07/04/20 16:40:49 mmvs4Fvv
ここで俺はふと気がついた。俺がパーカ娘と黒川さんに気を取られている間に、物凄い本数のワインが空いているではないか。見ればひとみさんがすごいへべれけに成っている。いや、雪だるまペンギンじゃなくて。
「さぁ~やぁ~、このままお泊まり行っちゃおうよぉ~」
ケタケタと笑うひとみさんと、ウホッと心の中で叫ぶ俺。やばい、頬が勝手に緩む。
「ちょっと、ひとみ、飲み過ぎよ。そろそろ帰りましょう」
そう言えば、もうかなり長い間ここにいる。そろそろ帰ってくれると黒川さんとパーカ娘の恐怖から逃れられて非常に有り難いが、もう少し見ていたい気がするのも事実だ。これが百合萌えの血……か。
「それじゃあぁ~、ちょっとお手洗い行って来るねぇ~」
席を立ったひとみさんは、ふらふらと蝶の様に化粧室へ。
「あ、じゃあ私も……」
まるで蝶を追う様にさやかさんが席を立った後、さやかさんとひとみさんの注文帳から一枚だけ俺の方へと移して席を立った。
そのままレジへ向かおうとも思ったが、黒川さんとパーカ娘のやり取りを見ながら少し水を飲み過ぎたみたいだ。催して来た。
クルリと踵を返し厠へ向かおうとしたその時、俺の視界からポッカリとある物が抜け落ちている気がしたが、何かが分からない。
気の所為か……そう思い角を曲がったその時だった。
化粧室へ向かうパーカ娘……その背中に『百合』の二文字。
「ぶっ!」
計られた。まさかあのパーカが『漢字パーカ』だったとは。見事と言う他無い。
「ん? あ、さっきの黒川さんの知り合いの……あれ、でもそれ以前に何処かで……」
まずい、吹き出した所為で見つかった!
「あー! あの、ゲイで痴漢の人ですよね!?」
「違うっ!」