リリカルなのはで百合萌え(燃え)25時間の告白at LESBIAN
リリカルなのはで百合萌え(燃え)25時間の告白 - 暇つぶし2ch150:或る捜査官と世界の果て
09/03/08 14:44:33 HLAdIWU9

(幕切れ)



誰かが、謳っている。



 The island bathes in the sun's bright rays
  -其の島は煌びやかな陽光を身にまとい

 Distant hills wear a shroud of grey
  -遥けき丘が灰色の外套を羽織る



ユーノが優しげな音色に意識を取り戻せば、そこは石畳の上。
視界に映る漆黒に、首筋の下にある柔らかな感触に、戸惑う。

気が付けば蒼天を仰ぎ大の字に倒れ、恋敵と罵った相手の膝を借りている。
取り急ぎ起き上がろうと試みるも、身に残る斬撃の鈍痛に軽く呻くだけ。

髪を撫でる指先に、仄かに漂う甘やかな香りに落ち着きを取り戻せば、脱力、
バリアジャケットの黒、手を伸ばせば触れる場所に、寂しげな丹の瞳が見える。

見上げるうちに朗詩が途絶え、謳い手が歌に変えて言葉を紡ぐ。

「なのはが、好きなんだ」

誰に、何のための言葉だったのか。

見慣れた、困ったような、頭上に青空を背負う整った顔立ちに知らず、手を伸ばす。
触れて、確かに指先に触れているはずなのに、この手は決して彼女に届く事は無い。

届かない、ああ、フェイト・T・ハラオウンこそが、

ユーノ・スクライアにとっての、世界の果て。

「知っていたよ、そんな事」

倒れたまま空を見上げていた彼の、温もりが頬を伝い落ちた。

(終)


151:或る捜査官と世界の果て
09/03/08 14:45:02 HLAdIWU9

あとがきー

え、この後? ユーノはワカメの立ち位置ですよ、とか言う微妙なネタでした
問題は、王子様と薔薇の花嫁がフェイなのゴチャ混ぜになってしま違ぇ

次は前回に相手してくれた優しい人の勧めに乗って、イクスバメガ吐血小話予定は未定
そんな事より誰か気の向いた方フェイはやを書いてください、それだけが私の望みです


ちょっとチラ裏

Asまでならともかく、StSのユーノがなのはさん好きとはとても思えないのです
オトす努力が見られませんし、周囲が勝手に思っているだけで、実は違うんじゃないかと

そう考えてみると、何か変な世界が見えてきます

エイミィさんになのはさんの事を聞かれても、お茶を濁した返答しか出来ません
二人の仲を応援とか勘違いしたフェイトさんに、メールと逢引口実ゲットです
ホテル・アグスタでは、ユーノが誰よりも先に会いに行った相手が居ましたね

アルフ:大丈夫だって、ちゃっちゃと潜り込んで写真とってくるだけだろ
ユーノ:ええとさ、そんなに心配なら僕がついて行こうか?
フェイ:そんな、ユーノも忙しいのに………頼めるかな(上目遣い

最終回のアルフと授業参観も、何か簡単に想像がつきます、点数稼ぎです

いくらか説得力ありそうですけど、どんなもんでしょ、フェイ←ユーノ 片思い説
フェイトさんとられそうで嫉妬に狂う拗ねたなのはさんとか、可愛い気もするのですが

まあそんなどうでもよい話より、今は何故かフェイはやの桃エロが読み書きたい気分

チラ裏でした


152:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/08 18:13:29 xJPB/A6W
GJでした
とても美味しかったです

153:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/08 18:52:43 0Yq48jPH
表現が回りくどすぎてよくわからなかった……

154:(ω・`ミэ)ピチピチ
09/03/08 21:04:15 UDDTib6J
草葉の陰|ω・)b なんかえらい格好良い文章. GJ


と,間に邪魔するようで申し訳ありませんが,130のレス返させて頂きます.なんだか大量に頂いて恐縮致します.さて,
>>131 thx
>>132 有難うございます.25歳は良い歳ですよね.
>>133 ω・)!態々携帯まで出して頂いて恐悦至極.
>>135 ω・)ゝ感謝感激.
>>136 25歳は良い歳ですよね.四半世紀ですし.
>>138 ヴィヴィオさんは良い娘ですよね.
>>140 百合のオリジナリティ…お陰様で婚前交渉について思いつきました.ご指摘有難う御座いました.(ω・)ゝ
>>141 SOREDA!

>>134 >>137 >>139 >>143
(゜Д゜!?……(゜Д゜三゜Д゜)  ((((゜Д゜))))  カリカリφ((((゜Д゜;アシタマデマッテ

155:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/08 22:32:40 +qb/l+Zc
>>130
GJ!相変わらずたまんねえです!!
婚前交渉にも熱烈期待…ニヤニヤ

>>151
GJです、クロノwww
ウテナ大好きなんで嬉しいネタでした

156:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/08 23:29:21 wqZxUIQ1
もくし くしも
しもく くもし
もしく しくも♪

157:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/09 17:09:09 ZYIe56ZC
>>154
若竹

158:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/09 20:35:09 5ViIKfvt
>>151
文章的に優れているのは良くわかるけど、自分も>>153と同じ感想です。
あと、これは百合スレに投下すべき内容なのかなーとちょっと疑問に思いますた。
注意書きを添えているのは好印象だけど、今回のネタは他のスレでも良かったような…。

ともあれ作品自体はGJです。
ザフィーラの108備品には吹かせてもらったっス。

(いま備品って変換しようとしたら美品って出た…。 美しき魔闘家ザフィーラ自重)

159:(ω・`ミэ)ピチピチ
09/03/10 00:41:59 /X81nue7
魚拓|・)ノ

Д・)40分くらいこえてーら.とさておき,本編より長くなりそうになりました
婚前交渉といきます.

『こんぜんこーしょー』

1.なのはさん

 カーテンの隙間から差し込む月明かりだけがこの部屋の照明だった.薄暗く,近づけば
漸く相手の顔が見える,その程度の明暗.そんな中,照らされ,一際目立つのは髪の短く
なったフェイトちゃんの金髪.
 短くなり,印象の変わったフェイトちゃん,けれど,あの頃の優しさを携えた面影は何
も変わらず,私に向かってニコニコと笑みを浮かべている様もまた,何も変わらない.た
だ,髪が短くなっただけだった.それが,私にとってはとても大きな変化のように思えて
いたけれど……そうじゃなかった.
 あぁ,でも結婚しよう,なんて言うような子だとは思っていなかった.付け加えて,婚
前交渉なんて知識がある子になっていたとは思いもよらなかった.
「な,なのはいくよ……」
 僅か緊張を伴ったフェイトちゃんの声に,笑みが零れる.その姿を見れば,同じく緊張
していたのが馬鹿らしくなり,私は両の手を開いてフェイトちゃんを誘う.
 その誘いに,おかしいなぁ?と言わんばかりの表情でフェイトちゃんが近寄り,私は,
私からフェイトちゃんへ飛び込んでいく.
 そして,包まれる.背に回した手から伝わってくるフェイトちゃんの体温,自慰行為中
に飛び込まれた所為でいつまでたっても裸だった上半身から伝わるフェイトちゃんのドレ
スに似た服装越しに伝わる柔らかい乳房と,その暖かさに身を委ねる.
 暖かかった.
 人肌が恋しいという感覚を理解できたのはこの時が最初.そして恋しければ,恋焦がれ
ればもっと欲しくなるのが人情.だから,何処にもいかないでと抱きつく腕に力を入れ,
埋めていた顔だけをフェイトちゃんに向ければ,やはりどこかおかしいなぁ?という風体
のフェイトちゃんの表情.けれど,私がそちらを向いた事に気付けば,嬉しそうな表情で
こちらを見つめてくる.
 あぁ,綺麗だ.
 とても,とても.
 言葉では表せないくらい.
 この人が私の好きな人,この人が私の大事な人.
 一旦認めてしまえば,心が弾み,幸福感に満たされ,そして同時に覚える僅かな苦しさ.
けれど,幸せすぎて苦しいだけ.
「フェイト……ちゃん」
 僅かな唇の震えと共に吐き出すのは愛しい人の名前,そうでもしないとこの苦しさにき
っと私は殺されてしまう.
 だから,そう.
 早く,貴方が,フェイトちゃんが欲しい……


2.ふぇいとさん

 おかしい,と思う.
 確か,私がなのはを責めようとしていたはずなのだが,いつの間にか主導権がなのはに
移っているような気がする,と思ったのは上半身裸のなのはが私に抱きついてきた時だっ
た.
 その行為自体は嬉しい事限りないのだけれど,でもリードしようと思っていた手前…釈
然としないものを感じる.けれど……なのはに抱きしめられ,濡れた唇を僅かに開き,上
目遣いでフェイトちゃんと口にするなのはを見れば,そんな事,もうどうでも良いと,私
はなのはを抱きしめ返す.
 上半身裸のなのはの体温が洋服越しに伝わってくるのが良く分かる.抱きしめ合い,つ
ぶれあったお互いの乳房から伝わる熱はどこか優しくも甘いものだった.
 長く伸びた艶やかな髪からは,シャンプーの匂いだろうか,僅かに薫る柑橘系の香りが.
その香りが妙に私を刺激する.だからだろうか,私は自然となのはの髪をゆっくりと撫
でていた.

160:(ω・`ミэ)ピチピチ
09/03/10 00:42:30 /X81nue7
 目を閉じ,受け入れるままに,けれど心地よさそうにするなのはの表情が愛しい.その
表情を見ていれば,色んな人に聞いた独占欲というのも良く分かるものだ.この目の前の
彼女の表情を他の輩に見せたくは無い,私だけを見つめていて欲しい,と.
 そうして暫く,時間にしてほんの数秒だろう,なのはを見つめていれば,がなり立てる
ように鼓動が激しくなってくる.興奮,だろうか.緊張とはまた別の感情に流されながら,
私はいつしか自然と顔をなのはに近づければ,同時に近づいて来るなのはの顔,それに
合わせるように閉じた瞳,そして震える睫.そして,同じように私も瞳を閉じ,触れる.
 潤った唇だった.
 自分の唇を通して伝わるなのはの熱.単なる物理的接触が,けれど,それを超える何か
が私の躰の隅々まで走り抜ける.それはなのはの想いだろうか?
 躰中をなのはの思いに満たされ,唇を合わせながらも,私は自然と笑みを浮かべる.そ
して,不意に感じる…え,何?
「んっ!?」
 唇を通して触れていた感触が変わる.そこから恐る恐ると言った風に出てくるなのはの
舌,だろうか?それが私の唇を舐める.
 舌で唇を舐められる,そんな体験したことのない行為に閉じていた眼が驚きに開く,が,
眼前にはなのはの閉じられた瞳しか映らず,さりとて離れることもできないし,したく
ない現状,私はなのはのされるがままだった.
「んっ……」
 ぴちゃ,ぴちゃ,となる水音と同時に時折漏れるなのはの吐息が可愛らしく,厭らしく
も感じる.それを聞いていれば自然と躰の芯が熱を持つのが分かる.
 けれど,え?何?なのはは何してるの?
 その行為に呆然とすれば,唇がなのはの舌にこじ開けられ,なのはの舌が侵入してくる.
そして漸く,なのはが何をしたいのかを理解する.
 応えるように私も舌でなのはの舌を向かえ,絡める.
 なるほど,これがいわゆるでぃーぷきすとやらか,と納得しながらなのはの舌を堪能す
る.甘く,愛しいなのはの舌.最初はちろ,ちろと臆病な感じで触れていたけれど,でも,
いつのまにか吸い付くように,厭らしく絡め,なのはの唾液を舌で舐め取る.
 次第,なのはの背中に回していた手に力を入れ,もっと近くに,もっと近くに,お互い
がくっついてしまうくらいになのはを抱き寄せ唇と,舌を味わう.それは,多分なのはも
同じで,背中に回る手の力が増していた.
 ぴちゃ,ぴちゃ,と鳴る音が部屋に響く.
 月明かりだけが照明となっているこの部屋で,延々とその音が響き続ける.触れ合う感
触だけでなく,その音が耳朶を通り私を刺激する.
「んぁ……はぁ」
 零れる吐息もまた,私を刺激する.持ち始めていた熱が私の躰を侵し,服なんて着てい
られないというくらいに,熱を持つ.
 なのはから手を離し,それに,はっと顔をあげ眼を開くなのはに苦笑しながら,「ちょ
っと待って」と口にしながら背に手を回しファスナーを下げれば,したり顔というか悪戯
顔というか……なのはが口を開く.
「フェイトちゃん,私が脱がせてあげるよ」
「え?いいよ」
「だーめ.フェイトちゃんは大人しくしていることー!」
 小悪魔的とでもいうのだろうか,今のなのはは.結構だと言っているのに,いつのまに
やらいそいそと私の上着やらスカートやらを脱がせていく.あっという間だった.エリオ
とキャロで知っているけれど,人の服を脱がせるのは存外難しいものなのだが……
 そんな事を考えていれば,いつのまにやら下着姿.熱を帯びた所為で紅色に染まった肌
が暗がりながも良く分かる.その事に気付かれまい,と手でブラ越しに乳房辺りを抑えて
みるものの意味もなく,最初から上半身裸のなのはからすれば今更,何やってるの?とい
う事で両手あげてーと言われ,挙げれば脇の下をなのはの手が通り,背中に回ればブラの
ホックが外される.
 なんという一連の作業,とある意味感心しながら,え?これじゃ私女の子役じゃ?と短
いながらも3年程男役を目指そうとがんばっていた事が否定され始めていることに気付く.
 むむ,と顔を僅かにしかめれば,
「ベッドシーンでのリードはまた別」
 と口にされる始末.
 えっ!?と唖然とすれば,それが隙だったのだろう.私はなのはに覆われていた.ベッ
ドに横たえられ,その上になのはが,いやに嬉しそうな顔で私を組み敷いていたのだった.



