、本当にありがとう…」
「そ、そんな、お礼なんて……でもその帽子、きっと似合うって、わたし信じてた……」

 真っ直ぐにわたしを見つめて、真剣な顔でお礼を言うせつなちゃん。
 わたしは嬉しいような、くすぐったいような、そんな感じで彼女の顔から目線を外して。
 でも…喜んでもらえたみたいで、良かった……。
 何か贈り物をしたわたし自身が、せつなちゃんに幸せな気持ちをプレゼントされたみたい……。


「――ホントありがとうね、ブッキー!せつなにこんな素敵なプレゼントしてくれて!!」


 一瞬、わたしの思考が止まる。
 
 ――なんで、ラブちゃんが、ありがとうを、言うの?

 そんなわたしの気持ちに気付く訳も無く、ラブちゃんは明るい声で続ける。

「良く似合ってるよ、せつな~!なんかお嬢様っぽくて、イメージぴったり!」
「ふふ、ラブ、そんなに褒めると逆に嘘っぽいわよ」
「ウソじゃないよ!まあせつなは何でも似合うけどね。なんたってデキが違うもん!」
「……もう、あんまり言われると恥ずかしいわよ……」
「へへ…でもホントのホントに、せつなは何着ても、何つけても可愛くて、あたしの自慢だよ!」

 わたしの中の幸せな気持ちはかき消えていた。
 心の中に、代わりに嫌な思いが霧のように広がっていく。

 ――わたしのプレゼントは、ラブちゃんにあげた訳じゃないのよ……?
 
 ――あなたの恋人を着飾らせて、あなたを満足させる為じゃないのよ……?
 
 ――どうしていつもせつなちゃんとわたしの間に入ってくるの……?
 
 ――わたしのささやかな幸せすら、あなたは許してはくれないの……?

 ――わたしは……

「……ちょっと!惚気るんなら家に帰ってからにしてくれない?……正直、一緒にいるこっちが一番恥かしい
んだけど!」

 美希ちゃんが、呆れたような少し強めな口調で、二人をたしなめる様に言った。

「タハハ…ごめ~ん、美希たん。そんなに怒んないで~」
「ご、ごめんなさい、美希……」
「……ったく。少しは周りの目を気にしたらどうなの?」

 そう言って、美希ちゃんはチラッとわたしの方を見る。
 ――え?
 なんだろう、今の……。
 もしかして、わたし、嫌な思いが顔に出てたかしら……?

675:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 13:43:21 ewPqgNKw

                    *

「……とにかく、今後そういった行為は慎むように!いいわね、二人とも!」
「は~い……」
「精一杯、慎むわ……」

 二人の反省した様子に、さすがに美希ちゃんも言い過ぎたと思ったのか、気まずそうにジュースを飲む。
 ラブちゃんとせつなちゃんも、無言でドーナツを口に運んで。
 わたしはといえば、さっきまでの嫌な霧が、美希ちゃんの言葉のおかげか、ちょっと薄れてきた事にホッ
としていた。

(ありがとう、美希ちゃん……)

 心の中でお礼を言う。危なくまた自己嫌悪になるところだった。
 せつなちゃんと一緒の場所に立っている事で満足しようって決心したのに。
 
 ……まだわたしは完全に想いを振り切れてはいない。
 ……せつなちゃんにプレゼントなんてしたのがその証拠だ。

(……しっかりしなきゃ)
 
 自分に言い聞かせる。このままじゃわたしだけじゃなく、ラブちゃんまで嫌いになっちゃいそうだから。
 わたしの勝手な片思いで親友まで失うなんて、最低だ…。
 自分のせいで、この光景を壊したくない……。

 そう考えながらラブちゃんとせつなちゃんへと目を向ける。

「…あれ?せつなちゃん、口にドーナツついてるよ?」

 上品に食べる彼女には珍しく、せつなちゃんの唇にドーナツの欠片がついている。

「あ、や、やだ……ちょっとボーっとしてたから……。ラブ、さっきのハンカチ……」
「――いいよ。動かないで、せつな」

 そう言ってラブちゃんはせつなちゃんの顔に自分の顔を近づける。

 一瞬の出来事で、わたしは目を逸らす事も出来ず――。



 せつなちゃんとラブちゃん。
 
 チュッ

 という軽い音と共に。
 
 二人の、唇が重なった。



 あまりの衝撃に、わたしはただ茫然とする事しかできなかった。


676:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 13:44:22 ewPqgNKw

 顔が、離れた。
 せつなちゃんもラブちゃんの行動にビックリしたらしく、目を見開いたままで。
 その顔が、どんどん赤くなっていく。

「……これで取れたよ。せつな味のドーナツ、GETだね!」

 ラブちゃんは屈託なく言うと、唇をペロッと舐めた。

「ラ、ラ、ラブ!人前ではやめろって美希にさっき言われたばっかりじゃない!」
「あ!そうだった!!ご、ゴメンね、美希たん!」

 よっぽど動揺したのか、彼女らしくなく慌てた様子のせつなちゃん。
 さすがのラブちゃんも、怒られたばかりなのを思い出したのか、焦って美希ちゃんに謝る。

「…………」

 かなり怒っているのか、美希ちゃんは無言。

 わたしは、衝撃が去って行くのと同時に、どんどん悲しみが溢れてきて。
 このままだと、それが瞳から流れ出してしまいそう。
 そう思って、それを見られたくなくて、俯いた。 

 ギュッ。

(え……?)

