09/06/30 22:13:29 YqwIRcRS
「ゆみちんっていつも告白が大胆だなぁって話。なぁかおり、そう思うよなー?」
蒲原の言葉に続くように、妹尾のふにゃふにゃとした肯定の言葉が聞こえてきた。
いよいよある嫌な予感が現実味を帯びてきた。顔から火が噴き出しそうなほど頬が熱い。
「なぁ蒲原…何の話をしているか正確に教えてくれないか?」
さっきの間の抜けた裏声の後ではなにもかもが台無しかもしれないが、できるだけ重い口調を選ぶ。
「ゆみちんのラブレターの話ぃ。」
蒲原が心底楽しそうに伝えてきた言葉は、私が想像していた通りの最悪の結果で。
死にたい…あれを知られたからには消えてなくなりたい。酷く頭が痛むのを感じた。
「どうして…どうして知っているんだ?」
私の唯一つの疑問はそれだった。私が‘彼女’に宛てた手紙がなぜ蒲原たちの知る所となっているのか。
知っているのは送った私と受け取った‘彼女’だけのはずなのだから。
私はもちろん蒲原たちに伝えてはいないし、‘彼女’からとも考えづらい。
「だってさぁ、ゆみちんがあれ置いてった場所…部室だよ?」
世界で一番間抜け。それが誰かと問われたら私の名前を応えるがいい。
「先輩風吹かしながら部室に顔だしたらさ、かおりがなにか熱心に読んでるから…。
あっ、かおりもなにかの連絡かと思って読み始めちゃっただけだから怒っちゃだめだぞ~!!」
分かっている世界で一番間抜けな私が悪い。
でも、それならば…
「じゃっ、じゃあ‘モモ’はこれを読んでないという事だな!!」
勢いに任せて書いてしまった思いの丈。全てを壊してしまうならいっそなかったことにしてしまうほうがいい。
蒲原や妹尾に読まれてしまったのは実に恥ずかしかったが、モモにまで伝わっていないのならば不幸中の幸いだ。
私はこの関係を失いたくないのだから。
「ん~。モモはね…」
ピンポーン!!
嫌な予感がした。
「あっ来たみたいだねー。頑張ってねゆみちん!!」
蒲原の言葉とともに電話はきれる。どうしてこうなった…
どうにかして向き合わなくてはなぁ…と若干の開き直りをもって私は玄関のドアを開いた。
Fin.