161:(ω・`ミэ)ピチピチ
09/03/10 00:43:00 /X81nue7
3.なのはさん

 
 フェイトちゃんを脱がせ,ベッドに横たえ,私はその上に乗る.
 キスに興奮したのか赤みがかったフェイトちゃんの白い肌がとても綺麗で,思わず顔を
近づけ,そのまま口付ける.
「な,なにするのなのひゃっ!?」
 驚きに声をあげるフェイトちゃんの姿に,もっとしたい,もっと欲しいと首筋に舌を這
わせれば,再び声があがる.その事に嬉しさを覚え,覚えながら舌を這わせていく.
 首筋,鎖骨,そして乳房を迂回して脇辺りを通りわき腹までつつ,と滑らせる.
「やっ……あっ」
 やめて,といわんばかりに私の頭を手で押さえつけるフェイトちゃん,だけれど,私に
とっては触れられているという事はただ嬉しいだけの事で,本当に嫌なら蹴ってでも逃げ
てくれれば良いのだ.だから,これはOKの合図なんだ,と勝手に解釈して,わき腹からお
へその方に舌を向かわせる.
「だ……だめだよ,なのはぁ」
 悶えるように,耐えるように声を出し,抗う様子を見せているフェイトちゃん.でも,
「何言ってるのフェイトちゃん……まだ触っても無いのに……そんなにして」
 おへその辺りから顔だけをフェイトちゃんの顔に向ければ,途中の頂,乳房の頂上には
見るからに張り詰めた乳首の姿.厭らしいんだから,なんて思いながらも感じてくれてい
るのだと思えば嬉しさが増す.
「こ,これは違うんだよ……ほ,ほらさっきのキスの所為だよ」
「うそつき」
 笑みを浮かべながら,先ほど脱がせていた時にはそこまで張り詰めていなかったのを思
い出す.だから,うそつきにはおしおき,とおへやから舌を離し,首元へと戻る.そして,
思いっきり吸う.
「っ……」
 多少,痛みが走っただろう.けれど,これは嘘つきの罰なんだから……と言い訳すれば,
キスマークの出来上がり.
「ふふふー,なのはマークのできあがり」
 なんて,勝手な事してはしゃぐ私.多分,相当にフェイトちゃんに甘えているからだろ
う.けれど,抑え切れない.
「え……な,なのはぁ!?」
 どうしてくれるのーと言わんばかりのフェイトちゃんに,ごめんね,と伝える.けれど,
どうしても証が欲しかったのだ.
「なのはにも付けて良いから……ごめんね」
「あ,うん.良いんだよ!」
 ゲンキンな.などとは思わない.私も,フェイトちゃんに証を付けて欲しいから……け
れど,今は責めるのが先.
 今度は反対側の脇を通り,けれど乳房を迂回せず舌を乳房に這わせ,フェイトちゃんの
上に体重を掛けながら空いた手でもう片方の柔らかく大きな乳房に触れる.
「ん……ぁっ」
 漏れ出る喘ぎに耳を傾けながら乳房を舐め,揉む.大きいなぁと多少の嫉妬を覚えなが
ら,ゆっくりと手のひらでフェイトちゃんの乳房を堪能する.
「あっ……そ,それだめっ」
 見上げれば,首を逸らせ天井を見つめるかのように喘ぐフェイトちゃん.一見苦しそう
に見えるそれは,同性の私には分かる,気持ち良いのだ,と.
 だから,それに応えるように私は乳房を虐めるのを続ける.完全にフェイトちゃんに体
重を掛け,両の手で下から持ち上げるように同時に,時折タイミングをずらして二つのた
わわなそれを揉み,空いた唇で……触れる.
「ぁっ!やっ,あぁんっ」
 やはり,乳首で一番感じるのだ,とフェイトちゃんの喘ぎを聞きながら私は冷静に考え
ていた.乳房を揉むより,乳首に触れた時の方が反応が良かったのだ.であれば,片方を
舌に任せ,もう片方を指先で擦るのも当然だろう.
「そ,それ感じすぎるっ」
 はぁはぁ,と吐息を吐きながらもご丁寧に説明してくれるフェイトちゃんに喜びと好感
を覚える.しかし,感じるって言葉分かるのね,フェイトちゃん.
 ハタチ頃にはまったく知らなかったはずなのだが……あぁ,でも先ほどのディープキス
辺りで戸惑っていたのはその名残なんだろうし……相変わらず妙に知識が隔たっていると
いうか…などと考えながら,フェイトちゃんも一人でした事があるのだろうか,と思えば

162:(ω・`ミэ)ピチピチ
09/03/10 00:43:36 /X81nue7
どきどきと胸が高鳴る.
「ねぇ,フェイトちゃん」
「なっ…んぁ…に?」
「フェイトちゃんって,一人でするの?」
「ぁんっ」
 喘ぎが答えとはどっちなのだろう,なんて馬鹿な事を考え,まぁしてるのだろうなぁと
結論付ける.この反応の良さは性感が発達してないと無理だろう.私,自身がそうなので.
さておき.
 なら……少しくらい強くしても,と思えば唇が乳首を含み,歯を立てず唇だけで乳首を
吸いながら舌で乳首を触る.
「ぁっ……ぃっ」
 良い反応だった.とても良い反応だった.私の背に回された手に力を入れ,びくんっと
躰全体が跳ねるように動いていた.
 それを見ていると,私は,今度は私自身が触って欲しいと思ってしまう.そして,躰は
それに従うように動き,気付けば太ももを擦り合わせていた.触って欲しいのに触っても
らえないという不満感と不安感に似た欲望に,フェイトちゃんの太ももに股を開き秘所が
擦れるよう位置取る.
 股から伝わるフェイトちゃんの体温.暖かいそこに私の秘所がショーツ越しに触れる.
さっきの自慰も中途半端だった所為でショーツも酷い事になっているだろう.だから,多
分フェイトちゃんにはばれると思う.
 けれど,フェイトちゃんはまた何か私がするのだろうか?とびくり,と緊張に躰をこわ
ばらせるだけ.なんだか釈然としない.
 なので,そのまま何もせずフェイトちゃんの心臓の音を聞こうと躰をフェイトちゃんに
向けて倒す.
 どくどく,と肌を通して聞こえるその音に心が落ち着いていく.落ち着いていけば……
暫らくして,いい加減気付いたのだろうか?いいや,露骨に股間を押し付けて太ももを跨
いでいるのだから気付いてくれないと切ない.私が恥ずかしがると思っているのか,僅か
に太ももを揺らし,私の欲望を満たしてくれる.
「なのは……」
「はぁ……フェイトちゃん」
 すり,すりと躰の上を滑るように移動しながら顔を近づけ,ちゅっと唇を重ねる.そし
て,それだけで私は,再びフェイトちゃんを触りたくなるから困ったものである.
 自分よりもフェイトちゃんに感じて欲しいなんて思うくらいだった.
 だから,太ももを跨いでいたのは相変わらずだけれど,少し股を開いてもらい触れる.
漸く,フェイトちゃんの大事な所に触れられる.
 ショーツ越しのそこは,思った程濡れてはいなかった.人それぞれなのかなぁ?と多少
不安に思いながら,ショーツ越しにスリットに指を這わせれば,
「ぁぁっ」
 甲高い喘ぎと共に溢れ,ショーツ越しに感じるフェイトちゃんの愛液.それに触れたと
同時に胸が締め付けられるようにきゅん,と高鳴る.
「はぁ…はぁ,フェイトちゃん……」
「な,なのは?息荒いよ?」
 そうなのである.フェイトちゃんに触れ,フェイトちゃんを触り,フェイトちゃんの喘
ぎを耳にしてきて,フェイトちゃんの愛液を感じていた私は……どうやら相当に昂ぶって
いたのだった.
 収まらない,どうすれば収まるんだろう?フェイトちゃんに愛され尽くさないと収まら
ないんじゃないだろうか?だったら……
「はぁ……ねぇ,フェイトちゃん,なのはを」
「あ……うん」
 そして,入れ替わる.
 私が下に,フェイトちゃんが上に.
「なのは……」
 先ほどまでの私の責めに快感に蕩けた表情,だけれども綺麗だった.今まで見た事のな
いくらいに,綺麗だった.
 そう思えば,思うほど……躰が高ぶりを覚え,昂ぶる.だから,きっと……
「あぁっ!?」
 先ほどのお返しにと首元を吸われ,それすらも痛みよりも愉悦が.快感が私の中を駆け
る.ぬるりとぬめる舌の感触,それが全身に伝わっていき,フェイトちゃんに躰中を舐め
られているかのようで……
「……きもち……ぃ」

163:(ω・`ミэ)ピチピチ
09/03/10 00:44:12 /X81nue7
 恥じらいもなく,感じている事を伝えれば,フェイトちゃんが微笑みを浮かべ,私の乳
房に近づいていく.あぁ,触るの?フェイトちゃん触るんだね……期待に満ちた私に,け
れど応えずフェイトちゃんはそのままもっと下まで下がっていく.
「ぁ……」
 そう,フェイトちゃんは……私の期待よりも上を行ってくれるのだった.私の下の方に
行く下がりがけ,ショーツに手を掛け,ショーツを脱がせようとショーツの横に付いた結
び目を外せば,ふぁさ,と音も立てずに外れる.
 瞬間,触れた外気に私は身を捩る.
 そして,『こんな風になってたんだ』などと同性じゃん,と突っ込みたくなる発言をし
てくれた後,フェイトちゃんがそこに顔を寄せる.
「あ,ダメ……」
「大丈夫だよ……綺麗だ」
 そういう問題では!とかフェイトちゃんそんな事どこで覚えたのっ!?……などと考え
ながらも,どこか期待している私がいるのも確かだった.フェイトちゃん,最初にするの
が舐める事なの?なのはのアソコ舐めちゃうの?……どこか変態じみた思考をしながら,
待ちわびる.一人では決して行う事のできないソレが一体どれ程私を……その瞬間だった.
「ひゃぅっ!?」
 全身を走る電気的な痺れに似た快感.それがフェイトちゃんの舌が動くたびに伝わり,
私は抵抗すら出来ず,身をよじり,ベッドのシーツを手で掴みながら喘ぐ.
「あんっ…ぁぁっ」
 自然と,躰が持ち上がるのをフェイトちゃんが抑えながら,フェイトちゃんは変わらず
私のソコに舌を這わし,時折……その奥に入れようと舌を細め動かしていた.それが……
見えもしないのに分かる.
「っぁ……はぁぁ」
 フェイトちゃんが私の股間に顔を埋めている姿,それしか見えず,顔から股間という短
い距離しか離れていないのに覚える不安に身を焦がしながらも,けれど私は快感に悶えて
いた.
 ぞくり,ぞくりと襲ってくる愉悦.終わる事のないフェイトちゃんの愛撫.そんな中,
もっと,もっと,と鳴く私.
「はっ…ぁぅっ……」
 蕩けるような快感に昇り詰めていくのが分かる.でも,まだ果てたくない……いいや,
果ててしまってもまだまだ時間はあるじゃないかだったら,上り詰めようよ……自分が複
数いるようなそんな錯覚を覚えながら,私はフェイトちゃんの愛を受け止め続ける.
「っぃ……ぃっく」
 瞬間,目の前が真っ白になり,私は,私自身がイっている事を理解する.一瞬の緊張の
後の脱力……そして,けれど終わらないフェイトちゃんの愛撫.
「あっ,やっ……ま,まって」
 イった後のその躰にその刺激は……と思う間もなく,続けられる愛撫.弛緩と緊張を繰
り返す私の躰,イった直後の敏感な躰に快感を与え続けられれば,耐えられるはずもない.
ゆえに,一分もしないくらいだろう,私は再び果てる.
「あぁぁぁっ」
 一際高い甲高い声,自分でも驚くくらいの声を出し,完全に脱力する.でも,フェイト
ちゃんは私の方を一瞥しただけで,行為が終わるわけがなかった.
「ゃ………ゃめ」
 その声に,にょこっと顔を持ち上げにこっと笑みを浮かべてまた沈む.私が二度もイっ
た事も分からず,とても嬉しそうな顔で舐めているフェイトちゃんの顔が容易に想像でき
る.
「はぁっ,んぁ……ぁぁっ」
 終わらない快感.
 終わらない愉悦.これが幾度続くのだろう?婚前交渉にしてはやりすぎじゃないフェイ
トちゃん,なんて愚にも付かない思考が思いも付いては消え,思いついては消え,何度も
イかさせられる私.
 後,何度果てれば終わるのだろうか,けれど,でも,愛しさはそのたびに増すばかりな
のだから……私も相当なんだろうと,思う.
 でも,明日は覚えていてよフェイトちゃんっ.


おわり.



164:(ω・`ミэ)ピチピチ
09/03/10 00:47:12 /X81nue7
ちなみにその頃の思春期少女ヴィヴィオ Strikers:

 「うるさい……」
 ぐったり.


以上,お目汚し失礼致しました.
僅かでも満足頂ければ幸いです.

では,またその内.

風呂|(ω・`ミэ)ピチピチ

165:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/10 00:59:19 1+dggQ3f
たまんねええGJ!

166:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/10 01:06:30 NJjJrG7o
大変美味しゅうございました

167:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/10 07:02:22 pWmgh4D3
寝起きに一気に目が覚めるものを読ませていただきました。GJ!
ヴィヴィオ……真っ直ぐ育ってね……無理かww

あと転載せざるを得ないものを見かけたので…
URLリンク(rainbow.sakuratan.com)

168:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/10 08:33:55 kpcT8eYV
うわあああぁぁぁ!
うわあああぁぁぁ!!
朝起きたら>>166の素敵SSが投稿されていて、そのあとに
>>167が素敵絵を……ころす気か!もっとやれ!!

はぁ、はぁ…取り乱しました。
なのフェイ、フェイなの、朝ごはん前においしく頂きました。GJですっ!!

169:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/10 08:55:45 NJjJrG7o
>>168
照れるよ

170:168
09/03/10 09:07:51 kpcT8eYV
>>166でわなく>>164でしたね間違えました。ごめんなさい

171:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/10 18:32:58 DpTO0erB
規制くらったことにもめげずに
避難所にいいはやてを投下してる猛者がいるぜ!
いちおう報告な!

172:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/10 20:10:52 HAEDau4H
>>164
GJ!
最高すぐる……!
ピチピチたん愛してる

>>151
ふぅむ、たまにはこういうのもいいかも知れませんね
GJ!
ただ、注意書きユーノ好きな人も嫌いな人もお気をつけ下さいじゃ読む層が限定されすぎますよw

173:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/10 21:01:49 /iUrOxXO
>>164
素晴らしいぜGJ!

