09/01/30 19:40:44
>>458
バタン!
勢いよく扉が開いた。軍服姿のオスカルだ。
意を決した時だけ挨拶もなしにいきなりドアを開け、入室してくる習慣を持つ娘を
ジャルジェ将軍は読みかけの本もそのままに見つめる。
「昨夜の侘びを言いにきたのか?」
「いえ…」
「ではなんだ?」
「父上に一つだけお聞きしたいことがあります」
「…」
「もしも、私も当たり前の女性として育っていたら、15になるやならずで
姉君たちのように、顔も知らぬ男性のもとへ嫁がせらたのでございますか?」
「お答えください!父上…」
オスカルは必死だった。
「その通りだ」
きっぱり言い切る父の言葉。
オスカルはそれに何かを得たようにぱっと顔を輝かせた。
「ありがとうございます。このような人生を与えてくださったことに感謝いたします。
女でありながらこれほどにも広く険しい人生を…」
「オスカル…」
「もう後悔はございません。生涯を武官として生きましょう」
オスカル…
背筋を伸ばし真っ直ぐ前を見て出て行く娘の後姿に、将軍は信念を見る。
わしが育てたのだ。そういう娘に、このわしが…。
長い時を経て父と娘の思いがひとつに重なった瞬間だった。
おわり
拝読、ありがとうございました。