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(そして。やがて響く彼女の笑い声――クッションに顔を埋めてまでとは思わなかったが、
そんな彼女を見て、こんなに見事なまでにかかってくれるとは……と苦笑いした。しかし、同時に心底嬉しくもあった)
確かに……こっちが恥ずかしくなるくらいに合っていないな。
(ちょっとやりすぎたか――と思う程に、バラバラで申し訳なくなってくる)
まさかそんなに笑ってもらえるとはね……私も予想していなかったが――寧ろ心地良い……のかな。
(片手に感じる彼女の温もり。それを握る手に力を込めて、離したくないと感じ――、
そんな事を思っていれば、指揮棒が。そして、そんな指揮者を見つめて、次の彼女の反応に思わず盛大に噴き出した)
くっ……っ……どうやら――そうみたいだな。くく……っ……。――ッ!
(盛大に笑っていれば、斜め下から横目で睨みを利かせてくる彼女に、その笑いも一瞬で引っ込んだ)
す、すまない。
(何かを言われそうな雰囲気をバシバシと感じて、先に誤った――が、次の曲に移り、彼女の気も移ったようだ。
ほっと胸を撫で下ろしながら、音楽と呼べるのかも怪しい音楽と、彼女の笑い声に心も温まるようだった)
曲はランダムに設定してあるからな……。私にもわからない――酷すぎるだろう、これは。
(己が自身で調律したのにも関わらず、この言い草)
(そして、彼女の声が、不協和音の中、美しく、綺麗に響く――その声に耳を傾けて。
彼女が告げる幼少時代。それを聞きながら、胸にこみ上げる気持ち――ただ、ただ嬉しかった。
最早、魔法の意味など不要な程に、彼女はそれを受け取っていた。否、己が思う以上に――)
正直、不安ではあったのだよ。私が、君を楽しませる事が出来るだろうか、とね。
私も、その為に磨いたものでは無いのでね。
だが、君は私の思いを内包し、思う以上に私のプレゼントを受け取ってくれていた。心から、感謝を。
(隣に彼女の存在を確かに感じる。彼女の告げる、一つ一つの言霊が、己が心を打った。
人を笑顔に出来るのは、やはりいつの時代も最高の魔法なのではないか――自身が決して口には出来ない事を、
彼女はそれ以上の言葉で返してくれた)
形には残らない贈り物だが――、いつか君と思い出して笑えるような――心に残る贈り物をと思ってね。
だから――ありがとう。
(そう優しく、囁くように言葉にした。彼女の指が、己が指に絡む。それを深く握り締めて――、
胸の辺りに寄り掛かる重さが、何よりも心地良かった。そして、寄り掛かる彼女の髪にそっと口付けを落とし)
これからは、君を喜ばせる為に、私の持つ魔術を使っていければとも思うよ。
暫く、この不協和音の中で君の温もりを感じていたいな。君さえ良ければね。
(今宵は聖夜。一方的な想いの押しつけも、大目に見てくれればと思う。そして、手に持ったグラスを彼女のグラスに軽く当てて。
グラス同士がぶつかり、透き通った音が耳朶に触れた――)