174:八神部隊長の告白
09/03/10 21:34:47 JEA4rEXD
はやてちゃん×なのはさんです。


その子はいつも元気で優しくて…。
でもいつも隣には誰かが居て。
私と二人きりになれる時間なんて少しもない。

自室でのベットの上、はやてはなのはを押し倒していた。
いや、押し倒したというより事故でこういう体勢になったというべきか。
なのはちゃん…ずっと好きやったんやで。
「はやてちゃんごめんね、私よろけちゃって」
「ううん、いいんよ…それよりなのはちゃん…育ってきてるな…ま、もう19やし、当然やろうけど」
と、なのはの胸をまじまじと見ながら見つめるはやて。
「少し、触っても…ええ?」
「え?」
「ええか?…私、触りたい」
なのはが口を開く前にパジャマの上から両胸に触る、手の平で包むように― 。
「ん…やっ、は、はやてちゃん…っ!?」
突然触られなのはが驚きの声をあげる。
「な、ええやろ…減るもんやないし」
しかし相手の問いを聞くより先に行動に移す。
なのはの胸ボタンからかすかに見える下着、乱れたボタンから見える暗闇の空間…。
それを片目で軽く見ながら欲望していく。
ゆっくりと揉んでいく…優しく…そう包み込むように優しく。
「は、はやてちゃんもう…ね」
「もう少し…触らせて、柔らかい、なのはちゃんの胸柔らかくて触り心地ええんやもん」
なのはが頬を染めている…不屈のエースが、ティアナ達を指導してる姿や戦場とは別人のように― 。





175:八神部隊長の告白
09/03/10 21:35:23 JEA4rEXD
「は、はやてちゃん……」
「もう、ええよ…満足やわ」
はやての言葉に息をつき起き上がろうとしたなのはを再び押し倒す。
「……っ!はやてちゃん― んっ!」
そしてちゅっと軽く触れるだけのキスを交わす、これがはやてにとってのファーストキスだ。
一度唇を離すと― 。
呆然としていたなのはがはっとなり起き上がろうとするが再び押し倒し投げ出された右腕を
掴むとそのままシーツへと押さえつける。
そしてなのはの顎を左手で掴むと― 今後は軽くではなく強く唇を強引気味に押し付けた。

「んっ………はぁ」
「ちゅっ……んん…」

長い長い…とっても長いキスを交わす…。
そしてはやては微笑みながら満足そうに顔を上げる、呆然としながら見上げるなのはに告げる。
「なのはちゃんの唇ってとても甘いんやな…胸と同じでこっちも柔らかかったわ」
「はやてちゃ…っ」
「私な、なのはちゃんのこと…好きや」
「あ、でもヴィータちゃんが― 」
「ヴィータの話はええ!」
「え?」
「いま、話してるのは私となのはちゃんやろ?」
「う、うん……」
「なのはちゃん」
「あ、うん」
はやては頬を染めながら小さな言葉で告げた。

「私と…付き合わへんか?」





176:八神部隊長の告白
09/03/10 21:35:46 JEA4rEXD
「え?…はやてちゃん?」
「答えはいつでもええよ、考えといてな」
ずっと好きだった、そう、あの子に負けないくらいなのはが― 。
「ん……う、うん」
はやてはなのはの体全体を見つめる…パジャマの裾から小さく覗いたシャツ、下着…。
それらを見る度に息を吐きながら欲望していく― 。
そしてはやては再びなのはにキスすると同時に胸付近に触れだす、もう一つの手は
ズボンへ― 。
「んっ!?」
慌てて反応するなのはに構わず揉みはじめていたが…。
「ふぇい…と…ちゃ」
「っ!?」
なのはから自然と小さくこぼれる一言に動きが止まるとそのまま離れる。
「そっか……」
はやては諦めた表情で小さく呟いた。

同時にドアが開き…その人物が現れる。
「フェイトちゃんっ!」
その瞬間なのはが満面の笑みを浮かべた。そうまるで9歳の頃のような― 。
それを見たはやては息をつく。
「そっか…私じゃ、なのはちゃんに…そういう顔させられないんやね…そっか、フェイトちゃん、私の…負けや」
二人に聞こえないように呟くはやてを見てフェイトが反応する。
「はやて?どうかした?」
「いや、なんでもないよ」
問いかけてくるフェイトの言葉に作り笑顔で答える。
「はやてちゃん……あのね」
「ええよ、もうええ…なのはちゃんさっきの話はなし、冗談や、忘れて、な?」

「はやて?なのは?どうしたの?」
一人状況のわからないフェイトが呟いた。


はやなのを考えてみました、フェイトさんは最初未登場の予定だったが
最後迷いました、どうしようか…王道はなのフェイですけど
自分の中ではなのはやも好きなんです









177:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/10 21:37:55 uYbv2bDR
あれ、続きは?w
GJ

178:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/10 23:36:03 3pDZRHBG
ピチピチたん好きですっ
GJです。

179:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/10 23:58:46 uOM8kDyS
>>164
舐め好きなので美味しくいただきました
なのはさんの反撃楽しみにしています


180:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/11 00:04:15 5pz6Yfmq
>>176
GJ
はやなのがマイナーすぎて悲しい

181:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/11 00:19:07 Lv1clbTu
>>176
うわっ…切ないぜこんちくしょう!GJ!
個人的にはここからの修羅場なんかも好物なので良ければ続きを…

182:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/11 01:48:42 kvxivEMi
ごく個人的な意見だが、はやてはフェイトとかなのはには遠慮して速攻手を引きそうな気がする
修羅場になりかけても本格的に発展する前に勝負降りちゃうイメージ
ただ、守護騎士たちへの独占欲は結構ありそう

183:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/11 22:51:35 dlJ6uOhO
ヴィータとザフィーラとられてないか?

184:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/11 22:55:50 ofJDgjF3
ゲボ子は教導隊に入ったけども夜は夜天の王に教導されます

185:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 03:52:27 DvRx3SLE
でも心はなのはさんのもんです。

186:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 07:11:24 ScnJ0wTY
おいおいヴィータ→はやてが好きな俺はどうしたら…

187:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 07:48:27 n71rKsjP
>>186
すぐに形にするんだ

188:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 09:26:02 YBWOpTXD
はやてはストパニでいう千華留さまポジションだよな。
普段はハーレムを作って薔薇色の生活だけれど、幼い頃には辛い失恋をしているという。

189:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 10:06:50 ToLqr0Qy
フェイトそん→天音王子
シグナム→要さま
シャマル→桃美

ですねわかります
普段はテスタロッサテスタロッサ言ってるけど結局元鞘に収まるあたりがそっくり

190:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 11:12:37 RWSPD73j
そうなると光莉がなのはさんってわけかw

191:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 12:18:52 1o+XzEcf
>>176
やはりどうしてもなのフェイはやだと、はやてちゃんが当て馬というか振られ役
になってしまうなあ…やはりすずかちゃんやヴィータのが相性いいんだろうか

192:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 13:33:31 KhHcVn0c
 なのフェイと身体だけの関係をズルズル続けるはやてとかどうだろう。

 なのはが長期任務で寂しいフェイトが、身体の火照りを抑えられずに、
悪い事と知りながらはやての誘いを受けてしまう。
 それ以来、なのはがいない夜だけ、の関係を続けるはやてとフェイト。
 ところが実は、はやては全く同じ関係をなのはとも結んでいた……。


193:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 13:45:20 Wiiy72gR
どろどろなのは苦手だ……
フェイトそんとなのはさんとヴィヴィオが3人幸せなのがいい

194:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 14:09:47 TwnBm5zz
三人幸せか

なのはさん、フェイトさん共に、とっかえひっかえ女を食い漁ってるけど、お互いに最後に帰ってくるのは自分だと根拠の無い確信の元に気にせず、実際うまく行っている。
そんな二人を見て育ったヴィヴィオも当然そう言う風に育ち、気に入った女の子を時には聖王モードを駆使しつつ堕とす毎日。
手を出した子が被っても気にしない。華麗に多人数プレイに突入。高町家はみんな仲良しです。

と、こう言うのは求めてないですよね、すみません。
書き終わってから気づいたけど、周りが病んでどろどろしそ(ry

195:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 15:41:59 sKVrMFBD
たまにはどろどろやヤンデレもぜひ見たいね
注意書きさえありゃおkだろ?
まぁ自分じゃ書けないんだけどなorz

196:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 15:43:38 YBWOpTXD
新部隊を立ち上げることになって、「私の側女にならん?」と
あちこちてナンパ・・・もといスカウトをするレアスキル持ちの部隊長。

部隊長に可愛がられるのは勿論、側女(隊員)同士の恋愛も無問題。
何だったら魔法の力がそこら辺を超えて、子供も出来ちゃいます。

『はやて様ファナティクス』はじまりや。

197:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 16:05:25 YZLGg42J
あの世でリインさんが泣くからやめてください!w
他のヴォルケンズはどんな反応するだろうねその場合

198:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/12 16:08:42 mchBMUgi
>>197
スケカクがシグヴィーに……片方の性格が違いすぎるか
あとうっかりシャm(ry

199:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/13 17:44:51 g3Udtc7v
黄門→なのは
スケカク→フェイト・ビィーダ
ハチベエ→シャマル
やしち→シグナム
ですね。

200:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/13 19:38:24 6FUAZX5A
ビィーダ

201:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/13 19:46:52 sQk1wAPg
あえて突っ込まないべきだった

202:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/13 20:29:13 zYk6PoYr
シグフェイのssが少ないのはおかしい。
テスタロッサが受けのss希望。

203:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/13 20:57:52 sngsRBF4
どうでもいいがビィーダ見てビーダマンを思い出した。

さて、明日はホワイトデーな訳だが。
バレンタインのチョコと違って物が定まってないからなかなかネタが思い浮かばな(ry

204:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/13 21:22:01 5usPsAG7
ありがちなトコロで
なのはとフェイトがクッキーをお互いに「あーん」か?

それを見ていたヴィヴィオがチンクに
「はい、チンクちゃん。あーん」
「ヴィ、ヴィオ……あっ、あーん」
と妄想。

205:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/13 21:29:45 iiYs5oKI
>>202
シグナムが贈り、フェイトが受けですね
わかります

206:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/14 00:26:18 9AYOP+w+
ヴィヴィ×ティアなSSが読みたい

207:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/14 10:47:08 TZ7bz0KQ
>>206
ありだと思います!

208:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/14 12:16:56 3g38QTQR
魔法少女リリカルなのはViVidの情報、少しだけど出てるね。
ヴィヴィオが小学校4年生、なのはママは23歳みたい。
フェイトそんとか他の人については触れられていなかったけど。
3月26日のコンプエースに詳しい説明が載るかも?
情報ソースは個人サイトなので教えられないけど、なのは系サイトを巡っていれば辿りつけるかと。

209:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/14 14:27:18 vqzh75xo
「けふっこほ」
「どしたん?風邪か?ヴィータ」
「ん、いや。ちょっと喉がいがいがすんだよ」
「ほなあめ玉でもなめるか?」
「ん~、からいやつ?」
「いいや、甘いで。私が今なめとるのとおんなじやつや。」
「甘いんならいるぞ!!」
「ほなちょっとまってな……あれ?」
「どうした?」
「あかん。私ので最後だったみたいや」
「そっかぁ……」
「(ああ!ヴィータが落ち込んどる!!なんとかせな!!)ヴィータ。」
「なに?はや――んんっ!?」
「(ん、ヴィータの、やわらかいな)」

「は、はや……」
「(真っ赤なヴィータもかわええなぁ)どや、あまいやろ?」
「う、うん。……ありがと/////」


ホワイトデー→あめ?
で妄想したらこうなってしまったあああぁぁぁ

210:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/14 14:47:36 1iaLVGO0
>>206
スバル←→ティアナ←ヴィヴィオ←オットーのSSならどっかのサイトで読んだことある
オットーを翻弄する小悪魔なヴィヴィオが可愛かった
>>208
ViVidってヴィヴィオ主役なのか?
イクスが復活して同級生になったりすんのかな?
教会組の出番も増えそうで楽しみ

211:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/14 15:02:50 8SI4CxEj
雑誌やニュースサイトならともかく……ソースが個人サイトだって?
高確率でガセじゃねぇか

212:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/14 15:26:18 cgNjjZMY
>>210
冥王陛下はヴィータやチンクと同じ枠で中身大人だからなぁ
仮に目覚めてもスバルの帰りを裸エプロンで出迎える幼な妻鉄板かと

213:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/14 15:52:58 29IvAc0j
>>209
すごい好きです

214:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/14 19:10:46 avOYNFOg
>>211
まあ落ち着いて作画担当の人のブログ見てみ

Vividの人はアイマスとかあんまり評判よくないみたいだから心配だなあ。
Forceの人は軽くググった感じだと百合っぽいのばっか描いてるみたいだから意外と良さそうかも。
つってもほとんどが原作付きかラノベの挿絵だから、本人が好きかどうかはわからんが。
まあ今までの例からいけば、話考えるのは都築さんだからあんまり気にしても仕方ないけど。

215:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/14 19:52:14 KXuXtM25
>>213の言葉に調子にのってヴィータをシグナムに置き換えてみた。

「どうしたん?シグナム。喉なんかおさえて」
「ああ、主はやて。少しのどの調子が悪いようで…」
「そらあかんなぁ。のど飴なめるか?」
「はい。ありがとうございます」
「ほな目ー閉じてんか?」
「はい?こうですか?」
「そや、そのままな」
「あの…主はや――」
「(ん、シグナムの、やわ以下略)」

「もういいで」
「・・・(あ、あああ主はやての!!!!)」
「ん~、やっぱシグナムはフェイトちゃんのほうがよかったか?」
「な!テ、テスタロッサは関係ないではありませんか」
「そうか?」
「そうです。私は主はやてが…」
「私が?」
「な、なんでもないです/////」
「そうか、ほなまた後でな(あとちょっとやったのに…)」
「はい――て、主はやて!?」
「なんや?」
「今口に入れたのは…」
「のど飴やけど」
「も、もう一つあるのでしたらそちらを私にくださればよかったのでは!?」
「あほやなぁ、シグナム。そんなんやったらつまらへんやん」
「つ、つま……(そんなことで…)」
「せやけどこののど飴、おいしいやろ」(満面の笑み)
「は、はい…ありがとうございます(まぁ、いいか)」