 俯いたわたしの右手を、美希ちゃんの左手が握り締める。
 まるで、わたしの涙の栓を止めようとするように。
 美希ちゃんは相変わらず、無言のまま。
 わたしはそんな彼女を、伺うように上目遣いで見た。

「…………」

 美希ちゃんは何も答えず、少し遠い目をして、ジュースを口に運ぶ。

 チュッ

 っという音と共に、彼女はストローに軽く口をつけた。



677:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 13:46:31 ewPqgNKw
                    2

「まったく、ラブにも困ったものだわ……ブッキーからも何か言ってあげればいいのよ。あの子、あたしが
何か言ったところで、もう慣れちゃってて効きやしないんだから」

 こんな事言っている美希ちゃんの顔も、わたしにとって昔からの光景の一つ。

 練習からの帰り道。わたしは「新しい香水作ったから、感想くれない?」っていう美希ちゃんの誘いに応
じて、彼女の部屋へ遊びに来ていた。……一人でいたら、さっきのラブちゃん達のキスシーンを思い出して、
また暗い気分になってしまいそうだったし……。
 それに……。

「ま…まあラブちゃんだって悪気があってやってる訳じゃないんだし……」
「悪気が無かったら許されるってものじゃないの!天真爛漫だろうと、純粋無垢だろうと、周りに迷惑な行為
をしてる時点で反省……ううん、猛省すべきなのよ」

 子供の頃から、ラブちゃんが何かする度に、美希ちゃんはこうやって呆れたような、それでいてちょっと
諦めたような口調でわたしに言うのだ。もっとも、わたしは彼女の言うようにラブちゃんに意見した事など
一度もなく……大抵、今みたいに少し困った顔で微笑むことしか出来ないのだけれど。

「……あ、折角来てくれたのにゴメンね、ブッキー。今飲み物持って来るから」

 そう言って美希ちゃんは部屋を出て行った。
 わたしは小さな溜息をついて、心の中で尋ねる。

(……どうしてさっき、わたしの手を握ってくれたの?)

 わたしの心の中を読んだかのように、握られた手。
 泣き出しそうだったわたしを、支えてくれた、手。
 小さな時からずっと変わらない、差し伸べられた、あの温もり。
 
 その答えを聞きたいのもあって、わたしはここに来たのだけれど。
 美希ちゃんの勢いに押されて、何も言えなかった。
 いや――それだけじゃない。
 怖かった、んだ。

(美希ちゃんは、知ってるの?……わたしの、せつなちゃんへの想いを……)

 それを確認するのが、怖い。
 自分の邪な恋に、彼女は気付いているのだろうか。
 女の子に、しかも親友の恋人に対する哀れで、報われない恋に。
 だとしたら、きっと、美希ちゃんに嫌われてしまう――。
 ……もしかしたら、もう軽蔑されているかも……。

(それは…それだけは、嫌だ……) 

 わたしの中の美希ちゃんは、気高くて、真面目で、潔癖な女の子のイメージで。
 わたしの歪な恋など、許してはくれそうではない。
 だから……たった一言が、聞けなかった。
 彼女を失いたくないから。
 隣に彼女のいる光景を、失いたくないから。


678:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 13:47:24 ewPqgNKw
(美希ちゃんが、いなくなっちゃう……)

 その想像が恐ろしくて、思わず自分の肩を抱く。

(聞けないよね……やっぱり……)

 今度は深く、大きな溜息をわたしはついた。

「お待たせ、ブッキー。紅茶で良かったわよね?……どうかしたの?」

 美希ちゃんが飲み物の乗ったお盆をもって戻ってきた。

「あ、う、ううん!な、何でもないの!気にしないで!」
「……本当?なんかこの世の終わりみたいな顔してたけど……?」

 慌てて首を振るわたしを怪訝そうに見る美希ちゃん。

「……何かあるなら相談してよね。……友達、でしょ?」

 彼女は少し淋しそうに言う。
 その言葉と表情が、わたしの胸を締め付ける。
 でも……。

「わたしなら大丈夫だから……。そ、それより美希ちゃんの新作の香水に興味あるんだけど!?」

 ……わざとらしく話題を変える。
 今なら……答えが聞けたかもしれないのに。
 臆病な子だ、わたし……。

「…そう――分かったわ。ちょっと待ってね」

 美希ちゃんはお盆をテーブルに置くと、ドレッサーの引出しから、黄色い小ビンを取り出した。
 そのままベッドに腰を下ろす。

「こっち来て、ブッキ―。つけてあげる」

 言われるがまま、彼女の隣に座る。
 彼女はわたしの左手を取ると、手首に香水を、シュッ、っと軽く吹き付けた。

「……試してみて」

 わたしは手首を顔に近付け、その香りを吸う。

 不思議な香りだった。

 甘酸っぱくて、ほろ苦くて、なぜか胸が切なくなる……。

「……変わった香り……。美希ちゃん、これ何か効果とかあるの?」
「効果……は特に無いと思うわ。ただテーマを決めて作っただけだし……」
「テーマ?」

 聞き返そうと顔を上げると、美希ちゃんの顔がすぐそばにあった。
 彼女は、少し驚いているわたしの両手首を握ると、そのまま押しかかってくる。

(――あれ?)

