フレッシュプリキュアで百合2at LESBIAN
フレッシュプリキュアで百合2 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@秘密の花園
09/08/14 19:03:53 22/O1UL7
2

3:名無しさん@秘密の花園
09/08/14 19:18:22 mDcR3OB2
吹きあれよ!>>1乙の嵐!

4:名無しさん@秘密の花園
09/08/14 20:42:17 KSs+wIbS
>>1のお陰でみんなが幸せゲットだよっ!!

5:名無しさん@秘密の花園
09/08/14 21:06:52 QCPp6w/l
数カ月前はまさか次スレ行くとは思ってなかった。(;_;)
>>1乙!

6:名無しさん@秘密の花園
09/08/14 22:18:03 mKEnNrKx
新スレ記念です。喜んで頂けたら幸いです。みなさんで盛り上げて行きましょう!

             【重大発表】
ラブ「実はね・・・」

  
  「夏休みの宿題ぜーーーーーーーんぜんっ手付かずぅぅぅぅぅ!!!!!」

三人(ポカーン、、、)

ラブ「あはっ。。。申し訳m(__)m」

せつな「何で誤っているの?わからないわ。」
祈里「くすくす。お腹痛いよラブちゃん♪」
美希「呆れた、、、。帰るよブッキー。せつなもおいで。」

ラブ「ちょ、ちょ、ちょ!!!ちょーいまてェ~」

バタンっ


ラブ「何もタダで手伝ってとは言いませんよ。無論、お礼も超超豪華☆キラッ」

せつな「何かくれるの?プレゼント?私嬉しい。」
美希「コラコラ。騙されちゃダメよせつな。」
祈里「でもラブちゃん困ってるみたいだし・・・。」

ラブ「さっすがブッキー。私、涙出ちゃう(ウソ」

美希「もう・・・、二人ともお人好しすぎるの。こんなのラブのためにならないのよ?」
祈里「まぁまぁ美希ちゃん(苦笑」
せつな「で、私はどうすればいいの?」
美希「話はやっ!」

7:名無しさん@秘密の花園
09/08/14 22:18:40 mKEnNrKx
ラブ「みんなで手分けしよう、そうしよー♪」

祈里「じゃあ私は作文かなー」

せつな「この計算式なら私出来ると思う」

美希「ったく。私は一番難しいのじゃない(身近な物のデッサン」

ラブ「助かりますです。。。私は日記担当!」
せつな「過去の事とか覚えているの?」
ラブ「感w」





~数時間後~
美希「終わった~!めちゃくちゃ疲れた。。。」
せつな「数字書きすぎて腕が痛いわ・・・」
祈里「頭の中文章だらけ、、、」
ラブ「全部曇りにしちゃったwww」

祈里「あ!ラブちゃん、私たちのお礼って何?」
美希「いけない!忘れるトコだった。」
せつな「ドーナツかしら?」

ラブ「コホンっ。驚くなかれー」



  「チューしてあ・げ・る♪」

美希「な…ι」
祈里「え!?えぇぇぇ!?」
せつな「?それって日本の伝統なの?」
ラブ「そです。」
美希・祈里「んな訳あるかーい」

お粗末!初めてのパロでしたw

8:名無しさん@秘密の花園
09/08/14 22:19:39 auYn+6RJ
>>5
確かにw
結果論だがフレッシュだけにした前スレ>>1の判断は正しかったんだなぁ

9:名無しさん@秘密の花園
09/08/14 23:20:20 KSs+wIbS
>>6
タルトが考えた漫才より面白い件w
まさに新生クローバー(漫才型)誕生だねっ!
こちらもGJ、補完させて頂きますm(_ _)m

10:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 00:23:25 jwi/r2f4
SS祭りですね。

乗っかりたいのですが、かなり量が多くなってしまったので、
こちら貼らせてください。

URLリンク(ikomaru.blog76.fc2.com)

さて明日と明後日はコミケ行ってこようかな。
皆さんのオススメはどこでしょ?

11: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 00:25:30 66tdVY2Y
>>6

日記全部曇りでフイタwww


ところで、せつな視点で昨日あんなもん書いてしまったから
百合少なめの硬派なやつ投下したいんだけど良い?


12:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 00:33:56 GKBO2WvW
>>1
乙ですねぇ。はぁ~スイーツスイーツ~

完全なるSS祭り。こんなに職人いたのかw

>>6
4人全員おもしれーw
これネタだわもうwww

13: ◆51rtpjrRzY
09/08/15 03:58:26 /iY9dWiM
>>1
隠れ職人多すぎワロタwしかも皆上手いし・・・

深夜+コミケで人いなさそうだし、一個長いの置いときますね
前スレで投下に確認要らないって言われましたけど、一応。
相変わらずブッキ―黒いんで、そういうのダメな人は読まないほうがいいです。

14: ◆51rtpjrRzY
09/08/15 04:00:44 /iY9dWiM
                  1    

「せつなちゃん、そっちはどう!?」
「…ダメ,やっぱり見当たらないわ…」

 人ごみの中、赤い浴衣を着たせつなちゃんは、そう言って首を横に振る。
 今日はクローバーフェスティバル。年に一度の四ツ葉町のお祭の日。
 でもそんな日に限って、次から次へとトラブルが起きる訳で…。 

「シフォンちゃん…どこに行っちゃったのかしら…」

 事の発端は、わたし達も参加した、漫才コンテスト。
 ひょんな事から知り合った、オードリーって人達の漫才に見入っていたわたし達は、シフォン
ちゃんがいつの間にかベビーバッグの中から消えていた事に気付かなくて。
 そして・・・もう日も沈んでいるというのに、まだ見つけられないでいた。

「大丈夫よ、ブッキ―。ラブ達も探してるんだし、きっと見つかるわ」
「せつなちゃん…」

 わたしの不安を察して、せつなちゃんが声をかけてくれた。
 今、わたし達は二手に分かれてシフォンちゃんを探している。ラブちゃんと美希ちゃん、そして
ここにいるせつなちゃんと…わたし。
 もしこんな状況じゃなかったら、もっと楽しい気分だったに違いない。せつなちゃんと二人だけに
なるなんて、滅多にある事じゃないのだし。そう、きっと今頃、ふたりでヨーヨー釣りや輪投げを
やったり、おっきな綿飴を半分ずつ両側から食べたり・・・それからさりげなく手を繋いで・・・。

 ブンブンブンッ!!

 そんな不謹慎で邪な妄想を振り払うように大きく頭を振る。・・・わたしったら何考えてるのよ!今は
シフォンちゃんを探す事に集中しなくちゃいけないのに!
 えへへ、と今の行動をごまかすように、せつなちゃんの方を見る。へ、変な子だって思われてないわ
よね!?

 その顔を見た瞬間、わたしの周りから彼女以外の景色が消えた。

 そこに浮かんでたのは、わたしを安心させようとしてた言葉とは裏腹に、わたし以上に心配そうで、
真剣な表情。
 こんなせつなちゃんを見るのは、今日二度目の事だった。

15: ◆51rtpjrRzY
09/08/15 04:02:53 /iY9dWiM
                  2
 
 ラブちゃんの勘違いで参加する事になってしまった漫才コンテスト。そこでわたし達はそれぞれ、
今みたいに二人ずつ二組に分かれて舞台に上がる事になって。
 組み合わせは、わたしとラブちゃん、美希ちゃんと・・・せつなちゃん。
 本当はせつなちゃんと組みたかった、なんてわたしの願望はともかく、順番は次々と回り、わたし
達のあと、美希ちゃんとせつなちゃんがネタをすることになった。

 「ねえせつな、こないだ病院に行った時の話なんだけどね・・・」
 「・・・え!?体調悪いの!?大丈夫美希!?」

 ・・・目を奪われた。美希ちゃんのボケに対して、ツッコミも忘れて心配するその表情に。
 ただ純粋に、相手を案じている事が伝わる、その必死な表情に。
 そう、ラビリンスを出てからの彼女は、友達とか、仲間とかを心から大切にしている。
 それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・ラブちゃんが芽生えさせた感情で・・・・・・。
 
 その時も今も、こんな顔のせつなちゃんを見ると、わたしの心の中に黒い声が聞こえてくる。

 
 
 ワタシニナニカアッタナラ、アナタハソンナカオシテクレル?



 ・・・嫌な子だ、わたし。
 きっとわたしの中には、傲慢で、強欲で、哀れな子供が棲みついているんだ。
 
 海でナケワメーケと戦った時だって、わたしを助けたパッションは、きっと同じ表情だった筈
なのだ。違う、同じ表情だった。それは間違いないことなのに。
 いくらそう考えても、その声を止める事は、出来ない。
 わたしは、このままで、山吹祈里というわたしのままで、彼女に心配して欲しいのかもしれない。
 プリキュアとか戦いとか、そんな事の関係無い、この姿で。東せつなという少女に。

「・・・ちょっとブッキ―、大丈夫?」
「・・・え・・・あ、う、うん」
「そう?・・・なにか思いつめた顔してたけど・・・」

 心配そうにわたしの顔を覗き込むせつなちゃん。それにまたわたしの黒い部分が反応しそうになる。
 


 モットワタシニソノカオヲミセテ 



「だ、大丈夫!それよりシフォンちゃんを探さないと。さあ、行きましょう!」
 
 そんな黒い声を振り切るようにわたしは駆け出した。
 
「―!!ブッキー!前!!」

 ドンッ!! 

 次の瞬間、わたしは強い衝撃とともに、地面に倒れていた。


16: ◆51rtpjrRzY
09/08/15 04:05:49 /iY9dWiM
                    3

「―おいおい、お嬢ちゃん、気をつけないと危ねぇだろう?!」

 ああ、人にぶつかったんだ。って理解したのは少し間があってからだった。
 見上げると、そこには体格のいい、クローバータウンでは珍しい、柄の良くない人達がいた。
道行く人達が、何事だ、という風に視線を向ける。

「ご、ごめんなさい、急いでたもので・・・」
「気をつけろよ!!?あァ!?」
「怪我でもしたら、どう落とし前つけるつもりなんだよ!!」
「あ、あの、わ、わたし・・・」
「・・・おい、お前ら、もういい、行くぞ。せっかくの祭りなんだ。放っておけ」

 わたしのぶつかった、どうやらグループの中でもリーダーと思われる人は、仲間達のわたし
に対する怒りの声を抑えると、向こうへ歩き去ろうとした。
 どうやら助かった・・・のかな?
 ふう、と緊張の切れた溜め息をもらすわたし。変な事ばかり考えてたバチが当たったのかな。

「―待って。・・・この子は謝ったけど、あなたはまだ謝ってないでしょう?」

 場が一瞬、凍りつく。
 気が付くと、せつなちゃんがわたしの横にしゃがんでいた。

「・・・俺に謝れっていうのか?お嬢ちゃん?」

 ゆっくりと振り向く、リーダー格の男の人。
 それに対して、彼女は少しも怯まず、言葉を続ける。

「確かにこの子の不注意でぶつかったのは事実だけど、それを避けたり受け止めたり出来なかったのなら、
あなたにも非はあると思います」
「なんだとォ!?姉ちゃん!?」
「お前、この人を誰だと思ってるんだよ、コラッ!!」
「―大きな身体をしてる、男の人でしょう?」
「――」
「・・・彼女は、小さな身体の女の子だわ」

 そう言うと、せつなちゃんはあたしの肩に手を回した。

17: ◆51rtpjrRzY
09/08/15 04:10:15 /iY9dWiM

「そして、あたしの大事な友達よ」

 今まで沈黙を守っていたリーダーは、ふーっと息を吐き出すと、ゆっくりと口を開いた。

「―すまなかったな、お嬢ちゃん。許してくれ」
「え!?あ、兄貴!?」
「そ、そんな!?それじゃ俺らのメンツが・・・」
「馬鹿野郎!ここで謝らない方が、よっぽどメンツが潰れるってもんだ!周り見てみろ!」

 リーダーの言葉に、仲間達だけではなく、わたしも周りを見回した。
 いつの間にか、わたし達の周りを、野次馬と思しき人達が取り囲んでいる。せつなちゃんに圧倒
されてて、誰も気が付いてなかったみたい・・・。

「―まあ理由は、メンツだけじゃねぇけどな。・・・いい友達を持ったな、お嬢ちゃん」

 リーダーはわたしに少し微笑んでみせると、今度こそ人ごみをかきわけ、仲間達と一緒に歩み去って
行った。

「せ、せつなちゃん凄かったね・・・わたしの為に迷惑かけてごめ・・・」
「怪我は・・・怪我はしてない!?ごめんねブッキー!!」

 彼女はわたしの両肩に手を置いて、頭を下げた。
 あれ?なんでせつなちゃんがわたしに謝るの?この場合、悪いのは全部わたしなのに・・・。

 せつなちゃんは少しだけ、わたしの肩の手に力を入れた。そして、俯けていた顔を上げる。

 
 
 
 そこにあったのは、わたしの中の黒い声が望んでいた、あの表情。



 
「・・・怪我は・・・うん、大丈夫みたい。浴衣も破けてないみたいだし・・・」
「・・・良かった・・・本当に良かった・・・」
 
 せつなちゃんは優しく手を引いて、わたしを起こしてくれた。
 
「・・・どうしてもあの人達が許せなかったから・・・。でも、あんな事言ったけど、あたし…友達失格
だわ・・・。本当だったら、ブッキーが怪我してないか、それを先に確認するべきだったのに・・・」
「そんな・・・友達失格なんて事ある訳ないじゃない!・・・わたしの為にあんな怖い人達に向かって行って
くれたんだもん・・・」
「・・・許してくれるの?」
「許すも何もないわ。先に謝るのは、わたしの方・・・ごめんなさい、せつなちゃん!」
「ブッキー・・・」
「これでお互い様だね!・・・そ、そうだわ、早くシフォンちゃんを探しに行かないと!」