前回携帯だったためIDはちがいますが同じやつです。
小さいはやてでも大きいはやてでもいけるかと。


216:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/15 01:17:41 fmUU/d8/
いいよいいよー

217:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/15 01:24:50 Kq57dto6
最近はやてちゃんがエロい子に見えてきた
なのフェイに絡めてもいいかも

218:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/15 05:41:32 JFf3hmpU
はやてちゃんはもともとエロいよ
しかし2期での誘い総受け慈母っぷりの印象が強過ぎて、
未だ3期以降のトリックスター(?)な性格と結び付いてくれないorz

219:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/15 08:45:42 gX5acwrI
リィンとの別れを経て、恋に奥手になった結果があのトリックスターなんだと自己解釈。
4期ではなのフェイやスバティアだけでなくて、ヴォルケンズ・カリム・新キャラによるはやて争奪戦が・・・。

220:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 15:22:24 6IIv3lnM
あの関西弁で優しく囁かれながら誘惑されたら…なのはさんも落ちるだろ

221:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 16:18:59 Wb2cqzEr
自分の休暇となのはさんの出張が重なっちゃってなのは~なフェイトそんのSSが読みたいです

222:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 16:31:29 4BLngBol
月に一度の"あの日"で体調も気分もブルーなフェイトさん。
仕事も捗らずに、大量の書類の前で頭を抱えていると、胸ポケットのケータイがメールの受信を告げる。

『フェイトちゃん、大丈夫? あとでお薬持っていくから、待っててね。 なのは』

涙で滲んだ液晶の文字を見ながら、もうひと踏ん張りと気合を入れるフェイトさん・・・。

半分が優しさで出来ているという某鎮痛剤のCMを見てたらこんな電波が来ました。

223:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 19:38:15 H6kgxudL
教導官は当然のように
フェイトさんの"あの日"スケジュールを把握してるんですね

224:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 20:51:02 85lKDO4n
規制解除キマシタワーー、とかいってみたてす と
流れぶったぎりとか、申し訳ない。とある歌を聴いて、なのフェイで妄想してみた。
なのはとフェイトとヴィヴィオで、フェイトそんの誕生日
公式設定ないから、自分勝手に捏造。無駄に長いのは自分でも意味が分からんが、
タイミング悪いのは巻き添えのせいとか言い訳してみる
需要はあるだろうか?

225:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 21:04:04 Wb2cqzEr
需要ないことがあるだろうか

226:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 21:20:59 85lKDO4n
ありがとう。毎回聞いてる自分もどうかと思うが何分チキンなんだww
なのはとフェイトとヴィヴィオで、フェイトそんの誕生日
幼少期と成人期の二部構成になっているんだが、幼少期途中で上手くゆかず、
成人期を先に終了したから、話の流れが多少うにょうにょしているかもしれん。
その辺は、全く気にしないで欲しい。
フェイトの誕生日設定は妄想ゆえに勝手な捏造なんだ。ダメならスルーしてくれ。
あと、えろーすとか…無理です、きっぱり
では、幼少期に7レスほどお借りします。背中が痛いのは何故だろう…

227:ありがとうと伝えたい
09/03/16 21:22:04 85lKDO4n
*****

今日は私の誕生日。初めての誕生日パーティーだ。

色とりどりの飾りが天井から垂れている。手を伸ばしそっと触れると、スパイラル状の帯先についている星がゆらゆらと揺れた。
リビングのテーブルに豪華な料理たちが並べられて、ときおりキッチンから聞こえてくる楽しそうな鼻歌はリンディのものだ。
アルフがドアの向こう側で待機していた。
一定の距離を保たないと我慢ができなくなるのだろう、漂う美味しそうな匂いに尻尾が忙しなく左右に動いている。
手伝いを三度ほど申し出て、三度とも断られた。リンディの笑顔を前に、フェイトは素直に感謝を述べるしかできなくて。
特にこれといってすることも思いつかず、ゆっくりとソファーに腰を下ろした。

フェイトが生まれたのは今日ではない。
胸の奥にちくりとした痛みが走ったが、フェイトはそれに気づかないふりをする。

*****

「ハラオウンさんの誕生日っていつ?」

あれは確か、学校の昼休み時間だった。隣の席の子たちが、占いの話題で盛り上がっていて。
話しに参加していた訳ではなかったけれど、ふいに、そのうちの一人にそう聞かれたのだ。
はじめ星座を尋ねられたが、フェイトが返答に困ると、それじゃあ、と誕生日がいつなのか質問された。
「えっと…」
「何月?」
その場しのぎに適当に答えてもよかった。他愛のない話題の一つ。一度聞いた程度で、覚えられることもなかっただろう。
だけど、そのときのフェイトにはそんな機転が利かなかった。
「何月何日?」
にこにことした相手の視線に耐えられなくて、フェイトは目を伏せた。

知らないと言ったら、きっと驚かれるだろう
自分の誕生日を忘れる人も、きっといない

何と答えたらいいかわからず、どうしようかと迷っていたら、
がらがらっ
勢いよく教室の扉が開き、クラス全員がそれに注目する。ちょうどチャイムがなった。
「お~い、早く席に着いて。教科書とノート早くだせよ~」
「あっ、やばっ」
教室を賑わしていた話し声が途切れ、クラスメートたちが慌てて席に着いていく。
隣の子が、占いの雑誌をさっとかばんの中へ移動させ、その中から教科書を取り出した。
運よく追求を逃れられたことに、フェイトはほっとため息をこぼす。
タイミングよくチャイムがなってよかった。
安堵していたらコンコンと机が叩かれた。何だろうと思い顔を上げる。
にこりと微笑む教師と目が合った。


228:ありがとうと伝えたい
09/03/16 21:22:45 85lKDO4n

フェイトは、黒板に書かれていく文字を目で追いながら、自分の出生について考えていた。

それが一体いつなのか。
―私は知らない。

誕生日という概念すらなかったため、今までそんなことを考えたことがなかった。
リンディあたりに聞けば、当時のデータからその日は分かるかもしれないけれど……
実験の成功した日が、はたして自分の誕生日と呼べるのかどうか。それも分からない。
生まれたのではなく、造られた実験体の一つ、幼い頃の記憶は、与えられたものだった。
まして、「自分」が望まれて生まれたわけでもない。そんな自分には、誕生日など必要のないものではないか。
そんな風に思えて。
それでも、今日みたいなことが、これからまたあるかもしれないから。
困らないようにするためには、その日を設定する必要はあるのだろう。

いつの間にか、自分の胸元を握り締めていることに気づいて。二・三度、とんとんと軽く叩いてみる。
痛みなんてない。痛くなんてない。こんなにも胸が痛むのは、きっと気のせいだ。
フェイトは、自分自身に言い聞かせる。

チャイムがなった。
ノートに視線を落とすと、まだ半分も写し終えていなかった。

*****

帰宅して、アルフを散歩に連れていく。小型の姿が気に入ったようで、今ではずっと、そのままでいる。
お菓子屋の隣の垣根からいつも顔を覗かせている犬はアルフのことが好きらしい。
もててもうれしくない、という呟きに気づかれないように小さく笑って、フェイトは数歩後をついて歩く。
公園に着くと、小さい子供たちがわらわらとやって来た。なでてもいい?と聞いてくるのは、いつものことだ。
フェイトが笑顔で答えると、わっと歓声があがった。
小さい手に頭を撫でられるたびに、アルフの尻尾が左右にはたはたと動いている。嬉しいのだろう。
ふいに、アルフがこちらを見上げた。
きらきらと輝く眼が、フェイトに許可を求めていた。脳内に響いたおねだりに、フェイトは一つ頷いて。

「いっておいで」

そう言ってやると、アルフが砂場へと駆け出した。子供たちが、アルフを追いかけるように走り出す。
少しの間、フェイトは駆けまわる彼らを眺めていたが、やがて公園の隅にあるベンチへと腰をかけた。


229:ありがとうと伝えたい
09/03/16 21:23:43 85lKDO4n

少しだけ、寒い。

雲に日差しが遮られると、気温がぐっと下がる。夕暮れの時刻が少しずつ早まっていた。
空を見上げる。完全に日が暮れてしまうまではあと1時間というところだろうか。
吐息がもれた。ずっしりと、重たい溜め息がでる。
フェイトは、ぎゅっと目を閉じた。迫ってくる感情を追い払うように、頭を左右に振る。

「弱いな」

息とともに吐きだした言葉に唇を噛締めた。爪を手のひらに、呟きを心に食い込ませる。
思わず身震いした。枯れ枝のように、無防備な身体が寒風に揺れる。

―私は弱い。弱く、脆い存在だ。
強くなりたい。ずっと、そう思って言い聞かせてきたのに。なのに、こんなにも弱い。

瞼を閉じると、再び暗闇が訪れる。両腕で膝を抱えて、とんと額を膝の上に落した。
遠くで、子供たちの笑い声が響いていた。

どのくらい、そうしていたのだろうか。
「フェイト?」
アルフの心配そうな声に、フェイトは顔を上げた。蹲っていた身体を起こし、抱えていた腕をすっと解く。
黄昏の空が日の暮れを教える。辺りを見回すと、子供たちはもう居なくて、公園の中は閑散としていた。
下を向くと、こちらの様子をじっと伺っていたアルフと目が合った。フェイトは笑いかける。
私は大丈夫。心配しなくていいんだよ。そんな思いを込めて、出来るだけやさしい声をだした。
「楽しんできた?」
「あ、…ああ……」
何か言いたげな揺らぐ眼に、再び笑いかけて。フェイトは、ゆっくりとベンチから立ち上がった。

「帰ろうか」

*****

230:ありがとうと伝えたい
09/03/16 21:24:23 85lKDO4n

クロノは昨日から管理局の仕事で家には居ない。
夕食を食べ終えて、リンディが食後の甘茶を楽しんでいた。フェイトもどうかと尋ねられたが、謹んで辞退した。
アルフに部屋で遊んでおいでと告げると、ひとつ頷いて、小さなクッションを咥えて出ていった。
ちょっとした話しをするだけだ。そう思うのに、フェイトは何故か緊張していた。
手のひらを握り締めて、気持ちを落ち着かせる。深呼吸してから、ゆっくりと口を開いた。
「あの、リンディ母さん」

まず、自分が生まれた日―実験の成功日が、残された資料に記されているのかということ。
それから、こちらの届出では自分の誕生日がすでに登録されているのか。もしそうなら、それはいつなのか。
今日の昼休み、クラスメートに尋ねられて返答に困ってしまったことまでを、フェイトは一気に喋った。

話し終えると、小さなため息がついて出た。リンディが謝るので、フェイトは慌てて首を振る。
「ごめんなさい。今まで気がつかなくて」
「いえ、そんな、気にしないで下さい」
フェイトが苦笑すると、何かを思案するように、リンディが顎に右手を添えた。
「フェイトはいつがいいの?」
唐突に聞かれ、フェイトは戸惑った。
「こちらの書類提出のときは時間がなくて。話し合わなくて、ごめんなさいね」
これから決めましょうか、とリンディが続けた。手続きは簡単だから、と悪戯っぽく笑う。
フェイトは首を傾げた。
それだと、すでに自分のそれは決まっているということで。教えてもらうだけでいいのではないだろうか。
フェイトの問いかけに、リンディが小さく首を振った。やさしい眼差しがフェイトを捕らえる。

「あなたが決めていいのよ」
「え、でも…」

「そうね。急には無理よね」
「しばらく考えてみたらどうかしら?あなたの特別な日になるのだし」



……特別な日

リンディの言葉を、フェイトは心の中で反芻する。

*****

231:ありがとうと伝えたい
09/03/16 21:24:59 85lKDO4n

フェイトが、自分の誕生日だと決めたのは今日だった。新しい自分をはじめた日。
―フェイトがなのはと友達になった日。
リンディの司会のもと誕生日会が開催される。始まりの合図を告げる、クラッカーの音が高く響いた。

「ろうそくを全部一気に消せたら、願い事がかなうんだよ」

テーブルの上には美味しそうなチョコレートケーキがあり、ろうそくが歳の数だけ灯りをつけて挿してある。
周りの視線が、プレッシャーを与えるように、フェイトへと注がれていた。
一気に吹き消すことに成功すると、わっという歓声と拍手が起こる。なのはがすごいと褒めてくれた。
ばっちり写真に撮れたわと、リンディが喜んでいて。きっと変な顔をしていたに違いないと思い、少し落ち込んだ。
しばらくして、だけど別にいいかなと思い直す。いつも以上にはしゃぐ母の姿を見てしまったから。
手渡されたプレゼントの包装紙を一つ一つきれいに剥がしていたら、じれったいと野次が飛んで。
「もっと、こう、ぱぱっと―」
「フェイトちゃん、急ぐ必要ないからね」
野次を飛ばした人が、もう一人に部屋の隅へと連れて行かれて、なにやらお説教されている。
二人の様子を横目で気にしつつ、フェイトは先ほどの作業を再開した。
それが終わると、主役が何か隠し芸をしないといけないと耳打ちされて。どうしたものかと思案していたら、
アルフが、それじゃあ、あたしがフェイトのために、とボールを持ってやって来た。
披露された玉乗りを皆が褒めると、アルフの尻尾がぱたぱたと揺れた。上手くなったね、と頭を撫でてやる。
公園の子供たちに見せてやるんだと、この間から頑張って練習していたのを知っていたのだ。
どこからか、ずるいという声がして。
そんな話聞いたことがないけど?と問われると、ばれたか、と悪びれもせずぺろっと舌を出す。
「全く、あんたは…」
「まぁ、ええやないの。めでたい日なんから、そんな顔せんと」
「……誰のせいよ」
二人のやりとりが可笑しくて、皆が笑った。
なのはが、嘘だからね?と何故か心配そうに言うので、フェイトは微笑み返した。

パーティーが終盤を迎える。

盛り上がりを見せる格闘ゲームに、ときおり右へ左へと人形が飛び交っている。アルフのお気に入りのひとつだ。
笑い声が、途切れることなく部屋の中に響いていた。フェイトも一緒になって笑う。楽しかった。嬉しかった。皆の優しさが温かい。

それなのに、どうして。気のせいだ、そう思うのに……。
フェイトは、自分の胸元を軽く握り締めた。感じる、ちくりとした痛み。
胸の奥に刺ささる棘を、今もまだ抜くことが出来ない。

