フレッシュプリキュアで百合2at LESBIAN
フレッシュプリキュアで百合2 - 暇つぶし2ch400:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 20:41:06 iU3dPPci
>>396 GJ!バカっぽさ(無論、ほめ言葉)が素晴らしかったです!

401:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 21:28:15 o1YruwgX
面白かった!
急にかぶさってくるせつなにドキンとしました
ホラー的な意味で
>>395
せつなは夢のつもりだったんかいw

402:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 21:34:40 sMD+krQl
今晩は、以前黒ラブ投下した者です。
今更ですが、続きと言うかおまけ書いたんで投下させてもらいます。
ちょっとラブやん悩ませ過ぎて可哀想Wになったんで、ちょっとでも
元の前向きで元気なラブやんに戻したくてW


しかし、相変わらずの投下数&ハイクオリティーに脱帽。
保管庫の整理もすばらしくGJ!

403:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 21:35:53 sMD+krQl
おまけ


せつなとあたしはおでこをくっつけ合って、少し、笑った。
何て事しちゃったんだろう、と言う大きな後悔。大好きな人と
気持ちが通じあった、大きな喜び。
いろいろな思いが渦巻き、泣きたいような、笑いたいような不思議な気持ち。


「…ごめんね。」
もう一度、あたしは謝る。どんなに謝っても足りないのは分かってる。
でもそれしか言えないから。

「…うん。でも、もうこんな乱暴なのはやめてね。」
結構、辛かったんだから。と少し冗談めかして、せつなは含羞む。


「やだ、私…。」
「…わはー……。」
せつなは今更ながら自分のはしたない姿に気付いたように
服の前を掻き合わせ羞恥に耳まで真っ赤にしている。
パリッとしていたワンピースは見る影もなくくしゃくしゃで、
汗やその他諸々で汚れて、かなり悲惨な状態だ。


(わはー…、何かせつな、すんごいえっちぃんですけど。
いや、ひん剥いたのはあたしなんすけどね…。)

「どうしよう、これ。」
血の染みが付いたワンピースを摘まんで少し途方に暮れる。
買って貰ったばかりの服を汚してしまったのを気に病んでいるらしい。
「あー、だいじょぶだよ。これコットンだし。すぐに洗ってアイロン掛ければ!」
洗ったげるよ!貸して。と服を引っ張ろうとするラブに、
「あっ、やん!」
裾を押さえて抵抗する。


下、何も着てないんだから!と赤い顔で上目遣いに少し睨まれ
ラブの顔も負けず劣らず赤くなる。
ついさっきまで、あーんな事やこーんな事をされてたのに
何を今更…と言う気がしなくもないが、どうやらそう言うものでもないらしい。

404:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 21:37:35 sMD+krQl
「…シャワー、浴びて来てもいいかな。」

そりゃそうだよね。恐らく身体中エライ事になってるんだから。
そりゃあ早くさっぱりしたいだろう。


「そだね!お湯、もう張ってあるから!ゆっくり入ってきなよ!」
そう言った途端、くしゅん!ラブがくしゃみをした。
考えなくてもラブも巻いていたバスタオルはとっくに落ちて、すっぽんぽんだ。
ある意味せつなより恥ずかしい。
クスリ、とせつなが笑い、
「じゃあ、一緒に入っちゃおうか?」
「!!ふぇ?!」



先に行くね。ぱさっ、とラブの頭に落ちてたバスタオルを掛けて、せつなは
バスルームに向かった。


(一緒にって、一緒にって…?!)


ラブは先ほどのせつなの言葉を反芻する。
『もう、こんな乱暴なのはやめてね。』
って事は、乱暴にしなきゃオッケー!って事すかね?!


かぁっ!と全身が熱くなり、心臓が口から飛び出しそうにバックンバックン
脈打っている。

405:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 21:38:55 sMD+krQl
今こそ真の勝負の時!ラブの本能がそう告げていた。
大好きな人と(無理矢理ではあるが)体の関係を持ち、(順番が逆だが)気持ちを
確かめ合い、(普通はこれが最初だろうが)告白もした。


(これで二人は両想い!晴れてラブラブ恋人同士…!)


のはず。
しかし、問題が一つ。


せつなは今回の事がラブが慣れない深刻な悩みに耽った挙げ句の暴走。
つまりは非日常、普通ならあり得ないイレギュラーな出来事と捉えて
いないか、と言う事だ。
それは困る。大いに困る。トチ狂って暴挙に出てしまったが、
ラブとしては、ここまでやったからには付き合い始めの恋人らしく
日常的にあんなコトやこんなコト……できなきゃ意味がないのだ。



(それに、えっちは気持ち良くなきゃ!
このままじゃ、えっちがトラウマになっちゃうかも!!
そんなのせつなの為にも絶対良くない!!!)


そのトラウマを植え付けたのは間違いなく自分なのだから
『責任取らなきゃ!』
ラブはいつものポジティブシンキングを取り戻しつつあった。



(ようし!!)
ラブの体に闘志がみなぎる。



(待ってて!せつな!!女ねヨロコビ、ゲットだよ!!!)




406:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 21:46:44 sMD+krQl
以上です。お粗末様。


しかし、>>355、>372両氏の美希せつ、すごい好きです。
こう言う雰囲気と言うか、潤いのある文が書けるのって羨ましい。
多作なのに全然やっつけ仕事的な所がないのもすごい。

>>388氏はコミカルで明るい雰囲気がすごく上手いですね。
まさかこのスレで腹抱えて笑うとは思わなかった。
堪えてたけど、―しばらくお待ちください― で限界でした。

407:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 22:23:36 ASsAlZhg
>>396
GJ!続きをありがとうございます。あれから続きが気になって勝手に妄想したりしてました。。
次回作も楽しみにしていますね。

408:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 22:43:58 o1YruwgX
>>405
ラブやんが黒い世界から帰ってきたー
純粋なせつなと、ラブの思考回路がガチなところが素敵

409:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 22:56:57 xqUbKR87
>>406
GJ!
続き待ってました!
その後のせつなとラブのいちゃいちゃが想像できるww

410:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 23:06:35 UXvudcPz
この二連続のSS見て心から思ったよ
事後っていいね!最高だよ

411:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 23:17:53 UTkhLaQr
>>386あたりから妄想。エロはないよ。
はじめてなのでお見苦しい点もあるでしょうが。


412:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 23:19:22 UTkhLaQr
「うわぁ!おいしそー!」

嬉しそうな声に読んでいた本から顔を上げると、
そこには2つ折りにしたようなスポンジ生地をもって目を輝かせているラブがいた。

「ラブ、それ、何?」

私が聞くと、今日のおやつだってー、とにこにこしながら答える。

「ね、せつなー。はやく食べようよー」

ラブは待ちきれないといった様子で、私を呼んだ。

「もう、ラブは食いしん坊さんね」

だってー、と笑うラブの元へ私も笑いながら近づいていく。



「はい、せつな。あーんして?」
「――へ?」

413:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 23:20:49 UTkhLaQr
予想外の出来事に全身が固まった。
いつのまにか2つに割ったパンの片方を私の前に差し出して、
わずかに首をかしげたラブは、とても愛らしくてなんだかどきどきしてしまう。
突然のことに私が戸惑っていると、せつな、どうしたの?と
顔を覗き込むようにしてラブが近づいてきた。
私の鼓動はさらに高まり、あわてて目の前のパンにぱくりとかみ付いた。

ふわふわのスポンジを口に含むと、その間にはさんでいたイチゴクリームの香りが
口いっぱいに広がり、一瞬今の状況を忘れてしまった。

「どう?せつな、おいしい?」

その言葉に、はっと我に返る。
ラブの顔が思いのほか近くにあって、また心拍数が跳ね上がる。

「――お、おいしいわ。でも、立ったまま食べるなんてお行儀が悪いわよ」

ぱっと後ろに下がって、照れ隠しになぜかマナーの注意なんかをしてしまった。
せっかくのラブとのスキンシップだったのに・・・。
うなだれて自己嫌悪に陥っていると、ラブの明るい声が聞こえた。

414:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 23:22:42 UTkhLaQr
「あ、そっか!あはは、ごめんごめん」
 
じゃあ座って食べよっかーと、暢気に笑いながら机に向かうラブを見ていると、
自分だけがどきどきしていることがなんだか悔しくなってきた。
私は素直に座ってパンを食べているラブに歩み寄り、
ぐっと顔を近づけるとそっと囁いた。

「クリーム、ついてるわよ」

そしてすぐさまラブの唇の脇に口付ける。
そこまではよかったが、ラブから唇を離すと突然恥ずかしくなってきてしまった。
熱くなる頬を隠すように勢いよくラブから離れると、
くるりと向きを変え、私は脱兎のごとく逃げ出した。

でも、部屋を出るときにちらりと見えたラブの顔が真っ赤だったから、
おあいこってことで、ま、いっか。
ラブに触れた唇にそっと指をあてて、頬が緩むのを感じながら、
私はゆっくりと目を閉じた。

415:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 23:24:26 UTkhLaQr
以上です。駄文失礼。
このスレの職人さんたちはレベルが高すぎるぜ・・・。
いつも楽しませてもらってます。これからも頑張ってくださいってことで!
ありがとうございました。

416:名無しさん@秘密の花園
09/08/21 23:45:01 xqUbKR87
>>415も十分にレベルが高いwww

自分にはこんなものは書けないwww

GJ!

417:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 00:07:43 MOKaDFot
皆様GJです!
ラブせつたくさん読めて今夜も幸せゲットだよ!!

418:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 00:16:28 yU4R31bc
>>364
相変わらずの神的描写、もっともたかいと書いて「最高」です。
ジュースとシードルを間違えた件、リアルに使えるwww
美希たん芯が強いなぁ。どんな恋愛も完璧にこなさないと納得しなさそう。
また良作が保管されました。ありがとう!

>>377
何て綺麗な描写なのでしょう・・・。ゆったりと時間がもう素敵すぎて。
ちょっぴりすかしたせっちゃんイイですねぇ。相手が美希たんだから
しっくりクルんだよなぁ。せっちゃん負けず嫌いのトコとかもイイ!
これまた良作、保管させて下さいませ。

>>383
感動。かなり助かりました!お礼に後ほど投下と、保管庫に感謝の意を。

>>396
また逝きそうになった・・・w案外せつなはHだと積極的だったり・・・。
って素数とかもぅwww管理国家!!!みたいなw円周率もかよっw
二人だけの証、俺好きです。シーツ自分で洗うとか宴の後の処理って大変。
保管庫には勿論H有りと記載で。

>>406
俺の好きなラブやんが登場しましたwもうね、どんだけ性欲あんのよwと。
せつなのオドオドした感じ、何かたまんない・・・。脳内ムラムラしてきた。
にしても一人ボケツッコミがツボw世間のツッコミでしたね。
無論保管させて頂きます。良作多すぎて多すぎて!

>>415
386さん喜んでるハズw見事なシチュエーションでございました。
是非とも題名をお願いします。駄文なんて言葉、このスレにはなくってよw
みんなもプリキュアパン食べて妄想ゲットだよ!
保管庫も口を開けて待っておりますw

感想書いてたら日付またいじゃったよwんぢゃラブ美希ver作ってきます。

419:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 00:16:38 oQ3e7LOQ
職人の皆様GJ過ぎる。
お互い妄想で暴走して、最後にかみ合うなんてwww

保管庫にもたくさんSSが入ったなあ。
読むのが楽しい。

トップページの画像見て気づいたんだが、
並んでウェーブするときって、腕絡ませてるんだね。
相当息合わせないと難しそうだ。



420:MH22S ◆Tp0rBcFpoc
09/08/22 02:18:58 yU4R31bc
【愛してると言って~ラブ美希ver】
私の取り柄って何だろう。
笑顔とダンスが無くなったら何も残らないんじゃ・・・。


一人になると、不意に自己嫌悪に陥る事がある。


美希たんは背が高くて綺麗でモデルさん。
ブッキーは胸が大きくて優しい獣医さん。
せつなは色白で純粋無垢なお姫様。

それに引き換え、自分はなんなんだろ?見失いそうになっちゃう・・・。
しいて言うなら料理ぐらいかも、自慢出来るとしたら。


お父さんやお母さんは私を大切に育ててくれた。
友達のみんなも私を大切にしてくれる。
だけど、私と来たらそれに答えられてるのかな・・・。

笑顔をいっぱい振りまいて。踊ってる姿はみんなを喜ばせているの?


大丈夫!絶対みんなは幸せゲットしてくれてる!

