09/08/20 22:00:16 31TS7WBY
「そんなこと言わないでほしいっす!!わっ、私がお嫁さんにもらってあげるっすから!!」
ぴくりと眉が反応した。お嫁さん…私が?
「モモ。そんなことはお断りだ!!お嫁さんになるのはキミだ!!」
それだけは絶対に譲れない。私だってもう我慢の限界なのだ。
どうしようもなく悲しくて情けないのは、なにも裸を見られたからだけではない。
もう格好をつけるのはやめだ。そんなの理由は決まっているじゃないか。
本当のことを言えば、私だって…私だって!!そう…
「私だってモモに色々としたいんだ!!なのにキミばかり…私は恥ずかし損じゃないか!!私もモモに恥ずかしいことがしたいんだ!!」
されるがままではいたくない。
格好をつけたくて、それに勇気もなくて、触れる彼女を傷つけたくなくて…。
だからなにもしなかった。けれど、私にも疚しい感情はあるのだ。
モモに触れたい。モモの特別になりたい。
大好きなのだ。健全な高校生である私がモモに対してそういった感情を抱かないわけがなかった。
「ほんとっすか?」
少し震えた怯えるような声。今更になってなんてことを言ってしまったのだろうと後悔した。
嫌われた。格好悪いし情けない。こんな主張をどうしてしてしまったんだ。
「すまないモモ…変なことを言った。忘れてくれ。」
「嫌ッす!!だって私怖かった。先輩は何度隣で眠っても何もしてくれない。キスから先は禁忌みたいに決して触れなかったっすから。
だから、もしかしたら私には魅力なんてないんじゃないかとか疚しい想いを抱えてるのは私だけなんじゃないかと思って不安だったっす…。」
嘘じゃないんでしょう?なら本当の気持ちをぶつけてほしいっす。そう付け足して締められた彼女の言葉は紛れもなく懇願だった。
悩んでいたのは私だけじゃなくて彼女も。互いに子供で、自分だけが変なんじゃないかと思っていた。
けれどそんなわけないのだ。私はモモが好きで。彼女も私を好いてくれる。
一方通行じゃないのに向き合うことを怖がるなどばかげたことだったのだ。
「ならば決めた。今夜私は君を抱こう。」
その前に夕食を済ませて心を決めようか。
そんなへたれた言葉で締めてしまったけれど、覚悟は本当。覚悟というよりもただの欲望なのだけれど。
彼女も、じゃあ腕によりをかけちゃうっすからね、とニコリと笑った。
こんな風でいい。格好は良くないかもしれないけれど私たちのペースで進めばいい。
モモの唇に軽く口付けると、私は笑みを浮かべる。
夜はまだ始まったばかり。いつもと違うこともいいけれど、いつも通りも十分に私には幸せなのだ。
愛している。普段言わないそれを彼女の耳元で囁くと、私は彼女をギュッと抱きしめた。
Fin.