 今度は注意して、人ごみの中を縫うように急ぐわたし。その横を、同じようにしてせつなちゃんが
進む。


18: ◆51rtpjrRzY
09/08/15 04:12:46 /iY9dWiM

「ねえ、ブッキー、本当にどこも怪我してないの?・・・なんか変なトコ打ったとか・・・」
「?せつなちゃん、心配しすぎよ。本当になんともないって!」
「そう・・・それならいいんだけど・・・」
「なんでそんなこと聞くの?」
「・・・だってブッキー、さっきからあなた――」



「――ずっと笑ってるじゃない」



 もう、黒い声は聞こえないだろうって、わたし信じてる。


                      
                    4

 美希ちゃんからリンクルンに連絡があったのは、そのすぐ後の事だった。

『シフォンが見つかったのよ!無事なんだけど、無事じゃないの!あー、もう!とにかくすぐ来て!!』

 とても完璧とは言えない美希ちゃんの説明を受けて、わたしとせつなちゃんはカオルちゃんのドーナツ
屋さんへと急いだ。
 人ごみを避けつつ、角を曲がり、ようやく着いたわたし達がそこで見たものは・・・。

19: ◆51rtpjrRzY
09/08/15 04:14:09 /iY9dWiM
「わーい!せつなー、ブッキー!こっこだよー」
「!!ラブちゃん・・・ど、どうしたの、その格好は…!?」
「・・・呆れるでしょ・・・。少し叱ってあげてたとこよ。・・・まあ効いてるとは思わないけど」

 わたし達を待っていたのは、全身バンソーコーだらけのラブちゃんの姿だった。・・・まあ本人が呑気
にドーナツをパクついているところから判断して、それほど大きな怪我はないみたい。

「シフォンを見つけたのはいいんだけど、少し高い木の上で眠っちゃっててね。それを助けに行くって
無理やりよじ登って、落ちて、この有り様よ。あれだけプリキュアに変身しろって言ったのに・・・」

「だってー!こんな人通り多いときなんだよ!誰かに見られたら大変じゃない!・・・それにシフォンが
もし寝ぼけて落ちたらって思うとヒヤヒヤだったし…」

「そないなこと言うたかて、もし大怪我してたらどないしますのや!あんさんの身体は、あんさん一人
だけのモンやおまへんのやで!・・・それに、ワイらがどんだけ心配したか・・・」

「まあまあ、皆抑えて抑えて。ケガあって困るのは坊主だけって言うでしょ、グハッ!・・・これくらいで
済んだんだし、今回だけは許してあげれば?」

「プリプ~!」

 ・・・そういう事だったのね・・・ある意味で美希ちゃんの説明は正しかったんだわ・・・。
 とにかくシフォンもラブちゃんも無事?だったのが分かって、わたしの身体からドッと力が抜ける。
  
「・・・ま、まあ、とりあえず良かった・・・のかな。せつなちゃ・・・」

 苦笑いをしながら、傍らに立つせつなちゃんへと話しかける。

 
 わたしの、全てが、止まった。


 見たことの無い少女が、そこに、いたから。


20: ◆51rtpjrRzY
09/08/15 04:15:50 /iY9dWiM
 彼女は、下唇を噛み締め、眉を曇らせて、ボロボロと大粒の涙を流していた。
 ぶるぶると震えているのは、心がそのまま身体をゆすっているよう。
 
 
 それは、元ラビリンス幹部のイースでもなく、幸せの戦士キュアパッションでもなく、・・・いつも
気丈に振舞おうとしている、東せつなでもなかった。

 
 ただ好きな人が傷ついてて、それを悲しんでる小さな女の子・・・。


 「バカァッ!!!」

 
 せつなちゃんは叫んだ。絶叫って言ってもいいかもしれない。
 そしてラブちゃんの元へと駆け寄り、その胸へ飛び込む。
 
「あ、あははは、やーゴメンゴメン。心配した?せつな?」
「バカバカバカ!!なんで、なんでいつも無茶ばっかりするのッ!!!」
「い、いやー、あたし的には無茶って思ってないんだけどねー、ははは」
「ラブが思ってなくたって、無茶は無茶よ!!バカバカバカ大バカ!!」

 泣きながらラブちゃんの胸を小さな拳で叩くせつなちゃん。その姿はまるで駄々をこねる幼児みたい。
 ラブちゃんはそんな彼女の肩にそっと手を回した。

「・・・あたしが無茶じゃないって思ったら、無茶じゃないよ、せつな。知ってるでしょ?」
「・・・知ってる・・・。でも、ラブだって、その度にあたしがどれだけ不安になってるか・・・知ってるでしょ・・・」
「…もちろん。・・・でも泣いてるせつなカワイイからね~、ついその顔が見たくて。はは」
「・・・ばか・・・」
「ごめん・・・でもせつな、そんなばかな子は、嫌いなの?」
「・・・・・・・・・ばか・・・」

 ラブちゃんの浴衣の襟をギュッと掴んで、せつなちゃんはそのまま胸に顔を埋めた。
そんなせつなちゃんを、ラブちゃんも愛おしげに抱きしめる。


21: ◆51rtpjrRzY
09/08/15 04:17:04 /iY9dWiM
ドーン!ドドーン!!

 轟音とともに、夏の夜空に光が咲いた。
 
 
 あ、花火だ。もうそんな時間なのね。
 
 そうだ、花火見なきゃ。花火は綺麗だもん。
 
 顔を上に向けないと見えないよね。
 
 そしたらラブちゃん達が見えなくなるけど、仕方ないよ。
 
 ・・・おかしいな。花火・・・なんか歪んで見える。
 
 まるで水たまりに映ってるのを見てるみたい。

 

 
 わたしの心に、花火の音にかき消される事もなく、黒い声が響く。





 ドウシタラセツナチャンノスベテヲ、ワタシヒトリノモノ二デキルノ?







                                             了


22: ◆51rtpjrRzY
09/08/15 04:20:11 /iY9dWiM
おしまい。
長文失礼しました。この間よりは読みやすくなってるはずです。
あとどうしても山吹さんが病み吹さんになるなあ。

23:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 04:35:39 OsgZCGka
黒GJ!
ま、まさか「これでせつなちゃんとお揃いだよ」とか言う返り血を浴びたブッキーなんて出てこないよね…?

24:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 04:46:12 Q58kOH51
GJ
黒ブッキーたまらん

25:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 05:27:02 h9tGLIco
職人さんGJです!
SS書けるようになりたいぜ
そしたら投下するのに

26: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 05:27:46 66tdVY2Y
んじゃ俺も投下。
ぶきせつで被ってしまったスマソ


「せつな、ブッキーが今日どこに行くかとか聞いてた?」

ラブが私の部屋に入ってきた。

「ううん、別に聞いてないよ」

「そっか...まだ帰っていないってブッキーの家から電話あったから...」

時計を見る。夜11時をとうに回っている。

「携帯も出ないし...何もないといいけど...おやすみ」
ぶつぶつ言いながらラブは自分の部屋に戻った。

読みかけの本に目を戻すが、何か胸騒ぎがする。

ブッキーとは、ダンス合宿でお互いを知ってからは
よく一緒に図書館や買い物に行っていたが、いつも
夜8時には家に戻るように予定を組んでいた。

そのうち胸騒ぎは嫌な予感になり、本の内容も
頭に入らなくなってきた。

服を着替え、アカルンを呼び出す。
「キィ」

いつも陽気な声で出てくるアカルンも、私の気持ちを
察したのか、真面目な表情をしている。

「ブッキーの居るところへ」

赤い光が私を包んだ。



27: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 05:30:28 66tdVY2Y
光が消えると、そこは閑散とした路地だった。
四つ葉町にこんな場所は無い。

周りを見渡すより前に、声が聞こえた。

「やめてください...離してください...」
聞き覚えのある声が小さく聞こえる。

それをかき消すかのように、男達の声が聞こえる。
「あきらめろよ。ここまできたら叫んでも声聞こえないし」
「つかマジでおっぱい大きいよなぁ。俺にも触らせろよ」
「まてよ俺が終わってから!先にこいつ狩ろうって言ったの俺だし」

声の方を向くと、ブッキーに男3人が覆い被さっていた。
ブラウスは半分破られ、下着が見えている。
色々と触られているが、まだ最悪の事態には至っていないようだ。
ブッキーの表情は絶望と悲しみでで覆い尽くされている。

嫌な予感が的中した。



28: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 05:31:44 66tdVY2Y
「ブッキー!」

大声を出してブッキーに走り寄る。

「...せつなちゃん...?」

「なんだよお嬢ちゃん。お友達かい?」
「おほっ、こりゃまたおいしそうなカラダしてんねぇ」
男達が私の方に寄ってくる。

ブッキーの表情がみるみる変わり、涙があふれている。
助けてって言うんでしょ。言うまでもないわ。そのために来たんだもの。

ところが、次に出てきた彼女の言葉は私の予想とは
違っていた。

「せつなちゃん!逃げて!はやく逃げて!」

「ブッキー...」

この期に及んでも、友達を逃がそうとするブッキーが
たまらなく愛おしい。

それと同時に、男達に対する黒い憎悪が心を覆い尽くす。


29: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 05:34:13 66tdVY2Y
私は立ち止まり、男達を睨み付けた。
全身に殺気をみなぎらせる。こんな感覚は久しぶりだ。
まだ私はこんな感覚を持てるのか。

いや、今までとは少し違う。
全ての人を不幸にするためにこの感情を持っているのではなく、
大事な人を守るため...大事な人を傷つけた奴に対する憎悪。

「ねぇ、一緒に遊ぼうよぉ」

胸に伸びてきた左端の男の手首を内側にひねる。
男は浮き上がるように反転し、簡単に腕を極められた。

「あうぅぅぅぅおぉぉ」

情けない声を出す男だ。股間を蹴り上げる。
声もなくその男はのたうち回る。

「てめぇっ」

残り2人の男が色めきだつ。



30: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 05:35:45 66tdVY2Y
正面の男を睨み付ける。
男の目に怯えが走る。

勝負は既に決しているようだ。
こいつは生きるか死ぬかの闘いを経験していない。

「調子こいてんじゃねぇぞ!」

怯えを隠すかのように、正面の男が殴りかかってくる。
まるでスローモーションを見ているかのように遅い。
顔の動きだけで拳を避け、軸足を払う。
男は簡単に転がった。

ふいに後ろから腕を捕まれた。
もう1人の男が後ろに回っていた。
反射的に体をひねり、肘を飛ばす。
無意識だった。

31: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 05:38:50 66tdVY2Y
ラビリンスの兵士訓練は苛烈を極めた。
総統メビウス直下の兵になるには、戦術はもとより
実戦の能力が重視される。

選抜試験は実戦形式の競技ではなく、実戦だった。
容赦なくお互いの急所を狙う。
それで使い物にならなくなった兵は、弾よけの歩兵になるか
クラインに命を止められるだけだった。

それに、勝ち抜いてきた。



容赦なく相手の急所を打ち抜いてきた癖は今も抜けず、
格闘になると無意識に急所を狙ってしまう。


飛ばした肘が男のこめかみに吸い込まれる。
しまった、と思った。ここは殺し合いをする場所ではない。


しかし、体をひねった際に男がバランスを崩したらしく、
私の肘は急所をかろうじて外した場所に当たった。
それでも男は棒のように倒れ、白目をむいていた。


32: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 05:44:07 66tdVY2Y
「この野郎...」
足を払って転倒した男が立ち上がり、ナイフを取り出した。

「せつなちゃん!!危ない!!」
ブッキーが叫ぶ。

ブッキーの悲痛な叫びとは裏腹に、
私は口元をほころばせてしまった。

構えと目を見ればわかる。
ナイフと打撃の組み合わせは、よほど訓練された
兵士でないと併用できない。
ナイフですべて片付くと思ってしまうのだ。


つまり、ナイフだけ見てれば良い。


「おらああああああああ!」

声は勇ましいが、ナイフが止まっているようなスピードだ。
やけっぱちで振り回しているだけだ。
ナイフを持った腕が伸びきったところで、手首に掌底を入れる。
簡単にナイフが落ちた。

体の回転を生かして、そのまま回し蹴りを入れる。
きれいに首に入った。声もなく男は倒れた。



33: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 05:47:31 66tdVY2Y
ブッキーの元に駆け寄る。
「ブッキー、大丈夫?」
「せつなちゃん...ありがとう...もうだめかと思った...」
ブッキーの大きな目から涙が止めどなく流れ、私の胸に
飛び込んできた。

「さ、早く行こう」

私はTシャツの上に着ていた襟付きのシャツを
ブッキーに着せ、足早にその場を離れた。

何本か通りを過ぎると、大通りに出た。
隣町のようだ。

「ブッキー、どうしてあんなところに居たの?」
「獣医学の専門書を頼まれて、買いに来たの。
 そしたら帰りがけに突然囲まれちゃって...」

よほど怖かったのだろう、ブッキーは私の腕に
しがみついたままだ。

「せつなちゃん...強いね」
「えっ...まぁ...ラビリンスでやらされてたから」
「ありがとう...せつなちゃん」

ブッキーが私にさらに密着してくる。
意外に大きなブッキーの胸が腕に押し当てられている。



34: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 05:48:04 66tdVY2Y
「あ、連絡しておかなきゃ」

ブッキーがリンクルンを開けて電話をかけ始めた。

「あ、ラブちゃん?連絡取れなくてごめんね。ちょっと色々あって、
 せつなちゃんに助けてもらったの。これから戻るね。」

「あ、美希ちゃん?連絡取れなくてごめんね。ちょっと色々あって、
 せつなちゃんに助けてもらったの。これから戻るね。」

「あ、お母さん?連絡取れなくてごめんね。ちょっと色々あって、
 せつなちゃんに助けてもらったの。終電なくなっちゃったから
 タクシーで戻るね。」

ブッキーがリンクルンを閉じた。

「ねえブッキー、私アカルンがあるからすぐ戻れるよ?」
「うん、知ってるよ」
「えっ...」

ブッキーが私の腕にぎゅっとしがみつく。

「ホントに怖かったから...忘れさせて欲しいの」
「...」


私はこれから起こり得ることを想像して、
体の奥底が熱くなるのを感じた。



以上終わり。
続きは思いついたら書きます。

何か表現が某ハードボイルド小説のパクリに
なってしまったorz


35:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 05:52:03 C3zpxaeM
GJ。うん、せっちゃんの元兵士という描写がとてもうまかったっす!

36:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 05:52:58 C3zpxaeM
GJ。せっちゃんの元兵士という設定を生かした描写がとてもうまかったっす!

37:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 05:54:41 HTaCMZAi
儚げなせつなもいいけど、こういう頼もしいせつなもいいね

38: ◆51rtpjrRzY
09/08/15 06:10:50 /iY9dWiM
GJ!ブキせつ!ブキせつ!朝からいい流れですねw
あと感想くれた人ありがとうございます。
>>23
ちょwその発想は無かったw
>>25
自分もこないだまで文章書いた事ない人でしたよ。
試しに書いてみたらいいんじゃないですかね。

39:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 06:40:12 h9tGLIco
GJ!
せつなかっこいい!

40:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 06:44:41 XkjBHrAk
せつなかっこいいよせつな。

41:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 08:39:29 BnmtmXSi
朝起きたらフレプリスレが百合板での勢いNo.1・・だと・・・?
新スレ+SS職人多数降臨だったのね、納得
ゆっくり読ませていただきますわ

42:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 08:44:40 GKBO2WvW
>>22
朝から素晴らしい作品を見れて俺は光栄だ…。
片思いの苦悩ってこうなんでしょうね…。略奪愛のキッカケとかってやっぱり、黒ブッキーみたいな言葉になるんだと思うし。

43:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 09:26:12 GKBO2WvW
>>34
ブッキーのトラウマにならなくて良かった…。せつなありがとう、せつな。俺より全然強いよw
あぁ男って情けない。得に俺…(おっぱい描写にもぅ_| ̄|○)

44:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 10:23:18 MJHUxfcg
>>10
凄い…
目頭が熱くなりました。
いつも素晴らしいSSをありがとう。

45:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 11:23:57 OsgZCGka
美希「ブッキーは将来は獣医さんになりたいって言ってたけど、せつなは将来何になりたいの?」
せつな「え?えっと…ラブのお嫁さん、かな…」
祈里「へぇ…そうなんだ…」
美希(しまった、地雷踏んだ)

46:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 11:47:02 xrxTAWYm
良い流れすぎるだろ…
FUKOが全然溜まらんだろうが…!!

47:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 13:32:40 66tdVY2Y
>>10

Webサイトいつも拝見しています。
今回のペットロスの話も結構涙腺にきました。


48:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 16:52:54 utCnpCNj
>>46
ラビリンス乙

49: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 21:17:23 66tdVY2Y
夏季休暇中妄想が止まらんwww

今朝うpした分の続き書いてて百合成分全開に
なってしまっているけど、作成後投下して良い?


50:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 21:46:38 C3zpxaeM
S S 職 人 降 臨 !


ヨロシクドウゾー

51:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 22:11:24 h9tGLIco
職人さんどうぞやっちゃってください!

52:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 22:16:27 QOwd2P+S
こんばんは。朝から職人さん投下してくれたんですネ☆
みんなにとって素晴らしい夏休みになりますように♪

         【桃色片思い!?】
ラブ「ずっと幸せだったのに。悲しすぎる、、、」

せつな「どして?」

ラブ「もーすぐ夏休み終わっちゃうぢゃん!(ToT)」

せつな「でも学校って楽しいんでしょ?」

ラブ「うん。。。でもさ、今年の夏休みは特別な想いがあるんだ。」

せつな「美希やブッキーはその理由知ってるの?私にも教えて欲しいわ。」


~しばし沈黙~


ラブ「まだ誰にも教えてないよ。せつなには・・・、特別教えてあげるね。」

せつな「うん。」

ラブ「実は好きな人が出来たんだ。ものすごーく好き。大好き!
   私の夏を楽しくしてくれた。」

せつな「ラブが好きになるんだから幸せな人ね。」

ラブ「くすくす。。。もぅその人、幸せゲットしてるかもよ~♪」

せつな「???」


ラブ「鈍感すぎるのもまた、可愛いトコだけどね。」

            チュッ♪


53:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 22:17:46 QOwd2P+S
      【3人仲良く・熱く・美しく】
美希「あたしたち全然完璧じゃない…」
祈里「もうクタクタ…」
ラブ「こんなに体力落ちてたっけ…」

久し振りのダンスレッスン。夏の暑さも重なり、3人は完全にグロッキー状態。


ミユキ「う~ん。ブランク開けすぎかもしれないわね…。ちょっとプログラム変えまし
    ょう。用意してくるからしばらく休憩してていいわ。」
    
ミユキは難しい表情を抱えながらレッスンルームを後にする。


ラブ「もぅヘトヘトぉ~。水、水、水ぅ…」
美希「ラブしっかりしてよ、ほら。」
美希は飲みかけてたペットボトルラブに手渡す。


祈里「(あ…。関節キ…)」
美味しそうに喉を潤すラブを横目にしながら、妙に胸の鼓動が気になり始める祈里。


ラブ「にしても熱すぎだよ今日、、、」
湿気を帯びた汗はラブが着ていたTシャツをも湿らせていた。

美希「(ちょっとスケすぎだよラブ!)」
素肌すら確認出来る程の哀れな姿に、思わず息を飲み目線を反らせる美希。


ラブ「あ、ブッキー!ちょっと気になる事があったんだけど。」
祈里「何?」

             〝つんつん〟

祈里「キャッ・・・」
ラブ「やっぱね~(ノーブラとか無防備すぎだよブッキー。。。)」
祈里の柔らかい触り心地の余韻にときめくラブ。

54:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 22:18:11 QOwd2P+S
美希「もぅみんなして、、、」
祈里「何か変な感じに…」
ラブ「はうぅ。。。」



祈里「ラブちゃん、・・・今晩予定・・・あるカナ?」

ラブ「!?…無いよ…。美希たんは?」

美希「あ~、その、普段は完璧に忙しいケド、何だか今日は暇だったみたいな・・・」
   

数秒して美希がぽつりと小声で呟く。

美希「今日は私一人でお留守番なのよ・・・ね。」



ミユキ「お待たせ~♪って。。。3人共、もう少し離れたら…。暑苦しいわよ(苦笑」

3人共気がつけばベッタリ状態。ミユキに気付き、ようやく時離たれ、赤らめた顔を見つめ合いながら
元のポジションへ。


その夜、蒼乃邸でのちょっぴりHなレッスンは3人仲良く行われ、互いの体のチェ
ックは念入りにされた訳であり。

「美希たん!ブッキー!この事は内緒だよっ!」
「OK!」
「任せて!」

3人でダンスを始める頃に作った短編をちょっと改造してみました。
後は皆さんの脳内で続きをw

55:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 22:27:38 QOwd2P+S
◆51rtpjrRzYさん、◆BVjx9JFTno さん、SSサイトの管理人さん、
それ以外にも投下してくれてる方、素晴らしい作品をありがとう。
自分も何とか追いつけるよう努力します。ホント勉強になりますね。

56:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 22:31:09 MJHUxfcg
>>53
ちょw
ラブやん暴走し過ぎw
間接キスを気にするブッキーもいいね。

57: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 22:34:56 66tdVY2Y
>>55

ありがとうございます。
自分も書き始めたのは一昨日からなのでwww
みなさんのを参考にして読み返しては修正しています。


58:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 22:52:26 GKBO2WvW
>>52
あややかと思ったw
てかウマい題名ですね!その通りだし。
九月から学校っすね。大輔空気読めよ…

>>53
朝も俺、欲情したのに夜もしちゃう件w
てかこの展開好き!3人もしっくり来るなぁ~。最後の気合ワロタw

59:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 23:16:20 ODfLosyp
自分もみんなに触発されて書いてみた。
少し病み気味ラブの暗めの話なんで、そういうのが嫌な人は
スルーたのんます。

さて、初投下。うまく行くか…

60:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 23:16:55 ODfLosyp
今日はお父さんは残業。お母さんはパートの遅番。タルトとシフォンは
ブッキーの所でお泊まり。
そしてせつなは、多分図書館。最近せつなはよく本を読んでる。
こちらの事を勉強中なのだ、と彼女は笑う。新しい事に触れ、知識や経験を
増やして行くことが楽しくて仕方ない様子だ。
せつなが早く馴染んでくれればいい、美希たんやブッキーとも、もっと
仲良くなって欲しい、新しい友達も沢山出来れば嬉しい。
そうすればみんな幸せ。

そう思ってた。本当に、そう思ってたはずなのに。

いつからだろう。せつなが自分以外の人に笑顔を見せると、胸の中にチクチクと
不快感が走るようになったのは。
最初は、「あたし、ヤキモチ焼いちゃってる?らしくないなあ。」なんて、
自分に苦笑いする余裕があった。
でも、そんな嫌な気持ちをハッキリ意識したのはダンス合宿の時。
余り乗り気ではなかったせつなに、自分から「ダンスをする。」と言わせたのは
ブッキー。あたしじゃなかった。
あの日、せつなを夕飯に呼びに行ったまま中々帰って来なかったブッキー。
薄暗い窓を見上げながら、ハッキリと苛立っている自分を意識した。
その後、あの時どんなやり取りがあったのか分かっても、一度心に絡み付いた棘は
無くならなかった。それどころか、どんどん増えて行く。
せつなが他の誰かの話をする度に。他の誰かに笑顔を見せる度に。

せつなは親友で家族。そしてプリキュアとして共に戦う仲間。一番近しい所にいるのは自分。
一つ屋根の下に住み、9月からは学校だって一緒。誰が見たって、
これ以上の仲良しなんていないよね?
これ以上近くになんてどうやって行ったらいいの?
せつなを閉じ込めて、誰にも会わせないで、自分だけのモノに。
そうでもしないとムリだよね。でもそんな事できっこないし。
もしそうしたって満足できるかどうかなんてわからないじゃん。

そこまで考えて初めて気付いてしまった。
ううん、本当はとっくに分かってた。分かってたのに知らんぷりしてた。
だって、どうしようもないもん。

こんな気持ち、せつなは困るに決まってる。でもきっとどんなに困っても
せつなは面と向かって拒否できない。
今のせつなは自分が誰かを傷つける事を何より怖れて。
拒否する事であたしを傷つける事を怖れて……

でも、そんなせつなは見たくない。

61:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 23:22:03 ODfLosyp
ガランとした家の中でラブは笑おうとした。
でもそれは苦い泣き笑いにしかならなかった。
(欲張りだな、あたし。)
自分勝手に嫉妬して、自分だけのせつなを欲しがって、そうはならない現実に
苛立って一人ぐるぐる馬鹿な事考えて。
せつなを独り占めしたいのに、自分から言うのはイヤ。
せつなが自ら望んでそうなって欲しい。

ラブは特別。ラブだけが好き。ラブがいれば他に何も要らない。
(そう言って欲しいんだよね。あたしは……)
あたしがこんな風に思ってるなんて、せつな、知らないだろうな。
誰も気付いてないよね?
だって、必死に隠してきたんだし。
閉め切った部屋は暑くて、じっとりと全身に汗が滲んでくる。
頭の中がぐつぐつと音を立て、やり場のない思いで煮詰まって行く。
(ちょっと頭、冷やそう。みんな帰ってきたら変に思われちゃうよ。)

ラブはわざと冷たい水でシャワーを頭から被った。
真夏とは言え、火照った体と冷水のギャップに一瞬悲鳴をあげそうになる。
しかし徐々に冷たさに馴染むにつれ、自分のどろどろした欲望が凍えて
固まって行くようで、芯まで冷えていくのが心地良くさえ感じる。
凍てついたその固まりは決して無くなりはしないのだけれど。
冷たく凍らせておけば溶けて溢れ出る事はないはずだ。

体の感覚が無くなり、震えがきた所でラブは漸くシャワーを止めた。
髪も乾かさすバスタオル一枚でノロノロとリビングに戻る。

「ただいま、ラブ。どしたの?」

いつの間にかせつなが戻り、台所で夕飯の準備をしてた。
「シャワー浴びてたの?今日は暑いもんね。」
屈託無く笑顔を向けてくるせつなに、ラブは顔を上げる事ができない。

「ラブ?」

うつ向いたまま何も言わないラブにせつなは心配そうに近づき、
そっと肩に手を触れる。
(熱い。)
せつなの肌の熱さにラブはおののき、震えた。

(ダメだよ、せつな。触っちゃダメ…。溶けちゃうよ、せっかく凍らせたのに……)

「やだ!ラブ冷たい!どうしたの?」
冷えきったラブの体にせつなは驚いて眼を見張る。
「早く服着なきゃ!何か温かい物飲む?」
世話を焼きにかかるせつなの手を、今まで無反応だったラブが不意に掴んだ。

そのままゆっくりとせつなの頬に触れ、輪郭をなぞる。
顎に指を掛け、親指で綺麗な曲線を描く唇を撫でる。
「……ラブ?」

不信気なせつなにラブはゆっくりと微笑みを浮かべる。

「ねぇ、せつな。あたしの事…好き?」


(ごめんぬ、せつな。あたし、やっぱりもう…ダメかも知れない。)




62:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 23:26:49 5riNl/vI
ある日のお風呂

ラブ「せつな、あたしも入ってもいい?」

せつな「っっ!!まだいいって言ってないでしょ!」

ラブ「隠さなくてもいいじゃん。せつな結構オッパイおっきいんだね~」

せつな「ちょっ!触らな…あん…や…め…」

ラブ「あれ-何かせつなの先っぽとがってきたよ?固くてコリコリしてる」

せつな「…ふぁ…駄目…」

ラブ「せつな…すんごく可愛い。続きはあたしの部屋でしよっか」

筆力なくてすみません><

63:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 23:30:50 66tdVY2Y
>>61

病んでるラブもイイ!
続きが見たい。

64:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 23:39:54 mgR1qW4R
>>61
すみません いけないと思いつつも
こういうラブさん大好物です!

