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■仕事中の交通事故で再び追い詰められていく
ガイドヘルパーとは、知的障害や身体障害のある人が外出する際にサポートや
介助をする仕事のことである。時給制で、仕事のある月と、ない月で収入に
ばらつきがあるうえ、毎月の手取りは平均十数万円ほどと高くはなかったが、
毎月約5万円の障害年金と合わせれば、暮らしていくことはできた。何より、
同じ福祉業界での仕事でもあり、いまだに体調に波があり、フルタイムで働く
自信はなかったクニミツさんにとって、働き方自体は合っていたという。
しかし、2年前、ガイドヘルパーの仕事中に交通事故に遭ったことで、再び歯車が
おかしな方向に回り始めた。事故は、利用者と一緒に横断歩道を渡っていた時に起きた。
右折してきた乗用車にはねられたのだ。クニミツさんがとっさにかばったので利用者に
ケガはなかったが、自分は肩と腰を路面に強打。デニムの膝から下は破れ、血だらけに
なるほどのケガを負った。
ところが、救急搬送された病院での診断は、たったの全治10日。全身の痛みで起き上がる
のもつらかったのに、その日の夜に警察の現場検証に駆り出された。さらに、加害者側の
保険会社からは治療費をさんざん値切られたうえ、会社からは「今回のけがには傷病手当
金は出せない」と告げられたという。
傷病手当金なしでは、そうそう休んでもいられず、無理して復帰したところ、今度は
事故のフラッシュバックに襲われるようになった。「仕事で事故現場の近くを通ったり、
救急車のサイレンの音を聞いたりすると、動悸が激しくなって、呼吸が苦しくなるんです。
セダンタイプの車が目の前に迫ってくる光景がはっきりと思い出されるんです」。
次第にうつ症状が悪化。ついには自殺するしかないと思うまで追い詰められたという。