09/03/31 21:34:05
できれば早いうちに後日談を書いてしまおうと思ったら何故かできあがったもの
前スレの小ネタの補完ver なんでだろう神威ってすごく書きやすいw
「それで、どのような御用ですか?」
緊張を浮かべた面持ちで日輪が率直に尋ねた。
傍らにはクナイこそ手にしていないものの、いざという時すぐ動ける程度に構えた月詠がいる。
尋ねられた人物は、緊張のかけらもない笑顔をたたえて口を開いた。
「そうピリピリしないでよ。今日は別にここをどうしようって思って来たわけじゃないんだから。
ただちょっとここに俺専用の屋敷を用意してもらおうと思ってさ」
「屋敷?」
「うん。今は鳳仙の旦那に代わって俺が支配してることになってるじゃん。
なのにここで過ごすための居を構えてないのって変でしょ?
上の連中ってそのへん細かくて本当に支配してるのかって疑ってくるんだ。
ただでさえもっと上納金納めさせろってうるさいし」
だからさ、と神威は続ける。
「場所だけ用意してもらえればそれでいいんだよ。使用人とかそういうのも鬱陶しいからいらないし。
飯も欲しかったらそんときに普通の客として適当な店へ注文するよ。
実質的な管理は今まで通りあんたらがやってくれればいい。
何か問題ある?」
「……いえ。現状維持が許されるのであれば、それが私たちにとっても一番有難いこと。
そういうことでしたらすぐに用意いたします。何かご希望は?」
日輪はさすが稀代の花魁らしく、瞬時に冷静な判断を下した。
「うーんそうだなぁ……じゃあ多少不便でもいいから静かなとこで頼むよ。
どうせ俺はここに来たって寝るぐらいしかすることないし」
「承知いたしました」
日輪が淀みない動作で頭を下げた。