65:名無しさん@秘密の花園
09/08/15 23:45:36 ODfLosyp
>>60-61です。

見直したつもりなのに、誤字やらミスがいっぱいorz
脳内で正しく変換して下さい…orz


けど、レス貰えて舞い上がってるんで、また投下するかも!

66: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 23:46:57 66tdVY2Y
ようやく出来たので投下。
今朝の続きです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「忘れさせて...欲しいの」
ブッキーが私の腕に頭をもたせかける。

私の中で、気持ちの整理がついてきた。

ブッキーは少し引っ込み思案なところがあるが
人付き合いが苦手な私と共通点があり、またとても優しく
ダンス合宿でも私の心を優しく溶かしてくれた。

思えば、その頃からブッキー、いや、祈里に対して
友情以上の感情が生まれていたような気がする。

祈里が私のためにダンスの練習着を作ってくれたことを
知ったとき、祈里の表情、祈里の声、祈里の匂い、すべてが
私の心の中に小さな火となって点灯した。

それが今、大きな炎となって燃えあがっている。
格闘後でやや高揚していることもあり、情欲が心を浸食している。



多分、
祈里が思い描いている光景は、きっと
私が望んでいる光景と同じ。



じわり、とあふれるものを感じた。


67: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 23:48:44 66tdVY2Y
祈里に引き寄せられるままに、大通りの角を曲がる。

2、3本の通りを曲がると、暖簾のかかった駐車場が見えた。
祈里が私の腕を強く掴みながらその中に入る。

人が居ないロビーの壁に、番号が書いたランプが
20ほど並んでいる。
点灯しているものはそのうち3つ。

祈里はそのうちの1つを押した。
出てきたカードを手に取り、足早に
奥のエレベーターに乗る。

「えへへ。ここ1回だけ来たことあるの。」
エレベーターの中で祈里は笑いながら言った。

「強引に連れてこられたけど、逃げちゃった」


私はここがどんな建物なのかをだいたい理解した。
祈里には、人を殺さない程度の護身術を
教えておいた方が良いかも知れない。


エレベーターを降りると、複雑に曲がった廊下を
足早に進み、角の部屋に辿り着いた。
ドアにカードを挿して開け、祈里は私を先に部屋に入れた。


部屋には幅の広いベッドがあり、簡単な椅子と
テーブルがあった。


浴室は家にあるものとは異なり、
透明なガラス扉で仕切られていた。


これじゃぁ丸見えじゃないの。


68: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 23:50:31 66tdVY2Y
急に首に腕が回された。
次の瞬間、唇を塞がれた。

唇を離した祈里の顔は、笑顔とも泣き顔ともつかない
表情だった。涙で目が潤んでいる。

「私、ずっと前からせつなちゃんに憧れてたの...」

「...」

「でも、せつなちゃんはラブちゃんととっても仲良しで、
 私なんか入る余地が無いくらい...」

「...」

「でも、ダンス合宿の時から、私の中でせつなちゃんの
 ことがどんどん大きくなって...」

「...」

「せつなちゃんと、ひとつになりたいって、ずっと思ってた...」



上目遣いで私を見る祈里の表情を見て、
私はもう我慢できなくなった。




69: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 23:52:06 66tdVY2Y
自分から唇を重ねる。

祈里の口内に舌を滑り込ませると、祈里は間髪を入れず
舌を絡めてきた。

有線の音楽が小さく流れる室内で、舌が絡まる淫靡な音が
響き渡っている。

「んふ...ん...」

「ブッキー...私も...同じ気持ち...」

「ん...二人っきりの時は、祈里って呼んで...」

「祈里...んふ...ん...祈里...」

「んふん...んっ...嬉しい...んふ」


潤んだ瞳、口元から垂れる唾液が、私の興奮を増大させる。


「...お風呂、一緒に入ろう...」

「うん」



70: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 23:54:06 66tdVY2Y
バスタブにお湯をためている間、お互いの体を洗う。

熱帯夜の格闘で私の体は汗まみれになっていたが、
ようやくさっぱりした。
これからまた汗をかくのだろうが。

すでに湯気で浴室内は霧がかかったようになっている。

「祈里...とってもキレイ」
「せつなちゃんだって...」

祈里はウエストのくびれは少ないものの、童顔に似合わず
大きく発育した胸、ふっくらした腰回りが私の鼓動を速め、
下腹部がキュンと締まるのを感じた。

バスタブにお湯がたまると、祈里はバスタブの中に沈めていたボトルを
取り出し、軽く振って中身をお湯に溶かした。


「それ...何?」
「んふふっ...おたのしみ...」


シャワーで石鹸を流すと、ふたりでバスタブに身を沈める。

お湯からいい香りが立ち上っている。


「えっ...」

お湯の感覚が家とは違う。
とろりとしたお湯で、肌に滑らかにまとわりつき、ぬるぬると滑る。


「これって...」

「バスローションなの」


祈里が私の足の間に体を滑り込ませる。
ぬるっと滑った私の足は簡単に開き、祈里の体が正面から
ぴったりと密着した。

「...!」


71: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 23:55:45 66tdVY2Y
「せつなちゃん...いっぱい気持ち良くしてあげる」

祈里の唇が、私の顔を隅から隅まで這い、
祈里の手は私の体をぬるぬると這い回る。

私も祈里の胸に手を伸ばす。
手からこぼれ落ちてしまいそうなほどの大きい房を
いやらしい手つきで揉みしだく。

「あっ...うんっ...」

耳元で祈里が声を上げる。
手の中で弄んでいる房から、乳首が掌に硬く当たってくる。

祈里の手が私の乳首をさわさわと弄んでくる。
ばらした指の動きが妙にいやらしく、私の乳首も
固く隆起している。

「あは...んっ...はぅ...ん」

祈里の耳元にキスをしながら、つい声が漏れてしまう。

「祈里...気持ちいい?」
「あんっ...嬉しい...とっても気持ちいい」
「私も...とっても気持ちいい...」


ちゃぷっ...ぴちゃっ...とぷん...


お湯の揺れる音と、激しいキスの音。
気持ち良すぎて、頭がぼうっとしてくる。


「せつなちゃん...すごい...私...幸せ...」


すっかり上気した祈里の顔はいつもの引っ込み思案な
祈里ではなく、貪欲に快楽を求めるメスの顔になっていた。


ふたりの右手がお互いの性器をまさぐり出す頃には、ほとんど
会話はなく、揺れるお湯の音と、淫靡なあえぎ声が浴室にこだましていた。



72: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 23:57:20 66tdVY2Y
「せつなちゃん...」

祈里は私と密着した体を離し、左足を私の右足の上に、
右足を私の左足の下に滑り込ませた。


ぷちゅっ...


お互いの恥毛が絡み合い、性器同士が密着した。


「ああんっ...!」
「はうんっ...!」


お湯の中で上気していることもあり、
快感が頭のてっぺんまで突き抜けた。


「や...祈里...これすごい...」
「せつなちゃん...私も...あふんっ...」


腰が、さらなる快感を求めて勝手に動いてしまう。


たまらず、祈里の唇に舌を差し出す。
祈里もすぐに舌を絡める。
唾液がお湯にポタポタと落ちる。
お湯がいっそう激しく揺れる。


「祈里...すごいよ...上も下も...」
「うん...キスしてる...ああうんっ...!」


お互いの突起がぬるりと擦れあう度に、
電気ショックを受けたように体が跳ね上がる。


お互いの唇や首、肩を激しく舐め回しているうちに、腰の動きが
完全にシンクロしてきた。


「や...ダメ...祈里...私もう...!」
「せつなちゃん...私も来る...あああんっ!...」


ふたりとも同時に激しく痙攣した。


ばしゃっ...ばしゃっ...ばしゃっ...


お湯が激しく揺れ、バスタブからこぼれ落ちた。



73: ◆BVjx9JFTno
09/08/15 23:59:35 66tdVY2Y
私の上に祈里が倒れ込んでくる。

二人とも痙攣がしばらくおさまらなかった。
お湯でのぼせているせいか、頭もぼうっとしたままだ。

伏せたまま荒い息をしている祈里のおでこに、
軽くキスをする。

「ありがとう...とっても嬉しい...」

顔を上げた祈里は私の唇に長いキスをした。


お湯を抜いて、シャワーを浴びる。
間違えて水が出てきたのでびっくりしたが、のぼせには
ちょうど良かったようだ。

しばらく祈里と嬌声をあげながら、水シャワーをかけ合った。


体を拭いて、ベッドに腰掛ける。

祈里が冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出した。
「せつなちゃんも飲む?」
「うん。ちょうだい」

祈里がひとくちペットボトルから飲み、フタを閉じた。

ボトルが渡されるかと思ったが、次の瞬間唇が重ねられ、
私の口にスポーツドリンクが流し込まれた。
「えへへ。口移ししちゃった」


祈里は私が思っている以上に
奔放な女の子なのかも知れない。



74: ◆BVjx9JFTno
09/08/16 00:00:42 66tdVY2Y
時計を見る。午前2時。

「もうこんな時間!まずいよ祈里。いくらタクシーでもこの時間には...」
「あ、それなら大丈夫。家にはお風呂に入る前に電話しておいたから」

「何て電話したの?」
「タクシーが全然捕まらないので、せつなちゃんと始発まで
ビジネスホテルで仮眠しますって」

「...まぁ半分は合ってるわねw」
「そうそうww」


私は裸のまま、ベッドに仰向けに寝そべった。
祈里も裸のまま、横に寝そべる。

「せつなちゃん...」
「ん?」
「私ね...今とっても幸せ...」
「私も...祈里とこうなれて嬉しいわ」

祈里が私の方を向き、瞳の中にお互いを確認する。
瞳の中の私は、とても満たされた表情をしていた。
祈里の表情も、とても穏やかに輝いている。


始発が四つ葉町に付くまで、まだ時間は充分ある。


「祈里...まだ時間は充分あるね」

「うん...そうだね」


祈里の瞳に、ふたたび淫靡な光が宿る。


以下ループwww


75: ◆BVjx9JFTno
09/08/16 00:01:36 nBYKvv+3
これで終わりです。
くどいほどの描写失礼しました。
スポーツ新聞の官能小説読み過ぎだ俺

あと、ブッキーがヤリマンみたいになってしまったorz


76:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 00:25:47 74e4p3BF
>>61
ラブがFUKOだ…

77:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 00:34:47 ujSwXIYl
SSでのブッキーの黒さを見てると、メジャーの寿也を思い出すなぁ
あいつは吾郎がらみになると突然黒くなる

78:10
09/08/16 01:07:16 ofnHIEIo
SS祭りが続いてますね。

またまた投下させて下さいませ。今回は自分なりに色々試してみたガチ百合。相
変わらずR-18ではないですが。

で、投下しようとしたら>>61さんのSSに気付きました。うまい......

