【愛は】ベルサイユのばら【永遠に】part2at EROCHARA
【愛は】ベルサイユのばら【永遠に】part2 - 暇つぶし2ch439:名無しさん@ピンキー
09/01/29 17:50:14
>>438
氷の華と謳われる男装の麗人オスカルが、ドレスを着て結婚相手を選ぶ。
これほどセンセーショナルなことはない。
まして招待状はフランス中の貴族という貴族にばらまかれたのだ。
「あの方は来る」「来ない」だの、
お喋り好きの貴婦人たちが負け知らずの勝負師のような顔をして、囁き合うのも当然だった。

『その日は夜勤なんだよ』
アランが吐くようにして投げた言葉は嘘ではなかった。
舞踏会当日のアランの勤務予定表にはしっかり夜勤と書かれてある。
つまり、
アランが来なくても、それを疑問に思う者はひとりもいないという事になる。

大貴族の邸宅で行われる煌びやかな宴、贅を凝らした食事。
それらに何らそそられるものはなかったが、アランの瞼には
豪華なドレスを身に着けて求婚者たちとダンスを踊るオスカルの姿が浮かぶ。
そして回顧する。
俺が知る限りでは隊長がドレスを着たのは
王妃の恋人とやらに会うためと、この前の囮捜査の二回だけだ。
恋を忘れるためと任務。両極端だな。
それが今度は求婚者とダンスを踊るためにドレスを着るって言うのか。
あの隊長が、そんな理由で、大人しくドレスを着て
どこぞの貴族の野郎とちゃらちゃらダンスを踊るって?
そんな姿は考えたくもない。
アランはぶつけるあてのない拳を作り、ぎゅっと握り締めた。

「失礼。衛兵隊の兵士だね?
 私は怪しい者ではない。そのまま警備を続けていてくれたまえ」
突然背後から声がして、アランは握りこぶしを作ったままの姿勢で相手を振り返った。
声の主はエリート将校の証である近衛服に身を包み、
全身から貴族のオーラを滲み出させているような長髪の男だった。
その空気に圧倒され、握った拳が緩む。
「は、はい」
思わず返事をしてしまった。
この鼻持ちならない気障な態度、いつかどこかで見たことがある。
そうだ…近衛連隊長だ。
そんな高い地位にある人物が、なぜ正門からではなく
こんな物陰からこっそり現れるのかと、アランは扱いに困ってしまった。
下手なことをしたら上官であるオスカルの立場に悪影響を及ぼすとも限らない。
邪険にも出来ず、そのまま行動を監視していると、男の方から口を開いてきた。



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