09/07/01 01:18:34 d0PnjcS1
気づけば自宅まであとわずかな距離まで来ていた。
入り組んだ路地裏。車も通れないほどの細い路地裏。
モモという可愛らしい破壊兵器に撃ち据えられた鶴賀の前部長は、
高ぶってしまった心の赴くまま、佇む電柱の影に身を移す。
もちろん、恋焦がれる者を伴って――。
「すまない、もう歯止めが利かなそうだ、モモ」
「…せ、先輩、誰か来たらど、どうするっすか…?」
「構うものか。この雨だ。出歩くのもそうそう居まい」
「ふふ、せっかちさんっすね。そんなところも好きなんす」
雨に染められた、古ぼけた電柱の影にふたりは寄り添う。申し訳程度に
傘を斜めに構え、周囲との視界を遮るとそっと柔らかい唇同士を重ね
合わせる。
重ねるだけのキス、そこから互いの舌を絡め合わせる濃厚なものになる
のにさほど時間は要さなかった。
「……ふ…っ、んぁ…ん 好き…っす 世界で誰よりも…」
「モモ……ぷぁ…っ お前が…愛しい……」
唇を割り、温かい口腔を隅々まで味わうような深い深い口づけに
身体も心も溶けてしまいそうになるが、降りしきる雨が火照りを鎮めて
くれていた。
少しずつモモの制服の襟をくつろげ、鎖骨をじっとりを撫ですさる。
電流に撃たれたようにぴくん。と反応する様がゆみの嗜虐心を満たして
ゆく。
すっかり荒くなった吐息をも呑み込んでしまうような深遠なキス。
ガクガクと膝を震わせ始めるのに気づくと、ゆみは惜しそうに唇を離す。
「はぁ……は…っ モモ、家はすぐそこだ。場所を変えるか…?」
しがみついた手がぎゅうっとゆみの制服に皺を与える。蕩け切った表情と
その行動が返答だった。
もはや止める術も謂われもない。そのままなだれ込み、溜めてきた
愛おしさと慈しみ全てを互いにぶつけ合ったのは語るまでもないだろう。
桃の果汁100%ジュースよりも甘く切なく、濃厚で芳醇な営みは
東の空が白み始めるまで継続された。
その様子はまた別の機会にお届けしよう。
ーENDー