そんな後ですが、せつな→ラブSS。ヤンデル系。

2レス程、お借りしますね。

79:Call Me 1/2
09/08/16 01:09:31 ofnHIEIo
 まどろみに、惑うて。
 やがて落ち行く、その先には。




       Call Me




 その瞳に、その笑顔に、その心に救われた。
 真っ直ぐに自分を見つめてくれた、彼女。
 愛を意味する言葉を、名付けられた少女。
 ピンクのハートを抱く、伝説の戦士。

 彼女は、彼女を想う。

 その優しさを、そのひたむきさを、その全てを、羨ましいと思った。
 憧れた。
 けれど憧れは、いつしか焦がれに変わって。
 求める気持ちを止められなくなる。
 胸の奥でうずく衝動。ドクン、ドクンと激しく脈打つ心の臓。

 目が離せない。
 何気ない仕草一つすら、見逃せないと思ってしまう。
 心のベクトルはいつだって、彼女に向かっている。
 彼女の柔らかい、桃色の唇に名を呼ばれる度に、胸は歓喜に震える。
 ただそれだけのことが、幸せだった。

 けれど。
 いつからか、飢えてきた。飢えるように、なってしまった。
 もっと、もっと幸せを。
 もっともっと、彼女に近付きたい。

 名を呼ばれる度に、幸せに思う。けれど、渇する。欲する。
 もっと、もっとと心が叫ぶ。
 貴方をもっと、ちょうだい。
 幸せを私に、ちょうだい、と。

 けれどそれは、許されないこと。秘め事。
 求めることすら禁忌。そして裏切り。
 家族だから。友達だから。仲間だから。

 女同士、だから。

 自分を救ってくれた全ての事柄が、今度は彼女の心を縛る。
 絶対に壊してはいけないものたち。守ると誓ったものたち。
 もしもその楔がなければ、かつての何もない自分であったなら。
 奪っていたかもしれない。力ずくに。
 そうしたとしても、本当に求めていたものは、手に入らなかっただろうけれど。

80:Call Me 2/2
09/08/16 01:11:45 ofnHIEIo
 だから。
 私は幸せだと、彼女は自分に言い聞かせる。
 これで満足しなくてはいけないと。
 彼女とずっと一緒にいられる、それだけでいいじゃない、と。

 けれどある時、気付いてしまった。
 ずっと、ずっと一緒ということは。
 ずっとずっとこの気持ちを隠しながら、側にいなきゃいけないということで。
 この先、何年、何十年と。

 嗚呼。私の心は、体は、耐えられるだろうか。
 この口はいつまで、秘密を守り続けられるだろうか。

 側にいたい。けれど、苦しい。
 それは甘美な拷問のよう。
 目の前にあるのに、決して、手は届かない、熟した秘密の果実。

 だから、せめて。

「ねぇ、ラブ」
「ん? なぁに、せつな?」
「私のこと――好き?」
「もっちろん。大好きだよ」

 言って彼女は笑う。
 その純粋な笑みに、彼女の心の闇はチクリと痛むけれど。

 せめて、これぐらいは許して欲しいと祈る。

 これだけで、私は満足だからと。









 けれど心はいつだって欲張りで。
 やがて満たされなくなる未来から、彼女は。
 目をそらしていた。

81:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 01:16:40 ofnHIEIo
IDが飛影だた。

というわけでお目汚し。

難しいですね。>>61さんはすごいです。

いつもと違うことに挑戦したせいか、疲れましたよ。
早く明日のプリキュアでエネルギーチャージしたいです。

82:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 03:38:29 C5KXzhNw
フレッシュプリキュア対SS職人━━(゜∀゜≡(゜∀゜≡゜∀゜)≡゜∀゜)祭り━━!!!!

出遅れた漏れorz
職人ハイパーGJ!全部補完してくる!ノシ

一日でこんな伸びる百合ってかフレプリ鬼だなw

83: ◆51rtpjrRzY
09/08/16 04:19:49 IVGs72mY
この流れならちょっとHなのもOKだって、わたし、信じてる!
急いで書いたんで推敲不足かもですけどご容赦ください

84: ◆51rtpjrRzY
09/08/16 04:22:22 IVGs72mY
「ちょっとラブ、もうお湯沸いてるわよ?!」
「は~い。・・・ブッキー、そっちタマネギ切ったぁ?」
「ごめん、今やってるー。せつなちゃん、サラダは大丈夫?」
「今、精一杯キャベツ刻んでるわ」

 今日は、ラブちゃんのお家で、お泊り会。
 ご両親もお出かけなんで、わたし達4人でお夕飯の準備をしてるところ。
 メニューは、カレーライスと、サラダ。
 わたしはカレーに入れるお野菜を切る当番なんだけど。うー、タマネギが目にしみる・・・。
 
 ・・・・・・でも、これくらい我慢しないと。
 みんな一緒とはいえ、せつなちゃんと一晩過ごすことができるんだもの。
 もう一週間も前から、今日という日が来るのを夢にまで見たんだし・・・・・・。
 それに!ご、ご飯の後にはみ、みんなでおおおおお風呂入ることになってるし・・・・・・。

 一気にわたしの頭の中には邪な妄想が広がる・・・・・・。
 
(ブッキ―、背中流してあげるわ。こっち来て)
(せせせせつなちゃん!い、いいって、それくらい自分でやるから!)
(?何を恥ずかしがってるの?・・・ほら、次は前を洗ってあげるから、あたしの方を向く!)
(いや~!いくらこっちの世界の常識に疎くても、やり過ぎだよ~!!)

「・・・・・・ブッキ―・・・お腹空いてるからって、はしたないんじゃないの?・・・よだれ出てるわよ」            
「・・・・・・は!え!?ゴメンゴメン!」
 
 美希ちゃんにたしなめられ、現実に戻るわたし。せつなちゃんにだらしない子だって思われちゃう・・・。

 
「―――痛っ・・・!」


 その時、せつなちゃんが小さな呻きを漏らした。
 見ると、包丁を離し、右手で左手の指を押さえている。

「せせせせつなちゃん!指切ったの?!ちょ、ちょっと待って――」
 
 慌てたわたしは、咄嗟にいつも持っている救急セットを取り出そうと、バッグに手を伸ばす。


85: ◆51rtpjrRzY
09/08/16 04:24:04 IVGs72mY

「―――せつなっ!手出してっ!!」

 わたしの行動よりも早く、ラブちゃんがせつなちゃんの元へ駆け寄る。
 彼女はせつなちゃんの左手を掴むと、躊躇うことなく、怪我している指を口に含んだ。

「――――!!」

 その一連の動きから、目を離せなくなった。

「・・・・・・・・・」
「・・・ラ、ラブ・・・そ、そんなとこ・・・な、舐めたら・・・き、汚いわ・・・」

 せつなちゃんが、顔を赤くして、ラブちゃんを止めようとする。
 でも、ラブちゃんはそんな制止も聞かず、指を口から離そうとしない。

 
 それは、甘くて淫靡な、恋人同士のキスに見えた。
  

 ラブちゃんの口元からする、ぴちゃ、ぴちゃ、という水音のような響き。
 その度にせつなちゃんは押し殺した喘ぎを漏らし、背を反らす。


 バッグに手を入れたまま、わたしは固まっていた。
 目を逸らしたいのに、逸らせない。
 ・・・・・・嫌だ・・・こんなの見たくない・・・・・・。

 一瞬、ラブちゃんとわたしの目が合う。

「―――!」

 その目が、嘲笑っているように、感じた。
 高価な玩具を、手に入らない子に自慢している子供のような目――。

 

 ――これはあたしだけのモノよ?羨ましいでしょう?

 

 ・・・彼女は、わたしに、そう言っているのだ。

 
 ――長い一瞬が、過ぎた。
 ゆっくり、別れを惜しむように、唾液の糸を引きながら、ラブちゃんが口を離す。

86: ◆51rtpjrRzY
09/08/16 04:25:59 IVGs72mY

「ンぅっ!・・・・・・ラ、ラブぅ・・・・・・」
「・・・・・・こっちの世界では指を切ったら、こうするんだよ、せつな・・・・・・」

 頬を染め、息を荒げているせつなちゃんに、ラブちゃんは優しく、ふしだらに微笑みかける。

「・・・・・・ブッキ―、バンソーコー、ちょうだい。」
「―――え?!あ、あ、うん!」

 その声に我に返ったわたしは、ラブちゃんにバンソーコーを渡す。
 彼女は、可愛がっているお人形にリボンでも結ぶように、それをせつなちゃんの指に巻きつける。

  ・・・わたしは、魂の抜けた案山子みたいに、その光景を見つめる事しか出来なかった。

「ちょっとブッキ―、あなたもどっか怪我したの?」
「・・・え?」
「・・・・・・もう、涙浮かべてるじゃないの!」

 美希ちゃんに言われるまで、気付かなかった。

「や、やだ。タ、タマネギ切ってたから・・・い、イタタタ・・・・」
 

 ゴシゴシ、っと目をこする。
 ・・・・・・本当に痛いのは、目なんかじゃないのに。


 目を開けたとき、再びラブちゃんと視線が絡む。



 ――せつなで遊んでいいのは、あたしだけなの。あなたの手は決して届かない・・・・。


 
 長い夜は、まだ始まったばかりだった。

 

                                           

                                        了

87: ◆51rtpjrRzY
09/08/16 04:31:09 IVGs72mY
おしまい。匂い、声って来たんで、今回は視線で。
エロくはないかw
>>81
コミケお疲れ様でした。相変わらずお美事です。
いっそ飛影さんと名乗るのも手ではないですか?

88:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 05:18:25 C5KXzhNw
ふぅ、読み終えたよ。

夜限定さん投下ありがとうです。ラブせつ短編萌えるし、セミロングはいつも組み合わせ変えてくれるし。最高です!

トリップ51氏、長文作成ご苦労様です。黒ブッキーや策士ラブとかアイデアがもうパネェっす!早朝投下もGJすぎw

トリップBV氏、せつなの戦闘描写が神。一昨日から書き始めたとか思えない…。とH編は永久保存しますたw

>>59
初投下乙です。良作けってーい。続きを是非!出来れば幸福ENDで…。てかラブみたいな気持ちに誰もがなるよね~。

管理人様改め飛影殿w
せつなの苦悩がもう純粋すぎて…。また好きになっちゃいました。あ、ラブの嫁ですけどw

レスだけで長くなっちゃったよもうwww
自重しますorz

89: ◆51rtpjrRzY
09/08/16 07:45:50 IVGs72mY
出かける前に。>>88さんを始め、感想くれた方々ありがとうございました。
あと>>65さん、初でこれは凄いです。勉強になりました。
じゃあ皆さんは楽しくプリキュア見ててください・・・orz

90:10
09/08/16 08:09:34 ofnHIEIo
>>87さん
GJです!!せつな取り合い、ドロドロですねw
名前の件ですが、生駒と決めてあるので。
blog取るのに名前使えなかったんでikomaruにしましたがw

>>88
そういうわけで飛影ではないのですw

91: ◆BVjx9JFTno
09/08/16 09:29:28 nBYKvv+3
>>88

感想ありがとうございます。
自分で読み返してみても濃すぎたのと、今回の放送見て
浄化されてしまったのでw、これからはもうちょっと
爽やかなものを書いてみます。


92: ◆BVjx9JFTno
09/08/16 09:30:55 nBYKvv+3
>>87

これはブッキー辛い...。
夜にまたさらなるFUKOがあるのか...

まぁラブせつにとってはKOFUKUなんだろうけど

報われないブッキーカワイソス


93: ◆BVjx9JFTno
09/08/16 09:43:58 nBYKvv+3
>>78

こういう苦しむ系、いいですね。
楽しませていただきました。
当の本人は大変でしょうけどwww

気持ちを伝えたいけど伝えられない、今までの関係が
崩れるのが怖いってのは、友達から恋人に進展できない
状態と似ていますね。



94:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 10:53:50 SasbFDvR
今日は百合的な見所なかったのか?
うっかり寝過ごしちゃったやい

95:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 11:15:32 8qxeb8uK
>>59
GJ!!!続き読みたいです。楽しみにしていますね♪

フレプリのケータイ公式サイトから不定期でメルマガが届くのですが、
今朝届いていたメールです↓
「皆さんこんにちは、東せつなです♪
毎日暑くて、みんな食欲なくなってない?
ちゃんと食べてるかしら?
私とラブは、ゴハンを食べた上にデザートのすいかや
メロンまでおなかいっぱいいただいているわ。
ついついラブにつられて食べ過ぎちゃうの。
今夜のデザートは桃みたい。。
ふふ、楽しみね?
みんなも、いっぱい食べて元気にすごしてね。」

桃ってもちろんラブちゃんと即脳内変換してしまいドキドキしてしまいました♪


96:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 11:31:30 nb/SB3Fe
冒頭で羅武刹が商店街巡りしてたくらいかな

97:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 11:39:52 C5KXzhNw
>>95
それを元に職人さんたちが作ってくれるって私、信じてる!!!

日中にカキコが無い所がやはり18禁板だって最近思うwだから夜が楽しみでさ~

あ、ごめん。カキコ自重出来なかったわw
今日のラブせつ百合デート(・∀・)最高

98:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 12:21:55 q1RcUjP2
>>95
なんだこれwww
百合妄想おいしいです^o^

99:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 12:27:06 8qxeb8uK
95です。すみません。。文字化けしてきちんと変換できてませんでした。。
せつなの×「ふふ、楽しみね?」→「○ふふ、楽しみね(ハート)」が正しいです。

ドキドキします。。職人さん達よろしくお願いします♪

100:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 13:26:40 EIE4hgWV
桃ってことはピーチに変身してからいただいちゃうわけですよね?
プリキュアの力をそんな風につかうなんてけしからんなぁ!ハァハァ・・・

101:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 19:31:22 Zb9JaFXL
ラブ「ビートアーップ!ねぇせつな…なんでプリキュアにならなきゃいけないの?」
せつな「だって今夜のデザートは桃なのよ」
ラブ「答えになってないよ~な気が…」
せつな「いいじゃない、初夜に散々私の事を攻めまくったんだからたまには攻めさせてよ」
ラブ「ひゃっ…!ふ、太腿急に触んないでよぉ」
せつな「あら?私を部屋に連れ込んで、胸を後ろから急に揉んだのは誰だったかしら?」
ラブ「だ、だってあの時は一緒に暮らせるのが嬉しくて、つい…」
せつな「まあいいわ。時間は沢山あるし、お尻も胸も堪能させてもらおうかしら。そして…」
ラブ「…んッ!」
せつな「この甘いも唇もね」
ところが翌日ラブの大逆襲にあうせつなさんなのでした。

102:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 19:32:59 YxyDTnuO
変身することで、よりハードなプレイに耐えられるんですね

103:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 20:01:00 q1RcUjP2
>>59
上手いしドキドキすなぁ
嫉妬に苦しむラブをせつなが救ってくれるって私信じてる!

104:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 20:33:58 /trqEn1r
せつなはスイッチオーバーしたほうが胸が大きくなって都合がいいかと

105:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 20:48:21 UjNG83sE
こんばんはー。今日もお願いします。メルマガなんてあるんですか。
素材がこんな所にもあるとは不覚、、、


         【もぎたてフレッシュ】
せつな「美味しかった。ご馳走さまでした。」


ラブ           (ニヤ~)

せつな「ん?」


ラブ「さってと、お風呂♪お風呂♪(やばー、顔に出ちゃってるよ私、、、)」
せつな「もうお風呂入るの?いつもより早いのね(ラブなんか笑ってる・・・)」

ラブ「ぅ!ま、まぁ、ちょっと準備が…(汗汗」

せつな「じゃあ私はお片付けしてるから。ゆっくりどうぞ。」
ラブ「いぇいぇ!速攻で出て来るから!せ・つ・な・わぁ~、次すぐ入って♪じゃあ!」
   
        (っしゃぁ~ラブちゃんGO~!!!)

せつな「えっ!?ちょっとラブー!着替えは!?忘れてるってば!」



ラブ         (んな物いりませんからっ♪♪♪)


せつな「何なの一体。                でも、胸騒ぎがする・・・。」



             "ガチャッ"
ラブ「せつなぁ~、今晩のデザートわた…、ピーチだからお楽しみにっ☆」

せつな「あ、うん。(桃なんて買ってきてたかしら…?)」


ラブ(もーぎたてっ!もーぎたてっ!)


>>97
理想のデザートになりましたでしょうか?と、番外編も作りましたのでお召し上がり下さい。

106:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 20:51:05 UjNG83sE
            【つみたてフレッシュ】
祈里「もしもし、美希ちゃん。えっと…、もぅご飯食べたかな?」

美希「えぇ、食べたけど。どうかしたのブッキー?」

祈里「あっ、得に無いんだけど…。その…、デザートとか食べたいと…、
   思わないかなって。。。」

美希「ん、デザート?何々?食べに行くの?ちょうど甘い物食べたいって思ってた♪」


祈里「食べに行くんじゃないんだけど、私の部屋で……イイかな?」

美希「うん♪全然OK!ブッキーはいつも完璧だから、何食べさせて
   くれるのかしら。楽しみ~。」
祈里「絶対美味しいと思う!!!             …って私、信じてる。」

美希「わっ!声大きいよブッキー。。。くすくす…」

祈里「ごめんなさぁい…。あ、美希ちゃん。」

美希「何~?」



祈里「早く来てね…。とれたてだから。」


恥ずかしさを表す///が使えないから表現難しいorz
もっと文才があればなぁ(涙


107:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 20:56:17 UjNG83sE
>>101
興奮しますよ、家での変身とか。素材としても作品としてもGJです。
ラブせつはほんとネタが充実してますネ。

108:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 21:22:37 YxyDTnuO
URLリンク(upload.fam.cx)

109:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 21:32:23 C5KXzhNw
>>105
ちょwIDが遊人とかエロすなぁwww

投下乙です。早速頂きましたm(_ _)mごちそうさまですた。

て事はつみたてフレッシュとうれたてフレッシュもあるんですね、わかりますw

ワッフル(・∀・)ワッフル

110:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 21:34:50 7VM/7qqs
(汗とか涙とかも////と同列だよ

111:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 21:55:57 U6s6ycXK
>>106
>>105
ちょww
デザートが逆にせつなや美希を食っちまいそうだ。投下サンクス!
表現の仕方を気にしているなら、一度セリフだけじゃなく「地の文」を使ったSSを試してみてはいかがかな?
セリフのみの場合でも、記号を使わずとも十分表現出来るとは思うけど。
SSを読ませて貰ってる分際で偉そうなこと言って真にスマソm(__)m

112:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 22:02:51 C5KXzhNw
もしかしてこの職人さんは女ぢゃないの?内容が妙に可愛いんだよね、いっつも。間違ってたらゴメソ。

あ、俺は表現気にしないんで思うまま投下桶。
てか投下続けて下さいm(_ _)mお願いしまつ

113:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 22:42:53 lsN/fkUy
今晩は。夕べの>>60-61です。また懲りずに書いたんで投下します。

今度は軽め、百合薄めのやつ。でも無駄に長いですww
勢いで書いたんで荒いですが、デザート代わりにでもなれば。

114:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 22:44:25 lsN/fkUy
色々あった1日。夕暮れの町を浴衣姿の少女が4人、肩を並べて歩いている。
ハプニングも多かったけど、終わり良ければ全て良し。
夏の思い出としては中々悪くない1日だよね。

止まる事のないお喋りに花を咲かせてると、ふと川縁の柵から身を乗り出し
困った様子の数人の子供達が目に入った。

「どうしたの?」
祈里が声を掛ける。聞けば、縁日で買ったひよこの入った籠を
ふざけあっているうちに川へ落としてしまったらしい。
4人も柵から覗くと、土手の下を流れる川の中ほどに流木が
枝を突き出していて、丁度上手い具合に籠が引っ掛かっている。
幸いひよこも濡れてはいないようだ。
いつもなら土手を下りて川に入れば難なく取れるが、今日は数日前まで
降り続いた雨で水嵩がかなりましている。
普段は流れも緩やかで子供の遊び場にもなっている場所だが
今は大人の膝下くらいの深さはあるはずだ。

泣きそうになっている子供達を見て、何とかしてやりたいと思うが
何しろこちらも浴衣。いつもの軽装なら、任せとけ!とばかりに
胸を叩くだろうラブも手立てが思い浮かばず困り顔。誰か人を呼ぼうにも籠は
枝のほんの先に引っ掛かっているだけなので、風でも吹けば
あっという間に落ちてしまうだろう。
助けを呼ぶ間持つだろうか…。

「ちょっと!せつな?!」
ラブの祈里の思考は美希の悲鳴によって破られた。
「!!!」
「!!!」
「ん?」
せつなは浴衣の裾をぴらっと捲り上げ、白い太ももの半ばまであらわにしている。
そして端をはだけないよう帯の上部にぎゅぎゅっと押し込むと、
下駄も脱いで、よいしょ!とばかりに柵を跨いで土手を降りて行った。

115:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 22:46:47 lsN/fkUy
せつなは不安定な足元を苦にする様子もなくするすると土手を降りて行く。
せつなの目的が分かった子供達も口々に声援を送る。「おねえちゃん、気を付けてー!」
「頑張ってー!」
せつなはザブザブと水に入ると、ヒョイッと籠を取り、子供達に手を振って見せた。

その後口々にお礼を言う子供達を見送ると、祈里は少し頬を染めながら
「せつなちゃん、これ…。」
とタオルを差し出した。
「あ、ありがとう。いいの?」
「うん、早く拭いて。浴衣下ろせないでしょ?」
せつなはタオルを受け取ろしたが、そこで
「ちょーっと待った!」と美希にタオルを取り上げられた。
「もう!そんな格好で屈んだら見えちゃうでしょ!あたしが拭いたげるから!」
でも、とせつながもじもじするも美希は返事も聞かずせつなの前にしゃがみ
ごしごしと足を拭く。
「ほら、肩に掴まって足上げて!ブッキー、ちょっとタオル汚れるけどゴメン。」
そう言って足の裏の砂を払い、下駄も履かせてやる。

祈里は気にしないで、とおっとり笑い、これまで何の役にも立ってないラブは
ポーッと頬をピンクに染め、目の前の光景に釘付けになっている。
せつなは美希と祈里に申し訳なさそうにおろおろしている。

その後、家路に付いた面々だが胸中は様々である。

「私、何かまずかったのかしら?何だか美希は怖いし、ラブとブッキーは
ぼんやりしてるし。精一杯頑張ったつもりなんだけど…。」
「せつなちゃん、すごいなぁ。運動神経もいいんだ。
それと、ブルーのパンツがチラッと見えた気がしたんだけど。
後で美希ちゃんにせつなちゃん今日のパンツ何色だったか聞いてみよう。」
「はぁ、ダメだわこの子。全く持って分かっちゃいないわ。
取り敢えず一から"女の心得"ってものを叩き込まないと!
危なっかしくてみてられないわ。」
「わはーっ!せつなの生足ゲットだよー!写メ撮っとけばよかった!
いやいや、むしろムービー?
うちに帰ったらもう一回やってって頼んじゃおうかなー?
ついでに帯くるくる~ってやつも!だっはー!鼻血でるか!」



116:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 23:08:50 C5KXzhNw
>>114
せつなの躊躇しないトコとかイイね。ほんと精一杯頑張ってる感じ出てます。

四人の展開GJ。予想に反してのブルーやラブのむっつり、大好きw

117:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 23:37:35 298FkRDp
みんなに触発されて俺も一年振りくらいにSS書いたよ
久しぶりなんで文とかグダグダだけどね

取りあえず投下しますね

118:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 23:39:30 298FkRDp
ポツポツと降り出した雨は、瞬く間に滝のような豪雨となった。
そんな夏の夜だった。

コンコン――

「せつな、起きてる?」
「ラブ?」
雨音に混じって聞こえてきた声に、読みかけの本を閉じてせつなが答えた。
「起きてるけど一体どしたの?」
「ううん。別に大した事じゃないんだけどね…」
ガチャリとドアが開き、少しハニカミを見せてラブが入って来た。
とは言うものの、今は普段の彼女ならばとうに寝ているはずの時間。
何か特別な用でもあるのだろうか。
「ホント凄い雨だよね。すぐに止むかな?」
しかし別段そんな素振りも見せる事は無く、窓の方へと視線を向ける。
そしてそのまませつなの隣に腰を下ろし、更に言葉を続ける。
「あたしね、小さい頃こういう雨がすごく怖かったな。ひょっとしたらこのまま家も町も、
全部が水の中に沈んじゃうんじゃないかって思えて、すっごく怖かった…」
当事の感覚を思い出したかのように、ラブがそっと目を閉じた。
一瞬の沈黙。静かな部屋の中に、雨音がザーと鳴り響く。
「そう…ウフフ、今でも怖い?」
「どうかな。今は平気――かな?」
そう言って、ラブもクスリと笑った。

119:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 23:40:50 298FkRDp
それから暫く二人は他愛の無いおしゃべりを続けた。
雨はその間も衰えるどころか、ますます勢いを増しているようである。
と、ふと思い出したようにせつなが言った。
「ところでラブ、なにか用があったんじゃないの?」
「え?うん。あの、えーと…」
何故だろう、急にラブの態度がはっきりしなくなった。
その様子に「?」とせつなも小首をかたむける。
「どしたの?」
「はぁ…。その、実はね…」

とその時――どがっしゃーん!!!

爆弾が爆発したかと思うような物凄い音だった。
そういえば、さっきから雨音に混じってゴロゴロと聞こえていたっけか。
「ふぅ…」
と、気持ちを落ち着かせるようにせつなが一つ息を吐く。
けれどさすがにこんな大きなモノは予想外で、まだドキドキが静まらない。
「すごいカミナリだったわね、ラブ………ラブ?」
言いかけてそれに気がついた。
「震えてるの…?」
確かに震えていた。
おまけに多分無意識的にだろう。その指はせつなの寝間着の裾を固く握っていた。

120:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 23:42:30 298FkRDp
「ラブ…もしかして、怖いの?」
「…バレちゃった?」
全身の強張りを解きながら、照れたようにラブが答えた。
裾を掴んでいた指は、今はポリポリと頬を軽くかいている。
「実は小さかった頃、雨だけじゃなくてカミナリも怖かったんだ。普通のなら
今は平気なんだけど、こういう夏の特別なのはまだ何と無く苦手で…。それで――」

がしゃーん!!

「ひゃっ!」
再び落ちたカミナリに、ラブが今度は腕にしがみついていた。
さっきだって、本当はこうしたかったに違いない。
「ラブ…」
そんな彼女に、慈愛に満ちた表情をせつなが向ける。
「それで私の所に来たのね」
それから、そっと自らの手をラブの手に重ね合わせる。
「でも大丈夫よ」
「あ…」
そして、優しくラブを抱きしめた。

ドクドクとラブの不安な鼓動が伝わってくる。
そのリズムに、抱きしめた腕にギュッと少しだけ力を込める。
「ラブが怖くなくなるまで、私がこうしてるから」
「せつな…」
「だから絶対に大丈夫」

そうよ。断言するわ。だって私はこうされる事の温もりを知っているもの。
イースだった頃に私を抱きしめてくれたラブ。あの時は必死に否定したけど、
本当は物凄く温かくて心地よかった。
だから今度は私が――


121:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 23:44:25 298FkRDp
「…ねえせつな?」
「なに?」
「カミナリが止んでも、今夜はこのままずっとせつなのそばにいて良い?」
「ええ、もちろんよ」
「良かった…」

ドーン!