それはエゴ。ラブの思い違い。笑顔の押し売りだよ。

ラブとラブが私の心の中でいつも戦っていた。




「もう辞めてよ」





私らしくない。いつからこんな風になっちゃったんだろ?ホント私らしくないから。
そんな時、私の心を癒してくれるの場所がココ。四葉町が見渡せる丘。
いつでも私を快く出迎えてくれる。

目を閉じて横になると自然に落ち着けるんだ。心が安らぐ瞬間を感じれる。



いつしか眠ってしまった私に誰かが声をかける。聞き覚えのある声だ。
「また悩み事?スランプ続いてるわね。」 

「美希たん・・・」

「悩んで辛くなった時はいっつもココにいたよね。」


「辛くなんか。。私はただ・・・。ただね・・・。」
私がここに来てる事を知ってた驚きと、気持ちを悟られたくない葛藤で
返す言葉を誤魔化していた。

421:MH22S ◆Tp0rBcFpoc
09/08/22 02:20:14 yU4R31bc
「隣空いてるでしょ?」

「うん。」


「ラブ~、最近笑顔が完璧じゃないぞ~」

「そんな事ないよ!いつだって私は全力の笑顔なんだから!」

「そうかしら?いきなりムキになっちゃうトコとかバレバレよ。ラブは昔っから嘘ヘタすぎ。」
美希たんはそう言うとジッと私の瞳を見つめて。とても勝てそうにない。まるでおまわりさんだよね。



「美希たんに嘘つくなんて無理、やっぱ。」


「正直で宜しい。で、どうしたの?ここんとこずっと、ラブの事ばっか頭をよぎってね~。」



「自分が嫌になっちゃって。・・・。笑顔とダンスしか私って取り柄ないんだよ?」
悔しかった。あまりのネガティブさに自分でも腹が立ったぐらいで。



あっと言う間に8月が終わろうとしている。あんなに暑かった夏が終わろうとしている。
そんな夕日を背に、美希たんは口を開く。



「私ね、ラブがいつもそばにいてくれたらなって思う。ラブの笑顔、ラブの怒った顔、ラブの泣いた顔。もっと見ていたい。」
ゆっくりと話す口調はまるでお母さんのようだった。美希たんの声がこんなに優しかったなんて。



「いつも笑顔でいたい。だけど押し付けがましくないかな?踊っている時もホント幸せ。ただこの二つしか私には無い・・・」
さっきから愚痴ばっかり。ホント情けなかった。黙って聞いてくれてる美希たんには頭が下がる思いで一杯だった。

「それでイイじゃない。笑顔で踊れるなんて最高。ブッキーやせつなも羨ましがるハズよ。でもね・・・」

「でも?」

「自分を・・・、自分を殺しすぎだよラブは・・・。他人を喜ばせる事ばかり考えて。
私は・・・、そんなラブが可哀想で仕方なかったよ。もっと早く助けてあげるべきだったよね・・・。」


「ううん。ありがと美希たん。気にしてくれてたんだね。」

422:MH22S ◆Tp0rBcFpoc
09/08/22 02:21:18 yU4R31bc
「私はラブの笑顔がホーントに好き。だけど私にはそんな笑顔が作れない・・・。悩んでるのに、そばにもいてあげれなかった。」
美希たんの目は潤んでいた。せつなはすぐ傍にいるのに、ブッキーは優しく包んでくれるのに、どうして自分は・・・。
そんな想いをさせてしまった事を、今でも私は悔やんでいる。



「私がモデルになった理由、話してなかったよね。」


「うん。」


「綺麗になればいつか、私が大切に想ってる人はこっちを振り向いてくれるって信じて・・・ね・・・。
一杯努力して、ダイエットもして、とことん目立ってやろう!って。」



「美希たん・・・、もしかして・・・」
いつの間にやら私がドキドキしていた。私の悩みや愚痴は遠い昔のようで。ちょっぴり恥ずかしくもあり。


「好きとかそう言うレベルじゃないのかも。」

「え・・・」



「愛している、その人を。今でもずっと・・・」

「美希・・・たん・・・」

「私だってホントは完璧じゃない。だからその人の気持ちが良くわかるの・・・。」



「その人って、料理上手だったりする~?」

「どうかしら?お母さんは上手だったわね。」

「じゃあ笑顔が飛びっきりのもぎたてフレッシュ~?」

「さっきまでは愚痴って悩んでばかりだったような気もするけど。」

「じゃあ、誰よりも目立ちたがり屋の踊り大好き少女~?」

「確か、いっつも幸せ幸せって言ってたような。」

「それワタシで・す・ケ・ド!」

「うふふ。ごめんごめん。」

「美希たん、愛してる~っ!!!」

「私も愛してる、ラブ・・・。」

美希たんの愛してるは大人の味がした。ちょっと背伸びしちゃったケド、その分は笑顔でお返ししま~す!

~END~

423:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 02:31:42 yU4R31bc
保管庫では誤字修正しますんで。ちゃんと書いてるつもりなんだけどなぁ。

>>419
自分もコレみて「おォ!!!」ってw
絡めて絡みまくってくんずほぐれつ・・・。自重しろよ、大輔はwww
やっぱ4人でフレッシュプリキュアですね。そりゃ百合も繁盛しますよ~

424:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 03:06:12 UlaoCG0J
>>423
三部作ありがとうございました。全部完璧でした!四人のキャラ、言葉遣い、雰囲気や丘の景色など伝わってきました。

投下と保管庫作業大変でしょうが頑張って下さい!楽しみにしてる者より

425:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 08:56:42 oQ3e7LOQ
>>422

GJ!美希たんがモデルになった理由にグッと来ました。
三者三様で楽しめました。ありがとう。


426:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 12:31:38 6ri0RgHV
誰もいないみたいなんで、長いの置いておきますね。>>276の続きになります
ハッピー風エンドですけど、ハッピーエンドじゃないんで。>>321さんごめんなさい。
まだ話終ったワケじゃないですけど。
>>383様、>>423様、保管庫ではご迷惑おかけしました。重ねて御礼申し上げます。


427:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 12:32:53 6ri0RgHV
                      ◎
『――大型の台風が接近中の為、関東地方には本日、豪雨警報が発令され――』

 あたしは人気の無い店内で、ぼんやりとオレンジジュースを飲みながら、ラジオから流れる台風情報を
聞いていた。窓の外は、朝から相変わらずの雨…今はまだ弱い降りだけど、ラジオからの情報を信じるな
ら、もうすぐこのクローバータウンも暴風圏内に入るはず。
 ……帰るなら今のうちなのにな……。
 でも、それが出来ない事は、誰よりもあたしが分かっていた。

「……と、あとジャケットとか、上に羽織るものなんていいと思うの!――?聞いてる?美希ちゃん?」
「………ハイハイ、ちゃんと聞いてるわよ、ブッキー。…で、ナゲットおかわりでいいの?」
「……美希ちゃん、やっぱり聞いてない……」

 ちょっと頬を膨らませて、呟くブッキー。なに?あたしバケットと聞き間違えた?
 あたしとブッキーの二人は、今ファミリーレストラン『Yotuba』にいた。……ここあんまりいい思い出
無いのよね……、まあプリキュアになった記念の場所ではあるんだけど。
 あたし達の間には、広げられた何冊かのファッション雑誌。

「…だから、予算的にはこっちの靴がいいんだけど…デザイン的にはこのパーカーが似合うと思うの……、
あ!やっぱり赤を基調にしたほうが喜んでくれるかなあ?」
「あー。そーかもねー」
「…赤っぽい感じだと…このキャミソールとか…。う~ん、これはちょっと子供っぽ過ぎるかなぁ…でも
こっちはちょっと、お、大人っぽいというか…え、えっちな感じだし…」
「そーそー分かる分かるー」
「だとすると…この帽子なんかいいと思うんだけど…似たようなの持ってたような気がするのよ…」

 あたしの気の無い返事に構わず、忙しくページをめくるブッキー。…人の話聞いてないのはそっちじゃ
ないの?
 熱心にファッション雑誌をチェックするブッキーを他所に、あたしはまた窓の外に目をやる。
 外は雨。
 あたしはふと、管理国家って雨降るのかな、って思った。天候まで管理されてたら凄いわよね…。

「――傘……」
「――?何?美希ちゃん?」
「……傘、なんかいいんじゃない?…ほら、値段もそんなしないし…」
「……傘かぁ……」

 腕組みをしながら考えるブッキー。

「……傘って、雨の日にしか使ってもらえないよね?」

 ――当たり前よ。
 こんな時にしか頼りにされないあたしと一緒。
 あたしは少し自虐的な気分になって、彼女に気付かれないよう、小さな溜息をついた。


428:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 12:34:21 6ri0RgHV
 
 ブッキー、山吹祈里からリンクルンに連絡があったのは、昨日の夜の事だった。

「…お買い物に行くから、付き合ってほしいの!ホラ、美希ちゃんモデルだし、わたしなんかよりセンス
いいし!…アドバイスして欲しいなって思って!」

 珍しい、っていうのがあたしの率直な感想。…もともとあたしとブッキーではファッションの趣味も
まるで違うし、こんな風に意見を求めてくるなんて、久しぶりの事だったから。
 本当なら、ここで少しは疑問を持ってもいいはず、だった……でも、クローバーの練習とプリキュア
としての活動で、なかなか彼女と二人きり、って状況が無かったあたしは、近付いてきつつある台風の
事なんて、それこそどこ吹く風って感じで、ウキウキした気分で眠りについて。

 そして今日。
 待ち合わせ場所である、この店に着いたブッキーの第一声は――。

「――美希ちゃんは、どんなのがせつなちゃんに似合うと思う?」

 あたしは、天国から地獄って言葉を、身を持って体験した気がした。

 
 ブッキーはまだ、自分がせつなを好きな事をあたしが知らないと思っている。
 ……ブッキー、あなたどれだけニブいのよ……。
 もっとも、あたしもブッキーへの思いを未だ伝えられずにいて。
 近くにいるのに、お互いの秘密が、それ以上の距離を縮めさせない、って状況がしばらく続いていた。
 
 それにしても、誕生日でもないのに、どんな名目でせつなにプレゼントなんてするのか。……まず
あたしにはその理由が分からなかった。
 あたしの問いに、ブッキーはちょっと恥ずかしそうな顔でもじもじしながら、言った。

「ほ、ホラ…せつなちゃん、こっちに来てまだ日も浅いし…まだ着るものとか、そういうの良く分から
ないと思うのよ…それにラブちゃんの家に住んでて、そんなにワガママも言えないと思うし……だ、
だから、わたし達で何か贈るのもいいかなって……クローバーに入ったお祝いも兼ねて!」

 ……それはこじつけって言うのよ、ブッキ―。
 せつなの服や日用品は、ラブがきっちり管理してるし、ラブのご両親はワガママを聞かないどころか
せつなを自分の子供のように可愛がってる。…むしろこっちが甘やかし過ぎじゃないかって心配になる
くらい。…クローバーに入ったお祝いなら、ブッキー、あなたがあげた練習着でいいんじゃ…。

 単純な話、ブッキーはせつなの物を全てラブが選んでいる事にヤキモチを焼いているのだ。

 普段着るものや身に付けるもの、それこそ下着までラブが選んでるって状況が気に入らなくて、一つ
くらいなら何か自分が選んだものを身に付けてて欲しいって思ったに違いない。
 
 健気で、可愛らしくて、あたしにとっては残酷な乙女心…よね。

 楽しそうに悩んでいるブッキーの顔を眺めながら、心の中で呟く。
 せつなしか眼中にないブッキーを見ていると、胸がチクチクと痛むけれど、それでも彼女と二人だけで
いるこの場所から離れられなくて。

 ――惚れた弱みってこういう事なのかしら……
 
 あたしは薄く自嘲気味に笑うと、雑誌のチェックに余念の無いブッキーから外へと目を移した。
 外は雨。
 目の前には俯いて何やら本に夢中なブッキー。

 ……何か似たような事が前にあったな――とあたしは記憶を探り始めた。


429:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 12:36:35 6ri0RgHV
                      ○
「…まだ、雨やまないね、美希ちゃん…」
「…もうちょっとここで待ってみようか、ブッキ―」

 あれは、まだあたしとブッキ―が小学2年生くらいの時だったっけ。
 あたし達はあてにならない天気予報のせいで、昼くらいから降り出した雨につかまり、学校の教室から
表に出る事が出来ないでいた。
 いつも一緒だったラブは、風邪を引いたそうで、珍しくお休み。
 クラスの皆は、傘を持ってお迎えに来たお母さん達と仲良く帰って行ってしまって。
 あたしは母親が仕事をしてるから迎えになど来られる訳もなく、ブッキーも、ご両親が獣医をやってる
から忙しいらしく、迎えには来られないようだった。
 
 空は黒く分厚い雲に覆われて、まるで夜のように真っ暗で。
 電灯の点いた広い教室にはあたしとブッキーだけ……。
 
 自分の事ながら、子供だけに心細かったろうな、って思う。
 今なら自分の親や、ブッキーの家庭の事も分かってるし、雨くらいどうって事ないのだけれど。
 それでもその時のあたしは、暗くなりそうになる雰囲気を盛り上げようと、ブッキーに言った。

「だいじょうぶだよ!もうちょっとだけ待てばやむよ!」
「ほんとう?美希ちゃん……?」
「まかせてよ!あたしのカンの方が、ヘタな天気よほうより、かんぺき!なんだから!!」
「……うん、美希ちゃんのこと、わたし、信じてる!!」

 ……いつものやり取り。
 何かあって、ブッキーが不安そうにしてたり、怯えてたりした時、あたしは彼女を励ますために、毎回
そんな根拠の無い虚勢を張っていた。…ブッキーもその言葉に励まされて、元気を取り戻す。……そんな
他愛も無い、いつも通りの掛け合い。
 
 昔からあたしの役回りってそうだったな、って思う。ある意味、損な役ではあるわよね。本当なら、淋
しいし、怖いし、泣いてしまいたい時だってあった筈……。

 ――でも、ブッキーがいたから。

 ブッキーにそんな顔させたくないし、そんな彼女を見たくなかった。…だからあたしがしっかりしなきゃ
っていつも、思ってた。

430:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 12:38:06 6ri0RgHV

「そうだ!今日としょ室で借りてきた、どうぶつの本があるんだよ!ブッキー、それよむといいよ!」
「……!本当?……でもどうして美希ちゃんがどうぶつのご本なんて……?」
「こんな事もあるかと思って、借りて来ておいたの!ちょっと待ってて!」

 過去の自分とはいえ、底の浅い嘘よね。
 本当はねブッキ―、いつも動物の事を楽しそうに話してくるあなたと、話題を分け合いたかったから。
 少しでも動物の知識が増えれば、ブッキーもきっと喜んでくれるでしょう?

