22/05/13 07:22:57.41 0.net
>>531
幸い手元に『伊勢物語』があったので、少しだけページを少しめくってみた。
『伊勢物語』は、この歌を含め、何かの出来事についての手短なエピソードが
記載され、そのエピソードの一環として歌が詠まれたという形式をとっている。
一読しただけでは気づかなかったが、見返してみると、詠まれている歌は、
単に歌のやりとりとして掛詞を駆使しているというより、意図的に「謎かけ」
として詠まれているという印象が強い。したがって、歌にまつわるエピソード
は、何かの実際の出来事の際にその歌が詠まれたという事実を伝えていると
いうよりも、歌の謎解きのヒントとして創作されているように私には考え
られる。特に、>>534に示したとおり、「お」と読まれた漢字が「を」
と読まれた可能性があることを踏まえ、歌の言語表現の要素がメタ言語的に
用いられている可能性に注目すると、歌の解釈は、従来に示されているもの
とはかなり異なったものとなり得るように思われる。