と三たびカミナリが鳴った。
だけどラブの心は、もう乱れる事は無かった。

「…大好きだよ、せつな」
「私も大好きよ、ラブ…」

その言葉とともに、一つになっていた二人のシルエットが、少しだけ動いた気がした。


雨音はいつの間にか弱々しくなっている。
多分、もうすぐ止むのだろう。

そんな、とある夏の夜だった。


おしまい

122:名無しさん@秘密の花園
09/08/16 23:46:13 298FkRDp
見返すと支離滅裂だし、おまけにたいして百合じゃないしヤバイw

でも気にしない。ぐは

123:名無しさん@秘密の花園
09/08/17 00:01:42 xKqir3Mq
微百合の方が好きなんで無問題だ
もっとやっちゃってくり

124:名無しさん@秘密の花園
09/08/17 00:12:26 P0CcFR3p
>>122
ありえそうなシチュエーションがそそりますた
得意げに守るせっちゃんが良いな

125: ◆BVjx9JFTno
09/08/17 00:41:11 PccX4qQq
百合成分ちょいですが、投下します。
やっぱりせつな視点から離れられないwww

みんなでおうちでゆうごはーんの直後くらいの時期を想定しました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるねー」

ぎりぎりまで我慢していたのか、ラブが席を立ち
小走りで公園を突っ切っていく。

ドーナツショップは今日も賑わっている。

私が図書館で本を呼んでいるときに、友達にトリニティのビデオを
貸しに行っていたラブから電話があり、ドーナツショップで待ち合わせて
お茶しようということになったのだ。

テーブルに置いたままの、私の財布が目にとまった。
この世界に尖兵として来てから、はじめて「お金」というものを知り、
財布というものを持つようになった。

財布を開くと、写真のシールが貼ってある。プリクラというものだ。
ずっと前、ラブや美希、ブッキーと一緒にデートした時に
写真を撮り、ラブ達がそうしていたように貼ったものだ。

無邪気に笑う3人とは対照的に、ほとんど表情がない私がいた。
リンクルンを奪うために、ラブを騙していた頃の私。

ラブに貰ったクローバーペンダントは
大事に身につけていた。

「ずいぶんお気に入りだね」
サウラーから言われた言葉も、図星だった。

心の中にあるものを、邪気で塗りつぶしていた。
胸が苦しくなったのは、その頃からだった。



126: ◆BVjx9JFTno
09/08/17 00:42:46 PccX4qQq

「あっ、これまだ貼ってるんだ~」
気がつくと、後ろからラブが覗き込んでいた。

「ねぇ、今からプリクラ撮りに行こうよ!
 私のこの写真、はがれちゃってさぁ」

「えっ...」

「うん!決まり!さ、晩ごはんも近いから急ごう!」

ラブが私の手をとり、クローバーボウルの方に走る。
つられて私も駆け足になる。

クローバーボウルの受付フロア端に、2台の撮影機械があった。
空いている1台にラブが飛び込む。

「ねぇせつな、どのフレームにする?」

「うん...これ...かな」

「よしっ、決まりぃ」

上下に飾りが付いた背景を選んで、画面にタッチした。

4枚撮影するようだ。



127: ◆BVjx9JFTno
09/08/17 00:44:14 PccX4qQq

「さ、ポーズ取って」

ラブは元気いっぱいの笑顔でカメラを見ている。
私は...笑おうと努力する。


1枚目を撮影したメロディが鳴る。


画面に出た私の表情は、案の定
私の財布に貼ってある写真と同じ。


やっぱり、生まれ変わったとはいっても
まだ心がぎこちない。


笑顔のない世界で生きてきた私が、
そう簡単に笑顔を手に入れることなんて、出来ない。


ましてや、人から笑顔を奪っていたこの私が。


どんよりした気持ちが私を包む。
何枚撮っても一緒だ。

いつか、ラブと一緒に笑って写れるのだろうか。




128: ◆BVjx9JFTno
09/08/17 00:45:10 PccX4qQq

いきなり、?x9830;にラブの唇が押しつけられた。

2枚目を撮影したメロディが鳴る。


「せつなー!大好きだよー!」

ラブが私の首に腕をまわし、
私の?x9830;にぐりぐりと頬ずりする。

「ちょ、ちょっと...!くすぐったいよ...!」


ストレートな言葉が心に響いた。

サウラーがオウムの羽根をばらまいたとき、ラブは
裏表のない心を露呈した。

ラブの言葉は、そのままラブの心なのだ。
素直に受け止めればいい。


心の中がじんわりと暖かくなった。


3枚目を撮影したメロディが鳴る。


4枚目を撮影したメロディが鳴る。



129: ◆BVjx9JFTno
09/08/17 00:48:47 PccX4qQq
文字化けしたスマソ
再アップします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いきなり、ほおにラブの唇が押しつけられた。

2枚目を撮影したメロディが鳴る。

「せつなー!大好きだよー!」

ラブが私の首に腕をまわし、
私のほおにぐりぐりと頬ずりする。

「ちょ、ちょっと...!くすぐったいよ...!」

ストレートな言葉が心に響いた。
サウラーがオウムの羽根をばらまいたとき、ラブは
裏表のない心を露呈した。

ラブの言葉は、そのままラブの心なのだ。
素直に受け止めればいい。

心の中がじんわりと暖かくなった。


3枚目を撮影したメロディが鳴る。


4枚目を撮影したメロディが鳴る。




130: ◆BVjx9JFTno
09/08/17 00:50:06 PccX4qQq

撮影が終わり、4枚の写真が画面に揃った。

2枚目から4枚目の写真を見て、
私はそこにあるものが信じられなかった。


ラブにキスされてびっくり、真っ赤な顔の私

ラブとほおを合わせ、満面の笑みを浮かべる私。


自分では絶対に出来ないと思っていた表情。


「いい写りのを選んじゃおうっと」

選んだのは、ラブと私が満面の笑みを浮かべている写真と
ラブが私にキスした瞬間の写真。

ペンを取り出して何やら書いている。


「さ、出来た!外に出てくるよ!」

ラブが私の手を引いて外に出る。


ほどなく、写真がコトリと落ちてきた。

ラブが私にキスしている写真には
「せつな」「ラブ」の文字と「大好きだよ!」の文字

2人が笑顔の写真には
「せつな」「ラブ」の文字と「ずっと一緒だよ!」の文字



胸が熱くなり、鼻の奥がツーンとする。
こんなに、幸せな気持ちになっても良いのだろうか。


私も、素直な心を、伝えたい。



131: ◆BVjx9JFTno
09/08/17 00:51:33 PccX4qQq

「...どうしたの、せつな?」

「...ありがとう。ラブ」


ラブの手を引き、もう一度プリクラの機械の中に引き込む。
「ん?また撮る...」

言い終わらないうちに、ラブのほおに口づけをした。


「おかえし。私も大好き。」


一瞬目を見開いて止まったラブの表情が崩れる。

「...わはー!自分もやったけど、何か照れるねー!」

「うふふっ」



出てきた写真を分け合う。

「キスの写真はさすがに貼れないなぁ」
「ふふっ、そうねぇ」


私は2人笑顔の写真を、前に撮った写真の横に貼った。


ふと、ラブの財布を見ると、前に撮った写真は
大事に貼られてあった。



やっぱり、ラブは何もかもお見通しのようだ。



132:名無しさん@秘密の花園
09/08/17 00:52:11 +1dTuI4q
フレプリ本スレから来たけど職人多いなココ。保管庫とか無いの?過去物とか見てみたいな。つかEVAのSS以来の衝撃が俺を襲ってる。GJすぎ、マジでwいろんな種類あるし。住人になっちゃうわ

133: ◆BVjx9JFTno
09/08/17 00:53:08 PccX4qQq

寝る前に、もう一度財布を開く。


前に撮った写真。

無表情の私。
自分の心を塗りつぶし、もがいていた私。


そっと話しかける。


辛いでしょ。でももう少しの辛抱よ。

自分の心に素直になったら...


新しく貼った写真に視線を移す。


そこには、大切な人と寄り添って
幸せいっぱいの笑顔を振りまいている私がいた。



134: ◆BVjx9JFTno
09/08/17 00:54:48 PccX4qQq
以上です。

明日(今日か)から仕事なんでorz
投下ペースは著しく落ちると思いますが
妄想は止まらないのでwww、たまったらまた投下します。


135:名無しさん@秘密の花園
09/08/17 01:08:58 sbySAHbj
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおつうううううううううううううううううううううううううううう!

136:名無しさん@秘密の花園
09/08/17 01:17:34 /Kp1nLYk
>>114
ごちそうさまです
前作の黒いラブも好きだが今回の面白4人組もなかなか
シチュエーション作りが上手いっすね

137:名無しさん@秘密の花園
09/08/17 01:50:09 AZtH34CJ
GGGGGGGGGGGGGGJ!!!!!!!!
>130とかもう、心を打たれましたよ。

138: ◆51rtpjrRzY
09/08/17 02:51:41 hQiX2ypS
>>90
説明不足失礼しました。このスレではそう名乗られては?ってことです。
まあ戯言なんでお気になさらないで下さい。
勢いだけで書いたんでGJとか言われると恥ずかしいです・・・穴だらけだし。

しかし腕の立つ人多いなここw

139:10 ◆ZU7CldKWo2
09/08/17 03:05:20 qVWpDoru
ども。トリップ付けてみました。


28話、いい感じでございました。
そのIF。もしもパッションが思い出の世界に送り込まれたら、というSS。

ネタバレなので、最新28話をまだ見られてない方はご注意ください。

思いの外長くなりました。8レスほど、お借りします。

140: ◆ZU7CldKWo2
09/08/17 03:07:01 qVWpDoru
 思い出?
 私には、戻りたい思い出なんて、ない。



    Memories of Love



「はぁぁぁぁっ」

 力を溜め、一気に跳躍する。その鋭い視線の先には、一眼の怪物の姿。

「ハイ、チーズ!!」

 クルクルと回る三脚の一本にしがみつき、鉄棒の要領で体を回転させて蹴りを
浴びせるが、

「くっ!!」

 瞬間移動のように消えるナケワメーケに、空振りに終わってしまった。
 タタッ、と着地するキュアパッション。その隣に、ベリーとパインも降り立って。

「強い......!!」
「――でも」
「負けられない!!」

 ボロボロに傷付きながらも、少女達は立ち上がる。ナケワメーケの攻撃によっ
て思い出の世界に送られたピーチ。
彼女の目覚めを信じて。

「愚かだな。もう目覚めることなど無い仲間を待ち続けるとは」
「いいえ!! ピーチは絶対に、帰ってくるわ!!」
「ええ!! わたし、信じてる!!」

 サウラーの言葉に、肩で息をつきながらも、ベリーとパインは力強く返す。そ
の様に、苛立たしげに眉を顰めた彼は、

「ふん、愚かな。やれ、ナケワメーケ」
「ハイチーズ!!」

 再び突進してくる巨体に、三人は大地を蹴って飛び退った。ドン、と怪物の足
がアスファルトに大きな穴を開ける。

「――!? ピーチ!!」

 衝撃に崩れるビル、飛び散る瓦礫。その一つが一直線に向かう先を見て、パッ
ションは凍りつく。

「あわわわわ」
「プ、プリプー!!」

 タルトとシフォン、そして眠っているかのように目を閉じているピーチ。この
まま行けば、あの瓦礫は彼女達を押し潰してしまう。

141: ◆ZU7CldKWo2
09/08/17 03:10:22 qVWpDoru
「――くっ!!」

 空中で強引に体を捻り、ビルの壁を蹴って、パッションは勢い良く飛んだ。

「も、もうあかん~」

 迫り来る巨大な物体に、ガバッとタルトがうずくまってしまった瞬間、

「はぁぁぁぁ!!」

 彼女はその瓦礫に体ごとぶつかっていった。ドン、と大きな音と共に、瓦礫は
方向を変える。そしてピーチ、タルト、シフォンの誰にも傷を付けず、地面に
落ちて大きな土ぼこりをあげた。

「パッション~」

 危なかった。思いながら着地したパッションは、シフォンの可愛らしい声に微
笑を返そうとして、

「――うっ」

 脇腹を抑える。空中で急に体勢を変えたから、痛めてしまったらしい。無論、
耐えられないという程ではない。事実、彼女が顔を歪めていたのは、ほんの一瞬のこと。
 だがその一瞬の隙を、ナケワメーケは見逃さなかった。

「ハイ、チーズ!!」
「えっ!?」

 動きが止まった瞬間を、狙われて。
 目の前に閃光が走ったと思った瞬間、キュアパッションは意識を失ってしまっ
たのだった。

142: ◆ZU7CldKWo2
09/08/17 03:12:25 qVWpDoru
「スイッチ・オーバー!!」

 イースの姿から、彼女は東せつなへと変わる。

「――え?」

 それを見たピーチの顔に、驚愕の表情が浮かんで。

「せつな――? どうして、せつなが......?」
「ピーチ!! 彼女は敵よ!! せつなは、ラビリンスだったのよ!!」
「そんな......」

 駆けつけたベリーの言葉に、ピーチは体を震わせる。

「嘘......だって、せつなは、アタシの友達で......」

 彼女の脳裏を過ぎる、数多の記憶。せつなと過ごした時間が、その光景が、心
に浮かび上がって。

「嘘......」

 信じたくない。思いと共に溢れた言葉は、あまりにか弱く。
 イースは、暗い目で、ピーチを見つめる。

「私の目的はただ一つ」

 言いながら、彼女は首にかけていたペンダントを地面に落とす。

「お前達を倒すことだ」

 そして四葉のクローバーをヒールで踏み割ろうとした瞬間。

「――!?」

 彼女の動きが止まった。呆然としたまま、自分の両の手を見つめるせつな。不
可思議な彼女の行動に、戸惑うプリキュア達。

「ピーチ、ベリー、パイン――ここ、は?」

 言いながら、せつなはあたりを見回す。目の前に広がるのは、破壊されたスタ
ジアム。すでに主のいないステージは、がらんとしてどこか物悲しい。
 そこでようやく気付く。そうだ。私はナケワメーケの攻撃を受けて、思い出の
世界に飛ばされたんだ。でもどうして――

