09/02/08 16:44:10
>>918
ふー、ため息がひとりでに漏れて俺も天を仰ぐ。
「いい空だな」
「ああ…」
で、俺に何を言えというのだ。
ああ、おまえは綺麗だよ。色っぽいよ。
そんなことを求めているわけじゃないだろう?
聞いて欲しかっただけなのか?話して楽になったのか?
俺がおまえを愛しているとでも言えと言うのか?
俺を誑かさないでくれ。
「女らしいとか、男らしいとかは、千差万別があっていいのだと思うよ。
気にするな。アランはおまえに惚れている。
おまえはおまえらしくあればそれでいいんだ」
こうして俺とオスカルの、久々の語らいは終わった。
ん?もしや、この夫婦になにかあった?
直感だった。すれ違いか?喧嘩してる風には見えなかったが…
嫌な勘と言うのは、大方当たるもんだ。これは一大事だ。
オスカルには幸せになっていてもらわないと、俺が困る。
俺がみたび目に天井裏に上がることを決めたのはこの時だった。
今回は様子を見る、という大義名分で。
善は急げ。夜が来て俺はオスカルの寝室の天井裏を目指す。
天井裏の通路を使うのは、これで二度目だが、俺は偶然にもこの時意外な通路を発見してしまう。
薄暗い通路の脇に狭い階段があって、そこから一階に抜けられるようになっているのだ。
もしや、と思い下りてみると、そこはオスカルの部屋の壁だった。
以前、バイオリンを弾く彼女の為に防音壁にする必要があって、その工事をした時に出来た空洞だった。
たしかにあの時は防音目的でしかなかったが、今はその存在理由は大きく違う。
俺が覗くに持って来いの作りで、俺の為にあると言っても過言ではない。
天が俺に味方をしているとしか言いようがなく、俺は感謝しながら壁に耳を当てた。
だが、音だけで俺は満足できるだろうか。
欲望に対しての自信はなく、手先が器用なことを持ち出して、案を練ることにした。
そして一旦部屋に戻った。