 ランドセルの中から本を取り出し、ブッキーに渡す。
 その表紙を見ただけで、ブッキーはさっきまでの不安そうな表情とはうって変わり、目が輝き出す。

「ありがとう!……美希ちゃん!これ、読んでもいい?」
「いいよ。雨が止むまで、それでヒマをつぶすといいよ。あたしは外見てて、雨が止んだら、ブッキ―に
おしえてあげるから!!」

 それも、嘘。
 あたしが借りてきた本をブッキーが読みふけってる間、あたしは外なんか見てなかった。
 ブッキ―、あなたを見てたのよ。ずっと。
 茶色くて、フワフワの髪の毛。
 一生懸命本を見つめる宝石みたいな瞳。
 小さく結ばれた、桜貝みたいな唇。

 今思えば、あの頃にはもう、あたしはブッキーに恋してたんだな。
 まるでお姫様みたいなブッキーを見ているのが楽しくて仕方無かった。

 ブッキーが本に夢中になるように。
 あたしはブッキーに夢中になってた。


 フッ


 突然、今まで点いていた教室の灯が消えた。
 違う、教室だけじゃなく、廊下も、外の建物も、町の光すら、全部。
 ―――停電。
 変電所に雷でも落ちたのか、その音にも、それぞれ夢中になってたあたしたちは気付かなくて。
 子供だったあたしは、世界が終ってしまったんだと思った。
 
 
 暗闇の中、あたしはずっと震えていた。
 怖かったし、不安だったし、泣きそうだった。
 でもそれは、今まで押さえてきたものが噴出したのではなく
 たったひとつ。
 「もうブッキーに会えない」って思ったから――。


431:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 12:39:51 6ri0RgHV

 
 その時、あたしの手に、温かくて、柔らかいものが触れた。

 
「……だいじょうぶ?美希ちゃん?」

 ブッキーの声が、した。

「…ていでん、かな?ビックリしたね」

 その声と温もりだけで、震えが止まった。
 あたしは両手で、ブッキーの手を挟み、しっかりと握る。

「――うん、あたしならだいじょうぶよ、ブッキー!」

 ブッキーが無事なら、あたしは何があっても平気。

 ブッキ―が無事なら、あたしは震えてなんかいられない。
 
「ブッキーこそ、だいじょうぶ?……なにがあっても、あたしがいるから平気だよ」
「うん……ほんとうに、美希ちゃん、すごいね。わたしなんて怖くて……」
「当たり前よ!あたし、かんぺきだもん!」
「ふふ、わたし、信じてた!」
 
 お決まりの、会話のやり取り。
 でも一つだけ違うのは。
 救われたのは、あたしの方だったって事。

 ……そうじゃない。
 きっといつも、ブッキーがいる事で、あたしは逆に救われてたんだと思う。
 ……ブッキーを支えてるのは自分だって思ってたけど。
 本当はブッキーに支えられてるのはあたしの方だったんだ。
 
 あたしは今になってそれに気が付いた。
 
 
 消えた時と同じように、唐突に明かりが点く。

 
 あたしとブッキーは顔を見合わせる。
 それから、何を言い出すでもなく、額を寄せ合い、微笑む。

「ふふ」
「うふふ」

 そんなあたしの目に、教室の隅に置かれた、誰かの忘れ物の傘が映る。

「ブッキー!あれ!!」
「え?」

 傘の名札には『ももぞのラブ』と書いてあった。

432:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 12:42:30 6ri0RgHV
 
                      ◎
「……う~ん、でも傘っていうのもありなのかな~」

 ブッキーの呟きで、あたしの思考は現在に引き戻された。

「…なに?ブッキー、傘にする事にしたの?」
「……もう、やっぱり美希ちゃん何も聞いてなかった……。傘だって、普段気にしていなくても、雨の日
には自分の傍に絶対にあって欲しいものだから、いいかな、って言ったじゃない!」
「そうなんだ…まあありがとうと言っておくわ」
「?何?」

 あたしは「何でもない」と誤魔化すと、オレンジジュースを口に運ぶ。
 そして少しだけ考えて、まだ悩んでいるブッキーに話し掛ける。

「傘は……ないんじゃないかしら?ブッキー…」
「?え?さっき美希ちゃんが傘がいいんじゃないかって……」
「でもね、梅雨はもう終ってるし、そうそう必要も無いかなって思って。台風行っちゃえば、またお天気
続くらしいし……」
「本当?……天気予報で言ってた?」
「任せてよ!あたしの勘の方が、下手な天気予報より完璧!なんだから!!」

 ブッキーは一瞬、目を丸くして、クスクス笑い出す。

「何それ~。変な美希ちゃん!!」

 そんなブッキーの笑顔を、あたしは少しだけ、淋しい目で眺める。

「……じゃあ、傘は止めて、こっちの帽子にしようかな……」
「いいんじゃない?……で、どうする?買い物行くの?早くしないと、もう雨が強くなってきてるんだけど」
「!!行けない!こんな風にのんびりしてる場合じゃないじゃない!……美希ちゃん、本当に一緒に来て
もらっていい?……雨……」
「……何よ今さら――いいわよ、ここまで来たんだもの。その代わり、ここは奢ってよ?」

 ブッキーに軽く片目をつぶってみせると、あたしは傘を手に、先に一人で店から出る。
 
 外は雨。
 
 あの時と同じように。
 
 でも、同じ雨が降っているわけじゃない。

 それは分かってる事なんだけど、ね。

 台風が近付いているだけあって、雨はどんどん強さを増すばかりだった。



433:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 12:43:47 oQ3e7LOQ
さるさん防止支援

434:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 12:45:25 6ri0RgHV
                      ○
 雨が、上がった。

 あたしとブッキーは、置いてあったラブのかさで、なんとかぬれずに帰ることができた。
 小さなかさだったから、二人でむりやり入るとキツイ。……でも、いやじゃなかった。
 かさを閉じようとするあたしを、ブッキーが止める。

「なんだかあいあいがさみたいだね、美希ちゃん」
「??ブッキー。あいあいがさって恋人どうしで入るものだよ?あたしたち女の子どうしじゃない」
「美希ちゃんは女の子だけど、いつもわたしを助けてくれるし、はげましてくれるし、まるで王子さま
みたいだから、いいの」

 ブッキーはそう言うと、あたしの肩に頭をのせてきた。
 すごくいいにおい…。なんだかあたしはむねがドキドキするのを感じた。

「重くない?」
「だいじょうぶ、全然重くないよ。ぎゃくになんか気持ちいい……」
「良かった……」

 そう言うと、ブッキーは目をつむった。

「わたしもなんだか気持ちいい感じ…変かな?」
「ううん。さっきブッキー、あたしのこと、王子さまみたいって言ってたけど、あたしも、ブッキ―の
こと、お姫さまみたいだって思ってたもん。……だから、きっと変じゃないよ。」

 あたしは肩にのったブッキーの頭の上に、そっと、自分の頭をかさねる。

「ずっとこうしてたいね」
「わたしもそう思ってた。……美希ちゃん、ずっとずっと大人になっても、わたしの隣にいてね?」
「もちろん!王子さまとお姫さまはずーっと二人でいるんだよ。それで、ずーっと幸せにくらすの!」
「見て!美希ちゃん!虹!!」

 まるであたしたちをお祝いしてくれてるみたいに、空に虹がかかる。

「キレイだね……」
「本当……わたしたちいつまでもいっしょのかさのしたにいようね!」
「わかった!雨の日のやくそく!だね!」


435:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 12:46:09 6ri0RgHV

 あたしたちはゆび切りした。

 
 きっと、このやくそくは、えいえんの、やくそく。


「これでかんぺき!だね!」
「うん!わたし、信じてる!」

 


 あたしたちは、かさを閉じることなく、ずっと虹をながめていた。





                      

                               


                                    了

436: ◆51rtpjrRzY
09/08/22 12:49:37 6ri0RgHV
おしまい。酉付け忘れてた…。
雨の日のお話は何人か書いていらっしゃいましたけど、自分風にやってみました。
支援ありがとうございました。
タイトルは『雨上がりの約束』です。

437:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 12:50:58 oQ3e7LOQ
美希たんが不憫すぎて泣きそうになった。
頑張らなくていいよ美希たん。

438:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 13:14:07 6ri0RgHV
自分も美紀たんには幸せになって欲しいんですけどね…。どうなることやら。
っていうかホントラブラブ書ける職人様方いつも尊敬してます。

439:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 17:15:50 NK++QUv2
またすごい作品がきた。
職人さんGJ!

440:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 17:48:01 qYn5D9aB
美希たんって一番周りが見えてるよな、だからなんとなくみんなの気持ちがわかっちゃって、そのせいで動けなくなっちゃったり動いちゃったり。損、って感じだよなあ…。

美希たんは幸せになってほしい、いや勿論みんなだけど。あああもどかしい!

441: ◆BVjx9JFTno
09/08/22 21:03:49 oQ3e7LOQ
こんばんわ。
ようつべ見てたら浮かんだので投下します。
ドラマも百合も少ないですスマソ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ラビリンスには、音楽というものは無かった。
この世界に来て、初めてその存在を知った。

耳から入り、心に作用するもの。
感触すら、はっきりと思い出すこともある。




     【夜想曲:nocturne】





テーブルの上には、これでもかとばかりに
ご馳走が並んでいた。

庭に面したテラス席。
夜風が気持ちいい。

今夜は、私がラブの家族になって、初めての
桃園家恒例、外食デー。


この間は、いきなりラブに連れて来られた戸惑いと
心の整理が出来ていなかったこともあり、
最初は動揺していた。


でも、
ここで、ラブに教えてもらった。


家族。

笑顔。

そして、幸せ。



442: ◆BVjx9JFTno
09/08/22 21:04:41 oQ3e7LOQ

「せつな、ケーキの種類すごく増えてるよ!」
「本当だわ、どれにしようかしら」

色とりどりのケーキが並ぶショーケースを
眺めていると、とても幸せな気分になる。
その思いを閉じこめなくても良いことが、嬉しい。


顔を上げると、店の中ほどにある黒い塊が目に留まった。
「ラブ、あれは何?」
「ん?...ああ、あれはピアノって言うんだよ」

「ピアノ?」
「うん。とっても綺麗な音がするんだよ。
 今日はピアノ演奏があるから、私も楽しみなんだ。」

「演奏...」


正直、音楽のことはまだよくわからない。
ダンスの練習で聴いている音楽も、まだ体の動きに
意識を集中するのが精一杯で、「1,2,3,4」と
タイミングをとるためのガイドの域を出ない。



443: ◆BVjx9JFTno
09/08/22 21:05:58 oQ3e7LOQ

みんなで囲む食事は、とても楽しく、
時間を忘れるようだ。


優しくみんなの話を聞くお父さん。

空いたお皿の整理や並べ替えを忙しくやりながら
ほうれん草を食べる決心をつけかねているお母さん。

いろんな話をして、朗らかに笑いながら
あっという間にご馳走を平らげるラブ。
ちゃんと噛んでいるのだろうか。

私もみんなと一緒に笑いながら、スープを口に運ぶ。

体にしみわたる、幸せの味。
あの時、家族みんなが気づかせてくれた味。



444: ◆BVjx9JFTno
09/08/22 21:06:59 oQ3e7LOQ

紺色のドレスを着た女の人が入ってきた。

店内に拍手が起きた後、水を打ったように静まった。


「始まるよ」
ラブが私に耳打ちする。


女の人は頭を下げ、ピアノの前に座る。


演奏が始まった。


とても澄んだ音が響きわたる。
穏やかで、静かな音の連続。

ひとつひとつの音が、頭ではなく
胸の奥に届く。

星が瞬く、夜のような情景が心に浮かぶ。
その中に、吸い込まれていく。


そのうち、静かなメロディは響きが暗くなり、
激しさと不安さが増す。

心の中の空は曇り、雨が降り出す。


ふいに、あの時の感覚がよみがえってきた。
感触まで思い出せるほど、鮮明に。



445: ◆BVjx9JFTno
09/08/22 21:08:12 oQ3e7LOQ

......

音を立てて胸の鼓動が止まる。

顔に水たまりの感触がわずかにある。
すべての感覚が急速になくなっていく。


ラブの笑顔が浮かぶ。


まだよ、まだだめ。

もっと、色々、話したい。


ラブの笑顔が、

だんだん、小さくなる。


行かないで。


ラブの笑顔が、遠くなる。


行かないで。

行かないで。


ラブの笑顔が、消える。

......


察したのか、テーブルの下で
ラブが私の手を握ってくる。



446: ◆BVjx9JFTno
09/08/22 21:09:32 oQ3e7LOQ

演奏からは激しさと不安さが次第に消え、
また穏やかな音へと推移する。


心の空の雨が、止む。

雲が切れ、明かりが差し込む。


......

赤い光に包まれる。


意識がはっきりしてくる。


体の感覚が戻ってくる。
足に力が入る。
手に力がよみがえってくる。


そして、

また出会えた。

ラブの笑顔。

......