143: ◆ZU7CldKWo2
09/08/17 03:14:25 qVWpDoru
「――!!」

 慌てて彼女は、足をどかしてかがみこんだ。

「良かった。壊れてない」

 まだ体重をかける前だったからだろう。四葉のクローバーのペンダントは、少
し汚れてはいるものの、割れてはいなかった。
 ホッとして、胸にそれを抱きしめるせつなの姿に、ピーチ達は呆然とする。つ
い先程――ほんの一瞬前までは、憎悪の黒いオーラを放っていた彼女が、
今は穏やかな顔をしている。あまつさえ、自分で踏み潰そうとしていたペンダ
ントが壊れていなかったと、涙ぐんでさえいるのだから。

「せつ、な?」

 変身を解き、ゆっくりと近付いてくるラブに、せつなはニッコリと微笑んで見せた。

「壊れてないよ。四葉の、クローバー」

 そう言った瞬間。
 ナキサケーベを操っていた体が限界を迎えて。彼女はふらり、と前のめりに倒
れ込む。

「せつな!? せつな!!」

 心配そうに駆け寄ってくる、ラブの声を聞きながら、せつなは思う。
 これが――私の、戻りたい思い出?
 心の中でそう呟きながら、ゆっくりと彼女は意識を失ってしまったのだった。

144: ◆ZU7CldKWo2
09/08/17 03:17:03 qVWpDoru
「――!?」

 かけられていたタオルケットを跳ね除けながら、せつなはガバッ、と体を起こす。

「あ。起きた? せつな」

 タオルを絞っていたラブが、振り向いて笑いかけてくる。半分、朦朧とした意
識で辺りを見回す。ここは――ラブの部屋だ。

「急に倒れこんじゃったから、ビックリしたよ。やっぱり、あの怪物を操るので、
消耗しちゃってたんだね。それで、うちにつれてきたんだけど、目が覚めて良かった」

 言いながらラブは、机の上の皿を手に取り、せつなに差し出す。その上には、
皮をむかれて切られた、瑞々しい白桃。

「よく冷えてて、とってもジューシーだよ。食べて、元気を出してね」
「――うん」

 言われるがままに、彼女はフォークでそれを一つ、口に運ぶ。噛んだ瞬間に、
口の中に広がる果汁。その甘みに思わず、

「美味しい」

 せつなはそう呟いた。その顔を見て、ラブはニコニコと笑う。

「良かった。せつな、元気になったみたいで」
「――ありがと、ラブ」

 言って、せつなは食べ終えた皿を机の上に戻そうとして、

「あ......」

 そこに置かれたものに気付く。それは、彼女がいつも首からかけていた、四葉
のクローバーを模した、緑の綺麗なペンダント。
 せつなはそれを手に取って、マジマジと見つめる。
 壊れてない。綺麗なまま。私と、ラブとの間を結んでいた、絆。

「せつな――?」

 不思議そうに見つめてくるラブに、彼女は誤魔化すように笑いながら、ベッド
から起き上がる。

「あ、せつな。まだ寝てなくちゃダメだよ」
「トイレに行きたいだけよ」
「なんだ、そっか。トイレならね」
「大丈夫、知ってるわ」
「え? なんで? せつな、うちに来たことあったっけ?」

 怪訝そうな彼女に微笑を返してから、せつなは一人、廊下に出た。

145: ◆ZU7CldKWo2
09/08/17 03:19:10 qVWpDoru
 トイレから戻ってくる時に、もう一つの部屋の扉が目に入った。現実の世界で
は、せつなのものになった部屋だ。『せつな/SETSUNA』と書かれたプレートは、
しかしこのドアには、かかっていない。そっとノブを開いて中を覗くが、そこに
は彼女の机も、彼女のベッドもない。だいたい、今、自分が着ているパジャマだ
って、ラブのピンクのパジャマだ。
 やっぱり、違うのね。
 思いながら扉を閉めると、階段を上ってくる足音が二つ。
 そちらを振り向くと、色々な荷物を抱えた美希と祈里、そしてタルトとシフォ
ンの姿がそこにあった。

「せつな」
「せつなさん......」

 体を強張らせる二人。そのどこかよそよそしい態度に、せつなは苦笑する。本
当に、違う。

「そんなに心配しないで、美希、ブッキー。私はもう、イースじゃないわ」
「へ?」
「せつなさん、今、ブッキーって呼んだ?」

 驚きに目をパチクリとさせる美希と祈里に笑いかけながら、せつなはタルトの
背中からシフォンを抱え上げる。

「ああ、なにするんや!!」

 慌てるタルトをよそに、彼女はシフォンを抱え上げた。不思議そうな顔をして
いたシフォンだったが、せつなの見せた笑みに、キャッキャと喜びの声を上げ出して。

「どうなってんの?」
「さぁ......」
「ほんまに、イースやないんか?」

 口々に戸惑いを現す彼女達に、シフォンを抱きかかえたまま、せつなは真剣な
表情になって言った。

「詳しいことは、これから話すわ。ひとまず、ラブの部屋に戻りましょう」

 言って背中を向けるせつなに、美希達は結局、最後まで唖然として顔を見合わ
せていたのだった。

146: ◆ZU7CldKWo2
09/08/17 03:27:25 qVWpDoru
「思い出の、世界......?」
「ええ、そう。私はキュアパッションとして生まれ変わって、皆と一緒に戦ってる。
けれど、ナケワメーケの力によって、この思い出の世界に送られてきてしまった」

 ベッドに腰掛けて話すせつなの言葉に、少女達三人は戸惑いを隠そうとはしな
かった。無理もない、とせつなは思う。いきなり言われたところで、にわかに受
け入れられるものではないだろう。

「アタシ、信じるよ!!」

 そう思っていたせつなだったが、しばしの沈黙の後に、ラブは突然、勢い込ん
で言った。

「せつなが言うことだもん。嘘じゃないって、アタシ、信じるよ」
「でもせつなは、自分がイースだってことを隠してたのよ?」

 ラブの言葉に、美希は冷静な一言を浴びせた。思わず、せつなは目を伏せる。
向けられているのは、疑いの眼。仕方のないことだとわかっていても、辛い。
現実の美希を知っているから、なおさらに。

「けど、美希タン......」
「ラブ、貴方の信じたい気持ちはわかる。けれどね――」
「プリプー!!」

 ラブの言葉を遮り、言い募ろうとした美希。だが突然に、シフォンの額のマー
クが光り、ラブの部屋の窓を照らし出す。

「な、なに?」

 驚きの声を上げる少女達の前で、窓ガラスの向こうの空が消える。そこに映し
出されたのは、ピーチとパッションの体にすがりつく、キュアベリーとキュアパインの姿だった。


「これで、後は二人」

 ほくそえむサウラーを、ベリーとパインはキッと睨みつける。

「よくもピーチとパッションを!!」
「許さないんだから!!」

 飛び掛る二人だったが、ナケワメーケが彼らの間に割り込んで襲い掛かってくる。

「!!」

 咄嗟に二人は、互いの掌を押し合い、ナケワメーケの放つ光をかわした。その
まま別々のビルの屋上に降り立ち、再び構えを取る。その体は、何度も跳ね飛ば
されたせいか、すでにボロボロで埃まみれだ。
 それでも、彼女達は立ち上がる。

「往生際が悪いね。もう諦めたらどうだい?」
「誰が諦めるもんですか!!」
「ピーチもパッションも、必ず戻ってくるって、わたし信じてる!!」

 言葉と共に駆ける二人。三人でも厳しかったのに、二人になってしまっては勝
てる気がしない。
 だがベリーもパインも、決して心が折れることはなかった。それは、仲間が帰
ってくることを信じているから。

147: ◆ZU7CldKWo2
09/08/17 03:30:45 qVWpDoru
「あれは......あたし達?」
「あそこにいる赤い人が、キュアパッション?」

 美希と祈里の言葉に、せつなは頷く。シフォンの力が働いているのだろう。だ
からこうして、現実の世界を垣間見ることが出来た。

「やっぱり、せつなが言ってることはホントだったんだ!! ね、美希タン」
「はいはい、どうやらそうみたいね」

 顔を輝かせながら言うラブに、美希は苦笑しながら頷いた。そして彼女は、せ
つなに目を向ける。

「せつな、一つだけ教えて?」
「なに?」
「どうしてせつなは、この時間にきたの?」

 同じことを、ラブも祈里も思っていたのだろう。向けられる三人の視線に、せ
つなは首からペンダントを外して手に持った。

「多分、これのせい」
「幸せの、四葉のクローバー?」
「ええ。ラブからもらった、私の宝物――だけど、私はこれを壊してしまった」

 東せつなにとって、思い出と呼べる程のものは多くない。何故なら、ラビリン
スにいた頃の、イースであった自分に、戻りたいと思える記憶はなかったから。
生まれ変わってからのほんの一月ほどこそが、これまで何よりも大切な時間。
だがそれは、思い出と呼ぶ程、色あせているわけではなくて。
 だから、ナケワメーケの攻撃を受けても大丈夫だと思っていた。しかし実際には。

「戻りたい思い出の世界に送り込めば、そこから帰ってこれなくなる――サ
ウラーはそう言ってたわ。私には戻りたいと思える記憶はないと思ってたけれど、
一つだけ、あったみたい。多分それは、すごく、後悔してたから」
「ペンダントを、壊したことを?」

 ラブの言葉に頷いたせつなは、穏やかな目で彼女を見つめた。

「でも、やっぱり違った。たとえペンダントを守れたとしても、私はこの世界に
ずっとはいられない」

 だってこの世界には、私の部屋はないから。私の机も、私のベッドも、私のパ
ジャマもないから。
 ラブと戦って、寿命が来て、生まれ変わって、桃園家の家族となって。
 その全ての記憶は、確かに愛おしい。けれども、その過去よりも、これから先
の未来への希望の方が愛おしい。
 ペンダントを壊したことは、これから先もずっと、後悔するだろう。けれどそ
れよりももっと大切なものを、私は手に入れた。

「それに、私には待ってくれてる人がいる。だから――私、帰るわ」

 窓ガラスには、戦い続けるベリーとパインが写っている。彼女達の為にも、自
分は、戻らなくてはいけない。
 せつなが強く決意すると共に、彼女の体が光に包まれていく。その手に持って
いたペンダントは、ゆっくりと粉々に砕けていった。いつか、彼女が踏み潰した
時の姿に戻ったのだろう。

148: ◆ZU7CldKWo2
09/08/17 03:39:18 qVWpDoru
「待って、せつな!!」
「え?」

 ラブが声と共に、せつなの手を掴み、美希と祈里を見た。目で語り、頷きあう
三人の少女達。そして重なる、四人の手。

「ペンダントは、もうないかもしれないけれど」
「見えなくてもきっと、あたし達との絆があるから」
「わたし達四人で、四葉のクローバーだよ」
「みんな......」

 彼女達の笑顔に、せつなは目をうるませる。
 そうだ。これもまた。
 手に入れた大切なものの一つ。



『きゃぁぁぁっ』
「あわわわわ、こらあかん!! ピーチはーん、パッションはーん、目ぇ覚まして
ぇな」

 吹き飛ばされるベリーとパインに慌てながら、タルトは必死に二人に声をかける。

「何度も言うようだけれど、無駄だよ。甘美な思い出の世界から、戻って来たい
と思う人がいるかい? 時間の無駄だから、早く諦めたまえ」
「そうはいかない」
「――なに?」

 言葉と同時に立ち上がるキュアパッションに、サウラーは驚きの声を上げる。

「パッションはん!!」
「キュアキュアー♪」

 驚くタルトと嬉しそうなシフォンに笑いかけてから、パッションは再び宙を舞う。

「やっ!!」

 サウラーの動揺が伝わったのか、動きの止まったナケワメーケに、パッション
は蹴りを叩き込んだ。ずんっ、と地響きを立てて倒れる怪物の前に、パッション
は立ちはだかる。

「パッション!!」
「良かった......本当に......」
「ベリー、パイン、お待たせ!!」

 歓喜の声をあげて駆け寄ってくる二人に、パッションはもう大丈夫とばかりに
微笑む。

「これであとはピーチだけね」
「きっと、すぐに戻ってくるわ」
「うん!! わたし、信じてる!!」

 漲る力で三人は。

「えぇい、やってしまえ、ナケワメーケ」
「ハイ、チーズ!!」

 再び怪物へと飛び掛っていったのだった。

149:名無しさん@秘密の花園
09/08/17 07:55:53 8k/LJuAX
。・゚・(ノД`)・゚・。

150: ◆ZU7CldKWo2
09/08/17 09:45:36 qVWpDoru
そんなわけで。

ここからはテレビ放映された通りです。


>>93さん感想、ありがとうございました。元気とやる気が出ますw
社会人は大変ですよね。私も今日、会社。お盆休み取れなかったですよ。


>>138さん、色々気遣いありがとうございます。GJですよ~勢いなのは私も一緒
ですw 勢い大事ですよね。

ともあれ皆様。よろしくお願いいたします。

151:名無しさん@秘密の花園
09/08/17 10:46:21 Ila9HWeM
なにがどうなってこんなに活気づいてるwwww幸せ過ぎて涙滲んだ

152:名無しさん@秘密の花園
09/08/17 11:41:20 +1dTuI4q
>>151
俺も昨日北ばかりで把握出来てないんだが、夜に職人たちが降臨して投下してくらしい。
一通り読むと大抵が神的良作。残念なのは18禁板だって事と、昼間に投下がないっ事かw
俺も作ってみたいが職人に期待した方が無難だな


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