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JALとANA、「台湾表記」問題で見せた強い意地
2018年7月28日 6時0分
世界中の航空会社が台湾の扱いをめぐって困惑した。
今年4月、中国の航空行政を管轄する中国民用航空局(民航局)は、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)を含む航空会社44社に対し、台湾を中国の一部とする「一つの中国」原則に反する表記を正すよう通達した。
具体的には、各社の予約サイト上にある「台湾」の表記を「中国台湾」などと表記することを求めたとみられている。
民航局は航空各社に対し、7月25日までに表記変更を行わなければ、中国市場へのアクセスを規制するなどと揺さぶりをかけた。
同局は7月26日、通達を出した44の航空会社すべてが表記変更に応じ、うち40社がすでに変更を完了したと発表。
残るアメリカン、デルタ、ユナイテッド、ハワイアンの米航空4社も変更作業中だとした。
通達があった4月25日以降、大半の航空会社は中国の求めに応じ、「台湾(Taiwan)」から「中国台湾(Taiwan, China)」へと、台湾を中国の一部と明確に示す表記に変更していた。
米ホワイトハウスは5月5日に声明を出し、中国当局の通達を、国家が監視する社会の恐ろしさを描いた「(ジョージ・)オーウェル作品のようなばかげたもの」と批判。
米航空各社に中国の要求に従わないよう求めた。企業側は「アメリカ政府の動きに合わせて対応する」として態度を保留していた。
7月25日の期日が迫った段階で、米各社は台湾の都市に限り、「台北(Taipei)」や「高雄(Kaohsiung)」など、「台湾(Taiwan)」を外して都市名のみを表記する方式に変更した。
結果として限定的だが表記変更に動いた。アメリカン航空の広報担当者は、「航空輸送はグローバルビジネスであり、事業を展開している各国の規定に従うしかない」と説明している。
その一方でJALとANAは、中国、韓国、台湾を「東アジア」という地域でひとくくりにし、その中で都市名のみを表記する方式を採用した。
実は、JALとANAの日系2社が取った「台湾」表記問題への対応は、海外の他社とは異質なものだった。
表記方法について、最後まで試行錯誤を繰り返したのである。
日系2社による表記変更が始まったのは6月上旬。台湾の大手紙「自由時報」は6月8日、JALとANAのサイト上における「台湾」の表記が「中国(台湾)」に変更されていると報じ、現地では一時的に中国の圧力を屈したのではとの見方が出た。
2社は「意図したものではない」として、原因は契約していた海外の地図サイトが表記を変えたためだと説明。同日中にそのサイトの利用を中止すると、変更前の「台湾」表記が復活した。