 そう思ったときには、わたしは彼女に覆い被さられるように、ベッドの上に倒れていた。


679:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 13:50:22 ewPqgNKw
                    *

 視界の中には美希ちゃんしかいなくなっていた。
 澄んだ青い瞳。すっと高く整った鼻梁。そして、綺麗な…唇。
 それらがスローモーションのように近付いてきて。
  
 羽毛が舞い落ちるように、柔らかく、静かに。

 

 唇同士が、触れた。



 一瞬、わたしの頭の中が真っ白になった。
 何が起きているのか、まるで理解できない。
 その行為を拒否する、という当たり前の選択すら思いつかなくて。
 ただ甘んじて彼女の唇を受け入れていた。

 そんなわたしの無抵抗ぶりを、了承の印とでも思ったのだろうか。
 最初はただ、わたしの存在を確認するだけみたいに、軽かった彼女の唇の感触が、変わる。
 ただがむしゃらに、わたしの唇に押し付けてくるものへと。
 
 それは、奪う、って言葉が相応しいように、強引で粗暴な、圧力。
 そのうちに、それにも飽き足らなくなったのか、彼女の舌が、わたしの内へと侵入してきた。
 それすらも、放心してるわたしに拒む事は出来ず。 
 
 わたしの口内を、手探りでなぞるように、彼女の舌が這い回る。
 
 やがて、わたしの舌を見つけたそれは、歓喜したかのように絡み付いてきて。
 その動きは、まるで暗闇ではぐれた恋人に、やっと会えたかのよう。
 激しくて、一方的な抱擁を、わたし達の舌はずっと交わし続ける。

 
 まるで軟体動物の交尾みたい……。


 わたしは、ただそんな事を考えていた。
 

 
 どれくらいたったのだろう。
 視界の中から、美希ちゃんが消えていた。
 ただ荒い息遣いだけが、わたしの左耳から聞こえている。

 ちょっと、重いな。美希ちゃんって軽いイメージだったんだけど。あ、でも、わたしより身長あるし、こ
んなものなのかしら……。それとも――もしかして太った?
 そうだとしたら、やっぱりカオルちゃんのドーナツ屋さんに行き過ぎなのがいけないと思うのよ。美希
ちゃん、ドーナツ食べなくてもジュース飲むから…。それだって、結構カロリーあるわけだし……。
 モデルさんなんだから、そういうとこも気をつけなくちゃ。烏龍茶とか、そういうのにした方がいいんじゃ
ないかしら?余計なお世話って怒られちゃうかもしれないけど。

 明日、言ってあげよう。
 
 明日。

 変わることの無い光景の中で。



680:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 13:52:19 ewPqgNKw
「……喉、渇いちゃったね……。ブッキー、紅茶、飲む?」

 美希ちゃんは疲れたような口調でそう言うと、わたしの上から身を起こした。
 
 
 ショックで飛んでいた思考が戻ってきた。
 

「………………」 
 
 声が、出ない。
 身体が、美希ちゃんがどいたのに、まだ重さを感じている。
 彼女の方へ顔を向ける事すら出来なくて、わたしは、ただ天井だけを見つめていた。
 そこで初めて頬に違和感を感じる。
 濡れてるんだ……知らないうちに泣いてたみたい。

 今までの事が、現実なんだって、徐々に認識する。
 悪い夢でも見ていたと思っていたかったけど。
 ――だって、こんな事あり得る筈が筈が無いから。

 美希ちゃんがわたしにこんな事をするなんて、あっていい筈がないから。

 わたしの心の光景の中で、子供の頃の美希ちゃんが微笑んでいる。
 その彼女なら、わたしに手を差し伸べて、ここから起こしてくれる筈。
 何よりも、私の事を心配して、大切にしてくれる筈。

 でも、そう思う一方で、分かってもいた。
 その光景は、もう砕かれてしまったんだと。
 もう修復する事の出来ないくらい、粉々に。
 他ならない、彼女自身の手によって。

 
 新しい涙が、頬を伝い、流れる。


 わたしの心になど気付かないように、彼女は続ける。

「その香水ね、良かったらあげるわ。元々その為に作ったものだから。……せつなにプレゼントあげたのに、
ブッキーは何も貰ってないでしょ。……だから、あたしからの、プレゼント」

 美希ちゃんは淋しそうに、ちょっとだけ笑った。
 
 違うよ、美希ちゃん。
 わたしが聞きたかったのはそんな言葉じゃない。
 わたしが聞きたかったのは――。
 


681:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 14:12:19 ewPqgNKw
「――『片思い』がテーマなのよ。それ」


 わたしは何も言わず、ノロノロとベッドから起き上がった。
 そのまま、置いてあった鞄を持ち、ノブを回し、部屋のドアを開ける。
 その間、わたしが彼女を振り向く事も、彼女がわたしに何か言う事も無かった。
 後ろ手にドアを閉める。
 なぜか見ていないのに、美希ちゃんも今のわたしと同じ表情をしてる事が分かった。
 悲しい、顔を。


「……やっぱり、知ってたんだね。美希ちゃん」

 
 わたしはそう呟いて、重い足を引き摺るように、彼女の家を後にした。


682:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 14:14:14 ewPqgNKw
                    3 
 
 あれはいつの事だったろう。
 ……確か、小学校に入ったばかりの事だったと思う。

 近所の子供達と遊んでいて、草むらの陰にあった小さな―って言っても子供には充分大きくて深い―穴
に落ちてしまった事があった。
 這い上がろうとしても、湿った土のせいで滑るばかり。助けを呼んでも誰も来てくれなくて。
 泣き疲れて、幼いながらに、わたしはここで死んじゃうのかな、って思った。
 そのまま、日も落ちて辺りも暗くなりかけた頃。
 彼女の――美希ちゃんの声が聞こえた。