そっと窓を開けて、ベランダにひとり出た。額をふわりと撫でた風は、微かに青葉の匂いがした。
銀色のアルミ柵にそっと両手を置いて、空を見上げる。飛行機雲が美しい直線を描いて浮かんでいた。
街並みを眺めると、橙色に辺り一面が染められていた。なのはの髪の色と同じ、やさしく温かな色だと思う。
かたん、と後ろで音がした。振り返ると、綺麗な蒼色の瞳と目が合った。
顔の表情から、何かを読み取ることは出来なくて。ただ、その瞳が真っ直ぐにこちらを見つめている。
フェイトは、夕暮れの空へと視線を戻した。

「私ね、強くなりたいんだ」

知らずに、ぽつりと呟いていた。


232:ありがとうと伝えたい
09/03/16 21:25:34 85lKDO4n

リンディが、プロジェクトF.についての話をしなかったから、その詳細は分からない。
もしかしたら、その資料を見る機会がいつかあるのかもしれないけれど。フェイトは、そう思うだけにとどめた。
今の自分に必要なのはそうじゃない。そんな気がした。
強くなりたい。強くならなくてはいけない。簡単に心が折れてしまわないように。
今はまだ、私は弱くて、ちっぽけで、だけど。だからこそ、強くなりたいと思うのだ。
きっと、これからだから。大切なのは、これからだから。
過去を忘れるためではない。過去を受け入れるために。そして、未来を生きていくために。
あの時、自分へと差し伸べられた手のひらがそれを教えてくれたのだ。その手の持ち主と友達になった。
新しい自分を始めた今日という日は、きっと誕生日に相応しい。
姉のクローンとして生み出された私は、だけど今は自分のために生きようと思っている。
誕生日を重ねる毎に、この気持ちを思い出して、くじけることがないように。私は改めて私自身に誓う。
そして、望まれていた訳ではなかったが、ここに居られるという事実に、感謝したいと思う。

「今日が、何の日か知ってる?」
変な質問だと思われただろうか。フェイトが問いかけると、なのはが「誕生日でしょ?」と首を傾げた。
フェイトはそれに頷く。そう、私の誕生日。そして特別な日。
なのはが覚えていなくても、フェイトは構わなかった。
私にとって特別で、大事にしたい日だったから。私が覚えていればそれでいい。
笑って、そう、誕生日だね、そう続けるはずだった言葉は、だけど、あっさりとなのはに遮られた。
大好きな優しい声で、フェイトを喜ばす言葉に塗り替えられてしまう。

「わたしがフェイトちゃんと友達になった日でもあるよね?」

なのはが嬉しそうに言った。眩しそうな眼をして、先ほどと同じように真っ直ぐにフェイトを見ている。
やさしく、強く温かい眼だった。不意打ちだった。
抑えきれない何かが、フェイトの身体から溢れ出し、一滴の涙へと姿を変えて零れ落ちる。
「覚えてて、くれたんだ」
こんなこと、なのはに出会うまでは知らなかった。
感情が溢れると涙に変わってしまうなんて。こんな風に涙を流せる自分を、フェイトは知らなかった。
痛みを耐えるために、乾いた瞳を潤すために、涙は出るものだと思っていのに。
なのはと出会って、フェイトは戸惑うことが多くなった。だけど、それは、喜びだった。嬉しさだった。
戸惑う自分が少し恥ずかしくて、今もまだ素直になれないこともある。
なのに、そんな時は、ちゃんと待ってくれていて。
ときどき、不安になることもある。なのはに、リンディに、周りのみんなに、自分は甘えすぎているのではないかと。
そう思っていても、それでも、与えられるのは無償の優しさという塊だった。


233:ありがとうと伝えたい
09/03/16 21:26:11 85lKDO4n


「ありがとう」

今のフェイトに伝えられる言葉は、それ以外に思いつかない。たくさんの感謝の気持ち。
「ありがとう」
繰り返すフェイトに、なのはが可愛く首を傾げて、不思議そうな顔になる。どうして?とその目が問うてくる。

ただ、ありがとうとしか言えないのが、もどかしい。
今日を与えてくれた君に、伝えきれないほどの気持ちがある。

「今日はありがとう、なのは」
震える声でそう言うと、おめでとう、と返された。
なのはの柔らかな手が、すっとフェイトの頬に伸びて、その指が、やさしく涙の跡をなぞる。
「今日は本当におめでとう、フェイトちゃん」
なのはの顔に浮かぶ表情は、笑っているのに、泣いているようだった。フェイトには判断がつかなくて。
何か困らせることをしてしまったのだろうか、そう思っていたら、抱き締められた。
「お誕生日おめでとう」
やさしい匂いに包まれる。温かな体温が、触れた身体から伝わってくる。
フェイトは、なのはの肩に額を押しつけた。
「…っあり、がとう……」
声は掠れていて、なのはに聞こえたか分からない。フェイトは、だから、何度も繰り返した。
後から後から溢れてくる色々な気持ちが、どうやったら止まるのか。フェイトには分からなかった。
大丈夫だよ、というように背中がぽんぽんと軽く叩かれた。耳元でそっと囁かれる。
「来年も、おめでとうって言わせてね?」
フェイトは、上手く返事が出来なくて、背中にまわした腕に力を込めることでそれに答えた。
「再来年も、また次の年も。ううん、これからはずっと言いたいから、だから…」
なのはが、一度言葉をきった。小さく息を吸い込むのが聞こえた。
吐息が、フェイトの耳を擽る。

「だから、ずっと一緒にいようね」

ろうそくの炎をふっと吹き消すように。なのはが、フェイトの胸の奥にこびり付いていた痛みをいとも容易く吹き消した。
どこまでも優しく穏やかな声で、一番大好きな人から言われたその言葉は、ただただ嬉しくて。
涙が止まらない。言葉に込められたなのはの想いが、フェイトの身体に流れ込んでくる。

フェイトは思う。自分はこれから、一体どれだけのものを、なのはに返せるのだろうか、と。
自分にできることなど、小さくて、微々たるものに過ぎないかもしれない。だけど、
一緒にいたいと言った彼女に、だから私は傍にいて、そして、ずっと伝えていこう。言葉を、言葉ではないものを。
少しずつだとしても、出来るだけたくさんの感謝の気持ちを、大切な想いを、なのはに返していきたいと思った。

しっかりとまわされたやさしい腕の中で。柔らかく温かな肩の上で。
フェイトは静かに泣き続ける。


―ありがとう。ありがとう、なのは

*****


234:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 21:27:06 85lKDO4n
一応、これで幼少期終了
あと、これより少し長くで成人期があるんだが、
このまま投下しても大丈夫だろうか

235:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 21:36:06 H6kgxudL
実にええ話や、GJ!!
投下はどんと来てほしいが、
ここの板は規制が厳しかった気がする
少し時間を置いたり、何回かに分けた方がいいかもしれない

236:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 22:23:05 g7Ijj9aP
GJ! 言葉の選び方というか、表現が巧いな

237:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 22:31:47 85lKDO4n
GJありがとう。
規制の言葉に怯え、とりあえず、一時間ほどおいてみた。
で、気づいたんだが、他の人の書き込みの妨げになってたかと思い、すまなかった

なのはとフェイトとヴィヴィオで、フェイトそんの誕生日(幼少期を経て)
三期のStS後すぐなのか、数年後なのかは、おいといて、
成人期では三人が正式?な家族になって一つ屋根の下で暮らしてたり、
では、成人期に8レスほどお借りします

238:ありがとうと伝えたい
09/03/16 22:32:41 85lKDO4n


今日は、フェイトちゃんの誕生日。家族三人で祝う、初めての誕生日だ。

「ママ、ヴィヴィオも何か手伝う?」
「ん?そうだなぁ。じゃあ、これ混ぜてくれる?」
「うん!」

*****

今日は休日で、なのはとヴィヴィオでケーキ作り。部屋中にチョコレートの甘い香りが漂っている。
すでに、テーブルの上には美味しそうなケーキが完成していた。
ヴィヴィオが誘惑に負けて味見とはいえない量の味見をしてしまったり、飾りつけの苺の位置が決まらなかったり、
そのほかにも色々と、思いのほか時間がかかってしまった。
でも、まあ、十二分な出来だと言えるだろう。なのは、納得するように、一人頷いた。
本当はフェイトも休みのはずだったが、前日の処理が長引いているようで、朝早くから管理局へ出かけてしまった。
時計を見やる。昼過ぎには絶対帰るから、と言っていたけれど。もうすぐ、お昼をまわるところだった。
玄関でのフェイトの情けない顔が頭にふと浮かんで、笑いを堪えていると、ヴィヴィオがぽつりと呟いた。
「フェイトママ、遅いのかな」
純粋にフェイトの帰りを待ってなのか、早くケーキが食べたいのか、その呟きからは分からない。
前者か後者か、そんなことを考えて。
「どうかなぁ。ちょっと、連絡してみようか」

ピっという音をたてて、通信用のコンソールが開いた。パネル上のボタンを数回タッチして、執務官室へ回線を繋ぐ。
「こちら、フェイト・T・ハラオウン執務官室。シャーリーです」
半透明な画面が一回り大きくなって、シャーリーの顔が映し出された。
「シャーリー、お疲れさま」
「あ、お疲れさまです。フェイトさんですか?」
何を言わずともフェイトだと思われたことに、なのはは苦笑した。まぁ、そうなんだけどね。
「うん。いるかな?」
「いることは、いるんですけど…」
シャーリーが言葉を濁した。困った顔になる。
「どうかしたの?」
えーと、と頬をひとつ掻いてから、言い難そうにしている様子に、なのはは首を傾げた。
続きを促すと、シャーリーが小声で続ける。
「その、ですね…。仕事が終わるまで緊急以外の通信は繋がないで、と言われてるんです」
「打ち合わせ?」
「……ちょっと、様子見ますか?」

画面がぱっと切り替わり、フェイトの姿が映し出された、といってもごく一部だ。
机が書類の山に埋まっていて、なのはからはフェイトのおでこしか見えない。
時折、書類の間から忙しなく動く手が見え隠れしている。
絶妙なバランスを保って山から山へ整理されていく書類の束。
フェイトは一体どんな顔をしているだろうと想像して、なのはは小さく噴出した。
「笑いごとじゃないですよ。朝から、近づけないオーラが漂ってて」
「ずいぶん沢山あるね」
「昨日の午後、急に頼まれたんです。それも、期限が明日の朝までとか…」
「ふ~ん」
「どうします?」
「このまま、繋いでもらえるかな」
「了解しました」


239:ありがとうと伝えたい
09/03/16 22:33:17 85lKDO4n

難しい顔が一瞬で驚いた顔に変わる。つづいて聞こえた声が、なのはの鼓膜を刺激した。
「フェイトちゃん、声大きいよ」
「な、ななななな、なのな」
「なのは、だよ。フェイトちゃん、落ち着いて。ほら、深呼吸」
すーはー、という合図にちゃんと合わせてやってくれるフェイトが可愛くて、なのはの口許が綻んだ。
「なのは…」
「ふふっ。落ち着いた?」
なのはが笑いかけると、フェイトの頬が羞恥に、ほんのり赤らんだ。
「うん…、じゃなくてっ」
「フェイトちゃん、後どのくらいで帰って来れそう?」
優しい声で問いかける。フェイトが口を噤んだ。紅い目が左右に泳ぎはじめる。
その様子にだいたいの予想はついたが、ただ黙ってフェイトの返答を待った。
じっと待っていたら、小さなため息が聞こえた。視線は、微妙に逸らされたまま。
「えっと、たぶん、もう少し…だと思う…うん、たぶん」
フェイトの声は弱弱しく、だんだんとしぼんでいき、まるで演奏記号がついているようだ。
なんだっけ。ええと…そう、デクレシェンド。
「…そっか」
「ごめ「謝らなくていいの」
フェイトの謝罪を、なのはは遮った。フェイトの所為ではないのだから、謝る必要はどこにもない。
でも、理不尽な思いもある訳で。
「わたしはいいけど、ヴィヴィオがね…。ヴィヴィオ、何か言いたいことある?」
なのはが手招いて、ヴィヴィオを膝の上に抱きかかえた。
言いたいこと、あるでしょう?そうヴィヴィオに耳打ちする。

「早く帰ってこないと、ケーキはヴィヴィオが全部食べちゃうから!」

ヴィヴィオが無邪気に笑う。それとは対照的に、みるみるうちに青ざめていくフェイトの顔。
「ええええっ?!そんなぁ……。ヴィヴィオ~」
最後は涙声になっていた。
ヴィヴィオ、よく出来ました、と言いたいところだけど、後者だったことにママは少し残念です。
視線を画面に戻すと、もう少しで泣いてしまいそうな悲嘆な顔が映っていた。
なのはの肩が小さく震える。笑いが込み上げてくる。だけど、ここで笑うと今度は本当に泣いてしまうだろうから。
「大丈夫。ちゃんと待ってるから、ね?」
なのはが優しく宥めると、フェイトが子供みたいに、こくんと一つ頷いた。

*****

240:ありがとうと伝えたい
09/03/16 22:33:42 85lKDO4n

結局、フェイトが帰ってきたのは18時を少し過ぎてからだった。
昼間のヴィヴィオの一言が余程こたえたのだろう。玄関で立ち止まったまま、なかなか動かない。
フェイトの纏う空気は灰色の寒空のように、どよんと淀んでいた。
廊下から駆けてきたヴィヴィオが、おかえりなさい、とその身体に飛び込むと、しばしぽかんとして。
怒ってないの?と小声で、恐る恐る尋ねている。
そんなフェイトの姿に、なのはは気づかれないように小さく笑った。

「おかえりなさい」
「ただいま」

三人で簡単に夕食をとる。テーブルの上を片付けて、さて、ここからが本日のメインディッシュ。
用意をする間、何故か後ろを、うろうろとしている人がいたので、注意をする。
「主役は座って待っててください」
「ください」
二人に言われて、少し寂しそうな顔になったフェイトが、すごすごと退散する。その後ろ姿には哀愁が漂っていた。
私も手伝いたいのに…、小さな呟きが聞こえたから。なのはは、やれやれとため息をついた。
仕事で疲れているだろうに。ゆっくりしてくれていいのになぁ
「フェイトちゃん、悪いんだけど、食器だすの手伝ってもらえる?」
なのはの声に、こちらを向いた顔は嬉しそうで。その瞳は、きらきらと輝いていた。

