20/01/26 10:13:00 0.net
縮限@contractio・ 1月23日
届いた。二冊で1,4000円。900頁級。
ニクラス・ルーマン(1984→2020)『社会システム』
馬場靖雄訳、勁草書房どうもありがとうございます。
献本額だけで幾らになるのか・・・。すでに訳のあるものを訳し直すことには色々とご意見おありでしょうが、態々やっただけの意味はある読みやすさにはなっています。
そしてまた、研究コミュニティの近くにいると「十年一日だなぁ」という印象しかないのですが、それでもこうしてまとまった成果が出てみると、やはり1993年以降の15年間に斯界の議論にも進歩があった
─15年前には我々が理解していなかったことを、いまではようやく理解できるようになった─のだなということが感得できますよ。
特に─いろんなところで繰り返し述べてきたことですが─、後期の『社会の理論』『社会構造とゼマンティク』の前方が見えてきたことによって初めて、ルーマンのテクストとどう付き合えば良いのかわかってきたという事情があり、
この点で、この邦訳書は、巨大な両シリーズの翻訳刊行を牽引してきたチーム馬場の成果という側面もあるように思います。
これで、ルーマンの三つ著作シリーズのうち二つの邦訳が済み、のこすは『社会学的啓蒙』シリーズだけとなりました。
願わくば、この新訳がそこそこ売れ、次に いよいよ三谷武司先生による「最初期ルーマン論文集」翻訳シリーズが勁草書房から続々と刊行される、という流れに繋がりますようにお祈り申し上げ、御礼のご挨拶に返させていただきます。
前方が→全容が
なにより一番重要なことは、この本─『社会システムたち』─を最初に読んだ時、私も含め、読者は、これが三部からなる巨大なシリーズの「第一部」としては受け取らなかった、ということですね。
そう書いてあるにも関わらず、どんなシリーズなのか想像できなかったせいもあって、そうなってしまった。
これはシリーズの第一巻として書かれたのだから、そのように読まれるべきだったのに、しかし実際にそう読めるようになるには、1997年を待たねばならなかったのでありました。
晩年のシリーズの邦訳を牽引してきたこの訳者が、そのシリーズの劈頭を飾る本書を訳し直すことには、そういう意味もあります。
我々はいまようやく、1984年に刊行されたこの本を、シリーズのコンテクストの中で読むことができるようになった、と。