「ブッキ―、そこにいるの!?」
「……み、ミキちゃん!」
「ちょっとまってて!」

 少しして、古びたロープがわたしの前に下ろされる。

「それつかんで、のぼってきて!!ここまできたら、あたしがひっぱってあげる!」

 わたしは必死に、そのロープを掴んでよじ登った。
 そして、わたしの前に差し伸べられた、彼女の手。
 それに縋って、わたしは穴から出た。

「……だいじょうぶ!?どこもケガしてない!?」

 わたしに声をかける美希ちゃん。
 その姿を見たとき、逆にわたしの方が不安になった。

「ミキちゃんこそ……ボロボロじゃない!!」

 おそらくわたしを探してる最中、転んだり、引っ掛けたりしたのだろう。
 いつもオシャレだった彼女の服はあちこち破けてボロボロで。
 身体も、いたる所擦り傷や切り傷だらけ。
 とても、将来モデルになりたい、って夢を持っている子の姿ではなかった。
 
 それでも彼女は、わたしの手を握り締めたまま言ったのだ。

「いつもとかわらないよ!あたし、かんぺき!!」

 ……いつもそうだった。
 わたしが不安そうにしていたり、怯えたりすると彼女はいつもそう言って、笑う。

「でも、ち、でてるし……おようふくだって……」
「こんなのいたくないよ!ふくだってっこれしかないわけじゃないし!」
「でも……」

 なおも心配するわたしを、彼女はギュッっと抱き締めた。

「ブッキ―がぶじなら、いいの!それがあたしの、かんぺきなんだから!」

 そんな彼女の目は、わたしを探している間ずっと泣いてたのか、真っ赤に腫れてて。
 わたしはそれを見て、また泣き出した。


683:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 14:15:35 ewPqgNKw

「なかないでよ、ブッキー……。」
「……だって……」
「あたし、ブッキーのわらってるかおがみたくて、がんばったんだから。だからわらって。これからだって
ブッキーがなきそうになったら、いつだってたすけてあげる。だから……」

 わたしは涙を拭うと、心配そうな彼女に笑いかけた。

「……うん!わたし、しんじてる!」


 その約束は、破られる事は無かった。

 彼女は、それからも、いつもわたしを守ってくれていた。
 辛いときや悲しいとき、真っ先に駆けつけて手を差し伸べてくれるのは美希ちゃんだった。
 幼い頃からわたしにとって、彼女は何より頼れる存在であり、憧れであり、親友だったのに。

                    *

「あら、お帰りなさい、祈里。早かったのね。美希ちゃんのとこに寄って来るんじゃなかったの?」
「……ただいま……お互い練習で疲れてたから、帰ってきちゃった……」

 涙の跡をお母さんに見られないように、と顔を伏せたまま、わたしは自分の部屋へと入った。
 背中でドアを閉め、崩れ落ちそうになる足を懸命に動かし、明かりも点けずベッドへと飛び込む。

「…………」

 頭の中がグルグルと回っている。
 美希ちゃんはどうしてわたしの想いを知っていたのか?
 なぜそれでも彼女はいつも通りに振舞っていたのか?
 わたしを嫌いになっていないのか?
 ……疑問ばかりだ。なんの答えも浮かばない。

 (それに――)

 
 どうして、わたしに、キス、したの?

 
 一番大きくて厄介な疑問。
 それを考えた時、何故だか可笑しくなった。
 キス、なんて言葉が今まで思い浮かばなかった事に。
 それは――あまりにもかけ離れすぎていたから、だと思う。
 わたしの中での、キス、ってイメージと。
 した事は無いけど、それはもっと甘くて、ロマンチックで、素敵なものだと思っていた。
 
 ……今日見たラブちゃん達みたいに……。
 

684:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 14:16:15 ewPqgNKw
 
 ―わたしは頭を振ってその影像を打ち消すと、美希ちゃんと交わしたそれを思い出す。
 あれは…違う。最初こそ優しいものだったが、その後の荒々しさはまるで嵐のようだった。
 乱暴で、いやらしくて、深い―――。

(……蹂躙、って言うんだっけ)

 あの行為には、その言葉が一番しっくり来る。
 そうじゃなければ、略奪、だ。
 涙が滲んでくるのが分かる。
 まだ残っているあの感触を消し去ろうと、左手の甲で唇を擦る。

(……どうして、こんなヒドイ事……)

 わたしの知っている彼女は、こんな事をするような子じゃなかったのに。

(……美希ちゃんがわたしを泣かせた事なんて、あの時だけだったな……)

 わたしの信頼は裏切られてしまったんだろうか。

 
 ――違う、わたしが彼女を裏切っていたんだ。
 

 自分の許されない恋を、彼女に告げずにずっと隠していた。
 一番最初に相談すべき相手なのに、それも出来ずに。
 
 
 ――だから美希ちゃんは怒って、わたしにあんな事したんだ。
 
 
 だとしたらこれは――美希ちゃんを傷付けた分、わたしが負うべき、罰。

(――もう、美希ちゃんに会えない………)

