09/08/14 17:38:12 /34wX0kP
「せつなとラブ 互いを思い合う心」
せつなが目を開けると、そこは灰色の世界でした。
青い色の空もなく、白い色の雲もない、
ただコンクリートのビルが立ち並んでいるだけの、寂しい世界。
けれども、そこはせつなにとっては見覚えのある場所なのでした。
せつな「ここは?・・・まさか――」
そう、そこはせつなの故郷、ラビリンス。そしてその中枢部。メビウスが居る場所でした。
せつなが呆然としながら立っていると、目の前に見知った影が現れました。
「・・-ス・・・・イース」
せつな「その声は、メビウス"様"!」
メビウス「イース、私は今怒りに震えている。その理由はお前が一番分かるはずだ。
なぜ我らを裏切った。」
せつな「それは・・・」
メビウス「お前を腹心の部下にまで取り立ててやった恩を忘れた、というのではあるまいな。」
せつな「・・・感謝しています」
メビウス「お前達は私に管理されることにより相応の生を生きる。争いのない平穏な人生をな。
だが他の世界では争いの絶えない所がほとんどだ。他の世界にもラビリンスのやり方を広めなければならぬ。」
せつな「・・・・・・・」
メビウス「あの世界の人間のFUKOを集めるのはその礎。これは必要な犠牲なのだよ。それが何故わからぬのだ!」
メビウスが怒った口調になると、地面からつる状のものが現れ、せつなの体をとりまきました。
それらは、苦痛を与えながらメビウスと同じようにせつなを責め続けます。「裏切り者、裏切り者」と。
せつな「やめて、やめてくださいメビウス様!」
メビウス「・・・・・・・」
メビウスは何も言わずに消え去っていきました。
せつな「ウウッ・・・・クッ・・・」
せつなはとうとう涙をこらえきれなくなってしまいました。
せつな(メビウス様・・・・メビウス様・・・・・・)
誰もいない世界の中で、涙が滴る音だけが木霊していました。