最後の1音が、静かな余韻を残す。

いつの間にか、涙がほおを濡らしていた。



447: ◆BVjx9JFTno
09/08/22 21:10:47 oQ3e7LOQ

みんなが拍手をする間も、
私の体はまったく動けなかった。

「せつな、大丈夫?」
私の手を握ったまま、ラブが心配そうに
私の顔を覗き込む。

「...うん、演奏を聴いていたら、
 色々思い出しちゃって...」


まだ余韻が残っている。


「これが、音楽...」

「本当に素晴らしいわ。私も感動しちゃった」

目を潤ませたお母さんが、ハンカチを私にくれる。

「せつなちゃんもやってみる?うちにも、小さいけど
 ピアノあるのよ。ラブはすぐにやめちゃったけど」

「にははー」

「明日、少し弾いてみていいですか?」

「ええ、もちろんよ。少しなら私が教えてあげられるわ」



448: ◆BVjx9JFTno
09/08/22 21:12:09 oQ3e7LOQ

レストランからの帰り道は、いつもよりゆっくり歩いた。

お父さんとお母さんはワインを飲んでちょっとご機嫌。
腕を組んで歩いている。

ラブと私は、そのだいぶ後ろを歩いている。


「ピアノ、ロマンチックだったねー」
ラブがうっとりした表情で話す。

「あんなに心に響くなんて、知らなかったわ...」
「またひとつ、幸せゲットだね」


街灯がやさしく道を照らしている。


音楽が心を揺らしたからか、
自然に手が出た。

そっと、ラブの腕に私の腕を絡ませ、
頭をもたせかける。


どこにも行かないでね。

どこにも行かないから。


「やはー、私また幸せゲットだよ。
 せつな、今夜は寝かさないよ。なんちゃってね」

「ふふっ」


少しでも長く、このままでいたくて、
歩く速度をまた少し、落とした。



449: ◆BVjx9JFTno
09/08/22 21:13:07 oQ3e7LOQ

以上です。
ありがとうございました。

せつなと音楽との出会いについて書いてみたかったのです。
元になった曲は、ショパンのノクターン8番。
   ↓
URLリンク(www.youtube.com)

顔はキモイけど演奏は神だとオモ

ピアノを弾くせつなが見たいのは個人的な希望です。



450:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 21:30:28 bJtjCMR6
メビウス様を称える歌も無かったのか

451:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 21:54:36 UlaoCG0J
増えてますねー。帰宅したんでゆっくり読ませてもらいます!

明日のプリキュアはカオルちゃんメインみたいだし、百合ないのかな?

452:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 21:55:46 +KxHMwYn
>>449 きれいな話でした! きれいな話なだけに、ラブやんの今夜は寝かせないよ発言は要らなかったとおも・・・

453:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 22:17:56 yU4R31bc
>>436
片思いマジ切なすぎる・・・。自分を押し殺して。美希たんカッコ良すぎる
よ、美希たん。ブッキー、たまには気づいてあげてよ・・・。

>>449
せつなの感情描写綺麗ですねー。やっぱ繊細なお嬢様・お姫様って感じだ、
せっちゃん。ラブの性欲は無限大w

ここまでの作品、保管しました。自分も投下します。また後ほど

何か1週間早かったwせつながクローバー加入してからフレプリ
楽しみで仕方ない・・・。どんだけ百合脳なんだ俺w

454: ◆BVjx9JFTno
09/08/22 22:18:06 oQ3e7LOQ
>>452

感想ありがとうございます。

通して読み返してみると、確かにこの箇所は
ちょっと余計に思えました。

保管庫の方(保存ありがとうございます)を
少し手直ししました。


455:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 22:19:18 Am24Uyyi
>>418
今更ですが>>412->>414の題名付け忘れてたので一応。
元ネタに敬意を表して「いちごクリームサンド」でお願いします。
まんますぎですが・・・。
いつも保管と投下お疲れ様です。

他の職人さん方も超GJ!
みんなすごいなぁ。今日も楽しませていただきました!

456:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 22:21:17 oQ3e7LOQ
>>453

保管ありがとうございます。
wikiの編集方法が今頃わかったので、少しだけ手直しして
クリーンにしました。

やっぱり、うp前にあと数回読み返さないといかんな俺。



457:MH22S ◆Tp0rBcFpoc
09/08/22 23:25:10 yU4R31bc
【祈里より、愛を込めて】
「ブッキーありがとっ!サイズもピッタリだよ~。家でもずっと着ちゃうからねっ!」


私をダンスユニットに誘ってくれたラブちゃん。嬉しかった。すっごく嬉しかった。
子供の時からずっと、ラブちゃんは私を大事にしてくれた。


「ラブの洋服のサイズ?えぇ。わかるわよ。    あら~?祈里ちゃん、もしかしてラブにプレゼント~?」
「あっ!あ、あの・・・、えっとぉ、・・・ハイ。。。」
ラブちゃんのお母さんと話すのも何故か、緊張しちゃうんです。



ダンスの練習着をプレゼントしよう!そのアイデアが出るまで実は、相当の時間がかかっちゃいました。
最初はドレスなんて豪華な物を考えたけど、これは・・・ダンス違いでした・・・。おっちょこちょいですね。
途中なんかペアルックまで考えちゃう始末・・・。恥ずかしい


「そうだ!買ってプレゼントするよりも作って渡したら、ラブちゃんきっと喜んでくれる!」
ルーズリーフに書いたアイデアを全部消して、〝手作り練習着〟に大きく◎。


それから毎日、学校・ダンスレッスン・おうちのお手伝い・プレゼント製作と怒涛の日々が待っていました。
かなりハードなスケジュールで大変だったけど、不思議と私は頑張れたんですよ~。
これもラブちゃんのお陰かもしれないって。やっと恩返し出来るって。


あ、プレゼントって何をあげようかなーとか、どれを買おうかなーとか思ってる時がイチバン楽しかったりしませんか?
相手の気持ちを考えたりとか、もらったらどんな反応するのかなーとか。


ピンクの生地を切ったり縫ったりするのが本当に楽しかったです。思い出す度にほっぺが赤くなっちゃって。
ラブちゃんの喜んでくれる顔、それだけで私は十分でした。


458:MH22S ◆Tp0rBcFpoc
09/08/22 23:25:50 yU4R31bc
「ラブちゃん!あの・・・、コレ。」

「お?何々~???開けちゃってもイイ?」


「一生懸命作ったの。どう・・・かな?」



「どれどれ~?    おぉ~!!!!!!!コレって練習着!ブッキー作ってくれたの!?」


「うん。ラブちゃんの好きなピンク色だよ。着てくれたら・・・、嬉しいな。」


「くは~、嬉しすぎるよブッキー!早速着ちゃってもイイ!?」


「うん・・・。」
この時のラブちゃんの笑顔、喜んでくれたあの表情。一生忘れないと思う。



「ブッキーありがとっ!サイズもピッタリだよ~。家でもずっと着ちゃうからねっ!」


「私こそラブちゃんにお礼したい。誘ってくれて本当にありがとう。本当に・・・嬉しかった!」


「ブッキー・・・。」



こうして私の人生、初めてのプレゼントは無事に成功しました。作って良かった~。


あ、いけないいけない!「大好きな人」へのです。


459:名無しさん@秘密の花園
09/08/22 23:30:36 yU4R31bc
ブッキーが加入した頃の短編を改造してみました。もちろん
美希verもあり。また暇な時にでも。

フレプリまであと9時間かwようやく関西は見れるのかな?
百合度マックスになって欲しい・・・。
こっちも明日カオルちゃん回です。百合あんのかなw

460:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 01:13:38 LZiI1Xhu
>>441さん、相変わらず美しいすぎる。
それなのに、こんな美しいSSを読んでエロい妄想を爆発させるダメな自分。


でも、もう書いちゃったし勿体ないから投下する。

461:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 01:14:16 LZiI1Xhu
耳を打つ雨の音でラブは目を覚ました。時計を見ると0時を少し回った所。
せつなの部屋へ行くつもりだったのに、つい眠ってしまったらしい。
ベランダへ出ると風向きのせいで少し顔に飛沫がかかる。
そのままそっとせつなの部屋へ滑り込む。


「…せつな、起きてる?」
ベッドの傍まで行き囁くように声をかけると、せつなは身を起こして
ラブの腹のあたりに顔を押し付けてくる。
「せつな…。」
髪を撫でるとラブの腰に腕を回したまま、せつなは顔を上げ、
潤んだ視線でキスをねだる。


体の奥から情欲が湧いてくる。唇を啄みながら自分もベッドに倒れる。
パジャマの裾から手を潜り込ませ、掌で乳房を包み込む。
せつなの肌はもう熱く火照っており、まだ触れてもいなかった
乳首が固く尖り、既にせつなの体は準備が整っている事を告げていた。



「…今日はエッチな方のせつななんだね。」
ラブはわざと少し笑いを含んだ声で囁く。
体の関係になって、もう随分たった。
せつなは未だに不慣れな処女のように恥じらい、
快感に呑まれるのを怖れるよう声殺し、それでも堪えきれない
快感に押し流され、あられもない声をあげて、泣く。


でも時々、我を忘れてラブを求め、乱れる事がある。
(…ねぇ、ラブ…もっと…!お願い…足りないの……!
……もっと…お願いだから…!)
潤んだ瞳でねだられ、そんな時はラブもいつも以上に貪欲に、
どんな快感も逃がすまいとお互いに貪りあう。


今夜のせつなもそうだ。
ラブの問いには答えず、ただ体を擦り寄せ
愛撫の先を促す。

462:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 01:15:36 LZiI1Xhu
「いつも雨の日だね…。」


この頃気が付いた。せつなが乱れるのは、決まって今夜のような雨の夜。
激しく乱れ、甘い声でラブの耳を楽しませ、意識を失うかのように眠る。

まだ荒い息のせつなは目を伏せ、ラブの胸元に頭を寄せる。



「……眠るのが怖いの…。」

雨の夜は眠りに就くのが怖いのだ、とせつなは言う。


「…このまま目が覚めないんじゃないかと思うの…。
もし覚めても、そこはこの部屋じゃなくて、あの洋館だったら…。
私はイースのままで、今までの事が全部夢なんじゃないかって……」


そう思うと恐くて眠れない…。だから…他に何も考えられなくなるくらい、ラブでいっぱいになりたい。
これは夢じゃない。体中でラブを感じて、気絶するように眠って、
目が覚めてもラブが傍にいる。

そうして、やっと安心できる。夢じゃないって。



雨の中で、イースとしての最期を迎えた。
深い闇へ堕ちて行くような記憶は、いつも雨音と甦る。
生まれ変わった喜びと背中合わせに、いつまでも消える事はない。



「……ごめんなさい。」

胸元にせつなの涙を感じる。
せつなの闇は深く、重く、でも切り捨てる事はできない。
謝る必要なんかないのに…。もっと、求めてくれたっていいくらいなのに。



「せつな…愛してるからね。」
ラブは精一杯の愛しさを込めて囁く。
せつなの体が震え、しゃくり上げる声が聞こえる。


「せつなも、パッションも、………イースも……みんな、愛してるから。」



あたしは、ただ抱き締める事しかできない。
でも…、せつなを誰よりも誰よりも愛してるから。

だから、これからは我慢せずに泣いて欲しい。
いつか、あなたが闇の夢を見なくなる日まで。




463:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 01:18:02 LZiI1Xhu
以上!!勢いで書いた。後悔はしてない!

ちなみに自分は黒ラブ書きです。

464:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 04:37:04 kLJ2HbGC
GJです!

465:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 06:41:44 IRlRYaZe
幸せゲットしました

466:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 07:50:02 Ba8miWIR
>>462
朝からGJ言わせていただきます!!は~、やっぱりラブラブいいよラブラブ…。
    
>>427のオチが分かり辛かったので、少しwikiいじらせていただきました。
推敲不足の未完成なもの投下して本当にすいませんでした。
感想くれた方々、ありがとうございます。

467:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 08:24:53 HUVeKe4s
>>460

ありがとうございます。
私も時々、生々しい表現が加速してしまいます。

>>461->>462も楽しませていただきました。
何か、文がなめらかになった感じがします。

ラブせつはあまりにもドラマチックな繋がりだから、
共依存になりそうwww


468:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 11:12:50 ZiGD6lAr
>>462
エロ&ラブなラブせついいわー
ラブでいっぱいになりたい、とか最高だ

469:286
09/08/23 12:11:57 L50zzDZ8
ラブ「ゴクゴク…美味し~ぃ!やっぱり暑い時はジュースだよね!」
せつな「ラブ、何飲んでるの?」
ラブ「これ?とろける桃!ピーチジュースだよっ」
せつな「美味しそうね。よかったら私にも頂戴」
ラブ「あちゃ、これが最後なんだよね。飲み掛けでいいならどうぞ!せつな!」
せつな「こ、これって間接キ…!精一杯、いただくわ!」
ラブ「でもさー、最初は美味しいけど、後になればなるほど味に慣れちゃって美味しさ半減だよね」
せつな「そう、ね。じゃあこれならどう?」
ラブ「?せつな?…ンむむっ…!」
せつな「…ぷはっ。も、桃とパッションフルーツのミックスジュースの口移し…どうかな?」
ラブ「そ、そりゃもう超美味しいよ!せつなの味がたまらなく甘美…」
せつな「し、幸せギブユー…」
ラブ「ワハー!」

おまけ ~黒ルート~
ラブ「でも、せつな口移しなんてよく知ってたね」
せつな「ええ、ブッキーに教えて貰ったの」
ラブ「…え?」

おまけ ~変態ルート~
ラブ「せつなの口移しのお礼にこんなんやってみました~」
せつな「ちょ、ラブ!何よこれー!?やん、ジュース冷たい…!」
ラブ「これ?わかめ酒だよ。日本の伝統美!」
せつな「こ、これも伝統美なの!?嘘でしょ!?」
ラブ「説明してるとジュースが温くなっちゃうから、早速いただきまーす」
せつな「あひぁ!ちっともお礼になってないじゃなーい!」
ラブ「ワハー!フレッシュ果汁ゲットだよ!」

自分は黒ラブも変態ラブやんも大好きです。

470:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 12:53:28 nbBNQ1IO
どんだけラブ変態なのよwワハーってなんか面白いな。
ちゃんと保管しますよー。

今朝までの保管しました。職人さん、いつも投下ありがとう!
あ、今日は百合度少なくて王子まで出ちゃったもんだから・・・。
俺病んできたなw

また今夜投下しまーす。

471:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 13:24:38 QlTCzKea
いろんなSSあって楽しいよ。投下も管理もみんな乙です。

大輔やら王子やら、百合好きにはちょっと苦痛な展開になってきたなw

472:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 13:51:23 QIGONn/Z
どうして俺はこうも黒ラブに惹かれるんだろう
大輔や王子は逆に燃料にするぐらいの気概でいこうぜ

473:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 14:28:48 HUVeKe4s
百合好きには
今は耐え時なのか...


474:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 15:37:51 ihb9lINa
正直、同居決定の回をピークに百合萌え度落ちてきたなぁ
せっかく美味しいシチュ用意した割に宝の持ち腐れと申しますか…
妄想もいいが、公式でもっと見たいんじゃーい

475:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 17:41:07 nbBNQ1IO
そこで、9月からの学園生活がポイントになる訳ですよ。
大輔とラブ喧嘩。せつなが原因でさらに悪化。ラブはせつなを
選ぶなんてシチュ来たらもう俺は朽ち果てるw

あ、SS作れるねこれでw

476:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 18:04:47 ZiGD6lAr
>>472
せつなが王子に萌えるのを見て「相手は子供じゃない」と
自分に言い聞かせながらもイラついちゃうラブさんを想像したら耐えれたぜ

477:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 18:14:56 QlTCzKea
美希たんやブッキーはどうするんだ。9月は学校編?始まれば出番が…。もっと百合ってくんないとFUKOが溜まるぞ!

478:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 19:08:14 0vz2kLHR
>>475
いいね。今から作るわw

479:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 19:09:06 0vz2kLHR
間違えたw
>>476の方だった

480:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 21:46:16 gHzsTGP+
ここの住人のハングリー精神は並々ならぬものがあるな。

481:MH22S ◆Tp0rBcFpoc
09/08/23 21:54:56 nbBNQ1IO
そりゃそうさ。だってみんな精一杯頑張ってるんだから。
さ、王子下がって下さい。あ、もう少し。いや、もっと。もっともっとwww


【至福の時間、幸せの空間】
最近、私にはちょっとした楽しみが増えた。
私だけが味わえる、ほんの一時の幸せ。
愛してるあなたの顔を鏡越しで見る至福の時間。



「ラブ・・・、今日もいいかな?」

「お~、来たかぁ~。もっちろん、OKだよ!さ、どうぞ。」


お風呂上がり、私はわざと髪を不完全に乾かしたままラブの部屋を訪れる。
あゆみお母さんには内緒だけど、私のために買ってくれたシャンプーやリンス、実は使ってない。

ラブと一緒のをこっそりお小遣いで買っている。勿論、ラブにも内緒で・・・。

「せつなぁ、もう少し水分拭き取ってからおいでよぉ。パジャマちょっと濡れてるよ?」
最初は心配してくれてたラブも次第に呆れたり、困ったり、ちょっぴり怒ったり。
そんな顔を鏡越しで見るのも幸せに思えて。

「ごめんなさい。ラブが乾かしてくれると思うと何だか焦っちゃって・・・。」

「照れるからやめてよ~。」
そう言って、顔をほんのりピンク色に染めるラブがとても可愛い。


「せつなの髪ってほんとサラサラしてるよね。羨ましいなぁ~」

「サラサラしてないとダメなの?私はラブの髪、好きよ。」
髪だけじゃなく、笑顔も声も暖かい心も、みんな好き。私を大切にしてくれるラブが一番好き。





482:MH22S ◆Tp0rBcFpoc
09/08/23 21:57:06 nbBNQ1IO
「ここんとこずっと気になってたんだけどさぁ。」

「何?」

「せつな、シャンプーかリンス変えた?」
そう言って私の顔を覗き込む。ドキっとするぐらい近くにラブを感じる。

「ど、どして?」
別に焦る必要は無いんだけど。やましい事をしてる訳じゃないのに。ちょっぴり自分が面白い。

「ドライヤーしてるとわかるんだ~。せつなの髪の匂い。すっごくいい匂いなんだよ~。」

「ほんと?何だか嬉しいな・・・」
私はどこか照れくさいと言うか、再び鏡越しにラブの顔を確認して。勿論、ラブは私に微笑みかけてる。



「はい!終わったよ。」
至福の時間はあっという間に終わってしまう。あまりにも短く感じてしまうのは何故なんだろう。

「ありがとラブ。いつもごめんなさい。」
「うぅん。また明日もおいでよ!いつでもせつなだったらウエルカムなんだから!」


「ねぇラブ・・・」

「ん?」

「今度は・・・、私がラブの髪を・・・」
真正面からは恥ずかしくて言えなかった。鏡越し、ラブが何だか遠くに感じる。すぐ後ろにいるのに。

「お願いしてもイイ・・・かな?」
ラブの顔がまたピンク、いや赤く染まってるのが私にはわかった。お互い照れてるのも楽しくて。


「でも私はちゃーんと髪を乾かしてくるからねっ!」

「嫌よ。」
「ちょっとぉ・・・」
困惑気味のラブをよそに、私はこう呟く。




「・・・待ちきれないから・・・」



「せつなのいじわるぅ~。」

「ふふ。ごめんなさい。」



私の至福の時間。幸せの一時。お互いを大切な存在だと確認出来る空間。
ラブ、今度は私の部屋でね。

~END~



483:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 22:01:30 nbBNQ1IO
9月からの学園生活で、ラブせつネタは増えると思うのです。
>>477さんのように、美希ブキが削られるのが心配ですよ。
やはり公式に百合ネタが放送されないとキツいっすよね。

484:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 22:29:24 HUVeKe4s
>>482

GJです。ほんわかしていい雰囲気ですね。
色んなところからネタ出せて羨ましいです。


485:478
09/08/23 22:49:51 0vz2kLHR
世界陸上とか見てたら遅くなったw
とりあえず作ったよ。尻切れだけどねー

486:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 22:51:39 0vz2kLHR
――本日午後、行方不明となっていたメクルメック王国のジェフリー王子が無事に…

「あら、良かったわねー」
夕飯の片づけをしていた手を止めて、あゆみママがTVから聞こえてきたそのニュースに思わず声を上げた。
なんといっても四ツ葉町で起きた大事件。あゆみさんだけでなく、それはもう町中の関心事だったのである。

――しかし残念ながら、家宝の『ポセイドンの冷や汗』は騒動の合間に割れてしまい…

「まあ勿体無い。でも不思議ね。家宝がそんな事になった割には、王様も王女も王子も、
なんだか皆嬉しそうな顔してるじゃない。どうしてかしらね?」
「ど、どーしてだろーね、せつな!?」
「そうね、どーしてかしらね!?」
突然振られた言葉に、ラブとせつながギクリと顔を見合わせた。
もちろん理由は知っている。それは宝石なんかよりもずっと大切な、ずっと価値のある物を
三人が確認できたからだ。
だけどそれは王子達とプリキュア(あとカオルちゃん)しか知らない秘密。
答えなんか言えるはずも無く、結局笑って誤魔化すしかないのだ。

「まあ分からないわよね」
とは言え、娘達にそんな秘密があるとは当然あゆみさんは知るはずも無く、一人で納得すると
「それにしてもこの王子の笑顔可愛いわねー。見てるだけで幸せになっちゃう」
と、次のニュースに切り替わったのを確認して、お勝手口へと戻って行った。


487:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 22:52:49 0vz2kLHR
「もうお母さんたらドキドキさせるんだから~」
母の姿が見えなくなったのを確認して、ラブがホッと息を吐いた。
そしてそれは、どうやらせつなも同じだったらしく、互いに聞こえた安堵の音に可笑しさを感じて
アハハと笑いあう。
「でも、お母さんも言ってたけど、ジェフリーの笑顔って本当に宝物だよね」
「そうね。あの宝石よりもずっと輝いてたわ。笑顔ってあそこまで人を幸せに出来るのね」
「あれ?せつなも幸せになったの?」
確かあの時は違うって言ってたのに、とラブが聞く。
「あ!その…まあね。一応は」
「へえ…」
とせつなを見るラブ。それから、ポツリと言った。
「あたしといる時よりも幸せ感じた?」

「え?」
「せつなはあたしといる時よりも幸せ感じた?」
なんでこんな事を聞いたのかは自分でも分からなかった。
わざわざ聞く事では無いし、大体が比べるような事でもない。でも、何故だか聞かずには居られなかったのだ。
それは確認したかったのかもしれない。しかし
「そうね」
ガツンとした衝撃が、ラブの体を突き抜けた。
「そうだったかも知れないわね」
「そう…なんだ…」

ニュースではもう一度ジェフリーの話題をやっていた。そこには彼の天使の笑顔が再び映し出されている。
でも何故だろう。さっきまではあんなに可愛いと思っていた笑顔なのに、今は胸がギュッと痛くなる。

488:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 22:54:23 0vz2kLHR
ひょっとしてあたし、こんな小さな子に…?
ウソ、ウソだよ。だってせつなが幸せになってくれるのは、あたしにとっても幸せで…。
だけど、でも、あたしと居るよりもせつなが幸せだなんてそんな事……

頭の中で思いがグルグルとごちゃ混ぜになって行く。
どうしたらいいのか分からなくなって、胸の奥が熱くなって行き――
「なんてね」
クスリとせつなが笑った。
「ラブとは比べられないわ」
「え?」
「私にとってはラブの笑顔が一番の幸せの素。だからそんな顔しないで」
そしてそっとラブの頬へと手を添える。
「ばか」
思わず憎まれ口が出た。
だけどそのまま、ギュッとせつなに抱きついた。

「ラブ…」
「せつな…」
見詰め合う二人。視線は情熱的に絡み合い、互いの呼吸すら感じられる。
そしてその雰囲気の中、互いの唇がどんどんと引き寄せられて行って……

「あなた達、なんで抱き合ってるの?」
「――!?お母さん!?」

なんとかTVの怪談話のせいにしてもらいましたとさ。


おしまい

489:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 22:56:13 0vz2kLHR
しかしもっとギャグ調になるはずだったのにおかしいな

こんなはずじゃなかった・・・こんなはずじゃ

490:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 23:18:23 QlTCzKea
>>481
いいわこの雰囲気。恥じらうトコとかまだ中学生だよねー。さすが職人、毎日あなたの読んでまっせ!

>>486
早速今日ネタあざっす!百合好きの不満払拭してくれたよ。あゆみママン、空気嫁w

491:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 23:29:13 XP9gf7i1
URLリンク(up2.viploader.net)
わは~っ! ピーチにベリーにパインのタルトゲットだよ!
家族も大喜びでさらに幸せゲットだよ!

パッション分は今夜せつなの部屋でゲットだよ!

492:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 23:31:03 jKaqJjl7
>ラブがホッと息を吐いた

ラブホがどうかしたのかと一瞬・・・
こんな自分が嫌だ

493:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 23:32:23 0vz2kLHR
>>491
グリルクローバーで買ってきたのか?
美味そう

494:名無しさん@秘密の花園
09/08/23 23:44:18 gagzd8+7
せつなが王子に(可愛いー…!)となった時に、お前の方が何千倍も可愛いわと思ったのは俺だけか。

今回は確かに百合分は少なかったけど、四人がずっと一緒にいてくれて嬉しかったな。みんなで白くなったりした場面はもうにやにやっしっぱなし。私服相変わらず可愛いしな! あと作画も安定してて良かった。
フレッシュ好きすぎて終わるのが惜しいよ…死ねる…、二期あるのかなあ…。

495:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 00:22:49 yVjmMdx5
近所で花火をやっているという安直な理由で書いたSS、良かったら読んでください。

【小さな灯火】
(1)
「し~んぱいないって! ……だいじょ~ぶ、美希たんのママが付いてきてくれるから!
 よくバーベキューやってる人がいる、あの河川敷だよ。ね、行ってもいいでしょ?」
電話越しの母に、ジェスチャー混じりの熱弁をふるうラブの姿を、せつなはじっと見ていた。
『今夜、花火やらない? なぜか、ウチに余っちゃってるのよね』
ダンスレッスンの帰り際、美希の提案に目を輝かせたラブと祈里の姿が瞼の裏によみがえる。
ラブの説明によると、美希が言うハナビはお祭りの夜に見たそれとは似て非なるものらしい。
『う~ん、きれいな光ってのは一緒なんだけど、あの時の花火よりずっと小っちゃくて、手に持ったり、床に置いたりして……。
 とにかく、楽しいよ!』
今ひとつ釈然としないものの、熱心に母に頼み込むラブを見ていると、きっと胸躍るものだろうとせつなは思った。
ラブが勧めて、せつなが心を動かされなかったものは今のところ、只の一つもない。
「……うん、うん、ありがとう! 行ってきます!」
振り向いたラブの満面に浮かぶ笑顔が、せつなにはまぶしい。
「お母さん、花火に行ってもいいって! 幸せ、ゲットだよ!」
「そう」
素っ気ない返事に気を悪くする風でもなく、ラブはせつなの手を取った。
「じゃ、行こっか! ……って、タッハー! もう、こんな時間!?」
「お母さんの休憩時間まで、電話を待たなきゃいけなかったものね……」
「あそこまで、結構遠いし……。せつなぁ、こんな時こそ……」
「わかってるわ」
二人はポーチに出て戸締まりを確認し、せつなは懐からリンクルンを取り出した。
「河川敷へ」
念じた瞬間、ラブとせつなの姿が淡い光りに包まれる。
「……あ~、よう寝たら腹ァ減ったわ。……ピーチは~ん? パッションは~ん、どこでっか~?」
二階から発せられている声は、忽然と姿を消した二人の耳には届かなかった。

496:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 00:23:52 yVjmMdx5
(2)
「あ、美希たんちの車!」
河川敷に着いたラブは辺りを見回すと、止まっているワゴン車に向かって歩を進めた。
見当通り、見慣れた影が車の近くにあって、二人に気付いた祈里が駆け寄ってくる。
「こんばんは、ラブちゃん。せつなちゃん」
「こんばんは、ブッキー」
「遅くなってごめんなさい」
律儀に頭を下げるせつなに祈里は慌てたように両手を振った。
「いいの、いいの。私は車に乗せてもらったから早く着いたんだし、花火だってまだ準備中だし」
「そう……。花火って、どんな準備がいるの?」
小首をかしげるせつなに、車の反対側から答える声がある。
「まずはマッチとローソク、それに風除け」
「あとは水を入れたバケツかしらねぇ」
蒼乃母娘が姿を現して、全員が揃ったことを互いに確認した。
「こんばんは。あなた、せつなちゃんだったわね? 改めて見るとホント可愛いわねぇ」
「は、はぁ……。ありがとうございます」
上から下まで自分を眺める視線に妙な迫力を感じて、せつなが一歩後ずさる。
「あ~っ! せつなが可愛いからってヘアメイクのモデルにしちゃダメですよ、アフロとか」
「もう、ラブちゃん、そんな昔の話なんかしちゃイ・ヤ」
じゃれ合うレミとラブの前で、せつなはかすかに眉をひそめる。
(アフロって、何?)
そう思ったものの何か嫌な予感がして、せつなは質問するのを止めた。
「それじゃ、花火は車の中にもたくさんあるからジャンジャンやってね。
 ジュースもあるけれど、おばさんのビールと間違えて飲んじゃダメよぉ」
「ちょっと、ママ! ママがお酒飲んじゃったら、帰りの車はどうするのよ!」
「大丈夫よぉ、代行運転を呼ぶし、ラブちゃんたちにはタクシーで帰ってもらうからぁ」
そう言いつつ、レミはいつの間にか手にしていた缶ビールのタブを開けると中身を一息にあおった。
「はぁ~、風流、風流」
「……ママのことはもう良いから、私たちも始めましょ」
ご満悦のレミを尻目に、美希は火をつけたローソクを少し傾けて、したたり落ちたロウの上に本体を固定させる。
手慣れた感じで準備を進めるラブたちを前にしつつ、自分だけが何をすればいいかわからない。
胸の奥にじわりと広がる黒い染みに、せつなは気付かないふりをした。

497:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 00:24:44 yVjmMdx5
(3)
「わぁ……」
嘆声を漏らす祈里の側で、せつなは声もなく、手持ち花火片手にはしゃいで駆け回るラブの姿を眺めていた。
筒から溢れる色とりどりの光がラブの動いた軌跡をなぞり、闇に溶けていく。
美希が置いた小さな紙の箱から光が溢れかえって、辺りを鮮やかに照らす。
祈里が投げた環状の花火がシュルシュル音を鳴らしては、忙しく動き回って祈里自身を驚かせている。
「せつなもやってみなよ!」
ラブに手渡された棒形の花火の先端を、恐る恐るローソクの先に近づける。
パチっと音がして、手元に寄ってくる輝きの美しさにせつなは顔をほころばせた。
「どう、せつな。花火って楽しいでしょ?」
「ええ、とっても楽しい。……それに、驚いてる」
「あんまり、きれいだから?」
「うん……。それもあるけれど、こういうことを楽しいと思える自分に驚いてる」
火薬が燃え尽きて、せつなが手にしている花火から輝きが消えた。
手元に残された煤けた竹ひごを、バケツの中に入れるとジュッと僅かな音がする。
「目を灼く閃光、耳をつんざく轟音、こびりつく火薬の匂い……。それは私が不幸を集めてきた場所に溢れていたモノだから。
 そんなモノからでも幸せを生み出せる、この世界の人たちは素敵だなって」
せつなが瞼を伏せても、瞳の奥にたたえた憂いは深いことがラブにはわかっていた。
「せつな……。あの頃のことを、気にしすぎちゃダメだよ」
「ありがとう。……ラブに出会う前の私なら、花火を見ても資源の浪費としか思わなかったでしょうね」
「せつな」
ラブが何かを言いかけたとき、車の方から身も世もない声が聞こえた。
「ウ~ィ、美希ちゃん、水。水ぅ~」
「ママったら、放っておいたら何本飲んでるのよ。ブッキー、悪いんだけどお水買ってきてくれる?」
「え、うん!」
駆け去る祈里の背中を目で送って、美希は花火が入った紙袋を差し出した。
「そんなワケで、ラブ、せつな。そろそろお開きにしないといけないから、シメの一本を選んで」
「うん。シメって言ったら、やっぱコレでしょ!」
ラブが手にしたのは、せつなが目にした中で最も細く、棒状ですらなかった。
「これも花火? 細い紙を縒っているの?」
「線香花火っていってね、これは静かに見守るのがイイんだ……よっ、とっ」
しゃがみ込んだラブがつまむようにして持つ、花火の先端に膨らんだ赤い玉が不安げに揺れる。
それを見た美希は苦笑混じりのため息をついた。
「とにかく、じっとしているのがコツよ。じゃ、ローソクも消すから終わったら来てね」
「う~ん、じっとしているのってニガテだけど、最後まで見たいし……」
「要は動かなければいいんでしょ」
そう言ってせつなはラブの側で膝を折ると、自らの左手をラブの肩に、右手をそっとラブのそれに重ねた。
「わわっ」
「ラブの支えになるように、私も精一杯がんばるわ」
ひやりとして、滑らかなせつなの肌の感触が伝わってラブの鼓動が高鳴る。
「顔が赤いわよ、どして?」
「な、何でもないよ~。何でも」
ラブの態度を訝しみつつも、せつなは、いつしか火花を発するようになった赤い玉をじっと見つめた。
果実のように熟し、激しく火花を散らす赤い玉の勢いは長くは続かないということが、せつなには感じられる。
存在を証明するために、我が身を焦がして得た、禍々しい刹那の輝き。
生まれ変わっても、消え去ることは無い自らの所行をせつなは思い出していた。

498:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 00:25:58 yVjmMdx5
(4)
「せつな、せつな」
「……ラブ?」
気がつくと辺りは暗闇になっていて、耳元ではラブが自分の名を呼んでいた。
「ちょっと顔色が悪いような気がするけれど、大丈夫? 暗くなったから恐くなっちゃったとか?」
たははと笑うラブの横顔にかける言葉がない。
ラブの身体を離し、残されていた燃えかす入れのバケツのハンドルを掴んでせつなは立ち上がった。
「は~い、それじゃ今夜はここで解散。ラブちゃんたちとぉ、祈里ちゃんはこれで帰ってねぇ」
ひとしきり後片付けを終わらせた一行の前で、へべれけになったレミがラブと祈里にタクシーのチケットを渡す。
「それじゃ、また明日ね」
「お休みなさい」
美希たちに手を振って車が動き出した後、二人はしばらく無言だった。
窓外で流れていく街の灯りは先ほどまでの光のようには、せつなの心に届かない。
「あ、ここでいいです」
唐突にラブが運転手に告げて、車が止まった。ラブに引っ張られるように車から降りると、生暖かい空気が全身を包んだ。
「どうしたのよ、ラブ。家まではまだ遠いわよ?」
「ん~。少し、せつなと歩きたいな~と思って。イヤだった?」
「そんなことはないけれど……」
歩き出したラブを軽く追いかけて、隣に並ぶ。
街灯が道を照らしていたものの、人通りが少ないこの道は夜に少女が歩くのに適しているとは思えない。
やはりアカルンで、せつながそう言いかけたとき、無言だったラブが口を開いた。
「変なコト聞いちゃうみたいだけど……。せつなは、さ。暗いのが恐い?」
「本当に、変な質問ね」
「たはは、ゴメンゴメン。せつなが、そんなの恐いわけ……」
「恐いわ」
ラブの言葉を遮って、せつなが短く答えた。
「私は闇が恐い。暗いところに一人でいると、私の中に残された闇が知らない内に拡がって……。
 最後には私を塗りつぶして、また、あの頃に戻してしまう気がする。私は私でなくなるのが、恐いわ」
「そっか……。じゃあ、明るいのは?」
「今夜のラブはなんだか意地悪ね……。強い光は私の過ちや弱い心を暴き立てるような気がして、少し苦手」
「う~ん、難しいモノだね……。花火の時にせつなが難しい顔してたから、何か相談に乗れないかなって思ったんだけど」
「大丈夫よ。ラブはもう、私の力になってくれている」
「えっ!?」
「ラブが、私にも幸せという光を分けてくれたから。小さいけれど、優しくて暖かい光を。この光がある限り、私は大丈夫」
「そうなんだ……流石、あたし! 正直、よくわかんないところもあったケド、せつなが幸せならあたしも幸せ!」
「ふふっ、ラブらしいわ。それじゃ、遅くなったことだし。アカルンを……」
懐を探ろうとしたせつなの手を、ラブがとっさに掴んだ。
「ううん……。歩こうよ!」
「ラブ……」
「歩こうよ、暗い道でも……時間がかかっても……二人で!」
「ええ……。そうしましょう」
つなぎ直したラブの手から伝わる温もり。また少し大きくなった、胸の奥の灯火。
(花火の光は闇に溶けてしまったけれど、この光はきっと)
せつなは空いている右手で、自らの胸を軽く抑えた。
それほど速く歩いているわけでもないのに鼓動が早くなっていくのがわかって、せつなは少しだけ頬を朱に染めた。

499:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 00:29:06 yVjmMdx5
終わりです。百合百合な感じを出すのは難しいですね。

500:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 01:43:25 pnKwM+t4
とてもせつならしくてGJです

501:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 05:15:11 n+6BAUBX
くっつきすぎず、でもご褒美なシチュエーションはちゃんと抑えていて
絶妙な百合加減。ご馳走様でした。


502:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 07:25:00 BbpOWjv4
闇と強い光云々にとても惹かれた、せっちゃん…!

503:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 11:29:20 pSvFJ9jX
572 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/08/24(月) 06:09:53 ID:oKiF4sr0
31話 ラブと大輔 仲直りのしかた!(9/6)
せつながラブと同じクラスに転入。
ラブを好きな大輔は、ラブがせつなばかり構うのが気に入らず、ついにはラブとケンカに。
32話 さようなら!タルトとシフォン!!(9/13)
タルトとシフォンがスウィーツ王国へ帰還。
同行したラブたちは、タルトが王子様で、フィアンセまでいると知ってビックリ!

33話 せつなの恋!ドキドキ大作戦!! (9/20)
34話 インフィニティ現れる!明日を取り戻せ!!(9/27)


504:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 11:36:12 JLeKuRru
こっちにも貼りやがったかwウソネタだよ。34話は美希せつの話だし。

公式かネタバレスレ行けば嘘だとわかるはず。

俺は見事に釣られたけどw

505:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 11:36:58 n+2HG+0W
ここまでバレ来たのかよ。
本スレじゃウソバレ扱いだったけど>33話

506:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 11:40:34 QcrNDIgV
34話じゃなくて33話じゃない?
美希せつ回は漫才で消化したのかと諦めてたから楽しみ

507:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 12:13:35 JLeKuRru
33話だっけ、すまん。
今後も百合じゃない展開が続くのは正直辛いが…

508:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 12:26:43 n+2HG+0W
31話 ラブと大輔 仲直りのしかた!(9/6)
せつながラブと同じクラスに転入。
ラブを好きな大輔は、ラブがせつなばかり構うのが気に入らず、ついにはラブとケンカに。
そして二度とラブの前に姿を見せる事は無かった。

これでおk。美希せつ回来るんだからそれに期待しようぜ。

509:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 13:20:17 FhWDI0WD
>>508
あらすじで話の終わりまで言ってんじゃねーかwww

510:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 13:54:06 giKN1w4z
33話 せつなの恋!ドキドキ大作戦!! (9/20)

どうやらせつなには好きな人がいるらしい……。
寂しさを感じるラブだったが、せつなの幸せゲットのために恋の手助けをしてあげことに。
ところがどっこい、せつなの好きな相手とはラブのことだった。ワハー!

511:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 13:59:43 JLeKuRru
それが実現したら俺泣いちゃうよwもち嬉し泣きでな。

美希せつ話、今からワクワクしちゃうぜ!

512:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 18:34:37 p/DaiX2o
>>504

よかった

33話が本当なら自殺するところだった



513:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 19:13:28 mLqbd4Hc
美希「聞いてラブ。大輔なんて奴は最初からいなかったのよ!」
ラブ「最初からも何も、そんな人知らないよ」
せつな「ラブぅ、そんな事より早くお風呂一緒に入りましょう?」

514:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 19:41:57 uI3oTHP5
大輔叩きはそれくらいにしなよ

大輔が嫌ならスルーすればいいじゃないか

515:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 19:56:43 w/47NELY
もしガッカリなことになっても叩いたり嘆いたりはこの板だけにしとこうや
そもそも百合アニメじゃないのだから我慢せな

516:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 20:02:30 6Zqw2cqz
対象年齢がアレだから俺たちのことを考えてくれるはず

517:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 20:04:32 p/DaiX2o
>>512

俺のID大輔かよ畜生


518:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 20:05:47 JGOewLn5
俺とかうざいな

519:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 20:33:19 72FYmDZT
関西人で3週間もフレプリが見れずFUKOでした。
ようやく見れるようになったので記念投下。
せっちゃんの浴衣姿、イイ!

以下、妄想シリーズ「作戦その45発動!」の続きを投下します。
想いを遂げた二人は晴れてラブラブのバカップルに。
タイトルは「妄想事後 美希の苦悩」です。
相変わらず稚拙な文章ですが、読んで頂ければ幸いです。
エロなし。美希たん視点。

520:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 20:33:38 72FYmDZT
-おかしい。
あたしはジュースを飲みながら、目の前でドーナッツを食べる二人の少女を眺める。

今日は久しぶりのダンスの日。といっても、みゆきさんはお仕事でここにはいない。
今日はあたしたち4人の自主練習のようなものだ。
お盆とかいろいろあってしばらくお休みしてたけど、
夏合宿で新しい振り付けも覚えたことだし、
新学期が始まる前にみんなで合わせよう、という事で集まった。
今はちょうど休憩中で、みんなでカオルちゃんのカフェでドーナッツを食べている。

ダンスは久しぶりだけど、夏休み中みんなで集まる機会は多かった。
夏祭りだって行ったし、ついこの間も4人でお買い物に出掛けたばかりだ。
その時はいつも通りだったはず。それなのに-。

「はい、せつな。あたしのチョコドーナッツ、半分あげるね!」
「ありがとう、ラブ。じゃあ私のメロンドーナッツも半分食べてくれる?」
「もっちろん!・・・はい、せつな。あ~んして?」
「ラ、ラブ。こんなところで・・・。みんなが見ているわ。」
「・・・せつなは、あたしにドーナッツ食べさせられるのは、いや?」
「そ、そんなことあるわけないじゃない!・・・じゃ、じゃあ、私もラブに食べさせてあげるわね?」
「やった~!はい、せつな。あ~ん!」
「はい、ラブ。・・・あ~ん。」
「モグモグ・・・。ん、おいしい!せつなに食べさせて貰うと一段とおいしく感じるよ!」
「そう?よかった。ラブの食べさせてくれるドーナッツも、とてもおいしいわ。」
「なんたって愛情た~っぷりだからね!モグモグ。」
「ラブ・・・。ありがとう。」
「ん?急にどうしたの、せつな。」
「私、知らなかった。ラブにドーナッツを食べさせて貰うことが、こんなに幸せなことだったなんて。」
「おおげさだよ、せつな。あたしは自分のやりたいことをやっただけだよ。」
「ううん。ラブは私にまた一つ幸せを教えてくれた。だから今度は私が、ラブを幸せにしてあげたいの。」
「えっ?」
「今夜の晩御飯は、私がラブに食べさせてあげる。・・・ダメ?」
「ほ、ほんと!?やった~!今夜も幸せゲットだよ!」
「うふふ。ラブったら。」
「・・・ね、せつな。」
「なぁに?ラブ。」
「ううん。呼んでみただけ。」
「そう・・・。あ、あのね、ラブ。」
「なに?せつな。」
「・・・ううん。私も、呼んでみたかっただけ。」
「せつな・・・。」
「ラブ・・・。」

ずっとこの調子だ。
同じようなやりとりを、さっきからずっと見せつけられている。
あたしとブッキーの姿なんて視界に入ってないに違いない。
完全に二人の世界だ。

はぁ、と呆れて横をみると、ブッキーが二人に釘付けになっている。
もう氷しか残っていないグラスの中身をひたすらストローですすりながら。
さっきからズズズッスースーと品のない音が響いている。
その事にあたし以外、ブッキー本人さえも気付いていないようだ。
目線は完全に二人に固定されている。その顔はお面を付けているみたいに無表情だ。

はぁ・・・。何なのよ、これは・・・。
一体全体、何がどうなってこうなっちゃったワケ?
この場で唯一まともな思考を保っているあたしは、頭を抱えてうずくまっていた。

521:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 20:34:08 72FYmDZT
ちょっと前まで、ラブとせつなの間には少し距離があった。

ラブと言えば、「”友達”のせつなはねぇ、」とか、「せつなは”友達”だからさぁ~。」とか、
不自然なくらい、せつなに対して”友達”という言葉を強調していた。
泳いだ目でそう言う彼女の態度は、傍から見ればあきらかにおかしかった。

対するせつなは、最近物思いに耽る事が多かった。
物憂げに瞼を伏せ、じっと考えこんでいたかと思えば(※1)、
急にハッと顔を上げて(※2)両手で顔を覆い、力なく首を振る(※3)。
イースだった頃の事を思い出しているのかもしれない。
そう心配して、彼女にあれやこれやと話しかけて気を紛らわせようとしたものだ。

※1・・・「ラブ?どうしたのこんな夜更けに・・・。泣いてるの?どして?あっ!ラ、ラブ!」
※2・・・「わ、私も!私も、ずっとラブのことが好きだったの!ラブ・・・嬉しい・・・。」
※3・・・「は、恥ずかしいわ。でも、ラブになら・・・。私の全部、見て欲しいの。お願い。優しく、して・・・。」

ブッキーもそんな彼女に気が付いたのか、せつなに対して過剰とも言えるようなスキンシップをとるようになった。
消極的なあの子がこんな行動に出たのは予想外だったが、
心の優しいブッキーが、悩んでいるせつなを放っておけない気持ちは良く理解できた。
せつなの世話を焼いているブッキーは本当に生き生きと輝いていて、人の為にそこまで頑張れる彼女を眩しく思ったものだ。

ラブもせつなも、あたしやブッキーに対しては普段通りの態度だった。
余所余所しくなるのはラブとせつなが二人でいる時だけ。
珍しくケンカでもしたのかしら。でも一緒に住んでいるんだし、そのうち仲直りするわよね。
あたしはそんな風に楽観的に考えていた。

それが。

どうしたらここまで真逆になっちゃうわけぇ?

椅子を寄せ合ってぴったりとくっついて座る彼女たち。
その姿はどう見ても事後- って、そ、そんなわけないわよね。女の子同士なんだし。
二人に当てられて、あたしの頭までおかしくなってしまったようだ。

そして、それを見つめるブッキーの目には生気が感じられない。
もはや氷すらなくなった空のグラスを無表情にストローで吸い続ける彼女の姿は異様だった。
そんなブッキーの姿にも気付かず、ひたすらイチャイチャラブラブしている二人。

522:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 20:34:28 72FYmDZT
はぁ・・・。あたしは本日何十回目かのため息をついた。
ダンスの方は問題はない。
踊り始めると、せつなとラブは驚くほど息のあった動きをみせる。
無表情だが、それに合わせて動くブッキーも体のキレはいい。
むしろ鬼気迫るものすら感じる。ラブの動きを寸分の狂いなくトレースしているかのようだ。
あたしは相変わらず完璧に動いてみせるし、結果的に4人の呼吸はあっている、と思う。
問題は、踊っている最中にラブとせつながやたらとお互いを見ている事と、
ブッキーに一切の表情がない事。これが一番気がかりなんだけど・・・。


最初、彼女に会った時は普通だった。
「美希ちゃん、おはよう。」
そう言って微笑む彼女は、今日をとても楽しみにしていたようだ。
しばらく二人で他愛もないおしゃべりをしながら、ラブとせつなが来るのを待っていた。
おかしくなったのは二人が来てからだ。

「ごめ~ん!美希たん、ブッキー!待った?」
そういって走ってくる彼女の手は、並んで駆けてきた少女の手と繋がっていて。
それを見た途端、ブッキーの顔から一切の表情が消えた。
「おはよう、ラブちゃん。・・・せつなちゃん。」

-あたしは何故だかその声に、薄ら寒いものを感じてしまった。

それからは何を話しかけても、
「私、信じてる。」だとか、「私、信じてた。」としか言わない。
まったく会話が成り立たない。
そんなブッキーにも気が付かないのか、ラブとせつなは二人でひたすら見つめ合っている。
たまにあたしが話しかけると普通に会話が返ってくるんだけど・・・。


523:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 20:35:13 72FYmDZT
「でね、美希たん。やっぱりあたしはこっちかなって。」
「ふふ。ラブらしいわね。」
やっと普通の会話が出来た事に少しホッとするあたし。
そのラブの横顔を、潤んだ瞳でじっと見つめているせつな。

「ん?どうしたのせつな?」
それに気付いたラブがせつなの方を向くと、せつなは顔を赤らめて俯いてしまった。
「ううん。なんでもないの。」
「え~。気になるなぁ。教えてよ~。あたしの顔に何かついてた?」
「え、えと、そうじゃなくて・・・。あ、あのね。ラブの・・・横顔を見てたの。」
「ふぇ?あたしの横顔?」
「うん・・・。正面から見るラブの顔もとっても好きなんだけど。・・・横顔も、素敵だなって。」
「や、やだなぁ。何言ってるのせつな。そんなこと言われたら照れちゃうよ。」
「でも、本当にそう思ったから。へ、変なこと言ってごめんなさい。」
「ううん。せつなにそう言ってもらえて、あたしとっても嬉しいよ!でも・・・。」
「でも?」
「やっぱり、こうして正面からせつなに見てもらえる方がいいかな?あたしもせつなの顔が見れるしね!」
「ラブ・・・。」
「せつな。俯いてると、せつなの顔が見えないよ。ね?あたしにせつなの顔、みせて?」
「ラ、ラブ。何だか恥ずかしいわ。」

今まで散々見つめ合っておいて、今更何言ってるのよこの子は・・・。

「せつな。あたしはせつなの顔が見れないと死んじゃう病気かもしれないんだよ?」

ラブ。そんな病気ないから。

「い、いやよ!ラブが死んじゃうなんて!そんな・・・そんなの!」

せつなも真に受けるんじゃないの。

「だから、ね?顔を上げて?」

いや、だからさぁ・・・。

「わ、わかったわラブ。私、精一杯頑張るわ!」

そんなことで頑張られても・・・。

「やっとせつなの顔が見れたね。また一つ、幸せゲットだよ!」

ちょっと前まで死ぬほど見てたじゃない。どんだけゲットしてんのよ。

「ラブ、私も幸せ・・・。」

ああ、もう。

「私信じてる私信じてる私信じてる私信じてる私信じてる私信じてる私信じてる私信じてる・・・。」

ブッキー、あなたはちょっと黙ってて。怖いから。


524:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 20:36:57 72FYmDZT
そんな感じで久々のダンスレッスンの時間は過ぎていった。
結局、あたしがまともに会話ができたのは最初のブッキーとだけ。
ラブとせつなはお花畑に行っちゃってるし、二人が来てからブッキーも別の世界へと旅立ってしまった。

「私・・・信じてた。」
ていうか怖い。怖いよブッキー。


はぁ~。また一つ、大きなため息をつく。
こんな調子で大丈夫なのかしら・・・あたしたち。っていうか、この状態っていつまで続くの?
あたしは固まってる三人をちらりと見ると、こみ上げてくる頭痛に頭を抱えたのだった。

525:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 20:38:37 72FYmDZT
以上で投下終了です。

漫才での美希たんの苦労人っぷりが笑えました。
美希たん可愛いよ美希たん。
後はカオルちゃんの正体が気になるなぁ~。
水曜日までガマンガマン。
ショタがどうとか不安になる書込みもありましたが、
何があろうとせつなはラブの嫁!

しかしこのスレは素晴らしいですね!
職人の皆様方、激しくGJです!
毎日良作が読めるなんてKOFUKU過ぎる!

526:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 21:07:47 tv1QyAoI
>>525
最高にニヤニヤしましたw

ブッキー・・・w



527:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 21:27:00 0MO8VEjU
>>525、愛してる。俺はあんたを愛してしまったかも知れんwww

528:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 22:02:29 c+hw//LQ
フレキュアの百合天国なるアンソロが来月25に出るみたいね。まぁエロだけど。期待していいのかなw

529:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 22:09:13 QcrNDIgV
いくら何でもそれはw それは……無いよね? ネタだよね?

530:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 22:10:43 QcrNDIgV
わはー! ググったらマジだったっていうか書き込み中止できなかったー!

531:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 22:11:49 p/DaiX2o
>>525

GJ!

だけど、ブッキーが壊れた

。・゜・(つД`)・゜・



532:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 22:13:22 w5+Kjekk
今日までの保管完了しました。良作ゲットだよ!投下ありがとう。
>>525
ラブせつに加えたけど、複数の方が良かったですか?