 それを考えた時、なんともいえない喪失感を感じた。
 胸に……埋める事の出来ない大きな穴があいたみたい……。
 
 プリキュアも、クローバーも、今後一緒にやって行く事は……出来ない。
 彼女の隣に、わたしが立つ事も。
 彼女の前に、姿を見せる事も。
 ……きっと美希ちゃんは許してはくれない。
 
「…ごめんね、美希ちゃん……ごめんなさい……」 
 
 わたしの目から、また涙が零れ始めた。

685:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 14:18:06 ewPqgNKw
 
                    *
 
 その時、左手首から、フッ、と香水が香った。



『――『片思い』がテーマなのよ。それ』

 

 美希ちゃんの、淋しそうな声。
 
 その声が、もう一つの意味をわたしに教えてくれる。

 混乱して見失っていた、最初に思いつくべき真実に。
 





「――美希ちゃん、もしかしてわたしの事…………」

 



 そう思った途端、全ての疑問が氷解していく。


 美希ちゃんはどうしてわたしの想いを知っていたのか?
 ――彼女は、見ていたんだ。いつでも、わたしだけを。

 
 なぜそれでも彼女はいつも通りに振舞っていたのか?
 ――彼女もわたしと一緒で、必死に想いを隠していたから。

 
 わたしを嫌いになっていないのか?
 ――有り得ない、だって・……。

 
 

 どうして、わたしに、キス、したの?
 ――………好き、だから。


 
 
 なんでそれに気が付かなかったのだろう。
 

 ……わたしが彼女の方を見ていなかったから、だ。
 わたしには、せつなちゃんしか見えてなかったから……。


686:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 14:19:50 ewPqgNKw
 そこまで思い至った時、嫌悪しか感じていなかった彼女との行為が、胸の痛む、愛しいものへと変わる。
 抑えていた感情を爆発させたような、不器用で、哀しいキス。
 もしせつなちゃんに……キス……するような事があったら、わたしも同じようにするかも知れない。
 一瞬でも永く、強く、自分の存在を相手に焼き付けるために。

「……美…希…ちゃん………」

 暗い部屋の中で、わたしは美希ちゃんを今までないくらいに近くに感じた。
 ずっと『親友』って枠の中に入れていたから分からなかったんだ。
 美希ちゃんもわたしと同じように苦しんでいた事に。
 こんなにすぐ傍にいた事に。

「……………」
 
 自分の左手を、見つめる。
 
 今でもはっきりと覚えている。

 わたしが暗い闇の中で泣いていた時、差し伸べられた彼女の手。

 その手は、とても温かくて。

 きっと彼女の心も、こんな風に温かいんだろうなって、思った。

 それからも、ずっと。
 
 何度も泣きそうになったり、挫けそうになったわたしに、彼女はその手で助けてくれた。

 彼女とわたしのいる光景は、いつまでも変わらないと思っていたのに。

 ――でも、それは、あっけなく壊れてしまった。



 ――彼女はもう、わたしに手を差し伸べてはくれないだろう。
 

 

687:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 14:21:40 ewPqgNKw
―――……だったら。



 ――――だったら今度は、わたしが手を差し伸べる番なのかもしれない。


 
 同じ闇の中で迷っている今のわたしに、可能なんだろうか。
 でも、おそらくそれが出来るのは、わたしだけなんだ。
 子供の頃に彼女がしてくれたように、わたしが彼女を引き上げてあげたい。

 わたしは涙を拭いて、ベッドから起き上がった。
 ――美希ちゃんに会わなければいけない……。
 どうすればいいのか、何を言っていいのかも分からない。
 でも――。
 リンクルンを取り出し、彼女の番号を押す。

 
 変わらないと思っていた、今までの光景は壊れてしまったけれど。
 
 ここからまた新しい光景が作られていく事を……わたしは、信じたい。


 リンクルンに彼女が出るのを、暗闇の中、わたしはずっと待ち続けた。






                                了

688: ◆51rtpjrRzY
09/08/29 14:25:35 ewPqgNKw
おしまい。おさるさんって初めてくらった。しかも酉わすれてたorz
ブキ美希フェア実施中と聞いてやってみたけど、長すぎ反省。

689:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 14:30:30 ryKJUgvY
反省する事なんてない!!!
GJ過ぎて死ぬかと思った…
めちゃくちゃ読みごたえあったよ。
続き楽しみにしてます!

690:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 15:28:08 7AlfC4Zg
GJ!こりゃまたせつない...

日常切り取ったようなほのぼの系を書いてる
途中だったんだが、ここまで激情あふれるものが
出てくると、そっち系も書きたくなるなぁ。



691:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 15:39:16 6abdWkLq
>>655です
ブキ美希フェアとは夢のようだ・・・
感想くれた方ありがとうございます。嬉しいもんだなぁ

>>688
GJ!続き楽しみすぎる

>>669
保管作業いつもお疲れ様です。
タイトルですが
日常+非日常
でお願いします。お手数おかけしてすみません。
補足は特にないです

692:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 15:48:44 J0ZB1Oag
>>688
GJ
次くらいで決着がつくのかな。続きが楽しみです
あと、レッスンの話のときも思ったけど、ラブが微妙に黒いのは気のせいだろうか

>>655のタイトルと>>672-687を保管庫に追加しときました

693:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 16:08:52 0BXT4jCm
家宝は寝て待てとはまさにこの事だな。投下無いからずっと寂しかったんだぜw

吹き荒れろSSの嵐!

694:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 16:09:53 ewPqgNKw
>>688
やってみた×やって来た○だった…orz
感想ありがとうございます!半分以上ミスって消去しちゃったのに書いた甲斐があった…。
>>692
素早い保管ありがとうございます…雨上がりの『』も修正してもらえたんですね。
お察しの通り、次で決着のつもりですけど、遠日公開です。何も考えてないんで……。
多分ラブの事もちょっと触れますよ。

695:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 19:50:09 YqFyS0Zd
皆せつない系心理描写書くの上手すぎ。
エロくない分ピュアだわー。

でも、最近エロSS投下なくて寂しい自分もいるw

696:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 20:07:28 lBCibkSZ
>>695
せつな「性一杯、頑張るわ」
ラブ「ワハッー!!」

697:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 23:13:28 YqFyS0Zd
せつな「ねぇラブ、本を読んでて
わからなかったんだけど、キスってなあに?」

美希・祈里「!!」

ラブ「あぁ~、それなら友達同士でするあいさつだよ。
簡単だから教えてあげる!口と口をくっつけるだけなんだよ」

せつな「こうかしら?」

ちゅ

ラブ「クッハー!」

美希「せつな!アタシともあいさつして!」

祈里「私にも!」

せつな「わかったわ」

ちゅ ちゅ

美希・祈里「ムフフ…」

ラブ「みんなで幸せゲットだね!」

698:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 23:48:38 aXcBAqeW
ブキ美希フェアと聞いて、修行途中ですが投下します。
少しは成長したかもw

【夏の思い出】
今年の夏は長雨のせいか、早く過ぎてしまった感があって。
いよいよ来週から学校も始まる。あっと言う間の夏休みだったかな。


そんなアタシにとって、短い夏の最後の日曜日。大好きなアナタと待ちに待ったデートの日。


「今日もバッチリ!うーん、アタシ完璧!」
ママにお願いして、ちょっとだけ背伸びしたオシャレな服を着飾って。
いつ以来だろう、こんなにときめいて洋服を着たのは。


いつしかモデルとして働く事にも慣れ、洋服を着るのに戸惑いも無くなり。

仕事としてのオシャレ。モデル、蒼乃美希としての生き方。

だけど何か物足りない自分もいて。




「チョット胸開きすぎかも。」
アナタに会える嬉しさが、アタシの気持ちを開放的にさせて。鏡に映る蒼乃美希は、最高の笑顔でこちらを見てる。


「ママー、今日遅くなるかもしれなーい!」
弾む声が玄関に響く。足取りも軽く、ドアを開けると夏の太陽の日差しがアタシを襲ってきた。


まだアタシに歯向かう気なの?女の大敵は。そう心に呟きながら実は、晴れてくれた事に感謝したり。


699:MH22S ◆Tp0rBcFpoc
09/08/29 23:49:31 aXcBAqeW
思えばいつも、アナタと一緒にいた気がするな。幼馴染みとしての運命だったのかもしれないケド。

変わらぬ四葉町の景色。アナタと歩いたこの道。これから進んでいく未来へ。

思い出のアルバムは進行形。アタシもまだまだ進行形。あ、アタシたちも・・・だった。



街路樹のお陰で歩道は日陰が多く、風も気持ちいい。自然と歩くスピードも速くなって。


「早く会いたい・・・」


そう呟く自分がどこか恥ずかしい。



あそこの角を曲がれば待合場所のレストラン。時間よりも30分前に到着。ほんとアタシって完璧。
手鏡でお化粧チェック。ルージュも塗り直して。開き過ぎだった胸をちょっと隠したり。



「美っ希ちゃんっ!」

後ろから脅かすようにアタシの肩を掴んで顔を覗かせる無邪気な天使。

「えっ!?もう着てたの?」
先を越されるなんて有り得ない・・・。完璧主義のアタシが負けるなんて。

700:MH22S ◆Tp0rBcFpoc
09/08/29 23:50:16 aXcBAqeW
と、言うか負けても悔しくない相手。じゃない、

大切な人。
大好きな人。
恋人、山吹祈里。

眩しい夏の太陽以上の輝きを持ったアナタ。アタシにいつも、希望と信じる心を届けてくれる。



「早いわよ祈里。待つ喜びも感じさせてくれないなんて。」
ちょっとふてくされてみる。まだまだアタシも子供。

「ごめんなさぁい・・・。でも、わたしも美希ちゃんと一緒だよ。待ってる時間も楽しみなの。」
そう言って、アタシの両手を握り笑顔を振りまく祈里。きゅんと胸が締め付けられる。可愛すぎる程可愛い。

「お洋服も綺麗だねー。美希ちゃん大人っぽい。」
ちゃんと背伸びしてオシャレしてきたトコも褒めてくれる。さすがアタシの彼女。



付き合い始めて最初の夏。お互い、忙しいながらも会える事を望み、信じ合ってここまでやって来れた。
レストランから見える青空は雲一つ無く。燦燦と照りつける太陽もアタシたちを祝ってくれていた。

701:MH22S ◆Tp0rBcFpoc
09/08/29 23:50:56 aXcBAqeW
「祈里、ホントそれ好きだよね」
このレストランに来ると、必ず注文するのがホットケーキ。ちょっとシロップを多めにかけるトコがまだまだ子供。