ヴィヴィオが慎重にケーキにろうそくを挿していく。
途中、指についちゃったと、デコレーションのクリームを舐めだしたので、なのはは慌ててそれを制した。
どうやら、ヴィヴィオはチョコクリームがいたく気に入った様子だ。
小さい子供は甘いものが好きだしね、ってフェイトちゃんも真似しないで…もうっ
エッフェル塔のように傾いて立てられたろうそくと、テーブルの上に置いたキャンドルに火を灯す。
「それじゃ、電気消すね」
キッチンの照明だけは、足元が危ないからと思ってつけたままにしておいた。
電気が消えると、部屋全体が、キャンドルのやさしい光に包まれる。
揺れるろうそくに、照らし出されたフェイトの横顔。知らずため息がもれていた。しばらく見惚れてしまう。
視線に気づいたフェイトがこちらを向いた。どうしたの?と問いかけられて、なのはは、慌てて目を伏せた。
少しだけ早くなった鼓動をごまかすように、こほん、と咳払いをして。

「それじゃ、はじめようか」


241:ありがとうと伝えたい
09/03/16 22:34:21 85lKDO4n

…あ、その前に一つ、と付け加える。
二人が不思議そうな目線で見てきたので、あのね、と続けた。
「ろうそくをね、全部一気に消せたら願い事がかなうんだよ?」
なのはの言葉に、ヴィヴィオが本当?と目を輝かせる。なのはが、それに頷いてやる。
「ちょっと、なのはっ」
「ん?なあに」
プレッシャーかけないでよと、フェイトの瞳が語っていた。
「大丈夫だよ」
そう言うと、フェイトが大きくため息をついて、ろうそくの炎がゆらゆらと揺らめいた。
一気に消す本数は…、しょうがないなぁ、とぶつぶつ呟いている。
見ると、そこにはずいぶん真剣な横顔があって。なのはは笑いを堪えた。
こういうところは、昔からちっとも変わらない。

「「ハッピバースディ、トゥーユー」」

二人でぱちぱちと拍手をするのと同時に、フェイトが、ふぅ~っと息を吹き出した。
ケーキのろうそくたちが見事にすっと全部消えて。おまけに、キャンドルの炎もひとつ消えた。
なのはとヴィヴィオが歓声を上げると、フェイトが少し照れて、顔を見合わせて三人で笑った。
部屋の中は、穏やかで、やさしく甘い空気が満ちていた。
「フェイトママ、おたんじょうびおめでとう」
「おめでとう、フェイトちゃん」
「ありがとう、ヴィヴィオ。ありがとう、なのは」
ありがとう、ありがとう、とフェイトが何度も口にする。本当に嬉しそうな顔で、弾んだ声で、
フェイトがありがとうと繰り返す。
なのはは、そんなフェイトの様子に、胸の中が温かい気持ちでいっぱいになる。愛おしさが溢れてくる。

フェイトの手のひらに、なのはは自分の手のひらをそっと重ねた。どこまでも優しい手だと思う。
自分よりも少しだけ体温の低い、滑らかな手のひら。自身ではなく、人のためにと伸ばされる頼もしい手だ。
フェイトを見つめると、美しい紅色の瞳と視線が交わった。なのはを落ち着かせる優しい色だ。
笑いかけると、フェイトが、なに?と柔らかく微笑み返してきて。
どこまでも穏やかで、やさしく温かな眼差しを持つその瞳が、たまらなく好きだと思った。
そのまま視線を逸らさずに、ゆっくりと口を開いた。

「ありがとう、フェイトちゃん」
「なのは?」


242:ありがとうと伝えたい
09/03/16 22:34:52 85lKDO4n

本当に、本当に嬉しい。
今、あなたがわたしの隣に居ることが。わたしがあなたの隣で居られることが。
もちろん、ヴィヴィオも一緒に。こんな風に家族として共に過ごせていることが。
あなたが、自分の出生をずっと悩んでいたのは知っていた。
今もまだ、そのことに向き合う場面があるのかもしれない。
「なのはと友達になった日が、私の誕生日」
涙とともに笑った小さな顔がふと頭に過ぎる。その日を誕生日にしてくれたことが嬉しかった。
あなたにとって特別な日。わたしにとってもそれは同じで。
あなたが決めた、一年に一度の今日という日に、伝えたい想いがある。覚えていて欲しい気持ちがある。
今日は、あなたの誕生を祝う日なのだから。だから、言わせて欲しい。
―ありがとうを言うのは、本当は、わたしの方なんだよ?

一呼吸おいて、なのはは続けた。

「生まれてきてくれて、ありがとう」

フェイトが小さく息を呑んだ。見開かれた目で、こちらを見ている。なのはが微笑むと、その顔が歪んだ。
ぎこちなく、だけど、はにかんだ笑顔になって。そっと、目が伏せられた。
重ねた手のひらに、雫が落ちる。ぽたり、ぽたりと、大粒の雫が落ちる。
「フェイトママ?」
ヴィヴィオがフェイトの様子に驚いて、遠慮がちな声で呼んだ。フェイトは何も答えない。
ただ、静かに涙を流す。
心配そうなヴィヴィオの視線を受けて、なのはが柔らかに微笑んだ。
ヴィヴィオはやさしい子だね。
「大丈夫だよ」
答えながら、なのはは席を立った。フェイト後ろに回って、そっとその背中を抱き締める。
自分よりも背の高いフェイトが、今は小さい子供のように感じた。早く震えが止まるようにと、まわした腕に力を込める。
フェイトが小さく嗚咽を漏らす。
ごめんね。泣かしちゃって、ごめん
なのはは、心の中で謝る。
「なか、ないでっ」
その声に顔を上げると、フェイトにもらい泣きしたのか、ヴィヴィオが涙目になっていた。
「ヴィヴィオ。フェイトちゃんのこと、ぎゅってしてあげて」
ね?出来るでしょ? なのはの言葉に、こくりと頷いて。小さな腕が、フェイトを正面から抱き締めた。

「離さないでいてあげて」

あなたは分かってくれるだろうか。自分がどれだけ愛されているかを。
わたしが、わたし達が、あなたの周りの人たちが、あなたをどれだけ愛しているかを。
どこまでも優しくて、とても臆病なこの人に、どうか想いが伝わりますように。

フェイトが、ただ静かに泣いている。
静寂に包まれた部屋の中で、静やかに雨が降っている。
なのははふと思う。ろうそくを吹き消したとき、フェイトは何を願っていたのだろう。
キャンドルの炎が、優しく三人を照らしていた。

*****

243:ありがとうと伝えたい
09/03/16 22:35:20 85lKDO4n

先にお風呂に入って、それからヴィヴィオを寝かしつけて。なのはは、ソファーでくつろぎながら、フェイトを待っていた。
しばらくして、タオルで髪を拭きながらフェイトがダイニングにやって来た。
「ヴィヴィオ、寝ちゃった?」
尋ねられて、なのはは頷いた。
「今日は色々手伝ってもらったから。もうぐっすりだよ」
「そっか」
フェイトが少しすまなさそうにする。だけど、口許は弛んでいた。
「フェイトちゃんも仕事で疲れてるでしょ?もう寝る?」
なのはの問いに、フェイトが曖昧に返事をする。それほど眠たくないのだろうか。
だったら、何か温かい飲み物でも用意しようかと、なのはがソファーから腰を浮かそうとして。それを制するように、肩にそっと手が置かれた。
浮かせた腰をまた元の位置へと沈めると、フェイトが隣にゆっくりと座る。
しばらくはそのまま、二人は黙っていた。
話があるのかと思っていたが、違うのだろうか。思っていたら、ふいに紅い瞳がこちらを向いて、
「今日は本当にありがとう」
少し照れた顔で、フェイトがそう言った。
「22回目」
「へ?」
フェイトの口から間抜けた声が飛び出した。首を傾げる。そして、何かに気づいたのか、その眉尻が少し下がった。
「……数えてたの?」
「違うけど。そのくらい言ってるよ?」
フェイトに気づかれないように苦笑する。そんなに感謝されるようなことなどしていない。
だけど、そう告げるよりも一呼吸早く、フェイトが口を開いた。ゆっくりと、大事そうに、言葉を紡ぐ。

「でも、嬉しいから。だから、ありがとう、なのは」

込められた想いに、なのはは何も言えなくなる。
この人は、何でこんなにも―

フェイトの笑顔が眩しくて。ほんのり赤らんだ頬が可愛くて。優しい眼差しが、言葉よりも雄弁に語りだす。
なのはは、身体の向きを変えてフェイトをぎゅっと抱き締めた。
「わたしの方こそ、いつもありがとう」
耳元でそっと囁くと、またありがとうと返されて。なのはは、小さく笑った。


244:ありがとうと伝えたい
09/03/16 22:36:04 85lKDO4n

何十回もありがとうと言うあなたが、愛しい。
温かい体温が、ふわりとしたあなたの匂いが、背中に回された優しい腕が、本当に大好きだなぁと思う。
ふと、フェイトに「一緒にいようね」と言った、あの時の自分を思い出した。フェイトのはじめての誕生日会。
それと気づかなかっただけで、きっとあの時からすでに、わたしはあなたを愛していたのだろう。
溢れてくる愛しさに、胸がすぐにいっぱいになる。ゆっくりと息を吸い込んだ。

「愛してる」

想いを息とともに吐きだして。なのはは、更にぎゅっとその愛しい人に抱きついた。

しばらくして、フェイトがなのはの肩を小さく押し返した。くっついていたはずの身体に距離ができる。
そんなフェイトを不思議に思い、顔を覗き込むと、すっと視線が逸らされた。
目の前の柔らかな頬が綺麗な紅色に染まっていて。金色の髪のすき間から見え隠れする耳は真っ赤だ。
照れなくてもいいのに
フェイトとなのはの付き合いは長い。二人が気持ちを通じ合わせてから、数年の月日が経っていた。
いつまでも、初々しいフェイトが可愛くて。堪えきれずに、小さく声を出して笑った。
離れてしまった距離をもう一度埋める。
だけど、なのはの予想は外れていた。
言い難そうに、聞き取るのがやっとの小さな呟きが、それでもしっかりと耳に届いた。

「…えと、その、……我慢できなくなる、から…」
「え?」

驚いてフェイトを見ると、今度は逸らされなかった。
潤んだ瞳が、なのはを見つめている。鼓動が跳ねて、うるさくなる。頬が火照る。耳が熱い。

ずるいよ……

そんな風に言われて、その瞳で見つめられて。わたしが拒めるとでも思っているのだろうか。
気持ちを落ち着けるために、なのはは一つ深呼吸をした。

……恥ずかしい。
たぶん、今はフェイトよりも自分の方が真っ赤になっているだろう。
こんな恥ずかしいことを言うなんて、わたしどうにかなってるのかもって思うけれど、
今日は特別な日だから、と自分に言い訳をして。

「えっとね、実はプレゼントがもう一つあるの」


245:ありがとうと伝えたい
09/03/16 22:36:33 85lKDO4n

フェイトが、一瞬きょとんとしてから、小さな子供のように無邪気に笑った。
あどけなく可愛らしい笑顔で、なに?と聞いてくる。なのはは、顔がさらに火照るのが分かった。

フェイトちゃんの、意地悪……
素直に答えたくない。というか、言わせようとしないで欲しい。

黙ったままでいると、きらきらと輝く瞳が、早くと答えをせがんでくる。
いまだ、その顔は子供のようなにあどけなくて……。なのはは、もしや、と思い直した。
話の流れから、意味を理解してくれると思ったけれど、ときどき、こちらが驚くほど鈍感なフェイトである。
もしかして、本当に分かっていないのだろうか。
向けられた邪気のない笑顔は、はたしてどちらを意味するのか、判断がつかなくて。
だけどすぐに、やっぱり子供なんかじゃないんだと知る。
フェイトの表情が、どきりとするような艶やかな笑顔に変わり、なのはの心臓がひとつ跳ねた。

「もらっていいの?」

少し掠れた、いつもよりも低い声に身体が震えた。背中を甘い痺れが走る。
紅い瞳には、さっきとは違う鋭い光が宿っていて。目が離せない。身体が動かなくなる。
こうなると、わたしに出来ることなど、もう何もない。
息が苦しくて、なのはは薄く唇を開けた。

「……いいよ」

そっと目を閉じて、唇にやわらかな感触が落ちてくるのを待っていたら、額にこつんと、温かなものが当たる。
つづいて耳に届いたのは、本日25回目となる感謝の言葉。

「ありがとう、なのは」




―おめでとう、フェイトちゃん



246:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 22:37:44 85lKDO4n
*****
おしまい
相変わらず拙い文章で、長々とすまんかった。
ツッコミどころ有りすぎてもカレーにスルー、仕方あるまい。
補足というか、うだうだな言い訳をしようかと思ったが、とりあえず一言だけ。
最後の所は少し可笑しくなってたんだ、主に頭が、それと頭とかが、
その台詞は今時ありえねぇえと思ってはいたんだ…って、うわまじすいまsLB
それにしても、巻き添えって辛いなー
書き込もうとしたタイミングでそれ知るとまじ凹むんだが……

247:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 22:57:28 g7Ijj9aP
GJ、おかげで今夜は暖かい気持ちでよく眠れそうだよ

248:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 23:18:05 6r66twEF
GJ~4期もそんな感じでやってほしいわ

249:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 23:25:15 ITr8DLJe
素晴しいGJ!フェイなの待っていたんだ!更なる新作を心待ちにしてるぜ。

250:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/16 23:37:22 6IIv3lnM
GJすぎる、なのフェイはやっぱいいわ…
自分もこの前した、はやなのの続き考え中…

あと、最近シャマルさんがなのはさんにキスを迫られる
妄想浮かんだ…

251:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/17 00:34:27 On7pavOa
GJ、おかげでいい誕生日プレゼントをもらえたよ

252:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/17 01:58:59 XLPTono1
大作乙!!素晴らしかったです!!!
改めてなのフェイの良さを実感した・・・

253:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/17 03:18:05 bEydCLyU
GJ
なのフェイ分たっぷり補充できた
4期もずっと一緒であって欲しい


254:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/17 10:34:43 l4AANPMi
GJ!
じーんと来た

255:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/17 11:53:32 r8RRQhrO
>>246
感動した!全力全開でのGJを!

256:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/17 20:25:44 jhzjwbbU
GJ!
ってかこれは4期の漫画をこっそりここに載せてくれたんだよな?なっ?
こんな風に4期もなのフェイがあればいいのによぉ
最高の話ありがとさん

257:246
09/03/17 22:16:02 7LU67sH1
こちらこそ、GJありがとう。
なんといいますか、妄想の糧になるなぁ

規制中に放置していた妄想を考え直してまして、
万が一でうまくゆけば、またそのうち現れるかもしれんが、
その時は、生暖かい目で見逃してくれとお願い

258:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/18 17:07:52 z+dO9sUM
シャマルさんは攻められると可愛いんだろうなあ…
「な、なのはちゃん…やぁ」なんて声出すんだろうなあ…


259:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/19 06:48:09 LQgZDRpm
2枚セットで転載を
URLリンク(sukima.vip2ch.com)
URLリンク(sukima.vip2ch.com)

260:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/19 18:55:10 C92UizLd
なのはさん依存症のフェイトそんもいいけど、
フェイトさん依存症のなのはそんもいいな。

261:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/19 22:03:42 KTSNE0TC
もう互いが互いに依存しあう、へんたいフェイトそんと色ボケなのはそんでお願いしたい
んではやてとヴィヴィオに砂糖吐かせておくれ

262:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/19 22:25:49 zwGQwR3U
ここでヴィヴィオ×はやてですよ

順番は間違ってません
ヴィヴィオ×はやてです

263:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/19 22:43:33 KjygfeTJ
私の嫁ですってなのフェイに笑顔で紹介するヴィヴィオと
その隣で嬉しそうなでも泣きそうな引きつり笑いをするたぬきが見えた

264:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/19 22:58:50 Ho3qmi25
「はやて、これは」「はやてちゃんこれは一切どういう…」と後で修羅場に…
ヴィヴィオに手出してないか云々にもなる

265:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/20 00:10:23 QPqy55cX
な「……」
は「……あはは」
な「……あはは、じゃないよ、はやてちゃん」
は「……そ、そない怖い顔せぇへんでもええやんか、なのはちゃん」
ヴ「そうだよ、なのはママ。私ははやてと愛し合ってるんだから」
フ「あ、愛し合ってる……!? ヴィ、ヴィヴィオ、そこまでの仲に……!?」
ヴ「いつもなのはママと夜な夜なエッチしまくってるフェイトママにそういう言われ方はしたくないなー」
フ「そ、それは……」
は「まぁ、その、なんとゆーか……。そういうことになってもーて……」
な「へらへらしないではやてちゃん」
は「ひっ、か、堪忍してやぁ……」
ヴ「なのはママ、そんなに威嚇しないでよ」
な「しょうがないでしょ、ヴィヴィオ。大事な一人娘を手篭めにされて黙ってなんていられないわ」
は「手、手篭めって……」
な「事実でしょう……?」
は「うっ……、あ、はい……」


この後は何だかんだではやて総受けになります

266:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/20 07:35:50 ch322RAn
もうみんな家族になっちゃえばいいと思うよ。

夫・高町フェイト
妻・高町なのは
娘・高町ヴィヴィオ
娘婿・高町はやて

267:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/20 12:02:48 foxrrZwz
な「はやてちゃん…娘を誑すなんて…悲しいよ」
は「いや、そやから…な、ヴィヴィオ、私達はなにもしてない、な?」
ヴ「昨日もね…ベットの中で可愛がってくれたの、優しく抱いてくれて…」
ふ「はやて!」
な「にゃはは…はやてちゃんちょっと説明してもらえる?」
(微笑んでいるが目が笑ってないなのはに怯えるはやて)
は「あ、あれはな、酔った勢いでな…そ、それになのはちゃんだってフェイトちゃんといつもっ」
ふ「話を誤魔化しても駄目だよ、はやて…ちゃんと聞かせて貰うから」
やはり修羅場かあ…ヴィヴィオに手出したらやっぱただではすまんなあ


268:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/20 12:17:59 SMKewFvx
高町家の義父母も怖いが、八神家の小姑達も怖いよな。

ただ、その小姑さん達は高町家の二人にメロメロだけど。

269:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/03/20 21:35:05 frDb3Itb
こんにちは
はやフェに挑戦してみました
ダメな方はスルーお願いします
7レスにて

270:Love planner
09/03/20 21:36:07 frDb3Itb
スッスッハー、スッスッハー

そんな吸って吐いてを繰り返すのは、横並びの二人連れ。
真っ直ぐに伸びた一本の舗装道路に規則正しい靴音が刻まれる。

スッスッハー、スッスッハー

道路の右側には緑豊かな木々、左側には水平線を一望できる蒼い海。
もう30分は走っているというのに風景は変わりばえしない。通りがかる車すらなく、そもそも人っ子一人見当たらなかった。

「なあフェイトちゃん、事前の打ち合わせにマラソンなんてあったかなぁ?」
「いや、知ってたらこの格好で直接来ないよ。私はまだいいけど、はやては悲惨だよね」
 小柄な女性の冷めた問いかけに、金髪の女性は走りながら器用に肩を竦める。現在マラソン中の人物は管理局にその人ありと称される有名人、八神はやて陸上二佐とフェイト・T・ハラオウン執務官であった。
「ヒールやし、裾は長いし、ブーケはでっかいし、髪はきつう編まれて痛いし――おまけに化粧崩れしまくってるやろしっ! なんやのこれ、新手の嫌がらせ?!」
 小柄な肢体を包むのは純白の衣装、いわゆるウェディングドレスである。裾をひくそれを片手でたくし上げ、もう一方の手には大きなブーケ。そんな格好でのマラソンという異常な状況に、はやては苛々を隠さず喚き散らす。
「こっちにブーケかして、持つから。ほらほら落ち着いて、力まずにヒッヒッフー」

ヒッヒッフー、ヒッヒッフー

「って違うやん! 危ない危ない…フェイトちゃんに何か産まされるところやった」
 はやてがフリーとなった手の甲でフェイトの肩口を叩く。二人とも出るところに出ればかなりの身分持ちなのだが、誰の目もない現状ではふざけ合う幼馴染である。
「あはは、残念。気づかれちゃった」
「その余裕ぶりがまた腹立つ。爽やかやし、似合ってるし、シャツに皺はあらへんし、髪の乱れもないし――おまけに無駄に格好ええしっ! なんやのこれ、喧嘩売ってるん?!」
 ぎろりと睨みつけられたのは、新郎が纏う黒いタキシードを着こなした執務官。長い髪を風になびかせ、その端整な顔には汗一つ浮かんでいない。花嫁のブーケを持って走る姿すらサマになって見え、はやては感情のままに当たり散らす。
「見慣れないから新鮮に見えるだけだよ、きっと。はやてだって今日はすごく綺麗だし。ほらほら落ち着いて、力まずにヒッヒッフー」

ヒッヒッフー、ヒッヒッフー

「って、もうええわ! それより、今の失礼な賞賛を訂正してもらいましょかぁ?!」
 またもや、はやての手の甲がピシャリ。発現の訂正を求められたフェイトはきょとんとして首を傾げる。
「失礼? 褒めたつもりだったんだけど?? その格好、本当に良く似合ってるよ」
「ブブー…零点。日々いつだって綺麗であろうと頑張っている乙女の心に深ぁ~い傷をつけましたー」
 言葉どおり思うままを口にしたのだろうフェイトに、全くもってなってないと駄目だしするはやて。ちょっとしたヒントを混ぜてあげるあたり、不出来な幼馴染をまだ見捨てるつもりはないようだ。
「わかったっ! はやては今日『も』すごく綺麗だね」
 返ってきた言葉を吟味してしばし、ようやく答えに思い至ったフェイトがパッと顔を輝かせる。隣を走るはやてをわくわくして覗き込めば、にやっとした笑いで迎えられた。
「ピンポンピンポ~ンッ! これで不正解やったらシグナムパンチの贈呈やったよ」
「うわぁ…あれ、まともにくらうと相当痛いんだよねー」
 身震いするフェイトを見て、はやては声を上げて笑う。
 共に並んで走る二人は和気藹々。尽きぬ話題で気力を保ち、体が訴える疲労すら忘れ、目的地に向けてひた走り続ける。

271:Love planner
09/03/20 21:38:06 frDb3Itb
 新郎新婦が向かう先はもちろん教会。
 どうしてこの二人が愉快な格好でマラソンをするはめになったのか?
 何かの罰ゲーム、それとも驚天動地のゴールイン? 

 答えは実に味気なく、れっきとした管理局広報活動の一環。民間人にもアイドル的扱いな一部局員に時折まわってくる仕事である。
 今回配信予定の壁紙画像テーマは、ずばりウェディング。新郎新婦に扮したアイドル局員を愛でてみたいという大衆心理が導いたもの。男女の組み合わせにすると暴動が起きかねないので、無難に女性同士での撮影と相成った。
 有名人であるため撮影場所は管理外世界の鄙びた教会が選択された。事前に行われた打ち合わせどおり、はやてとフェイトはそれぞれ乗っていた航行艦から設置ポイントへ個人転送。さっさと写真だけ撮っておしまいになるはずだったのだ。
 広報部が説明するところの、ちょっとした手違いがなければ。


「広報部の連中め~…人を呼びつけておいて迎えもよこさんとか、もう信じられへんわ」
「ポイントの設置ミスって言ってたね。座標の再確認であっちも遅れるらしいし、仕方ないんじゃないかな」
「ごちゃごちゃ言い訳して謝りもせんし。管理外世界やから魔法は使うな自力で辿りつけって、どんだけ上から目線なん?!」
 はやては通信でのやりとりを思い出して憤る。
 淡々とした事実説明のみを行うお役所的対応。地図データの更新を行う前にポイントを設置したため、撮影地である教会が移転していた事に気づかなかったと。なんとも初歩的なミスである。一回使い切りのポイントなので艦へも戻れない。
「日頃の運動不足解消だと思おう? 空気は綺麗で自然は豊富、はやてと話す時間も増えたし私は嬉しいよ」
「むぅ~まったくフェイトちゃんは…まあでも、楽しんだもん勝ちか」
「そうそう、花嫁さんは笑ってないと」
「ほな、花婿さんはもっとキリッとしてや」
 へらへらしているフェイトに毒気を抜かれ、はやては破顔して突っ込みを入れた。
 しばし無言で走った後、はやては前を見据えたまま独り言のように声を発する。
「しかしやなー…なんで私とフェイトちゃんなんやろ」
「はやては嫌なの? 私、結構楽しみにしてたんだけど」
 腑に落ちなさそうな響きを耳にして、フェイトは愕然と口を空けた。ガーンという擬音がふさわしい。傍目にはマリッジブルーの花嫁におろおろする新郎である。
「めっ、面と向かって言うか普通ぅ…フェイトちゃんが嫌とかやのうて純粋な疑問っ!」
 思わぬ不意打ちに走るペースを乱しかけ、はやては怒ったふりをして自分を立て直す。シャイな生粋の日本人にとって、包み隠さない感情の直球はどうにも困るのだ。
「なんだ、びっくりしたー。スケジュールが今日たまたま空いてたのが私達だったらしいよ。みんな忙しいからオフの調整は難しいもんね」
「それは私も説明受けてるけど。もっと相応しい人おるんとちゃうの、とか…」
 ごにょごにょと消えていった語尾に複雑な感情が見え隠れする。はやての言う相応しい人を、フェイトは違う意味に捉えて返す。
「そう言われると不安になってきた…私が新郎役じゃあんまりだよね。はやてだったら守護騎士の方が」
「ちぇいっ!!」
「おっと。いきなり何するの、はやて?」
 予備動作なしに放たれたチョップが空を切る。しなりを効かせた手が当たればそれなりに痛い。
「ムシャクシャしてやった。後悔はしてへんっ。さあさあ、右の頬をぶたれたら左も出す!」
 どこぞの犯罪者っぽく叫んでチョップ乱舞の構えをとるはやて。空気の読めないフェイトは単純な事実だけを口にする。
「ぶたれてないんだけど…避けたから。それより無駄に動くとばてるよ?」
「くっ、このっ、せいやっ! おのれチョコザイなっ、大人しゅう手打ちにされておけばええものを~~~っ!」
 悲しいかな身体能力差は歴然。
 熱くなったはやてが繰り出す攻撃の数々を、フェイトは最小限の動作でかわして楽しげに微笑んだ。

272:Love planner
09/03/20 21:39:10 frDb3Itb
「…なあ、フェイトちゃん。もしかして、教会はこのテッペンとか言わへんよね?」
「渡された地図データだと――うん、この上で間違いないみたい。あとちょっとだよ、頑張ろう」
「どこがちょっとなんよ……なんやの、これ! 天空の塔にでも続いてんの?!」
 やっとこさマラソンを終えた二人の前に立ちはだかったのは、延々と続いて見える灰色の石段。一体何段あるのか、この位置からは頂上なんて見えない。
「あはは~そうだったらロマンチックだよね。さっ、そろそろ行こう」
 促がして引いた手に思わぬ抵抗。どうしたのかと振り返ったフェイトに浴びせられたのは、しわがれた老婆の声だった。
「あたしゃもう駄目だよぉ。お前さんだけでも先に行っておくれぇ」
 花嫁衣裳に老婆、なんというミスマッチ。さらには、ゴホッゴホッとわざとらしい咳き込み。
 展開についていけないフェイトは、とりあえず無難な反応を返す。
「え~と、はやて…時代劇かなにか?」
「フェイトちゃん、ノリ悪ぅ~。そんなやったら険しい漫才界のいただきに上られへんで」
「そこに上るのは後にして、まずはこの石段を上ろうよ。指定された時間に間に合わなくなる」
 至極もっともな意見である。しかし、はやてはパタパタと手を振ってそれを拒否。
「…私はほら、あれでええわ。写真の右上に顔だけ写るやつ。そやから後はフェイトちゃんだけで…は? 何このブーケって、ひょわああぁ」
「もうっ、はやては。足が限界ならそう言えばいいのに。変なところに気を回すんだから」
 駄々をこねる訳を察し、フェイトは流れるような動作ではやてを抱き上げた。フェイトの推察通り、ヒールを履いて長距離ダッシュした足が小さな痙攣をおこしている。
「ちぇ~ばれてもうた。御荷物になりたくなかったんやけどなぁ」
「水くさいこと言わないの。ちょっと急ぐから揺れるよ。落ちないようにしっかり掴まっててね」
 そう前置きしてすぐ、フェイトは何百段あるかわからない石段にとりかかった。さすがに管理局の近接魔道師だけあって筋力や体力のパラメーターは抜きん出ている。
 落とされる不安など露ほども感じず、はやては戻ってきたブーケを抱え直した。大きなそれで顔の下半分を隠し、居心地悪く感じる場所にて身じろぐ。
「優しすぎるんもな、罪なんよ」
「……えっ…今…何か…言った…はやて?」
 ブーケに遮られて聞き逃し、フェイトは軽く上がった息で問いかけた。一定のリズムで石段を駆け上がる現状では舌を噛みそうだ。
「べっつにぃ。余所見してると蹴躓くでー」
 はやては様子を窺おうとする赤い瞳からプイッと顔をそむける。届かせるつもりのなかった言葉を拾われ、その頬は赤く染まっていた。