朝のウソバレでSS作ってやろうかしらw
あ、関西の同志は今週で追いつくそうで。良かった良かった!
さ、レッツ百合キュア!

533:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 22:22:05 JLeKuRru
>>532
乙。ウソバレ釣られたから早く忘れたいw
違うの投下しておくれ。

アンソロまだ画像無しか。現段階では何とも言えんな。ドギツイHもあんま好かないし。

534:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 23:08:14 8JLlLzD6
>>532
書いてくれるのなら>>510のネタだとわた皆が幸せゲットだよ!

535:名無しさん@秘密の花園
09/08/24 23:32:56 eOT/4tOC
>>525
GJ!!仕事帰りに電車内で携帯から読ませてもらったんですが、ニヤニヤしてしまいました。。
ラブせつのラブラブしたお話は大好きです。次回作も楽しみにしています。

536: ◆ZU7CldKWo2
09/08/25 00:44:11 uoNCH1ux
良作がぞくぞく投下されていってますね。すごいフィーバーだなー。

私も乗り遅れないようにしなければ。

というわけで投下させてもらいます。
『Moon Child』『Sun Child』
二本続けて。 8レスほどお借りしますね。
合言葉は、ラブせつで。

537: ◆ZU7CldKWo2
09/08/25 00:46:18 uoNCH1ux
「ねぇ、せつな」
「なぁに、ラブ?」
「アタシ達、ずっとずっと、一緒だよね」
「もちろん」
 そして少女達は夜空の下で、小指を絡めた。


        Moon Child


 せつな、って言葉を辞書で引いてみた。
 極めて短い時間。一瞬のこと。
 そう、書いてあった。

 知った時、不安になった。知らなきゃ良かったって、思った。
 その言葉を名前に抱く、女の子を知っていたから。

 ねぇ、せつな。
 いつからかな。せつな、よく笑うようになったね。
 皆と一緒にいて。お父さんお母さんと一緒にいて。
 アタシといて。
 昔の、イースだった頃とは大違い!! なんて言ったら怒るかな? それとも悲しむ?
 でもそう言っても、笑ってくれそうなぐらい、せつなはよく、笑うようになった。
 アタシ、せつなの笑顔が好きだよ。
 見てて、とっても幸せになる。
 もっと見たくて、バカなことをしちゃうぐらいに。
 今日も、いっぱい笑ってたね。
 アタシがテレビに出てた芸人さんの顔真似をして見せたら、転げまわって笑ってた。
 嬉しくって、何度も何度も繰り返しちゃった!! って、今思うと、ちょっと女の子捨ててたかも......タハハー。

 ホント、嘘みたい。
 ほんの少し前まで、人前で笑うのは苦手だ、なんて言ってたことが。
 今はダンスのレッスンでも、きっと一番、綺麗な笑顔をしてるよ。

538:Moon Child ◆ZU7CldKWo2
09/08/25 00:48:35 uoNCH1ux
 でもね。
 でも。
 せつな、笑ってるのに。
 なんだかとても、泣きそうな顔に見える時があるんだよ?
 どうしてかな。どうしてそう思うのかな。
 せつなはいつもみたいに笑ってるのに、どうしてそんな風に見えるのかな。
 そんな時、せつながとても――遠い人に、思える。

 ねぇ、せつな。
 笑って?
 もっと、もっと笑って?
 アタシの不安を吹き飛ばすぐらいに、思いっきりの笑顔を見せて?

 そんなアタシの思いに、せつなは、やっぱり笑ってくれる。
 心からの、笑顔だと思うよ。嘘は感じない。いつだって、どこだって。
 弾けるような笑顔。幸せを呼ぶ笑顔。
 なのに。
 アタシの心は、寂しがってる。

 時々、夜のベランダに出て、空を見上げてるよね。
 遠い星を、眺めてるよね。
 月の光を浴びてるよね。
 その時のせつなは、とっても綺麗。
 同じ女の子のアタシが、ドキッてしてしまうぐらいに、綺麗。

 けどそれは、どこか儚い――儚いって言葉、こう書くんだよね?
 人に夢と書いて、儚い。

539:Moon Child ◆ZU7CldKWo2
09/08/25 00:50:44 uoNCH1ux
 月を見ている時のせつなは、やっぱり笑顔。
 けれどそんなせつなを見ていると、胸がキュンって苦しくなる。
 子供の頃に読んだ絵本を思い出してしまうから。

 かぐや姫。
 いつか月に帰る、お姫様の物語。

 せつなは。
 どこにも行かないよね。
 せつなの家は、ここだよ。
 この家が、この部屋が、せつなの帰ってくる場所だよ。
 たとえいつか、どこか遠くに旅立ってしまうのだとしても、せつなの帰ってくる場所は、ここにある。

 ねぇ、せつな。
 アタシ、変なのかな?
 ずっとずっと、せつなと一緒にいたいって思うなんて、変なのかな?
 そういえば、中学に上がる時に、美希タンやブッキーと違う学校になっちゃって、すごく寂しかったんだ。
 でも、今でも仲良し!! いつも一緒じゃないけれど、いつでも会える。

 けどね、せつな。
 せつなとは、離れたら、もう会えないような気がして。
 そんなこと、あるはずないのにね。
 大人になって、二人とも、この家を出ていくのかもしれない。
 それでも、きっとアタシ達は友達で、家族で。
 戻ってくる場所が一緒だから、また会える筈なんだよね。

 もしもその時、まだせつながアカルンを持っていたなら、
ホントに、どれだけ離れてたとしても、すぐに会えるしね!!

 ――わかってる。
 それが、子供じみた考えだってことを。
 そう。アタシはまだ、子供だ。中学二年になっても、半分も大人になりきれてない。
 アタシ達はいつか、離れていく。
 それぞれの道を、歩いていく。
 毎日のように電話をして、メールをして、会ったとしても。
 たとえ、同じ家に住んでいたとしても。
 アタシ達の道は、離れていく。

540:Moon Child ◆ZU7CldKWo2
09/08/25 00:52:47 uoNCH1ux
 ホントはね。
 ずっと一緒の道を歩いていたいんだ。
 いつまでもいつまでも、二人で笑っていたいんだ。

 けれどきっと、それはダメなこと。

 アタシ達は、やっぱり違う人間だから。
 桃園ラブが一人しかいないように、東せつなも一人しかいない。
 そして皆、人生は一度きり。
 だから、それぞれの道を、歩いていかないと。


 でも。でもね、せつな。
 もしも、せつなと同じ道を歩けるなら。
 アタシは、おじいちゃんにつけてもらったこの名前の意味を捨ててもいいかもしれない。

 世界中の人にじゃなく。
 せつなの為だけの、ラブになる。

541:Sun Child ◆ZU7CldKWo2
09/08/25 00:55:16 uoNCH1ux
 ラブ。ねぇ、ラブ。
 面と向かって言うことが出来ないから、心の中でこっそりと言うわね。

 私に幸せをくれて、ありがとう。
 私に、笑顔をくれてありがとう。

 ダメね。やっぱり、恥ずかしい。
 口に出してもいないのに、ね?


     Sun Child


 私がこの家に来てから、どれぐらいの月日が流れたんだろう。
 相変わらず、ラブは明るくて、輝いてる。
 まるで、太陽みたい。
 私の自慢の親友よ。

 イースだった頃の私は、太陽を知らなかった。
 こんなにも明るくて、優しくて、あったかいものだったなんて。
 時々、暑っ苦しかったり、うんざりした気分になることもあるけどね。
 あ、これはラブのことじゃないわよ?

 私ね。本当に、感謝してるの。
 東せつなとして生まれ変われたのも、こうしてお父さんお母さんと一緒に暮らしているのも、ラブと毎日一緒に学校に行くのも。
 何もかもが楽しくて、仕方ないの。

 ラブは私の一番の友達。家族。時々、手のかかる妹。時々、頼りになるお姉さん。
 最後のは、本当に時々だけどね?

 私ね、ラブと出会って、何が一番素敵だったかって、笑えるようになったことだと思うの。
 生まれ変わってから、私はたくさん笑った。それまでの、ラビリンスで過ごしていた頃とは比べ物にならない程、いっぱい笑ってる。
 お父さんのつまらない冗談に。お母さんのお茶目に。ラブのおっちょこちょいに。
 箸が転んでもおかしい年頃、という言葉があるらしいけれど、私にはそれがピッタリ!!
 本当に、毎日毎日が楽しくて仕方ないの。

 そう!! 私、幸せよ!!
 今なら、わかる。
 私が、幸せのプリキュア、キュアパッションに選ばれたのも。
 だって私、こんなにも幸せなんですもの!! 幸せの嵐を吹き荒れさせることなんて、お茶の子さいさいよ!!

 そしてこの幸せをくれたのは、ラブ、あなたよ。
 本当に、本当にありがとう。
 幸せをありがとう。
 優しさをありがとう。

 側にいてくれて、ありがとう。

542:Sun Child ◆ZU7CldKWo2
09/08/25 00:57:42 uoNCH1ux
 だから、ね。ラブ。

 いつか。
 いつか、私は。
 ラブとお別れしなきゃいけないと思うの。

 幸せになっちゃいけない気がする。そんなことは、もう言わない。
 だって、私は幸せになったから。
 私の幸せが、ラブやお父さん、お母さんを幸せにしているのを見ていたから。
 皆の幸せの為に、私も幸せになる。そう、決めてる。

 でもね。
 だからこそ、ラブ。
 ラブには私だけを見ていて欲しくないの。

 私は十分に幸せになったわ。もう両手に抱えきれないぐらい!! 一生分、幸せになったかな。
 まだまだ足りない、なんていったら、バチがあたっちゃうかしら? けど、もっともっと幸せになりたいわ。

 でもその幸せは、自分で見つける。
 ラブには、もっとたくさんの人を幸せにして欲しい。きっとその力が、ラブにはあるから。

 いつか、ラブから聞いたわよね。
 ラブって名前は、おじいちゃんがつけてくれた名前だって。
 世界中に愛を届ける、そんな人になるようにって。
 そのことを話してくれた時のラブ、とっても輝いてたわ。

 だからね、ラブ。
 私を――イースという敵だった私を幸せにしてくれた貴方なら。
 もっともっとたくさんの人に、幸せをわけてあげられると思うの。
 それこそ、世界中の人に!!

 ブッキーみたいにいうなら。
 私、信じてる。

543:Sun Child ◆ZU7CldKWo2
09/08/25 01:00:04 uoNCH1ux
 ――もちろん、本当は寂しい。
 ラブと、ずっと一緒にいたい。
 ラブと、いつまでも暮らしていたい。
 でもきっとそれは、よくないこと。

 私が幸せのプリキュアなら、ラブは愛を司るプリキュア。
 たくさんの人に愛を届ける。その邪魔をしたくない。

 貴方がその背中に翼を持っているのに、私が重すぎて飛び立てないなんて。
 そんなことには、なりたくない。

 ねぇ、ラブ。
 私の心は、宙にふわふわ浮いていたの。
 それを捕まえてくれたのが、ラブ。
 ギュウって抱きしめて、地面に足を付けさせてくれたこと、忘れない。

 嬉しかったの。
 風に流されるままだった私が、歩けるようになって。
 自分の足で。自分の足で。どこへでも行けるんですもの――!!

 ラブ。
 私、ラブのこと好きよ?
 だからラブ。
 私、見ていたいの。
 ラブが周りの人たちを幸せにしながら歩いていくのを。
 私、見ていて欲しいの。
 東せつなはもう、自分の足で歩けるってことを。

544:Sun Child ◆ZU7CldKWo2
09/08/25 01:02:15 uoNCH1ux
 やぁね。
 せっかくカッコつけてたつもりなのに。涙が出てきちゃった。
 今日、明日ってわけじゃないのにね。
 いつか、って言葉だけ。
 でもそれはきっと、必ず来る日、なのよね。

 ねぇ、ラブ。何度も言うけど。
 私、とっても幸せよ。

 もちろん、ホントはね。
 ずっとラブと一緒にいれることが、一番の幸せ。

 でもそうしたら、私、笑えなくなるかもしれない。
 ラブを引き止めた自分のことが、嫌いになっちゃうかもしれない。

 ああ。ホントに。
 私、どうしたらいいのかしらね?

 ただ一つ、わかるのは。

 やっぱり私は、ラブのことが好きってことだけ。
 輝いている、太陽の子供のような、その笑顔が。
 好き。



「ねぇ、せつな」
「なぁに、ラブ?」
「アタシ達、ずっとずっと、一緒だよね」
「もちろん」

 そして少女達は夜空の下で、小指を絡めた。

 天に月は無く、星も無く。
 道しるべのない想いは、風に乗って。

 空に、溶けていったのだった。

545: ◆ZU7CldKWo2
09/08/25 01:06:30 uoNCH1ux
以上です。
なんか久々にせつない系を書いたような気が。

改めて、保管庫運営、ありがとうございます。そして前回、感想付けて下さった皆様、ありがとうございます。

今後とも何卒宜しくお願いいたします。

546:名無しさん@秘密の花園
09/08/25 01:10:38 KUaTofdc
全住人が泣いた。殿堂入り。これを超える作品ないだろ、もう・・・。
保管庫に特別枠作ろっと。ありがとう◆ZU7CldKWo2 さん。

>>534
作ったけどここには投下しない。この流れ止めたくないや。ごめん


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