10/08/28 00:41:24
>>374
妾には…もう九郎もいない…デモンベインもない…
抗う力など、最早ない…なら…
(奴隷という立場を拒むことになんの意味があるというのだろう)
(惨めに生にしがみ付いているだけも十分無様であり、ならばいっそ意地を張らずに楽になってしまおうかと)
(そうすれば葛藤することもなく、与えられた快楽だけを感じて生きていけるだろう)
も…もう妾は汝に反旗を翻す力も気概も残っては…いない…
もはや生きることそれ自体が妾にって恥辱ならば、汝の奴隷として、快楽と悦楽を貪ろう…
あ、改めて汝に請う…わ、妾を…妾を汝の…いえ、貴女の…
奴隷に…してください…
(エセルドレーダの誘導にあっさりと人々は乗る)
(そうとは知らなくとも、この者達のため、世界のためにその身と魂を削って戦ってきた自分を罵る声)
(人々の言う良識では、街中で裸で首輪を嵌められ歩かされる少女と、それを繋ぐ少女を見たならば)
(それそれを止めてしかるべきだが、人々思い思いの侮蔑と責めの言葉をぶつけてくる)
(自らが語る良識にさえ従えない人間達の姿は、疲弊した精神に追い討ちをかけ、怨敵の奴隷に堕ちるだけではなく)
(人間への見切りをつけさせるのには十分であった)
…そうですな。元より人間など精神も肉体も取るに足らない存在。
そのために戦ってきた自分が心底馬鹿馬鹿しいです…
…こんな、守るべき価値の無いものなど。
(人々を見つめるアル・アジフの瞳は冷め切ったものになり、侮蔑の言葉を聞けば聞くほど人という存在にあきれ返り)
(かつての自分のが行ってきたことをまるで無価値なものに思えてきて、虚無感が胸に広がる)