 10分ほどたった頃、はやては自らを支える腕を軽く叩いて止まるよう催促。前も後ろも石段だらけ、今どのあたりの位置かすらわからない。
「ど…した…の……はや、て」
「どうかしたんはフェイトちゃんやろ。そんなに息切らして。休憩せんと体もたへんよ」
 大きく肩で息をするフェイトに、はやては気遣わしげな視線を送る。人一人抱えて石段を駆け上がるのは容易ではない。大剣を振り回して戦うフェイトであろうとも、休憩を挟まずに体を酷使すれば結果は明白だ。
「だい…じょぶ…こ、ぐらい」
「見栄っ張りされるんやったら自分で上るわ。フェイトちゃん、下ろして」
 無理に笑おうとするフェイトの肩を、ムッとした表情のはやてが押す。慌てたフェイトは腕に力を込めてそれを阻止した。
「わかったから…ちゃんと休むから…そこで大人しく、してて」
「もぉ~過保護なんやから。でも、私を下ろさんと腕がしんどいやろ? とりあえず石段にでも座らへん?」
 座らないかと誘うあたり、まだ立つのが辛いらしい。少しの時間で大分回復したフェイトは、腕の中のはやてに首を振る。魅力的な提案であるが、借り物の衣装を汚すわけにはいかない。
「綺麗な石段だったら賛成するんだけどね。衣装が汚れたら元も子もないし、間を取ってこれで我慢してくれるかな」
 そう前置きすると、フェイトはグイッと腕を持ち上げ大きく足を踏み出した。一段飛ばした位置に片足を据え、水平となった自分の太ももの上にはやてを下ろす。
「人間椅子ならぬ……フェイトちゃん椅子?」
「世界に一つきりなんだよー。なんと安全ベルト付き。座り心地は保障しないけどね」
 海風に長い髪をそよがせ、フェイトは朗らかに笑う。ウエストに回された両腕が安全ベルトなのだとわかり、はやても込み上げる衝動にまかせて笑いだした。

273:Love planner
09/03/20 21:40:45 frDb3Itb
 休憩と称し、二人は日の光に輝く海面を見つめる。それはどこか、懐かしい町の風景と似ていた。
「……フェイトちゃんは結婚とか、せえへんの?」
 なにげない世間話とでもいうように、はやては海を眺めながら問いかける。体を存分に動かす充実感に浸っていたフェイトは、くるんと目を見開いて顔を戻した。
「えっ、しないよ。どうして?? それ以前に相手がいないんだけど」
 言葉どおり本当にそう思っているのだと、はやては小さな溜め息。この幼馴染に嘘をつく器用さがないのは熟知している。
「手ぇあげてる人、一杯おるのに…」
 口の中で呟いた言葉はフェイトの耳に届かない。きょとんとした赤い瞳が、やれやれと肩を竦めるはやてを不思議そうに見つめている。
「はやてはどうなの? まさか、そんな前ふりをするって事はもしかして」
「大当たりーっ……て言いたいとこやけど、私の恋人は仕事なんでーす」
 驚きに停止しかけた心臓が復活した。フェイトは止めていた息を吐き出し、からかい好きな幼馴染にジト目を送る。
「もぅ~…びっくりさせないでよ、はやて」
「おっ、失礼やな。これでも私、結構もてるんよ?」
 はやては営業用のスマイルを浮かべて擦り寄っていく。これは完全に突っ込み待ちの態勢である。露骨すぎる意図をもった笑顔に、フェイトはにっこりと微笑み返した。
「知ってる。はやては良い奥さんになりそうだもんね」
「ちょっ、なっ何ゆうておべっかやろそんなっ…へらへらしても騙されへんで! 家事は得意やけど体は貧弱やしお金もあらへんよっ?!」
 思ってもみなかった反応に動揺、はやてはテンパリ気味に叫ぶ。自虐ネタに走っている自分に気づき、純真そのものといった笑顔から目を泳がせた。
「よくわからないけど、愛があればいいんじゃないかな」
「ひぎゃああぁ~~~愛とか素で言わんといてえェェっ!」
 こっ恥ずかしさに赤面して悶える花嫁、大真面目な顔で懇々と愛を説く新郎。傍目には糖度の高い空間でいちゃこらする新婚さんだった。

「う"ぁ~あ"、もうええわ……愛やろ、愛」
 はやては諦め顔で呻く。これだけ何度も吹き込まれれば耳タコ、開き直って言葉に出してしまった方が楽だった。
「わかってくれた? 愛が一番なんだって」
 したり顔で頷くフェイト。
 一仕事終えたというイイ笑顔に、はやては両頬をぷくっと膨らませた。やりこめられた感がしてなんだか面白くない。
「ほな、愛の伝道師さんに質問っ! もてもてな八神はやてちゃんは、あの海ほどの愛に満ちているゆう事でおーけい?」
「海ねぇ、う~ん…海は言いすぎかも」
「うわっなんか腹立つぅ! はやては溜め池だよっとか、底なし沼かなっとか言うところやのに」
 ボケてほしいところにマジレス、そして逆切れ。はやては思い通りにならない苛々を余さずぶつける。
 わかっているのかいないのか、フェイトはへらっとした笑顔。
「きっとその水は濃くてドロドロしてるよねー」
「当然っ、私の愛のエキスはものすごい比重やもん。どろんどろんのグッチャグチャって、何を言わすのっ」
 悲しい関西人のさがである。誘われたら乗らずにいられない。
「私に対するフェイトちゃんの愛が薄ぅなってるー。ショックや、よよよ~」
「はやてへの愛? 昔と比べて減ったとか、そんな事ないけど」
「嘘泣きに突っ込みすらあらへん……あかん、これはもう末期や。私とフェイトちゃんの睦月もこれまでか」
 いよいよもって駄目なのかと、はやては友人に訪れた変化の兆しを嘆く。かつては当たり前に感じていた阿吽の呼吸が懐かしく思い出された。
「なんでやねんって言えばいいんだよね。これで私達の仲は元通り円満に」
「さすがはフェイトちゃん――って、なんでやねん!」
 フェイトの天然マジボケにつられて伝家の宝刀。持ち主の意に関係なく動く己が肉体を恨めしく思い、はやてはどうしようもなく頭を抱えた。

274:Love planner
09/03/20 21:41:55 frDb3Itb
「ところではやて、何の話してたんだっけ?」
「フェイトちゃんの愛が薄ぅ~~っくなったって話やっ!」
 普段どおりの様子に憤りを感じ、はやてはキーキー甲高く訴える。感傷に浸らせてもくれないのかと。
「だからそんな事ないのに。どこをどうすればその結論に辿りつくのかなぁ」
 心当たりなし、あくまでフェイトは主張する。首を捻って頬をポリポリ。はやての断言も、その元となる根拠も、何一つ思い当たる節がない。
「簡単な割り算…フェイトちゃんの持ってる愛を1として、それを分ける母数が増えたら当然のこと解は小っちゃなる、そういう理屈っ」
 白をきるつもりかと、はやては厳然たる方程式を突きつけた。出された例えからようやくその意を得、フェイトは成る程と数回頷く。
「計算上はそうだけど実際は小さくならないよ。皆に1ずつ用意すればいいんだから」
「ひょっとして突っ込み待ち? 理論がすでに破綻してるんやけど」
 発揮する場所を間違えれば優しさも逆効果である。
 煙に巻かれはしないと、はやては背筋を伸ばして腕組み。徹底追求の構えで睨みつけた先に、どこまでも透き通った赤。
「だってさ、愛は分けるものじゃなく増えるものでしょ。だから皆に1ずつ――どう? これで合ってるよね」
 そう言ってフェイトは笑う。子供の頃と全く同じ笑顔で。
 変わらない笑顔と眼前に立てられた指。それらを交互に見やり、はやてはじんわりと滲み出る暖かさに頬を緩めた。
「フェイトちゃんの愛は無尽蔵かぁ。おまけに無邪気で無防備で無節操……無敵すぎるやろ」
「納得してもらえた? だから、はやてへの愛は昔と変わらないんだよ」
 得意げに胸を張るフェイト。ここまで堂々と愛を叫んだならいっそ清々しい。
「むぅ~…ほな、1じゃ不満やってゆうたらどないする?」
 素直に負けを認めるのはなんだか癪だった。困らせてみたくなり、はやては無理難題を口にする。
「えっ不満なの? う~ん、それはまぁその、善処しますって事で……」
「あー逃げたっ! あんたはどこぞの政治家か。そんなんじゃ有権者の支持は得られへんよ。きちんとしたマニフェストを示していただかんと」
「選挙じゃないんだから。でもまあ公約できるかな。不満なんて出ないくらい、まだまだ頑張る」
 ここぞとばかりに食い下がるはやてに、腹をくくったのだろうフェイトがきっぱり宣言。高く目標を掲げた瞳がきらきら光を放った。
「どんだけ増産するつもりやの…いつかカラカラに干乾びてまうよ」
 はぁ~と溜め息をつき、はやては苦笑する。皆へ配る愛の造成に励む、そう確約する底抜けのお人好し。でも、この幼馴染のそんなところが大好きなのだ。
「そうなったら恵みの雨を待ってるね。どろんどろんのグッチャグチャで構わないから」
「むきーーーっ! なんかメッチャむかつくんですけどォっ!!」
 空気を読まない発言に、せっかくの良い流れが台無し。
 はやては怒りの代弁として固めた拳をみまう。至近から繰り出されたそれを、フェイトは顎を引いてひょいっとかわした。
「危ないって…落ちちゃうよ、はやて」
 足場が不安定ながらも、フェイトは抜群のバランス感覚を発揮する。暴れる動きに合わせ重心移動、疲れて先に根を上げたのは体力的に劣るはやてだった。
「ぜぇっ…ぜぃっ…あ、あかん、こうなったら……フェイトちゃんのあほぉー、へたれぇー、にぶちんー、かいしょうなしぃー、むせっそぉー、ちゅ~まじんー」
 幼稚園児のような報復手段をとる陸上二佐。年齢より幼く見える外見にぴったりである。
 自他共に認める子供好きの執務官は、そんな可愛らしい攻撃に相好を崩す。
「人の悪口言ったらいけないんだよー。閻魔様に舌を抜かれちゃうんだから」
「小学生の頃に教えた迷信をいまだに…しかも間違っとるし……」
 誤りに気づかないフェイト、唖然とするはやて。
 しばし無言で見つめあえば、なぜかそれは睨めっこに発展していく。相手が繰り出す変な顔に耐え切れず、二人は同時に大きく吹き出した。

275:Love planner
09/03/20 21:43:02 frDb3Itb
 ひときわ強い風が吹き、濃い潮の香りを運んでくる。二人は記憶にある景色と錯覚してキョロキョロ。
「なんだか変な感じだね。ここは海鳴じゃないのに」
「あはっ、ほんま。海がこんなに近いからやな…………うーみーはー広いーなー、大きーいーなー」
 久しく使っていなかった母国語で、はやては懐かしい歌を口ずさむ。大人になっても歌詞を忘れていなかった自分に少し驚きながら。
 フェイトは海を眺める瞳を時折瞬かせ、流れ続ける歌に聞き入っている。
「行ーってーみたいーな…」
 歌が唐突に途切れた。あの小さな町は次元の彼方、思えば遠くへ来たものだ。
 二人は黙り込んで海を見つめる。信念を持って前だけ見つめ進むさなか、残してきた大切なものに思いを馳せた。
「今度…なのはと相談して、さ……三人一緒に、海鳴へ帰ろう?」
「うん、そうしよ…たまには帰らんと、な……やっぱり、あかんやろから」
 奥底から溢れてくるものを堪え、たどたどしく語り合う。帰るという表現にフェイトの思いやりを感じ、はやては腰を支える腕に手を添えて何度も頷いた。
 三人とも要職についており、同日の休みをとるのは並大抵の事ではない。だけど三人一緒という事が、海鳴で五人になる事が、たぶん重要なのだ。
「潮の香りってな、なんかほっとせえへん?」
「母なる海だね。波の音が子守唄みたいに聞こえる」
「うわぁ…詩人がいてる。寒イボもんやよ、今の」
 しんみりした空気を振り払うべく、はやては明るく茶化して話を混ぜっ返す。水平線を見つめていた赤い瞳が、いたずらを思いついた子供のように輝いた。
「寒いなら暖めてあげる――えいっ!」
 がばちょと抱きつく新郎、熱烈な抱擁に足をバタつかせる花嫁。
「にょあぁぁっ! ちょ、フェイトちゃん……苦しィ…ギブっギブっ」
「あはは~はいはい、わかりました。はやて、顔が真っ赤だよー。あったかくなった?」
 力強い腕が緩むと、はやては豊かな膨らみを意識せずにいられない。自分から宣言して触る事ばかりなので、意図しない接近遭遇には不慣れなのだ。
「あーもうっ、熱っくるしいから早う離れてっ!」
 顔に集まった熱を叫んで散らし、はやては能天気に微笑むフェイトの肩を押す。肩でなくて胸にすれば良かったと地団太を踏んだのは随分後の話である。


XXX


「う~…にがぁ」
 湯気を立てるカップに口をつけるやいなや顔をしかめる。やはり砂糖とミルクを入れるべきと、一度ソーサーへカップを戻した。
 寄りかかる体を支えるのはどっしりとした重厚なデスク、その机上にはミニチュアサイズのデスクが設置してある。

ピピピッ、ピピピッ


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