「美希ちゃんだって毎回一緒だよぉ?」
アタシも実は単純。アイスカフェオレとホットサンド。もっと食べたいけど、好きな人の前では小食気取り。


そんな心情を無視して祈里はイタズラにアタシを誘惑してくる。

「あーんしてっ?美味しいよ?」


「チョット・・・。恥ずかしいわよ!」


「お願ーい。ねっ?」

「・・・」

やっぱり甘い。かけ過ぎだってシロップ・・・。




702:MH22S ◆Tp0rBcFpoc
09/08/29 23:51:35 aXcBAqeW
「あ!美希ちゃん、この後どこに行くの?」
目をキラキラ輝かせながら問いかける祈里。このテーブルさえも遠く感じる程の距離。

抱きしめたい。壊れるほどに。




「夏の思い出作りに・・・行こっか!」


「うん!ほんと、今日は楽しみにしてたの!」


会えない時間は愛を育てるって本当なんだと実感した瞬間。



「そうそう。新しいメニューが出来たんだって。祈里知ってる?」

「え?知らないよ?」

「メニューのここなんだけど・・・」
そう言ってアタシは祈里の横に座り。


――chu――


「さっきの仕返しよ。」


「・・・恥ずかしい・・・」



夏の思い出。アタシならではの演出。ちょっと甘すぎたカモね。

703:名無しさん@秘密の花園
09/08/29 23:58:19 aXcBAqeW
>>697
保管しますので、宜しければ題名をお願いします。

もっとイイSSが作れるよう修行します。エロなくてごめんね。

704:名無しさん@秘密の花園
09/08/30 00:14:00 Y7r7Voq1
プラトニック好きにはここは天国だ。
もちろん、エロがあるのもそれはそれでいい。

705:名無しさん@秘密の花園
09/08/30 00:17:19 qBauuLC2
>>703
甘い。甘すぎる。どうしてもっと投下してくれないんだw
てかウマいよね作り。俺も頑張って作るわ。

切ないのも甘甘のも形になるのがフレプリのイイ所だね。

706:名無しさん@秘密の花園
09/08/30 00:48:27 3/6VHpbK
次回の放映までに前回のネタを消化したくて流れを読まずに勢いだけで書いた。後悔はしていない。



クローバータウンストリート中央付近に位置するビルに設置された大型ハイビジョンモニター
流されているTVニュースではキャスターが次の話題を読み上げる。

「来日していたメクルーメーク王国の王室のご一家が予定されていた日程を終え、
 明日、帰国することなりました。
 本日はその記者会見の模様を…」

「あ、ジェフリー!」

見上げればモニターに映るのはつい先日、ほんの少しの間だけ行動を共にした少年
両親に囲まれて満面の笑顔を見せる姿がそこにはあった。

「「「やっぱり、かわい~い!」」」
ジェフリーの笑顔を見て顔をほころばせるラブ、美希、祈里

「あの子の笑顔、やっぱり完璧!」
「いつも見てるこっちまで幸せになっちゃう」
「うんうん、これで今日も幸せゲットだね…ねえせつな?」
「私は別に…あの時もずっとラブだけを見てたし」

「「「えっ」」」

「ラブの笑顔はいつでも私を幸せにしてくれるの
 ああ…あの時のラブの笑顔、とってもかわいかったわ~」

そこには赤く染まった両頬に手をあてて顔がゆるみまくった、今まで見たことのない表情の彼女がいた。



707:名無しさん@秘密の花園
09/08/30 00:52:14 3/6VHpbK
余談

お暇な人は29話の「か、かわいい…」のシーンでの
せっちゃんの顔の向きと目線を今一度チェックしてみるといいかもしれない。


708:名無しさん@秘密の花園
09/08/30 00:55:29 tmMs6LJc
>>703

>エロなくてごめんね。
開きすぎた胸とか、十分エロいですってw
この後ラブホに行くふたりを脳内補完しました。

タイトルは【キス=あいさつ?】でお願いします。
まんまですね…

709:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 04:36:02 srPJ6+r/
>>697です。
誰もいなそうなので、エロいの置いていきますね…。

710:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 04:36:54 srPJ6+r/
【大切なひと】~【片恋】後日談~

最近すっごくモヤモヤしてる。
あと一歩な気がするのに、届きそうで届かない。
そんなふたりの距離がもどかしくて。

私がずっと片思いしていたのは、幼なじみの美希ちゃん。
けど、ひょんなきっかけで両思いだとわかり、付き合い始めたばかり。
今は最高に幸せな時期…なはず。

なのに、美希ちゃんってば、私にキスしかしてくれない。
それも子供にするようなキスばかり。
私がお子ちゃまだから?

これでも色々と、その…アッチのお勉強もしてるんだよ。
女の子同士の愛し合い方だって、少しは知ってるつもり。
美希ちゃんに、いつ「祈里が欲しい」って言われてもいいように、
勝負下着だって着けている。

「今夜、パパとママ遅いの。良かったら遊びに来ない?」
この前、勇気を出して誘ってみたけど、答えはNO。

その後も、二人になれそうな日は何度も誘ってみた。
でも答えはNOばかり。

「ダメよ!あ、え~と、あ!そうそう!弟と先約が…ゴニョゴニョ」
とか、
「さ、撮影が入ってて、アハハ、ゴメンね」
とか。
巧くかわされてしまう。私、魅力ないのかなあ?


711:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 04:37:50 srPJ6+r/

そんなことばかり考えていると、
美希ちゃんとのデートはあっという間。

「…なのよ。ん?祈里、聞いてる?上の空ってカンジ」

「そ、そんなことないよ!」

「そう?それでさ、今夜ママったら、彼氏とデートで朝まで帰らないって。
ったく、年頃の娘を置いてオトコと朝帰りなんて、
祈里もひどいママだと思うでしょ?」

「え…、うん、そうね、美希ちゃんのママ、不良よね、アハハ…」
美希ちゃんが、今夜ひとり…?

チャンスよ!祈里!このチャンス、必ずつかんでみせる!
言えばいつもみたいに断られちゃうに決まってる。
だから黙って、強引に泊まりに行っちゃおう。
きっと上手くいくって、私信じてる!

712:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 04:38:35 srPJ6+r/

   *******

はーあ。またため息ついちゃった。
最近、祈里とのデートの後はいつもこう。
その時不意に、ラブが脳裏に浮かぶ。
「ダメだよ、美希たん!ため息つくと幸せが逃げちゃうんだよ。
幸せはゲットしなきゃ!」
ラブの言葉を思い出して、出そうとしていたもうひとつのため息を、
あたしは慌てて飲み込んだ。

「ママー、ただいまー。夕ご飯なーにー?」
しーん、と静まり返った玄関。
…あ、今夜、ママ居ないんだっけ。

まず、シャワーを浴びよう。
じっとしていると、祈里のことばかり考えてしまう。

少し冷たい温度のシャワーに身体をまかせる。
火照った身体を、少しでも落ち着かせようとして。

でも…頭から追い払おうとすればするほど、祈里は
あたしの心の扉をこじ開けようとするみたい。

713:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 04:39:02 srPJ6+r/


シャワーを終えて、バスタオルを巻きつけたまま、
リビングのソファに横たわる。

すぐにあたしの頭の中は、祈里へのよこしまな思いで侵食されていく。
ダメだと思いながらも、止めることができない。

空想の中で、あたしは祈里を淫らな格好にし、
卑猥な言葉を吐かせる。

「美希ちゃん…しよ?」空想の祈里はあたしを見上げる。
現実の彼女とは正反対の、誘うような瞳で。

ダメよ…あたし、まだ貴女を大切にしたいの。
「お願い…じらさないで。美希ちゃんもホントは私が欲しいんでしょ。
ほら、もうこんなに…」

空想の祈里になりきって、あたしは敏感な場所に手を伸ばす。
くちゅ くちゅ
「あ…はぁ…ふ…ぅん…いの、り…」

空想はいつも同じ内容。
彼女と愛し合う妄想で、ひとり快楽に耽ってしまう。

「あぁっ!祈里ッ!」
・・・・・また今日も、彼女を汚してしまった。

714:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 04:39:26 srPJ6+r/


淫らにはだけたバスタオルを再び巻きなおし、
もう一度シャワーを浴びに行こうと立ち上がった時。
ピンポーン。玄関のチャイムが鳴った。

来客の映像を確認して、言葉を失った。
そこには、制服姿の祈里が映っていたから。

「祈里どうしたの!?もう20時近いよ。ご両親心配するじゃない」
「美希ちゃんお願い、入れて」
いつになく真剣な祈里の気迫に押されて、
あたしは思わず鍵を開けてしまった。ガチャッ。

あたしに倒れこむように抱きつく祈里。
「美希ちゃん…あたしのこと好き?」

「な、なによ急に!照れるじゃない」

「いいから答えて!」
今日の祈里、いつもと違う…。

「そりゃ、好きよ、わかってるでしょ!」

「じゃあ証明して」

「証明?どうゆうこと?」

祈里は、ちょっと怒ったような、拗ねたような表情で、
恥ずかしそうに言った。
「…抱いて」

715:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 04:39:57 srPJ6+r/



   *******

祈里はそう言うと、呆然とする美希を寝室へと引っぱっていき、
ベッドへ押し倒した。

「ま、待って!祈里、待って!」
うろたえる美希に耳を貸そうともせず、
祈里は美希のバスタオルをはいでいく。

さっきの手淫によってもたらされた快感の跡は、
美希の身体のあちこちにまだ残っている。

まだ硬いままの乳首に祈里のくちびるが触れる。
「はん!」
まるで悦んでいるようなあられもない声が出てしまう。
「や…祈里、やめて…あぁっ…
あたしまだ貴女を汚したくない。大切にしたいの」

「もう待てないよ、じらさないで、あたしのモノになって」
祈里の指先が、容赦なく脚の間に伸び、
さっき達したばかりの淫豆を弄び始めた。

「おかしいね。美希ちゃん、もうこんなになってるじゃない」
大量に流れ出た美希のものを指に絡めながら、
たしなめるように祈里は言った。

「もしかして、自分でシテタの?ダメじゃないの…」
「ふぅん…あぁ…はっ…だっ、て…」
「だって、なあに?」
罰を与えるように、美希の乳首を甘噛みする祈里。

「はあ!んん!」
「キレイ…感じてる顔の美希ちゃんもすてき。
そんな顔されると、たまらなくなっちゃう」

美希に快感を与えながら、次第に祈里の顔も紅潮しはじめる。
祈里の白いショーツには、いつしか染みができていた。

「お願い。私も、はやく美希ちゃんのものになりたい…」

「わかったわ…今までずっと我慢してた。大切にしたかった。
さっきも、貴女を想って自分を慰めてた。
でも、もう我慢するのはやめにする」


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